説明

オーダーシステム、それに用いられる利用客側携帯端末及び従業員側携帯端末

【課題】本発明の目的は、利用客からの注文を識別・認識するための煩雑な手続きが必要なく、かつ、携帯端末による注文に不慣れな利用客からの誤った注文を防止し易くすることである。
【解決手段】従業員側携帯端末は、近距離無線通信を用いて利用客側通信部から送信された注文データを受信する従業員側通信部と、受信した前記注文データを表示する従業員側表示部と、前記注文データを編集するために用いられる編集データの入力を受け付ける従業員側入力部と、前記編集データを用いて前記注文データを編集する編集部とを有する。前記従業員側通信部は、前記注文データまたは編集された前記注文データを編集注文データとして前記注文管理サーバに送信する。前記注文管理サーバは、前記従業員側通信部から送信された前記編集注文データを受信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、注文データを管理する注文管理サーバを備えるオーダーシステム、それに用いられる利用客側携帯端末及び従業員側携帯端末に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のオーダーシステムとして、利用客からの注文内容を聞き取って当該注文内容をオーダー端末に入力して注文を受け付ける特許文献1にあるようなオーダーシステムや、利用客が各テーブルに設置されたオーダー専用端末を用いて自ら注文できる特許文献2にあるようなオーダーシステムが知られている。特許文献2に類似のオーダーシステムは、特許文献1のオーダーシステムに比べ注文受付業務を効率化できる。しかし、特許文献2に類似のオーダーシステムは導入コストが高く、導入をためらう企業も多い。
【0003】
そこで、注文受付業務を効率化し、かつ、導入コストを低く抑えることができるオーダーシステムとして、特許文献3や特許文献4にあるような利用客が所有する携帯端末と通信し当該携帯端末から注文を受け付けるオーダーシステムが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特公平6−44315
【特許文献2】特開平9−288772
【特許文献3】特開2008−191831
【特許文献4】特開2009−163543
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献3または4にあるような利用客が所有する携帯端末を用いたオーダーシステムでは、利用客からの注文を識別・認証するための煩雑な手続きが必要であり、また、携帯端末による注文に不慣れな利用客からの誤った注文が生じ易かった。それらの課題が当該オーダーシステムの普及を妨げる要因の一つであった。
【0006】
また、従来のオーダーシステムでは、その時々で個々の利用客に応じた多彩できめこまやかなサービスを提供することは難しかった。
【0007】
本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、利用客からの注文を識別・認識するための煩雑な手続きが必要なく、かつ、携帯端末による注文に不慣れな利用客からの誤った注文を防止し易い、利用客が所持する携帯端末を用いたオーダーシステム、それに用いられる利用客側携帯端末及び従業員側携帯端末を提供することを目的とする。
【0008】
また、その時々で個々の利用客に応じた多彩できめこまやかなサービスを提供できるオーダーシステム、それに用いられる利用客側携帯端末及び従業員側携帯端末を提供することを別の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために、本発明は、注文データを管理する注文管理サーバを備えるオーダーシステムであって、前記注文データの入力を受け付ける利用客側入力部と、前記注文データを表示する利用客側表示部と、近距離無線通信を用いて前記注文データを送信する利用客側通信部と、を有する利用客側携帯端末を備え、近距離無線通信を用いて前記利用客側通信部から送信された前記注文データを受信する従業員側通信部と、受信した前記注文データを表示する従業員側表示部と、前記注文データを編集するために用いられる編集データの入力を受け付ける従業員側入力部と、前記編集データを用いて前記注文データを編集する編集部と、を有する従業員側携帯端末を備え、前記従業員側通信部は、前記注文データまたは編集された前記注文データを編集注文データとして前記注文管理サーバに送信し、前記注文管理サーバは、前記従業員側通信部から送信された前記編集注文データを受信することを特徴とする。
【0010】
請求項1にかかるオーダーシステムによると、店舗の利用客からの注文を識別・認証するための煩雑な手続きを必要とせずに当該利用客が所有する携帯端末から注文を受け付けることができる。また、従業員が注文内容を確認することで、携帯端末による注文に不慣れな利用客からの誤った注文を防止し易くなる。
【0011】
また、前記注文管理サーバは、受信した前記編集注文データに基づいて伝票データを生成する伝票データ生成部を備え、前記従業員側通信部は、生成された前記伝票データを前記注文管理サーバから受信して、受信した前記伝票データを前記利用客側通信部に近距離無線通信を用いて送信し、前記利用客側通信部は、前記従業員側通信部から送信された前記伝票データを受信し、前記利用客側表示部は、受信した前記伝票データを表示することを特徴とする。
【0012】
また、前記従業員側通信部は、前記編集注文データを前記利用客側通信部に近距離無線通信を用いて送信し、前記利用客側通信部は、前記従業員側通信部から送信された前記編集注文データを受信し、前記利用客側表示部は、受信した前記編集注文データを表示することを特徴とする。
【0013】
請求項2または3に係るオーダーシステムによると、利用客が注文内容または伝票内容を確認できる。また利用客が複数である場合は複数の利用客が同時に注文内容または伝票内容を確認できる。
【0014】
また、前記利用客側携帯端末は、前記編集注文データまたは前記伝票データを注文履歴として記憶する注文履歴記憶部を備えていることを特徴とする。
【0015】
請求項4に係るオーダーシステムによると、過去に来店した際の注文内容を閲覧でき、当該注文と同じ注文を容易に行うことができる。
【0016】
また、前記注文管理サーバは、利用客に関する属性情報に応じたサービス情報を記憶するサービス情報記憶部を備え、前記従業員側入力部は、前記属性情報のそれぞれのうちのいずれかを選択するために用いられる属性情報選択データの入力を受け付け、前記従業員側携帯端末は、入力された前記属性情報選択データを用いて前記属性情報のそれぞれのうちのいずれかを選択する属性情報選択部を備え、前記従業員側通信部は、選択された前記属性情報に対応する一つまたは複数の前記サービス情報を前記注文管理サーバから受信するとともに、受信した前記サービス情報を前記利用客側通信部に近距離無線通信を用いて送信し、前記利用客側通信部は、前記従業員側通信部から送信された前記サービス情報を受信し、前記利用客側表示部は、受信した前記サービス情報を表示することを特徴とする。
【0017】
また、前記従業員側入力部は、複数の前記サービス情報から一つまたは複数のサービス情報を選択するために用いられるサービス情報選択データの入力を受け付け、前記従業員側携帯端末は、入力された前記サービス情報選択データを用いて複数の前記サービス情報から一つまたは複数のサービス情報を選択するサービス情報選択部を備えることを特徴とする。
【0018】
請求項5または6に係るオーダーシステムによると、その時々において個々の利用客に応じた多彩できめこまやかなサービスを従業員の判断で提供でき、当該店舗のサービスの質を向上できる。
【0019】
また、前記利用客側入力部は、店舗が用意したアンケートに対する回答データまたは前記属性情報に関連する属性関連データまたは従業員への作業依頼データ等の、前記注文データとは異なる異種データの入力を受け付け、前記利用客側通信部は、入力された前記異種データを前記従業員側通信部に近距離無線通信を用いて送信し、前記従業員側通信部は、前記利用客側通信部から送信された前記異種データを受信し、前記従業員側表示部は、受信した前記異種データを表示することを特徴とする。
【0020】
また、請求項7に係るオーダーシステムによると、利用客から受け取った情報に基づいてその時々において個々の利用客に応じた多彩できめこまやかなサービスを従業員の判断で提供でき、当該店舗のサービスの質を向上できる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、店舗の利用客からの注文を識別・認証するための煩雑な手続きを必要とせずに当該利用客が所有する携帯端末から注文を受け付けることができるとともに、従業員が注文内容を確認することで、携帯端末による注文に不慣れな利用客からの誤った注文を防止し易くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明に係るオーダーシステムの概略を示す概略図である。
【図2】本発明に係るオーダーシステムに備わった利用客側携帯端末の構成の一例を示す構成図である。
【図3】本発明に係るオーダーシステムに備わった従業員側携帯端末の構成の一例を示す構成図である。
【図4】本発明に係るオーダーシステムに備わった注文管理サーバの構成の一例を示す構成図である。
【図5】本発明に係るオーダーシステムの全体の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図6】本発明に係るオーダーシステムに備わった利用客側携帯端末の構成の一例を示す構成図である。
【図7】本発明に係るオーダーシステムに備わった従業員側携帯端末の構成の一例を示す構成図である。
【図8】本発明に係るオーダーシステムに備わった注文管理サーバの構成の一例を示す構成図である。
【図9】本発明に係るオーダーシステムの全体の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図10】本発明に係るオーダーシステムに備わった利用客側携帯端末の構成の一例を示す構成図である。
【図11】本発明に係るオーダーシステムに備わった従業員側携帯端末の構成の一例を示す構成図である。
【図12】本発明に係るオーダーシステムの全体の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図13】本発明に係るオーダーシステムに備わった利用客側携帯端末の構成の一例を示す構成図である。
【図14】本発明に係るオーダーシステムに備わった従業員側携帯端末の構成の一例を示す構成図である。
【図15】本発明に係るオーダーシステムに備わった注文管理サーバの構成の一例を示す構成図である。
【図16】本発明に係るオーダーシステムの全体の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図17】本発明に係るオーダーシステムに備わった利用客側携帯端末の構成の一例を示す構成図である。
【図18】本発明に係るオーダーシステムに備わった従業員側携帯端末の構成の一例を示す構成図である。
【図19】本発明に係るオーダーシステムの全体の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
(第一の実施形態)
以下、本発明の第一の実施形態を図1〜5及び表1〜7を参照して説明する。本実施形態は、飲食店で用いられるオーダーシステムへの本発明の適用例である。
【0024】
まず、図1を参照して本実施形態の概略を説明する。当該店舗の利用客が所持する利用客側携帯端末100は、従業員が所持する従業員側携帯端末200に、例えば赤外線通信やZigBee(登録商標)やBluetooth(登録商標)等の近距離無線通信を用いて注文データを送信する。従業員側携帯端末200は、利用客側携帯端末100から受信した注文データを表示し、従業員がその表示内容を確認して必要に応じて上記注文データを編集し、例えばZigBee(登録商標)やBluetooth(登録商標)や無線LAN等の無線通信により上記注文データまたは編集した注文データを注文管理サーバ300に送信する。注文データを受信した注文管理サーバ300は、調理指示データを作成して厨房に設置された図示しないプリンタまたはディスプレイ等の出力機器に出力する。以上により、当該店舗は利用客が所有する利用客側携帯端末100からの注文を処理する。
【0025】
次に、本実施形態の各構成要素について説明する。図2は、利用客側携帯端末100の構成を示す構成図である。利用客側携帯端末100のハードウェアは、記憶部110、制御部120、入力部130、通信部140、ディスプレイ150により構成される。記憶部110はプログラム領域111とデータ領域112に分けられ、プログラム領域111には発注プログラム400を記憶している。発注プログラム400は、注文データ入力処理410、注文データ表示処理420、注文データ送信処理430を含む。制御部120は、発注プログラム400の各処理に従って、入力部130、通信部140、ディスプレイ150、及び、それらとデータ領域112との間のデータフローを制御し、データ領域112に記憶したデータを加工する。入力部130は、注文データの入力を受け付ける。通信部140は、従業員側携帯端末200に近距離無線通信を用いて上記注文データを送信する。ディスプレイ150は、上記注文データを表示する。
【0026】
図3は、従業員側携帯端末200の構成を示す構成図である。従業員側携帯端末200のハードウェアは、記憶部210、制御部220、入力部230、通信部240、ディスプレイ250により構成される。記憶部210はプログラム領域211とデータ領域212に分けられ、プログラム領域211には受注プログラム500を記憶している。受注プログラム500は、編集データ入力処理510、注文・メニューデータ表示処理520、編集注文データ送信処理530、注文データ受信処理540、メニューデータ受信処理541、注文データ編集処理550を含む。制御部220は、受注プログラム500の各処理に従って、入力部230、通信部240、ディスプレイ250、及び、それらとデータ領域212との間のデータフローを制御し、データ領域212に記憶したデータを加工する。入力部230は、上記注文データを編集する際に用いる編集データの入力を受け付ける。通信部240は、利用客側携帯端末100の通信部140から近距離無線通信を用いて上記注文データを受信する。また、注文管理サーバ300から無線通信を用いてメニューデータを受信する。また、受信した上記注文データまたは注文データ編集処理550により編集した上記注文データを編集注文データとして、注文管理サーバ300に無線通信を用いて送信する。ディスプレイ250は、上記編集注文データまたは上記メニューデータを表示する。
【0027】
図4は、注文管理サーバ300の構成を示す構成図である。注文管理サーバのハードウェアは、記憶部310、制御部320、通信部340、出力部360により構成される。記憶部310はプログラム領域311とデータ領域312に分けられ、プログラム領域311には注文管理プログラム600を記憶している。また、データ領域312はメニューデータ領域313と注文データ領域314を含んでいる。注文管理プログラム600は、メニューデータ送信処理630、編集注文データ受信処理640、調理指示データ形成処理650、編集注文データ保存処理660、調理指示データ出力処理670を含む。メニューデータ領域313には、例えば表3に示すメニューデータが記憶されている。注文データ領域314には、例えば表1に示す注文データまたは表6に示す編集された注文データを記憶する。
【0028】
【表1】

【0029】
制御部320は、注文管理プログラム600の各処理に従って、通信部340、出力部360、及び、それらとデータ領域312との間のデータフローを制御し、データ領域312に記憶したデータを加工する。通信部340は、従業員側携帯端末200の通信部240に無線通信を用いて上記メニューデータを送信する。また、従業員側携帯端末200の通信部240から無線通信を用いて上記編集注文データを受信する。出力部360は、厨房に設置された図示しないプリンタまたはディスプレイ等の出力機器に上記編集注文データを元に形成された上記調理指示データを出力する。
【0030】
続いて、本実施形態に係るオーダーシステム全体の処理手順について説明する。図5は、全体の処理手順を示すフローチャートである。まず、利用客側携帯端末100は、入力部130からの入力を受け付ける。入力方法は、ディスプレイ150に表示される入力フォームに従った選択入力、または一行に一つのメニュー番号と数量の組を記述するといったフォーマットに従ったキー入力、またはカメラ等の撮像手段を用いたQRコードや電子透かしといった画像コードからの入力等どのような方法でも良い。上記入力を注文データ入力処理410により処理し、例えば表1に示す注文データを作成し、データ領域112に記憶する。そして、上記注文データを注文データ表示処理420により整形し、ディスプレイ150に表示する。さらに、上記注文データを送信するか確認するための表示も行う。この時点で利用客は従業員を呼び出し、それにより利用客と従業員が対面する。そして、利用客は利用客側携帯端末100の入力部130を操作して上記注文データの送信を指示する。当該指示を受けた利用客側携帯端末100は、注文データ送信処理430により通信部140から従業員側携帯端末200の通信部240に近距離無線通信を用いて上記注文データを送信する。
【0031】
従業員側携帯端末200は、利用客側携帯端末100の通信部140から送信された上記注文データを、注文データ受信処理540により通信部240に近距離無線通信を用いて受信する。そして、例えば表2に示すメニューデータ要求を注文管理サーバ300に送信する。
【0032】
【表2】

【0033】
上記メニューデータ要求を受信した注文管理サーバ300は、上記メニューデータ要求に対する応答として、メニューデータ送信処理630により従業員側携帯端末200の通信部240に無線通信を用いて例えば表3に示すメニューデータを送信する。
【0034】
【表3】

【0035】
従業員側携帯端末200は、メニューデータ受信処理541により通信部240に無線通信を用いて上記メニューデータを受信する。そして、受信した上記注文データとメニューデータを注文・メニューデータ表示処理520により整形し、ディスプレイ250に表示する。表示内容には、上記注文データ中の各メニュー番号に対応したメニューの名称と注文数量を含む。本実施形態においては、従業員側携帯端末200は注文管理サーバから上記メニューデータを取得しているが、データ領域212に上記メニューデータをあらかじめ記憶しておき、データ領域212から取得しても良い。
【0036】
上記表示内容を従業員が読み上げることで利用客に注文内容を確認する。必要ならば、従業員は入力部230から当該注文内容を編集するための入力を行う。当該入力は、例えば“↓[Enter]”等のカーソルキー入力や、“DEL”または“ADD” 等と表記された専用キー入力、“1”または“A”等の英数字キーの入力である。当該入力を編集データ入力処理510により処理し、例えば表4に示す編集データを作成する。
【0037】
【表4】

【0038】
【表5】

【0039】
表4において、編集データに含まれる各編集コマンドの機能は表5の通りである。例えば、「CHA M9N1 M9N2」は、メニュー番号9番のハンバーグ定食の注文数量を1品から2品に変更するコマンドである。注文データ編集処理550により、上記編集データを用いて上記注文データを編集する。表4の編集データを用いて表1の注文データを編集すると、編集後の注文データは表6に示す通りとなる。
【0040】
【表6】

【0041】
ここで、上記注文データを編集した場合は編集後の注文データを編集注文データとし、編集しなかった場合は上記注文データを編集注文データとする。従業員の操作により送信が指示されると、編集注文データ送信処理530により通信部240から注文管理サーバ300に無線通信を用いて上記編集注文データを送信する。
【0042】
注文管理サーバ300は、従業員側携帯端末200の通信部240から送信された上記編集注文データを、編集注文データ受信処理640により通信部340に無線通信を用いて受信する。受信した編集注文データは、編集注文データ保存処理660により注文データ領域314に保存される。上記編集注文データとメニューデータ領域313に記憶されたメニューデータから、調理指示データ形成処理650により例えば表7に示す調理指示データを形成する。そして、調理指示データ出力処理670により出力部360から厨房に設置された図示しないプリンタやディスプレイ等の出力機器に上記調理指示データを出力する。これにより厨房の料理人に注文が伝達される。
【0043】
【表7】

【0044】
上記の通り、本実施形態に係るオーダーシステムは、利用客が所持する利用客側携帯端末100から従業員が所持する従業員側携帯端末200へ近距離無線通信により注文データを送信する。その際、従業員が利用客と対面して注文データを受信するため、従来の利用客が所持する携帯端末を用いたオーダーシステムでは必要であった、注文を識別・認証するための煩雑な手続きが必要ない。また、当該注文データを受信した従業員側携帯端末200のディスプレイ250に当該注文データを表示することで、従業員が注文内容を確認できる。それにより、利用客側携帯端末100での注文に不慣れな利用客からの誤った注文を防止し易くなる。また、利用客から直接注文を聞き取って注文内容を入力する従来のオーダーシステムに比べると、利用客からの注文を聞いて注文内容を入力する作業が必要なくなり、注文受け付け業務にかかる時間を短縮できる。
【0045】
一般に、利用客の中には携帯電話等の利用客側携帯端末100を所持しない者もいる。従来の利用客が所持する携帯端末を用いたオーダーシステムにおいては、当該利用客用に専用の携帯端末を用意して当該利用客からの注文を受け付けていた。しかし、それでは携帯端末の操作に不慣れな利用客にも当該携帯端末の操作を強要することになり、当該利用客にとって負担になると考えられるため、当該利用客に入店を敬遠されるのではないかと危惧されていた。そのような強要をしない場合は従来のオーダーシステムと併用するか、あるいは注文を紙に書き取って厨房に伝達することとなるが、前者の場合は異なる2つのオーダーシステムの運用が必要なためコストがかさみ、後者の場合は業務効率が低下する。これらのビジネス上の課題も、従来の利用客が所持する携帯端末を用いたオーダーシステムの普及を妨げる原因の一つとなっていた。
【0046】
一方、本実施形態に係るオーダーシステムは、従業員側携帯端末200により注文データを編集・入力できるため、利用客から直接注文を聞き取って注文内容を入力する従来のオーダーシステムとして機能させることもできる。そのため、利用客側携帯端末100を所持しない利用客用に当該携帯端末を用意することもなく、従来のオーダーシステムを別に用意して併用することもなく、ましてや注文を紙に書き取って厨房に伝達することもなく、本実施形態に係るオーダーシステムのみを稼動させるだけで利用客側携帯端末100からの注文を受け付けることができる。
【0047】
また、利用客から直接注文を聞き取って注文内容を入力する従来のオーダーシステムを導入している店舗においては、当該オーダーシステムの従業員が所持する携帯端末を従業員側携帯端末200に置き換えるだけで本実施形態におけるオーダーシステムを導入できる。そのため、低い導入コストで利用客が所持する携帯端末からの注文を受け付けることが可能になり、注文受付業務を効率化できる。
【0048】
なお、利用客側携帯端末100は一つに限定されるものではなく、複数備えられていても良い。この場合、従業員側携帯端末200は、利用客側携帯端末100のそれぞれに対して、近距離無線通信でデータ(注文データなど)のやり取りをすることができる。
【0049】
(第二の実施形態)
以下、本発明の第二の実施形態を図6〜9及び表8と9を参照して説明する。なお、上述した実施形態と等しい要素または機能については同一の符号を与えて説明を省略する。
【0050】
【表8】

【0051】
【表9】

【0052】
本実施形態に係るオーダーシステムは、図6に示す利用客側携帯端末102、図7に示す従業員側携帯端末202、図8に示す注文管理サーバ302を備える。注文管理サーバ302において利用客の注文内容を含む伝票データを生成し、従業員側携帯端末202を介して利用客側携帯端末102に当該伝票データを提供するオーダーシステムである。
【0053】
図6は、利用客側携帯端末102の構成を示す構成図である。プログラム領域111は、注文履歴管理プログラム402と、図示はしていないが上記実施形態の発注プログラム400を含む。注文履歴管理プログラム402は、伝票データ表示処理422、伝票データ受信処理442、注文履歴保存処理462を含む。また、データ領域112は注文履歴領域113を含む。注文履歴領域113には、例えば表9の伝票データを保存する。
【0054】
図7は、従業員側携帯端末202の構成を示す構成図である。プログラム領域211は、伝票転送プログラム502と、図示はしていないが上記実施形態の受注プログラム500を含む。伝票転送プログラム502は、伝票データ取得指示入力処理512、伝票データ表示処理522、伝票データ送信処理532、伝票データ受信処理542を含む。
【0055】
図8は、注文管理サーバ302の構成を示す構成図である。プログラム領域311は、伝票生成プログラム602と、図示はしていないが上記実施形態の注文管理プログラム600を含む。伝票生成プログラム602は、伝票データ送信処理632、伝票データ生成処理652を含む。
【0056】
図9は、全体の処理手順を示すフローチャートである。まず、従業員側携帯端末202は、入力部230からの入力を受け付ける。当該入力は、例えば“↓[Enter]”等のカーソルキー入力や、“伝票受信”等と表記された専用キー入力、“1”または“A”等の英数字キーの入力である。当該入力を伝票データ取得指示入力処理512により処理し、例えば表8に示す伝票データ要求を作成する。そして、注文管理サーバ302に無線通信を用いて上記伝票データ要求を送信する。
【0057】
上記伝票データ要求を受信した注文管理サーバ302は、伝票データ生成処理652により例えば表9に示す伝票データを生成し、上記伝票データ要求に対する応答として、伝票データ送信処理632により従業員側携帯端末202の通信部240に無線通信を用いて当該伝票データを送信する。
【0058】
従業員側携帯端末202は、伝票データ受信処理542により通信部240に無線通信を用いて上記伝票データを受信する。そして、受信した伝票データを伝票データ表示処理522により整形し、ディスプレイ250に表示する。従業員が入力部230から当該伝票データの送信を指示する入力を行うと、伝票データ送信処理532により通信部240から利用客側携帯端末102の通信部140に近距離無線通信を用いて当該伝票データを送信する。ここで、当該伝票データの送信を指示する上記入力は、例えば“↑[Enter]”等のカーソルキー入力や、“送信”等と表記された専用キー入力や、“1”または“A”等の英数字キーの入力である。
【0059】
利用客側携帯端末102は、伝票データ受信処理442により通信部140に近距離無線通信を用いて上記伝票データを受信する。そして、受信した伝票データを伝票データ表示処理422により整形し、ディスプレイ150に表示する。利用客が入力部130から当該伝票データの保存を指示する入力を行うと、注文履歴保存処理462により注文履歴領域113に当該伝票データを注文履歴として保存する。ここで、当該伝票データの保存を指示する上記入力は、例えば“↓[Enter]”等のカーソルキー入力や、“1”または“A”等の英数字キーの入力である。
【0060】
本実施形態に係るオーダーシステムによると、利用客が伝票データを確認できる。また利用客が複数である場合は、複数の利用客(利用客側携帯端末102)に対して同じ伝票データを同時に送信することができる。グループで来店した複数の利用客に対して同一の伝票データを同時に送信することで、複数の利用客が注文内容を同時に確認でき、注文内容の確認に要する時間を短縮できる。
【0061】
また、利用客側携帯端末102は、上記伝票データを取得することで、注文履歴領域113に従業員側携帯端末202による編集処理を反映した注文履歴を保存できる。
【0062】
また、利用客側携帯端末102を所持する利用客は、注文履歴を保存することで、次回の来店時にも同じメニューを容易に注文できる。
【0063】
(第三の実施形態)
以下、本発明の第三の実施形態を図10〜12を参照して説明する。なお、上述した実施形態と等しい要素または機能については同一の符号を与えて説明を省略する。
【0064】
本実施形態に係るオーダーシステムは、図10に示す利用客側携帯端末103、図11に示す従業員側携帯端末203、上記実施形態の注文管理サーバ300を備える。利用客側携帯端末103から送信された注文データを基にして従業員側携帯端末203で作成した編集注文データと、当該編集注文データに対応するメニューデータとを、従業員側携帯端末203から利用客側携帯端末102に提供するオーダーシステムである。
【0065】
図10は、利用客側携帯端末103の構成を示す構成図である。プログラム領域111は、注文履歴管理プログラム403と、図示はしていないが上記実施形態の発注プログラム400を含む。注文履歴管理プログラム403は、編集注文・メニューデータ表示処理423、編集注文・メニューデータ受信処理443、注文履歴保存処理463を含む。
【0066】
図11は、従業員側携帯端末203の構成を示す構成図である。プログラム領域211は、受注プログラム503を含む。受注プログラム503は、編集注文・メニューデータ送信処理533を含む。
【0067】
図12は、全体の処理手順を示すフローチャートである。従業員側携帯端末203は、利用客側携帯端末103から受信した注文データを基に作成した編集注文データと注文管理サーバ300から受信したメニューデータとを、編集注文・メニューデータ送信処理533により利用客側携帯端末103の通信部140に近距離無線通信を用いて送信する。
【0068】
利用客側携帯端末103は、編集注文・メニューデータ受信処理443により通信部140に近距離無線通信を用いて編集注文データとメニューデータとを受信する。そして、受信したそれらを編集注文・メニューデータ表示処理423により整形し、ディスプレイ150に表示する。利用客が入力部130から当該編集注文データとメニューデータの保存を指示する入力を行うと、注文履歴保存処理463により注文履歴領域113に当該編集注文データとメニューデータを注文履歴として保存する。ここで、当該伝票データの保存を指示する上記入力は、例えば“↓[Enter]”等のカーソルキー入力や、“1”または“A”等の英数字キーの入力である。
【0069】
本実施形態に係るオーダーシステムによると、利用客が注文内容の確認のためのデータを確認できる。また利用客が複数である場合は、注文の都度、複数の利用客(利用客側携帯端末102)に対して注文内容の確認のためのデータを同時に送信することができる。注文の都度、グループで来店した複数の利用客に対して当該データを同時に送信することで、複数の利用客が注文内容を同時に確認でき、注文内容の確認に要する時間を短縮したり注文ミスを低減したりできる。
【0070】
また、利用客側携帯端末103は、上記伝票データを取得することで、注文履歴領域113に従業員側携帯端末203による編集処理を反映した注文履歴を保存できる。
【0071】
また、利用客側携帯端末103を所持する利用客は、注文履歴を保存することで、次回の注文時にも同じメニューを容易に注文できる。
【0072】
(第四の実施形態)
以下、本発明の第四の実施形態を図13〜16及び表10〜17を参照して説明する。なお、上述した実施形態と等しい要素または機能については同一の符号を与えて説明を省略する。
【0073】
本実施形態に係るオーダーシステムは、図13に示す利用客側携帯端末104、図14に示す従業員側携帯端末204、図15に示す注文管理サーバ304を備える。従業員が利用客を観察して当該利用客の属性を判断して当該利用客に適したサービス情報を注文管理サーバ304から従業員側携帯端末204に取得し、利用客側携帯端末104に当該サービス情報を提供するオーダーシステムである。
【0074】
図13は、利用客側携帯端末104の構成を示す構成図である。プログラム領域111は、サービス情報取得プログラム404と、図示はしていないが上記実施形態の発注プログラム400を含む。サービス情報取得プログラム404は、サービス情報表示処理424、サービス情報受信処理444、サービス情報保存処理464を含む。また、データ領域112はサービス情報領域114を含む。サービス情報領域114には、例えば表14に示すサービス情報を記憶する。
【0075】
図14は、従業員側携帯端末204の構成を示す構成図である。プログラム領域211は、サービス情報提供プログラム504と、図示はしていないが上記実施形態の受注プログラム500を含む。サービス情報提供プログラム504は、属性情報取得指示入力処理514、属性情報選択データ入力処理515、サービス情報選択データ入力処理516、属性情報表示処理524、サービス情報表示処理525、サービス情報送信処理534、属性情報受信処理544、サービス情報受信処理545、属性情報選択処理554、サービス情報選択処理555を含む。
【0076】
図15は、注文管理サーバ304の構成を示す構成図である。プログラム領域311は、サービス情報管理プログラム604と、図示はしていないが上記実施形態の注文管理プログラム600を含む。サービス情報管理プログラム604は、属性情報送信処理634、サービス情報送信処理635、サービス情報検索処理654を含む。また、データ領域312は、属性情報領域315、サービス情報領域316、対応情報領域317を含む。属性情報領域315には、例えば表12に示す属性情報が記憶されている。サービス情報領域316には、例えば表14に示すサービス情報が記憶されている。対応情報領域317には、例えば表16に示す属性情報とサービス情報の対応関係が記憶されている。
【0077】
図16は、全体の処理手順を示すフローチャートである。まず、従業員側携帯端末204は、入力部230からの入力を受け付ける。当該入力は、例えば“↓[Enter]”等のカーソルキー入力や、“属性情報取得”等と表記された専用キーまたは”1”または“A”等の英数字キーの入力である。当該入力を属性情報取得指示入力処理514により処理し、例えば表10に示す属性情報要求を作成する。そして、注文管理サーバ304に無線通信を用いて上記属性情報要求を送信する。ここで、表10の属性情報要求に含まれる属性情報タイプ番号は、表11に示す属性情報タイプを表す識別番号である。例えば、属性情報タイプ番号「0」は、属性情報タイプ「年代」を表す。
【0078】
【表10】

【0079】
【表11】

【0080】
上記属性情報要求を受信した注文管理サーバ304は、上記属性情報要求に対する応答として、属性情報送信処理634により従業員側携帯端末204の通信部240に無線通信を用いて例えば表12に示す属性情報を送信する。
【0081】
【表12】

【0082】
従業員側携帯端末204は、属性情報受信処理544により通信部240に無線通信を用いて上記属性情報を受信する。そして、受信した属性情報を属性情報表示処理524により整形し、ディスプレイ250に表示する。本実施形態においては、従業員側携帯端末204は注文管理サーバから上記属性データを取得しているが、データ領域212に上記属性データをあらかじめ記憶しておき、データ領域212から取得しても良い。
【0083】
従業員は、属性情報選択データ入力処理515として、当該属性情報から1つまたは複数の属性情報を選択するための属性情報選択データの入力を入力部230から行う。上記属性情報選択データは、例えば“↓[Enter]”等のカーソルキー入力データや、”1”または“A”等の英数字キー入力データであり、ディスプレイ250に表示された属性情報から1つまたは複数の属性情報を選択するために従業員が入力する入力データである。上記属性情報選択データに従って、属性情報選択処理554により例えば表13に示すサービス情報要求を作成する。そして、注文管理サーバ304に無線通信を用いて上記サービス情報要求を送信する。
【0084】
【表13】

【0085】
上記サービス情報要求を受信した注文管理サーバ304は、サービス情報検索処理654により例えば表14に示すサービス情報を検索して取得する。サービス情報検索処理654では、例えば上記サービス情報要求に含まれる属性情報タイプ番号を属性情報とサービス情報を関連付ける表16の対応表から検索し、例えば表14のサービス情報を取得する。そして、上記サービス情報要求に対する応答として、サービス情報送信処理635により従業員側携帯端末204の通信部240に無線通信を用いて当該サービス情報を送信する。ここで、表14のサービス情報に含まれるサービス情報タイプ番号は、表15に示すサービス情報タイプを表す識別番号である。例えば、サービス情報タイプ番号「2」は、サービス情報タイプ「広告情報」を表す。
【0086】
【表14】

【0087】
【表15】

【0088】
【表16】

【0089】
従業員側携帯端末204は、サービス情報受信処理545により通信部240に無線通信を用いて上記サービス情報を受信する。そして、受信したサービス情報をサービス情報表示処理525により整形し、ディスプレイ250に表示する。従業員は、サービス情報選択データ入力処理516として、当該サービス情報から1つまたは複数のサービス情報を選択するためのサービス情報選択データの入力を入力部230から行う。上記サービス情報選択データは、例えば“→[Enter]”等のカーソルキー入力データや、”1”または“A”等の英数字キー入力データであり、ディスプレイ250に表示されたサービス情報から1つまたは複数のサービス情報を選択するために従業員が入力する入力データである。上記サービス情報選択データに従って、サービス情報選択処理555により例えば表17に示すサービス情報を選択する。そして、サービス情報送信処理534により通信部240から利用客側携帯端末104の通信部140に近距離無線通信を用いて当該サービス情報を送信する。
【0090】
【表17】

【0091】
利用客側携帯端末104は、サービス情報受信処理444により通信部140に近距離無線通信を用いて上記サービス情報を受信する。そして、受信したサービス情報をサービス情報表示処理424によりディスプレイ150に表示する。利用客が入力部130から当該サービス情報の保存を指示する入力を行うと、サービス情報保存処理464によりサービス情報領域114に当該サービス情報を保存する。ここで、当該サービス情報の保存を指示する上記入力は、例えば“↓[Enter]”等のカーソルキー入力や、”1”または“A”等の英数字キーの入力である。
【0092】
本実施形態に係るオーダーシステムによると、従業員の判断でその時々において個々の利用客に応じた多彩できめこまやかなサービスを提供でき、当該店舗のサービスの質を向上できる。
【0093】
例えば、メニューの注文点数が多いだけでなく飲食マナーが良い常連客または今後も利用してもらいたい利用客を従業員が判断し、当該利用客だけに特別なメニューの情報を提供する等の特別なサービスを提供できる。例えば、利用客は上記の特別なメニューの情報の提供を受けると、当該メニューの情報をデータ領域112に保存しておき、注文時に参照することで当該メニューを注文できる。特別なサービスを受けた利用客は、当該店舗に対して好印象を持ち、それにより、また当該店舗を利用してもらえる可能性が高まる。
【0094】
別の例を挙げると、印象が良く接客業に向いていそうな利用客または一緒に働きたいと思える利用客を従業員が判断し、当該利用客だけに当該店舗の求人情報を提供することで、良い人材を採用できる可能性を高めることができる。
【0095】
さらに別の例を挙げると、利用客の年代、服装、会話等から当該利用客が興味を持ちそうな広告情報を複数の広告情報の中から従業員の判断で選択し当該利用客に提供できる。従来の広告としてチラシに印刷した広告やメール配信による広告等があるが、前者はバリエーションが少なくなりがちであり多様な客層毎の嗜好をカバーできず、後者は全利用客に一律の広告を配信するかまたは利用客が興味を持ちそうな広告情報を機械的に判断して配信するため、利用客の嗜好やその時点での利用客の興味にマッチしないことも多かった。しかし、本実施形態に係るオーダーシステムを用いた上記広告方法は、利用客の年代、服装、会話等から当該利用客が興味を持ちそうな広告情報を複数の広告情報の中から従業員の判断で選択するため、従来の方法に比べ、その時点で当該利用客が興味を持ちそうな広告情報を提供する可能性を高めることができる。
【0096】
また、本実施形態と上述の実施形態2または3に係るオーダーシステムによると、伝票データや注文内容に上記各種サービス情報を添付することで、上記各種サービス情報をさりげなく提示できる。
【0097】
(第五の実施形態)
以下、本発明の第五の実施形態を図17〜19及び表18と19を参照して説明する。なお、上述した実施形態と等しい要素または機能については同一の符号を与えて説明を省略する。
【0098】
本実施形態に係るオーダーシステムは、図17に示す利用客側携帯端末107、図18に示す従業員側携帯端末207と、図示はしていないが上記実施形態の注文管理サーバ300または302または304を備える。利用客側携帯端末107から従業員側携帯端末207に注文データとは異なる異種データを送信し、従業員側携帯端末207のディスプレイ250に当該異種データを表示するオーダーシステムである。
【0099】
図17は、利用客側携帯端末107の構成を示す構成図である。プログラム領域111は、異種データ提供プログラム407と、図示はしていないが上記実施形態の発注プログラム400を含む。異種データ提供プログラム407は、異種データ入力処理417、異種データ表示処理427、異種データ送信処理437を含む。
【0100】
図18は、従業員側携帯端末207の構成を示す構成図である。プログラム領域211は、異種データ取得プログラム507と、図示はしていないが上記実施形態の受注プログラム500または503を含む。異種データ取得プログラム507は、異種データ表示処理527、異種データ受信処理547を含む。
【0101】
図19は、全体の処理手順を示すフローチャートである。まず、利用客側携帯端末107は、入力部130からの入力を受け付ける。当該入力は、例えば“↓[Enter]”等のカーソルキー入力や、”1”または“A”等の英数字キーの入力である。当該入力を異種データ入力処理417により処理し、例えば表18に示す異種データを作成する。ここで、表18の異種データに含まれる異種データタイプ番号は、表19に示す異種データタイプを表す識別番号である。例えば、異種データタイプ番号「0」は、異種データタイプ「アンケート回答情報」であり、店舗が用意したアンケートに対する利用客の回答を表す。作成された異種データを異種データ表示処理427により整形し、ディスプレイ150に表示する。さらに、上記異種データを送信するか確認するための表示も行う。この時点で利用客は従業員を呼び出し、利用客と従業員が対面する。そして、利用客は利用客側携帯端末107の入力部130を操作して上記異種データの送信を指示する。当該指示を受けた利用客側携帯端末107は、異種データ送信処理437により通信部140から従業員側携帯端末207の通信部240に近距離無線通信を用いて上記異種データを送信する。ここで、上記異種データはそれ単独で送信しても良いが、注文データと一まとめにして送信しても良い。
【0102】
【表18】

【0103】
【表19】

【0104】
従業員側携帯端末207は、異種データ受信処理547により近距離無線通信を用いて通信部240に上記異種データを受信する。そして、受信した異種データを異種データ表示処理527により整形し、ディスプレイ250に表示する。
【0105】
ディスプレイ250に表示された異種データを従業員が確認することで、当該異種データに基づいてその時々において個々の利用客に応じた多彩できめこまやかなサービスを従業員の判断で提供できる。
【0106】
例えば、店舗が用意したアンケートに対する回答情報を異種データとした場合、当該異種データを受信した従業員はアンケートに協力してくれた利用客に対してお礼の粗品等を提供したりできる。または、本実施形態と上述の実施形態4に係るオーダーシステムであれば、従業員は当該店舗の限定メニュー情報やクーポン情報等のサービス情報を選択して利用客に提供できる。
【0107】
別の例を挙げると、利用客が有する食物アレルギーの情報を異種データとした場合、当該異種データを受信した従業員は該当するアレルギー物質を含まないメニューを提示できる。または、上記食物アレルギー情報が注文データと一まとめにして提供された場合、従業員は該当するアレルギー物質を含むメニューが注文データ中に含まれないかチェックできる。利用客は、利用客側携帯端末107のデータ領域112に当該食物アレルギー情報を記憶しておけば、当該食物アレルギー情報を図示しないデータ検索手段によりデータ領域112から検索して取得することで、来店あるいは注文の度に当該食物アレルギー情報を入力することなく、従業員に対して容易に当該食物アレルギー情報を提供できる。また、従業員側携帯端末207の異種データ取得プログラム507に、当該食物アレルギー情報を基にして該当するアレルギー物質を含むメニューを自動判定する処理を追加すれば、従業員は、上述の該当するアレルギー物質を含まないメニューの提示や注文されたメニューに当該アレルギー物質が含まれないかのチェックを容易にできる。
【0108】
さらに別の例を挙げると、業務依頼情報を異種データとした場合、利用客は周囲の人に気づかれることなく従業員に対して業務を依頼することができる。例えば、事前に通知することで誕生日をお祝いする等のサプライズイベントを行える飲食店があるが、そのような飲食店において「サプライズイベントは20時から開始してください」等の情報を従業員に伝えたい場合、サプライズさせたい対象人物に気づかれないように当該情報を伝えるのは困難なこともある。本実施形態に係るオーダーシステムによると、利用客は、注文の際に注文データと一まとめにして「サプライズイベントは20時から開始してください」等の情報を送信することで、サプライズさせたい対象人物に気づかれることなく当該情報をさりげなく従業員に伝えることができる。また、「近くの客のマナーが悪いため居心地が悪い」等の苦情もさりげなく伝えることができ、当該苦情に対する対応をお願いすることもできる。また、Bluetooth(登録商標)等の数m〜数十mの範囲で通信可能な通信手段を用いる場合は、利用客は、対面はしていないが近くにいる従業員に対して「注文を取りに来てください」や「お水を持ってきてください」等のように業務を依頼できる。近くにいる従業員に対して通知するため、上記のように、従業員に利用客がいるテーブルまで来てもらう必要がある業務依頼の場合は迅速な対応が期待できる。
【0109】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、上記実施形態は本発明の単なる例示に過ぎず、要旨を逸脱しない範囲において変更が可能であり、本発明を何ら限定するものではない。
【符号の説明】
【0110】
100,102,103,104,107・・・利用客側携帯端末、
200,202,203,240,207・・・従業員側携帯端末、
300,302,304・・・注文管理サーバ、
110,210,310・・・記憶部、
120,220,320・・・制御部、
130,230・・・入力部、
140,240,340・・・通信部、
150,250・・・ディスプレイ、
360・・・出力部、
111、211、311・・・プログラム領域、
112、212、312・・・データ領域、
113・・・注文履歴領域、
114、316・・・サービス情報領域、
313・・・メニューデータ領域、
314・・・注文データ領域、
315・・・属性情報領域、
317・・・対応情報領域、
400・・・発注プログラム、
402,403・・・注文履歴管理プログラム、
404・・・サービス情報取得プログラム、
407・・・異種データ提供プログラム、
500、503・・・受注プログラム、
502・・・伝票転送プログラム、
504・・・サービス情報提供プログラム、
507・・・異種データ取得プログラム、
600・・・注文管理プログラム、
602・・・伝票生成プログラム、
604・・・サービス情報管理プログラム、
410・・・注文データ入力処理、
417・・・異種データ入力処理、
510・・・編集データ入力処理、
512・・・伝票データ取得指示入力処理、
514・・・属性情報取得指示入力処理、
515・・・属性情報選択データ入力処理、
516・・・サービス情報選択データ入力処理、
420・・・注文データ表示処理、
422,522・・・伝票データ表示処理、
423・・・編集注文・メニューデータ表示処理、
424,525・・・サービス情報表示処理、
427,527・・・異種データ表示処理、
520・・・注文・メニューデータ表示処理、
524・・・属性情報表示処理、
430・・・注文データ送信処理、
437・・・異種データ送信処理、
530・・・編集注文データ送信処理、
532,632・・・伝票データ送信処理、
533・・・編集注文・メニューデータ送信処理、
534,635・・・サービス情報送信処理、
630・・・メニューデータ送信処理、
634・・・属性情報送信処理、
442,542・・・伝票データ受信処理、
443・・・編集注文・メニューデータ受信処理、
444,545・・・サービス情報受信処理、
540・・・注文データ受信処理、
541・・・メニューデータ受信処理、
544・・・属性情報受信処理、
547・・・異種データ受信処理、
640・・・編集注文データ受信処理、
550・・・注文データ編集処理、
554・・・属性情報選択処理、
555・・・サービス情報選択処理、
650・・・調理指示データ形成処理、
652・・・伝票データ生成処理、
654・・・サービス情報検索処理、
462,463・・・注文履歴保存処理、
464・・・サービス情報保存処理、
660・・・編集注文データ保存処理、
670・・・調理指示データ出力処理

【特許請求の範囲】
【請求項1】
注文データを管理する注文管理サーバを備えるオーダーシステムであって、
前記注文データの入力を受け付ける利用客側入力部と、
前記注文データを表示する利用客側表示部と、
近距離無線通信を用いて前記注文データを送信する利用客側通信部と
を有する利用客側携帯端末を備え、
近距離無線通信を用いて前記利用客側通信部から送信された前記注文データを受信する従業員側通信部と、
受信した前記注文データを表示する従業員側表示部と、
前記注文データを編集するために用いられる編集データの入力を受け付ける従業員側入力部と、
前記編集データを用いて前記注文データを編集する編集部と
を有する従業員側携帯端末を備え、
前記従業員側通信部は、編集された前記注文データを編集注文データとして前記注文管理サーバに送信し、
前記注文管理サーバは、前記従業員側通信部から送信された前記編集注文データを受信することを特徴とするオーダーシステム。
【請求項2】
前記注文管理サーバは、受信した前記編集注文データに基づいて伝票データを生成する伝票データ生成部を備え、
前記従業員側通信部は、生成された前記伝票データを前記注文管理サーバから受信して、受信した前記伝票データを前記利用客側通信部に近距離無線通信を用いて送信し、
前記利用客側通信部は、前記従業員側通信部から送信された前記伝票データを受信し、
前記利用客側表示部は、受信した前記伝票データを表示することを特徴とする請求項1に記載のオーダーシステム。
【請求項3】
前記従業員側通信部は、前記編集注文データを前記利用客側通信部に近距離無線通信を用いて送信し、
前記利用客側通信部は、前記従業員側通信部から送信された前記編集注文データを受信し、
前記利用客側表示部は、受信した前記編集注文データを表示することを特徴とする請求項1に記載のオーダーシステム。
【請求項4】
前記利用客側携帯端末は、前記編集注文データまたは前記伝票データを注文履歴として記憶する注文履歴記憶部を備えていることを特徴とする請求項2または3のいずれかに記載のオーダーシステム。
【請求項5】
前記注文管理サーバは、利用客に関する属性情報に応じたサービス情報を記憶するサービス情報記憶部を備え、
前記従業員側入力部は、前記属性情報のそれぞれのうちのいずれかを選択するために用いられる属性情報選択データの入力を受け付け、
前記従業員側携帯端末は、入力された前記属性情報選択データを用いて前記属性情報のそれぞれのうちのいずれかを選択する属性情報選択部を備え、
前記従業員側通信部は、選択された前記属性情報に対応する一つまたは複数の前記サービス情報を前記注文管理サーバから受信するとともに、受信した前記サービス情報を前記利用客側通信部に近距離無線通信を用いて送信し、
前記利用客側通信部は、前記従業員側通信部から送信された前記サービス情報を受信し、
前記利用客側表示部は、受信した前記サービス情報を表示することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のオーダーシステム。
【請求項6】
前記従業員側入力部は、複数の前記サービス情報から少なくとも一つを選択するために用いられるサービス情報選択データの入力を受け付け、
前記従業員側携帯端末は、入力された前記サービス情報選択データを用いて複数の前記サービス情報から少なくとも一つを選択するサービス情報選択部を備えることを特徴とする請求項5に記載のオーダーシステム。
【請求項7】
前記利用客側入力部は、店舗が用意したアンケートに対する回答データまたは前記属性情報に関連する属性関連データまたは従業員への作業依頼データ等の、前記注文データとは異なる異種データの入力を受け付け、
前記利用客側通信部は、入力された前記異種データを前記従業員側通信部に近距離無線通信を用いて送信し、
前記従業員側通信部は、前記利用客側通信部から送信された前記異種データを受信し、
前記従業員側表示部は、受信した前記異種データを表示することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のオーダーシステム。
【請求項8】
注文データの入力を受け付ける利用客側入力部と、前記注文データを表示する利用客側表示部と、近距離無線通信を用いて前記注文データを送信する利用客側通信部とを有する利用客側携帯端末と、
前記注文データを管理する注文管理サーバと
を備えるオーダーシステムで用いられる従業員側携帯端末であって、
近距離無線通信を用いて前記利用客側携帯端末から送信された前記注文データを受信する従業員側通信部と、
受信した前記注文データを表示する従業員側表示部と、
前記注文データを編集するために用いられる編集データの入力を受け付ける従業員側入力部と、
前記編集データを用いて前記注文データを編集する編集部と
を備え、
前記従業員側通信部は、編集された前記注文データを編集注文データとして前記注文管理サーバに送信することを特徴とする従業員側携帯端末。
【請求項9】
近距離無線通信を用いて注文データを受信する従業員側通信部と、受信した前記注文データを表示する従業員側表示部と、前記注文データを編集するために用いられる編集データの入力を受け付ける従業員側入力部と、前記編集データを用いて前記注文データを編集する編集部とを有する従業員側携帯端末と、
前記注文データを管理する注文管理サーバと
を備えるオーダーシステムで用いられる利用客側携帯端末であって、
近距離無線通信を用いて前記注文データを前記従業員側通信部に送信する利用客側通信部を備えることを特徴とする利用客側携帯端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2011−192080(P2011−192080A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−58451(P2010−58451)
【出願日】平成22年3月15日(2010.3.15)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.QRコード
【出願人】(000002325)セイコーインスツル株式会社 (3,629)
【Fターム(参考)】