説明

オートシャットオフバルブ、及び液体供給装置

【課題】設置位置の自由度が大幅に向上でき、使用上の利便性の改善されたオートシャットオフバルブを提供する。
【解決手段】可燃性液体供給時において流路を開放する位置に弁体19を係止するための係止部材33を設ける。供給路には、流路を流れる可燃性液体によって負圧となる負圧発生部を設ける。バルブ本体9aには、ダイヤフラム29によって画成されたダイヤフラム室31を設け、係止部材33は、ダイヤフラム室31が負圧となりダイヤフラム29が変位した際に、弁体19の係止を解除するように設ける。供給路には、流路を流れる可燃性液体によって負圧となる負圧発生部を設け、上記負圧発生部は上記ダイヤフラム室31に連通させ、さらに、上記負圧発生部は、チューブを介して大気連通口に接続する。大気連通口が可燃性液体によって閉塞された際に弁体19の係止を解除する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、オートシャットオフバルブと、オートシャットオフバルブを備えた液体供給装置に関するもので、例えばシンナーなどの可燃性溶剤(可燃性液体)を貯槽等の供給源からタンクに供給するような場合に好適に使用し得るオートシャットオフバルブと液体供給装置に係るものである。
【背景技術】
【0002】
この種のシンナー供給装置は、図8に示すように、貯槽1からタンク3にシンナーを供給するための供給路5と、この供給路5に設けられたバルブ7とを備えており、バルブ7が開放され貯槽1から一定量のシンナーが供給された後に、バルブ7が閉塞されることによって、一定量のシンナーがタンクに供給されるものであった。
【0003】
なお、ガソリンスタンドで使用され、自動的に満タン給油を行う給油装置の給油ノズルとしては特許文献1のものが公知である。この特許文献1に記載された給油ノズルにあっては、給油の際にガソリンが流通するノズル本体の吐出パイプには、先端側に大気連通孔が設けられている。また、ダイヤフラムにより画成されたダイヤフラム室が設けられており、該ダイヤフラムは、給油時にガソリンの流路に流れるガソリンによって負圧となる負圧発生通路および上記大気連通孔に連通されている。また、このダイヤフラムの変位を検出して閉弁される自動制御弁がモーターに近接して設けられている。さらに、このダイヤフラムの変動により互いの係合が解除される第一の弁軸部材および第二の弁軸部材を備えており、係合が解除された第二の弁軸部材は、上記負圧発生通路を閉塞するように設けられている。
【0004】
この給油装置の給油ノズルにあっては、給油を開始し、車のタンクに一定量のガソリンが給油され、タンク内のガソリンの表面に生ずる泡が上記大気連通孔を閉塞すると、負圧発生通路に連通するダイヤフラム室が負圧となり、ダイヤフラムが変動する(それまでは大気連通孔とも連通しているためダイヤフラム室は大気圧であり、ダイヤフラムは変動しない)。このようにダイヤフラムが変動すると、上記自動制御弁が閉弁して、大流量によるガソリンの初期給油が終了する。また、ダイヤフラムの変動によって、第一の弁軸部材と第二の弁軸部材の係合が解除され、第二の弁軸部材が負圧発生通路を閉塞する。そして、このように第二の弁軸部材が負圧発生通路を閉塞した状態で引き続き少量ずつによる満タン給油が行われる。この少量の給油に際して上記負圧発生通路が閉塞されているので、給油されるガソリンに空気が含まれにくいという利点を有するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第2853871号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記従来のシンナー供給装置にあっては、供給された量を測定する装置の故障などの不具合が生じた場合には、過度のシンナーがタンク3に供給される可能性があった。なお、仮に、上記シンナー供給装置に上記特許文献1に記載された装置を組み合わせたとしても、シンナー供給に際して初期大量供給と満タンまでの少量供給とに供給を段階的に行い得るものの、過度のシンナーがタンクに供給される可能性を排除できるものではない。
【0007】
また、上記供給装置において利用されているオートシャットオフバルブは全体が一体的に構成されているものであるため、その使用場所等において制限を受け、使用上の利便性に難点がある。
【0008】
この発明は上記した従来の欠点を解決するためになされたものであって、その目的は、使用上の利便性の向上されたオートシャットオフバルブを提供することにある。また、供給された量を測定する装置の故障などの不具合が生じた場合であっても、過度の液体がタンクに供給されるのを防止することができる液体供給装置を提供することもこの発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、この発明のオートシャットオフバルブは、液体を供給するための供給路5に介設され、所定量の液体が供給された際に流路を閉鎖する弁体19をバルブ本体9a内に備えたオートシャットオフバルブであって、液体供給時において流路を開放する位置に上記弁体19を係止するための係止部材33を設け、上記供給路5には、流路を流れる液体によって負圧となる負圧発生部41を設け、上記バルブ本体9aには、ダイヤフラム29によって画成されたダイヤフラム室31を設け、上記係止部材33は、上記ダイヤフラム室31が負圧となりダイヤフラム29が変位した際に、上記弁体19の係止を解除するように設けており、上記供給路5には、流路を流れる液体によって負圧となる負圧発生部41を設け、上記負圧発生部41は上記ダイヤフラム室31に連通させ、さらに、上記負圧発生部41は、チューブを介して大気連通口11aに接続され、これにより上記大気連通口11aが液体によって閉塞された際に上記ダイヤフラム室31を負圧としダイヤフラム29を変位させて上記弁体19の係止を解除し、弁体19で流路を閉鎖することを特徴としている。
【0010】
また、この発明のオートシャットオフバルブにおいては、請求項2のように、上記負圧発生部41は、上記バルブ本体9aとは別体の付設部材9b内に設けていることを特徴としている。
【0011】
また、請求項1又は請求項2のオートシャットオフバルブにあっては、上記負圧発生部41には、チューブを接続可能なチューブ接続口41cが複数箇所に設けられていることを特徴としている。
【0012】
さらに、この発明の液体供給装置は、液体を貯留する貯槽等の供給源1、この供給源1から液体が供給されるタンク3、供給源1とタンク3とを接続して液体を供給するための供給路5、及び所定量の液体が供給された際に供給を停止するメインバルブ7を備えており、さらに上記供給路5には、請求項1〜請求項3のいずれかのオートシャットオフバルブを介設し、上記タンク3内には、タンク3内の液体が一定量未満の時には大気に開放されているとともに一定量以上の際には液体によって閉塞される大気連通口11aを配置していることを特徴としている。
【発明の効果】
【0013】
請求項1〜請求項3のオートシャットオフバルブにおいては、センサともいえる大気連通口11aをチューブを介して負圧発生部41に連通させているので、大気連通口11aの配置位置の自由度が大幅に向上し、使用上の利便性を向上することが可能となる。なお、弁体19を機械的に制御しているため、電気的な制御を用いることがなく、液体が可燃性であるような場合においても液体の供給を廉価で且つ確実に制御することができる。
【0014】
また、請求項2のように、負圧発生部41を、バルブ本体9aとは別体の付設部材9b内に設け、負圧発生部41とダイヤフラム室31とをチューブで接続するようにすれば、負圧発生部41の配置位置の自由度がさらに向上し、使用上の利便性を向上することが可能となる。
【0015】
請求項3のように、負圧発生部41には、チューブに接続可能なチューブ接続口41cが複数箇所に設けられている構成を採用した場合には、設置場所等の周囲の状況に応じて、適宜好適なチューブ接続口41cを選択して、設置することができるという利点を有する。
【0016】
請求項4の液体供給装置にあっては、通常時は、液体が供給路5を介して貯槽1からタンク3に供給され、所定量の液体が供給された際にメインバルブ7が閉塞され供給が停止される。また、供給された量を測定する装置の故障やメインバルブ7に故障が生じたなどの不具合が生じた場合にあっても、タンク3内の液体が一定量以上となることにより、タンク3内の液体によって大気連通口11aが閉塞される。そして、この大気連通口11aの閉塞により、供給路5のバルブ9が液体の流路を閉塞するため、過度の液体がタンク3に供給されることがない。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】この発明の一実施形態に係る溶剤供給装置を説明するための模式的配置を示す説明図である。
【図2】同溶剤供給装置の大気連通部材の概略的断面図である。
【図3】同溶剤供給装置の非常バルブ(オートシャットオフバルブ)の概略的正面図である。
【図4】図3の縦断面を示すための断面側面図である。
【図5】図3の縦断面を示すための断面側面図である。
【図6】同溶剤供給装置の要部拡大図である。
【図7】第二のチューブ接続口を説明するための説明図であって、(a)は正面図、(b)は断面側面図である。
【図8】従来例のシンナー供給装置を説明するための模式的配置を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、この発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。この発明の一実施形態に係る溶剤供給装置は、図1に示すように、シンナーなどの可燃性の溶剤を貯留する貯槽1、この貯槽1から溶剤が供給されるタンク3、この貯槽1とタンク3とを接続して溶剤を供給するための供給路5、供給路5に設けられ所定量の溶剤が供給された際に供給を停止するメインバルブ7、および、供給路5に設けられタンク3内の溶剤が一定量以上となった際に溶剤の供給を停止する非常バルブ(オートシャットオフバルブ)9が設けられている。なお、上記貯槽1は、溶剤の供給源として例示したものであって。貯槽以外の供給源1を用いる場合もある。また、以下の説明は可燃性液体に適用した場合についてのものであるが、可燃性ではない水、薬品などの液体についても全く同様に適用可能である。
【0019】
上記タンク3内には、大気連通部材11が所望位置(所望高さ)に設置されており、この大気連通部材には、タンク3内の溶剤が一定量未満の時には大気に開放されているとともに一定量以上の際にはタンク3内の溶剤によって閉塞される大気連通口11aが設けられている。この大気連通口11aは、後述する負圧発生室41に連通されている。この大気連通部材11には、図2に示すように、上記負圧発生室41に接続されるチューブ(図示省略)に接続するためのチューブ接続口11bが設けられている。
【0020】
上記非常バルブ(オートシャットオフバルブ)9は、図3〜図5に示すように、溶剤の流入口13と溶剤の流出口15とが設けられたバルブ本体9aを有しており、この溶剤の流入口13と流出口15との間の空間が弁室として機能している。そして、このバルブ本体9aの弁室には、弁座17として機能する段部が設けられているとともに、弁室内には、溶剤の流通を開閉するための弁体19が配置されており、この弁体19は上記弁座17側にバネ21によって、閉弁方向に常時弾性付勢されている(図4参照)。また、該弁体19は、弁室外部に設けられたノブ23に接続されており、該ノブ23の操作によって開放側に移動するように設けられている(図5参照)。
【0021】
また、バルブ本体9aには、ダイヤフラム29によって画成されたダイヤフラム室31が弁体19の上方位置に設けられており、該ダイヤフラム室31は、後述する負圧発生室41に連通されている。該ダイヤフラム室31には、上記負圧発生室41に接続されるチューブ(図示省略)に接続可能なチューブ接続口31aが設けられている。
【0022】
また、バルブ本体9aには、溶剤供給時において上記弁体19を開放位置に係止するための係止部材33が設けられており、該係止部材33は、ダイヤフラム室31が負圧となりダイヤフラム29が上方に変位した際に、上記弁体19の係止を解除するように設けられている。以下、その構成について具体的に説明する。
【0023】
まず、上記弁体19には、上部にスピンドル19aが形成されており、このスピンドル19aに球体33(係止部材)が配置されている。また、バルブ本体9aの内部には、上述のようにノブ23の操作によって弁体19が上方側(弁開放側)に移動した際に、この球体33の外側への移動を許容するテーパ部35が形成されている。また、上記ダイヤフラム29の下方には、下方に向けてガイド37が取付けられており、該ガイド37には、弁体19が上方側に移動した際に、スピンドル19aとともに上方に移動する上記球体33に当接して該球体33を外側へ移動させるテーパ面37aが形成されている。これにより、弁体19が上方側(弁開放側)に移動した際、球体33は、ガイド37のテーパ面37aに当接して、ガイド37を若干押し上げるとともに、テーパ面37aに沿って外側に移動し、そして、該球体33は、ガイド37のテーパ面37aとテーパ部35との間に、ガイド37の自重およびダイヤフラム29の弾性反発力によって、挟持されることになる。このため、ノブ23の操作終了によりノブ23を上方側へ押圧する力がなくなっても、前述のように球体33がガイド37とテーパ部35との間に挟持されていることによって、弁体19は下方側(弁閉塞側)に移動しないことになる。一方、ダイヤフラム29が上方に変位すると、これに伴いガイド37が上方に移動することにより、球体33は、ガイド37とテーパ部35とによる挟持がなくなり、弁体19の自重とバネ21の付勢力によって、テーパ部35に沿ってスピンドル19a内部に収容されるため、弁体19が閉塞位置に移動することになる。
【0024】
また、上記ダイヤフラム29は、ダイヤフラム室31の上部に設けられたノブ39に接続されており、該ノブ39の操作によって上方に移動可能に設けられている。そして、このノブ39は、メインバルブ7が閉塞した際に上方に移動操作されるように設けられており、これにより、メインバルブ7の閉塞時において、ダイヤフラム29が上方に変位し、上記球体33の挟持が解除され、弁体19が閉塞位置に移動し、非常バルブ9が閉塞するように設けられている。
【0025】
また、非常バルブ(オートシャットオフバルブ)9は、上記バルブ本体9aの流出口15に接続される溶剤の流入口43と溶剤の流出口45とが設けられた付設部材9bを有しており、この溶剤の流入口43と流出口45との間の空間が弁室として機能している(図6参照)。そして、この付設部材9bの弁室には、弁座47として機能する段部が設けられているとともに、弁室内には、溶剤の流入によって開閉する弁体49が配置されている。該弁体49は、バネ51によって弁座47側に常時弾性付勢されているとともに、メインバルブ7および上記バルブ本体9aの弁体19が開放されている状態において弁室の溶剤の圧力によって開放位置に移動し、流路を開放するように設けられている。なお、上記弁座47には、小径の負圧発生通路41aが形成されており、該負圧発生通路41aは、その一端が上記弁室に向けて開口されている。
【0026】
また、この付設部材9bの内部には、弁室内に流れる溶剤によって負圧となる負圧発生室41(負圧発生部)が略円筒状に設けられている。具体的には、この負圧発生室41は、上記弁座47に形成された小径の負圧発生通路41aを介して上記弁室に連通されており、これにより、弁体47の開放状態において、弁体47と弁座49との間を流れる溶剤によって、負圧発生通路41aおよび負圧発生室41が負圧となるように設けられている。
【0027】
なお、該負圧発生室41は、上記ダイヤフラム室31に連通している。該負圧発生室41は、上記ダイヤフラム室31に接続されるチューブに接続されるチューブ接続口41bを有している。
【0028】
また、この負圧発生室41は、上記大気連通口11aにも連通しており、該大気連通口11aを有する大気連通部材11に接続されるチューブに接続されるチューブ接続口41cを有している。ここで、該負圧発生室41には、大気連通部材11に接続されるチューブに接続可能なチューブ接続口41cが二箇所(複数箇所)に設けられている。具体的には、図6に示すように、略円筒状の負圧発生室41の外側に設けられた第一のチューブ接続口41cと、弁体49と略同心位置に設けられた第二のチューブ接続口41cとが設けられている。そして、この第一のチューブ接続口41cおよび第二のチューブ接続口41cの何れか一方にチューブが接続されるとともに他方が密封されて、このチューブが上記大気連通部材11に接続されることによって、負圧発生室41と大気連通口11aとが連通されることになる。このように、本実施形態においては、チューブ接続口41cが二箇所に設けられているので、設置場所等の周囲の状況に応じて、適宜好適なチューブ接続口を選択して、設置することができるという利点を有する。つまり、チューブが上記第二のチューブ接続口41cに接続された場合には、該付設部材9bの下流側の供給路を構成するパイプ(図示省略)の内部にチューブを配置することができる。また、チューブが上記第一のチューブ接続口41cに接続された場合には、付設部材9bの下流側の供給路を構成するパイプの外側にチューブを配置することができる。
【0029】
なお、上記第二のチューブ接続口41cは、図6に示すように、付設部材9bの弁室内に設けられたチューブ接続用部材53に設けられている。このチューブ接続部材53には、図6および図7に示すように、第二のチューブ接続口41cから略L字状に形成された通路53aが内部に形成されているとともに、この通路53aが負圧発生室41の略円筒状の部位に内側から接続されている。また、このチューブ接続用部材53は、部材本体53bが弁室と略同一径に設けられているとともに、該部材本体53bには、溶剤が流通可能な流通孔53cが穿設されている。また、該チューブ接続用部材53は、部材本体53bから上流側に向けて、外周部が突出した鍔部53dを有しており、該鍔部53dによって上記負圧発生室41と弁室が区画されている。
【0030】
本実施形態の溶剤供給装置は、上記構成からなるが、その使用方法について以下説明する。
【0031】
まず、溶剤の供給開始に際し、メインバルブ7と非常バルブ(オートシャットオフバルブ)9との双方が開放されることにより、貯槽1からタンク3に溶剤が供給されることになる。なお、非常バルブ9の開放に関しては、弁体19に接続されたノブ23を上方に移動させることにより弁体19が開放位置に移動するとともに、弁体19の上方の球体33がガイド37に沿って外側に移動し、このガイド37とテーパ部35との間に球体33が挟持されることにより、該弁体19は開放位置に係止されることになる。なお、この供給に際しては、ダイヤフラム室31は、負圧発生室41を介して大気連通口11aに連通しており、この大気連通口11aは大気に開放されているため、ダイヤフラム室31が大気圧であり、ダイヤフラム29は変動しない。なお、非常バルブ9の付設部材9bの弁体49は、弁室の溶剤の圧力によって開放位置に移動する。
【0032】
そして、所定量の溶剤の供給が行われた後に、メインバルブ7又は非常バルブ9が閉塞されて供給が終了することになる。この非常バルブ9の閉塞に関しては、ダイヤフラム29に接続されたノブ39を上方に移動することにより、ダイヤフラム29を変動させて、上記球体33の挟持を解除して、弁体19を閉塞位置に移動させて、非常バルブ9が閉塞されることになる。なお、非常バルブ9の付設部材9bの弁体49は、上記メインバルブ7および弁体19の閉塞の後、バネ51の弾性付勢力によって閉塞位置に移動する。
【0033】
本実施形態の溶剤供給装置も上記のような供給作業がなされるものであるが、仮にメインバルブ7の破損などの不具合が生じた場合であっても、タンク3内の溶剤が一定量以上となることにより、タンク3内の溶剤によって大気連通口11aが閉塞され、そして、このように大気連通口11aが閉塞されることで、非常バルブ9が溶剤の流路を閉塞するため、過度のシンナーがタンク3に供給されることがない。つまり、大気連通口11aが閉塞されると、負圧発生室41の負圧によってダイヤフラム室31が負圧となり、これによりダイヤフラム29が変動して、ガイド37とテーパ部35とによる球体33の挟持が解除されることになり、球体33による弁体19の係止が解除され、弁体19が閉塞位置に移動することになる。なお、非常バルブ9の付設部材9bの弁体49は、上記弁体19の閉塞の後、バネ51の弾性付勢力によって閉塞位置に移動する。
【0034】
この発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、この発明の範囲内で上記実施形態に多くの修正及び変更を加え得ることは勿論である。なお、上記実施形態においては、非常バルブ9のバルブ本体9aの流入路13が流出路15よりも下部に設けられたものについて説明したが、たとえば、上記流入路を流出路よりも上部に位置せしめ、各部材の上下位置を反対に配置することも適宜設計変更可能であり、この場合には、係止部材33の係止解除時に弁体19が閉塞位置に戻るためのバネ21の弾性付勢力を強くすれば足りる。
【0035】
また、上記実施形態においては、負圧発生室を有する付設部材がバルブ本体の下流側に連続して取付けられたものについて説明したが本発明はこれに限定されるものではない。しかるに、負圧発生室を有する部材を非常バルブ以外の供給路に設けた場合には供給路が複雑化するため、負圧発生室を非常バルブに設けることが好ましい。また、負圧発生室を有する部材を、非常バルブの弁体よりも上流側に設けることも可能であるが、この場合には、非常バルブの閉塞時において負圧発生通路に可燃性液体が流入する手段を講ずる必要がある。このため、負圧発生室を、非常バルブよりも下流側に設けることが好ましい。なお、上記の説明から明らかなように、上記実施例のオートシャットオフバルブは、手動操作することも可能である。すなわち、手動にてノブ39、ガイド37を上方に引き上げることによって閉弁動作させるのである。
【符号の説明】
【0036】
1・・貯槽、3・・タンク、5・・供給路、7・・メインバルブ、9・・非常バルブ(オートシャットオフバルブ)、9a・・バルブ本体、9b・・付設部材、11・・大気連通部材、11a・・大気連通口、11b・・チューブ接続口、13・・流入口、15・・流出口、17・・弁座、19・・弁体、19a・・スピンドル、21・・バネ、23・・ノブ(弁体側)、29・・ダイヤフラム、31・・ダイヤフラム室、31a・・チューブ接続口、33・・球体(係止部材)、35・・テーパ部、37・・ガイド、37a・・テーパ面、39・・ノブ(ダイヤフラム側)、41・・負圧発生室、41a・・負圧発生通路、41b・・チューブ接続口(ダイヤフラム室側)、41c・・チューブ接続口(大気連通口側)、43・・流入口、45・・流出口、47・・弁座、49・・弁体、51・・バネ、53・・チューブ接続用部材、53a・・L字状通路、53b・・部材本体、53c・・通路、53d・・鍔部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を供給するための供給路(5)に介設され、所定量の液体が供給された際に流路を閉鎖する弁体(19)をバルブ本体(9a)内に備えたオートシャットオフバルブであって、
液体供給時において流路を開放する位置に上記弁体(19)を係止するための係止部材(33)を設け、
上記供給路(5)には、流路を流れる液体によって負圧となる負圧発生部(41)を設け、
上記バルブ本体(9a)には、ダイヤフラム(29)によって画成されたダイヤフラム室(31)を設け、
上記係止部材(33)は、上記ダイヤフラム室(31)が負圧となりダイヤフラム(29)が変位した際に、上記弁体(19)の係止を解除するように設けており、
上記供給路(5)には、流路を流れる液体によって負圧となる負圧発生部(41)を設け、
上記負圧発生部(41)は上記ダイヤフラム室(31)に連通させ、
さらに、上記負圧発生部(41)は、チューブを介して大気連通口(11a)に接続され、これにより上記大気連通口(11a)が液体によって閉塞された際に上記ダイヤフラム室(31)を負圧としダイヤフラム(29)を変位させて上記弁体(19)の係止を解除し、弁体(19)で流路を閉鎖することを特徴とするオートシャットオフバルブ。
【請求項2】
上記負圧発生部(41)は、上記バルブ本体(9a)とは別体の付設部材(9b)内に設けていることを特徴とする請求項1のオートシャットオフバルブ。
【請求項3】
上記負圧発生部(41)には、チューブを接続可能なチューブ接続口(41c)が複数箇所に設けられていることを特徴とする請求項1又は2のいずれかのオートシャットオフバルブ。
【請求項4】
液体を貯留する貯槽等の供給源(1)、この供給源(1)から液体が供給されるタンク(3)、供給源(1)とタンク(3)とを接続して液体を供給するための供給路(5)、及び所定量の液体が供給された際に供給を停止するメインバルブ(7)を備えており、
さらに上記供給路(5)には、請求項1〜請求項3のいずれかのオートシャットオフバルブを介設し、
上記タンク(3)内には、タンク(3)内の液体が一定量未満の時には大気に開放されているとともに一定量以上の際には液体によって閉塞される大気連通口(11a)を配置していることを特徴とする液体供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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