説明

オーバーザニードル式ピールアウェイシースカテーテルイントロデューサ

カテーテルの遠位端を受け入れるためのオーバーザニードル式ピールアウェイシースカテーテルイントロデューサが、それぞれから翼部が横方向に延びる左半体及び右半体を有するハブから形成される。ハブは、これらの半体間でカテーテル用の通路を画定し、この通路は、上記半体の対向する壁面と、これらの半体間に延びる上壁及び下壁とによって画定される。ハブの近位端にはファンネルが配置され、ハブの遠位端にはシースが配置される。ファンネルとハブとシースとは、位置が合う連続した通路を形成するそれぞれの内腔を有する。ファンネルとハブとシースとはさらに、これらを通してカテーテルを導入した後に、このカテーテルイントロデューサを2つの半体に開裂させて廃棄させるようにする引き裂き線を、その上面及び底面に有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[発明の分野]
本発明は、ピールアウェイカテーテルイントロデューサの分野に属し、より詳細には、四肢及び静脈が極めて小さい新生児及び未熟児のためのピールアウェイカテーテルイントロデューサの分野に属する。
【背景技術】
【0002】
[従来技術]
カテーテルイントロデューサは通常、末梢穿刺中心静脈カテーテル(PICC)や、ガイドワイヤ、又は他の比較的細長い可撓性の医療器具とともに用いられて、患者の血管内へのカテーテル又は他の医療器具の挿入及び留置を容易にする。剥離可能又は開裂可能カテーテルイントロデューサとも呼ばれる従来のピールアウェイカテーテルイントロデューサは、近位端の横方向に延びる一対の翼部を有するハブと、ハブの遠位端の遠位方向に延びるシースとを備えている。このようなカテーテルイントロデューサでは、イントロデューサ針を、その尖った遠位先端をシースの遠位端の遠位方向に延ばしてイントロデューサハブ内に配置可能である。本明細書で用いられるように、近位という用語は、器具を用いる臨床医に最も近い器具の場所を指す。反対に、遠位という用語は、静脈に挿入される器具の遠位先端のように、臨床医から最も遠い器具の場所を指す。さらに、ハブ及びシースの構成部品のそれぞれが、近位端及び遠位端を有する。一部の従来技術のイントロデューサは、静脈穿刺用の針の導入又はその後のカテーテル若しくはガイドワイヤの導入を容易にするために、ハブの近位端にファンネル状の要素も含む。
【0003】
従来のピールアウェイカテーテルイントロデューサを用いる場合、臨床医は、イントロデューサハブとともに針ハブを掴み、患者の皮膚の選択部位に針及びイントロデューサシースの遠位部を挿入する。臨床医は、静脈穿刺が確認されるまで器具を前進させ続ける。この確認は通常、針の近位端にある針ハブに形成されたフラッシュバックチャンバーに血液が入るのを臨床医が見るときに目視で行われる。静脈穿刺が確認された後、臨床医は、カテーテルイントロデューサのシース部を患者の静脈内に向けて遠位方向に前進させ、針を引き抜く。カテーテルイントロデューサが適切に配置されると、続いて臨床医は、カテーテル、ガイドワイヤ、又は他の比較的細長い可撓性の医療器具をシースの近位開口に挿入し、患者の血管の適切な位置にくるまでカテーテル又は他の器具を、カテーテルイントロデューサを介して前進させ続けることができる。カテーテル又は他の器具を留置した後、臨床医は、静脈穿刺部位から近位方向にカテーテルイントロデューサを引き抜く。続いて臨床医は、カテーテルイントロデューサの上壁及び下壁の引き裂き線に沿った翼部の捻り及び/又は引き離しを適宜組み合わせることによって、イントロデューサハブ及びシースの2つの半体が分かれるまでカテーテルイントロデューサを2つの分離した半体に開裂させる。
【0004】
新生児患者で用いられる場合、従来のオーバーザニードル式(over-the-needle)ピールアウェイカテーテルイントロデューサは、扱いにくく採用が難しいことが多い。重要な問題の1つは、組織に最初に穿刺した後の挿入角又は迎角(angle of attack)、すなわち静脈穿刺時の患者の皮膚表面に対するイントロデューサ針軸の角度である。乳児の静脈は非常に小さく非常に表面に近いため、静脈の近壁(near wall)に任意の通常の挿入角度で挿入を進めると、針が静脈の遠壁(far wall)を穿刺しやすくなる。
【0005】
初期の従来技術のカテーテルイントロデューサは、成人向けに設計され開発されたものであった。従来のカテーテルイントロデューサの構成では、イントロデューサハブの底部及び翼部の底部の形状及び厚さがカテーテルイントロデューサの近位部を皮膚の表面から離れて高い位置に維持するようになっているため、これらのカテーテルイントロデューサは、自動的に新生児患者に最適な角度よりも大幅に大きな角度でカテーテルの静脈穿刺及び前進を行わせる構造を有している。このような構造が成人用のカテーテルイントロデューサでは問題とならないのは、静脈がはるかに大きく、より容易に識別可能且つアクセス可能だからである。医学的診断及び治療の進歩により、新生児患者の静脈穿刺の用途が大幅に増えているため、新生児患者の静脈穿刺に関連する上述の危険性を克服するか、又は少なくとも静脈穿刺技術をより安全に、容易に、且つ迅速にするカテーテルイントロデューサに対するニーズが高まってきている。
【0006】
これらの器具を乳児で用いようとするときに限界及び/又は問題が明らかとなったことで、改良の取り組みがなされ始めた。ある従来技術の特許、すなわち米国特許第6,273,871号明細書の開示は、この問題に対する対処及び解決を主張しているが、最終的には問題は解決されていない。この特許の図2及び特に図3で見られるように、シース60の底部より下方のハブ70内には、実質的な量の材料がある。シースの下のこの材料の厚さは、皮膚の上方のカテーテルイントロデューサの位置及びその結果得られる挿入角が常に重要であることを意味する。この米国特許第6,273,871号明細書は、針ハブの質量中心を変えることによって挿入角を小さくすることを主張しているが、本発明は主に、針を抜去した後の挿入角に関するものであり、これは異なる問題であり異なる手法を必要とする。
【0007】
米国特許第5,221,263号明細書は、別のピールアウェイカテーテルを開示しており、ハブ20がシースの近位端の完全なハウジングを提供することで、シースの近位端が患者の皮膚よりも高い位置にあり、患者の皮膚上で平坦になることができない。
【0008】
米国特許第5,334,157号明細書は、非ピールアウェイタイプであるが平坦な底部を有する別のカテーテルイントロデューサを開示している。この器具も、実質的に高い位置にあるとともに別個のハウジング内にあるシースを有する。
【0009】
本発明は、カテーテルイントロデューサを作製する新たな方法及びそれを用いる新たな方法とともに、新たな改良されたカテーテルイントロデューサを提供する新規且つ実質的に異なる構成を用いている。
【発明の開示】
【0010】
[発明の概要]
静脈穿刺時に非常に低い挿入角を可能にするオーバーザニードル式ピールアウェイシースカテーテルイントロデューサを提供することが、本発明の目的である。専門用語の便宜及び簡略化のために、本明細書の以下では、「カテーテルイントロデューサ」は、「オーバーザニードル式ピールアウェイカテーテルイントロデューサ」を意味するものとする。
【0011】
カテーテルイントロデューサ及び針の組み合わせに関して1〜2°もの低さ、及び針無しのカテーテルイントロデューサに関して0°もの低さである挿入角を前進時に可能にするカテーテルイントロデューサを提供することが、本発明の別の目的である。
【0012】
シースが底部に配置されたときに、当該シースの内腔が当該シースの肉厚分だけ底部よりも上に位置するようになっているカテーテルイントロデューサを提供することが、本発明のさらなる目的である。
【0013】
シース及びその内腔の周りのハブハウジングから形成された従来技術のカテーテルイントロデューサとは対照的に、シース及びその内腔の代わりに内腔部をハブ内に設けることが、本発明のさらなる目的である。
【0014】
シースの底部と、翼部の底部と、ハブの底部とがほぼ平坦な面を画定するカテーテルイントロデューサを提供することが、本発明のさらなる目的である。
【0015】
本発明の別の目的は、ハブの近位端にファンネル要素を含み、ファンネルの底部がハブの底部及び翼部の底部とほぼ同じ高さにあるカテーテルイントロデューサを提供することである。
【0016】
本発明のさらなる目的は、シースが貫通しているカテーテルイントロデューサ用のハブであって、左半体及び右半体を備え、左半体及び右半体の対向する側壁が内腔の側面を画定し、シースの上壁及び下壁が上記側面間に延びる材料から成るハブを提供することである。
【0017】
本発明のさらなる目的は、イントロデューサハブと、翼部と、ファンネルとの全てを、連続した成形体として形成することである。
【0018】
本発明の別の目的は、上述の特徴を有する非ピールアウェイカテーテルイントロデューサを提供することである。
【0019】
本発明のさらなる目的は、ハブを形成するキャビティとシースの内腔とを通って延びる取り外し可能なコアピンを用いて、新たなカテーテルイントロデューサを射出成形する方法を提供することであり、シースの近位端は、ハブの遠位端が形成される金型キャビティ内に軸方向に位置決めされ、左半体及び右半体と上壁及び下壁とが、ハブを通って延びる内腔を画定するコアピンの周りに成形される(overmolded)。
【0020】
さらなる目的は、イントロデューサ針を抜去した後でカテーテルイントロデューサを静脈内に前進させているときの挿入角(又は迎角)を極めて低く実質的に0°とすることができるように、内腔より下方の厚さが内腔壁の厚さを超えないカテーテルイントロデューサを提供することによって、カテーテル又はガイドワイヤを患者の静脈に導入する方法を提供することである。ここで、このカテーテルイントロデューサは、患者の皮膚に対して基本的に平行であるか又は接しており、カテーテルはシースの肉厚分しか皮膚よりも上方に離間していない。さらに、新たなカテーテルイントロデューサの好適な実施形態は、シースの底面と、ハブの底面と、ファンネルの底面とが、カテーテルイントロデューサの最低の高さにあると共に側部から側部への揺動及び垂直軸を中心とした回転からのカテーテルイントロデューサの安定性を提供する平面を画定するような、実質的に平坦な底部を有している。
【0021】
したがって、本発明は、新たなカテーテルイントロデューサの構造と、このカテーテルイントロデューサを製造する新たな方法と、新たなカテーテルイントロデューサを用いてカテーテル又はガイドワイヤを導入する新たな方法とを含む。これら3つの実施形態は、以下に示す説明によって例示される。
【0022】
新たなカテーテルイントロデューサの第1の実施の形態は、
a.対向する近位端及び遠位端を有するハブであって、前記近位端と前記遠位端との間に軸方向に延びる右半体及び左半体を備え、ハブ内腔が前記右半体及び前記左半体間に軸方向に延びるハブと、
b.前記右半体及び前記左半体のそれぞれから前記ハブ内腔の横方向に延びる翼部と、
c.第1の直径の近位端開口及び前記第1の直径よりも小さな直径の遠位端開口を有する収束円筒壁から形成されたファンネルであって、該ファンネルの前記遠位端が前記ハブの前記近位端に接続され、前記ハブ内腔と連通する内腔を有するファンネルと、
d.前記ハブの前記遠位端に接続された近位端、遠位端、及び前記ハブ内腔と連通するシース内腔を有する管として形成された円筒壁を備えるシースと
を備え、
前記ハブの前記右半体及び前記左半体は、隣接して離間した内壁面を有し、前記ハブはさらに、前記離間した内壁面間に延びてこれらを接続する上壁及び下壁を備え、前記ハブ内腔は、前記離間した内壁面と前記上壁及び前記下壁とによって画定され、前記ピールアウェイカテーテルイントロデューサは、前記翼部を互いに引き離したときに、前記ピールアウェイカテーテルイントロデューサを2つの部分に開裂させるように、前記ファンネルと、前記ハブと、前記シースとの長さに沿って形成された引き裂き線を含む。
【0023】
所望であれば、この構造は、ファンネル部分を含まないカテーテルイントロデューサ、又はファンネルがハブから近位方向に延びる代わりにハブに組み込まれるカテーテルイントロデューサとともに用いてもよい。
【0024】
新たな発明はさらに、ファンネル入口部分と、ハブ及びシースと、ハブ及びシースを貫通する連続した内腔とを有する新たなカテーテルイントロデューサを射出成形する方法を含み、
前記ハブ内の前記内腔は、左ハブ半体及び右ハブ半体と、該左ハブ半体及び該右ハブ半体間に延びてこれらを接続する上壁及び下壁とによって画定され、前記シースの近位端の軸方向延長部は、前記ハブの遠位部分内に位置し、前記ハブ内の前記内腔と同軸上にあると共に同一の広がりをもち、
前記方法は、
a.前記ファンネル入口部分及び前記ハブを画定するキャビティを設けた射出成形用金型を準備するステップと、
b.前記ハブの遠位端が形成されるキャビティ内で、軸方向に近位端を有するシースを位置決めするステップと、
c.前記ハブの内腔及びファンネル入口部分の内腔が位置する前記キャビティと、前記シース内腔とを通って、コアピンを軸方向に取り外し可能に位置決めするステップと、
d.プラスチックが前記コアピンを囲むことにより、前記ハブの前記右半体及び前記左半体と、前記左半体及び前記右半体を接続する上壁及び下壁と、前記右半体及び前記左半体間並びに前記上壁及び前記下壁間で前記コアピンが占める空間内の内腔とを形成し、該内腔は、前記キャビティ内に位置する前記シースの前記近位端の前記内腔と同軸上であると共に同一の広がりをもち、前記上壁及び前記下壁のプラスチック並びに前記右半体及び前記左半体のプラスチックは、前記シースの前記近位端の管状端壁と結合する、プラスチックを前記射出成形用金型内に射出するステップと、
e.前記射出成形用金型を開いて前記コアピンを取り外し、前記カテーテルイントロデューサを取り除くステップと
を含む。
【0025】
新たな発明はさらに、新しいイントロデューサを使用する方法を含み、
該方法は、
a.ファンネル入口部分と中央ハブ部分と遠位シース部分とを備え、連続した内腔が、前記ファンネル入口部分と前記中央ハブ部分と前記遠位シース部分とを通って延びるカテーテルイントロデューサを準備するステップであって、前記カテーテルイントロデューサの最低部分である底面を有すると共に前記連続した内腔が前記内腔の壁の厚さを超えない距離だけ前記底面から離間しているカテーテルイントロデューサを準備するステップと、
b.イントロデューサ針の遠位端が前記シースの遠位端から遠位方向に延出するまで、前記イントロデューサ針を前記連続した内腔に挿入するステップと、
c.前記カーテル針及び前記カテーテルイントロデューサを挿入するために位置決めするステップと、
d.前記イントロデューサ針の前記遠位端及び前記遠位シース部分の前記遠位端で、前記患者の皮膚及び前記静脈の近壁を穿刺して拡張させるステップと、
e.前記皮膚及び前記静脈の前記近壁が最初に穿刺されてフラッシュバックが確認された後、前記カテーテルイントロデューサの前記底面が前記患者の皮膚とほぼ平行になるまで前記カテーテルイントロデューサの近位端を下げることによって前記挿入の角度を減らし、前記カテーテルイントロデューサの前記イントロデューサ針及び前記遠位シース部分を前記静脈内に所定の距離だけ前進させて、前記イントロデューサ針及び前記遠位シース部分の両方の遠位端が前記患者の静脈内にあることを確実にするステップと、
f.前記カテーテルイントロデューサの前記遠位シース部分を前記静脈内のさらに遠位方向に前進させて、前記カテーテルイントロデューサから前記イントロデューサ針を引き抜くステップと、
g.カテーテル又はガイドワイヤを前記カテーテルイントロデューサの前記連続した内腔を介して前記患者の静脈に導入するステップと、
h.前記遠位シース部分を患者の前記静脈及び前記皮膚から近位方向に引き抜くステップと、
i.前記イントロデューサハブ部分と前記ファンネル入口部分とを開裂し、前記イントロデューサハブ部分と前記遠位シース部分とを2つの部分に剥離して、前記カテーテルから取り外すステップと
を含む。
【0026】
本発明のさらなる特徴及び利点、並びに本発明の種々の実施形態の構造及び動作を、添付図面を参照して以下に詳細に説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
[好適な実施形態の詳細な説明]
図1〜図4で見られるように、新たなカテーテルイントロデューサ10は、近位端13及び遠位端14を有するハブ12と、近位端16及び遠位端17を有するファンネル15と、近位端19及び遠位端20を有するシース18とを備えている。
【0028】
ハブ12は、対向する左半体21及び右半体22から形成され、これらの間に内腔23がある。図1〜図6で見られるように、内腔23は、ハブの左半体21及び右半体22の対向面である側壁24,25と、左半体21及び右半体22間に延びる薄い上壁26及び下壁27とによって画定されている。
【0029】
図1〜図5で見られるように、翼部30,31が、左半体21及び右半体22から横方向に延びている。これらの翼部は、ハブの近位端13に位置している。翼部30、31は、左半体21及び右半体22に近付くにつれて下向きに湾曲するほぼ平坦なブレードを備えている。翼部30,31は、図5及び図6で見られるように、ほぼ平坦な底面40,41を有している。これらの翼部の底面とハブ12の底面及びファンネル15の底面とは、全てほぼ同一平面上にあり、カテーテルイントロデューサ全体の最低部分を表している。
【0030】
図1〜図5及び図9で見られるようなファンネル15は、その内腔33が大きな近位端開口及び小さな遠位端開口を有する収束円筒体である。ファンネル15の遠位端17は、ハブ12の近位端13に接続され、これらそれぞれの内腔は位置が合うと共に同じ直径を有している。ファンネル15の近位端16は、端面図ではほぼ平坦な底部37と、底部37から上方に延びるほぼ平行な側壁38と、ほぼ丸形の上部39とを画定している。
【0031】
シース18は、図1、図2、及び図4で見られるように、近位端延長部19Aがハブ12の遠位端14の内側に近位方向に位置する中空管である。ハブは、本明細書のこれより後の部分でより詳細に説明するように、シース18の近位端延長部19Aの上に成形される。
【0032】
図4及び図6で見られるように、シース18は、ほぼ均一な厚さの円筒壁から形成された管である。ハブ内腔23の上壁26及び下壁27と、ハブ内腔23の側壁24,25とは、基本的に、シースの近位端延長部19Aからハブの近位端13まで延びるシースの延長部である管を形成する。上壁26及び下壁27は、シース18の壁厚と基本的に同じ厚さを有し、これは従来では約0.15mm(0.006インチ)である。
【0033】
シースは、適当な高分子材料、例えば高密度ポリエチレンプラスチックから形成され、前記ハブの成形前にこれとは独立して押し出し又は他の手段によって作製される。左半体21及び右半体22と、翼部30,31と、上壁26及び下壁27と、ファンネル15とは、同じく適当な高分子材料、例えば高密度ポリエチレンから一段階で成形され、左半体21及び右半体22はシース18の近位端19の上に成形されてこれと結合される。通常、X線不透過性ストライプがシースの長さに沿って共押し出しされる。
【0034】
要約すると、新たなカテーテルイントロデューサは、図14及び図15に概略的に示されるように射出成形され、これらの図は、ハブ12がシースの近位端延長部19Aの上に成形されている(overmolded)様子を示している。従来の射出成形装置を用いて、金型の下型半体46A及び上型半体46によって概略的に示される金型は、符号12、30、31、及び15それぞれを参照する参照破線で示すハブ、翼部、及びファンネルを形成するキャビティ47を画定している。代替的な並列金型半体を用いることもできる。実際の成形プロセスでは、コアピン48の遠位部が、開通性を維持するために予め形成されたシース18の内腔内に位置決めされる。このとき、シースは、ハブの遠位端を形成する金型の部分に位置決めされた近位端延長部19Aを有し、一方、コアピンの近位部は、シースから出てハブ12を通って延びる。その結果、ハブをコアピン48の周りに円周方向に成形することで、ピンを取り出すと、ハブ内腔が画定される。
【0035】
コアピン48は、ファンネル15の末広がりの内腔を画定するために、近位端が拡大されている。このように、ハブの内腔23は、シース18の内径及びファンネル15の遠位端の内径と同じ内径を有する。
【0036】
図6で見られるように、より詳細には、左半体21及び右半体22の対向する側壁24,25によって、及び、コアピン48及びシース18の近位端延長部19Aの上に成形されているこれらの壁の左半体21及び右半体22間に伸びてこれらを接続する上壁26及び下壁27によって、ハブの内腔23が画定されている。
【0037】
このピールアウェイカテーテルイントロデューサの製造の最終段階は、図2及び図5〜図9で見られるように、シースとハブとファンネルとの全長に沿って、上面及び底面の中央に引き裂き線43,44を形成することである。引き裂き線は、限定はしないが、レザー切断及びレーザ切断を含むいくつかの方法で作ることができる。切断の深さは、特定の新生児用のカテーテルイントロデューサでは約0.076mm(0.003インチ)、又は一般的に壁厚の約50%としてもよく、ガイドラインによると、切断後に残る材料が製品の構造及び機能を維持するのに十分なほど強く、これらの製品を用いる臨床医によって容易に開裂可能であるのに十分なほど弱くなっているべきである。シースの壁厚と、ハブの壁厚と、ファンネルの壁厚とは、引き裂き線のレーザ切断を均一且つ迅速に行うことができるように、ほぼ同じであるため、その結果得られる削られた壁又は刻み目を入れられた壁が、その長さに沿って容易且つ均一に引き裂かれるようになる。
【0038】
図10及び図11で見られるように、針50を有するシース18が切開部位に向くように静脈穿刺を開始すると、皮膚が穿刺されて静脈54への進入が始まる。本発明によれば、図10及び図11で見られるように、針50の遠位端及びイントロデューサシース18の遠位端の進入直後に、カテーテルイントロデューサ及び針の組み合わせは、図12で見られるように、最初の挿入角から非常に低い角度すなわち皮膚に対してほぼ平行若しくは平坦な角度に下げられて、静脈54内への針50及びシース18の前進と、その後の針の引き抜きとを可能にする。この方法及びこの器具によって、静脈の遠壁が穿刺される危険性が大幅に減る。この新たな構造は、シースより下方の材料を全て無くしてあるため、低角度が可能であるが、丈夫で安定性があり適当な時に容易に剥離可能であるハブ及び翼部を依然として提供する。より具体的には、成形された(overmolded)ハブは、シースの下壁よりも低くないと共にシースの下壁とほぼ同じ厚さを有する内腔の下壁を画定する。ハブ及びシースの内腔の壁は、同様に削られたり又は刻み目を入れられたときに、同じ引き裂き強度の特性を示す。針すなわちスタイレット(stylet)50は、従来技術で既知であり、通常はステンレス鋼でできており、針のハブ部分52が任意の適当な高分子材料、例えばアクリル又はKレジンでできている。
【0039】
カテーテルイントロデューサを通った静脈へのカテーテル61の挿入に続いて、図13は、カテーテル61を残したまま、破線で示されるシース18を切開部位60から引き抜きくところを示している。従来は、シース18とハブ12とファンネル15とが上部引き裂き線及び下部引き裂き線に沿って分断するまで、翼部30,31を矢印62,63によってそれぞれ示されるように上下に捻る。カテーテルイントロデューサの2つの半体64,65は、矢印66及び67の方向に引っ張ると、分離されて引き剥がされるように示されている。
【0040】
本発明の種々の実施形態を上述したが、これらは限定ではなく例として示されていることを理解すべきである。本発明の精神及び範囲から逸脱せずに、これらの実施形態に形態及び詳細な種々の変更を行うことができることは、当業者には明らかであろう。したがって、本発明は、上述の例示的な実施形態のいずれにも限定するべきではなく、添付の特許請求の範囲及びその均等物によってのみ規定されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】新たなカテーテルイントロデューサの上面斜視図である。
【図2】新たなカテーテルイントロデューサの上面図である。
【図3】新たなカテーテルイントロデューサの左側面図である。
【図4】図3の線4−4に沿った上断面図である。
【図5】図2の線5−5に沿った断面図である。
【図6】図2の線6−6に沿った断面図である。
【図7】図2の線7−7に沿った断面図である。
【図8】図2の線8−8に沿った断面図である。
【図9】図1のカテーテルイントロデューサの前端面図である。
【図10】最初の静脈穿刺時のイントロデューサ針を有する新たなカテーテルイントロデューサの上面斜視図である。
【図11】図10と同様であるが、静脈穿刺の後続段階の図である。
【図12】静脈穿刺時の新たなカテーテルイントロデューサの立面図である。
【図13】カテーテルイントロデューサの引き抜き及び開裂後の挿入済みカテーテルの上面斜視図である。
【図14】新たなカテーテルイントロデューサの射出成形を示す概略上面図である。
【図15】図14の線15−15に沿った断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ピールアウェイカテーテルイントロデューサであって、
a.対向する近位端及び遠位端を有するハブであって、前記近位端と前記遠位端との間に軸方向に延びる右半体及び左半体を備え、ハブ内腔が前記右半体及び前記左半体間に軸方向に延びるハブと、
b.前記右半体及び前記左半体のそれぞれから前記ハブ内腔の横方向に延びる翼部と、
c.第1の直径の近位端開口及び前記第1の直径よりも小さな直径の遠位端開口を有する収束円筒壁から形成されたファンネルであって、該ファンネルの前記遠位端が前記ハブの前記近位端に接続され、前記ハブ内腔と連通する内腔を有するファンネルと、
d.前記ハブの前記遠位端に接続された近位端、遠位端、及び前記ハブ内腔と連通するシース内腔を有する管として形成された円筒壁を備えるシースと
を備え、
前記ハブの前記右半体及び前記左半体は、隣接して離間した内壁面を有し、前記ハブはさらに、前記離間した内壁面間に延びてこれらを接続する上壁及び下壁を備え、前記ハブ内腔は、前記離間した内壁面と前記上壁及び前記下壁とによって画定され、前記ピールアウェイカテーテルイントロデューサは、前記翼部を互いに引き離したときに、前記ピールアウェイカテーテルイントロデューサを2つの部分に開裂させるように、前記ファンネルと、前記ハブと、前記シースとの長さに沿って形成された引き裂き線を含むピールアウェイカテーテルイントロデューサ。
【請求項2】
前記ハブと、前記翼部と、前記ファンネルとは、連続した成形プラスチックから成り、
前記ハブ内腔は、前記シース内腔とほぼ同軸上にあると共に該シース内腔とほぼ同じ内径を有する、請求項1に記載のピールアウェイカテーテルイントロデューサ。
【請求項3】
前記ファンネルと、前記ハブと、前記シース内腔とは、ほぼ同軸上にあり、
前記ファンネルと、前記ハブと、前記シースとは、前記ファンネルの前記内腔と、前記ハブ内腔と、前記シース内腔との上下にそれぞれ、連続した中央上壁部分及び連続した下壁部分を備える、請求項1に記載のピールアウェイカテーテルイントロデューサ。
【請求項4】
前記連続した中央上壁部分及び前記連続した下壁部分のそれぞれは外面を有し、
該外面は、該外面に切り込まれると共に前記外面の全長に沿って延びる前記引き裂き線を内部に含む、請求項3に記載のピールアウェイカテーテルイントロデューサ。
【請求項5】
前記ハブの前記上壁及び前記下壁はそれぞれ、ほぼ均一な厚さを有する、請求項1に記載のピールアウェイカテーテルイントロデューサ。
【請求項6】
前記ハブは、前記近位端と前記遠位端との間の軸方向長さを有し、
前記右半体及び前記左半体を接続する前記ハブの前記上壁及び前記下壁は、前記ハブの前記軸方向長さの50%を超える軸方向長さを有する、請求項3に記載のピールアウェイカテーテルイントロデューサ。
【請求項7】
前記右半体及び前記左半体を接続する前記ハブの前記上壁及び前記下壁は、前記ハブの前記軸方向長さの70%を超える軸方向長さを有する、請求項6に記載のピールアウェイカテーテルイントロデューサ。
【請求項8】
前記シースの近位端は、前記ハブの遠位端内に軸方向に部分的に位置する延長部を有する、請求項1に記載のピールアウェイカテーテルイントロデューサ。
【請求項9】
前記ハブは、前記シースの近位端の延長部の上に成形されて結合される、請求項8に記載のピールアウェイカテーテルイントロデューサ。
【請求項10】
前記ファンネルの近位端開口の断面は、
ほぼ平坦な下壁と、
該下壁から上方に延びるほぼ平行な側壁と、
ほぼ丸形の上壁と
を画定する、請求項1に記載のピールアウェイカテーテルイントロデューサ。
【請求項11】
前記ファンネルは円錐台形状を有する、請求項1に記載のピールアウェイカテーテルイントロデューサ。
【請求項12】
前記シースの円筒壁は、所定のほぼ均一な厚さを有し、
前記ハブの前記上壁及び前記下壁は、前記シース壁とほぼ同じ厚さを有する、請求項1に記載のピールアウェイカテーテルイントロデューサ。
【請求項13】
前記翼部のそれぞれは、前記ハブの前記下壁よりも低くない底面を有する直立壁を備える、請求項1に記載のピールアウェイカテーテルイントロデューサ。
【請求項14】
前記翼部の前記底面と、前記ハブの前記下壁と、前記ファンネルの前記下壁と、前記シースの前記下壁とはそれぞれ、ほぼ同一平面上にある、請求項13に記載のピールアウェイカテーテルイントロデューサ。
【請求項15】
前記翼部のそれぞれは、前記ハブの前記近位端に位置する、請求項1に記載のピールアウェイカテーテルイントロデューサ。
【請求項16】
前記引き裂き線は、前記上壁部分及び前記下壁部分それぞれの前記外面に作られた切断部を備える、請求項4に記載のピールアウェイカテーテルイントロデューサ。
【請求項17】
前記ファンネルの前記連続した中央下壁部分と、前記ハブの前記連続した中央下壁部分と、前記シースの前記連続した中央下壁部分とは、ほぼ同一平面上にあると共に前記ピールアウェイカテーテルイントロデューサの最低の高さに位置する、請求項4に記載のピールアウェイカテーテルイントロデューサ。
【請求項18】
前記連続した下壁部分は、ほぼ均一な厚さを有する、請求項17に記載のピールアウェイカテーテルイントロデューサ。
【請求項19】
前記シースと、前記ハブと、前記翼部と、前記ファンネルとは、高分子材料から成る、請求項1に記載のピールアウェイカテーテルイントロデューサ。
【請求項20】
ピールアウェイカテーテルイントロデューサであって、
a.対向する近位端及び遠位端を有するハブであって、前記近位端と前記遠位端との間に軸方向に延びる右半体及び左半体を備え、ハブ内腔が前記右半体及び前記左半体間に軸方向に延びるハブと、
b.前記右半体及び前記左半体のそれぞれから前記ハブ内腔の横方向に延びる翼部と、
c.前記ハブの前記遠位端に接続された近位端、遠位端、及び前記ハブ内腔と連通するシース内腔を有する管として形成された円筒壁を備えるシースと
を備え、
前記ハブの前記右半体及び前記左半体は、隣接して離間した内壁面を有し、前記ハブはさらに、前記離間した内壁面間に延びてこれらを接続する上壁及び下壁を備え、前記ハブ内腔は、前記離間した内壁面と前記上壁及び前記下壁とによって画定され、前記ピールアウェイカテーテルイントロデューサは、前記翼部を互いに引き離したときに、前記ピールアウェイカテーテルイントロデューサを2つの部分に開裂させるように、前記ファンネルと、前記ハブと、前記シースとの長さに沿った引き裂き線を含むピールアウェイカテーテルイントロデューサ。
【請求項21】
請求項1に記載のピールアウェイカテーテルイントロデューサと、
先の尖った遠位端及び対向する近位端を有するイントロデューサ針と
を備えるキットであって、
前記イントロデューサ針は、前記ピールアウェイカテーテルイントロデューサの導入用に人の組織及び静脈を穿刺するために、前記ファンネルと、前記ハブと、前記シースとに挿入されて前記ファンネルと、前記ハブと、前記シースとを通り、前記シースの遠位端から遠位方向に延びるようになっているキット。
【請求項22】
ピールアウェイカテーテルイントロデューサであって、
a.対向する近位端及び遠位端を有するハブであって、前記近位端と前記遠位端との間に軸方向に延びる右半体及び左半体を備え、ハブ内腔が前記右半体及び前記左半体間に軸方向に延びるハブと、
b.前記右半体及び前記左半体のそれぞれから前記ハブ内腔の横方向に延びる翼部と、
c.第1の直径の近位端開口及び前記第1の直径よりも小さな直径の遠位端開口を有する収束円筒壁から形成されたファンネルであって、該ファンネルの前記遠位端が前記ハブの前記近位端に接続され、前記ハブ内腔と連通する内腔を有するファンネルと、
d.前記ハブの前記遠位端に接続された近位端、遠位端、及び前記ハブ内腔と連通するシース内腔を有する管として形成された円筒壁を備えるシースと
を備え、
前記ファンネルと、前記ハブと、前記シースとは、ほぼ均一な厚さの連続した上壁及びほぼ均一な厚さの連続した下壁を有し、該下壁の外面は、前記ピールアウェイカテーテルイントロデューサの最低部分を画定し、
前記上壁及び前記下壁は、それらの間に、前記ファンネルと、前記ハブと、前記シースとを通って延びる連続した内腔を画定し、
該連続した内腔は、前記下壁の前記厚さを超えない距離だけ前記底面から離間しており、
前記上壁及び前記下壁はさらに、前記翼部を互いに引き離したときに、前記ピールアウェイカテーテルイントロデューサを2つの部分に開裂させるように、それらの長さに沿った引き裂き線を含むピールアウェイカテーテルイントロデューサ。
【請求項23】
ピールアウェイカテーテルイントロデューサであって、
a.対向する近位端及び遠位端を有するハブであって、前記近位端と前記遠位端との間に軸方向に延びる右半体及び左半体を備え、ハブ内腔が前記右半体及び前記左半体間に軸方向に延びるハブと、
b.前記右半体及び前記左半体のそれぞれから前記ハブ内腔の横方向に延びる翼部と、
c.第1の直径の近位端開口及び前記第1の直径よりも小さな直径の遠位端開口を有する収束円筒壁から形成されたファンネルであって、該ファンネルの前記遠位端が前記ハブの前記近位端に位置し、前記ハブ内腔と連通する内腔を有するファンネルと、
d.前記ハブの前記遠位端に接続された近位端、遠位端、及び前記ハブ内腔と連通するシース内腔を有する管として形成された円筒壁を備えるシースと
を備え、
前記ファンネルと、前記ハブと、前記シースとは、ほぼ均一な厚さの連続した上壁及びほぼ均一な厚さの連続した下壁を有し、該下壁の外面は、前記ピールアウェイカテーテルイントロデューサの最低部分を画定し、
前記上壁及び前記下壁は、それらの間に、前記ファンネルと、前記ハブと、前記シースとを通って延びる連続した内腔を画定し、
該連続した内腔は、前記下壁の前記厚さを超えない距離だけ前記底面から離間しており、
前記上壁及び前記下壁はさらに、前記翼部を互いに引き離したときに、前記ピールアウェイカテーテルイントロデューサを2つの部分に開裂させるように、それらの長さに沿った引き裂き線を含むピールアウェイカテーテルイントロデューサ。
【請求項24】
カテーテル又はガイドワイヤを患者の静脈に導入する方法であって、
a.ファンネル入口部分とイントロデューサハブ部分と遠位シース部分とを備え、連続した内腔が、前記ファンネル入口部分と前記イントロデューサハブ部分と前記遠位シース部分とを通って延びるピールアウェイカテーテルイントロデューサを準備するステップであって、前記ピールアウェイカテーテルイントロデューサの最低部分である底面を有すると共に前記連続した内腔が該連続した内腔の壁の厚さを超えない距離だけ前記底面から離間しているピールアウェイカテーテルイントロデューサを準備するステップと、
b.イントロデューサ針の遠位端が前記遠位シース部分の遠位端から遠位方向に延出するまで、前記イントロデューサ針を前記連続した内腔に挿入するステップと、
c.前記ピールアウェイカテーテルイントロデューサを前記患者の皮膚表面に挿入するように位置決めするステップと、
d.前記イントロデューサ針の前記遠位端及び前記遠位シース部分の前記遠位端で、前記患者の皮膚及び前記静脈の近壁を穿刺して拡張させるステップと、
e.前記皮膚及び前記静脈の前記近壁が最初に穿刺されてフラッシュバックが確認された後、前記ピールアウェイカテーテルイントロデューサの前記底面が前記患者の皮膚とほぼ平行になるまで前記ピールアウェイカテーテルイントロデューサの近位端を下げることによって前記挿入の角度を減らし、前記ピールアウェイカテーテルイントロデューサの前記遠位シース部分及び前記イントロデューサ針を前記静脈内に所定の距離だけ前進させて、前記イントロデューサ針及び前記ピールアウェイカテーテルイントロデューサの前記遠位シース部分の両方が前記患者の静脈内にあることを確実にするステップと、
f.前記ピールアウェイカテーテルイントロデューサの前記遠位シース部分を前記静脈内のさらに遠位方向に前進させて、前記ピールアウェイカテーテルイントロデューサから前記イントロデューサ針を引き抜くステップと、
g.カテーテル又はガイドワイヤを前記ピールアウェイカテーテルイントロデューサの前記連続した内腔を介して導入するステップと、
h.前記ピールアウェイカテーテルイントロデューサを前記患者の前記静脈から近位方向に引き抜くステップと、
i.前記イントロデューサハブ部分と前記ファンネル入口部分と前記遠位シース部分とを2つの部分に開裂及び剥離して、前記カテーテルから取り外すステップと
を含む方法。
【請求項25】
カテーテル又はガイドワイヤを患者の静脈に導入する方法であって、
a.イントロデューサハブ部分と遠位シース部分とを備え、連続した内腔が、前記イントロデューサハブ部分と前記遠位シース部分とを通って延びるピールアウェイカテーテルイントロデューサを準備するステップであって、前記ピールアウェイカテーテルイントロデューサの最低部分である底面を有すると共に前記連続した内腔が該連続した内腔の壁の厚さを超えない距離だけ前記底面から離間しているピールアウェイカテーテルイントロデューサを準備するステップと、
b.イントロデューサ針の遠位端が前記遠位シース部分の遠位端から遠位方向に延出するまで、前記イントロデューサ針を前記連続した内腔に挿入するステップと、
c.前記ピールアウェイカテーテルイントロデューサを前記患者の皮膚表面に挿入するように位置決めするステップと、
d.前記イントロデューサ針の前記遠位端及び前記遠位シース部分の前記遠位端で、前記患者の皮膚及び前記静脈の近壁を穿刺して拡張させるステップと、
e.前記皮膚及び前記静脈の前記近壁が最初に穿刺されてフラッシュバックが確認された後、前記ピールアウェイカテーテルイントロデューサの前記底面が前記患者の皮膚とほぼ平行になるまで前記ピールアウェイカテーテルイントロデューサの近位端を下げることによって前記挿入の角度を減らし、前記ピールアウェイカテーテルイントロデューサの前記遠位シース部分及び前記イントロデューサ針を前記静脈内に所定の距離だけ前進させて、前記イントロデューサ針及び前記ピールアウェイカテーテルイントロデューサの前記遠位シース部分の両方が前記患者の静脈内にあることを確実にするステップと、
f.前記ピールアウェイカテーテルイントロデューサの前記遠位シース部分を前記静脈内のさらに遠位方向に前進させて、前記ピールアウェイカテーテルイントロデューサから前記イントロデューサ針を引き抜くステップと、
g.カテーテル又はガイドワイヤを前記ピールアウェイカテーテルイントロデューサの前記連続した内腔を介して導入するステップと、
h.前記ピールアウェイカテーテルイントロデューサを前記患者の前記静脈から近位方向に引き抜くステップと、
i.前記イントロデューサハブ部分と前記遠位シース部分とを2つの部分に開裂及び剥離して、前記カテーテルから取り外すステップと
を含む方法。
【請求項26】
ファンネル入口部分と、ハブ及びシースと、前記ハブ及び前記シースを貫通する連続した内腔とを有するピールアウェイカテーテルイントロデューサを射出成形する方法であって、
前記ハブ内の前記内腔は、左ハブ半体及び右ハブ半体と、該左ハブ半体及び該右ハブ半体間に延びてこれらを接続する上壁及び下壁とによって画定され、前記シースの近位端の軸方向延長部は、前記ハブの遠位部分内に位置し、前記ハブ内の前記内腔と同軸上にあると共に同一の広がりをもち、
前記方法は、
a.前記ファンネル入口部分及び前記ハブを画定するキャビティを設けた射出成形用金型を準備するステップと、
b.コアピンの近位部を露出させたまま、該コアピンの遠位部を前記シースの前記内腔内に位置決めするステップと、
c.前記シースの前記近位端及びそれに含まれる前記コアピンを、前記ハブの前記遠位端が形成されたキャビティ内に位置決めするステップであって、前記コアピンの前記近位部を、前記ハブ内腔が形成された前記キャビティ内に位置決めするステップと、
d.プラスチックが前記コアピンの前記近位部を囲むことにより、前記ハブの前記右半体及び前記左半体と、前記左半体及び前記右半体を接続する上壁及び下壁と、前記右半体及び前記左半体間並びに前記上壁及び前記下壁間で前記コアピンの前記近位端が占める空間内の内腔とを形成し、該内腔は、前記キャビティ内に位置する前記シースの前記近位端の前記内腔と同軸上であると共に同一の広がりをもち、前記上壁及び前記下壁のプラスチック並びに前記右半体及び前記左半体のプラスチックは、前記シースの前記近位端の管状端壁と結合する、プラスチックを前記射出成形用金型内に射出するステップと、
e.前記射出成形用金型を開いて前記コアピンを取り外すステップと
を含む方法。
【請求項27】
ピールアウェイカテーテルイントロデューサであって、
a.対向する近位端及び遠位端を有するハブであって、前記近位端と前記遠位端との間に軸方向に延びる右半体及び左半体を備え、ハブ内腔が前記右半体及び前記左半体間に軸方向に延びるハブと、
b.前記右半体及び前記左半体のそれぞれから前記ハブ内腔の横方向に延びる翼部と、
c.第1の直径の近位端開口及び前記第1の直径よりも小さな直径の遠位端開口を有する収束円筒壁から形成されたファンネルであって、前記ハブの前記近位端に位置し、前記ハブ内腔と連通する内腔を有するファンネルと、
d.前記ハブの前記遠位端に接続された近位端と、遠位端と、前記ハブ内腔と連通するシース内腔とを有する管として形成された円筒壁を備えるシースと
を備え、
前記ハブの前記右半体及び前記左半体は、隣接して離間した内壁面を有し、前記ハブはさらに、前記離間した内壁面間に延びてこれらを接続する上壁及び下壁を備え、前記ハブ内腔は、前記離間した内壁面と前記上壁及び前記下壁とによって画定され、前記ピールアウェイカテーテルイントロデューサは、前記翼部を互いに引き離したときに、前記ピールアウェイカテーテルイントロデューサを2つの部分に開裂させるように、前記ファンネルと、前記ハブと、前記シースとの長さに沿って形成された引き裂き線を含むピールアウェイカテーテルイントロデューサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公表番号】特表2008−509782(P2008−509782A)
【公表日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−527851(P2007−527851)
【出願日】平成17年8月4日(2005.8.4)
【国際出願番号】PCT/US2005/027670
【国際公開番号】WO2006/023280
【国際公開日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【出願人】(502047224)アロウ・インターナショナル・インコーポレイテッド (14)
【氏名又は名称原語表記】ARROW INTERNATIONAL, INC.
【住所又は居所原語表記】2400 Bernville Road, Reading, PA 19605, U.S.A.
【Fターム(参考)】