説明

オーバーリーチ干渉回避可能な無線チャネル配置方法、装置及びプログラム

【課題】1つまたは複数の既設基地局が無線チャネルを全て使用している環境での既設基地局との干渉を回避可能な同一無線チャネルを新設基地局に配置する無線チャネル配置方法、装置及びプログラムを提供する。
【解決手段】既設基地局と新設基地局設置場所間の基地局間距離を求め、基地局間距離から電波の伝搬損失の値を求め、該伝搬損失から所要伝搬損失を満足するために必要な所望伝搬損失を求め、所望伝搬損失から、干渉回避を行うために電波吸収体の装着領域および該電波吸収体によって電波が抑圧される領域(抑圧領域)を求め、既設基地局方向(干渉方向)に前記抑圧領域の中央がくるように無線チャネルを配置し、前記抑圧領域内に存在する世帯数を求め、更に該無線チャネルが需要ユーザエリアをカバーしているかどうか判断し、前記ステップを、既設基地局が使用している無線チャネル全てについて行い、抑圧領域内世帯数が最も少なく、かつ前記需要ユーザエリアをカバーしている無線チャネルを新設基地局に配置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1つまたは複数の既設基地局が無線チャネルを全て使用している環境において基地局を新設する場合に、既設基地局との干渉を回避可能な同一無線チャネルを新設基地局に配置する無線チャネル配置方法、装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
非特許文献1には、固定的に設置された基地局と加入者局間で無線通信を行う場合における、基地局への無線チャネル配置方法が記載されている。非特許文献1によると、無線チャネルの配置、即ち無線チャネルの基地局への割当ては、任意の2つの基地局間での干渉量の総和が最小となること、及び、任意の2つの基地局間での干渉量がある閾値を超えないことを条件として行うこととしている。
【0003】
また、より狭いエリアで同一無線チャネルを再利用可能な、周波数利用効率の高い無線チャネル配置として、任意の2つの基地局間での伝搬損失を計算し、所要伝搬損失を満足した同一の無線チャネルをできるだけ多くの基地局に配置する方法もある。
【0004】
【非特許文献1】田中逸清、丸山秀幸、“ワイヤレスIPアクセスシステムにおける最適無線チャネル配置法について”、電子情報通信学会総合大会 2005年通信ソサイエティ大会 講演論文集1、B−5−199、pp.599、2005年9月
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来技術では、所要伝搬損失を満足する(干渉による影響がない)という前提で、周波数利用効率の高い基地局配置を可能としている。しかし、既設基地局によって全ての無線チャネルが使用されており、空きチャネルのない状況において、需要増等により基地局を新設する場合に、既設基地局との干渉を回避可能な同一無線チャネルを新設基地局に配置する方法について考えられていない。上記のような状況において、所要伝搬損失を満足するような無線チャネルがあれば、その無線チャネルを新設基地局に配置することでサービス可能となるが、全ての無線チャネルが所要伝搬損失を満足しない場合は、新たに無線チャネルの申請をし、使用可能な無線チャネル数を増やすか、もしくは新設基地局の設置場所を変更する、といった対処しかできなかった。前者では、新たな無線チャネル申請に要する稼働、時間が大きく、サービス開始が遅れてしまう、という問題点があり、後者でも、基地局設置場所変更に伴う新規設置場所の選定と用地折衝、という作業が発生し、これも稼働と時間を有してしまうため、サービス開始が遅れてしまう、という問題点がある。
【0006】
したがって、本発明では、上記問題点を解決するため、1つまたは複数の既設基地局が無線チャネルを全て使用している環境での既設基地局との干渉を回避可能な同一無線チャネルを新設基地局に配置する無線チャネル配置方法、装置及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明における方法によれば、
加入者局との間で無線通信を行うための固定された基地局が1つまたは複数存在し、該基地局が無線チャネルを全て使用している環境で更に基地局を新設する場合に、既設基地局との干渉を回避可能な同一無線チャネルを新設基地局に配置する無線チャネル配置方法において、既設基地局と新設基地局設置場所間の基地局間距離を求め、該基地局間距離から電波の伝搬損失を求め、該伝搬損失から所要伝搬損失を満足するために必要な所望伝搬損失を求める第1のステップと、前記所望伝搬損失から、干渉回避を行うために電波吸収体の装着領域および該電波吸収体によって電波が抑圧される領域(抑圧領域)を求める第2のステップと、前記既設基地局方向(干渉方向)に前記抑圧領域の中央がくるように無線チャネルを配置し、前記抑圧領域内に存在する世帯数を求め、更に該無線チャネルが需要ユーザエリアをカバーしているか否かを判断する第3のステップと、前記第1のステップから前記第3のステップまでを、既設基地局が使用している無線チャネル全てについて行い、前記抑圧領域内世帯数が最も少なく、かつ前記需要ユーザエリアをカバーしている無線チャネルを前記新設基地局に配置する第4のステップと、を有することを特徴とする。
【0008】
また、前記第1のステップにおいて、前記既設基地局と前記新設基地局設置場所間の基地局間距離は、前記既設基地局の経緯度と前記新設基地局設置場所の経緯度とから求められることも好ましい。
【0009】
また、前記第1のステップで求めた伝搬損失が前記所要伝搬損失を満足した場合において、前記所要伝搬損失を満足する既設基地局に収容されているユーザ数と、該既設基地局のサービスエリア内に存在する世帯数を求める第5のステップと、前記収容ユーザ数、前記サービスエリア内の世帯数と、該既設基地局の収容限界ユーザ数から、収容可能倍率を、
収容可能倍率=(サービスエリア内の世帯数−収容ユーザ数)/
(既設基地局の収容限界ユーザ数−収容ユーザ数)
で求める第6のステップと、前記第5のステップと前記第6のステップを、前記所要伝搬損失を満足する無線チャネル全てについて行い、前記収容可能倍率が最も大きい既設基地局の無線チャネルを前記新設基地局に配置する第7のステップと、をさらに有することも好ましい。
【0010】
また、前記第4のステップで前記需要ユーザエリアをカバーしている無線チャネルが無い場合において、複数の無線チャネルを組み合わせ、該組み合わせた複数の無線チャネルを前記新設基地局に重ね合わせて配置し、前記需要ユーザエリアをカバーしているか否かを判断する第8のステップと、前記第8のステップを、前記需要ユーザエリアをカバー可能になるまで、前記抑圧領域内の世帯数が少ない順に、複数の無線チャネルを組み合わせて行い、カバー可能であると判断された複数の無線チャネルを前記新設基地局に配置する第9のステップと、をさらに有することも好ましい。
【0011】
また、前記第8のステップは、最初2つの無線チャネルを重ね合わせて配置することで、前記需要ユーザエリアをカバー可能かどうか判断し、次に3つの無線チャネルを重ね合わせて配置することで、前記需要ユーザエリアをカバー可能かどうか判断し、順次重ね合わせる無線チャネルを1つずつ増やしていき、最終的に全ての無線チャネルを重ね合わせて配置することで、前記需要ユーザエリアをカバー可能かどうか判断することも好ましい。
【0012】
本発明における装置によれば、
加入者局との間で無線通信を行うための固定された基地局が1つまたは複数存在し、該基地局が無線チャネルを全て使用している環境で更に基地局を新設する場合に、既設基地局との干渉を回避可能な同一無線チャネルを新設基地局に配置する無線チャネル配置装置において、既設基地局と新設基地局設置場所間の基地局間距離を求め、該基地局間距離から電波の伝搬損失を求め、該伝搬損失から所要伝搬損失を満足するために必要な所望伝搬損失を求める所望伝搬損失算出手段と、前記所望伝搬損失から、干渉回避を行うために電波吸収体の装着領域および該電波吸収体によって電波が抑圧される領域(抑圧領域)を求める抑圧領域算出手段と、前記既設基地局方向(干渉方向)に前記抑圧領域の中央がくるように無線チャネルを配置し、前記抑圧領域内に存在する世帯数を求め、更に該無線チャネルが需要ユーザエリアをカバーしているか否かを判断する世帯数算出需要ユーザエリア判断手段と、前記所望伝搬損失算出手段、前記抑圧領域算出手段および前記世帯数算出需要ユーザエリア判断手段を、既設基地局が使用している無線チャネル全てについて行い、前記抑圧領域内世帯数が最も少なく、かつ前記需要ユーザエリアをカバーしている無線チャネルを前記新設基地局に配置する無線チャネル配置手段と、
を有することを特徴とする。
【0013】
本発明におけるプログラムによれば、
加入者局との間で無線通信を行うための固定された基地局が1つまたは複数存在し、該基地局が無線チャネルを全て使用している環境で更に基地局を新設する場合に、既設基地局との干渉を回避可能な同一無線チャネルを新設基地局に配置するコンピュータにおけるプログラムとして、既設基地局と新設基地局設置場所間の基地局間距離を求め、該基地局間距離から電波の伝搬損失を求め、該伝搬損失から所要伝搬損失を満足するために必要な所望伝搬損失を求める第1のステップと、前記所望伝搬損失から、干渉回避を行うために電波吸収体の装着領域および該電波吸収体によって電波が抑圧される領域(抑圧領域)を求める第2のステップと、前記既設基地局方向(干渉方向)に前記抑圧領域の中央がくるように無線チャネルを配置し、前記抑圧領域内に存在する世帯数を求め、更に該無線チャネルが需要ユーザエリアをカバーしているかどうか判断する第3のステップと、前記第1のステップから前記第3のステップまでを、既設基地局が使用している無線チャネル全てについて行い、前記抑圧領域内世帯数が最も少なく、かつ前記需要ユーザエリアをカバーしている無線チャネルを前記新設基地局に配置する第4のステップと、によりコンピュータを機能させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
干渉回避に必要な損失を、新設基地局と既設基地局間の伝搬損失と所要伝搬損失から求め、電波吸収体を新設基地局に装着し、干渉回避に必要な損失と同等以上に電波強度を抑圧することで同一無線チャネルでの配置が可能となる。更に、電波吸収体装着により発生する抑圧領域に存在する世帯数が最も少なく、かつ需要ユーザエリアをカバー可能な無線チャネルを配置し、効率的な無線チャネル選定が可能となる。
【0015】
また、所要伝搬損失を満足する無線チャネルが複数の場合、当該無線チャネルを使用した既設基地局の収容可能倍率から収容ユーザ数が逼迫する可能性の高さを判断し、逼迫しやすい既設基地局と同一の無線チャネルを新設基地局に配置することにより、既設基地局が逼迫した場合、更なる新設基地局に配置する無線チャネルを選定しやすい状況を作ることが可能になる。
【0016】
また、抑圧領域内の世帯数が少ない順に複数の無線チャネルを重ね合わせることで、1つの無線チャネルで需要ユーザエリアをカバーできない場合でも、複数の無線チャネルを新設基地局に配置することにより、需要ユーザエリアをカバー可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明の実施形態について、以下では図面を用いて詳細に説明する。
【0018】
まず、実施形態の前提条件として、すでに基地局と加入者局間で固定無線通信のサービスが行われている地域において、既設基地局(基地局数は1つまたは複数であり、1、2、・・・、n)は、その地域で使用可能な無線チャネル(以下、fnとする、f1は既設基地局1の無線チャネルであり、fnは既設基地局nの無線チャネルを表す)を全て使用し、空き無線チャネルが無い状況において、更なる需要ユーザの増加により基地局を新設する場合とする。新設基地局は、需要ユーザエリアをカバーするように配置される。また、事前に既設及び新設基地局の経緯度、および全ての基地局間の伝搬損失の情報が得られていることとする。さらに、あらかじめ全ての無線チャネル間で必要な所定の伝搬損失(所要伝搬損失)がわかっているものとする。所要伝搬損失とは、同一無線チャネルを用いた基地局間において、干渉が発生しないために必要な伝搬損失のことを言い、任意の基地局間が所要伝搬損失を上回る伝搬損失であれば、基地局間での干渉による通信品質への影響は無い、ということになり、同一無線チャネルをそれぞれの基地局間に配置可能となる。
【0019】
以下に、本発明の第1の実施形態を、図1のフローチャート(S1からS9)を基に説明を行う。
【0020】
S1は、新設する基地局と、既設基地局(基地局数は1、2、・・・、n)の経緯度から距離をそれぞれ求め、その距離における伝搬損失を計算するステップである。
【0021】
S2は、あらかじめ保持している所要伝搬損失(以下、Lnとする。L1は新設基地局と既設基地局1との所要伝搬損失を表し、Lnは新設基地局と既設基地局nとの所要伝搬損失を表す。以下、Xnという表記は、既設基地局nのことを指す)と、S1で計算した伝搬損失(以下、Rnとする)を比較し、Lnより大きいRnが無い場合は、所要伝搬損失を満足する無線チャネルがない、ということになる(図4参照)。Lnより大きいRnがある場合は、本発明の第2の実施形態での対応となる。別途、図2のフローチャートで説明する。所要伝搬損失を満足する無線チャネルが無い場合は、既設基地局との干渉が発生し通信品質が低下するため、前述にあるように、新規に無線チャネルを申請するか、新設基地局の設置場所を変更することで対処してきた。本発明の実施形態では、「高橋直人、大本隆太郎、“準ミリ波帯無線アクセスシステムにおける電波吸収体シートを適用したビームフォーミング技術に関する検討”、電子情報通信学会 2006総合大会」に記載されている“アンテナパターン制御方法”を利用している。S3以下では、その手法について説明している。
【0022】
S3では、LnとRnの差を計算し、Lnを満足するための所望伝搬損失(以下、Dnとする)を、それぞれ計算する。
【0023】
S4では、“アンテナパターン制御方法”の考え方に基づき、Dnを得られるだけの電波吸収体装着領域を判定し、そこから抑圧領域(電波吸収体によるアンテナパターンの落ち込みから本来のアンテナパターンに戻るまでの領域、以下、Ynとする)を判定する。図5に、図4をモデルとしたDnと電波吸収体装着領域、およびYnの関係と、電波吸収体装着領域45°におけるDnを表す水平方向のアンテナパターンを示す。
【0024】
S5では、Ynをもった同一無線チャネルfnを新設基地局に配置した場合に、Yn内に含まれる世帯数(ここでは、需要ユーザ以外に、今後サービス提供の可能性のある潜在ユーザも含めた、全世帯とする)を求める。この際、Ynを持ったfnは、干渉方向にYnの中央がくるように配置する(図5参照)。
【0025】
S6では、Ynに含まれる世帯数の最も少ないfnを選択する。Yn内に含まれる世帯数が少ないほど、より潜在ユーザを確保できることとなり、将来的に新設基地局でユーザをより多く囲い込める可能性がある。
【0026】
S7では、選択したfnの配置で需要ユーザをカバー可能かどうか判定する。カバーできない場合は、Yn領域内の世帯数が次に少ないfnを選択する(S8)。次に少ないfnがあれば、そのfnを配置し、需要ユーザをカバー可能かどうか判定する(図6参照)。以下、カバー可能なfnがあるまでS7とS8を繰り返す。無かった場合は、図3のフローチャートで説明する。
【0027】
S9では、S7で選択したfnで需要ユーザをカバーできた場合、それが最も効率的なfn配置となる。当該fnを配置し、作業完了となる。
【0028】
次に、LnよりRnが大きいfnがあった場合の、本発明の第2の実施形態について、図2のフローチャート用いて説明する。
【0029】
Lnより大きいRnの無線チャネルfnが1つであった場合、そのfnを新設基地局に優先的に配置する。Lnより大きいRnの無線チャネルfnが複数あった場合、複数ある配置可能なfnの内どのfnを配置するのか検討する(S10)。
【0030】
S11およびS12では、複数ある割り当て可能なfnについて、fnに対応する既設基地局に収容されているユーザ数(現時点でサービスを受けているユーザ数のことをいい、以下、Anという)と、基地局が収容可能な全世帯数(今後サービス提供の可能性のある潜在ユーザも含めた全世帯をいい、以下、Bnという)を確認する。
【0031】
S13では、1基地局当たりの収容限界ユーザ数をXとすると、複数ある割り当て可能なfnについて、fnに対応する既設基地局の収容可能倍率を計算する。
【0032】
収容可能倍率とは、既設基地局が現時点で収容可能なユーザ数に対する、サービス領域にいる潜在ユーザの割合のことをいい、収容可能倍率が大きいほど、潜在ユーザがサービスを受けにくくなる(その既設基地局で収容しにくくなる)ことを表している。
【0033】
収容可能倍率は以下の式で表される。
収容可能倍率=潜在ユーザ/当既設基地局の収容可能ユーザ数
=(Bn−An)/(X−An)
【0034】
既設基地局について上記収容可能倍率を計算し、収容可能倍率が最大となる既設基地局のfnを新設基地局に配置する。収容可能倍率のより大きい既設基地局が限界収容数に達しやすいため、更なる需要増に対応した新設基地局を設置する可能性が高くなり、その場合、限界収容数に達した既設基地局が使用している無線チャネル以外の無線チャネルで対応しやすくするため、新設基地局に使用する無線チャネルは可能な限り収容可能倍率の大きい既設基地局の無線チャネルであることが望ましい。新設基地局に収容可能倍率の小さい既設基地局の無線チャネルを使用した場合、収容可能倍率の大きい既設基地局が飽和し更に基地局を設置する場合に、先に新設基地局に配置した収容可能倍率の小さい既設基地局の無線チャネルは使用できなくなる可能性が高くなるためである。
【0035】
次に、選択した1つのfnで需要ユーザをカバーできなかった場合の、本発明の第3の実施形態について、図3のフローチャートで説明する。
【0036】
選択したfnで需要ユーザをカバーできなかった場合は、新設基地局を2基とし、Yn内世帯数が最少のfnと、次に少ないfnをそれぞれ割り当てる(S14)。これで需要ユーザをカバーできれば、上記2つの無線チャネルを2基の無線基地局に重なるように配置することで、本作業は完了する。S14でも需要ユーザをカバーできない場合は、Yn世帯数が最少のfnと、3番目に少ないfnとの組み合わせでカバー可能かどうか判断する。以降、カバー可能な2つの無線チャネルの組み合わせを総当たりで判断していく(S15)。これでも需要ユーザをカバーできない場合は、3つの無線チャネルの組み合わせでカバー可能かどうか総当たりで判断し、以降、需要ユーザをカバー可能となるまで、組み合わせる無線チャネル数を増やしながら総当たりで判断していく(S16)。本作業にて判断した複数の無線チャネルを新設基地局に重なり合うように配置し、サービスを展開していく。なお、全ての無線チャネルを組み合わせても需要ユーザをカバーできないような状況の場合は、新設基地局の設置場所変更か、もしくは新しい無線チャネルを申請することで対処する。
【0037】
なお、上述した無線チャネルの配置を行う方法は、コンピュータを上記の通り動作させるプログラムにより実現できる。より詳しくは、当該プログラムは、主メモリに読み込まれ、プロセッサにより実行されるものであり、コンピュータに上述した無線チャネル配置方法の各処理を実行させる。なお、プログラムは、記録媒体に記録して提供されたものであっても、ネットワークを経由して提供されたものであっても良い。
【0038】
また、以上述べた実施形態は全て本発明を例示的に示すものであって限定的に示すものではなく、本発明は他の種々の変形態様及び変更態様で実施することができる。従って本発明の範囲は特許請求の範囲及びその均等範囲によってのみ規定されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の第1の実施形態のフローチャートを示す。
【図2】本発明の第2の実施形態のフローチャートを示す。
【図3】本発明の第3の実施形態のフローチャートを示す。
【図4】伝搬損失Rnおよび所望伝搬損失Dnの計算例を示す。
【図5】図4のモデルにおける所望伝搬損失Dnと電波吸収体装着領域角、および抑圧領域角の関係、および電波吸収体装着領域角度45°における所望伝搬損失Dnを表す水平方向のアンテナパターンを示す。
【図6】図4のモデルにおけるYnとYn内の世帯数、および需要ユーザエリアとの位置関係を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
加入者局との間で無線通信を行うための固定された基地局が1つまたは複数存在し、該基地局が無線チャネルを全て使用している環境で更に基地局を新設する場合に、既設基地局との干渉を回避可能な同一無線チャネルを新設基地局に配置する無線チャネル配置方法において、
既設基地局と新設基地局設置場所間の基地局間距離を求め、該基地局間距離から電波の伝搬損失を求め、該伝搬損失から所要伝搬損失を満足するために必要な所望伝搬損失を求める第1のステップと、
前記所望伝搬損失から、干渉回避を行うために電波吸収体の装着領域および該電波吸収体によって電波が抑圧される領域(抑圧領域)を求める第2のステップと、
前記既設基地局方向(干渉方向)に前記抑圧領域の中央がくるように無線チャネルを配置し、前記抑圧領域内に存在する世帯数を求め、更に該無線チャネルが需要ユーザエリアをカバーしているか否かを判断する第3のステップと、
前記第1のステップから前記第3のステップまでを、既設基地局が使用している無線チャネル全てについて行い、前記抑圧領域内世帯数が最も少なく、かつ前記需要ユーザエリアをカバーしている無線チャネルを前記新設基地局に配置する第4のステップと、
を有することを特徴とするオーバーリーチ干渉回避可能な無線チャネル配置方法。
【請求項2】
前記第1のステップにおいて、前記既設基地局と前記新設基地局設置場所間の基地局間距離は、前記既設基地局の経緯度と前記新設基地局設置場所の経緯度とから求められることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1のステップで求めた伝搬損失が前記所要伝搬損失を満足した場合において、
前記所要伝搬損失を満足する既設基地局に収容されているユーザ数と、該既設基地局のサービスエリア内に存在する世帯数を求める第5のステップと、
前記収容ユーザ数、前記サービスエリア内の世帯数と、該既設基地局の収容限界ユーザ数から、収容可能倍率を、
収容可能倍率=(サービスエリア内の世帯数−収容ユーザ数)/
(既設基地局の収容限界ユーザ数−収容ユーザ数)
で求める第6のステップと、
前記第5のステップと前記第6のステップを、前記所要伝搬損失を満足する無線チャネル全てについて行い、前記収容可能倍率が最も大きい既設基地局の無線チャネルを前記新設基地局に配置する第7のステップと、
をさらに有することを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記第4のステップで前記需要ユーザエリアをカバーしている無線チャネルが無い場合において、
複数の無線チャネルを組み合わせ、該組み合わせた複数の無線チャネルを前記新設基地局に重ね合わせて配置し、前記需要ユーザエリアをカバーしているか否かを判断する第8のステップと、
前記第8のステップを、前記需要ユーザエリアをカバー可能になるまで、前記抑圧領域内の世帯数が少ない順に、複数の無線チャネルを組み合わせて行い、カバー可能であると判断された複数の無線チャネルを前記新設基地局に配置する第9のステップと、
をさらに有することを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
【請求項5】
前記第8のステップは、最初2つの無線チャネルを重ね合わせて配置することで、前記需要ユーザエリアをカバー可能かどうか判断し、次に3つの無線チャネルを重ね合わせて配置することで、前記需要ユーザエリアをカバー可能かどうか判断し、順次重ね合わせる無線チャネルを1つずつ増やしていき、最終的に全ての無線チャネルを重ね合わせて配置することで、前記需要ユーザエリアをカバー可能かどうか判断することを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
加入者局との間で無線通信を行うための固定された基地局が1つまたは複数存在し、該基地局が無線チャネルを全て使用している環境で更に基地局を新設する場合に、既設基地局との干渉を回避可能な同一無線チャネルを新設基地局に配置する無線チャネル配置装置において、
既設基地局と新設基地局設置場所間の基地局間距離を求め、該基地局間距離から電波の伝搬損失を求め、該伝搬損失から所要伝搬損失を満足するために必要な所望伝搬損失を求める所望伝搬損失算出手段と、
前記所望伝搬損失から、干渉回避を行うために電波吸収体の装着領域および該電波吸収体によって電波が抑圧される領域(抑圧領域)を求める抑圧領域算出手段と、
前記既設基地局方向(干渉方向)に前記抑圧領域の中央がくるように無線チャネルを配置し、前記抑圧領域内に存在する世帯数を求め、更に該無線チャネルが需要ユーザエリアをカバーしているか否かを判断する世帯数算出需要ユーザエリア判断手段と、
前記所望伝搬損失算出手段、前記抑圧領域算出手段および前記世帯数算出需要ユーザエリア判断手段を、既設基地局が使用している無線チャネル全てについて行い、前記抑圧領域内世帯数が最も少なく、かつ前記需要ユーザエリアをカバーしている無線チャネルを前記新設基地局に配置する無線チャネル配置手段と、
を有することを特徴とするオーバーリーチ干渉回避可能な無線チャネル配置装置。
【請求項7】
加入者局との間で無線通信を行うための固定された基地局が1つまたは複数存在し、該基地局が無線チャネルを全て使用している環境で更に基地局を新設する場合に、既設基地局との干渉を回避可能な同一無線チャネルを新設基地局に配置するコンピュータにおけるプログラムとして、
既設基地局と新設基地局設置場所間の基地局間距離を求め、該基地局間距離から電波の伝搬損失を求め、該伝搬損失から所要伝搬損失を満足するために必要な所望伝搬損失を求める第1のステップと、
前記所望伝搬損失から、干渉回避を行うために電波吸収体の装着領域および該電波吸収体によって電波が抑圧される領域(抑圧領域)を求める第2のステップと、
前記既設基地局方向(干渉方向)に前記抑圧領域の中央がくるように無線チャネルを配置し、前記抑圧領域内に存在する世帯数を求め、更に該無線チャネルが需要ユーザエリアをカバーしているかどうか判断する第3のステップと、
前記第1のステップから前記第3のステップまでを、既設基地局が使用している無線チャネル全てについて行い、前記抑圧領域内世帯数が最も少なく、かつ前記需要ユーザエリアをカバーしている無線チャネルを前記新設基地局に配置する第4のステップと、
によりコンピュータを機能させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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