説明

カウンタウエイト脱着装置用油圧回路

【課題】カウンタウエイトの昇降用油圧シリンダ内作動油が作業機の稼働中に熱膨張してカウンタウエイトと回動アームとの連結部等が損傷することを防止すること可能となるカウンタウエイト脱着装置用油圧回路を提供する。
【解決手段】昇降用油圧シリンダ25のボトム室25aとの間の主管路56にこの主管路56を連通、遮断可能な第1のストップ弁62を設ける。この主管路56と油タンク64との間にドレン管63を設け、このドレン管63を連通、遮断可能な第2のストップ弁65を設ける。作業機の稼働中はストップ弁62,65を開き、油圧シリンダ25内の熱膨張した作動油をストップ弁62,65を通して油タンク64に排出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油圧ショベル、解体機、クレーン等の作業機の本体後部にカウンタウエイトを脱着する装置に用いる油圧回路に関する。
【背景技術】
【0002】
油圧ショベル、解体機、クレーン等の作業機においては、作業機本体の前部に掘削、破砕、荷役等を行なうための作業装置を取付け、作業機本体の後部に、これらの作業装置と重量バランスを取るためのカウンタウエイトを搭載している。このようなカウンタウエイトは、作業装置の交換に伴い、作業装置の作業内容や重量に応じて好適な重さのカウンタウエイトに交換したり、あるいは分割されたカウンタウエイトを付加するかまたは一部取外したり、作業機の輸送に当たってカウンタウエイトを分離輸送し現地で組立てたりする等のため、作業機本体に対して脱着する必要がある。このようなカウンタウエイト脱着装置として、例えば特許文献1に記載されたものがある。
【0003】
この特許文献1に記載されたカウンタウエイト脱着装置は、作業機本体の後部に上下に回動可能に取付けられたカウンタウエイト昇降用油圧シリンダと、作業機本体の後部に取付けられ、油圧シリンダの伸縮により上下に回動される回動アームと、この回動アームの先端より回動可能に垂下され、カウンタウエイトに連結する連結具とにより構成される。そしてカウンタウエイトを作業機本体に取付ける際には、油圧シリンダを収縮させて回動アームを下げ、地上に置いたカウンタウエイトに連結具を連結し、次に油圧シリンダを伸長させて回動アームを上げることによりカウンタウエイトを作業機本体に持ち上げ、カウンタウエイトを作業機本体にボルトにより固定する。
【0004】
このようにカウンタウエイトを作業機本体に持ち上げて作業機本体に固定した後、油圧シリンダを若干縮めることにより、油圧シリンダ、回動アームおよび連結具にはカウンタウエイトによる荷重がかからない非拘束状態にして作業を行なう。このような非拘束状態においては、カウンタウエイト側から連結具、回動アームおよび油圧シリンダに力が伝達されない状態である。このようにカウンタウエイトを作業機本体に取付けた後、油圧シリンダを若干縮めて非拘束状態とする理由は、作業中に作業機本体からカウンタウエイトに伝達される振動が連結具や回動フレーム等に伝わり、その結果、脱着装置の関係部位、特に連結具に用いる連結ボルト等が折損する等の損傷を防止するためである。
【0005】
図7はこのようなカウンタウエイト脱着装置に用いられた従来の油圧回路である。図7において、25は不図示のカウンタウエイトを昇降する油圧シリンダ、50A,50Bはそれぞれ作業機本体に搭載された主油圧ポンプ、51はパイロット油圧ポンプ、53はコントロール弁53a〜53iの集合体、53dは昇降用油圧シリンダ25用のコントロール弁であり、パイロット弁54により切換え操作されるものである。56は油圧シリンダ25のボトム室25aとコントロール弁53dとの間を接続する主管路であり、この主管路56には、スローリターン弁58と、パイロットチェック弁59とが設けられている。
【0006】
スローリターン弁58は、油圧シリンダ25がカウンタウエイトの重量により急激に降下することを防止するために設けられる。パイロットチェック弁59は、油圧シリンダ25の不作動時はボトム室25aからの油の流出を防ぎ、油圧シリンダ25を収縮させるときはロッド室25b側主管路57の油圧がパイロット圧として加えられて連通するものである。このパイロットチェック弁59は、万一主管路56が損傷して液漏れが発生した時、油圧シリンダ25が急激に下降することを防止する役目を果たす。
【0007】
このようなカウンタウエイト脱着装置の油圧回路において、カウンタウエイトを作業機本体に取付けた状態、すなわちボルトにより作業機本体に固定した状態において、作業機が稼働していると、稼働時におけるコントロール弁53dからの圧油のリークにより、油圧シリンダ25が不用意に伸び、その結果、カウンタウエイトを吊るための連結部に過大な張力を生じ、連結部に備えたボルト等が破損するという不具合があった。
【0008】
このようなコントロール弁53dからの圧油のリークによる油圧シリンダ25の伸長を防止するため、従来より、図8に示すように、コントロール弁53dと油圧シリンダ25のボトム室25a、ロッド室25bとの間をそれぞれ接続する主管路56,57にストップ弁60,61を設け、カウンタウエイトの脱着作業中以外は、ストップ弁60,61を閉じておき、これによってカウンタウエイトの脱着作業中以外は、コントロール弁53dから油圧シリンダ25への圧油のリークを防ぐ構成が採用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特許第2922778号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、作業機の稼働中にストップ弁60,61を閉じておくと、稼働時のエンジン等の放射熱や、外気温度の変化によって、ボトム室25a、ロッド室25bが熱膨張を起こす。ここで、ボトム室25aの断面積がロッド室25bの断面積より広いため、ボトム室25a側の圧油が油圧シリンダ25のピストンを押す力が、ロッド室25b側の圧油が油圧シリンダ25のピストンを押す力に勝り、油圧シリンダ25が伸長する。そして、油圧シリンダ25が油の熱膨張により伸長すると、油圧シリンダ25が非拘束状態から、作業機本体にボルトにより固定されているカウンタウエイトを押し上げるような負荷がかかる拘束状態となり、この負荷が過大になると、油圧シリンダやカウンタウエイトと回動アームとの連結具等の関係部位、特に連結ボルトが損傷する原因となっている。また、連結具等が損傷する事態に至らなくても、油圧シリンダ25のボトム室25a、ロッド室25b内の作動油が熱膨張することにより、油圧シリンダ25に過剰な負荷がかかることがあった。
【0011】
本発明は、上記問題点に鑑み、カウンタウエイトの昇降用油圧シリンダが熱膨張してカウンタウエイトと回動アームとの連結部等が損傷することを防止することや、昇降用油圧シリンダに過大な負荷が発生することを防止することが可能となるカウンタウエイト脱着装置用油圧回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1のカウンタウエイト脱着装置用油圧回路は、
油圧源が設けられた作業機本体と、
前記作業機本体に着脱可能に搭載されるカウンタウエイトと、
前記作業機本体に取付けられ、前記油圧源からの作動油をボトム室とロッド室に給排することにより、前記カウンタウエイトを昇降させて前記作業機本体に着脱する昇降用油圧シリンダと、
前記油圧源と前記昇降用油圧シリンダとの間に設けられたコントロール弁とを備えたカウンタウエイト脱着装置用油圧回路において、
前記コントロール弁と前記昇降用油圧シリンダのボトム室との間の主管路に設けられ、前記主管路を連通、遮断可能な第1のストップ弁と、
前記主管路と油タンクとの間に設けられたドレン管と、
前記ドレン管に設けられ、前記ドレン管を連通、遮断可能な第2のストップ弁とを備えたことを特徴とする。
【0013】
請求項2のカウンタウエイト脱着装置用油圧回路は、請求項1に記載のカウンタウエイト脱着装置用油圧回路において、
前記コントロール弁と前記昇降用油圧シリンダのボトム室との間の主管路にパイロットチェック弁を備え、
前記ドレン管を、前記ボトム室側主管路における前記コントロール弁と前記パイロットチェック弁との間の部位に一端を接続して設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明の油圧回路において、昇降用油圧シリンダを作動させてカウンタウエイトを作業機本体に脱着する場合は、第1のストップ弁を開くと共に、第2のストップ弁を閉じておくことにより、昇降用油圧シリンダを伸縮させることができる。一方、カウンタウエイトを作業機本体に装着してボルト等により固定した後は、第1のストップ弁のみならず、第2のストップ弁も開いておくことにより、作業機の稼働中にエンジン等の放射熱や、外気温度の変化によって油圧シリンダ内の作動油が熱膨張しても、熱膨張分の作動油が第1のストップ弁と第2のストップ弁を通して油タンクに排出されるので、油圧シリンダが伸長することが防止される。
【0015】
このため、油圧シリンダ内の作動油の熱膨張に伴う伸長によりカウンタウエイトが非拘束状態から拘束状態に戻って油圧シリンダや回動アームとカウンタウエイト連結部等が過大な力を受けることが防止され、油圧シリンダや連結部等の損傷を防止することができる。一方、作業機の輸送中は、少なくとも第1のストップ弁を閉じておくことにより、油圧シリンダの収縮が防止され、カウンタウエイト未装着状態での輸送中に回動アームが下降方向に回動することを防止することができる。
【0016】
請求項2の発明によれば、コントロール弁とパイロットチェック弁との間にドレン管の一端を接続して設けたので、輸送時等において、万一第1のストップ弁や第2のストップ弁を閉め忘れたり、閉め状態が不完全である場合であっても、パイロットチェック弁の作用により、油圧シリンダが収縮して回動アームが下降方向に回動することを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の作業機のカウンタウエイト脱着装置用油圧回路を適用する作業機の一例を示す側面図である。
【図2】本発明のカウンタウエイト脱着装置用油圧回路を適用するカウンタウエイト脱着装置の一例を示す背面図である。
【図3】図2のE−E断面図である。
【図4】本例のカウンタウエイト脱着装置において、地上に置いたカウンタウエイトにカウンタウエイト脱着装置の連結具を連結した状態を示す側面図である。
【図5】本例のカウンタウエイト脱着装置において、カウンタウエイトを作業機本体に取付けた後、昇降用油圧シリンダを若干収縮させた非拘束状態を示す側面図である。
【図6】本発明のカウンタウエイト脱着装置用油圧回路の一実施の形態を示す油圧回路図である。
【図7】従来のカウンタウエイト脱着装置用油圧回路を示す油圧回路図である。
【図8】従来のカウンタウエイト脱着装置用油圧回路の他の例を示す油圧回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は本発明のカウンタウエイト脱着装置を適用する作業機の一例を示す側面図であり、この例では作業機が油圧ショベルである場合について示す。図1において、1は下部走行体、2はこの下部走行体1上に旋回装置3を介して旋回可能に設置された上部旋回体(作業機本体)であり、4はこの上部旋回体2のフレームとなる旋回フレームである。旋回フレーム4には運転室5と、原動機や油圧ポンプ等を含み油圧パワーユニットを構成する機械室6が搭載されると共に、後部にはカウンタウエイト7が搭載され、前部には作業装置8が取付けられる。カウンタウエイト7は、作業装置8等に対して作業機全体の重量をバランスさせるために設けられる。
【0019】
作業装置8は、旋回フレーム4の前部にブームシリンダ9により俯仰動可能に取付けられたブーム10と、このブーム10の先端にアームシリンダ11により回動可能に取付けられたアーム12と、このアーム12の先端にバケットシリンダ13により回動可能に取付けられたバックホウバケット14とからなる。
【0020】
図2は本発明のカウンタウエイト脱着装置の一実施の形態を示す背面図、図3はそのE−E断面図である。図3において、4は旋回フレーム、24は旋回フレーム4の後端部に一体に設けたカウンタウエイト衝合板である。この衝合板24は、カウンタウエイト7の左右幅と同様の幅を有する。この衝合板24にはカウンタウエイト7の前面が衝合され、不図示の長尺ボルトにより旋回フレーム4にカウンタウエイト7を固定する構成となっている。
【0021】
20は作業機本体2を構成する旋回フレーム4の後端部に取付けられるカウンタウエイト脱着装置である。カウンタウエイト7の前面には、カウンタウエイト脱着装置20を収容するための凹部7aが、上下方向に貫通して設けられている。この凹部7aは、その上部が後方に拡大された凹部7bとして形成されている。この拡大された凹部7bの底面には、カウンタウエイト脱着装置20に設けられた図2に示す一対の連結具21をピン22により着脱可能に連結するための一対の連結板23が、溶接またはボルト付けにより取付けられている。
【0022】
カウンタウエイト脱着装置20は、昇降用油圧シリンダ25と、この昇降用油圧シリンダ25の伸縮を上下動に変換する可動体として備えた回動アーム26と、回動アーム26の自由端に取付けられた前記連結具21とにより構成される。
【0023】
昇降用油圧シリンダ25は、衝合板24の左右方向の中央部に溶接されたブラケット27,27間に、筒状スペーサ28,28を介してボトム側端部のボス25cを入れ、このブラケット27,27のピン孔、スペーサ28,28およびボトム側端部のボス25cに枢着ピン29を挿着し、この枢着ピン29を中心として上下方向に回動可能に取付けられる。
【0024】
回動アーム26は、昇降用油圧シリンダ25の左右にそれぞれ1本ずつ、合計2本設けられる。各回動アーム26を取付けるため、衝合板24の左右のブラケット27の外側にそれぞれブラケット30を溶接する。そしてこのブラケット30と前記ブラケット27との間に回動アーム26の根本部を環状スペーサ31を介して挟み、ブラケット27,30に設けたピン孔、スペーサ31および回動アーム26の根本部に設けたピン孔に枢着ピン32を挿着し、各枢着ピン32を中心として各回動アーム26を回動可能に取付ける。左右の回動アーム26の枢着ピン32は同じ高さで同心をなす。また、これらの回動アーム26の枢着ピン32は、昇降用油圧シリンダ25の枢着ピン29より高い位置に設ける。
【0025】
昇降用油圧シリンダ25のピストンロッド先端のボス25dは、回動アーム26の自由端間に筒状スペーサ34,34を介して挟持され、回動アーム26,26の自由端に設けたピン孔と、スペーサ34,34と、ボス25dとに挿着する連結ピン35により回動アーム26,26の先端に連結する。
【0026】
回動アーム26,26の自由端には、連結具21を取付けるためのピン37が、これらの回動アーム26,26に設けたピン孔26a,26aに回動可能に貫挿して取付けられる。このピン37の回動アーム26,26より外側に突出した部分にボルト挿通孔37aを設け、各ボルト挿通孔37aに連結ボルト38を挿着して連結具21の上部に設けたねじ孔21aに螺合し、連結ボルト38に螺合したナット39を連結具21の上面に締付けてその上面に圧接することにより、ピン37の両端に連結ボルト38を介して連結具21を取付ける。
【0027】
各連結具21には、下方が開放された溝21bを有し、各溝21bにそれぞれカウンタウエイト7に設けた連結板23を入れ、連結板23に設けたピン孔23aと連結具21に設けたピン孔21cにピン22を着脱可能に挿着することにより、連結具21にカウンタウエイト7を着脱可能とする。図3に示すように、連結板23に設けるピン孔23aは、後述のように昇降用油圧シリンダ25を退避状態とすることを可能にするため、横長の長孔に形成している。
【0028】
このカウンタウエイト脱着装置を用いてカウンタウエイト7の取付けを行なう際は、図4に示すように、昇降用油圧シリンダ25を収縮させることにより回動アーム26を下げ、地面に置いてあるカウンタウエイト7の連結板23に連結具21をピン22により連結する。
【0029】
その後、昇降用油圧シリンダ25を伸長させることにより、回動アーム26を枢着ピン32を中心として矢印Rで示すように回動させてカウンタウエイト7を持ち上げる。そして図3に示したように、カウンタウエイト7の前面を衝合板24に衝合させて不図示の長尺ボルトによりカウンタウエイト7を旋回フレーム4に固定する。
【0030】
その後、図5に示すように、昇降用油圧シリンダ25を若干収縮させることにより、回動アーム26を矢印rで示すように回し、連結具21を下げて退避状態とする。この退避状態では、昇降用油圧シリンダ25はカウンタウエイト7の荷重を担うことなく、連結具21にはカウンタウエイト7による張力は発生しない。
【0031】
カウンタウエイト7を旋回フレーム4から取外して地面に降下させる場合には、前述の工程と逆の手順をとる。
【0032】
図6は本発明によるカウンタウエイト脱着装置の油圧回路の一実施の形態を示す油圧回路図である。図6において、50A,50Bは機械室6内に油圧源として設置された主油圧ポンプ、51は同じくパイロット油圧ポンプである。53は主油圧ポンプ50A,50Bの吐出管路にそれぞれ縦続接続して設けられたコントロール弁53a〜53e、53e〜53iの集合体である。このコントロール弁集合体53は、旋回フレーム4上に搭載されているものであり、53aは旋回用、53b,53iはブームシリンダ用、53c,53hはアームシリンダ用、53e、53fは走行用、53gはバケットシリンダ用、53dは昇降用油圧シリンダ25用として用いるものである。54は運転室5に操作レバーが設けられたコントロール弁53d用のパイロット弁である。
【0033】
56は昇降用油圧シリンダ25のボトム室25aとコントロール弁53dとの間に設けられたボトム室側主管路、57は昇降用油圧シリンダ25のロッド室25bとコントロール弁53dとの間に設けられたロッド室側主管路である。58はボトム室側主管路56に設けられたスローリターン弁、59は同じくパイロットチェック弁であり、これらの弁58,59の機能は前述の通りである。パイロットチェック弁59のパイロット回路59aはロッド室側主管路57に接続されている。
【0034】
62はボトム室側主管路56におけるパイロットチェック弁59と油圧シリンダ25のボトム室25aとの間に設けた第1のストップ弁、63はボトム室側主管路56におけるコントロール弁53dとパイロットチェック弁59との間の部位と油タンク64との間に設けたドレン管路、65はこのドレン管路63に設けた第2のストップ弁である。
【0035】
この構成において、カウンタウエイト7の昇降を行なう場合は、第1のストップ弁62を開、第2のストップ弁65を閉とする。これにより、パイロット弁54の操作によってコントロール弁53dを切換えると、主油圧ポンプ50Aから吐出される作動油がボトム室側主管路56またはロッド室側主管路57を通して油圧シリンダ25のボトム室25aあるいはロッド室25bに供給され、油圧シリンダ25が伸長または収縮し、カウンタウエイト7を昇降させることができる。
【0036】
一方、カウンタウエイト7を作業機本体に取付けた後、通常の掘削作業を行なう場合は、ストップ弁62,65を両方とも開とする。この状態で作業機が稼働すると、コントロール弁53d以外のコントロール弁53a〜53c,53e〜53iの切換え操作によってコントロール弁53dからボトム室側主管路56へ作動油がリークしても、そのリークした作動油は第2のストップ弁65から油タンク64に排出される。
【0037】
コントロール弁53dからロッド室側主管路57に作動油がリークすると、パイロットチェック弁59のパイロット回路59aの油圧が上昇するため、パイロットチェック弁59が開く。このため、稼働中のエンジンの熱や外部温度の上昇によって油圧シリンダ25内の作動油が熱膨張を起こすと、スローリターン弁58、第1のストップ弁62、パイロットチェック弁59、第2のストップ弁65を通して油圧シリンダ25のボトム室25aの作動油が油タンク64に排出される。
【0038】
このため、油圧シリンダ25内の作動油の熱膨張による油圧シリンダ25の伸長が防止される。これにより、カウンタウエイト7が図5に示した非拘束状態から拘束状態に戻って油圧シリンダ25に過大な力が作用することが防止されると共に、回動アーム26とカウンタウエイト7との連結具21、特にボルト38等が過大な力を受けることが防止され、油圧シリンダ25や連結具21等の損傷を防止することができる。
【0039】
一方、カウンタウエイト7を未装着状態にして作業機を輸送する際あるいは駐機中には、少なくとも第1のストップ弁62を閉じておくことにより、油圧シリンダ25の収縮が防止され、輸送中において回動アーム26が下降方向に回動することを防止することができる。
【0040】
また、この実施の形態においては、コントロール弁53dとパイロットチェック弁59との間の部位にドレン管63の一端を接続して設けたので、輸送時あるいは駐機等において、万一第1のストップ弁62や第2のストップ弁65を閉め忘れたり、閉め状態が不完全である場合であっても、パイロットチェック弁59の作用により、油圧シリンダ25が収縮して回動アームが下降方向に回動することを防止することができる。
【0041】
以上本発明を実施の形態により説明したが、本発明は、上記実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の変更、付加が可能である。本発明は例えば作業機本体が非旋回式である場合にも適用できる。また、昇降用油圧シリンダの伸縮によりシーブやスプロケットを上下動させ、シーブに掛けたロープ(可動体)やスプロケットに掛けたチェーン(可動体)にカウンタウエイトを接続してカウンタウエイトを上下動させる構成とすることもできる。
【符号の説明】
【0042】
1:下部走行体、2:上部旋回体(作業機本体)、3:旋回装置、4:旋回フレーム、5:運転室、6:機械室、7:カウンタウエイト、7a,7b:凹部、8:作業装置、20:カウンタウエイト脱着装置、21:連結具、22:ピン、23:連結板、24:衝合板、25:昇降用油圧シリンダ、26:回動アーム、27,30:ブラケット、29,32:枢着ピン、35:連結ピン、37:ピン、38:ボルト、50A,50B:主油圧ポンプ、51:パイロット油圧ポンプ、53a〜53i:コントロール弁、54:パイロット弁、56:ボトム室側主管路、57:ロッド室側主管路、58:スローリターン弁、59:パイロットチェック弁、59a:パイロット回路、62:第1のストップ弁、63:ドレン管、64:油タンク、65:第2のストップ弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
油圧源が設けられた作業機本体と、
前記作業機本体に着脱可能に搭載されるカウンタウエイトと、
前記作業機本体に取付けられ、前記油圧源からの作動油をボトム室とロッド室に給排することにより、前記カウンタウエイトを昇降させて前記作業機本体に着脱する昇降用油圧シリンダと、
前記油圧源と前記昇降用油圧シリンダとの間に設けられたコントロール弁とを備えたカウンタウエイト脱着装置用油圧回路において、
前記コントロール弁と前記昇降用油圧シリンダのボトム室との間の主管路に設けられ、前記主管路を連通、遮断可能な第1のストップ弁と、
前記主管路と油タンクとの間に設けられたドレン管と、
前記ドレン管に設けられ、前記ドレン管を連通、遮断可能な第2のストップ弁とを備えたことを特徴とするカウンタウエイト脱着装置用油圧回路。
【請求項2】
請求項1に記載のカウンタウエイト脱着装置用油圧回路において、
前記コントロール弁と前記昇降用油圧シリンダのボトム室との間の主管路にパイロットチェック弁を備え、
前記ドレン管を、前記ボトム室側主管路における前記コントロール弁と前記パイロットチェック弁との間の部位に一端を接続して設けたことを特徴とするカウンタウエイト脱着装置用油圧回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−96114(P2013−96114A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−238724(P2011−238724)
【出願日】平成23年10月31日(2011.10.31)
【出願人】(000005522)日立建機株式会社 (2,611)
【Fターム(参考)】