説明

カスケード接続計測装置および方法

【課題】1つまたは複数の単相計測ブロックを用いて、多相システムにおける全段階のエネルギー消費量を計算するための改善された装置および方法を提供すること。
【解決手段】相対的に上流側にある計測ブロックからの個々のデータが相対的に下流側にある計測ブロックに送られ、ストリームを1つの計測ブロックから他の計測ブロックに追跡するように、データ・ストリームが連結される。エネルギー・データは、所定の少量のエネルギーとしてコード化され、こうした計測ブロックの逐次構成の最後の計測ブロックは、単に、こうした最後の計測ブロックに到着するエネルギー量子データを加えることによって、有効な多相システム内の総エネルギー消費量を計算する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、計測法に関する。具体的には、本発明は、1つまたは複数の単相計測ブロックを用いて、多相システムにおける全段階のエネルギー消費量を計算するための装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
計測法の一般的な目的は、1つまたは複数の選択された物理的現象を監視し、監視された事象の記録の作成を可能にすることである。計測法のこうした基本的な目的は、多くの状況に用いられる種々の計量装置に適用することができる。1つの広範な測定領域は、例えば、需給計器に関するものである。こうした状況において、こうした役割はまた、具体的には、例えば、これらに限られるものではないが、電気、水道、ガスまたは石油を含む、様々な形態のエネルギーまたは他の必需品の消費量または生産量を監視することを含むこともできる。
【0003】
電力量計に関してより具体的に述べると、蓄積された電気消費量のデータを出力するために、歴史的には、機械形態の記録装置が用いられてきた。こうした手法は、特に、蓄積されたキロワット時消費量を単に監視するという基本的または相対的に低レベルの作業のために、相対的に信頼性の高い現場装置を提供するものであった。
【0004】
一般に、上記の基本的な機械形態の記録装置は、その出力の様式が制限されるので、非常に基本的なレベルまたはより低レベルの計測機能しか達成されなかった。その後、電子形態の計測装置が導入されはじめ、異なる形態および様式のデータを含む、相対的に高いレベルの監視が可能になった。
【0005】
特に電力量計との関連においては、様々な管理および課金のために、多数の電力量計により入手可能な基本的なキロワット時消費量の読取値を超える使用量データを得ることが望まれるようになった。例えば、付加的な望ましいデータは、電気消費の料金または消費日時(いわゆる「利用時間」データ)を含むものであった。例えば、プログラム可能な集積回路部品を利用するプリント回路基板上に設けられたソリッド・ステート・デバイスは、電力計量の文脈において求められるこうした高レベルの監視機能の多くを実施する有効なツールを提供した。
【0006】
電子形態の計測法を有利に導入することに加えて、特定の利点を有する種々の電子記録装置が導入された。さらに、他の形態のデータ出力が導入され、それらは、有線伝送、無線周波数伝送を介するデータ出力、データのパルス出力、および、モデムまたはセルラー式接続等を介する電話回線接続を含む特定の用途には有益なものである。
【0007】
こうした多様性および代替物の出現は、ユーティリティ会社に、どの技術を利用するかについての選択をなすことを求めることが多かった。こうした選択は、哲学的見地または好み、および/または、特定の目的を有する現地保守要員の訓練および習熟といった実際的な利点の両方に基づいて、その時々になされてきた。
【0008】
こうした計測領域における技術の進歩の別の態様は、種々の後付け部品の構成が設けられた点である。例えば、現場で基本的な計器を完全に変更するかまたは交換することなく、選択されたより高度な機能を有する基本的な計量装置を提供しようとする幾つかの試みがなされた。例えば、基本的な機械式計量装置に、無線遠隔測定結合を容易にするためといったデータの電子出力を装備する試みがなされた。
【0009】
電気計器産業の別の態様は、ユーティリティ会社が、時には、文字どおり何十万個もの個々の計量設備またはデータポイントを必要とする、大規模要件を有することである。新しい機能を既存の設備に後付けするなど、技術の漸進的変化を実行すること、あるいは、基本部品に変更をなし、種々の部品を既に現場にある他の部品と交換できないようにする試みは、著しい産業上の問題を生じさせることがある。
【0010】
電力量計は、一般に、電気サービスにおいて電圧信号および電流信号を受け取るための入力回路を含む。電気サービスの電流信号を受け取るための、どのようなタイプまたは特定の設計の入力回路も、ここでは、全体的に電流取得回路と呼ばれ、電気サービスの電圧信号を受け取るための、どのようなタイプまたは特定の設計の入力回路も、ここでは、全体的に電圧取得回路と呼ばれる。
【0011】
監視が単相環境において行われることになるか、または、多相環境において行われることになるかによって、電力量計の入力回路に、1つまたは複数の相を監視する能力を与えることができる。しかしながら、こうした所望の監視環境のばらつきにより、多数の異なる計測構成を考案し、監視するのに必要とされるまたは望まれる相の数を適合するという要件がもたらされる。
【0012】
このように、単相システムまたは多相システムのいずれかを含む、幾つかの異なる監視環境において、単一のタイプの計測ブロックを用いることを可能にする普遍的な計測ブロック技術および関連したデータ伝送方法を提供することが望ましい。
【0013】
次の特許を含む種々の開示は、計測および/または監視構成に関する設計に関係している。
【0014】
「Apparatus、Method and Article of Manufacture for Utility Monitoring」という名称の、Dawsonに付与された特許文献1は、個々のユーティリティ監視装置が、前のユーティリティ監視装置に局所的なユーティリティ・データを付加し、組み合わされたデータの組を、連続的に次のユーティリティ監視装置に伝送することができる、ユーティリティ監視構成を開示している。個々の監視装置は、全てが同じ種類のユーティリティ監視専用である必要はなく、寧ろ、これらに限定されるものではないが、電気、水道および天然ガスのような種々の消耗品を表すデータを種々の場所から収集することができる。データ伝送の開始は、明らかにユーティリティ・センタまたはユーティリティ・データ収集装置によって実行され、次に、以前のユーティリティ監視装置からのデータに基づいて連鎖的に総消費量を計算するのではなく、寧ろ、こうしたユーティリティ監視装置の各々についてのデータを解析する。
【0015】
「Revenue Meter With Integral Current Transformer」という名称のRedmyerに付与された特許文献2は、一体の変流器(CT)を有する収益計器を開示している。この収益計器には、計器のCTが他の計器のCTと連結されることを可能にするシリアル通信回路が設けられている。
【0016】
様々に使用可能にされる電気計器の付加的な例は、Petite他による「System And Method For Providing Remote Monitoring Of Consumption For A Utility Meter」という名称の特許文献3、Lewis他による「Three−Phase Electrical Power Measurement System Including Three Transformers And A Measurement Circuit To Calculate The Power Thereof」という名称の特許文献4、および、Oravetz他による「Energy Monitoring System For A Plurality Of Local Stations With Snapshot Polling From A Central Station」という名称の特許文献5を含む。
【0017】
上記の米国特許の開示は、本明細書において、引用により完全にここに組み入れられる。
【0018】
【特許文献1】米国特許第6,671,636 B2号明細書
【特許文献2】米国特許第6,064,192号明細書
【特許文献3】米国特許第6,836,737号明細書
【特許文献4】米国特許第6,373,238号明細書
【特許文献5】米国特許第5,384,712号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
電気計量の分野において種々の態様および代替的な実施形態が既知であるが、一般に、ここに参照される特徴、ならびに、電気サービスにおける電圧取得に関連し、かつ、より一般的な計量技術に関連した他の望ましい特徴を含む設計は現れていない。より具体的には、計量分野において種々の態様および代替的な特徴が既知であるが、本発明の技術による、以下に示されるようなモジュール式計量構成および対応する方法に基づいて顧客の選択肢を全体的に統合する設計は現れていない。
【課題を解決するための手段】
【0020】
従来技術が直面し、本発明が対処する、認識された特徴に鑑みて、測定データを得るための改善された方法および対応する装置を提供することが、本発明の目的である。さらに、より具体的な本発明の目的は、複数の場所から集められた測定データ、および/または、複数の測定データ・ソースに基づく測定データを取得し、および/または、伝送する際の改善を提供することに関する。
【0021】
さらに、本発明は、単相計測装置またはブロックをカスケード接続することに関する。
【0022】
この付加的な例示的な実施形態は、複数の計測ブロックからのデータを単に組み合わせて単一の連続的データ・ストリームにするという既知の概念を超え、代わりに、計測ブロックまたは装置のグループの最後のものによってストリーム・データ・ビットを付加する処理と結合された、量子データを連続的に流すことに関する本発明を利用し、全体的な多相エネルギー消費値を提供するものである。こうした例示的な実施形態において、より広範には、現在開示される技術による単相計測ブロックを用いて得られるエネルギー・データを、多相計測設計においてカスケード接続することが、本発明の目的である。
【0023】
より具体的には、単相計測ブロックからのデータのカスケード接続の使用を達成し、多相計測設計を生成する、改善された装置および対応する方法を提供することが、本発明の目的である。より具体的には、例示的な本発明は、チェーン状の第1の計測ブロックが同期ヘッドを開始し、チェーン状の次の計測ブロックの同期を可能にするように構成された、「デイジーチェーン接続」トポロジーの複数の単相計測ブロックを準備することに向けられる。こうした例示的な構成のデータは、下流側に送られ、前のブロックから受け取ったデータと連結された計測ブロック自体のデータを含んでいる。本発明によるこうした計測ブロックまたは装置によって測定されたエネルギーは、離散的な量子すなわち非常に少量のエネルギーでコード化され、データは、単一のワイヤを介して、こうしたチェーンに沿って、計測ブロックから計測ブロックに伝送されることが好ましい。こうした例示的なチェーンの実施形態における最後の計測ブロックまたは装置が、上流側計測ブロックの全てのエネルギー量を計算し、これにより、多相の製品を表すデータを得るために用いられる出力が生成される。
【0024】
さらに、こうした例示的な実施形態においては、有利なことに、こうした計測ブロックまたは装置が、実際の数の代わりに量子データを生成するので、エネルギーの一連の「ビット」ストリームの処理が非常に簡単になり、多相エネルギーの処理を計算するために、算術演算論理ユニットを必要とせず、寧ろ、基本的な加算器だけを必要とする。
【0025】
例示的な構成においては、同一の単相計測ブロックが、多相設計に用いるように構成される。
【0026】
現在のより簡単な形態の1つにおいて、相対的に上流側にある計測ブロックから受け取ったデータが、局所的な単相計測ブロックと組み合わせられ、下流側に送られ、次の計測ブロックからの付加的なデータと組み合わせられる。こうした例示的な実施形態の別の積極的な態様は、1つのタイプの計測ブロックだけを、単相システムまたは多相システムのための多数の計測構成に適合するように構築する必要があるというものである。
【0027】
本発明の特定の実施形態の態様によると、個々の計測ブロックから量子データを提供することによって、下流側の総エネルギー消費量の計算を簡単にし、よって、多相システムに必要な計算を減少させる方法が提供される。
【0028】
本発明の他の実施形態の特定の態様によると、多相構成のデータ伝送に必要とされる信号ライン数を減少させることによって、データ伝送要件を簡単にするための方法が開発された。
【0029】
本発明の付加的な目的および利点は、本明細書の詳細な説明に述べられており、あるいは、本明細書の詳細な説明から当業者には明らかであろう。また、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、ここに具体的に示され、言及され、説明された特徴、要素およびステップに対する修正および変形が、種々の実施形態においておよび本発明の使用において実施できることもさらに認識すべきである。変形物は、これらに限られるものではないが、示され、言及され、または、説明されたものに対する同等の手段、特徴、またはステップの置換え、ならびに、種々の部品、特徴、ステップ等を機能的、動作的または位置的に逆転させることを含むことができる。
【0030】
さらに、本発明の異なる実施形態、および、現在のところ好ましい種々の実施形態は、現在のところ開示されている特徴、ステップ、または要素、あるいはそれらの均等物の種々の組み合わせまたは構成(図には明白に示されていないか、あるいは、こうした図の詳細な説明に述べられていない特徴、部品、またはステップ、あるいはそれらの構成の組み合わせを含む)を含み得ることを理解すべきである。
【0031】
1つの現在の例示的な実施形態において、第1のデータ・コンバイナと、エネルギー関連データを生成するように構成される計測ボードと、第2のデータ・コンバイナとを含む計測装置が提供される。こうした例示的な実施形態においては、第1のデータ・コンバイナは、データ・ソースからのデータを、このような計測ボードによって生成されたデータとシリアルに組み合わせるように構成され、第2のデータ・コンバイナは、第1のデータ・コンバイナからの組み合わせられたデータを組み合わせ、複合エネルギー関連データを提供するように構成されることが好ましい。
【0032】
さらに別の例示的な本構成においては、各々が、第1のデータ・コンバイナと、エネルギー関連データを生成するように構成された計測ボードと、第2のデータ・コンバイナとを有する、逐次接続された複数の計測装置を含む多相計測システムが提供される。本発明によるこうした有利な構成において、複数の計測装置の各々の第1のデータ・コンバイナは、該第1のデータ・コンバイナから相対的に上流側にある計測装置からのデータを、計測ボードによって生成されたエネルギー関連データと組み合わせるように構成され、第2データ・コンバイナは、第1のデータ・コンバイナからの組み合わせられたデータを、更に別のデータと随意的に組み合わせるように構成される。
【0033】
本開示が装置および対応する方法の両方に等しく関係していることは、当業者によってよく理解されるはずである。例えば、更に別の例示的な本実施形態は、各々が、第1のデータ・コンバイナと、エネルギー関連データを生成するための計測ボードと、第2のデータ・コンバイナとを含む複数のエネルギー監視装置を準備するステップを含む、エネルギーを監視する方法に関する。こうした例示的な方法は、複数のエネルギー監視装置を逐次構成で接続するステップと、逐次構成の複数のエネルギー監視装置の第1のものの第1のデータ・コンバイナからの信号を、逐次構成の複数のエネルギー監視装置の第2のものの計測ボードからのエネルギー関連データと組み合わせるステップと、逐次構成の複数のエネルギー監視装置の第2のものの第2のデータ・コンバイナからの出力を監視することによって、監視された総エネルギー量を求めるステップとをさらに含む。
【0034】
本発明のさらに別の例示的な方法の実施形態は、単相計測ブロックからのデータをカスケード接続し、多相計測設計を生成する方法に関する。このような方法は、チェーン内の第1の計測ブロックが同期ヘッダを開始し、チェーン内の次の計測ブロックの同期を可能にするように構成された、デイジーチェーン接続トポロジーの複数の単相計測ブロックを準備するステップと、非常にわずかなエネルギー量の離散的な量子でコード化された、計測ブロックによって示されるエネルギー測定値を用いて、計測ブロックから下流側にデータを送り、任意の前の計測ブロックから受け取ったデータと連結されたこうした計測ブロック自体のデータを含ませるようにするステップと、デイジーチェーン接続トポロジー内の最後の計測ブロックを用いて、上流側計測ブロックの全てのエネルギー値を計算することにより、多相エネルギー値を表すデータを得るのに用いられる出力を生成するステップとを含むことができる。このような方法を用いると、データ・ストリームの処理は、多相エネルギーを計算するために、算術演算論理ユニットを必要とせず、寧ろ、有利に基本的な加算器だけを必要とする。
【0035】
本発明の付加的な実施形態は、必ずしも要約部分に示されていないが、上記の要約された目的において参照された特徴、部品、またはステップ、および/または、本出願において他の方法で説明された他の特徴、部品、またはステップの態様の種々の組み合わせを含み、かつ、組み込むことができる。当業者であれば、明細書の残りの部分を検討するとき、こうした実施形態の特徴および態様、ならびに他のものを、より良く理解するであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
当業者に向けられた、最良の形態を含み、添付の図面を参照する本発明の完全で実施可能な開示が、本明細書中に説明される。
【0037】
本明細書および添付図面の全体にわたる参照文字の繰り返し使用は、本発明の同じまたは類似した特徴、要素またはステップを表すように意図されている。
【0038】
発明の開示部分に説明されるように、本発明は、特に、計測の単相計測装置またはブロックをカスケード接続して多相計測データを取得し、および/または、これと共に他の利点を達成するための、特に、計測法のための改善された装置および改善された方法の両方に関するものである。
【0039】
開示された技術の態様の選択された組み合わせは、本発明の複数の異なる実施形態に対応する。ここに示される、および/または、説明される例示的な実施形態の各々は、本発明の制限をほのめかすものではないことに留意すべきである。1つの実施形態の一部として示される、または、説明される特徴またはステップを(装置に関するものであろうと、方法に関するものであろうと)、別の実施形態の態様と組み合わせて使用し、更に別の実施形態を生み出すことができる。さらに、特定の特徴は、同じ機能または類似した機能を実行する、明白には述べられていない類似した装置、特徴、またはステップと置き換えることができる。
【0040】
ここで、本計測システムの現在のところ好ましい実施形態、および、対応する方法に関して、詳細に説明される。
【0041】
ここで図面を参照すると、図1は、複数の好ましい同一の単相計測ブロックまたは装置がシリアルに接続され、多相計測能力を生成する、本発明の例示的な構成を示す。図1から分かるように、三相システムにデータを提供するように、図2を参照して以下により完全に説明されるデータ伝送フレームを用いて、データ・ライン108、118、および128上で、それぞれエネルギー・データ102、112、および122のブロックをシリアル伝送するために結合された、それぞれ3つの例示的な計測ブロック100、110、および120が示される。
【0042】
本技術は、所望の任意の数でデータをシリアル伝送するために結合させることができる、好ましくは2重の単相ブロックを提供するという概念に、少なくとも部分的に向けられるので、示される相の数は、本発明を制限するものでも、本発明に不可欠なものでもないことを認識すべきである。本明細書、特許請求の範囲、および図面の完全な開示に基づいて当業者によって理解されるように、示される2重の単相ブロックの構成はまた、全てが相対的な上流関係および下流関係を有する、逐次構成すなわち「デイジーチェーン接続」構成で提供される2重の単相ブロックと見なすこともできる。
【0043】
図1をさらに参照すると、「ブロックN」とも示される計測ブロック110が、相対的に上流側に有効に複製(duplicate)され、ブロックN−1(100)の表示で示され、一方、相対的に下流側にも有効に複製され、ブロックN+1(120)の表示で示される。示されるように、ブロックN−1(100)は、その局所的データNを収集し、これをエネルギー・データN−1(代表的な参照文字102を参照されたい)として収集し、かつ、関連した通信ライン108上に配置し、ブロックN(110)に伝送する。次に、ブロックN(110)は、図2に関してさらに説明されることになる方法で、加算装置または加算器116を用いて、その収集された局所的データN(代表的な参照文字114を参照されたい)を、計測ブロック100からのデータ・ストリームと組み合わせ、次に、上流側のこうした組み合わせられたデータ112を計測ブロックN+1(参照文字120を参照されたい)に送る。最後に、こうした計測ブロックN+1または装置120は、その局所的データNを、ブロックN(110)からの以前に組み合わせられたデータのものと組み合わせ、ここに示される例示的な3相システムにおける全ての3つのブロック100、110および120からの組み合わせられたデータとして、それぞれのライン128上にデータ122を提供する。
【0044】
こうしたな図1から分かり、理解できるように、このような、好ましくは同一の計測ブロックまたは装置100、110および120の各々は、こうした例示的な一連のまたはシーケンスのこうしたブロック内の「最後の」計測ブロックにおいて、随意的に使用し、入力ライン118´を介して付加的なデータを、表示装置へのLEDパルス表示のようなライン128上の組み合わせられたデータとさらに組み合わせることができる、データ組み合わせ要素116´も含んでおり、このデータ組み合わせ要素は、一連のブロック100、110および120の最後の計測ブロックと(または、幾つかの実施形態においては、一連のブロック100、110および120の各々の計測ブロックと)関連付けることができる。
【0045】
本技術によると、1つの相対的に上流側計測ブロックから次のものに伝送されたデータは、連続的データ・ストリームの中に組み合わせられ、組み合わされたデータ・ストリームが、所定のシーケンスの計測ブロック内の最後のブロックに達するまで、次の計測ブロックに再伝送される。この経路に沿って、こうした組み合わせられ、再伝送されたデータ・ストリームは、こうしたデータ・ストリームを、受信ブロックの量子化エネルギーと組み合わせることも必要とし、このような方法で、受信ブロックのワット時パルス出力が、それ自体および全ての上流側装置からの組み合わせられた総エネルギーを有利に常に反映させることができる。図2を参照してさらに説明されるように、全ての上流側計測ブロックのエネルギーを計算するように、計測ブロックのチェーン内の最後のブロックを構成し、よって、多相の製品のエネルギー消費量または生成量をリアルタイムで得るために用いられる出力を、カスケード接続された単相計測ブロックから提供することができる。本例において、「リアルタイム」は、数百マイクロ秒内の時間枠に相当するものと考えることができる。
【0046】
ここで図2を参照すると、個々の計測ブロックからの局所的データを、存在するならば、所定のシーケンスの計測ブロックにおける上流側計測ブロックからのデータと組み合わせるための、本発明による例示的な方法が示されている。本技術のこの例示的な実施形態の有用な側面は、測定されたエネルギーが、離散的な量子でコード化されるという点である。選択されるエネルギー量は、例えば、相対的に高い度数率で生成される、非常に少量の測定エネルギーである。このように測定エネルギーを少量の離散的な量子で好ましく報告することは、こうした計測ブロックの較正プロセスが、良好な分解能を用いてエネルギーを短時間でカウントまたは計量し、良好な精度の測定値を提供することを可能にする。この例示的な構成において、各々の量は、製品の精度な測定値のために用いられるLEDパルスの1/2048となるように選択することができる。
【0047】
エネルギー量の実際の数の代わりに好ましくエネルギー量子を用いる1つの側面は、こうした処理が、多相エネルギーを測定する際の計算のために、算術演算論理ユニットを必要とせず、代わりに基本的な加算器だけを必要とするので、エネルギーの連続的ビット・ストリームの処理が、有利に非常に簡単になる点である。
【0048】
したがって、例えば、データ・ストリームにおいては、本発明によると、量「+1」を用いて正の量子を示すことができ、量「−1」を用いて負の量子を示すことができる。
【0049】
本方法によって、本技術に従って行われる測定を用いて、エネルギーの生成量またはエネルギーの消費量、あるいは、生成量および消費量両方の組み合わせのいずれかを測定できることをさらに認識すべきである。このことを考慮すると、関心ある測定が行われることになる特定の環境に関して、正の量子または負の量子を有利に見ることができることが簡単に分かる。
【0050】
さらに図2を参照すると、例示的な計測ブロックのデータ組み合わせの態様が、代表的なデータ入力ライン210で開始するものとして示される。こうしたデータ入力ライン210は、実際には、図1のライン108に対応することが好ましいが、代表的なデータ・ストリーム220は、図1のブロックN−1(参照文字100)からのエネルギー・データを代表的に示した図1のデータ・ストリーム102に対応することができる。
【0051】
こうした例示的なデータ・ストリーム220に示されるように、データ・ストリームは少なくとも4つの部分またはタイムスロットにセグメント化できることが好ましい。代表的な第1のスロット222は、同期信号のタイムスロットに対応することができる。多相エネルギー測定システムにおいては、所定のシーケンスにおける第1の計測ブロックは、下流側計測ブロックがそれらの動作を同期させ得る同期(sync)信号を始動させ、個々のデータビットの適切なタイムスロットの挿入を確実にするように構成される。
【0052】
この図2に示されるように、代表的なデータ・ストリーム220は、前述の同期信号222、さらに続いて、各々が個々の計測ボードの位置からのデータスロットを示す、更なるそれぞれのタイムスロット224、226および228に対応する。
【0053】
示されるデータ・ストリーム220が、こうした一連の計測ボード内の第2の計測ボードで受信できるデータ・ストリームを表すものとして示される例示的な例においては、データを、データ・ストリームの全てのスロット内に含ませることができないことを、本説明から理解すべきである。さらに、ここに示される場合のように、特化されたデータをタイムスロットの選択されたものに挿入し、これにより特別の環境を示すことが可能である。
【0054】
本発明に従った、こうした潜在的な特化したデータビットの例として、図2のスロット226(スロットN−2と表記される)において、「AC」という名称が表示されていることに留意することができる。こうした例示的なデータ値は、「アンチクリープ」値、すなわち、特定のタイムスロットによって示される計測ボード内に電流フローがないことを示す値を表す名称である。さらに、タイムスロット228において、例示的な名称の「NC」が表示されており、この例において、これは、対応するタイムスロットまたは表示されるタイムスロット内に接続される計測ボードはないことを示すように選択されたデータ値を表すように意図される。付加的な特化した名称を、要求に応じてまたは所望のように提供することができ、これらは、計測ブロックが接続されるが、送る量子を有していないことを示す「IDLE」のような名称を含むことができる。別の例は、エラーが発生したことを示す名称「ER」である。当然のことながら、所望のシステム動作または制約に基づいて、必要に応じてまたは所望のように、本発明によって他の名称を提供することもできる。
【0055】
さらに図2を参照すると、計測ブロック110(図1)がその局所的データ(それぞれ計測ブロック230および「スロットN」として図2に現在示されている)を作成するので、生成されるデータは、代表的なデータ・コンバイナ240によってデータ・ライン210で受信されたデータと連結され、代表的な出力データ・ライン250上に結果として生じる例示的なデータ・ストリーム260を生成する。現在表されている例示的な構成に見られるように、正の量子に対応する「+1」のデータ値は、スロットNの計測ブロック110によって測定されるものとして示すことができる。したがって、データ・ストリーム260で示されるように、例示的な代表的な同期スロットの262後の、こうした第1のスロット264は、今や、示される正の「1」の名称で反映されるような、スロットNで測定されるエネルギーの正の量子を表すデータを含んでいる。
【0056】
同様に、スロットN−1においては、着信するデータ・ライン210上に現れるが、今や、ライン250上の代表的な出力データ・ストリームにおける同期スロット後の例示的な第2のスロット266にシフトされるので、スロットN−1の「−1」の名称に対応する負のエネルギー量子「−1」が示される。同様に、以前の入力データ・ライン210のデータスロットは、ライン250上の出力データ・ストリームにおける同期スロット262後の同期スロット222が代表的な第3のスロット268にシフトした後に第2のスロット266を占める。
【0057】
局所的データの計測ブロックまたは装置(あるいは、ボード)からのデータを前に受信したデータに連結させる、こうしたプロセスは、こうした計測装置の所定のシーケンスにおける最後の計測ブロック/装置/ボードが達成されるまで続く。所定のシーケンスにおける最後のこうした計測装置が、局所的データを前に受信したデータに連結させると、単に最後のデータ・ストリームの各スロットに格納された値を付加することにより、本発明に従った多相エネルギーを測定することができる。ここに示されるように、代表的なデータ・ストリーム260が最後のデータ・ストリームであると仮定すると、測定される多相エネルギーは、スロット264における単一の「+1」値とスロット266における単一の「−1」値との加算に基づいてゼロに相当する。
【0058】
本発明が、その特定の実施形態に関して詳細に説明されたが、当業者であれば、前述の理解を達成したとき、このような実施形態の代替物、変形物、および均等物を容易に生成できることが理解されるであろう。したがって、本開示の範囲は、制限としてではなく、例示としてのものであり、本開示は、当業者には容易に明らかであるように、本発明へのこのような修正物、変形物、および/または付加物を含むことを除外するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明(装置および方法の両方に関して)によって、多相計測法を提供するための、複数の同一の単相計測ブロックのシリアル接続を代表的に示す。
【図2】例示的な本方法および例示的な装置によって、個々の計測ブロックからの局所的データを上流側のデータと組み合わせることを含む、本態様を示す。
【符号の説明】
【0060】
100、110、120:計測ブロック
102、112、122:エネルギー・データ
108、118、128:データ・ライン
116 加算器
116 データ組み合わせ要素
118 入力ライン
130 LEDパルス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のデータ・コンバイナと、
エネルギー関連データを生成するように構成された測定ボードと、
第2のデータ・コンバイナと、
を備え、
前記第1のデータ・コンバイナは、データ・ソースからのデータを、前記計測ボードによって生成されたデータとシリアルに組み合わせるように構成され、
前記第2のデータ・コンバイナは、前記第1のデータ・コンバイナからの組み合わせられたデータを組み合わせて複合エネルギー関連データを提供するように構成されることを特徴とする計測装置。
【請求項2】
前記計測ボードは、エネルギー消費データを生成するように構成されることを特徴とする請求項1に記載の計測装置。
【請求項3】
前記計測ボードは、エネルギー生成データを生成するように構成されることを特徴とする請求項1に記載の計測装置。
【請求項4】
前記計測ボードは、所定のエネルギー量の測定に対応する量子化エネルギー・データを生成するように構成されることを特徴とする請求項1に記載の計測装置。
【請求項5】
前記第1のデータ・コンバイナは、前記計測ボードからのエネルギー関連データをデータ・ソースからのデータと連結するように構成され、
前記第2のデータ・コンバイナは、前記連結されたデータに基づいて、総エネルギー消費量に関連したデータを生成するように構成されることを特徴とする請求項4に記載の計測装置。
【請求項6】
逐次結合され、各々が、
第1のデータ・コンバイナと、
エネルギー関連データを生成するように構成された計測ボードと
第2のデータ・コンバイナと、
を含む複数の計測装置を備え、
前記複数の計測装置の各々の前記第1のデータ・コンバイナは、相対的に上流側にある計測装置からのデータを、前記計測ボードによって生成されるエネルギー関連データと組み合わせるように構成され、前記第2のデータ・コンバイナは、前記第1のデータ・コンバイナからの組み合わせられたデータを、更に別のデータと随意的に組み合わせるように構成されることを特徴とする多相計測システム。
【請求項7】
前記複数の計測装置の前記計測ボードの各々は、エネルギー消費データを生成するように構成されることを特徴とする請求項6に記載の多相計測システム。
【請求項8】
前記複数の計測装置の前記計測ボードの各々は、エネルギー生成データを生成するように構成されることを特徴とする請求項6に記載の多相計測システム。
【請求項9】
前記複数の計測装置の各々の前記計測ボードの各々は、所定のエネルギー量の測定に対応する量子化エネルギー・データを生成するように構成されることを特徴とする請求項6に記載の多相計測システム。
【請求項10】
前記複数の計測装置の各々の前記第1のデータ・コンバイナは、相対的に上流側にある計測ボードからのエネルギー関連データを、データ・ソースからのデータと連結するように構成され、
前記第2のデータ・コンバイナは、前記連結されたデータに基づいて、総エネルギー消費量に関連したデータを生成するように構成されることを特徴とする請求項9に記載の多相計測システム。
【請求項11】
前記複数の計測装置の前記第1の計測装置は、相対的に下流側にある計測ブロックを同期させる同期信号を開始するように構成されることを特徴とする請求項10に記載の多相計測システム。
【請求項12】
逐次式の前記複数の計測装置の最後の計測装置は、前記連結されたデータを代数的に加算することによって、総エネルギー消費量に関連したデータを生成するように構成されることを特徴とする請求項10に記載の多相計測システム。
【請求項13】
エネルギーを監視する方法であって、
各々が、第1のデータ・コンバイナと、エネルギー関連データを生成するための計測ボードと、第2のデータ・コンバイナとを含む、複数のエネルギー監視装置を準備するステップと、
前記複数のエネルギー監視装置を逐次構成で結合させるステップと、
逐次構成の前記複数のエネルギー監視装置の第1のものにおける第1のデータ・コンバイナからの信号を、逐次構成の該複数のエネルギー監視装置の第2のものの前記計測ボードからのエネルギー関連データと組み合わせるステップと、
逐次構成の前記複数のエネルギー監視装置の第2のものにおける前記第2のデータ・コンバイナからの出力を監視することによって、監視される総エネルギー量を求めるステップと
を含むことを特徴とする方法。
【請求項14】
各々の計測ボードによって提供される前記エネルギー関連データが、エネルギー消費データを備えることを特徴とする請求項13に記載のエネルギーを監視する方法。
【請求項15】
各々の計測ボードによって提供される前記エネルギー関連データが、エネルギー生成データを備えることを特徴とする請求項13に記載のエネルギーを監視する方法。
【請求項16】
逐次構成の前記複数のエネルギー監視装置の第1のものにおける第1のデータ・コンバイナからのデータを、逐次構成の該複数のエネルギー監視装置の第2のものにおける第1のデータ・コンバイナからのデータと連結させるステップをさらに含むことを特徴とする請求項13に記載のエネルギーを監視する方法。
【請求項17】
エネルギー量子データに対応するエネルギー関連データを提供するように前記計測ボードの各々を構成するステップをさらに含むことを特徴とする請求項16に記載のエネルギーを監視する方法。
【請求項18】
逐次構成の前記複数の測定装置の前記第1の測定装置を構成して同期信号を開始し、相対的に下流側にある逐次構成の測定装置を同期させるステップをさらに含むことを特徴とする請求項16に記載のエネルギーを監視する方法。
【請求項19】
前記複数の計測装置の前記最後の計測装置を逐次構成で構成し、前記連結されたデータを代数的に加算し、総エネルギー消費量に関連したデータを生成するステップをさらに含むことを特徴とする請求項16に記載のエネルギーを監視する方法。
【請求項20】
付加的なデータを、逐次構成の前記複数のエネルギー監視装置の前記第2のデータ・コンバイナの1つまたはそれ以上に供給するステップをさらに含むことを特徴とする請求項16に記載のエネルギーを監視する方法。
【請求項21】
単相計測ブロックからのデータをカスケード接続し、多相計測設計を生成する方法であって、
チェーン内の前記第1の計測ブロックが同期ヘッダを開始し、チェーン内の次の計測ブロックの同期を可能にするように構成された、デイジーチェーン接続トポロジーの複数の単相計測ブロックを準備するステップと、
非常にわずかなエネルギー量の離散的な量子でコード化された前記計測ブロックによって表されるエネルギー測定値を用いて、計測ブロックから下流側にデータを送り、任意の前の計測ブロックから受け取ったデータと連結されたこうした計測ブロック自体のデータを含ませるようにするステップと、
前記デイジーチェーン接続トポロジー内の前記最後の計測ブロックを用いて、上流側計測ブロックの全てのエネルギー量を計算することにより、多相エネルギー値を表すデータを取得するのに用いられる出力を生成し、データ・ストリームの処理が、多相エネルギーを計算するために、算術演算論理ユニットを必要とせず、寧ろ、基本的な加算器だけを必要とするようになるステップと
を含むことを特徴とする方法。
【請求項22】
前記データが、単一のワイヤを介し、デイジーチェーン接続構成に沿って、計測ブロックから計測ブロックに伝送されることを特徴とする、請求項21に記載の単相計測ブロックからのデータをカスケード接続し、多相計測設計を生成する方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate