説明

カスタマイズ熟成が可能な熟成装置及びその方法

【課題】本発明は、ユーザーの好む熟成度を容易に記憶し、記憶された熟成度を選択することによって、ユーザーの好む物品の熟成度を繰り返して得ることができるカスタマイズ熟成が可能な熟成装置及びその方法を提供する。
【解決手段】本発明によるカスタマイズ熟成が可能な熟成装置及びその方法は、貯蔵室の物品を熟成する熟成部と;前記物品の初期熟成条件を選択する熟成条件設定部と;前記初期熟成条件により熟成が進行される前記物品が所定の熟成状態になる場合、前記熟成状態までの熟成条件を記憶するように選択するための記憶キーを有する入力部と;前記熟成部を制御して、前記記憶キーが選択される場合、熟成の開始後前記記憶キー選択時までの熟成時間及び前記各熟成時間での熟成温度をカスタマイズ熟成条件として保存する制御部を含むことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カスタマイズ熟成が可能な熟成装置及びその方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ワイン、味噌、醤油、キムチ、お酢、チーズなどは、その製造過程で特定時間、温度、湿度などの条件下で熟成させて、各々特殊な香りと味を持つようにした後、使用することが一般的である。
【0003】
熟成方法は、熟成を要する物品によって各々異なる。キムチの場合は、従来には、キムチを漬けた後にキムチ壷のような貯蔵容器に入れて、地中に埋めたり、室温に一定時間放置する方法が一般的であった。最近ではキムチを熟成、及び冷蔵保管するキムチ専用の冷蔵庫を使用している傾向である。このようなキムチ冷蔵庫に一般的な構成に関しては、韓国特許出願第1998-0055876号などに開示されている。
【0004】
一方、キムチ冷蔵庫で貯蔵されたキムチを熟成して、冷蔵保管する方法としては、熟成する温度と熟成時間を直接入力して、熟成を遂行した後、冷蔵保管する手動熟成と、キムチの種類と熟成程度により熟成条件が予め設定された自動熟成ボタンを選択して、自動的に選択された段階まで熟成を進行した後、冷蔵保管モードに転換する自動熟成がある。
【0005】
しかし、前述した手動熟成の場合、使用者は好む熟成度の物品を得るために、熟成を進行する過程でキムチの熟成度を確認するため、反復的に味とにおいを確認しなければならない不便があった。
【0006】
また、自動熟成機能を有するキムチ冷蔵庫の場合にも、代表的な熟成物品の熟成条件が予め設定された一つ以上の自動熟成キーを提供しているが、選択できる醗酵物品の種類及び熟成度が製造時に一律的に設定されて出荷されるため、その選択の幅が制限される。従って、カスタマイズされた熟成度が使用者の好みに合わない場合には、前述した手動熟成の不便さがそのまま再現される問題点があった。
【特許文献1】韓国特許出願第1998-0055876号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、ユーザーの好む熟成度を容易に記憶できて、記憶された熟成度を選択することによって、ユーザーの好む物品の熟成度を続けて得ることができるカスタマイズ熟成が可能な熟成装置及びその方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的は、本発明により、物品の貯蔵のための収容空間が形成された貯蔵室を有する熟成装置において、前記貯蔵室内の物品を熟成するための熟成部と;前記物品の初期熟成条件を選択する熟成条件設定部と;前記初期熟成条件により熟成が進行される前記物品が所定の熟成状態になる場合、前記熟成状態までの熟成条件を記憶する記憶キーを有する入力部と;前記熟成部を制御して、前記記憶キーが選択される場合、熟成の開始後前記記憶キー選択時までの熟成時間及び前記各熟成時間での熟成温度をカスタマイズ熟成条件として保存する制御部を含む熟成装置により達成される。
【0009】
ここで、前記熟成条件設定部は、前記物品の熟成温度を設定する熟成温度設定キーと、前記物品の熟成時間を設定する熟成時間設定キーを有することができる。
【0010】
前記熟成条件設定部は、前記物品の種類及び熟成度により、熟成時間及び前記熟成時間による熟成温度が予め保存された自動熟成キーを有することができる。
【0011】
前記カスタマイズ熟成条件が保存されたことが表示される記憶表示部をさらに含み、前記制御部は、前記記憶キーの選択時に、前記カスタマイズ熟成条件値が保存されたことを前記記憶表示部に表示できる。
【0012】
前記制御部は、複数のカスタマイズ熟成条件を保存できる。
【0013】
前記入力部には、保存される前記カスタマイズ熟成条件の数に対応する前記記憶キー及び前記記憶表示部が各々形成できる。
【0014】
前記入力部には、一つの前記記憶キーと、前記カスタマイズ熟成条件の数に対応する複数の記憶表示部が形成できる。
【0015】
前記制御部は、前記記憶キーが選択される場合、前記物品の熟成が完了された後、冷蔵保管状態に転換されるように前記熟成部を制御できる。
【0016】
前記熟成部は、前記貯蔵室を加熱させる加熱部及び前記貯蔵室を冷却させる冷却部のうち一つ以上を含むことができる。
【0017】
一方、前記貯蔵室内の温度を感知する温度感知センサーと;前記貯蔵室内の物品の熟成時間をカウントするタイマーをさらに含み、前記制御部は、前記カスタマイズ熟成条件が設定された前記記憶キーが再び選択される場合、前記温度感知センサーの感知結果と前記タイマーがカウントした熟成時間に基づいて、前記物品が前記カスタマイズ熟成条件により熟成されるように、前記熟成部を制御することができる。
【0018】
前記制御部は、前記物品が前記カスタマイズ熟成条件により熟成が完了された場合、前記物品が冷蔵保管状態に自動転換されるように前記熟成部を制御する。
【0019】
前記物品が前記カスタマイズ熟成条件により熟成が完了された場合、前記制御部により、前記物品の熟成が完了したことを知らせる警報部をさらに含むことができる。
【0020】
一方、前記目的は、本発明により、物品の保存のための収容空間が形成された貯蔵室を有する熟成装置において、前記貯蔵室内の物品を熟成する熟成部と;前記物品の初期熟成条件を選択する熟成条件設定部と;前記初期熟成条件により熟成が進行される前記物品が所定の熟成状態になる場合、前記熟成状態までの熟成条件を記憶する少なくとも一つの記憶キーを有する入力部と;前記熟成条件が保存されるメモリー部と;前記熟成部を制御して、前記記憶キーが選択される場合、熟成開始後前記記憶キー選択時までの熟成時間及び前記各熟成時間での熟成温度をカスタマイズ熟成条件として前記メモリー部に保存する制御部を含む熟成装置によっても達成される。
【0021】
ここで、前記熟成条件設定部は、熟成温度設定キー及び自動熟成キーのうち一つ以上を有するようにできる。
【0022】
前記メモリー部に前記カスタマイズ熟成条件が保存されたことを表示する記憶表示部をさらに含み、前記制御部は、前記記憶キー選択時、前記カスタマイズ熟成条件が保存されたことを前記表示部に表示することができる。
【0023】
前記メモリー部には、前記制御部により、複数のカスタマイズ熟成条件が保存できる。
【0024】
前記制御部は、前記記憶キーが選択される場合、前記物品が熟成を完了して冷蔵保管状態に転換されるように前記熟成部を制御するようにできる。
【0025】
前記熟成部は、前記貯蔵室を加熱させる加熱部及び前記貯蔵室を冷却させる冷却部のうち一つ以上を含むことができる。
【0026】
一方、前記貯蔵室内の温度を感知するための温度感知センサーと;前記貯蔵室内の物品の熟成時間をカウントするタイマーをさらに含み、前記制御部は、前記カスタマイズ熟成条件が設定された前記記憶キーが再び選択される場合、前記温度感知センサーの感知結果及び前記タイマーがカウントする熟成時間に基づいて、前記物品が前記カスタマイズ熟成条件により熟成されるように前記熟成部を制御できる。
【0027】
前記制御部は、前記物品が前記カスタマイズ熟成条件により熟成が完了された場合、前記物品が冷蔵保管状態に自動的に転換されるように前記熟成部を制御できる。
【0028】
前記物品の熟成が完了する場合、前記制御部により、前記物品の熟成が完了したことを知らせる警報部をさらに含むことができる。
【0029】
一方、前記目的は、本発明により、物品の熟成時間及び前記各熟成時間での熟成温度をカスタマイズ熟成条件として記憶して保存するカスタマイズ熟成方法において、熟成を要する物品を前記貯蔵室に貯蔵する段階;前記貯蔵室内の物品の初期熟成条件である熟成時間及び熟成温度を設定する段階;前記貯蔵室内の前記物品を前記初期熟成条件により熟成する段階;前記物品の熟成時間をカウントして各熟成時間での熟成温度を熟成条件として保存する段階;前記物品が所定の熟成状態になる場合、前記熟成状態までの熟成条件を記憶するように記憶キーを選択する段階;前記記憶キー選択時の前記熟成条件をカスタマイズ熟成条件として保存する段階を含むカスタマイズ熟成方法によっても達成できる。
【0030】
ここで、前記記憶キーが選択される場合、前記物品の熟成が完了されて冷蔵保管状態に自動転換される段階をさらに含むことができる。
【0031】
一方、熟成を要する物品を前記貯蔵室に再び保存貯蔵段階;前記保存されたカスタマイズ熟成条件を前記記憶キーを通して選択する段階;前記貯蔵室の前記物品前記カスタマイズ熟成条件により熟成する段階をさらに含むことができる。
【0032】
前記カスタマイズ熟成条件により前記物品の熟成が完了される場合、前記物品が熟成を完了して冷蔵保管状態に自動的に転換される段階をさらに含むことができる。
【0033】
前記物品の熟成が完了する場合、前記物品の熟成が完了したことを知らせる段階をさらに含むようにできる。
【発明の効果】
【0034】
本発明により、カスタマイズ熟成が可能な熟成装置及びこれを利用したカスタマイズ熟成方法により、ユーザーの好む熟成度を容易に記憶し、記憶された熟成度を選択することによって、一定の熟成度の物品を繰り返して得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
以下、添付図を参照して、本発明について詳細に説明する。
まず、本発明の実施形態を具体的に説明するため、キムチ冷蔵庫を例として説明するが、本発明はこれに限定されず、熟成を要するすべての物品に対する熟成装置または貯蔵装置に対しても適用できることを予め明らかにする。
【0036】
図1は、本発明によるカスタマイズ熟成が可能な熟成装置の構成を示したブロック図で、図2は、図1の熟成装置の断面図である。図面を参照すると、本発明による熟成装置10は貯蔵室50と、貯蔵室50を加熱及び冷却させる熟成部60、熟成条件設定部45、入力部70及び制御部30を含む。一方、本発明による熟成装置10は、温度感知センサー21、タイマー25、表示部80、警報部90及びメモリー部40をさらに含む。
【0037】
貯蔵室50は、本体15の内部に物品を貯蔵できるように収容空間を形成する。貯蔵室50は、本体15内部に一つだけ形成されることもできて、必要に応じて多数で形成されることもできる。貯蔵室50が多数形成される場合、各貯蔵室50は断熱材で区画されて、貯蔵室50全体が同一に作動することもできて、各貯蔵室50が独立的に熟成及び冷蔵保管機能を遂行することもできる。
【0038】
熟成部60は、加熱部61及び冷却部65のうち少なくともいずれか一つで形成されて、前記貯蔵室50内の物品を熟成及び冷蔵保管させる。例えば、熟成部60は、室温が熟成温度及び冷蔵保管温度より低い場合には、加熱部61だけ形成されて、室温が熟成温度及び冷蔵保管温度より高い場合には、冷却部65だけ形成される。もちろん、加熱部61及び冷却部65が共に形成されることもできる。ここで、加熱部61は、特に制約はないが、電気抵抗発熱体で形成され、冷却部65は圧縮機を含んだ冷凍サイクルで構成できる。この場合、各貯蔵室50の4面を冷媒管とヒーターが囲む形態で構成できる。
【0039】
熟成条件設定部45は、貯蔵室50の物品の初期熟成条件を設定するように形成される。熟成条件設定部45は、図3乃至図5に図示された通り、使用者が直接熟成温度と熟成時間を設定できるように熟成温度設定キー46a、及び設定された熟成温度を示すための熟成温度表示部46bが形成される。熟成条件設定部45のキー構成及び表示方法は、図3に図示された例に限定されず、その他多様な方法で表示される。例えば、一つの熟成温度設定キー46aが形成されて、繰り返して押す場合、熟成温度が変換されるように形成されて、0から9までの数字キーが各々形成されて、熟成温度を直接入力するように形成されることもできる。また、熟成温度表示部46bも設定された熟成温度が数字で表示されるように形成されることもできて、その他多様な方法で形成されることもできる。
【0040】
熟成条件設定部45は熟成を進行する時間を入力するための熟成時間設定キー47aと、設定時間表示部47bをさらに含める。例えば、使用者は白菜キムチを熟成するために熟成温度設定キー46aを利用して、熟成温度を22℃に設定して、熟成時間を29時間に設定して、熟成を進行できる。熟成時間設定キー46a及び設定時間表示部47bのキー構成及び表示方法も図3に図示された例に限定されず、熟成温度設定キー46a及び設定温度表示部46bと共に多様な形態で形成される。
【0041】
一方、初期熟成条件は、熟成される物品により異なって形成される。例えば、熟成温度は、一つの値で一定に保つこともできて、熟成時間により多数の値を有することもできる。例えば、白菜キムチを熟成温度22℃で29時間熟成することもできて、22℃で15時間熟成した後、25℃で5時間熟成するように設定することもできる。また、特定熟成時間を設定しないで、熟成温度のみを設定して、熟成を進行することもできる。
【0042】
熟成条件設定部45は、図6に図示された通り、熟成される物品の種類及び熟成度により予め熟成温度及び熟成時間が保存された自動熟成キー48a、48b、48cで形成される。この場合、制御部30は、自動熟成キー48a、48b、48cを選択することによって、予め保存された熟成条件により熟成を遂行するように熟成部60を制御できる。自動熟成キー48a、48b、48cの上部には、自動熟成キー48a、48b、48cのうちいずれか一つが選択されたことを示す自動熟成選択表示部48dがさらに形成される。
【0043】
図3乃至図5は、本発明の具体的な実施形態として、手動熟成運転方式のキムチ冷蔵庫において入力部70及び表示部80の多様な実施形態を示した図で、図6は、自動熟成運転方式のキムチ冷蔵庫においての入力部70及び表示部80の一実施例を示した図である。
【0044】
まず、図3を参照すると、入力部70は、熟成モード運転を選択する熟成キー71と、熟成を完了した後、冷蔵保管モード運転に転換する冷蔵保管キー73、使用者の好みに合う熟成状態での熟成条件を記憶する記憶キー75及び熟成装置の作動のための電源キー77を含む。
【0045】
熟成キー71は、手動熟成機能を有する熟成装置で、熟成条件設定部45により初期熟成条件が設定された後に、手動で熟成を開始できるように形成されて、熟成キー71が選択されると、制御部30により熟成部60が作動して、貯蔵室50の温度を設定された熟成温度になるように加熱する。
【0046】
記憶キー75は、物品の熟成程度が使用者の記憶させようとする特定熟成状態になった場合、これを記憶するために選択される。記憶キー75が選択されると、制御部30は、記憶キー75の選択時までタイマー25がカウントする全体熟成時間と各熟成時間での熟成温度を保存する。ここで、記憶キー75は、使用者が記憶させようとするカスタマイズ熟成条件の個数に合わせて適正な数で形成される。図3は、一つのカスタマイズ熟成条件の保存が可能な場合、図4及び図5は、3個のカスタマイズ熟成条件の保存が可能な場合を示す。もちろん、記憶キー75は、必要により4ケ以上で形成されることもできる。
【0047】
ここで、既に使用者により、第1記憶キー75aの選択を通し、カスタマイズ熟成条件が保存されている場合にも、後にまた第1記憶キー75aを選択することによって、他のカスタマイズ熟成条件を再記憶できることは言うまでもない。
【0048】
一方、記憶キー75の個数は、保存可能なカスタマイズ熟成条件の個数と一致しないことがある。例えば、図5に図示された通り、3個のカスタマイズ熟成条件の保存が可能な場合でも、カスタマイズ熟成条件選択が可能な選択キー75と選択された位置での記憶を入力する選択保存キー76bを利用すると、3個のカスタマイズ熟成条件の保存が可能であり、このような方法で4個以上のカスタマイズ熟成条件の保存及び表示が可能である。
【0049】
図6は、自動熟成機能がある熟成装置10での入力部70及び表示部80を示した図である。図面を参照すると、自動熟成機能がある熟成装置10の入力部70には、よく熟した味、普通味、あまり熟さなかった味等で予め熟成条件が設定されている複数の自動熟成キー48a、48b、48cなどが提供されることができる。自動熟成キー48a、48b、48cの上段にはこのキーのうちいずれか一つが選択される場合、これを示す表示部48dがさらに形成される。自動熟成キー48a、48b、48cは、図6に図示された構成以外にも、熟成される物品の種類を選択できる選択キーなど多様な種類及び配置を有して提供される。使用者は、この自動熟成キー48a、48b、48cのうちでいずれか一つを選択して、熟成を進行しながら、ある特定熟成状態で記憶しようとする場合、記憶キー75を選択して、その熟成状態までの熟成条件をカスタマイズ熟成条件として保存できる。
【0050】
ここで、記憶キー75の個数は、必要により複数で形成されることは無論、図4及び図5に図示されたような個数及び配置を有することはいうまでもない。
【0051】
記憶表示部79は、記憶キー75を通じて、カスタマイズ熟成条件が保存される場合、制御部30によりカスタマイズ熟成条件が保存されたことを表示するように形成される。
【0052】
記憶表示部79は、制約されてはいないが、図3に図示されたように、該当記憶キー75の上段に形成されて、記憶キー75が選択される場合、発光する発光ダイオードLED79で形成される。一方、記憶表示部79は、図4に図示されたように、記憶キー75の個数に対応する数ほど記憶キー75の上段に形成されることもでき、図5に図示されたように、記憶キー75と別途に形成されて記憶されるカスタマイズ熟成条件の個数ぐらい形成されることもできる。
【0053】
冷蔵保管キー73は、使用者が手動で制御部30を通じて、熟成モード運転を終了して冷蔵保管モードに転換できるように形成される。ここで、記憶キー75が選択される場合、別途の冷蔵保管キー73を利用しないで、制御部30が熟成を完了すると同時に、冷蔵保管状態に自動に転換されるように、前記熟成部60を制御することもできる。
【0054】
一方、使用者が前述したカスタマイズ熟成条件の記憶を終えた後に、同じ物品を再び保存して記憶されたカスタマイズ熟成条件で熟成する場合には、選択しようとするカスタマイズ熟成条件に該当する記憶キー75を選択するだけで、制御部30が熟成部60を制御して保存された熟成条件で熟成をする、使用者は好む熟成状態の物品を繰り返して簡単に得ることができる。
【0055】
制御部75は、設定された初期熟成条件により熟成運転ができるように熟成部60を制御し、使用者により、記憶キー75が選択される場合、熟成の開始後、記憶キー選択時点までカウントされた全体熟成時間と、各熟成時間での熟成温度を保存する。ここで、制御部30は、記憶キー71の選択時に、熟成運転モードから冷蔵保管モードに自動的に転換させることもできて、入力部70に別途に形成された冷蔵保管キー73の入力を受けて、手動で転換させることもできる。もちろん、熟成を終了しないで続けて進行しながら新しい熟成状態で再び記憶キー75を選択して、熟成条件を再保存することもできる。また、制御部30は、前記カスタマイズ熟成条件をメモリー部40に保存することもできる。
【0056】
制御部30は、保存されたカスタマイズ熟成条件を選択して、カスタマイズ熟成を遂行する場合、タイマー25を作動させて、カウントされた各熟成時間での貯蔵室50の温度がカスタマイズ熟成条件として保存された熟成温度に維持されるように熟成部60を制御する。
【0057】
また、制御部30は、タイマー25がカウントした物品の熟成時間と、カスタマイズ熟成条件として保存された全体熟成時間を比較して、物品の熟成程度を評価できる。評価結果、まだカスタマイズ熟成条件として保存された全体熟成時間に達しない場合には、熟成モードを維持し、達した場合には熟成を完了して冷蔵保管モードに転換されるように熟成部60を制御する。一方、入力部70に別途の冷蔵保管キー73を形成して、手動で熟成モードから冷蔵保管モードに転換させることもできる。
【0058】
ここで、評価された熟成程度を表示して、物品の熟成進行程度を表示するため表示部80がさらに形成されることができ、この場合、制御部30は、前記評価結果を表示部80を通じて、使用者が認知できるようにする。
【0059】
一方、制御温度が物品の熟成過程で一定の場合には、制御部30は、タイマーがカウントした全体熟成時間と、設定された熟成温度だけを保存することもできる。
【0060】
警報部90は、制御部30が保存されたカスタマイズ熟成条件により熟成を遂行して、完了する場合、前記制御部30により、これを使用者に知らせるように形成される。ここで、警報部90の警報方式には制限がない。例えば、 発光ダイオード(LED)が所定の周期で点滅する視覚的警報手段もあり、所定の警報音を発生する聴覚的警報手段もあり、2種類警報手段が同時に使われることもできる。警報部90は、使用者に熟成が完了したことを知らせることによって、使用者が手動で保存して、転換することができ、自動で熟成が完了して冷蔵保管状態に転換されたことを認知できる。
【0061】
メモリー部40は、本体15に形成されて、物品の熟成条件が制御部30により保存されるように形成される。ここで、メモリー部40には、熟成が開始されると制御部30によりタイマー25でカウントされた熟成時間と、各熟成時間での熟成温度が保存される。
【0062】
温度感知センサー21は、貯蔵室50に形成されて、貯蔵室50の温度を感知する。温度感知センサー21の種類は制限されない。温度感知センサー21は、貯蔵室50の温度を感知できる多様な位置に形成される。例えば、貯蔵室50 に物品収容のための別途の保存筒が形成される場合には、前記保存筒の内部の適所に形成されることもできる。温度感知センサー21で感知した感知結果は、制御部30が貯蔵室50の温度を初期熟成条件により維持するように熟成部60の制御に使われる。
【0063】
タイマー25は、熟成装置本体15に形成されて、貯蔵室50の物品が熟成を開始する場合、熟成開始時からの時間をカウントする。カウントされた時間は、制御部30に送信されて、制御部30に保存されたり、制御部30によりメモリー部40に保存される。
【0064】
このような構成によるカスタマイズ熟成が可能な熟成装置のカスタマイズ熟成方法を図7及び図8を参照して、詳細に説明する。
図7は、カスタマイズ熟成条件設定のための初期段階に該当するフローチャートで、図8は、設定されたカスタマイズ熟成条件を選択して、物品を熟成する方法を示したフローチャートである。
【0065】
使用者は、熟成装置10の貯蔵室50に熟成する物品を貯蔵する(S111)。熟成を始める前に熟成条件設定部45を通じて、初期熟成条件を設定する(S113)。この時、手動熟成では熟成温度設定キー46a及び熟成時間設定キー47aを通じて、初期熟成条件を設定し、自動熟成では自動熟成キー48を選択すると自動熟成キー48に予め保存された熟成条件が初期熟成条件として自動設定される。入力部70に形成された熟成キー71を選択すると、制御部30は熟成部60を制御して、貯蔵室50の物品を初期熟成条件により熟成する(S115)。物品の熟成が始まると、制御部30はタイマー25を作動させて、熟成開始後からの時間をカウントしながら、カウントした熟成時間と各熟成時間での熟成温度を保存する(S117)。ここで、物品の全体熟成時間にかけて、熟成温度が一定の場合には、制御部30は熟成開始後からの各熟成時間と熟成温度を保存せずに、使用者により、記憶キー75が選択される時の全体熟成時間とその時の熟成温度だけを保存することもできる。
【0066】
場合により、使用者はカスタマイズ熟成条件を設定することもできて、そうでないこともある。仮に、使用者がカスタマイズ熟成度も設定しない場合には、初期熟成条件により熟成を遂行した後、冷蔵保管モードに自動転換されたり、冷蔵保管キー73の入力を受けて、冷蔵保管モードに転換されることによって、熟成を完了することができる(S119、S123、S125)。
【0067】
一方、熟成進行中、使用者は、物品の熟成程度を確認できる。例えば、直接味わったり、匂いをかいだりすることもでき、物品の色を通し、その熟成程度を確認できる。確認結果、物品の現在熟成状態が使用者が記憶させようとする熟成状態である場合(S119)、使用者はこれを記憶するように記憶キー71を選択できる(S121)。記憶キー71が選択されると、制御部30は、記憶キー71の選択時までカウントした全体熟成時間と各熟成時間での熟成温度をカスタマイズ熟成条件にして保存する(S121)。この時、前記熟成条件は、制御部30に保存されることもできて、制御部30によりメモリー部40に保存されることもできる。
【0068】
カスタマイズ熟成条件が保存されると同時に、制御部30は、冷蔵保管キー73の入力を受けて、または自動的に物品が熟成を完了して冷蔵保管状態に転換されるように、熟成部60を制御する(S125)。ここで、使用者が熟成を続けて進行することを望む場合、例えば、カスタマイズ熟成度も多段階に設定することを望む場合、或いは、もう少し熟成をした後に保存されたカスタマイズ熟成度も変更して、再び貯蔵することを望む場合には、熟成を続けて進行できる(S123)。
【0069】
図8は、使用者が既に設定されたカスタマイズ熟成条件を選択して、カスタマイズ熟成を遂行することを示したフローチャートである。まず、カスタマイズ熟成時に、保存された同種の物品を熟成装置に貯蔵する(S131)。ここで、使用者は、まず保存されたカスタマイズ熟成条件を選択して、熟成を進行することもできて(S133)、既に保存されたカスタマイズ熟成条件を変更したり、再保存をすることもできる(S113)。この場合には、図7の過程を再び遂行できる。
【0070】
使用者が保存されたカスタマイズ熟成条件を選択する場合、制御部30は、熟成部60を制御して、貯蔵室50の物品が選択されたカスタマイズ熟成条件により熟成されるようにする(S135)。使用者は、カスタマイズ熟成条件により熟成を遂行する途中にもカスタマイズ熟成を再び設定することもできる(S137、S117)。この場合、使用者は前述した図7の過程を再び遂行して、新しいカスタマイズ熟成条件を保存できる。
【0071】
一方、制御部30は、カスタマイズ熟成条件で保存された全体熟成時間と、タイマー25でカウントする現在の熟成時間を比較して、物品の熟成程度を評価して、これを表示部80を通じて、表示することもできる。物品の熟成時間がカスタマイズ熟成条件で保存された全体熟成時間に達した場合には、制御部30は、物品が熟成を完了して冷蔵保管されるように熟成部60を制御する(S139)。ここで、物品の熟成が完了したことを視覚的または聴覚的に知らせる警報部90がさらに形成される。
【0072】
また、熟成が完了して冷蔵保管状態に転換される場合に、制御部30は、入力部70に形成された冷蔵保管キー73の入力を受けたり、自動に冷蔵保管状態に転換されるように熟成部60を制御できる(S139)。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本発明による熟成装置の構成ブロック図である。
【図2】図1の熟成装置の断面図である。
【図3】図1の熟成装置において入力部及び表示部の多様な実施形態を示した図面である。
【図4】図1の熟成装置において入力部及び表示部の多様な実施形態を示した図面である。
【図5】図1の熟成装置において入力部及び表示部の多様な実施形態を示した図面である。
【図6】図1の熟成装置において入力部及び表示部の多様な実施形態を示した図面である。
【図7】本発明によるカスタマイズ熟成方法を示した制御フローチャートである。
【図8】本発明によるカスタマイズ熟成方法を示した制御フローチャートである。
【符号の説明】
【0074】
10 熟成装置
15 本体
17 本体カバー
21 温度感知センサー
25 タイマー
30 制御部
40 メモリー部
45 熟成条件設定部
50 貯蔵室
60 熟成部
61 加熱部
65 冷却部
70 入力部
71 熟成キー
73 冷蔵保管キー
75a、75b、75c 記憶キー
76a 選択キー
76b 選択保存キー
77 電源キー
79 記憶表示部
80 表示部
90 警報部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品の貯蔵のための収容空間が形成された貯蔵室を有する熟成装置において、
前記貯蔵室の物品を熟成するための熟成部と;
前記物品の初期熟成条件を選択するための熟成条件設定部と;
前記初期熟成条件により熟成が進行される前記物品が所定の熟成状態になる場合、前記熟成状態までの熟成条件を記憶するように選択するための記憶キーを有する入力部と;
前記熟成部を制御して、前記記憶キーが選択される場合、熟成の開始後、前記記憶キー選択時までの熟成時間及び前記各熟成時間での熟成温度をカスタマイズ熟成条件として保存する制御部を含むことを特徴とする熟成装置。
【請求項2】
前記熟成条件設定部は、前記物品の熟成温度を設定するための熟成温度設定キーと、前記物品の熟成時間を設定するための熟成時間設定キーを有することを特徴とする請求項1に記載の熟成装置。
【請求項3】
前記熟成条件設定部は、前記物品の種類及び熟成度により熟成時間及び前記熟成時間による熟成温度が予め保存された自動熟成キーを有することを特徴とする請求項1に記載の熟成装置。
【請求項4】
前記カスタマイズ熟成条件が保存されたことが表示される記憶表示部をさらに含み、
前記制御部は、前記記憶キーの選択時に、前記カスタマイズ熟成条件が保存されたことを前記記憶表示部に表示することを特徴とする請求項1に記載の熟成装置。
【請求項5】
前記制御部は、複数のカスタマイズ熟成条件を保存することを特徴とする請求項4に記載の熟成装置。
【請求項6】
前記入力部には、保存される前記カスタマイズ熟成条件の数に対応する前記記憶キー及び前記記憶表示部が各々形成されることを特徴とする請求項5に記載の熟成装置。
【請求項7】
前記入力部には、一つの前記記憶キーと、前記カスタマイズ熟成条件の数に対応する複数の記憶表示部が形成されることを特徴とする請求項5に記載の熟成装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記記憶キーが選択される場合、前記物品が熟成を完了して冷蔵保管状態に転換されるように、前記熟成部を制御することを特徴とする請求項1に記載の熟成装置。
【請求項9】
前記熟成部は、前記貯蔵室を加熱させる加熱部及び前記貯蔵室を冷却させる冷却部のうち一つ以上を含むことを特徴とする請求項1に記載の熟成装置。
【請求項10】
前記貯蔵室内の温度を感知する温度感知センサーと;
前記貯蔵室中の物品の熟成時間をカウントするタイマーをさらに含み、
前記制御部は、前記カスタマイズ熟成条件が設定された前記記憶キーが再び選択される場合、前記温度感知センサーの感知結果と前記タイマーがカウントした熟成時間に基づいて、前記物品が前記カスタマイズ熟成条件により熟成されるように前記熟成部を制御することを特徴とする請求項1に記載の熟成装置。
【請求項11】
前記制御部は、前記カスタマイズ熟成条件により前記物品の熟成が完了された場合、前記物品が冷蔵保管状態に自動転換されるように、前記熟成部を制御することを特徴とする請求項10に記載の熟成装置。
【請求項12】
前記物品が前記カスタマイズ熟成条件により熟成が完了された場合、前記制御部により、前記物品の熟成が完了されたことを知らせる警報部をさらに含むことを特徴とする請求項11に記載の熟成装置。
【請求項13】
物品の貯蔵のための収容空間が形成された貯蔵室を有する熟成装置において、
前記貯蔵室の物品を熟成するための熟成部と;
前記物品の初期熟成条件を選択するための熟成条件設定部と;
前記初期熟成条件により熟成が進行される前記物品が所定の熟成状態になる場合、前記熟成状態までの熟成条件を記憶するように少なくとも一つの記憶キーを有する入力部と;
前記熟成条件が保存されるメモリー部と;
前記熟成部を制御して、前記記憶キーが選択される場合、熟成開始後前記記憶キーの選択時までの熟成時間及び前記各熟成時間での熟成温度をカスタマイズ熟成条件として前記メモリー部に保存する制御部を含むことを特徴とする熟成装置。
【請求項14】
前記熟成条件設定部は、熟成温度設定キー及び自動熟成キーのうち一つ以上を有することを特徴とする請求項13に記載の熟成装置。
【請求項15】
前記メモリー部に前記カスタマイズ熟成条件が保存されたことを表示する記憶表示部をさらに含み、
前記制御部は、前記記憶キーの選択時に、前記カスタマイズ熟成条件が保存されたことを前記表示部に表示することを特徴とする請求項13または請求項14に記載の熟成装置。
【請求項16】
前記メモリー部には、前記制御部により、複数のカスタマイズ熟成条件が保存されることを特徴とする請求項13に記載の熟成装置。
【請求項17】
前記制御部は、前記記憶キーが選択される場合、前記物品が熟成を完了して冷蔵保管状態に転換されるように、前記熟成部を制御することを特徴とする請求項13に記載の熟成装置。
【請求項18】
前記熟成部は、前記貯蔵室を加熱させる加熱部及び前記貯蔵室を冷却させる冷却部のうち一つ以上を含むことを特徴とする請求項13に記載の熟成装置。
【請求項19】
前記貯蔵室内の温度を感知する温度感知センサーと;
前記貯蔵室内の物品の熟成時間をカウントするタイマーをさらに含み、
前記制御部は、前記カスタマイズ熟成条件が設定された前記記憶キーが再び選択される場合、前記温度感知センサーの感知結果及び前記タイマーがカウントした熟成時間に基づいて、前記物品が前記カスタマイズ熟成条件により熟成されるように、前記熟成部を制御することを特徴とする請求項13に記載の熟成装置。
【請求項20】
前記制御部は、前記カスタマイズ熟成条件により前記物品の熟成が完了された場合、前記物品が冷蔵保管状態に自動転換されるように、前記熟成部を制御することを特徴とする請求項19に記載の熟成装置。
【請求項21】
前記物品の熟成が完了する場合、前記制御部により、前記物品の熟成が完了したことを知らせる警報部をさらに含むことを特徴とする請求項19に記載の熟成装置
【請求項22】
物品の熟成時間及び前記各熟成時間での熟成温度をカスタマイズ熟成条件として記憶して保存するカスタマイズ熟成方法において、
熟成を要する物品を前記貯蔵室に貯蔵する段階;
前記貯蔵室の物品の初期熟成条件である熟成時間及び熟成温度を設定する段階;
前記貯蔵室の前記物品を前記初期熟成条件により熟成する段階;
前記物品の熟成時間をカウントして各熟成時間での熟成温度を熟成条件として保存する段階;
前記物品が所定の熟成状態になる場合、前記熟成状態までの熟成条件を記憶する記憶キーを選択する段階;
前記記憶キー選択時の前記熟成条件をカスタマイズ熟成条件として保存する段階を含むことを特徴とするカスタマイズ熟成方法。
【請求項23】
前記記憶キーが選択される場合、前記物品の熟成を完了して冷蔵保管状態に自動転換される段階をさらに含むことを特徴とする請求項22に記載のカスタマイズ熟成方法。
【請求項24】
熟成を要する物品を前記貯蔵室に再び貯蔵する段階;
前記保存されたカスタマイズ熟成条件を前記記憶キーを通して選択する段階;
前記貯蔵室の前記物品を前記カスタマイズ熟成条件により熟成する段階をさらに含むことを特徴とする請求項22に記載のカスタマイズ熟成方法。
【請求項25】
前記カスタマイズ熟成条件により、前記物品の熟成が完了する場合、前記物品が熟成を完了して冷蔵保管状態に自動転換される段階をさらに含むことを特徴とする請求項24に記載のカスタマイズ熟成方法。
【請求項26】
前記物品の熟成が完了する場合、前記物品の熟成が完了したことを知らせる段階をさらに含むことを特徴とする請求項24に記載のカスタマイズ熟成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−311861(P2006−311861A)
【公開日】平成18年11月16日(2006.11.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−124136(P2006−124136)
【出願日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【出願人】(390019839)三星電子株式会社 (8,520)
【氏名又は名称原語表記】Samsung Electronics Co.,Ltd.
【Fターム(参考)】