説明

カセッテ

【課題】簡素な構成で、画像表示手段を作業者の作業位置に応じた最適に配置し、前記放射線画像を確実に確認する。
【解決手段】放射線検出カセッテ24は、放射線Xを透過させる材料からなるケーシング36を備え、前記ケーシング36を構成する4つの壁部40a〜40dには、ディスプレイユニット30が接続可能な接続ポート56a〜56dがそれぞれ設けられる。そして、接続ポート56a〜56dのいずれか1つに対して、放射線画像を表示可能なディスプレイ102を有するディスプレイユニット30を選択的に接続し、前記ディスプレイ102に表示される前記放射線画像を確認しながら手術を遂行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被写体を透過した放射線を放射線画像情報に変換する放射線変換パネルを収容するカセッテに関する。
【背景技術】
【0002】
医療分野において、被写体に放射線を照射し、被写体を透過した放射線を放射線変換パネルに導いて放射線画像を撮影する放射線画像撮影装置が広汎に使用されている。この場合、放射線変換パネルとしては、放射線画像が露光記録される従来からの放射線フイルムや、蛍光体に放射線画像としての放射線エネルギを蓄積し、励起光を照射することで放射線画像を輝尽発光光として取り出すことのできる蓄積性蛍光体パネルが知られている。これらの放射線変換パネルは、放射線画像が記録された放射線フイルムを現像装置に供給して現像処理を行い、あるいは、蓄積性蛍光体パネルを読取装置に供給して読取処理を行うことで、可視画像としての放射線画像が得られる。
【0003】
このような放射線画像撮影装置は、被験者と該被験者が臥位した載置台との間にX線撮影装置が配置され、X線管球から照射されたX線が前記被験者を透過して前記X線撮影装置のX線検出手段に至る。また、X線撮影装置の筐体には、撮影された放射線画像が表示される表示部を備え、前記表示部を複数のアームによって自在に可動させ、術者が前記表示部で前記放射線画像を確認を行う(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】特開2004−97635号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、このような従来技術においては、X線画像撮影装置を構成する筐体の側面に表示部がアームを介して接続される構成としているが、前記筐体に対する前記アームの接続位置が決まっているため、例えば、被験者の患部に合わせてX線画像撮影装置の向きを変更した場合には、前記表示部の位置も変わってしまうため、前記術者が前記表示部で放射線画像を確認することが困難となる。
【0006】
また、表示部は、複数のアームを互いに可動させることにより所望の向きを変更自在に設けられているが、例えば、2本のアームで変更可能な表示部の向きは限定され、前記アームを介して表示部を所望の向きに変更することが困難な場合がある。一方、表示部の視認性を高めるために、上述したアームの数量を増やして前記表示部の向きをさらに広範囲に変更可能な構成とすることが考えられるが、前記アームを含む表示部の構造が複雑になるという問題がある。
【0007】
本発明は、前記の課題を考慮してなされたものであり、簡素な構成で、画像表示手段を作業者の作業位置に応じて最適な配置とし、前記放射線画像を確実に確認することが可能なカセッテを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記の目的を達成するために、本発明は、放射線源から照射され被写体を透過した放射線を検出し、放射線画像情報へと変換可能な放射線変換パネルが収容された筐体と、
前記筐体における少なくとも2側面以上に設けられ、放射線画像を表示可能な画像表示手段が着脱自在に接続される接続部と、
を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、放射線変換パネルの収容された筐体には、少なくとも2側面以上に接続部が設けられ、前記放射線変換パネルによって変換された放射線画像情報を表示可能な画像表示手段を前記接続部に対して着脱自在に接続している。従って、被写体に応じて筐体の向きを変更して用いる場合でも、画像表示手段を、前記筐体の2側面以上にそれぞれ設けられた接続部に対して選択的に接続することができる。その結果、カセッテを構成する筐体に対して作業者が作業位置等に応じて画像表示手段を確認しやすい最適な位置に接続することができ、前記放射線画像を確実に確認することが可能となり、それに伴って、前記放射線画像を見ながら好適に施術を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
図1は、本実施の形態に係るカセッテを含む放射線画像撮影システム10が設置された手術室12の説明図である。手術室12には、放射線画像撮影システム10に加えて、患者14が横臥する手術台(臥台)16が配置されると共に、医師18が手術に使用する各種器具が載置される器具台20が手術台16の側部に配置される。また、手術台16には、麻酔器、吸引器、心電計、血圧計等、手術に必要な様々な機器が配置される。
【0011】
放射線画像撮影システム10は、撮影条件に従った線量からなる放射線Xを患者14に照射する撮影装置22と、患者14を透過した放射線Xを検出する放射線検出器(放射線変換パネル)46(後述する)を内蔵した放射線検出カセッテ(カセッテ)24と、放射線検出器46によって検出された放射線Xに基づく放射線画像を表示する表示装置26と、前記撮影装置22、放射線検出カセッテ24及び表示装置26を制御するコンソール28と、前記放射線検出カセッテ24に対して着脱自在に設けられ、前記表示装置26と同様に放射線画像を表示可能なディスプレイユニット(画像表示手段)30とを備える。この撮影装置22、放射線検出カセッテ24、表示装置26及びコンソール28間では、無線通信による信号の送受信が行われる。
【0012】
撮影装置22は、複数の自在アーム32によって移動自在に設けられ、患者14の撮影部位に応じた所望の位置に移動可能であると共に、医師18による手術の邪魔とならない位置に待避可能である。同様に、表示装置26は、自在アーム34に連結され、撮影された放射線画像を医師18が容易に確認できる位置に移動可能である。
【0013】
図2及び図3は、放射線検出カセッテ24の内部構成図である。放射線検出カセッテ24は、放射線Xを透過させる材料からなるケーシング(筐体)36を備える。ケーシング36は、略長方形状で所定間隔離間した一組の平板部38a、38bと、前記平板部38a、38b同士を接続し、その四方を取り囲むように略直交した4つの壁部(側面)40a〜40dとから構成され、中空状となる放射線検出カセッテ24の内部には、放射線Xが照射されるケーシング36の照射面42側から、患者14による放射線Xの散乱線を除去するグリッド44、患者14を透過した放射線Xを検出する放射線検出器46、及び、放射線Xのバック散乱線を吸収する鉛板48が順に配設される。なお、ケーシング36の照射面42をグリッド44として構成してもよい。
【0014】
また、ケーシング36の内部には、放射線検出カセッテ24の電源であるバッテリ50と、前記バッテリ50から供給される電力により放射線検出器46を駆動制御するカセッテ制御部52と、前記放射線検出器46によって検出した放射線Xの情報を含む信号をコンソール28との間で送受信する送受信機54と、ディスプレイユニット30の接続される複数の接続ポート(接続部)56a〜56dが収容される。
【0015】
なお、カセッテ制御部52、送受信機54及び接続ポート56a〜56dには、放射線Xが照射されることによる損傷を回避するため、ケーシング36の照射面42側に鉛板等を配設しておくことが好ましい。
【0016】
図4は、放射線検出器46の回路構成ブロック図である。放射線検出器46は、二次元状に配列された多数の光電変換素子58を有する。この場合、各光電変換素子58は、放射線Xが照射されることによりキャリアを生成する放射線感応型の物質、例えば、アモルファスセレン(a−Se)によって構成することができる。なお、アモルファスセレンは、高温になると構造が変化して機能が低下してしまうため、所定の温度範囲内で使用する必要がある。従って、放射線検出カセッテ24内に放射線検出器46を冷却する手段を配設することが好ましい。
【0017】
各光電変換素子58には、TFTからなる転送部60を介して、ゲート線62及び信号線64が接続される。ゲート線62には、一方向に配列された光電変換素子58に接続された転送部60をオンオフ制御する制御信号Von、Voffがライン走査駆動部66から供給される。この場合、ライン走査駆動部66は、ゲート線62を切り替える複数のスイッチSW1と、スイッチSW1の1つを選択する選択信号を出力するアドレスデコーダ68とを備える。アドレスデコーダ68には、カセッテ制御部52からアドレス信号が供給される。
【0018】
また、信号線64には、前記一方向と直交する他方向に配列された光電変換素子58に接続された転送部60を介して放射線画像情報に係る信号を増幅する増幅器70が接続される。増幅器70には、サンプルホールド回路72を介してマルチプレクサ74が接続される。マルチプレクサ74は、信号線64を切り替える複数のスイッチSW2と、スイッチSW2の1つを選択する選択信号を出力するアドレスデコーダ76とを備える。アドレスデコーダ76には、カセッテ制御部52からアドレス信号が供給される。マルチプレクサ74には、A/D変換器78が接続され、A/D変換器78によってデジタル信号に変換された放射線画像情報がカセッテ制御部52に供給される。
【0019】
図5は、撮影装置22、放射線検出カセッテ24、表示装置26及びコンソール28からなる放射線画像撮影システム10の構成ブロック図である。
【0020】
撮影装置22は、撮影スイッチ80と、放射線Xを出力する放射線源82と、コンソール28から無線通信により撮影条件を受信する一方、コンソール28に対して無線通信による撮影完了信号等を送信する送受信機84と、撮影スイッチ80から供給される撮影開始信号及び送受信機84から供給される撮影条件に基づいて放射線源82を制御する線源制御部86とを備える。
【0021】
放射線検出カセッテ24には、放射線検出器46、バッテリ50、カセッテ制御部52、送受信機54及び複数の接続ポート56a〜56dが収容される。
【0022】
カセッテ制御部52は、放射線検出器46を構成するライン走査駆動部66のアドレスデコーダ68及びマルチプレクサ74のアドレスデコーダ76に対してアドレス信号を供給するアドレス信号発生部88と、放射線検出器46によって検出された放射線画像情報を記憶する画像メモリ90と、該放射線検出カセッテ24を特定するためのカセッテID情報を記憶するカセッテIDメモリ92とを備える。
【0023】
送受信機54は、コンソール28から無線通信により送信要求信号を受信する一方、前記コンソール28に対して、カセッテIDメモリ92に記憶されたカセッテID情報、画像メモリ90に記憶された放射線画像情報を無線通信により送信する。
【0024】
表示装置26は、コンソール28から放射線画像情報を受信する受信機94と、受信した放射線画像情報の表示制御を行う表示制御部96と、表示制御部96によって処理された放射線画像情報を表示する表示部98とを備える。
【0025】
接続ポート56a〜56dは、例えば、USB端子が接続可能なUSBポートからなり、ケーシング36の各壁部40a〜40dに開口した孔部にそれぞれ設けられる。また、接続ポート56a〜56dは、ケーシング36の外部に臨むと共に、前記ケーシング36の外部からディスプレイユニット30の端子部106(後述する)が接続自在に設けられる。すなわち、接続ポート56a〜56dは、ケーシング36に対して4箇所設けられる(図2及び図7参照)。
【0026】
このように、接続ポート56a〜56dは、放射線検出カセッテ24において、患者14及び手術台16に対峙する平板部38a、38bには設けられず、前記患者14及び手術台16に対して略直交するように配置された壁部40a〜40dのみに設けられる。このような配置とすることにより、接続ポート56a〜56dにディスプレイユニット30を接続する際に、前記患者14及び手術台16が支障となることがない。
【0027】
また、接続ポート56a〜56dには、該接続ポート56a〜56dが使用されない場合に閉塞するカバーキャップ100が設けられ、前記カバーキャップ100を装着することにより、前記接続ポート56a〜56d内への塵埃等の進入を阻止できる。
【0028】
ディスプレイユニット30は、図6及び図7に示されるように、放射線検出器46に撮影された放射線画像を表示可能なディスプレイ102と、前記ディスプレイ102を可動自在に支持する可動アーム104と、ケーシング36の接続ポート56a〜56dに接続可能な端子部106を有する接続ベース108と、前記接続ベース108体に対して前記可動アーム104を傾動及び回動自在に支持するヒンジ部110と、前記端子部106を通じて入力された放射線画像情報の表示制御を行う表示制御部112とを含む。
【0029】
接続ベース108は、断面略L字状に形成され、その一端部に端子部106が突出して設けられる。この端子部106は、例えば、USB端子からなり、USBポートからなる接続ポート56a〜56dに対して接続自在に設けられる。
【0030】
また、接続ベース108の他端部は、端子部106が放射線検出カセッテ24の接続ポート56a〜56dに接続された状態で上方に向かって延在し、その端部にはヒンジ部110が設けられ、可動アーム104を前記他端部に対して所定角度だけ傾動自在に支持すると共に、水平方向に回動自在に支持している。
【0031】
可動アーム104の一端部には、ヒンジ部110が接続されると共に、該可動アーム104の他端部には、可動ジョイント114を介してディスプレイ102が接続されている。このディスプレイ102は、可動ジョイント114によって可動アーム104の他端部に対して傾動自在に設けられる。
【0032】
表示制御部112は、端子部106が放射線検出カセッテ24の接続ポート56a〜56dに対して接続されることにより、画像メモリ90に記憶された放射線画像情報が前記表示制御部112へと出力され、該表示制御部112を介してディスプレイ102に表示される。
【0033】
コンソール28は、撮影装置22、放射線検出カセッテ24及び表示装置26に対して、放射線画像情報、位置情報等を含む必要な情報を無線通信により送受信する送受信機116と、撮影装置22による撮影に必要な撮影条件を管理する撮影条件管理部118と、放射線検出カセッテ24から送信された放射線画像情報に対する画像処理を行う画像処理部120と、処理した放射線画像情報を記憶する画像メモリ122と、撮影対象である患者14の患者情報を管理する患者情報管理部124と、放射線検出カセッテ24から送信されたカセッテ情報を管理するカセッテ情報管理部126とを備える。なお、コンソール28は、撮影装置22、放射線検出カセッテ24及び表示装置26に対して無線通信による信号の送受信を行うことができるのであれば、手術室12の外に設置してもよい。
【0034】
本実施の形態の放射線検出カセッテ24が用いられた放射線画像撮影システム10は、基本的には以上のように構成されるものであり、次にその動作について説明する。
【0035】
放射線画像撮影システム10は、手術室12に設置されており、例えば、医師18による患者14の手術中において、放射線画像の撮影が必要となった際に使用される。そのため、撮影対象である患者14の患者情報は、撮影に先立ち、コンソール28の患者情報管理部124に予め登録される。また、撮影部位や撮影方法が予め決まっている場合には、これらの撮影条件を撮影条件管理部118に予め登録しておく。以上の準備作業が終了した状態において、患者14に対する手術が遂行される。
【0036】
手術中において放射線画像の撮影を行う場合、医師18又は担当する放射線技師は、患者14と手術台16との間の所定位置に、照射面42を撮影装置22側とした状態で放射線検出カセッテ24を設置する。この際、放射線検出カセッテ24は、その接続ポート56a〜56dに対してディスプレイユニット30の接続されていない非接続状態にあるため、該ディスプレイユニット30を前記放射線検出カセッテ24に設置する際の支障となることがない。
【0037】
そして、医師18に対して手前側(矢印A方向)となる放射線検出カセッテ24の壁部40aに設けられた接続ポート56aにディスプレイユニット30を接続し、そのディスプレイ102を可動ジョイント114、可動アーム104等を介して前記医師18が確認し易い角度に調整する。この場合、接続ポート56aは、患者14及び手術台16に対峙することなく、前記手術台16の側方に向かって露呈するように配置されているため、その接続作業を容易に行うことができる。なお、ディスプレイユニット30の接続された接続ポート56a以外の接続ポート56b〜56dには、カバーキャップ100がそれぞれ装着されて閉塞されている。
【0038】
手術中において放射線画像の撮影を行う場合、医師18又は担当する放射線技師は、患者14と手術台16との間の所定位置に、照射面42を撮影装置22側とした状態で放射線検出カセッテ24を設置する。次いで、撮影装置22を放射線検出カセッテ24に対向する位置に移動させた後、撮影スイッチ80を操作して撮影を行う。
【0039】
撮影装置22の線源制御部86は、送受信機84、116を介して、コンソール28の撮影条件管理部118より患者14の撮影部位に係る撮影条件を無線通信により取得し、取得した撮影条件に従って放射線源82を制御することにより、所定の線量からなる放射線Xを患者14に照射する。
【0040】
患者14を透過した放射線Xは、放射線検出カセッテ24のグリッド44によって散乱線が除去された後、放射線検出器46に照射され、放射線検出器46を構成する各光電変換素子58により検出される(図3参照)。各光電変換素子58によって検出された患者14の放射線画像情報は、カセッテ制御部52を構成するアドレス信号発生部88からライン走査駆動部66及びマルチプレクサ74に供給されるアドレス信号に従って読み出される。
【0041】
すなわち、ライン走査駆動部66のアドレスデコーダ68は、アドレス信号発生部88から供給されるアドレス信号に従って選択信号を出力してスイッチSW1の1つを選択し、対応するゲート線62に接続された転送部60のゲートに制御信号Vonを供給する。一方、マルチプレクサ74のアドレスデコーダ76は、アドレス信号発生部88から供給されるアドレス信号に従って選択信号を出力してスイッチSW2を順次切り替え、ライン走査駆動部66によって選択されたゲート線62に接続された各光電変換素子58に蓄積された放射線画像情報を信号線64を介して読み出す。
【0042】
各放射線検出器46の選択されたゲート線62に接続された光電変換素子58から読み出された放射線画像情報は、増幅器70によって増幅された後、サンプルホールド回路72によってサンプリングされ、マルチプレクサ74を介してA/D変換器78に供給され、デジタル信号に変換される。デジタル信号に変換された放射線画像情報は、カセッテ制御部52の画像メモリ90に一旦記憶された後、接続ポート56aから表示制御部96を通じてディスプレイ102へと出力される。この放射線画像情報は、表示制御部96によって制御されたディスプレイ102に表示され、医師18は、前記ディスプレイ102に表示された前記放射線画像を確認しながら手術を遂行する。
【0043】
一方、カセッテ制御部52の画像メモリ90に記憶された放射線画像情報は、前記ディスプレイ102に表示されると共に、送受信機54を介して無線通信によりコンソール28に送信される。
【0044】
コンソール28に送信された放射線画像情報は、送受信機116によって受信され、画像処理部120において所定の画像処理が施された後、患者情報管理部124に登録されている患者14の患者情報と関連付けられた状態で画像メモリ122に記憶される。
【0045】
また、画像処理の施された放射線画像情報は、送受信機116から表示装置26に送信される。受信機94によって放射線画像情報を受信した表示装置26は、表示制御部96によって表示部98を制御し、放射線画像を表示する。医師18は、放射線検出カセッテ24に接続されたディスプレイ102に表示される放射線画像と共に、表示部98に表示される放射線画像を確認しながら手術を遂行する。
【0046】
この場合、放射線検出カセッテ24とコンソール28との間、撮影装置22とコンソール28との間、及び、コンソール28と表示装置26との間には、信号を送受信するためのケーブルが連結されていないため、例えば、手術室12の床面にこれらのケーブルが配設されることがなく、医師18等の作業に支障を来すおそれがない。
【0047】
最後に、放射線画像の撮影及び手術が完了した後、ディスプレイユニット30を放射線検出カセッテ24の接続ポート56aから離脱させる。
【0048】
以上のように、本実施の形態では、放射線検出器46の収容された放射線検出カセッテ24のケーシング36には、4つの壁部40a〜40dにそれぞれ接続ポート56a〜56dが設けられ、前記接続ポート56a〜56dのいずれか1つに放射線画像を表示可能なディスプレイ102を有するディスプレイユニット30が着脱自在に接続される。従って、患者14に応じて放射線検出カセッテ24の向きを変更して用いる場合でも、ディスプレイユニット30を、医師18等から確認しやすい位置となるように接続ポート56a〜56dのうちのいずれか1つに対して選択的に接続することができる。その結果、放射線検出カセッテ24を構成するケーシング36に対して医師18や放射線技師等の作業位置に応じて前記ディスプレイユニット30を確認しやすい最適な位置に接続することができ、それに伴って、前記ディスプレイユニット30において放射線画像を確実に確認することが可能となる。
【0049】
また、接続ポート56a〜56dは、患者14及び手術台16に対峙することがないケーシング36の壁部40a〜40dに設けられているため、前記ディスプレイユニット30を接続する際の作業性が良好であり、且つ、接続されたディスプレイユニット30が前記患者14及び手術台16に対して接触することがなく好適である。
【0050】
一方、上述した説明では、ディスプレイユニット30を、医師18側となる放射線検出カセッテ24の接続ポート56aに接続する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、前記放射線検出カセッテ24の設置状態、患者14の患部位置等の関係に応じて、前記医師18や放射線技師等がディスプレイ102が最も確認しやすい位置となるように複数の接続ポート56a〜56dから選択してディスプレイユニット30を接続するようにすればよい。
【0051】
また、接続ポート56a〜56dは、ケーシング36の各壁部40a〜40dに対してそれぞれ1個ずつ設けられる場合に限定されるものではなく、前記各壁部40a〜40dに対して2個以上設けるようにしてもよい。この場合、さらにディスプレイユニット30を放射線検出カセッテ24における所望の位置に接続することが可能となり、医師18等がディスプレイ102をより好適に確認することができる。
【0052】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で自由に変更できることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本実施の形態に係るカセッテが用いられた放射線画像撮影システムの設置された手術室の説明図である。
【図2】放射線検出カセッテの一部切欠外観斜視図である。
【図3】図2に示す放射線検出カセッテの分解斜視図である。
【図4】放射線検出器の回路構成ブロック図である。
【図5】放射線画像撮影システムの構成ブロック図である。
【図6】図2に示す放射線検出カセッテの側面図である。
【図7】図2に示す放射線検出カセッテの平面図である。
【符号の説明】
【0054】
10…放射線画像撮影システム 12…手術室
14…患者 16…手術台
18…医師 22…撮影装置
24…放射線検出カセッテ 26…表示装置
28…コンソール 30…ディスプレイユニット
36…ケーシング 40a〜40d…壁部
46…放射線検出器 52…カセッテ制御部
54、84、114…送受信機 56a〜56d…接続ポート
98…表示部 100…カバーキャップ
102…ディスプレイ 104…可動アーム
106…端子部 108…接続ベース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射線源から照射され被写体を透過した放射線を検出し、放射線画像情報へと変換可能な放射線変換パネルが収容された筐体と、
前記筐体における少なくとも2側面以上に設けられ、放射線画像を表示可能な画像表示手段が着脱自在に接続される接続部と、
を備えることを特徴とするカセッテ。
【請求項2】
請求項1記載のカセッテにおいて、
前記接続部は、前記筐体が前記被写体と該被写体が臥位する臥台との間に設置された際に、前記被写体及び臥台に対峙しない前記筐体の側面に設けられることを特徴とするカセッテ。
【請求項3】
請求項1又は2記載のカセッテにおいて、
前記接続部は、前記筐体の各側面に少なくとも1つ以上設けられることを特徴とするカセッテ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−25696(P2009−25696A)
【公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−190623(P2007−190623)
【出願日】平成19年7月23日(2007.7.23)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】