説明

カップラー、色素、着色剤および着色方法

【課題】新規なカップラーを提供すること。
【解決手段】下記一般式(1)または(2)で表されることを特徴とするカップラー。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、染料、顔料、有機顔料の分散剤の原料であるカップラー(中間体)として有用な化合物、および該カップラーを用いた色素、着色剤および着色方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶ディスプレイなどに使用されるカラーフィルターは、カラーフィルター基板にフォトレジスト(感光性樹脂液)に顔料を分散させてなる塗布液を、スピンコート法、コーティング法或いは電着法により塗布後、形成された着色塗布膜にフォトマスクを介して露光後現像し、塗布膜をパターン化して画素を形成する方法、所謂顔料分散法(着色剤として顔料を使用する方法)により主に作製されている。
【0003】
その際、青色画素の形成に使用する塗布液の着色顔料としては、青色顔料であるε型フタロシアニン(C.I.ピグメントブルー15:6)に加えて、色補正(調色)の目的で、紫色のジオキサジンバイオレット顔料(C.I.ピグメントバイオレット23)が配合されて用いられてきた。特に、近年、需要が著しく伸長しているTVモニター用のカラーフィルターの青色画素をより好ましい色品位の画素とするために、青色顔料としての前記ε型フタロシアニンに対するジオキサジンバイオレット顔料の配合割合を高めることが要求されている。
【0004】
しかしながら、上記ε型フタロシアニン顔料とジオキサジンバイオレット顔料とからなる配合顔料を、フォトレジストなどの分散媒体中に分散させる際、通常の分散機で分散させるだけでは、上記配合顔料が充分に分散しないことから、得られる塗布液から青色画素を形成すると、該画素は光透過性に欠け、カラーフィルターの青色画素として光透過率が不充分であり、上記の配合顔料からなる塗布液は、カラーフィルターの青色画素形成用塗布液としては不満足なものであった。
【0005】
一方、前記顔料の分散媒体であるフォトレジストに一般的に使用されている樹脂としては、露光後の着色塗布膜がアルカリ水溶液で現像可能であるように、酸価が高いアクリル系ポリマーが主に採用されている。しかしながら、前記の配合顔料と、上記高酸価アクリル系樹脂を含むフォトレジストからなる塗布液では、顔料の凝集が生じて塗布液の粘度が高くなりやすく、また、経時で塗布液が増粘し、塗布液の貯蔵安定性が悪くなる場合が多いという問題がある。
【0006】
以上のような困難さを伴う塗布液によりカラーフィルターの各色の画素を作製する場合、使用する塗布液はスピンコート法により基板に塗布され、その後に塗布膜が露光および現像によりパターン化されるが、使用する塗布液の粘度が高かったり、顔料が凝集してチクソトロピックな粘性を示す場合には、塗布液からなる着色塗布膜(露光前)の中央部が盛り上がるため、大画面のカラーフィルターを作製する際には、基板の中央部の画素と周辺部での画素とは色相にむらや濃度差が発生するという問題がある。
【0007】
従って、カラーフィルター用塗布液は、通常、顔料濃度が5〜20質量%の高濃度範囲にあるにもかかわらず、その分散状態は顔料粒子が凝集せず、かつ一般的な常乾塗料や焼き付け塗料に比べて粘度が低く(例えば、5〜20mPa・s程度)、かつ貯蔵安定性に優れたものでなければならない。
【0008】
上記の要求を満たすために、従来、顔料が、ε型フタロシアニン(C.I.ピグメントブルー15:6)の場合には、フタロシアニンブルーの置換誘導体やジオキサジンバイオレットの置換誘導体を分散剤として上記顔料に添加したり、または上記顔料を上記誘導体で処理する方法などが提案されている(例えば、特許文献1〜6参照)。
【0009】
【特許文献1】特開昭56−167762号公報
【特許文献2】特公平1−34268号公報
【特許文献3】特開平4−246469号公報
【特許文献4】特開平6−240161号公報
【特許文献5】特開平6−240162号公報
【特許文献6】特開平7−188576号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
一方、カラーフィルターのさらなる性能向上の要請から、着色画素の透明性の改善や、着色画素の透過光のコントラストのアップや、着色画素の顔料濃度を高める必要が生じてきた。しかしながら、顔料の分散に上記顔料誘導体を分散剤として使用する方法では、顔料の分散性向上による着色画素の透明性の改良や、顔料濃度が高くなることによる粘度の増大および貯蔵安定性の低下を防止することは困難であり、これらの改善が要望されている。
【0011】
本発明者らは、顔料濃度が高いカラーフィルター用塗布液の調製に際して、上記顔料誘導体を顔料の分散剤として使用した場合の前記の問題点を解決し、カラーフィルター用塗布液の色品位の向上および低粘度化を可能にする顔料分散剤を開発すべく鋭意研究した結果、特定の中間体を用いて得られるアゾ色素が、より少ない量で優れた顔料の分散剤として作用し、カラーフィルター用塗布液の低粘度化を達成でき、かつ貯蔵時の該塗布液の増粘やゲル化を防止するとともに、カラーフィルターとして最も重要な着色画素の透明性も向上させることを見いだし、本発明を完成するに至った。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、下記一般式(1)または(2)で表されることを特徴とするカップラーを提供する。

(ただし、式中の置換基Xは同じでも異なってもよく、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、ニトロ基、アルキル基、アルコキシル基、無置換または置換のフタルイミドメチル基を表す。Rは水素原子またはC1〜C12のアルキル基を表す。mは0〜3の整数である。)ここでmが0であり、Rが水素原子またはC1〜C4のアルキル基であることが好ましい。
【0013】
また、本発明は、下記一般式(3)または(4)で表されることを特徴とする色素を提供する。

(ただし、式中のRDは、芳香族環または芳香族ヘテロ環を表し、置換基XおよびYは同じでも異なってもよく、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、ニトロ基、アルキル基、アルコキシル基、無置換または置換のフタルイミドメチル基を表す。Rは、水素原子またはC1〜C12のアルキル基を表す。mおよびnは0〜3の整数である。)上記色素においては、mが0であり、Rが水素原子またはC1〜C4のアルキル基であることが好ましい。また、本発明は、上記色素を含むことを特徴とする着色剤、および上記着色剤によることを特徴とする物品の着色方法を提供する。
【発明の効果】
【0014】
本発明のカップラーは、種々のアゾ染料、アゾ顔料、有機顔料の分散剤の中間体として有用である。特に本発明のカップラーを用いて得られる、1〜3個のスルホン酸基、カルボキシル基またはその塩の基を有するアゾ色素は、有機顔料の分散剤として、各種有機顔料を、塗料、印刷インキ、カラーフィルター用塗布液などの分散媒体中に高濃度かつ低粘度に安定に分散させることができる。上記分散剤を用いて得られる有機顔料の分散液は、カラーフィルター用塗布液の着色剤として有用であり、顔料として、PB15:6とPV23とを組み合わせた場合には、優れた分光透過率特性を有し、鮮明で冴えた、透明感の高い、しかも耐光性、耐熱性、耐溶剤性、耐薬品性、耐水性などの諸堅牢性に優れた青色画素を形成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
次に好ましい実施の形態を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。
前記一般式(1)または(2)で表される新規なカップラーは、トルエン、キシレンまたはモノクロロベンゼンなどの不活性溶媒中、塩化チオニルまたは三塩化リンなどを縮合剤として、それぞれ、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸(BON酸)またはベンザシル酸(HBCC酸)と、無置換または置換基(X)を有する3−アミノカルバゾールまたは3−アミノ−9−アルキルカルバゾールとの縮合反応により得られる。具体的な製造例は実施例に記載する。上記アルキル基としてはC1〜C12のアルキル基が挙げられるが、メチル基、エチル基、プロピル基およびブチル基が好ましい。
【0016】
上記カップラーは、種々の芳香族第1級アミンのジアゾニウム塩と常法によりカップリング反応させることで種々のアゾ染料、アゾ顔料が得られる。得られるアゾ色素の特に好ましい用途は、有機顔料の分散剤の原料である。以下、本発明のカップラーを用いた有機顔料の分散剤の例を挙げて、本発明のカップラーの用途を説明する。
【0017】
本発明のカップラーを用いて得られる有機顔料の分散剤は、下記一般式(3)または(4)で表される。下記一般式(3)または(4)において、置換基Xが、塩素原子、臭素原子またはニトロ基であることが好ましい。

【0018】
(ただし、式中のRDは、1〜3個のスルホン酸基、その金属の塩、アンモニアの塩、有機アミンの塩および有機第4級アンモニウム化合物の塩からなる群から選ばれる少なくとも1種を有する芳香族環またはヘテロ芳香族環を表し、置換基Yは同じでも異なってもよく、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、ニトロ基、アルキル基、アルコキシル基、無置換または置換のフタルイミドメチル基を表す。X、R、mは前記と同意義であり、nは0〜3の整数である。)
【0019】
前記一般式(3)または(4)で表される化合物を得るには、先ず、1〜3個、好ましくは1個のスルホン酸基またはカルボキシル基を有するベース成分(RD−NH2)(芳香族第1級アミン)をジアゾ後、それぞれ前記一般式(1)または(2)で表される本発明のカップラーにカップリング反応させて、下記一般式(5)または(6)で表されるアゾ系色素を合成する。
【0020】

(ただし、式中のRD、R、Xおよびmは前記と同一意義を有する。)
【0021】
さらに必要に応じて、上記一般式(5)または(6)で表されるアゾ系色素に、さらに置換反応させて、置換基Yを導入することにより、前記一般式(3)または(4)で表される化合物からなる有機顔料の分散剤に変換することができる。
【0022】
上記で使用するスルホン酸基を有するベース成分(RD−NH2)としては、ジアゾ化およびカップリング反応が可能なものであれば特に限定されない。例えば、スルファニル酸(p−アミノベンゼンスルホン酸)、2−メチルアニリン−4−スルホン酸、メタニル酸(m−アミノベンゼンスルホン酸)、4−クロロアニリン−3−スルホン酸、オルタニル酸(o−アミノベンゼンスルホン酸)、C酸、2B酸、2−トルイジン−4−スルホン酸、4−トルイジン−2−スルホン酸、o−クロロメタニル酸、o−アニシジン−p−スルホン酸、アニリン−2,5−ジスルホン酸、ナフチオン酸、ローレンツ酸、ブレナー酸、1,6−クレーブ酸、1,7−クレーブ酸、ペリ酸、トビアス酸、2−ナフチルアミン−7−スルホン酸、ダール酸、S酸、M酸、ガンマー酸、J酸、H酸、SS酸、RR酸、R酸、K酸、2R酸、アミノG酸、アミノJ酸、1−アミノアントラキノン−5−スルホン酸、1−アミノアントラキノン−8−スルホン酸、1−アミノアントラキノン−2−スルホン酸、6−(3−スルホ)ベンズアミド−4−メトキシ−m−トルイジン、4−(3−スルホ)ベンズアミド−2,5−ジメトキシアニリン、4−(3−スルホ)ベンズアミド−2,5−ジエトキシアニリンなどが使用できる。上記スルホン酸基を有するベース成分のうちで、特に好ましいものは後記実施例で使用したものである。
【0023】
また、前記一般式(3)または(4)で表される化合物は、フリーのスルホン酸基の状態でも使用でき、また、該スルホン酸基が、リチウム、ナトリウム、などのアルカリ金属との塩、カルシウム、バリウム、アルミニウム、マンガン、ストロンチウム、マグネシウム、ニッケルなどの多価金属との塩、モノ、ジ、トリアルキルアミン、アルキレンジアミン、モノ、ジまたはトリアルカノールアミンなどの第一、第二、第三級アミン化合物との塩、さらにはテトラアルキルアンモニウム、ベンジルトリメチルアンモニウム、トリアルキルフェニルアンモニウムなどの第四級アンモニウム化合物との塩としても有用である。特に有用な基はフリーのスルホン酸基またはそれと第四級アンモニウム化合物との塩の基である。
【0024】
上記分散剤は、種々の公知の有機顔料の分散剤として有用である。該分散剤は赤紫〜紫〜青色に着色した物質であり、特に有用な分散対象になる有機顔料としては、ジオキサジンバイオレット(C.I.ピグメントバイオレット23(以下「PV23」という))、インダントロンブルー(C.I.ピグメントブルー60(以下「PB60」という))、ε型フタロシアニンブルー(C.I.ピグメントブルー15:6(以下「PB15:6」という))、ブロム化フタロシアニングリーン(C.I.ピグメントグリーン36(以下「PG36」という))およびカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7(以下「PBk7」という))などが挙げられ、特にPV23、PB60、PB15:6、PG36およびPBk7が好ましい。なお、本発明においては、カーボンブラックも有機顔料に含まれることとした。
【0025】
上記分散剤は易分散性顔料組成物の製造に有用である。この易分散性顔料組成物は、有機顔料と前記分散剤とからなる。該易分散性顔料組成物における有機顔料と分散剤の配合割合は有機顔料100質量部当たり分散剤が約0.5〜50質量部、特に1〜30質量部の割合で使用することが好ましい。分散剤の使用量が0.5質量部未満であると、易分散性顔料組成物を分散媒体に充分安定に分散させることが困難である場合があり、一方、分散剤の使用量が50質量部を超えても分散剤の分散能が飽和してコスト的に不利となる。
【0026】
上記易分散性顔料組成物の製造方法は、有機顔料と分散剤とを単に混合するのみでもよいが、例えば、以下の方法が好ましい。いずれの場合にも有機顔料は単独でも2種以上の混合物として使用してもよい。分散剤も同様である。
(1)有機顔料の水性スラリーと分散剤の水性スラリーとを緊密に混合し、濾過、水洗、乾燥して有機顔料と分散剤とを組成物にする方法。
(2)有機顔料と分散剤とを濃硫酸に溶解し、該濃硫酸溶液を大量の水中に注入して両者を同時に析出させ、濾過、水洗、乾燥して有機顔料と分散剤とを固溶体状にする方法。
(3)両者を少量の液体の存在下にボールミルなどにより湿式摩砕して両者を微粉末混合物とする方法。
【0027】
上記易分散性顔料組成物は、種々の着色用途、例えば、塗料、印刷インキ、天然または合成樹脂、筆記具用インキ、インクジェットインキなどの着色に有効であり、特にカラーフィルター用塗布液の着色に有用である。なかでも、PV23、PB60、PB15:6、PG36およびPBk7から選ばれる少なくとも1種の有機顔料を用いた易分散性顔料組成物は、カラーフィルター用塗布液の着色剤として有用である。
【0028】
上記分散剤は顔料分散液の製造に有用である。該顔料分散液における好ましい有機顔料は前記と同じであり、また、有機顔料と分散剤の使用割合も前記と同一である。該顔料分散液は、任意の分散媒体中に有機顔料を分散剤により分散させて得られる。該分散方法としては、前記の易分散性顔料組成物を分散媒体中に加えて分散させる方法や、任意の分散媒体中に有機顔料と分散剤を加えて、任意の分散機や摩砕機によって分散させて得られる。このような顔料分散液の用途は、前記易分散性顔料組成物の用途と同様である。
【0029】
前記分散剤はカラーフィルター用塗布液の製造に有用である。該カラーフィルター用塗布液は、有機顔料をカラーフィルター用樹脂ワニス中に前記分散剤により分散してなる。上記カラーフィルター用樹脂ワニスとしては、従来公知の感光性樹脂ワニス(フォトレジスト)および非感光性の樹脂ワニスのいずれも使用できる。該塗布液に使用する好ましい有機顔料、それらの組み合わせ、有機顔料と分散剤との使用比率は、前記の易分散性顔料組成物の場合と同様である。また、カラーフィルター用塗布液の製造方法は、分散媒体がカラーフィルター用樹脂ワニスであることを除き、前記顔料分散液の場合と同様である。
【0030】
上記カラーフィルター用塗布液において、青色、緑色または黒色顔料を用いた場合には、それぞれ青色塗布液、緑色塗布液、および黒色塗布液(ブラックマトリックス形成用)が得られ、有機顔料として上記のPV23を用いた場合には紫色の塗布液が得られる。該紫色塗布液はそれ自体単独でカラーフィルター用塗布液として使用されることはないが、青色顔料としてε型フタロシアニンブルーを用いた塗布液の調色用に有用である。すなわち、青色塗布液による着色塗布膜の分光透過率特性は、図1の曲線Aに示す特性を有しているが、従来技術で述べたように、現在でのTVモニターに使用されるカラーフィルターの青色画素の分光透過率特性は図1の曲線Cに示される特性が要求されている。上記青色塗布液による着色塗布膜の分光透過率特性Aは、その分光透過率特性が、図1の曲線Bで示される上記紫色塗布液を、青色塗布液に適量加えることによって、該混合塗布液からなる塗布膜の分光透過率特性を図1の曲線Cに示す特性に近付けることができる。
【0031】
また、PB15:6とPV23とを含む前記易分散性顔料組成物を前記樹脂ワニス中に同時に分散させるか、または両者を、前記の分散剤によって前記樹脂ワニス中に同時に分散させることによって、図1の曲線Cで示される分光透過率特性を有する塗布膜(画素)を与えるカラーフィルター用塗布液とすることができる。このような分光透過率特性を得るためには、PB15:6の100質量部当たりPV23を1〜100質量部、好ましくは3〜50質量部の割合で使用する。
【0032】
前記のカラーフィルターの製造方法は、カラーフィルター用基板に、赤色、緑色および青色の着色パターンを形成するカラーフィルターの製造方法において、少なくとも上記青色パターンを、前記のカラーフィルター用塗布液を使用して形成することを特徴としている。青色以外の塗布液は、従来公知の方法で別途用意してもよく、緑色塗布液は前記のカラーフィルター用緑色塗布液を用いてもよい。なお、カラーフィルターの製造方法それ自体は従来公知のいずれの方法でもよい。
【0033】
本発明のアゾ色素の製造方法は、上記分散剤の製造に加えて、前記一般式(1)または(2)で表されるカップラーに、芳香族第1級アミンをカップリングさせることで行われ、種々のアゾ顔料が得られる。以上のカップラーとアミンを使用するアゾ顔料の製造条件は、前記分散剤の製造条件と同様であり、カップリングによって種々の色相を有し、耐光性などに優れたアゾ顔料が得られる。これらのアゾ顔料は、塗料、印刷インキ、樹脂の着色剤、カラーフィルター用着色剤、インクジェット記録用インキなどの着色剤として有用である。
【0034】
上記アミンとしては、例えば、2,5−ジクロロアニリン、4−クロロ−2−メチルアニリン、2−メチル−5−ニトロアニリン、5−クロロ−2−メチルアニリン、2−メチル−4−ニトロアニリン、4−メチル−2−ニトロアニリン、4−クロロ−2−ニトロアニリン、2−メトキシ−4−ニトロアニリン、2−クロロアニリン、2−メトキシ−5−ニトロアニリン、2,4,5−トリクロロアニリン、2,4−ジクロロアニリン、3−アミノ−N−(4−カルバモイルフェニル)−4−メトキシベンズアミド、3−アミノ−N,N−ジエチル−4−メトキシベンゼンスルフォアミド、メチル2−アミノベンゾエート、3−アミノ−4−メトキシ−N−フェニルベンズアミド、4−アミノ−2,5−ジクロロ−N−メチルベンゼンスルフォンアミド、4−アミノ−2,5−ジクロロ−N,N−ジメチルベンゼンスルフォンアミド、ブチル2−アミノベンゾエート、4−アミノベンズアミド、3−アミノ−4−メチルベンズアミド、3−アミノ−4−メトキシベンズアミド、3−アミノ−4−クロロベンズアミド、メチル2−アミノ−4−(2,5−ジクロロフェニルカルバモイル)ベンゾエート、2−メトキシ−5−(3−(トリフルオロメチル)ベンジルスルフォニル)アニリン、3−アミノ−4−メトキシ−N−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)ベンズアミド、3−アミノ−4−メトキシ−N−フェニルベンズアミド、1−アミノアントラセン−9,10−ジオン、(z)−3−(4−アミノフェニルイミノ)−4,5,6,7−テトラクロロイソインドリン−1−オン、3−アミノ−4−クロロ−N−(5−クロロ−2−メチルフェニル)ベンズアミド、4−ニトロアニリン、2−クロロ−5−(トリフルオロメチル)アニリン、3−ニトロアニリン、2−ニトロアニリン、N−(4−アミノ−2,5−ジメトキシフェニル)ベンズアミド、N−(4−アミノ−5−メトキシ−2−メチルフェニル)ベンズアミド、5−アミノイソインドリン−1,3−ジオン(4−アミノフタルイミド)、5−アミノ−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2(3H)−オン(5−アミノベンズイミダゾロン)などが挙げられる。
【実施例】
【0035】
次に実施例および比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。なお、文中の「部」または「%」とあるのは特に断りのない限り質量基準である。
【0036】
実施例1
トルエン700部、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸40部および3−アミノ−9−エチルカルバゾール44.8部に70〜75℃で三塩化リン13.2部を1時間で加えた後、同温度で1時間、107〜110℃で20時間攪拌後、アルカリ性で溶剤を水蒸気蒸留により除去し、50〜60℃にてろ過し、乾燥して下記構造式で表される本発明のカップラー75.0部を得た。該カップラーは新規物質である。元素分析の結果C:78.81%(理論値78.93%)、H:5.30%(理論値5.30%)、N:7.38%(理論値7.36%)であり、該化合物の1H NMRを図2に、13C NMRを図4に、熱分析チャートを図6に、赤外吸収スペクトルを図8に示した。
【0037】

【0038】
実施例2
モノクロロベンゼン150部、ベンザシル酸ナトリウム14.2部、3−アミノ−9−エチルカルバゾール10.0部に90〜95℃で三塩化リン3.2部を1時間で加えた後、同温度で1時間、128〜130℃で25時間攪拌後、アルカリ性で溶剤を水蒸気蒸留により除去し、50〜60℃にてろ過し、乾燥して下記構造式で表されるカップラー21.2部を得た。該カップラーは新規物質である。元素分析の結果C:79.50%(理論値79.30%)、H:4.95%(理論値4.94%)、N:8.96%(理論値8.95%)であり、該化合物の1H NMRを図3に、13C NMRを図5に、熱分析チャートを図7に、赤外吸収スペクトルを図9に示した。
【0039】

【0040】
応用例A−1
スルファニル酸12.7部を炭酸ナトリウム4.5部と水120部に溶解し、濃塩酸23.8部を加えて20℃まで冷却し、さらに氷を加えて5℃にし、亜硝酸ナトリウム5.5部を20%水溶液として10℃以下で加え、0.5時間攪拌し、過剰の亜硝酸をスルファミン酸水溶液にて分解させてジアゾ液を調製した。一方、カップラーK−1(実施例1)28.0部を水酸化ナトリム4.4部、酢酸ナトリウム三水塩8.4部とメタノール500部に溶かし、これに10℃以下で上記ジアゾ液を滴下した後、さらに酢酸ナトリウム三水和物にてpH8.5に制御しながら約3時間攪拌した。反応終点を確認後、生成物をろ過し、メタノールおよび水で洗浄後、水中でリスラリー化して塩酸を加えて、強酸性とし、ろ過水洗および乾燥して下記構造式で表される赤紫色の分散剤(1)37.6部を得た。
【0041】

【0042】
応用例A−2
応用例A−1で得られた分散剤(1)の水ペースト48.9部(固形分15.0部)を水500部に加えて充分にリスラリー化し、テトラエチルアンモニウムクロリド9.5部を加えて3時間攪拌後に濾過して、充分に水洗し、下記構造式で表わされる赤紫色の分散剤(2)17.6部を得た。
【0043】

【0044】
応用例A−3
応用例A−1で得られた分散剤(1)の水ペースト48.9部(固形分15.0部)を水500部に加えて充分にリスラリー化し、硫酸アルミニウム14〜18水和物の10%水溶液200部を加え、85〜95℃にて2時間攪拌後に濾過して、充分に水洗し、下記構造式で表わされる赤紫色の分散剤(3)14.8部を得た。
【0045】

【0046】
応用例A−4
応用例A−1においてスルファニル酸の代わりにナフチオン酸を用い、同様にして下記構造式で表わされる赤紫色の分散剤(4)を得た。
【0047】

【0048】
応用例A−5
分散剤(4)とテトラエチルアンモニウムクロリドを応用例A−2と同様に反応させ、下記構造式で表わされる赤紫色の分散剤(5)を得た。
【0049】

【0050】
応用例A−6
分散剤(4)と硫酸アルミニウム14〜18水和物を応用例A−3と同様に反応させ、下記構造式で表わされる赤紫色の分散剤(6)を得た。
【0051】

【0052】
応用例A−7
ジアゾ成分としてスルファニル酸を、カップラーとして前記K−2を用いて、応用例A−1と同様にして、下記構造式で表される紫色の分散剤(7)を得た。
【0053】

【0054】
応用例A−8
分散剤(7)と硫酸アルミニウム14〜18水和物を応用例A−3と同様に反応させ、下記構造式で表わされる赤紫色の分散剤(8)を得た。
【0055】

【0056】
応用例A−9
ジアゾ成分としてナフチオン酸を、カップラーとして前記K−2を用いて、応用例A−1と同様にして、下記構造式で表される紫色の分散剤(9)を得た。
【0057】

【0058】
応用例A−10
ジアゾ成分としてブレナー酸を、カップラーとして前記K−1を用いて、応用例A−1と同様にして、下記構造式で表される赤紫色の分散剤(10)を得た。
【0059】

【0060】
応用例A−11
ジアゾ成分としてM酸を、カップラーとして前記K−1を用いて、応用例A−1と同様にして、下記構造式で表される紫色の分散剤(11)を得た。
【0061】

【0062】
応用例A−12
ジアゾ成分としてガンマー酸を、カップラーとして前記K−1を用いて、応用例A−1と同様にして、下記構造式で表される紫色の分散剤(12)を得た。
【0063】

【0064】
応用例A−13
ジアゾ成分として6−(3−スルホ)ベンズアミド−4−メトキシ−m−トルイジンを、カップラーとして前記K−1を用いて、応用例A−1と同様にして、下記構造式で表される紫色の分散剤(13)を得た。
【0065】

【0066】
応用例A−14
ジアゾ成分として1−アミノアントラキノン−5−スルホン酸を、カップラーとして前記K−1を用いて、応用例A−1と同様にして、下記構造式で表される赤紫色の分散剤(14)を得た。
【0067】

【0068】
応用例B−1
PV23のプレスケーキ(固形分26%)を顔料分が100部になるように取り、水2,000部を加えて充分にリスラリー化する。これに分散剤(1)のプレスケーキ(固形分30%)を固形分が5部になるように加えて1時間高速攪拌する。5%炭酸ナトリウム水溶液を弱酸性になるまで徐々に滴下し、その後1時間攪拌して濾過する。充分に水洗し、80℃で乾燥して104部の易分散性顔料組成物(1)を得た。
【0069】
応用例B−2
PV23のプレスケーキ(固形分26%)を顔料分が100部になるように取り、水2,000部を加えて充分にリスラリー化する。これに分散剤(2)のプレスケーキ(固形分35%)を固形分が5部になるように加えて1時間高速攪拌する。濾過して充分に水洗し、80℃で乾燥して104部の易分散性顔料組成物(2)を得た。
【0070】
応用例B−3
応用例B−2で分散剤(2)の代わりに分散剤(3)を用いて、同様に易分散性顔料組成物(3)を得た。
【0071】
応用例C−1
アクリル樹脂ワニス(メタクリル酸/ベンジルアクリレート/スチレン/ヒドロキシエチルアクリレートを25/50/15/10のモル比で共重合させたもの(分子量12,000、固形分40%))50部に、PV23の20部と分散剤(1)の1部および溶剤(プロピレングリコール1−モノメチルエーテル2−アセテート)(以下PGMAcと略す)を20部配合し、プレミキシングの後、横型ビーズミルで分散処理して紫色顔料分散液を得た。
【0072】
応用例C−2
分散剤(1)の代わりに分散剤(2)を使用する以外は応用例C−1と同様にして紫色顔料分散液を得た。
【0073】
応用例C−3〜C−14
分散剤(1)の代わりに、分散剤(3)〜(14)をそれぞれ使用し、応用例C−1と同様にして紫色顔料分散液を得た。
【0074】
応用例C−15、16、17
応用例C−1で使用したPV23と分散剤(1)の代わりに、易分散性顔料組成物(1)、(2)、(3)をそれぞれ使用し、応用例C−1と同様にして3種の紫色顔料分散液を得た。
【0075】
比較例C−1
応用例C−1で使用した分散剤(1)の代わりに、市販の顔料分散剤(モノスルホン化フタロシアニンブルー)を使用し、応用例C−1と同様にして紫色顔料分散液を得た。
【0076】
比較例C−2
応用例C−1で使用した分散剤(1)の代わりに、市販の顔料分散剤(モノスルホン化フタロシアニンブルーの第4級アンモニウム塩)を使用し、比較例C−1と同様にして紫色顔料分散液を得た。
【0077】
上記の応用例C−1〜17および比較例C−1、2の紫色顔料分散液中の顔料の平均粒子径を測定した。また、保存安定性を見るため、紫色顔料分散液を室温で1ヶ月間貯蔵し、粘度の変化を測定した。粘度はE型粘度計を用い、ローターの回転数6rpmで測定した。また、分光透過率特性を調べるため、紫色顔料分散液をそれぞれスピンナーでガラス基板に塗布し、乾燥後、波長440nmにおける塗膜の最大透過率を測定した。その結果を表1に示す。
【0078】
表1から明らかなように、応用例C−1〜17の紫色顔料分散液は、比較例C−1、2の紫色顔料分散液と対比すると、各応用例の紫色顔料分散液からなる塗膜の方が最大光透過率が高く、初期粘度および貯蔵後の粘度(1ヶ月後)ともに低いことが明らかである。
【0079】
応用例D−1
応用例C−1で使用したPV23の代わりにPB15:6を使用し、応用例C−1と同様の操作にて青色の顔料分散液を得た。表2に示したように、この青色の顔料分散液も、初期粘度および貯蔵後の粘度(1ヶ月後)ともに低く、カラーフィルター用塗布液として優れた性質を有していた。
【0080】
応用例D−2
応用例C−1で使用したPV23の代わりにPG36を使用し、応用例C−1と同様の操作にて緑色の顔料分散液を得た。表2に示したように、この緑色顔料分散液も、初期粘度および貯蔵後の粘度(1ヶ月後)ともに低く、カラーフィルター用塗布液として優れた性質を有していた。
【0081】
応用例D−3
応用例C−1で使用したPV23の代わりにPBk7を使用し、応用例C−1と同様の操作にて黒色の顔料分散液を得た。表2に示したように、この黒色の顔料分散液も、初期粘度および貯蔵後の粘度(1ヶ月後)ともに低く、カラーフィルター用塗布液(ブラックマトリックス用)として優れた性質を有している。
【0082】

【0083】

【0084】
参考例1
応用例C−1で使用したアクリル樹脂ワニス50部にアントラキノニルレッド顔料(C.I.ピグメントレッド177)17部、イソインドリノンエロー顔料(C.I.ピグメントエロー139)3部と顔料分散剤として2,4−ビス[アントラキノニル(−1’)−アミノ]−6−(N,N−ジメチルアミノ)エチルアミノ−s−トリアジンを2部およびPGMAcを20部配合し、プレミキシングの後、横型ビーズミルで分散し、赤色の顔料分散液を得た。
【0085】
参考例2
参考例1で使用した顔料に代えてPG36の17部、キノフタロンエロー顔料(C.I.ピグメントエロー138)13部を使用し、参考例1と同様の操作にて緑色の顔料分散液を得た。
【0086】
応用例E−1
RGBのカラーフィルターを作製するために、下記の表3の配合処方によりR、GおよびBのカラーフィルター用塗布液を得た。
【0087】

【0088】
シランカップリング剤処理を行ったガラス基板をスピンコーターにセットし、表3のRの塗布液を最初300rpmで5秒間、次いで1200rpmで5秒間の条件でスピンコートした。次いで80℃で10分間プリベークを行い、モザイク状のパターンを有するフォトマスクを密着させ、超高圧水銀灯を用い100mJ/cm2の光量で露光を行った。次いで専用現像液および専用リンスで現像および洗浄を行い、ガラス基板上に赤色のモザイク状パターン(画素)を形成させた。
【0089】
引き続いて緑色モザイク状パターンおよび青色モザイク状パターンを表3のGおよびBの塗布液を用いて上記の方法に準じて塗布および焼き付けを行って形成し、RGBの画素を有するカラーフィルターを得た。得られたカラーフィルターは優れた分光透過率特性を有し、耐光性、耐熱性などの堅牢性に優れ、液晶カラーディスプレイ用カラーフィルターとして優れた性質を示した。
【0090】
顔料製造例−1
2,5−ジクロロアニリン16.2部を40℃で酢酸22部に溶解し、5規定塩酸80部と水250部の混合液を加えて微細にスラリー化させた。氷175部を加えて0℃以下とし、50%亜硝酸ナトリウム水溶液14部を注加して1時間かき混ぜた。全液容を500部として過剰な亜硝酸を分解後、ろ過助剤を用いてろ過し、透明なジアゾ液を調製した。他方、水酸化ナトリウム8部および酢酸ナトリウム3水和物40.8部をメタノール700部に溶解し、これに前記カップラーK−1 38.1部を加えてカップラー液を調製した。カップラー液に上記ジアゾ液を5℃以下で徐々に注加し、そのまま30分間攪拌後、酢酸ナトリウム3水和物でpHを8.0〜8.5に調整しながら6時間攪拌した。ろ過し、十分に水洗して乾燥して、下記化学構造の暗赤色顔料51.3部を得た。
【0091】

【0092】
顔料製造例−2
顔料製造例−1において、カップラーK−1を前記カップラーK−2に代えた以外は顔料製造例−1と同様にカップリングして、下記化学構造の黒色顔料を得た。この顔料は赤外線非吸収性であった。
【0093】

【0094】
顔料製造例−3
顔料製造例−1において、2,5−ジクロロアニリンを(z)−3−(4−アミノフェニルイミノ)−4,5,6,7−テトラクロロイソインドリン−1−オンに代え、カップラーK−1を前記カップラーK−2に代えた以外は顔料製造例−1と同様にして下記の化学構造の黒色顔料を得た。この顔料は赤外線非吸収性であった。
【0095】

【0096】
顔料製造例−4
顔料製造例−1において、2,5−ジクロロアニリンを5−アミノ−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2(3H)−オン(5−アミノベンズイミダゾロン)に代え、カップラーK−1を前記カップラーK−2に代えた以外は顔料製造例−1と同様にして下記の化学構造の黒色顔料を得た。この顔料は赤外線非吸収性であった。
【0097】

【0098】
顔料製造例−5
顔料製造例−1において、2,5−ジクロロアニリンをN−(4−アミノ−2,5−ジメトキシフェニル)ベンズアミドに代え、カップラーK−1を前記カップラーK−2に代えた以外は顔料製造例−1と同様にして下記の化学構造の暗青色顔料を得た。この顔料は赤外線非吸収性であった。
【0099】

【0100】
顔料製造例−6〜9
顔料製造例−1〜5と同様にして下記の顔料を得た。

【0101】

【0102】

【0103】

【産業上の利用可能性】
【0104】
本発明のカップラーは、種々のアゾ染料、アゾ顔料、有機顔料の分散剤の中間体として有用である。特に本発明のカップラーを用いて得られる、1〜3個のスルホン酸基またはその塩の基を有するアゾ色素は、有機顔料の分散剤として、各種有機顔料を、塗料、印刷インキ、カラーフィルター用塗布液などの分散媒体中に高濃度かつ低粘度に安定に分散させることができる。上記分散剤を用いて得られる有機顔料の分散液は、カラーフィルター用塗布液の着色剤として有用であり、顔料として、PB15:6とPV23とを組み合わせた場合には、優れた分光透過率特性を有し、鮮明で冴えた、透明感の高い、しかも耐光性、耐熱性、耐溶剤性、耐薬品性、耐水性などの諸堅牢性に優れた青色画素を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0105】
【図1】着色塗布膜の分光透過率特性を説明する図。
【図2】カップラーK−1の1H NMRスペクトル。
【図3】カップラーK−2の1H NMRスペクトル。
【図4】カップラーK−1の13C NMRスペクトル。
【図5】カップラーK−2の13C NMRスペクトル。
【図6】カップラーK−1の熱分析チャート。
【図7】カップラーK−2の熱分析チャート。
【図8】カップラーK−1の赤外吸収スペクトル(ヌジョール法)。
【図9】カップラーK−2の赤外吸収スペクトル(ヌジョール法)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)または(2)で表されることを特徴とするカップラー。

(ただし、式中の置換基Xは同じでも異なってもよく、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、ニトロ基、アルキル基、アルコキシル基、無置換または置換のフタルイミドメチル基を表す。Rは水素原子またはC1〜C12のアルキル基を表す。mは0〜3の整数である。)
【請求項2】
mが0であり、Rが水素原子またはC1〜C4のアルキル基である請求項1に記載のカップラー。
【請求項3】
下記一般式(3)または(4)で表されることを特徴とする色素。

(ただし、式中のRDは、芳香族環または芳香族ヘテロ環を表し、置換基XおよびYは同じでも異なってもよく、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、ニトロ基、アルキル基、アルコキシル基、無置換または置換のフタルイミドメチル基を表す。Rは、水素原子またはC1〜C12のアルキル基を表す。mおよびnは0〜3の整数である。)
【請求項4】
mが0であり、Rが水素原子またはC1〜C4のアルキル基である請求項3に記載の色素。
【請求項5】
請求項3に記載の色素を含むことを特徴とする着色剤。
【請求項6】
請求項5に記載の着色剤によることを特徴とする物品の着色方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−197213(P2009−197213A)
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−230469(P2008−230469)
【出願日】平成20年9月9日(2008.9.9)
【出願人】(000002820)大日精化工業株式会社 (387)
【Fターム(参考)】