カテーテル及び血管内の狭窄部の治療方法
【課題】シャフトの有効長を必要に応じて任意の長さに調整することができるカテーテル及び当該カテーテルを用いた血管内の狭窄部の治療方法を提供する。
【解決手段】カテーテル10は、可撓性を有する中空で長尺なシャフト12と、シャフト12より基端側に設けられたハブ13と、シャフト12とハブ13との間に設けられた伸縮機構14と、伸縮機構14の外側に設けられ、伸縮機構14を締め付け可能に構成された締付機構16とを備える。伸縮機構14は、規制された範囲内で互いに軸線方向に摺動可能な、入れ子構造をなす第1〜第3管状部材22、24、26を有する。
【解決手段】カテーテル10は、可撓性を有する中空で長尺なシャフト12と、シャフト12より基端側に設けられたハブ13と、シャフト12とハブ13との間に設けられた伸縮機構14と、伸縮機構14の外側に設けられ、伸縮機構14を締め付け可能に構成された締付機構16とを備える。伸縮機構14は、規制された範囲内で互いに軸線方向に摺動可能な、入れ子構造をなす第1〜第3管状部材22、24、26を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、必要に応じて有効長を変更可能なカテーテル及び当該カテーテルを用いた血管内の狭窄部の治療方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、血管等の生体器官内にカテーテルを導入して生体器官内の病変部(例えば、狭窄部)を検査・処置することが広範に行われている。この種のカテーテルは、長尺なシャフト(カテーテルボディ)と、当該シャフトの基端部に連結されたハブと、シャフトの基端部を囲繞する耐キンクプロテクタ(ストレインリリーフ等とも呼ばれる)とを有する(例えば、下記特許文献1を参照)。
【0003】
心筋梗塞や狭心症の治療では、シースイントロデューサという挿入具を介してガイディングカテーテルのシャフトを血管内に挿入し、当該シャフトの先端を生体器官の所望の位置(例えば、狭窄部の近傍、冠動脈、頚動脈、腎動脈等の入口)に配置させることが行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第6068622号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のカテーテルは、シャフトの先端から耐キンクプロテクタまでの長さ(シャフトの有効長)が一定となっている。しかしながら、血管の形状(例えば、蛇行具合)又は長さには個人差があるため、生体に穿刺したシースイントロデューサの基端から生体器官の所望の位置までの血管の長さがシャフトの有効長よりも短いと、シャフトの先端を生体器官の所望の位置に到達させることができない。例えば、PTCA(経皮的冠動脈形成術)では、ガイディングカテーテルの先端が冠動脈口に到達しないことや、冠動脈口にぎりぎり係合しても治療デバイスの使用時に外れることを回避する必要がある。
【0006】
シャフトの有効長が長めに設定されたカテーテルを用いることも考えられるが、そのようなカテーテルを用いると、操作性が悪化するとともに、シャフトの余った部分(シースイントロデューサの基端と耐キンクプロテクタとの間のシャフト)の折れやキンクが発生しやすい。また、有効長が長めに設定されたガイディングカテーテルの場合、当該ガイディングカテーテル内に挿通して使用する治療カテーテル(例えば、PTCAの場合、バルーンカテーテル)の長さが不足し、バルーンがガイディングカテーテルの先端から突出しないことがあるし、予め余分に長い治療カテーテルを用意する必要がある等の問題がある。
【0007】
本発明はこのような課題を考慮してなされたものであり、シャフトの有効長を必要に応じて任意の長さに調整することができるカテーテル及び当該カテーテルを用いた血管内の狭窄部の治療方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するため、本発明に係るカテーテルは、可撓性を有する中空で長尺なシャフトと、前記シャフトより基端側に設けられたハブと、前記シャフトと前記ハブとの間に設けられた伸縮機構と、前記伸縮機構の外側に設けられ、前記伸縮機構を締め付け可能に構成された締付機構とを備え、前記伸縮機構は、規制された範囲内で互いに軸線方向に摺動可能な、入れ子構造をなす複数の管状部材を有することを特徴とする。
【0009】
上記の本発明によれば、シャフトとハブとが、入れ子構造をなす複数の管状部材を有する伸縮機構によって接続されているので、ハブに対してシャフトを軸線方向に移動させることにより、シャフトの有効長を変更(伸縮)することができる。したがって、シャフトの長さが足りない場合には、シャフトの有効長を伸ばすことで、生体器官内の所望の位置(例えば、冠動脈口)に確実に到達させることができる。シャフトが長すぎる場合には、シャフトの有効長を短くすることで、シースイントロデューサの基端から外部に露出する部分のシャフトの折れやキンクの発生を抑制することができるとともに、カテーテルに挿通して使用する治療デバイス(例えば、バルーンカテーテル)の先端を確実にシャフト先端から突出させることができる。また、長さの異なる複数のカテーテルを用意する必要がなく、医療経済性に優れるとともに、カテーテルの交換作業が不要であり、患者への負担を軽減できる。シャフトの有効長を調節してから締付機構により伸縮機構を外側から締め付けると、管状部材同士の相対変位が阻止されるので、シャフトの有効長を任意の長さに好適に保持でき、ハブからシャフトへのトルク伝達性を向上でき、管状部材間をシールして液密を確保することができる。
【0010】
上記のカテーテルにおいて、前記複数の管状部材のうち、最も外側に位置するもの以外の管状部材の外周部には、軸線方向に延在する外側凹部又は外側凸部が設けられ、前記複数の管状部材のうち、最も内側に位置するもの以外の管状部材の内周部には、軸線方向に延在する内側凸部又は内側凹部が設けられ、前記外側凹部又は前記外側凸部が、前記内側凸部又は前記内側凹部に係合するとよい。
【0011】
上記の構成によれば、締付機構により伸縮部材を締め付けたときに、管状部材同士がそれらの内周部及び外周部に設けられた凹凸形状によって係合して、相対回転が防止されるので、ハブからシャフトへのトルク伝達性をより向上させることができる。
【0012】
上記のカテーテルにおいて、前記複数の管状部材のうち、最も外側に位置するもの以外の管状部材の外周部と、最も内側に位置するもの以外の管状部材の内周部とには、それぞれ粗面が設けられているとよい。
【0013】
上記の構成によれば、締付機構により伸縮部材を締め付けたときに、管状部材同士の内周部及び外周部に設けられた粗面によって管状部材間の摩擦抵抗が増大するので、ハブからシャフトへのトルク伝達性をより向上させることができる。
【0014】
上記のカテーテルにおいて、前記複数の管状部材の各々は、拡径部と、前記拡径部の基端側に設けられ前記拡径部に対して縮径した基端縮径部とを有し、前記複数の管状部材のうち、最も外側に位置するもの以外の管状部材は、当該管状部材が可動範囲内の最も先端側に位置するとき、当該管状部材の前記基端縮径部の最基端位置が、当該管状部材を直接囲む別の管状部材の前記基端縮径部の最先端位置近傍又は内部まで延在するとよい。
【0015】
上記の構成によれば、ハブの基端側から線状部材を挿入する際、拡径部と基端縮径部との間に線状部材が入り込むことを防止でき、よって、手技を迅速に遂行することができる。
【0016】
上記のカテーテルにおいて、前記締付機構は、前記伸縮機構を囲む管状の弾性体からなり、軸線方向に圧縮されることで内径が縮小する締付部材と、前記伸縮機構に対して軸線方向の位置を変更可能に設けられ、前記締付部材を軸線方向に押圧する押圧部材とを有するとよい。
【0017】
上記の構成によれば、押圧部材の軸線方向への移動によって内径が縮小する締付部材により伸縮機構を外側から締め付けるので、管状部材同士の内周面及び外周面を確実に密着させることができる。
【0018】
上記のカテーテルにおいて、前記締付機構は、前記伸縮機構の外周に沿って周方向に間隔を置いて設けられた複数の締付部材と、前記伸縮機構に対して軸線方向の位置を変更可能に設けられ、前記伸縮機構及び前記複数の締付部材を囲み、先端に向かって縮径するテーパ内面が形成された管状の押圧部材とを有するとよい。
【0019】
上記の構成によれば、テーパ状の内周面を有する押圧部材の軸線方向への移動によって締付部材が内方に変位することで、伸縮機構を外側から締め付けるので、管状部材同士の内周面及び外周面を確実に密着させることができる。
【0020】
また、本発明は、カテーテルを用いた血管内の狭窄部の治療方法であって、前記カテーテルは、ハブに対してシャフトの有効長を縮めることができるように構成され、前記カテーテルの最先端部手前の位置のルーメン内にバルーンカテーテルのバルーンを配置した状態で、前記カテーテルと前記バルーンカテーテルを血管内に進めるステップと、前記カテーテルの最先端部を狭窄部内に位置付けるステップと、前記カテーテルの前記ハブの位置を変えずに前記ハブに対して前記シャフトの有効長を縮めることにより前記カテーテルの最先端部を後退させるステップと、前記バルーンカテーテルの前記バルーンを前記狭窄部内に位置付けるステップとを含む、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明のカテーテルによれば、シャフトの有効長を必要に応じて任意の長さに変更(調整)することができる。よって、生体器官内の所望の位置(例えば、冠動脈口や冠動脈内の奥側)に確実に到達させることができ、シャフトの折れやキンクの発生を抑制することができ、治療デバイスの先端を確実にシャフトから突出させることができる等の優れた効果が得られる。また、本発明に係る血管内の狭窄部の治療方法によれば、血管内でカテーテルの先端からバルーンを突出させる操作及びバルーンをカテーテルに収納する操作を簡易且つ迅速に遂行することができるため、狭窄部を迅速に治療することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施形態に係るカテーテルの一部省略側面図である。
【図2】図1に示したカテーテルの要部を模式的に示す一部省略断面図であって、図2Aは、締付機構により伸縮機構を締め付けていない状態を示し、図2Bは、締付機構により伸縮機構が締め付けられた状態を示している。
【図3】図1に示したカテーテルの要部を模式的に示す一部省略断面図であって、図3Aは、シャフトを最も先端側に移動させた状態を示し、図3Bは、シャフトを最も基端側に移動させた状態を示す。
【図4】図4Aは、変形例に係る締付機構を備えたカテーテルの一部省略断面図であり、図4Bは、図4AのIVB−IVB線に沿った断面図である。
【図5】図5Aは、図2AのVA−VA線に沿った伸縮機構の断面図であり、図5Bは、第1変形例に係る伸縮機構の断面図であり、図5Cは、第2変形例に係る伸縮機構の断面図である。
【図6】図6Aは、第3変形例に係る伸縮機構を備えたカテーテルの一部省略断面図であり、図6Bは、図6Aの部分拡大図である。
【図7】カテーテルの血管への導入方法を示す概略説明図である。
【図8】本発明のカテーテルを使用した第1の治療方法を示す概略説明図である。
【図9】本発明のカテーテルを使用した第2の治療方法を示す概略説明図である。
【図10】本発明のカテーテルを使用した第3の治療方法を示す概略説明図である。
【図11】本発明のカテーテルを使用した第4の治療方法を示す概略説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明に係るカテーテルについて好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照しながら説明する。
【0024】
図1は、本発明の一実施形態に係るカテーテル10の一部省略側面図である。このカテーテル10は、血管等の生体器官内に導入して生体器官内の病変部を検査・処置するために使用される医療用器具であり、図示した構成例のものは、PTCA(経皮的冠動脈形成術)に用いられるガイディングカテーテルとして構成されている。
【0025】
ガイディングカテーテルとして構成されたカテーテル10を用いたPTCAでは、シースイントロデューサ130(挿入具)を介して長尺なシャフト12を血管(例えば、大腿動脈、上腕動脈、橈骨動脈)に挿通させ、その先端部を大動脈を経由して冠動脈口へと到達させた後、例えば、シャフト12の内部にバルーンカテーテル146を挿入して冠動脈口から冠動脈の内部に生じた狭窄部へと導き、バルーン148を狭窄部で拡張させることで該狭窄部を押し広げて治療する。
【0026】
図1に示すように、カテーテル10は、細径で長尺なシャフト12と、シャフト12より基端側に設けられたハブ13と、シャフト12とハブ13との間に設けられた伸縮機構14と、伸縮機構14の外側に設けられた締付機構16と、伸縮機構14の先端に設けられた耐キンクプロテクタ18とを備え、伸縮機構14の作用によりシャフト12をハブ13に対して軸線方向に位置調整可能であり、締付機構16の作用により位置調整後のシャフト12の軸線方向の位置を固定することができる。なお、カテーテル10に関する以下の説明では、図1、図2A、図2B、図3A、図3B、図4A、図6A、図6B中の左側を「先端」、右側を「基端(後端)」という。
【0027】
シャフト12は、円筒状に形成されるとともに、術者がその基端側を把持及び操作しながら血管等の生体器官内へと円滑に挿通させることができるように適度な可撓性と適度な強度を有する樹脂等で構成されている。シャフト12の先端部は、図示例のものは、ストレート形状であるが、用途に応じて湾曲形状が付けられてもよい。
【0028】
シャフト12の長さは、人体の血管への挿入部位(穿刺部位)から冠動脈までの長さや操作性を考慮して、例えば、75〜130cm程度に設定され、好ましくは85〜120cm程度に設定される。伸縮機構14によりシャフトを最も伸ばしたときのシャフト12の有効長は、例えば、95〜130cm程度に設定され、伸縮機構14によりシャフト12を最も短くしたときのシャフト12の有効長は、例えば、75〜110cm程度に設定される。
【0029】
シャフト12の内部には、カテーテル10を冠動脈等の入口へと導くためのガイドワイヤー134(図7、図8参照)やバルーンカテーテル146(図8参照)が挿通される。
【0030】
シャフト12の外径は、その全長にわたり、3.3mm以下に設定される。特に、ヒトの上腕動脈又は橈骨動脈から導入し、大動脈を経由して冠動脈口に係合させる手技に使用する場合、シャフト12の外径は、その全長にわたり2.7mm以下(好ましくは2.1mm以下)に設定されるとよい。また、シャフト12の先端を冠動脈の奥まで進める手技に使用する場合、シャフト12の外径は、その全長にわたり1.8mm以下(好ましくは1.5mm以下)に設定されるとよい。
【0031】
ハブ13は、その先端にて伸縮機構14の基端を保持する中空状の部材であり、その基端には、シリンジ等の他の器具を接続するための接続口又は治療デバイスを挿入するための挿入口として機能するポート13aが設けられている。耐キンクプロテクタ18は、シャフト12の伸縮機構14への接続部での屈曲(キンク)を防止するためのものであり、例えば先細りのチューブ状に形成された適度の可撓性及び剛性を有する樹脂製の部材である。
【0032】
図2A〜図3Bは、伸縮機構14の構成を概略的に示す一部省略縦断面図である。なお、これらの図では、構造の理解の容易のために、伸縮機構14及びその周辺部位の構造を、軸線方向に短く、径方向に大きい形態として示している。伸縮機構14は、シャフト12とハブ13との間に設けられおり、規制された範囲内で互いに軸線方向に摺動可能な、入れ子構造をなす複数の管状部材22、24、26を有する。入れ子構造とは、同様の形状の大きさの異なる中空部を有する部材などを順に内部へ入れた構造をいう。
【0033】
図示した構成例に係る伸縮機構14は、3つの管状部材22、24、26により構成されている。以下では、これら3つの管状部材22、24、26を区別する場合には、内側から順にそれぞれ、第1管状部材22、第2管状部材24、第3管状部材26とよぶ。各管状部材22、24、26は、中空円筒形状をなし、締付機構16により外側から押圧された際に半径方向内方に弾性変形するように、適度の可撓性及び剛性を有する材料、例えば、樹脂材料で構成される。
【0034】
伸縮機構14を構成する複数の管状部材22、24、26のうち、最も内側に位置する第1管状部材22は、シャフト12の基端部に連結されている。第1管状部材22は、軸線方向の途中位置を構成する第1拡径部28と、第1拡径部28の先端側に設けられた第1先端縮径部30と、拡径部の基端側に設けられた第1基端縮径部32とを有する。
【0035】
シャフト12の基端部は、第1先端縮径部30内に挿入され、シャフト12の基端部の外周面と、第1先端縮径部30の内周面とが接合されている。第1先端縮径部30と第1拡径部28とは、先端側に向かって徐々に縮径するテーパ部34によって連結されている。第1拡径部28と第1基端縮径部32とは、先端に向かって徐々に拡径するテーパ部36によって連結されている。
【0036】
第2管状部材24は、シャフト12とハブ13のいずれにも接続されていない。第2管状部材24は、軸線方向の途中位置を構成する第2拡径部38と、第2拡径部38の先端側に設けられた第2先端縮径部40と、第2拡径部38の基端側に設けられた第2基端縮径部42とを有する。第2先端縮径部40と第2拡径部38とは、先端側に向かって徐々に縮径するテーパ部44によって連結されている。第2拡径部38と第2基端縮径部42とは、先端に向かって徐々に拡径するテーパ部46によって連結されている。
【0037】
第2拡径部38の内径は、第1拡径部28の外径と略同じか、それよりも僅かに大きく設定される。本実施形態の場合、図2Aのように、締付機構16により伸縮機構14を締め付けていない状態では、第1拡径部28と第2拡径部38との間に僅かな隙間が形成される。第2拡径部38は、第1拡径部28よりも軸線方向に長い。
【0038】
第2先端縮径部40の内径は、第1先端縮径部30の外径と同じか、それよりも僅かに大きく設定される。第2先端縮径部40内に第1先端縮径部30が挿通される。第2基端縮径部42の内径は、第1基端縮径部32の外径と略同じか、それよりも僅かに大きく設定される。第2基端縮径部42内に第1基端縮径部32が挿通される。
【0039】
伸縮機構14を構成する複数の管状部材22、24、26のうち、最も外側に位置する第3管状部材26は、ハブ13の先端に連結されている。第3管状部材26は、軸線方向の途中位置を構成する第3拡径部48と、第3拡径部48の先端側に設けられた第3先端縮径部50と、第3拡径部48の基端側に設けられた第3基端縮径部52とを有する。
【0040】
第3先端縮径部50は、耐キンクプロテクタ18の基端内に挿入され、第3先端縮径部50の外周面と、耐キンクプロテクタ18の内周面とが接合されている。第3基端縮径部52は、ハブ13の先端内に挿入され、第3基端縮径部52の外周面と、ハブ13の内周面とが接合されている。第3先端縮径部50と第3拡径部48とは、先端側に向かって徐々に縮径するテーパ部54によって連結されている。第3拡径部48と第3基端縮径部52とは、先端に向かって徐々に拡径するテーパ部56によって連結されている。
【0041】
第3拡径部48の内径は、第2拡径部38の外径と略同じか、それよりも僅かに大きく設定される。本実施形態の場合、図2Aのように、締付機構16により伸縮機構14を締め付けていない状態では、第2拡径部38と第3拡径部48との間に僅かな隙間が形成される。第3拡径部48は、第2拡径部38よりも軸線方向に長い。
【0042】
第3先端縮径部50の内径は、第2先端縮径部40の外径と同じか、それよりも僅かに大きく設定される。第3先端縮径部50内に第2先端縮径部40が挿通される。第3基端縮径部52の内径は、第2基端縮径部42の外径と同じか、それよりも僅かに大きく設定される。第3基端縮径部52内に第2基端縮径部42が挿通される。
【0043】
伸縮機構14は上記のように構成されているため、第1管状部材22が第2管状部材24内で規制された範囲内で軸線方向に移動可能であるとともに、第2管状部材24が第3管状部材26内で規制された範囲内で軸線方向に移動可能である。したがって、シャフト12をハブ13に対して軸線方向に移動させ、シャフト12の先端から耐キンクプロテクタ18の先端までの長さ、すなわちシャフト12の有効長を任意に変更することができる。
【0044】
ここで、図3Aは、第1管状部材22が第2管状部材24内で最も先端側に移動し、且つ第2管状部材24が第3管状部材26内で最も先端側に移動した状態である。この状態で、シャフト12の有効長は、調整範囲内で最大となっている。一方、図3Bは、第1管状部材22が第2管状部材24内で最も基端側に移動し、且つ第2管状部材24が第3管状部材26内で最も基端側に移動した状態である。この状態で、シャフト12の有効長は、調整範囲内で最小となっている。
【0045】
伸縮機構14によるシャフト12の有効長の調整可能範囲(シャフト12の有効長が最も長い状態と最も短い状態との差)は、特に限定されないが、例えば、30〜200mm程度であり、好ましくは40〜100mm程度である。
【0046】
図3Aに示すように、第1管状部材22が可動範囲内の最も先端側に位置するとき、第1基端縮径部32の最基端位置は、第2管状部材24の第2基端縮径部42の最先端位置近傍又は内部まで延在する。また、同様に、第2管状部材24が可動範囲内の最も先端側に位置するとき、第2基端縮径部42の最基端位置は、第3管状部材26の第3基端縮径部52の最先端位置近傍又は内部まで延在する。
【0047】
第1基端縮径部32及び第2基端縮径部42の長さが上記のように設定されることにより、シャフト12の有効長が最大のとき、第1基端縮径部32と第2基端縮径部42との間、及び、第2基端縮径部42と第3基端縮径部52との間に軸線方向の隙間が形成されない。よって、ハブ13の基端側から細い線材(例えば、ガイドワイヤー)を挿入する際に、第1基端縮径部32と第2拡径部38との間の空間又は第2基端縮径部42と第3拡径部48との間の空間に、細い線材が進入することがなく、線材の挿入をスムーズに行うことが可能となる。
【0048】
また、第1〜第3基端縮径部32、42、52の最基端部は、管状部材22、24、26の端部が管状部材22、24、26の厚み分だけ、基端側に向かうに従って内側から外側に厚みが減少するようにテーパになっていてもよい。このように構成すると、ハブ13の基端側から細い線材を挿入する際に、当該線材が管状部材22、24、26の最基端部に接触しても、当該最基端部に設けられたテーパの作用によって内側にガイドされるため、線材の挿入をスムーズに行うことが可能となる。
【0049】
図示した構成例に係る伸縮機構14は、3つの管状部材22、24、26により構成されているが、このような構成に限らず、2つ又は4つ以上の管状部材により構成されてもよい。この場合、複数の管状部材のうち、最も外側に位置するもの以外の管状部材は、管状部材が可動範囲内の最も先端側に位置するとき、当該管状部材の基端縮径部の最基端位置が、当該管状部材を直接囲む管状部材の基端縮径部の最先端位置近傍又は内部まで延在するとよい。また、各管状部材(最も内側のものを除く)の拡径部の軸線方向の長さは、その内側に配置された管状部材の拡径部の軸線方向の長さよりも長い。
【0050】
次に、締付機構16の構成を説明する。締付機構16は、伸縮機構14の外側に設けられ、伸縮機構14を外側から押圧することで複数の管状部材22、24、26同士を密着させる締付状態と、伸縮機構14に対する押圧を解除する締付解除状態とに切換え可能に構成されている。図2A及び図2Bに示すように、締付機構16は、伸縮機構14を直接囲む筒状弾性体(締付部材)60と、筒状弾性体60を収容する筒状ボディ62と、筒状弾性体60を軸線方向に押圧する押圧部材64とを有する。
【0051】
筒状弾性体60は、伸縮機構14を囲む管状(中空円筒形)であり、軸線方向に圧縮されることで内径が縮小するように構成されている。筒状弾性体60の構成材料としては、特に限定されないが、例えば、シリコーンゴム、フッ素ゴム、イソプレン、天然ゴム等の各種ゴム類、ポリウレタン、ポリアミドエラストマー、ポリブタジエン、軟質塩化ビニル等の各種樹脂またはこれらのうち2以上を組み合わせたもの等が挙げられる。
【0052】
筒状ボディ62は、筒状弾性体60を囲む中空状(中空円筒形)の部材であり、適度な剛性を有する材料、例えば、硬質の樹脂材料で構成され、その内周部には、筒状弾性体60を保持する円環状の収容部が形成されている。筒状ボディ62は、伸縮機構14(第3管状部材26)に対して軸線方向及び周方向に変位しないように、第3管状部材26及び耐キンクプロテクタ18に接合されている。筒状ボディ62の基端を含む外周部には、雄ネジ部62aが形成されている。
【0053】
押圧部材64は、内筒部66と、当該内筒部66を同心状に囲む円筒形状の回転操作部68とを有し、筒状ボディ62と同心状に配置されるとともに筒状ボディ62に対して回転可能に設けられている。内筒部66と回転操作部68とにより、先端側に開放した環状凹溝70が形成されている。
【0054】
回転操作部68は、使用者(術者)が指でつまんで回転させる部分である。回転操作部68の外周面には、半径方向外方に隆起し且つ回転操作部68の軸線方向に沿って延在する滑り止め用のリブが周方向に間隔を置いて形成されるとよい。回転操作部68の内周部には、筒状ボディ62の基端外周面に設けられた雄ネジ部62aに螺合する雌ネジ部68aが形成されている。よって、回転操作部68を回転させると、雌ネジ部68aと雄ネジ部62aとの螺合によって、回転操作部68が筒状ボディ62に対して軸線方向に移動する。
【0055】
回転操作部68を回転操作して先端方向に移動させると、筒状弾性体60は内筒部66により軸線方向に押圧されて弾性変形して、筒状弾性体60の内径が縮小する。このとき、筒状弾性体60の内周部により、伸縮機構14を構成する第1〜第3管状部材22、24、26の第1〜第3拡径部28、38、48が内方に弾性変形し、第1〜第3拡径部28、38、48同士がそれらの内周部及び外周部で密着する(図2B参照)。これにより、第1〜第3管状部材22、24、26同士の軸線方向及び周方向の相対変位が阻止されるため、シャフト12の有効長を任意の長さに好適に保持でき、ハブ13からシャフト12へのトルク伝達性を向上でき、第1〜第3拡径部28、38、48間をシールして液密を確保することができる。
【0056】
回転操作部68を逆方向に回転操作して基端方向に移動させると、内筒部66による締付部材に対する押圧が解除されることで、締付部材の形状が弾性力で復元し、再び図2Aに示す状態に戻る。よって、第1〜第3管状部材22、24、26同士の軸線方向の相対変位が許容され、シャフト12の有効長を任意の長さに調整できる状態となる。
【0057】
本実施形態に係るカテーテル10は、基本的には以上のように構成されるものであり、以下、その作用及び効果について説明する。
【0058】
本実施形態に係るカテーテル10によれば、シャフト12とハブ13とが、入れ子構造をなす複数の管状部材22、24、26を有する伸縮機構14によって接続されているので、ハブ13に対してシャフト12を軸線方向に移動させることにより、シャフト12の有効長を変更(伸縮)することができる。したがって、シャフト12の長さが足りない場合には、シャフト12の有効長を伸ばすことで、生体器官内の所望の位置(例えば、冠動脈口)に確実に到達させることができる。
【0059】
シャフト12が長すぎる場合には、シャフト12の有効長を短くすることで、シースイントロデューサ130の基端から外部に露出する部分のシャフト12の折れやキンクの発生を抑制することができるとともに、カテーテル10のルーメンに挿通して使用する治療デバイス(例えば、バルーンカテーテル)の先端を確実にシャフト12先端から突出させることができる。
【0060】
本実施形態に係るカテーテル10によれば、長さの異なる複数のカテーテルを用意する必要がなく、医療経済性に優れるとともに、カテーテル10の交換作業が不要であり、患者への負担を軽減できる。
【0061】
また、本実施形態に係るカテーテル10によれば、シャフト12の有効長を調節してから締付機構16により伸縮機構14を外側から締め付けると、第1〜第3拡径部28、38、48同士の相対変位が阻止されるので、シャフト12の有効長を任意の長さに好適に保持でき、ハブ13からシャフト12へのトルク伝達性を向上でき、第1〜第3拡径部28、38、48間をシールして液密を確保することができる。
【0062】
上述したように、本実施形態に係るカテーテル10では、第1管状部材22が可動範囲内の最も先端側に位置するとき、第1基端縮径部32の最基端位置は、第2管状部材24の第2基端縮径部42の最先端位置近傍又は内部まで延在するとともに、第2管状部材24が可動範囲内の最も先端側に位置するとき、第2基端縮径部42の最基端位置は、第3管状部材26の第3基端縮径部52の最先端位置近傍又は内部まで延在する。このように構成されているので、ハブ13の基端側から細い線材(例えば、ガイドワイヤー)を挿入する際に、第1基端縮径部32と第2拡径部38との間の空間又は第2基端縮径部42と第3拡径部48との間の空間に、細い線材が進入することがなく、線材の挿入をスムーズに行うことが可能となる。
【0063】
本実施形態に係るカテーテル10では、押圧部材64の軸線方向への移動によって内径が縮小する筒状弾性体60により、伸縮機構14を外側から締め付けるので、第1〜第3拡径部28、38、48同士の内周面及び外周面を確実に密着させることができる。よって、良好なシール性能が得られる。
【0064】
本実施形態に係るカテーテル10において、上述した締付機構16に代えて、図4A及び図4Bに示す変形例に係る締付機構16aを適用してもよい。この締付機構16aは、伸縮機構14(具体的には、第3管状部材26)の外周に沿って周方向に間隔を置いて設けられた複数(図示例では4つ)の押圧片(締付部材)72と、外周部に雄ネジ部74aが設けられた中空円筒状のネジ部材74と、雄ネジ部74aに螺合する雌ネジ部76aが内周部に設けられた中空状(管状)の押圧部材76とを有する。
【0065】
押圧片72は、ハブ13の先端に固着され、伸縮機構14の軸線方向に沿って延在し、押圧部材76により外側から押圧されることで内方に弾性変形可能な部材であり、適度な弾性と剛性を有する材料、例えば、樹脂材料や金属材料で構成される。図示した構成例に係る押圧片72は、ハブ13とは別部材として構成されているが、ハブ13と一体形成されてもよい。各押圧片72の先端外側には、先端に向かうに従って伸縮機構14の中心軸線に近づくように傾斜するテーパ外面72aが設けられている。
【0066】
ネジ部材74は、図示した構成例では、ハブ13の先端に固着されている。ネジ部材74は、ハブ13とは別部材として構成されているが、ハブ13と一体形成されてもよい。
【0067】
押圧部材76は、伸縮機構14に対して軸線方向の位置を変更可能に設けられ、伸縮機構14及び複数の押圧片72を囲む管状(中空円筒形)の部材である。押圧部材76の内周部には、先端に向かって縮径するテーパ内面76bが形成されている。このテーパ内面76bの傾斜は、押圧片72に形成されたテーパ外面72aの傾斜と略同じに設定される。押圧部材76の先端には、耐キンクプロテクタ18が一体的に固着されている。なお、耐キンクプロテクタ18は、図2A等に示した構成と同様に、第3管状部材26の先端に一体的に固着されてもよい。
【0068】
押圧部材76の基端内周部には、ネジ部材74の雄ネジ部74aに螺合する雌ネジ部76aが形成されている。よって、押圧部材76を回転させると、雌ネジ部76aと雄ネジ部74aとの螺合によって、押圧部材76が伸縮機構14及び押圧片72に対して軸線方向に移動する。
【0069】
このように構成された締付機構16において、押圧部材76を回転操作して基端方向に移動させると、各押圧片72は、押圧部材76のテーパ内面76bによって半径方向内方に押圧されることによる弾性変形により、先端部が半径方向内方に変位する。このとき、複数の押圧片72により、伸縮機構14を構成する第1〜第3管状部材22、24、26の第1〜第3の拡径部28、38、48は内方に押圧されて弾性変形し、第1〜第3拡径部28、38、48同士がそれらの内周部及び外周部で密着する。これにより、第1〜第3管状部材22、24、26同士の軸線方向及び周方向の相対変位が阻止されるため、シャフト12の有効長を任意の長さに好適に保持でき、ハブ13からシャフト12へのトルク伝達性を向上でき、第1〜第3管状部材22、24、26管状部材間をシールして液密を確保することができる。
【0070】
締付機構16aの場合、テーパ内面76bを有する押圧部材76の軸線方向への移動によって複数の押圧片72が内方に変位することで、伸縮機構14を外側から締め付けるので、第1〜第3管状部材22、24、26管状部材同士の内周面及び外周面を確実に密着させることができる。よって、良好なシール性能が得られる。
【0071】
押圧部材76を回転操作して先端方向に移動させると、テーパ内面76bによるに押圧片72に対する押圧が解除されることで、押圧片72の形状が弾性力で復元する。よって、第1〜第3管状部材22、24、26同士の軸線方向の相対変位が許容され、シャフト12の有効長を任意の長さに調整できる状態となる。
【0072】
カテーテル10において、複数の管状部材(本実施形態では、第1〜第3管状部材22、24、26)のうち、最も外側に位置するもの(本実施形態では、第3管状部材26)以外の管状部材(本実施形態では、第1及び第2管状部材22、24)の外周部には、軸線方向に延在する外側凹部又は外側凸部が設けられ、複数の管状部材のうち、最も内側に位置するもの(本実施形態では、第1管状部材22)以外の管状部材(本実施形態では、第2及び第3管状部材24、26)の内周部には、軸線方向に延在する内側凸部又は内側凹部が設けられ、前記外側凹部又は前記外側凸部が、前記内側凸部又は前記内側凹部に係合するとよい。いくつかの構成例を、図5A〜図5Cに示す。
【0073】
図5Aは、図2AにおけるVA−VA線に沿った断面図である。なお、図5Aでは、締付機構16の図示を省略している(図5B及び図5Cについても、同様である)。図5Aに示す伸縮機構14において、第1拡径部28の外周部には、軸線方向に延在する山状部(外側凸部)80及び谷状部(外側凹部)82が周方向に交互に複数設けられ、第2拡径部38の内周部には、軸線方向に延在する山状部(内側凸部)84及び谷状部(内側凹部)86が周方向に交互に複数設けられ、第2拡径部38の外周部には、軸線方向に延在する山状部(外側凸部)88及び谷状部(外側凹部)90が周方向に交互に複数設けられ、第3拡径部48の内周部には、軸線方向に延在する山状部(内側凸部)92及び谷状部(内側凹部)94が周方向に交互に複数設けられている。
【0074】
図5Bに示す伸縮機構14aにおいて、第1拡径部28aの外周部には、軸線方向に延在する突条(外側凸部)96及び溝部(外側凹部)98が周方向に交互に複数設けられ、第2拡径部38aの内周部には、軸線方向に延在する突条(内側凸部)100及び溝部(内側凹部)102が周方向に交互に複数設けられ、第2拡径部38aの外周部には、軸線方向に延在する突条(外側凸部)104及び溝部(外側凹部)106が周方向に交互に複数設けられ、第3拡径部48aの内周部には、軸線方向に延在する突条(内側凸部)108及び溝部(内側凹部)110が周方向に交互に複数設けられている。
【0075】
図5Cに示す伸縮機構14bにおいて、第1拡径部28bの外周部には、軸線方向に延在する突条(外側凸部)112が周方向に複数設けられ、第2拡径部38bの内周部には、軸線方向に延在する溝部(内側凹部)114が周方向に複数設けられ、第2拡径部38bの外周部には、軸線方向に延在する溝部(外側凹部)116が周方向に複数設けられ、第3拡径部48bの内周部には、軸線方向に延在する突条(内側凸部)118が周方向に複数設けられている。なお、第1拡径部28bの突条112に代えて溝部を設けるとともに、第2拡径部38bの溝部114に代えて突条を設けてもよい。第2拡径部38bの溝部116に代えて突条を設けるとともに、第3拡径部48bの突条118に代えて溝部を設けてもよい。
【0076】
図5A〜図5Cに示した伸縮機構14、14a、14bのように、第1〜第3管状部材22、24、26の外周部及び内周部に凹凸形状を設けた場合、締付機構16により伸縮機構14を締め付けたときに、第1〜第3管状部材22、24、26同士がそれらの内周部及び外周部に設けられた凹凸形状によって係合して、相対回転が防止されるので、ハブ13からシャフト12へのトルク伝達性をより向上させることができる。
【0077】
図6A及び図6Bに示す伸縮機構14cのように、複数の管状部材(第1〜第3管状部材22、24、26)のうち、最も外側に位置するもの(第3管状部材26)以外の管状部材(第1及び第2管状部材22、24)の拡径部(第1及び第2拡径部28、38)の外周部と、最も内側に位置するもの(第1管状部材22)以外の管状部材(第2及び第3管状部材24、26)の拡径部(第2及び第3拡径部38、48)の内周部とには、それぞれ粗面120、121、122、123が設けられてもよい。
【0078】
図6A及び図6Bに示した構成によれば、締付機構16により伸縮機構14cを締め付けたときに、第1〜第3管状部材22(28c)、24(38c)、26(48c)同士の内周部及び外周部に設けられた粗面120、121、122、123によって第1〜第3管状部材22(28c)、24(38c)、26(48c)間の摩擦抵抗が増大するので、ハブ13からシャフト12へのトルク伝達性をより向上させることができる。なお、図5A〜図5Cに示した凹凸形状を有する第1〜第3管状部材の外周部及び外周部に、上述した粗面120、121、122、123を設けてもよい。
【0079】
本発明のカテーテル10は、血管内に生じた狭窄部の治療方法に適用することができる。当該方法は、ハブ13に対してシャフト12の有効長を縮めることができるように構成されたカテーテル10を用いて血管内に生じた狭窄部の治療方法であって、カテーテル10の最先端部手前の位置のルーメン内にバルーンを配置した状態でカテーテル10とバルーンカテーテルを血管内に進めるステップと、カテーテル10の最先端部を狭窄部内に位置付けるステップと、カテーテル10のハブ13の位置を変えずにハブ13に対してシャフト12の有効長を縮めることによりカテーテル10の最先端部を後退させるステップと、バルーンカテーテルのバルーンを狭窄部内に位置付けるステップとを含む。これにより、狭窄部の治療を迅速に行うことができる。
【0080】
次に、本発明のカテーテル10の使用方法に関連して、PTCA(経皮的動脈形成術)を実施する場合を例として、第1〜第4の治療方法を説明する。
【0081】
まず、第1の治療方法を説明する。第1の治療方法では、本実施形態に係るカテーテル10を、PTCA用ガイディングカテーテルとして用い、冠動脈の末梢まで挿入し、冠動脈内に生じた狭窄部の拡張を行う。カテーテル10は、冠動脈の末梢まで挿入できるように、細めのもの(例えば、4Fr)が用いられ、形状は原則ストレートであるが、最先端が僅かに屈曲していてもよい。
【0082】
カテーテル10は、初期状態として、締付機構16により伸縮機構14を締め付けた状態とし、ハブ13に対してシャフト12が軸線方向に移動しないようにしておく。図7に示すように、例えば、セルジンガー法によりシースイントロデューサ130を血管(例えば、大腿動脈)132に穿刺し、ガイドワイヤー134を挿入した状態のカテーテル10を、シースイントロデューサ130に挿入する。そして、シャフト12の先端に対してガイドワイヤー134を先行させた状態で、シャフト12の先端を、シースイントロデューサ130の先端開口部から血管132内へ挿入する。
【0083】
次に、カテーテル10及びガイドワイヤー134を、図7中矢印方向に徐々に送り、図8に示すように、大動脈136の大動脈弓138を通して、上行大動脈140に挿入していく。この際、シャフト12の先端が血管の屈曲部を通過するように、ガイドワイヤー134の出し入れ、カテーテル10の進退及び回転を適宜組み合わせた操作を行う。
【0084】
心臓141の左冠動脈口142の近傍までカテーテル10を導入したら、ガイドワイヤー134を操作してシャフト12の先端部を左冠動脈口142に係合させ、カテーテル10の先端部の位置を固定する。なお、第1の治療方法は、左右の冠動脈のいずれにも適用可能であるが、ここでは、左冠動脈144内に生じた狭窄部150を治療する場合を説明する。この点は、第2の治療方法においても同様である。
【0085】
カテーテル10先端が左冠動脈口142に挿入された後は、カテーテル10からガイドワイヤー134を抜去し、ハブ13の後端に装着されたYコネクタ131(図7参照)の分岐にシリンジを接続して造影剤を注入する。注入された造影剤はカテーテル10内を通りその先端開口から目的部位である左冠動脈144内に噴出される。これによりカテーテル10先端の左冠動脈口142への挿入位置の確認、及び左冠動脈144の造影が可能となる。
【0086】
次に、Yコネクタ131の後端部及びカテーテル10のルーメンを経由して、治療用カテーテルとしてのバルーンカテーテル146を挿入する。この場合、バルーンカテーテル146の先端に設けられたバルーン148を、カテーテル10の最先端手前に配置し、バルーン148のカテーテル10内での位置を固定(保持)する。
【0087】
次に、バルーン148のカテーテル10内での位置を固定し、且つバルーンカテーテル146に挿通させたガイドワイヤー134を先行させた状態で、カテーテル10及びバルーンカテーテル146を、左冠動脈144内に進めていき、病変部である狭窄部150内に挿入する。図8は、このときの様子を示している。左冠動脈口142より末梢側の左冠動脈144内において、カテーテル10の先端付近は断面で示されている。この挿入の際、カテーテル10の最先端手前にバルーン148を収納した状態としているので、慢性完全閉塞病変(CTO)などの病変部に対して優れた貫通力を発揮する。
【0088】
カテーテル10及びバルーンカテーテル146を狭窄部150内に挿入したら、カテーテル10の締付機構16を操作して、締付機構16による伸縮機構14に対する締付けを解除したうえで、伸縮機構14の機能を利用してシャフト12を手前側(基端側)に移動する。こうしてシャフト12の先端部を後退させることで、シャフト12の先端開口からバルーン148を突出させる。
【0089】
このように、本発明のカテーテル10を用いた場合、伸縮機構14の機能によって、シャフト12の先端部を後退させることで、病変部である狭窄部150の位置にきたらバルーン148だけを迅速に突出させることができる。しかも、このときの操作に際しては、手元のハブ13を動かさずに済む。すなわち、シースイントロデューサ130の基端部(シース弁体)、カテーテル10のハブ13、バルーンカテーテル146を一体にして手元で固定すれば、シャフト12を後退させる操作を1人で容易に行うことが可能である。
【0090】
シャフト12の先端開口からバルーン148を突出させたら、締付機構16により伸縮機構14を締め付けることで、シャフト12が前後(軸線方向)に動かないようにする。次に、バルーン148で狭窄部150を治療する。すなわち、バルーン148を拡張させて狭窄部150を内側から押し広げる。狭窄部150を押し広げたら、バルーン148を収縮させる。次に、締付機構16を操作し、伸縮機構14に対する締付けを解除してから、シャフト12を先端側に移動させ、バルーン148をシャフト12内に戻す。次に、カテーテル10及びバルーンカテーテル146を体外に出す。
【0091】
次に、図9を参照して、第2の治療方法を説明する。第2の治療方法では、本実施形態に係るカテーテル10を、PTCA用ガイディングカテーテルとして用い、左冠動脈144の末梢まで挿入し、左冠動脈144内に生じた狭窄部150及び左冠動脈144内に既に留置されたステント154、155よりも末梢側に生じた狭窄部151、152の拡張を行う。カテーテル10は、第1の治療方法と同様のものを用いてよい。
【0092】
第2の治療方法において、シースイントロデューサ130を介してカテーテル10を血管内に挿入し、上行大動脈140まで到達させ、カテーテル10を左冠動脈口142に係合させたうえで、造影剤を左冠動脈144内に噴出させ、その後、バルーンカテーテル146をカテーテル10に挿入するとともに、バルーンカテーテル146の先端に設けられたバルーン148を、カテーテル10の最先端手前に配置し、バルーン148のカテーテル10内での位置を固定(保持)する手順までは、第1の治療方法と同じである。
【0093】
その後、第2の治療方法では、バルーン148のカテーテル10内での位置を固定し、且つバルーンカテーテル146に挿通させたガイドワイヤー134を先行させた状態で、カテーテル10及びバルーンカテーテル146を、左冠動脈144内に進めていき、狭窄部150内に挿入する。そして、締付機構16による伸縮機構14に対する締め付けを解除したうえで、シャフト12を手前側に移動させ、シャフト12の先端開口からバルーン148を突出させる。
【0094】
次に、締付機構16により伸縮機構14を締め付けて、シャフト12が前後(軸線方向)に動かないようにしたうえで、バルーン148で狭窄部150を治療する。狭窄部150を押し広げたら、バルーン148を収縮させる。次に、締付機構16を操作し、伸縮機構14に対する締付けを解除してから、シャフト12を先端側に移動させ、バルーン148をシャフト12内に戻す。
【0095】
図9に示すように、左冠動脈144内には、以前に留置されたステント154、155が存在している。そこで、第2の治療方法では、カテーテル10及びバルーンカテーテル146を、手前側のステント154内を通過させる。この場合、バルーン148はシャフト12内に収容されているので、バルーン148がステント154に引っ掛かることない。ガイドワイヤー134及びバルーンカテーテル146だけではステント154を超えることができないが、上記の方法により、ステント154を越えた位置までバルーン148を送り込むことができる。
【0096】
このようにカテーテル10及びバルーンカテーテル146を、ステント154内を通過させ、狭窄部151内に挿入する。図9は、このときの様子を示している。左冠動脈144中に配置されたカテーテル10はその先端付近が断面で示されている。そして、狭窄部150を治療した場合と同様の手順で、狭窄部151を治療する。狭窄部151を治療したら、カテーテル10及びバルーンカテーテル146を左冠動脈144のさらに末梢に進め、末梢側のステント155を通過させ、狭窄部152内に挿入し、上記と同様の手順で狭窄部152を治療する。狭窄部152を治療したら、カテーテル10及びバルーンカテーテル146を体外に出す。
【0097】
なお、第2の治療方法の変形例として、以下の手順で狭窄部150〜152を治療してもよい。以下、第2の治療方法の変形例も、図9を参照して説明する。
【0098】
カテーテル10のシャフト12の有効長を最も短くした状態で、図7と同様の方法により、カテーテル10を血管132内に挿入し、上行大動脈140まで到達させ、カテーテル10の先端を左冠動脈口142に係合させ、左冠動脈144内に造影剤を噴出させる。次に、カテーテル10の先端開口からバルーン148を突出させて、左冠動脈144内に進め、バルーン148を狭窄部150内に挿入し、バルーン148の拡張により狭窄部150を治療する。
【0099】
その後、バルーン148を縮径したうえで、カテーテル10の最先端手前に引き戻して再び収納する。次に、締付機構16による伸縮機構14に対する締め付けを解除したうえで、伸縮機構14を伸ばすことにより(カテーテル10の体外に出ている手元部(ハブ13)の位置を変えずに)カテーテル10のシャフト12の先端を左冠動脈144内に進めていき、既存のステント154を通過させる。次に、バルーン148を狭窄部151に挿入し、バルーン148の拡張により狭窄部151を治療する。以後、同様の手順で、狭窄部152を治療する。狭窄部152を治療したらカテーテル10及びバルーンカテーテル146を体外に出す。
【0100】
次に、図10を参照して、第3の治療方法を説明する。第3の治療方法では、本実施形態に係るカテーテル10を、PTCA用ガイディングカテーテル(内カテーテル)として用い、左冠動脈144の末梢まで挿入し、左冠動脈144内に既に留置されたステント154、155の手前側(基端側)及び末梢側に生じた狭窄部150〜152の拡張を行う。
【0101】
また、第3の治療方法では、二重カテーテルを用いる。外カテーテル160は、伸縮機構14及び締付機構16を備えない従来のガイディングカテーテルを用いてもよいし、伸縮機構14及び締付機構16を備えたものでもよい。また、外カテーテル160は、先端には湾曲形状が付けられたものでもよいし、付けられていないものでもよいが、図10では、湾曲形状付きのものが示されている。本発明のカテーテル10は、内カテーテルとして用いられ、形状は原則ストレートであるが、最先端が僅かに屈曲していてもよい。
【0102】
カテーテル10は、初期状態として、締付機構16により伸縮機構14を締め付けた状態とし、ハブ13に対してシャフト12が軸線方向に移動しないようにしておく。外カテーテル160に伸縮機構14が設けられている場合、その伸縮機構14も同様に締め付けた状態としておく。そして、まず、図7に示した方法と同様にして、外カテーテル160のシャフト161の先端を、シースイントロデューサ130の先端開口部から血管132内へ挿入し、大動脈136の大動脈弓138を経由して、上行大動脈140に挿入する。
【0103】
心臓141の左冠動脈口142の近傍まで外カテーテル160を導入したら、ガイドワイヤー134を操作してシャフト12の先端部を左冠動脈口142に係合させ、外カテーテル160の先端部の位置を固定する。なお、第3の治療方法は、左右の冠動脈のいずれにも適用可能であるが、ここでは、左冠動脈144内に生じた狭窄部150〜152を治療する場合を説明する。この点は、後述する第4の治療方法においても同様である。
【0104】
外カテーテル160の先端が左冠動脈口142に挿入及び係合された後は、外カテーテル160からガイドワイヤー134を抜去し、外カテーテル160のハブの後端に装着されたYコネクタ131の分岐にシリンジを接続して造影剤を注入する。注入された造影剤は外カテーテル160内を通りその先端開口から目的部位である左冠動脈144内に噴出される。これにより外カテーテル160先端の左冠動脈口142への挿入位置の確認、及び左冠動脈144の造影が可能となる。
【0105】
次に、Yコネクタ131の後端部及び外カテーテル160のルーメンを経由して、本発明のカテーテル10及び治療用カテーテルとしてのバルーンカテーテル146を挿入する。この場合、カテーテル10内にバルーンカテーテル146を挿通した状態とするとともに、バルーンカテーテル146の先端に設けられたバルーン148を、カテーテル10の最先端手前に配置し、バルーン148のカテーテル10内での位置を固定(保持)する。
【0106】
次に、バルーン148のカテーテル10内での位置を固定し、且つバルーンカテーテル146に挿通させたガイドワイヤー134を先行させた状態で、カテーテル10及びバルーンカテーテル146を、左冠動脈144内に進めていき、病変部である狭窄部150内に挿入する。そして、カテーテル10の締付機構16を操作して、伸縮機構14に対する締付けを解除したうえで、シャフト12を手前側(基端側)に移動する。こうしてシャフト12の先端部を後退させることで、シャフト12の先端開口からバルーン148を突出させる。次に、締付機構16を操作して、シャフト12が前後(軸線方向)に動かないようにする。
【0107】
次に、バルーン148で狭窄部150を治療する。すなわち、バルーン148を拡張させて狭窄部150を内側から押し広げる。狭窄部150を押し広げたら、バルーン148を収縮させる。次に、締付機構16を操作し、伸縮機構14に対する締付けを解除してから、シャフト12を先端側に移動させ、バルーン148をシャフト12内に戻す。なお、図10において、狭窄部150は、治療した後の状態であるため、仮想線で示されている。
【0108】
図10に示すように、左冠動脈144内には、以前に留置されたステント154が存在し、その末梢側に狭窄部151が生じている。そこで、カテーテル10及びバルーンカテーテル146を、手前側のステント154内を通過させ、狭窄部151内に挿入する。図10は、このときの様子を示している。左冠動脈144内に配置されたカテーテル10はその先端付近が断面で示されている。
【0109】
カテーテル10及びバルーンカテーテル146を狭窄部151内に挿入したら、狭窄部150を治療した場合と同様の手順で、狭窄部151を治療する。狭窄部151を治療したら、上記と同様の手順で、カテーテル10及びバルーンカテーテル146を、末梢側のステント155内を経由して、狭窄部152内に挿入し、狭窄部152を治療する。狭窄部152を治療したら、外カテーテル160、内カテーテル(カテーテル10)及びバルーンカテーテル146を体外に出す。
【0110】
次に、図11を参照して、第4の治療方法を説明する。第4の治療方法では、本実施形態に係るカテーテル10を、PTCA用ガイディングカテーテル(内カテーテル)として用い、左冠動脈144の末梢まで挿入し、左冠動脈144内に以前に留置されたステント154、155の前後に生じた狭窄部150〜152の拡張を行う。第4の治療方法は、左冠動脈144内に生じた複数の狭窄部150〜152の治療を行う場合に、手前側の狭窄部150から治療するのではなく、末梢側の狭窄部152から治療する点で、第3の治療方法と異なる。第4の治療方法で使用する外カテーテル160、内カテーテル(カテーテル10)及びバルーンカテーテル146は、第3の治療方法で使用したものと同じでよい。
【0111】
第4の治療方法において、シースイントロデューサ130を介して外カテーテル160を血管132内に挿入し、上行大動脈140まで到達させ、外カテーテル160を左冠動脈口142に係合させたうえで、造影剤を左冠動脈144内に噴出させ、その後、カテーテル10内にバルーンカテーテル146を挿通した状態とするとともに、バルーンカテーテル146の先端に設けられたバルーン148を、カテーテル10の最先端手前に配置し、バルーン148のカテーテル10内での位置を固定(保持)する手順までは、第3の治療方法と同じである。
【0112】
その後、第4の治療方法では、バルーン148のカテーテル10内での位置を固定し、且つバルーンカテーテル146に挿通させたガイドワイヤー134を先行させた状態で、カテーテル10及びバルーンカテーテル146を、左冠動脈144内に進めていき、狭窄部150、151及び既存のステント154、155を通過させて、左冠動脈144内で一番末梢側にある狭窄部152内に挿入する。図11は、このときの様子を示している。左冠動脈144内に配置されたカテーテル10はその先端付近が断面で示されている。
【0113】
そして、カテーテル10の締付機構16を操作して、伸縮機構14に対する締付けを解除したうえで、シャフト12を手前側(基端側)に移動する。こうしてシャフト12の先端部を後退させることで、シャフト12の先端開口からバルーン148を突出させる。次に、締付機構16を操作して、シャフト12が前後(軸線方向)に動かないようにする。
【0114】
次に、バルーン148で狭窄部152を治療する。すなわち、バルーン148を拡張させて狭窄部152を内側から押し広げる。狭窄部152を押し広げたら、バルーン148を収縮させる。次に、締付機構16を操作し、伸縮機構14に対する締付けを解除してから、シャフト12を先端側に移動させ、バルーン148をシャフト12の最先端部内に戻す。
【0115】
次に、バルーン148をシャフト12の最先端部手前に収納した状態で、カテーテル10及びバルーン148を、ステント155内を通過させて、狭窄部151内まで引き戻す。そうしたら、狭窄部152を治療した場合と同様の手順で、狭窄部151を治療する。狭窄部151を治療したら、上記と同様の手順で、カテーテル10及びバルーンカテーテル146を、ステント154内を通過させて、狭窄部150内まで引き戻し、狭窄部150を治療する。狭窄部150を治療したら、外カテーテル160、内カテーテル(カテーテル10)及びバルーンカテーテル146を体外に出す。
【0116】
なお、本発明は、PTCA用カテーテルに限らず、例えば、冠動脈以外の血管、胆管、気管、食道、尿道、その他の臓器等の生体器官内に形成された病変部の改善又は診断のためのカテーテルにも適用可能である。
【0117】
上記において、本発明について好適な実施の形態を挙げて説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改変が可能なことは言うまでもない。
【符号の説明】
【0118】
10…カテーテル 12…シャフト
13…ハブ 14、14a〜14c…伸縮機構
16、16a…締付機構 22…第1管状部材(管状部材)
24…第2管状部材(管状部材) 26…第3管状部材(管状部材)
【技術分野】
【0001】
本発明は、必要に応じて有効長を変更可能なカテーテル及び当該カテーテルを用いた血管内の狭窄部の治療方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、血管等の生体器官内にカテーテルを導入して生体器官内の病変部(例えば、狭窄部)を検査・処置することが広範に行われている。この種のカテーテルは、長尺なシャフト(カテーテルボディ)と、当該シャフトの基端部に連結されたハブと、シャフトの基端部を囲繞する耐キンクプロテクタ(ストレインリリーフ等とも呼ばれる)とを有する(例えば、下記特許文献1を参照)。
【0003】
心筋梗塞や狭心症の治療では、シースイントロデューサという挿入具を介してガイディングカテーテルのシャフトを血管内に挿入し、当該シャフトの先端を生体器官の所望の位置(例えば、狭窄部の近傍、冠動脈、頚動脈、腎動脈等の入口)に配置させることが行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第6068622号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のカテーテルは、シャフトの先端から耐キンクプロテクタまでの長さ(シャフトの有効長)が一定となっている。しかしながら、血管の形状(例えば、蛇行具合)又は長さには個人差があるため、生体に穿刺したシースイントロデューサの基端から生体器官の所望の位置までの血管の長さがシャフトの有効長よりも短いと、シャフトの先端を生体器官の所望の位置に到達させることができない。例えば、PTCA(経皮的冠動脈形成術)では、ガイディングカテーテルの先端が冠動脈口に到達しないことや、冠動脈口にぎりぎり係合しても治療デバイスの使用時に外れることを回避する必要がある。
【0006】
シャフトの有効長が長めに設定されたカテーテルを用いることも考えられるが、そのようなカテーテルを用いると、操作性が悪化するとともに、シャフトの余った部分(シースイントロデューサの基端と耐キンクプロテクタとの間のシャフト)の折れやキンクが発生しやすい。また、有効長が長めに設定されたガイディングカテーテルの場合、当該ガイディングカテーテル内に挿通して使用する治療カテーテル(例えば、PTCAの場合、バルーンカテーテル)の長さが不足し、バルーンがガイディングカテーテルの先端から突出しないことがあるし、予め余分に長い治療カテーテルを用意する必要がある等の問題がある。
【0007】
本発明はこのような課題を考慮してなされたものであり、シャフトの有効長を必要に応じて任意の長さに調整することができるカテーテル及び当該カテーテルを用いた血管内の狭窄部の治療方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するため、本発明に係るカテーテルは、可撓性を有する中空で長尺なシャフトと、前記シャフトより基端側に設けられたハブと、前記シャフトと前記ハブとの間に設けられた伸縮機構と、前記伸縮機構の外側に設けられ、前記伸縮機構を締め付け可能に構成された締付機構とを備え、前記伸縮機構は、規制された範囲内で互いに軸線方向に摺動可能な、入れ子構造をなす複数の管状部材を有することを特徴とする。
【0009】
上記の本発明によれば、シャフトとハブとが、入れ子構造をなす複数の管状部材を有する伸縮機構によって接続されているので、ハブに対してシャフトを軸線方向に移動させることにより、シャフトの有効長を変更(伸縮)することができる。したがって、シャフトの長さが足りない場合には、シャフトの有効長を伸ばすことで、生体器官内の所望の位置(例えば、冠動脈口)に確実に到達させることができる。シャフトが長すぎる場合には、シャフトの有効長を短くすることで、シースイントロデューサの基端から外部に露出する部分のシャフトの折れやキンクの発生を抑制することができるとともに、カテーテルに挿通して使用する治療デバイス(例えば、バルーンカテーテル)の先端を確実にシャフト先端から突出させることができる。また、長さの異なる複数のカテーテルを用意する必要がなく、医療経済性に優れるとともに、カテーテルの交換作業が不要であり、患者への負担を軽減できる。シャフトの有効長を調節してから締付機構により伸縮機構を外側から締め付けると、管状部材同士の相対変位が阻止されるので、シャフトの有効長を任意の長さに好適に保持でき、ハブからシャフトへのトルク伝達性を向上でき、管状部材間をシールして液密を確保することができる。
【0010】
上記のカテーテルにおいて、前記複数の管状部材のうち、最も外側に位置するもの以外の管状部材の外周部には、軸線方向に延在する外側凹部又は外側凸部が設けられ、前記複数の管状部材のうち、最も内側に位置するもの以外の管状部材の内周部には、軸線方向に延在する内側凸部又は内側凹部が設けられ、前記外側凹部又は前記外側凸部が、前記内側凸部又は前記内側凹部に係合するとよい。
【0011】
上記の構成によれば、締付機構により伸縮部材を締め付けたときに、管状部材同士がそれらの内周部及び外周部に設けられた凹凸形状によって係合して、相対回転が防止されるので、ハブからシャフトへのトルク伝達性をより向上させることができる。
【0012】
上記のカテーテルにおいて、前記複数の管状部材のうち、最も外側に位置するもの以外の管状部材の外周部と、最も内側に位置するもの以外の管状部材の内周部とには、それぞれ粗面が設けられているとよい。
【0013】
上記の構成によれば、締付機構により伸縮部材を締め付けたときに、管状部材同士の内周部及び外周部に設けられた粗面によって管状部材間の摩擦抵抗が増大するので、ハブからシャフトへのトルク伝達性をより向上させることができる。
【0014】
上記のカテーテルにおいて、前記複数の管状部材の各々は、拡径部と、前記拡径部の基端側に設けられ前記拡径部に対して縮径した基端縮径部とを有し、前記複数の管状部材のうち、最も外側に位置するもの以外の管状部材は、当該管状部材が可動範囲内の最も先端側に位置するとき、当該管状部材の前記基端縮径部の最基端位置が、当該管状部材を直接囲む別の管状部材の前記基端縮径部の最先端位置近傍又は内部まで延在するとよい。
【0015】
上記の構成によれば、ハブの基端側から線状部材を挿入する際、拡径部と基端縮径部との間に線状部材が入り込むことを防止でき、よって、手技を迅速に遂行することができる。
【0016】
上記のカテーテルにおいて、前記締付機構は、前記伸縮機構を囲む管状の弾性体からなり、軸線方向に圧縮されることで内径が縮小する締付部材と、前記伸縮機構に対して軸線方向の位置を変更可能に設けられ、前記締付部材を軸線方向に押圧する押圧部材とを有するとよい。
【0017】
上記の構成によれば、押圧部材の軸線方向への移動によって内径が縮小する締付部材により伸縮機構を外側から締め付けるので、管状部材同士の内周面及び外周面を確実に密着させることができる。
【0018】
上記のカテーテルにおいて、前記締付機構は、前記伸縮機構の外周に沿って周方向に間隔を置いて設けられた複数の締付部材と、前記伸縮機構に対して軸線方向の位置を変更可能に設けられ、前記伸縮機構及び前記複数の締付部材を囲み、先端に向かって縮径するテーパ内面が形成された管状の押圧部材とを有するとよい。
【0019】
上記の構成によれば、テーパ状の内周面を有する押圧部材の軸線方向への移動によって締付部材が内方に変位することで、伸縮機構を外側から締め付けるので、管状部材同士の内周面及び外周面を確実に密着させることができる。
【0020】
また、本発明は、カテーテルを用いた血管内の狭窄部の治療方法であって、前記カテーテルは、ハブに対してシャフトの有効長を縮めることができるように構成され、前記カテーテルの最先端部手前の位置のルーメン内にバルーンカテーテルのバルーンを配置した状態で、前記カテーテルと前記バルーンカテーテルを血管内に進めるステップと、前記カテーテルの最先端部を狭窄部内に位置付けるステップと、前記カテーテルの前記ハブの位置を変えずに前記ハブに対して前記シャフトの有効長を縮めることにより前記カテーテルの最先端部を後退させるステップと、前記バルーンカテーテルの前記バルーンを前記狭窄部内に位置付けるステップとを含む、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明のカテーテルによれば、シャフトの有効長を必要に応じて任意の長さに変更(調整)することができる。よって、生体器官内の所望の位置(例えば、冠動脈口や冠動脈内の奥側)に確実に到達させることができ、シャフトの折れやキンクの発生を抑制することができ、治療デバイスの先端を確実にシャフトから突出させることができる等の優れた効果が得られる。また、本発明に係る血管内の狭窄部の治療方法によれば、血管内でカテーテルの先端からバルーンを突出させる操作及びバルーンをカテーテルに収納する操作を簡易且つ迅速に遂行することができるため、狭窄部を迅速に治療することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施形態に係るカテーテルの一部省略側面図である。
【図2】図1に示したカテーテルの要部を模式的に示す一部省略断面図であって、図2Aは、締付機構により伸縮機構を締め付けていない状態を示し、図2Bは、締付機構により伸縮機構が締め付けられた状態を示している。
【図3】図1に示したカテーテルの要部を模式的に示す一部省略断面図であって、図3Aは、シャフトを最も先端側に移動させた状態を示し、図3Bは、シャフトを最も基端側に移動させた状態を示す。
【図4】図4Aは、変形例に係る締付機構を備えたカテーテルの一部省略断面図であり、図4Bは、図4AのIVB−IVB線に沿った断面図である。
【図5】図5Aは、図2AのVA−VA線に沿った伸縮機構の断面図であり、図5Bは、第1変形例に係る伸縮機構の断面図であり、図5Cは、第2変形例に係る伸縮機構の断面図である。
【図6】図6Aは、第3変形例に係る伸縮機構を備えたカテーテルの一部省略断面図であり、図6Bは、図6Aの部分拡大図である。
【図7】カテーテルの血管への導入方法を示す概略説明図である。
【図8】本発明のカテーテルを使用した第1の治療方法を示す概略説明図である。
【図9】本発明のカテーテルを使用した第2の治療方法を示す概略説明図である。
【図10】本発明のカテーテルを使用した第3の治療方法を示す概略説明図である。
【図11】本発明のカテーテルを使用した第4の治療方法を示す概略説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明に係るカテーテルについて好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照しながら説明する。
【0024】
図1は、本発明の一実施形態に係るカテーテル10の一部省略側面図である。このカテーテル10は、血管等の生体器官内に導入して生体器官内の病変部を検査・処置するために使用される医療用器具であり、図示した構成例のものは、PTCA(経皮的冠動脈形成術)に用いられるガイディングカテーテルとして構成されている。
【0025】
ガイディングカテーテルとして構成されたカテーテル10を用いたPTCAでは、シースイントロデューサ130(挿入具)を介して長尺なシャフト12を血管(例えば、大腿動脈、上腕動脈、橈骨動脈)に挿通させ、その先端部を大動脈を経由して冠動脈口へと到達させた後、例えば、シャフト12の内部にバルーンカテーテル146を挿入して冠動脈口から冠動脈の内部に生じた狭窄部へと導き、バルーン148を狭窄部で拡張させることで該狭窄部を押し広げて治療する。
【0026】
図1に示すように、カテーテル10は、細径で長尺なシャフト12と、シャフト12より基端側に設けられたハブ13と、シャフト12とハブ13との間に設けられた伸縮機構14と、伸縮機構14の外側に設けられた締付機構16と、伸縮機構14の先端に設けられた耐キンクプロテクタ18とを備え、伸縮機構14の作用によりシャフト12をハブ13に対して軸線方向に位置調整可能であり、締付機構16の作用により位置調整後のシャフト12の軸線方向の位置を固定することができる。なお、カテーテル10に関する以下の説明では、図1、図2A、図2B、図3A、図3B、図4A、図6A、図6B中の左側を「先端」、右側を「基端(後端)」という。
【0027】
シャフト12は、円筒状に形成されるとともに、術者がその基端側を把持及び操作しながら血管等の生体器官内へと円滑に挿通させることができるように適度な可撓性と適度な強度を有する樹脂等で構成されている。シャフト12の先端部は、図示例のものは、ストレート形状であるが、用途に応じて湾曲形状が付けられてもよい。
【0028】
シャフト12の長さは、人体の血管への挿入部位(穿刺部位)から冠動脈までの長さや操作性を考慮して、例えば、75〜130cm程度に設定され、好ましくは85〜120cm程度に設定される。伸縮機構14によりシャフトを最も伸ばしたときのシャフト12の有効長は、例えば、95〜130cm程度に設定され、伸縮機構14によりシャフト12を最も短くしたときのシャフト12の有効長は、例えば、75〜110cm程度に設定される。
【0029】
シャフト12の内部には、カテーテル10を冠動脈等の入口へと導くためのガイドワイヤー134(図7、図8参照)やバルーンカテーテル146(図8参照)が挿通される。
【0030】
シャフト12の外径は、その全長にわたり、3.3mm以下に設定される。特に、ヒトの上腕動脈又は橈骨動脈から導入し、大動脈を経由して冠動脈口に係合させる手技に使用する場合、シャフト12の外径は、その全長にわたり2.7mm以下(好ましくは2.1mm以下)に設定されるとよい。また、シャフト12の先端を冠動脈の奥まで進める手技に使用する場合、シャフト12の外径は、その全長にわたり1.8mm以下(好ましくは1.5mm以下)に設定されるとよい。
【0031】
ハブ13は、その先端にて伸縮機構14の基端を保持する中空状の部材であり、その基端には、シリンジ等の他の器具を接続するための接続口又は治療デバイスを挿入するための挿入口として機能するポート13aが設けられている。耐キンクプロテクタ18は、シャフト12の伸縮機構14への接続部での屈曲(キンク)を防止するためのものであり、例えば先細りのチューブ状に形成された適度の可撓性及び剛性を有する樹脂製の部材である。
【0032】
図2A〜図3Bは、伸縮機構14の構成を概略的に示す一部省略縦断面図である。なお、これらの図では、構造の理解の容易のために、伸縮機構14及びその周辺部位の構造を、軸線方向に短く、径方向に大きい形態として示している。伸縮機構14は、シャフト12とハブ13との間に設けられおり、規制された範囲内で互いに軸線方向に摺動可能な、入れ子構造をなす複数の管状部材22、24、26を有する。入れ子構造とは、同様の形状の大きさの異なる中空部を有する部材などを順に内部へ入れた構造をいう。
【0033】
図示した構成例に係る伸縮機構14は、3つの管状部材22、24、26により構成されている。以下では、これら3つの管状部材22、24、26を区別する場合には、内側から順にそれぞれ、第1管状部材22、第2管状部材24、第3管状部材26とよぶ。各管状部材22、24、26は、中空円筒形状をなし、締付機構16により外側から押圧された際に半径方向内方に弾性変形するように、適度の可撓性及び剛性を有する材料、例えば、樹脂材料で構成される。
【0034】
伸縮機構14を構成する複数の管状部材22、24、26のうち、最も内側に位置する第1管状部材22は、シャフト12の基端部に連結されている。第1管状部材22は、軸線方向の途中位置を構成する第1拡径部28と、第1拡径部28の先端側に設けられた第1先端縮径部30と、拡径部の基端側に設けられた第1基端縮径部32とを有する。
【0035】
シャフト12の基端部は、第1先端縮径部30内に挿入され、シャフト12の基端部の外周面と、第1先端縮径部30の内周面とが接合されている。第1先端縮径部30と第1拡径部28とは、先端側に向かって徐々に縮径するテーパ部34によって連結されている。第1拡径部28と第1基端縮径部32とは、先端に向かって徐々に拡径するテーパ部36によって連結されている。
【0036】
第2管状部材24は、シャフト12とハブ13のいずれにも接続されていない。第2管状部材24は、軸線方向の途中位置を構成する第2拡径部38と、第2拡径部38の先端側に設けられた第2先端縮径部40と、第2拡径部38の基端側に設けられた第2基端縮径部42とを有する。第2先端縮径部40と第2拡径部38とは、先端側に向かって徐々に縮径するテーパ部44によって連結されている。第2拡径部38と第2基端縮径部42とは、先端に向かって徐々に拡径するテーパ部46によって連結されている。
【0037】
第2拡径部38の内径は、第1拡径部28の外径と略同じか、それよりも僅かに大きく設定される。本実施形態の場合、図2Aのように、締付機構16により伸縮機構14を締め付けていない状態では、第1拡径部28と第2拡径部38との間に僅かな隙間が形成される。第2拡径部38は、第1拡径部28よりも軸線方向に長い。
【0038】
第2先端縮径部40の内径は、第1先端縮径部30の外径と同じか、それよりも僅かに大きく設定される。第2先端縮径部40内に第1先端縮径部30が挿通される。第2基端縮径部42の内径は、第1基端縮径部32の外径と略同じか、それよりも僅かに大きく設定される。第2基端縮径部42内に第1基端縮径部32が挿通される。
【0039】
伸縮機構14を構成する複数の管状部材22、24、26のうち、最も外側に位置する第3管状部材26は、ハブ13の先端に連結されている。第3管状部材26は、軸線方向の途中位置を構成する第3拡径部48と、第3拡径部48の先端側に設けられた第3先端縮径部50と、第3拡径部48の基端側に設けられた第3基端縮径部52とを有する。
【0040】
第3先端縮径部50は、耐キンクプロテクタ18の基端内に挿入され、第3先端縮径部50の外周面と、耐キンクプロテクタ18の内周面とが接合されている。第3基端縮径部52は、ハブ13の先端内に挿入され、第3基端縮径部52の外周面と、ハブ13の内周面とが接合されている。第3先端縮径部50と第3拡径部48とは、先端側に向かって徐々に縮径するテーパ部54によって連結されている。第3拡径部48と第3基端縮径部52とは、先端に向かって徐々に拡径するテーパ部56によって連結されている。
【0041】
第3拡径部48の内径は、第2拡径部38の外径と略同じか、それよりも僅かに大きく設定される。本実施形態の場合、図2Aのように、締付機構16により伸縮機構14を締め付けていない状態では、第2拡径部38と第3拡径部48との間に僅かな隙間が形成される。第3拡径部48は、第2拡径部38よりも軸線方向に長い。
【0042】
第3先端縮径部50の内径は、第2先端縮径部40の外径と同じか、それよりも僅かに大きく設定される。第3先端縮径部50内に第2先端縮径部40が挿通される。第3基端縮径部52の内径は、第2基端縮径部42の外径と同じか、それよりも僅かに大きく設定される。第3基端縮径部52内に第2基端縮径部42が挿通される。
【0043】
伸縮機構14は上記のように構成されているため、第1管状部材22が第2管状部材24内で規制された範囲内で軸線方向に移動可能であるとともに、第2管状部材24が第3管状部材26内で規制された範囲内で軸線方向に移動可能である。したがって、シャフト12をハブ13に対して軸線方向に移動させ、シャフト12の先端から耐キンクプロテクタ18の先端までの長さ、すなわちシャフト12の有効長を任意に変更することができる。
【0044】
ここで、図3Aは、第1管状部材22が第2管状部材24内で最も先端側に移動し、且つ第2管状部材24が第3管状部材26内で最も先端側に移動した状態である。この状態で、シャフト12の有効長は、調整範囲内で最大となっている。一方、図3Bは、第1管状部材22が第2管状部材24内で最も基端側に移動し、且つ第2管状部材24が第3管状部材26内で最も基端側に移動した状態である。この状態で、シャフト12の有効長は、調整範囲内で最小となっている。
【0045】
伸縮機構14によるシャフト12の有効長の調整可能範囲(シャフト12の有効長が最も長い状態と最も短い状態との差)は、特に限定されないが、例えば、30〜200mm程度であり、好ましくは40〜100mm程度である。
【0046】
図3Aに示すように、第1管状部材22が可動範囲内の最も先端側に位置するとき、第1基端縮径部32の最基端位置は、第2管状部材24の第2基端縮径部42の最先端位置近傍又は内部まで延在する。また、同様に、第2管状部材24が可動範囲内の最も先端側に位置するとき、第2基端縮径部42の最基端位置は、第3管状部材26の第3基端縮径部52の最先端位置近傍又は内部まで延在する。
【0047】
第1基端縮径部32及び第2基端縮径部42の長さが上記のように設定されることにより、シャフト12の有効長が最大のとき、第1基端縮径部32と第2基端縮径部42との間、及び、第2基端縮径部42と第3基端縮径部52との間に軸線方向の隙間が形成されない。よって、ハブ13の基端側から細い線材(例えば、ガイドワイヤー)を挿入する際に、第1基端縮径部32と第2拡径部38との間の空間又は第2基端縮径部42と第3拡径部48との間の空間に、細い線材が進入することがなく、線材の挿入をスムーズに行うことが可能となる。
【0048】
また、第1〜第3基端縮径部32、42、52の最基端部は、管状部材22、24、26の端部が管状部材22、24、26の厚み分だけ、基端側に向かうに従って内側から外側に厚みが減少するようにテーパになっていてもよい。このように構成すると、ハブ13の基端側から細い線材を挿入する際に、当該線材が管状部材22、24、26の最基端部に接触しても、当該最基端部に設けられたテーパの作用によって内側にガイドされるため、線材の挿入をスムーズに行うことが可能となる。
【0049】
図示した構成例に係る伸縮機構14は、3つの管状部材22、24、26により構成されているが、このような構成に限らず、2つ又は4つ以上の管状部材により構成されてもよい。この場合、複数の管状部材のうち、最も外側に位置するもの以外の管状部材は、管状部材が可動範囲内の最も先端側に位置するとき、当該管状部材の基端縮径部の最基端位置が、当該管状部材を直接囲む管状部材の基端縮径部の最先端位置近傍又は内部まで延在するとよい。また、各管状部材(最も内側のものを除く)の拡径部の軸線方向の長さは、その内側に配置された管状部材の拡径部の軸線方向の長さよりも長い。
【0050】
次に、締付機構16の構成を説明する。締付機構16は、伸縮機構14の外側に設けられ、伸縮機構14を外側から押圧することで複数の管状部材22、24、26同士を密着させる締付状態と、伸縮機構14に対する押圧を解除する締付解除状態とに切換え可能に構成されている。図2A及び図2Bに示すように、締付機構16は、伸縮機構14を直接囲む筒状弾性体(締付部材)60と、筒状弾性体60を収容する筒状ボディ62と、筒状弾性体60を軸線方向に押圧する押圧部材64とを有する。
【0051】
筒状弾性体60は、伸縮機構14を囲む管状(中空円筒形)であり、軸線方向に圧縮されることで内径が縮小するように構成されている。筒状弾性体60の構成材料としては、特に限定されないが、例えば、シリコーンゴム、フッ素ゴム、イソプレン、天然ゴム等の各種ゴム類、ポリウレタン、ポリアミドエラストマー、ポリブタジエン、軟質塩化ビニル等の各種樹脂またはこれらのうち2以上を組み合わせたもの等が挙げられる。
【0052】
筒状ボディ62は、筒状弾性体60を囲む中空状(中空円筒形)の部材であり、適度な剛性を有する材料、例えば、硬質の樹脂材料で構成され、その内周部には、筒状弾性体60を保持する円環状の収容部が形成されている。筒状ボディ62は、伸縮機構14(第3管状部材26)に対して軸線方向及び周方向に変位しないように、第3管状部材26及び耐キンクプロテクタ18に接合されている。筒状ボディ62の基端を含む外周部には、雄ネジ部62aが形成されている。
【0053】
押圧部材64は、内筒部66と、当該内筒部66を同心状に囲む円筒形状の回転操作部68とを有し、筒状ボディ62と同心状に配置されるとともに筒状ボディ62に対して回転可能に設けられている。内筒部66と回転操作部68とにより、先端側に開放した環状凹溝70が形成されている。
【0054】
回転操作部68は、使用者(術者)が指でつまんで回転させる部分である。回転操作部68の外周面には、半径方向外方に隆起し且つ回転操作部68の軸線方向に沿って延在する滑り止め用のリブが周方向に間隔を置いて形成されるとよい。回転操作部68の内周部には、筒状ボディ62の基端外周面に設けられた雄ネジ部62aに螺合する雌ネジ部68aが形成されている。よって、回転操作部68を回転させると、雌ネジ部68aと雄ネジ部62aとの螺合によって、回転操作部68が筒状ボディ62に対して軸線方向に移動する。
【0055】
回転操作部68を回転操作して先端方向に移動させると、筒状弾性体60は内筒部66により軸線方向に押圧されて弾性変形して、筒状弾性体60の内径が縮小する。このとき、筒状弾性体60の内周部により、伸縮機構14を構成する第1〜第3管状部材22、24、26の第1〜第3拡径部28、38、48が内方に弾性変形し、第1〜第3拡径部28、38、48同士がそれらの内周部及び外周部で密着する(図2B参照)。これにより、第1〜第3管状部材22、24、26同士の軸線方向及び周方向の相対変位が阻止されるため、シャフト12の有効長を任意の長さに好適に保持でき、ハブ13からシャフト12へのトルク伝達性を向上でき、第1〜第3拡径部28、38、48間をシールして液密を確保することができる。
【0056】
回転操作部68を逆方向に回転操作して基端方向に移動させると、内筒部66による締付部材に対する押圧が解除されることで、締付部材の形状が弾性力で復元し、再び図2Aに示す状態に戻る。よって、第1〜第3管状部材22、24、26同士の軸線方向の相対変位が許容され、シャフト12の有効長を任意の長さに調整できる状態となる。
【0057】
本実施形態に係るカテーテル10は、基本的には以上のように構成されるものであり、以下、その作用及び効果について説明する。
【0058】
本実施形態に係るカテーテル10によれば、シャフト12とハブ13とが、入れ子構造をなす複数の管状部材22、24、26を有する伸縮機構14によって接続されているので、ハブ13に対してシャフト12を軸線方向に移動させることにより、シャフト12の有効長を変更(伸縮)することができる。したがって、シャフト12の長さが足りない場合には、シャフト12の有効長を伸ばすことで、生体器官内の所望の位置(例えば、冠動脈口)に確実に到達させることができる。
【0059】
シャフト12が長すぎる場合には、シャフト12の有効長を短くすることで、シースイントロデューサ130の基端から外部に露出する部分のシャフト12の折れやキンクの発生を抑制することができるとともに、カテーテル10のルーメンに挿通して使用する治療デバイス(例えば、バルーンカテーテル)の先端を確実にシャフト12先端から突出させることができる。
【0060】
本実施形態に係るカテーテル10によれば、長さの異なる複数のカテーテルを用意する必要がなく、医療経済性に優れるとともに、カテーテル10の交換作業が不要であり、患者への負担を軽減できる。
【0061】
また、本実施形態に係るカテーテル10によれば、シャフト12の有効長を調節してから締付機構16により伸縮機構14を外側から締め付けると、第1〜第3拡径部28、38、48同士の相対変位が阻止されるので、シャフト12の有効長を任意の長さに好適に保持でき、ハブ13からシャフト12へのトルク伝達性を向上でき、第1〜第3拡径部28、38、48間をシールして液密を確保することができる。
【0062】
上述したように、本実施形態に係るカテーテル10では、第1管状部材22が可動範囲内の最も先端側に位置するとき、第1基端縮径部32の最基端位置は、第2管状部材24の第2基端縮径部42の最先端位置近傍又は内部まで延在するとともに、第2管状部材24が可動範囲内の最も先端側に位置するとき、第2基端縮径部42の最基端位置は、第3管状部材26の第3基端縮径部52の最先端位置近傍又は内部まで延在する。このように構成されているので、ハブ13の基端側から細い線材(例えば、ガイドワイヤー)を挿入する際に、第1基端縮径部32と第2拡径部38との間の空間又は第2基端縮径部42と第3拡径部48との間の空間に、細い線材が進入することがなく、線材の挿入をスムーズに行うことが可能となる。
【0063】
本実施形態に係るカテーテル10では、押圧部材64の軸線方向への移動によって内径が縮小する筒状弾性体60により、伸縮機構14を外側から締め付けるので、第1〜第3拡径部28、38、48同士の内周面及び外周面を確実に密着させることができる。よって、良好なシール性能が得られる。
【0064】
本実施形態に係るカテーテル10において、上述した締付機構16に代えて、図4A及び図4Bに示す変形例に係る締付機構16aを適用してもよい。この締付機構16aは、伸縮機構14(具体的には、第3管状部材26)の外周に沿って周方向に間隔を置いて設けられた複数(図示例では4つ)の押圧片(締付部材)72と、外周部に雄ネジ部74aが設けられた中空円筒状のネジ部材74と、雄ネジ部74aに螺合する雌ネジ部76aが内周部に設けられた中空状(管状)の押圧部材76とを有する。
【0065】
押圧片72は、ハブ13の先端に固着され、伸縮機構14の軸線方向に沿って延在し、押圧部材76により外側から押圧されることで内方に弾性変形可能な部材であり、適度な弾性と剛性を有する材料、例えば、樹脂材料や金属材料で構成される。図示した構成例に係る押圧片72は、ハブ13とは別部材として構成されているが、ハブ13と一体形成されてもよい。各押圧片72の先端外側には、先端に向かうに従って伸縮機構14の中心軸線に近づくように傾斜するテーパ外面72aが設けられている。
【0066】
ネジ部材74は、図示した構成例では、ハブ13の先端に固着されている。ネジ部材74は、ハブ13とは別部材として構成されているが、ハブ13と一体形成されてもよい。
【0067】
押圧部材76は、伸縮機構14に対して軸線方向の位置を変更可能に設けられ、伸縮機構14及び複数の押圧片72を囲む管状(中空円筒形)の部材である。押圧部材76の内周部には、先端に向かって縮径するテーパ内面76bが形成されている。このテーパ内面76bの傾斜は、押圧片72に形成されたテーパ外面72aの傾斜と略同じに設定される。押圧部材76の先端には、耐キンクプロテクタ18が一体的に固着されている。なお、耐キンクプロテクタ18は、図2A等に示した構成と同様に、第3管状部材26の先端に一体的に固着されてもよい。
【0068】
押圧部材76の基端内周部には、ネジ部材74の雄ネジ部74aに螺合する雌ネジ部76aが形成されている。よって、押圧部材76を回転させると、雌ネジ部76aと雄ネジ部74aとの螺合によって、押圧部材76が伸縮機構14及び押圧片72に対して軸線方向に移動する。
【0069】
このように構成された締付機構16において、押圧部材76を回転操作して基端方向に移動させると、各押圧片72は、押圧部材76のテーパ内面76bによって半径方向内方に押圧されることによる弾性変形により、先端部が半径方向内方に変位する。このとき、複数の押圧片72により、伸縮機構14を構成する第1〜第3管状部材22、24、26の第1〜第3の拡径部28、38、48は内方に押圧されて弾性変形し、第1〜第3拡径部28、38、48同士がそれらの内周部及び外周部で密着する。これにより、第1〜第3管状部材22、24、26同士の軸線方向及び周方向の相対変位が阻止されるため、シャフト12の有効長を任意の長さに好適に保持でき、ハブ13からシャフト12へのトルク伝達性を向上でき、第1〜第3管状部材22、24、26管状部材間をシールして液密を確保することができる。
【0070】
締付機構16aの場合、テーパ内面76bを有する押圧部材76の軸線方向への移動によって複数の押圧片72が内方に変位することで、伸縮機構14を外側から締め付けるので、第1〜第3管状部材22、24、26管状部材同士の内周面及び外周面を確実に密着させることができる。よって、良好なシール性能が得られる。
【0071】
押圧部材76を回転操作して先端方向に移動させると、テーパ内面76bによるに押圧片72に対する押圧が解除されることで、押圧片72の形状が弾性力で復元する。よって、第1〜第3管状部材22、24、26同士の軸線方向の相対変位が許容され、シャフト12の有効長を任意の長さに調整できる状態となる。
【0072】
カテーテル10において、複数の管状部材(本実施形態では、第1〜第3管状部材22、24、26)のうち、最も外側に位置するもの(本実施形態では、第3管状部材26)以外の管状部材(本実施形態では、第1及び第2管状部材22、24)の外周部には、軸線方向に延在する外側凹部又は外側凸部が設けられ、複数の管状部材のうち、最も内側に位置するもの(本実施形態では、第1管状部材22)以外の管状部材(本実施形態では、第2及び第3管状部材24、26)の内周部には、軸線方向に延在する内側凸部又は内側凹部が設けられ、前記外側凹部又は前記外側凸部が、前記内側凸部又は前記内側凹部に係合するとよい。いくつかの構成例を、図5A〜図5Cに示す。
【0073】
図5Aは、図2AにおけるVA−VA線に沿った断面図である。なお、図5Aでは、締付機構16の図示を省略している(図5B及び図5Cについても、同様である)。図5Aに示す伸縮機構14において、第1拡径部28の外周部には、軸線方向に延在する山状部(外側凸部)80及び谷状部(外側凹部)82が周方向に交互に複数設けられ、第2拡径部38の内周部には、軸線方向に延在する山状部(内側凸部)84及び谷状部(内側凹部)86が周方向に交互に複数設けられ、第2拡径部38の外周部には、軸線方向に延在する山状部(外側凸部)88及び谷状部(外側凹部)90が周方向に交互に複数設けられ、第3拡径部48の内周部には、軸線方向に延在する山状部(内側凸部)92及び谷状部(内側凹部)94が周方向に交互に複数設けられている。
【0074】
図5Bに示す伸縮機構14aにおいて、第1拡径部28aの外周部には、軸線方向に延在する突条(外側凸部)96及び溝部(外側凹部)98が周方向に交互に複数設けられ、第2拡径部38aの内周部には、軸線方向に延在する突条(内側凸部)100及び溝部(内側凹部)102が周方向に交互に複数設けられ、第2拡径部38aの外周部には、軸線方向に延在する突条(外側凸部)104及び溝部(外側凹部)106が周方向に交互に複数設けられ、第3拡径部48aの内周部には、軸線方向に延在する突条(内側凸部)108及び溝部(内側凹部)110が周方向に交互に複数設けられている。
【0075】
図5Cに示す伸縮機構14bにおいて、第1拡径部28bの外周部には、軸線方向に延在する突条(外側凸部)112が周方向に複数設けられ、第2拡径部38bの内周部には、軸線方向に延在する溝部(内側凹部)114が周方向に複数設けられ、第2拡径部38bの外周部には、軸線方向に延在する溝部(外側凹部)116が周方向に複数設けられ、第3拡径部48bの内周部には、軸線方向に延在する突条(内側凸部)118が周方向に複数設けられている。なお、第1拡径部28bの突条112に代えて溝部を設けるとともに、第2拡径部38bの溝部114に代えて突条を設けてもよい。第2拡径部38bの溝部116に代えて突条を設けるとともに、第3拡径部48bの突条118に代えて溝部を設けてもよい。
【0076】
図5A〜図5Cに示した伸縮機構14、14a、14bのように、第1〜第3管状部材22、24、26の外周部及び内周部に凹凸形状を設けた場合、締付機構16により伸縮機構14を締め付けたときに、第1〜第3管状部材22、24、26同士がそれらの内周部及び外周部に設けられた凹凸形状によって係合して、相対回転が防止されるので、ハブ13からシャフト12へのトルク伝達性をより向上させることができる。
【0077】
図6A及び図6Bに示す伸縮機構14cのように、複数の管状部材(第1〜第3管状部材22、24、26)のうち、最も外側に位置するもの(第3管状部材26)以外の管状部材(第1及び第2管状部材22、24)の拡径部(第1及び第2拡径部28、38)の外周部と、最も内側に位置するもの(第1管状部材22)以外の管状部材(第2及び第3管状部材24、26)の拡径部(第2及び第3拡径部38、48)の内周部とには、それぞれ粗面120、121、122、123が設けられてもよい。
【0078】
図6A及び図6Bに示した構成によれば、締付機構16により伸縮機構14cを締め付けたときに、第1〜第3管状部材22(28c)、24(38c)、26(48c)同士の内周部及び外周部に設けられた粗面120、121、122、123によって第1〜第3管状部材22(28c)、24(38c)、26(48c)間の摩擦抵抗が増大するので、ハブ13からシャフト12へのトルク伝達性をより向上させることができる。なお、図5A〜図5Cに示した凹凸形状を有する第1〜第3管状部材の外周部及び外周部に、上述した粗面120、121、122、123を設けてもよい。
【0079】
本発明のカテーテル10は、血管内に生じた狭窄部の治療方法に適用することができる。当該方法は、ハブ13に対してシャフト12の有効長を縮めることができるように構成されたカテーテル10を用いて血管内に生じた狭窄部の治療方法であって、カテーテル10の最先端部手前の位置のルーメン内にバルーンを配置した状態でカテーテル10とバルーンカテーテルを血管内に進めるステップと、カテーテル10の最先端部を狭窄部内に位置付けるステップと、カテーテル10のハブ13の位置を変えずにハブ13に対してシャフト12の有効長を縮めることによりカテーテル10の最先端部を後退させるステップと、バルーンカテーテルのバルーンを狭窄部内に位置付けるステップとを含む。これにより、狭窄部の治療を迅速に行うことができる。
【0080】
次に、本発明のカテーテル10の使用方法に関連して、PTCA(経皮的動脈形成術)を実施する場合を例として、第1〜第4の治療方法を説明する。
【0081】
まず、第1の治療方法を説明する。第1の治療方法では、本実施形態に係るカテーテル10を、PTCA用ガイディングカテーテルとして用い、冠動脈の末梢まで挿入し、冠動脈内に生じた狭窄部の拡張を行う。カテーテル10は、冠動脈の末梢まで挿入できるように、細めのもの(例えば、4Fr)が用いられ、形状は原則ストレートであるが、最先端が僅かに屈曲していてもよい。
【0082】
カテーテル10は、初期状態として、締付機構16により伸縮機構14を締め付けた状態とし、ハブ13に対してシャフト12が軸線方向に移動しないようにしておく。図7に示すように、例えば、セルジンガー法によりシースイントロデューサ130を血管(例えば、大腿動脈)132に穿刺し、ガイドワイヤー134を挿入した状態のカテーテル10を、シースイントロデューサ130に挿入する。そして、シャフト12の先端に対してガイドワイヤー134を先行させた状態で、シャフト12の先端を、シースイントロデューサ130の先端開口部から血管132内へ挿入する。
【0083】
次に、カテーテル10及びガイドワイヤー134を、図7中矢印方向に徐々に送り、図8に示すように、大動脈136の大動脈弓138を通して、上行大動脈140に挿入していく。この際、シャフト12の先端が血管の屈曲部を通過するように、ガイドワイヤー134の出し入れ、カテーテル10の進退及び回転を適宜組み合わせた操作を行う。
【0084】
心臓141の左冠動脈口142の近傍までカテーテル10を導入したら、ガイドワイヤー134を操作してシャフト12の先端部を左冠動脈口142に係合させ、カテーテル10の先端部の位置を固定する。なお、第1の治療方法は、左右の冠動脈のいずれにも適用可能であるが、ここでは、左冠動脈144内に生じた狭窄部150を治療する場合を説明する。この点は、第2の治療方法においても同様である。
【0085】
カテーテル10先端が左冠動脈口142に挿入された後は、カテーテル10からガイドワイヤー134を抜去し、ハブ13の後端に装着されたYコネクタ131(図7参照)の分岐にシリンジを接続して造影剤を注入する。注入された造影剤はカテーテル10内を通りその先端開口から目的部位である左冠動脈144内に噴出される。これによりカテーテル10先端の左冠動脈口142への挿入位置の確認、及び左冠動脈144の造影が可能となる。
【0086】
次に、Yコネクタ131の後端部及びカテーテル10のルーメンを経由して、治療用カテーテルとしてのバルーンカテーテル146を挿入する。この場合、バルーンカテーテル146の先端に設けられたバルーン148を、カテーテル10の最先端手前に配置し、バルーン148のカテーテル10内での位置を固定(保持)する。
【0087】
次に、バルーン148のカテーテル10内での位置を固定し、且つバルーンカテーテル146に挿通させたガイドワイヤー134を先行させた状態で、カテーテル10及びバルーンカテーテル146を、左冠動脈144内に進めていき、病変部である狭窄部150内に挿入する。図8は、このときの様子を示している。左冠動脈口142より末梢側の左冠動脈144内において、カテーテル10の先端付近は断面で示されている。この挿入の際、カテーテル10の最先端手前にバルーン148を収納した状態としているので、慢性完全閉塞病変(CTO)などの病変部に対して優れた貫通力を発揮する。
【0088】
カテーテル10及びバルーンカテーテル146を狭窄部150内に挿入したら、カテーテル10の締付機構16を操作して、締付機構16による伸縮機構14に対する締付けを解除したうえで、伸縮機構14の機能を利用してシャフト12を手前側(基端側)に移動する。こうしてシャフト12の先端部を後退させることで、シャフト12の先端開口からバルーン148を突出させる。
【0089】
このように、本発明のカテーテル10を用いた場合、伸縮機構14の機能によって、シャフト12の先端部を後退させることで、病変部である狭窄部150の位置にきたらバルーン148だけを迅速に突出させることができる。しかも、このときの操作に際しては、手元のハブ13を動かさずに済む。すなわち、シースイントロデューサ130の基端部(シース弁体)、カテーテル10のハブ13、バルーンカテーテル146を一体にして手元で固定すれば、シャフト12を後退させる操作を1人で容易に行うことが可能である。
【0090】
シャフト12の先端開口からバルーン148を突出させたら、締付機構16により伸縮機構14を締め付けることで、シャフト12が前後(軸線方向)に動かないようにする。次に、バルーン148で狭窄部150を治療する。すなわち、バルーン148を拡張させて狭窄部150を内側から押し広げる。狭窄部150を押し広げたら、バルーン148を収縮させる。次に、締付機構16を操作し、伸縮機構14に対する締付けを解除してから、シャフト12を先端側に移動させ、バルーン148をシャフト12内に戻す。次に、カテーテル10及びバルーンカテーテル146を体外に出す。
【0091】
次に、図9を参照して、第2の治療方法を説明する。第2の治療方法では、本実施形態に係るカテーテル10を、PTCA用ガイディングカテーテルとして用い、左冠動脈144の末梢まで挿入し、左冠動脈144内に生じた狭窄部150及び左冠動脈144内に既に留置されたステント154、155よりも末梢側に生じた狭窄部151、152の拡張を行う。カテーテル10は、第1の治療方法と同様のものを用いてよい。
【0092】
第2の治療方法において、シースイントロデューサ130を介してカテーテル10を血管内に挿入し、上行大動脈140まで到達させ、カテーテル10を左冠動脈口142に係合させたうえで、造影剤を左冠動脈144内に噴出させ、その後、バルーンカテーテル146をカテーテル10に挿入するとともに、バルーンカテーテル146の先端に設けられたバルーン148を、カテーテル10の最先端手前に配置し、バルーン148のカテーテル10内での位置を固定(保持)する手順までは、第1の治療方法と同じである。
【0093】
その後、第2の治療方法では、バルーン148のカテーテル10内での位置を固定し、且つバルーンカテーテル146に挿通させたガイドワイヤー134を先行させた状態で、カテーテル10及びバルーンカテーテル146を、左冠動脈144内に進めていき、狭窄部150内に挿入する。そして、締付機構16による伸縮機構14に対する締め付けを解除したうえで、シャフト12を手前側に移動させ、シャフト12の先端開口からバルーン148を突出させる。
【0094】
次に、締付機構16により伸縮機構14を締め付けて、シャフト12が前後(軸線方向)に動かないようにしたうえで、バルーン148で狭窄部150を治療する。狭窄部150を押し広げたら、バルーン148を収縮させる。次に、締付機構16を操作し、伸縮機構14に対する締付けを解除してから、シャフト12を先端側に移動させ、バルーン148をシャフト12内に戻す。
【0095】
図9に示すように、左冠動脈144内には、以前に留置されたステント154、155が存在している。そこで、第2の治療方法では、カテーテル10及びバルーンカテーテル146を、手前側のステント154内を通過させる。この場合、バルーン148はシャフト12内に収容されているので、バルーン148がステント154に引っ掛かることない。ガイドワイヤー134及びバルーンカテーテル146だけではステント154を超えることができないが、上記の方法により、ステント154を越えた位置までバルーン148を送り込むことができる。
【0096】
このようにカテーテル10及びバルーンカテーテル146を、ステント154内を通過させ、狭窄部151内に挿入する。図9は、このときの様子を示している。左冠動脈144中に配置されたカテーテル10はその先端付近が断面で示されている。そして、狭窄部150を治療した場合と同様の手順で、狭窄部151を治療する。狭窄部151を治療したら、カテーテル10及びバルーンカテーテル146を左冠動脈144のさらに末梢に進め、末梢側のステント155を通過させ、狭窄部152内に挿入し、上記と同様の手順で狭窄部152を治療する。狭窄部152を治療したら、カテーテル10及びバルーンカテーテル146を体外に出す。
【0097】
なお、第2の治療方法の変形例として、以下の手順で狭窄部150〜152を治療してもよい。以下、第2の治療方法の変形例も、図9を参照して説明する。
【0098】
カテーテル10のシャフト12の有効長を最も短くした状態で、図7と同様の方法により、カテーテル10を血管132内に挿入し、上行大動脈140まで到達させ、カテーテル10の先端を左冠動脈口142に係合させ、左冠動脈144内に造影剤を噴出させる。次に、カテーテル10の先端開口からバルーン148を突出させて、左冠動脈144内に進め、バルーン148を狭窄部150内に挿入し、バルーン148の拡張により狭窄部150を治療する。
【0099】
その後、バルーン148を縮径したうえで、カテーテル10の最先端手前に引き戻して再び収納する。次に、締付機構16による伸縮機構14に対する締め付けを解除したうえで、伸縮機構14を伸ばすことにより(カテーテル10の体外に出ている手元部(ハブ13)の位置を変えずに)カテーテル10のシャフト12の先端を左冠動脈144内に進めていき、既存のステント154を通過させる。次に、バルーン148を狭窄部151に挿入し、バルーン148の拡張により狭窄部151を治療する。以後、同様の手順で、狭窄部152を治療する。狭窄部152を治療したらカテーテル10及びバルーンカテーテル146を体外に出す。
【0100】
次に、図10を参照して、第3の治療方法を説明する。第3の治療方法では、本実施形態に係るカテーテル10を、PTCA用ガイディングカテーテル(内カテーテル)として用い、左冠動脈144の末梢まで挿入し、左冠動脈144内に既に留置されたステント154、155の手前側(基端側)及び末梢側に生じた狭窄部150〜152の拡張を行う。
【0101】
また、第3の治療方法では、二重カテーテルを用いる。外カテーテル160は、伸縮機構14及び締付機構16を備えない従来のガイディングカテーテルを用いてもよいし、伸縮機構14及び締付機構16を備えたものでもよい。また、外カテーテル160は、先端には湾曲形状が付けられたものでもよいし、付けられていないものでもよいが、図10では、湾曲形状付きのものが示されている。本発明のカテーテル10は、内カテーテルとして用いられ、形状は原則ストレートであるが、最先端が僅かに屈曲していてもよい。
【0102】
カテーテル10は、初期状態として、締付機構16により伸縮機構14を締め付けた状態とし、ハブ13に対してシャフト12が軸線方向に移動しないようにしておく。外カテーテル160に伸縮機構14が設けられている場合、その伸縮機構14も同様に締め付けた状態としておく。そして、まず、図7に示した方法と同様にして、外カテーテル160のシャフト161の先端を、シースイントロデューサ130の先端開口部から血管132内へ挿入し、大動脈136の大動脈弓138を経由して、上行大動脈140に挿入する。
【0103】
心臓141の左冠動脈口142の近傍まで外カテーテル160を導入したら、ガイドワイヤー134を操作してシャフト12の先端部を左冠動脈口142に係合させ、外カテーテル160の先端部の位置を固定する。なお、第3の治療方法は、左右の冠動脈のいずれにも適用可能であるが、ここでは、左冠動脈144内に生じた狭窄部150〜152を治療する場合を説明する。この点は、後述する第4の治療方法においても同様である。
【0104】
外カテーテル160の先端が左冠動脈口142に挿入及び係合された後は、外カテーテル160からガイドワイヤー134を抜去し、外カテーテル160のハブの後端に装着されたYコネクタ131の分岐にシリンジを接続して造影剤を注入する。注入された造影剤は外カテーテル160内を通りその先端開口から目的部位である左冠動脈144内に噴出される。これにより外カテーテル160先端の左冠動脈口142への挿入位置の確認、及び左冠動脈144の造影が可能となる。
【0105】
次に、Yコネクタ131の後端部及び外カテーテル160のルーメンを経由して、本発明のカテーテル10及び治療用カテーテルとしてのバルーンカテーテル146を挿入する。この場合、カテーテル10内にバルーンカテーテル146を挿通した状態とするとともに、バルーンカテーテル146の先端に設けられたバルーン148を、カテーテル10の最先端手前に配置し、バルーン148のカテーテル10内での位置を固定(保持)する。
【0106】
次に、バルーン148のカテーテル10内での位置を固定し、且つバルーンカテーテル146に挿通させたガイドワイヤー134を先行させた状態で、カテーテル10及びバルーンカテーテル146を、左冠動脈144内に進めていき、病変部である狭窄部150内に挿入する。そして、カテーテル10の締付機構16を操作して、伸縮機構14に対する締付けを解除したうえで、シャフト12を手前側(基端側)に移動する。こうしてシャフト12の先端部を後退させることで、シャフト12の先端開口からバルーン148を突出させる。次に、締付機構16を操作して、シャフト12が前後(軸線方向)に動かないようにする。
【0107】
次に、バルーン148で狭窄部150を治療する。すなわち、バルーン148を拡張させて狭窄部150を内側から押し広げる。狭窄部150を押し広げたら、バルーン148を収縮させる。次に、締付機構16を操作し、伸縮機構14に対する締付けを解除してから、シャフト12を先端側に移動させ、バルーン148をシャフト12内に戻す。なお、図10において、狭窄部150は、治療した後の状態であるため、仮想線で示されている。
【0108】
図10に示すように、左冠動脈144内には、以前に留置されたステント154が存在し、その末梢側に狭窄部151が生じている。そこで、カテーテル10及びバルーンカテーテル146を、手前側のステント154内を通過させ、狭窄部151内に挿入する。図10は、このときの様子を示している。左冠動脈144内に配置されたカテーテル10はその先端付近が断面で示されている。
【0109】
カテーテル10及びバルーンカテーテル146を狭窄部151内に挿入したら、狭窄部150を治療した場合と同様の手順で、狭窄部151を治療する。狭窄部151を治療したら、上記と同様の手順で、カテーテル10及びバルーンカテーテル146を、末梢側のステント155内を経由して、狭窄部152内に挿入し、狭窄部152を治療する。狭窄部152を治療したら、外カテーテル160、内カテーテル(カテーテル10)及びバルーンカテーテル146を体外に出す。
【0110】
次に、図11を参照して、第4の治療方法を説明する。第4の治療方法では、本実施形態に係るカテーテル10を、PTCA用ガイディングカテーテル(内カテーテル)として用い、左冠動脈144の末梢まで挿入し、左冠動脈144内に以前に留置されたステント154、155の前後に生じた狭窄部150〜152の拡張を行う。第4の治療方法は、左冠動脈144内に生じた複数の狭窄部150〜152の治療を行う場合に、手前側の狭窄部150から治療するのではなく、末梢側の狭窄部152から治療する点で、第3の治療方法と異なる。第4の治療方法で使用する外カテーテル160、内カテーテル(カテーテル10)及びバルーンカテーテル146は、第3の治療方法で使用したものと同じでよい。
【0111】
第4の治療方法において、シースイントロデューサ130を介して外カテーテル160を血管132内に挿入し、上行大動脈140まで到達させ、外カテーテル160を左冠動脈口142に係合させたうえで、造影剤を左冠動脈144内に噴出させ、その後、カテーテル10内にバルーンカテーテル146を挿通した状態とするとともに、バルーンカテーテル146の先端に設けられたバルーン148を、カテーテル10の最先端手前に配置し、バルーン148のカテーテル10内での位置を固定(保持)する手順までは、第3の治療方法と同じである。
【0112】
その後、第4の治療方法では、バルーン148のカテーテル10内での位置を固定し、且つバルーンカテーテル146に挿通させたガイドワイヤー134を先行させた状態で、カテーテル10及びバルーンカテーテル146を、左冠動脈144内に進めていき、狭窄部150、151及び既存のステント154、155を通過させて、左冠動脈144内で一番末梢側にある狭窄部152内に挿入する。図11は、このときの様子を示している。左冠動脈144内に配置されたカテーテル10はその先端付近が断面で示されている。
【0113】
そして、カテーテル10の締付機構16を操作して、伸縮機構14に対する締付けを解除したうえで、シャフト12を手前側(基端側)に移動する。こうしてシャフト12の先端部を後退させることで、シャフト12の先端開口からバルーン148を突出させる。次に、締付機構16を操作して、シャフト12が前後(軸線方向)に動かないようにする。
【0114】
次に、バルーン148で狭窄部152を治療する。すなわち、バルーン148を拡張させて狭窄部152を内側から押し広げる。狭窄部152を押し広げたら、バルーン148を収縮させる。次に、締付機構16を操作し、伸縮機構14に対する締付けを解除してから、シャフト12を先端側に移動させ、バルーン148をシャフト12の最先端部内に戻す。
【0115】
次に、バルーン148をシャフト12の最先端部手前に収納した状態で、カテーテル10及びバルーン148を、ステント155内を通過させて、狭窄部151内まで引き戻す。そうしたら、狭窄部152を治療した場合と同様の手順で、狭窄部151を治療する。狭窄部151を治療したら、上記と同様の手順で、カテーテル10及びバルーンカテーテル146を、ステント154内を通過させて、狭窄部150内まで引き戻し、狭窄部150を治療する。狭窄部150を治療したら、外カテーテル160、内カテーテル(カテーテル10)及びバルーンカテーテル146を体外に出す。
【0116】
なお、本発明は、PTCA用カテーテルに限らず、例えば、冠動脈以外の血管、胆管、気管、食道、尿道、その他の臓器等の生体器官内に形成された病変部の改善又は診断のためのカテーテルにも適用可能である。
【0117】
上記において、本発明について好適な実施の形態を挙げて説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改変が可能なことは言うまでもない。
【符号の説明】
【0118】
10…カテーテル 12…シャフト
13…ハブ 14、14a〜14c…伸縮機構
16、16a…締付機構 22…第1管状部材(管状部材)
24…第2管状部材(管状部材) 26…第3管状部材(管状部材)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性を有する中空で長尺なシャフトと、
前記シャフトより基端側に設けられたハブと、
前記シャフトと前記ハブとの間に設けられた伸縮機構と、
前記伸縮機構の外側に設けられ、前記伸縮機構を締め付け可能に構成された締付機構とを備え、
前記伸縮機構は、規制された範囲内で互いに軸線方向に摺動可能な、入れ子構造をなす複数の管状部材を有する、
ことを特徴とするカテーテル。
【請求項2】
請求項1記載のカテーテルにおいて、
前記複数の管状部材のうち、最も外側に位置するもの以外の管状部材の外周部には、軸線方向に延在する外側凹部又は外側凸部が設けられ、
前記複数の管状部材のうち、最も内側に位置するもの以外の管状部材の内周部には、軸線方向に延在する内側凸部又は内側凹部が設けられ、
前記外側凹部又は前記外側凸部が、前記内側凸部又は前記内側凹部に係合する、
ことを特徴とするカテーテル。
【請求項3】
請求項1又は2記載のカテーテルにおいて、
前記複数の管状部材のうち、最も外側に位置するもの以外の管状部材の外周部と、最も内側に位置するもの以外の管状部材の内周部とには、それぞれ粗面が設けられている、
ことを特徴とするカテーテル。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載のカテーテルにおいて、
前記複数の管状部材の各々は、拡径部と、前記拡径部の基端側に設けられ前記拡径部に対して縮径した基端縮径部とを有し、
前記複数の管状部材のうち、最も外側に位置するもの以外の管状部材は、当該管状部材が可動範囲内の最も先端側に位置するとき、当該管状部材の前記基端縮径部の最基端位置が、当該管状部材を直接囲む別の管状部材の前記基端縮径部の最先端位置近傍又は内部まで延在する、
ことを特徴とするカテーテル。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載のカテーテルにおいて、
前記締付機構は、
前記伸縮機構を囲む管状の弾性体からなり、軸線方向に圧縮されることで内径が縮小する締付部材と、
前記伸縮機構に対して軸線方向の位置を変更可能に設けられ、前記締付部材を軸線方向に押圧する押圧部材とを有する、
ことを特徴とするカテーテル。
【請求項6】
請求項1〜4のいずれか1項に記載のカテーテルにおいて、
前記締付機構は、
前記伸縮機構の外周に沿って周方向に間隔を置いて設けられた複数の締付部材と、
前記伸縮機構に対して軸線方向の位置を変更可能に設けられ、前記伸縮機構及び前記複数の締付部材を囲み、先端に向かって縮径するテーパ内面が形成された管状の押圧部材とを有する、
ことを特徴とするカテーテル。
【請求項7】
カテーテルを用いた血管内の狭窄部の治療方法であって、
前記カテーテルは、ハブに対してシャフトの有効長を縮めることができるように構成され、
前記カテーテルの最先端部手前の位置のルーメン内にバルーンカテーテルのバルーンを配置した状態で、前記カテーテルと前記バルーンカテーテルを血管内に進めるステップと、
前記カテーテルの最先端部を狭窄部内に位置付けるステップと、
前記カテーテルの前記ハブの位置を変えずに前記ハブに対して前記シャフトの有効長を縮めることにより前記カテーテルの最先端部を後退させるステップと、
前記バルーンカテーテルの前記バルーンを前記狭窄部内に位置付けるステップとを含む、
ことを特徴とする血管内の狭窄部の治療方法。
【請求項1】
可撓性を有する中空で長尺なシャフトと、
前記シャフトより基端側に設けられたハブと、
前記シャフトと前記ハブとの間に設けられた伸縮機構と、
前記伸縮機構の外側に設けられ、前記伸縮機構を締め付け可能に構成された締付機構とを備え、
前記伸縮機構は、規制された範囲内で互いに軸線方向に摺動可能な、入れ子構造をなす複数の管状部材を有する、
ことを特徴とするカテーテル。
【請求項2】
請求項1記載のカテーテルにおいて、
前記複数の管状部材のうち、最も外側に位置するもの以外の管状部材の外周部には、軸線方向に延在する外側凹部又は外側凸部が設けられ、
前記複数の管状部材のうち、最も内側に位置するもの以外の管状部材の内周部には、軸線方向に延在する内側凸部又は内側凹部が設けられ、
前記外側凹部又は前記外側凸部が、前記内側凸部又は前記内側凹部に係合する、
ことを特徴とするカテーテル。
【請求項3】
請求項1又は2記載のカテーテルにおいて、
前記複数の管状部材のうち、最も外側に位置するもの以外の管状部材の外周部と、最も内側に位置するもの以外の管状部材の内周部とには、それぞれ粗面が設けられている、
ことを特徴とするカテーテル。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載のカテーテルにおいて、
前記複数の管状部材の各々は、拡径部と、前記拡径部の基端側に設けられ前記拡径部に対して縮径した基端縮径部とを有し、
前記複数の管状部材のうち、最も外側に位置するもの以外の管状部材は、当該管状部材が可動範囲内の最も先端側に位置するとき、当該管状部材の前記基端縮径部の最基端位置が、当該管状部材を直接囲む別の管状部材の前記基端縮径部の最先端位置近傍又は内部まで延在する、
ことを特徴とするカテーテル。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載のカテーテルにおいて、
前記締付機構は、
前記伸縮機構を囲む管状の弾性体からなり、軸線方向に圧縮されることで内径が縮小する締付部材と、
前記伸縮機構に対して軸線方向の位置を変更可能に設けられ、前記締付部材を軸線方向に押圧する押圧部材とを有する、
ことを特徴とするカテーテル。
【請求項6】
請求項1〜4のいずれか1項に記載のカテーテルにおいて、
前記締付機構は、
前記伸縮機構の外周に沿って周方向に間隔を置いて設けられた複数の締付部材と、
前記伸縮機構に対して軸線方向の位置を変更可能に設けられ、前記伸縮機構及び前記複数の締付部材を囲み、先端に向かって縮径するテーパ内面が形成された管状の押圧部材とを有する、
ことを特徴とするカテーテル。
【請求項7】
カテーテルを用いた血管内の狭窄部の治療方法であって、
前記カテーテルは、ハブに対してシャフトの有効長を縮めることができるように構成され、
前記カテーテルの最先端部手前の位置のルーメン内にバルーンカテーテルのバルーンを配置した状態で、前記カテーテルと前記バルーンカテーテルを血管内に進めるステップと、
前記カテーテルの最先端部を狭窄部内に位置付けるステップと、
前記カテーテルの前記ハブの位置を変えずに前記ハブに対して前記シャフトの有効長を縮めることにより前記カテーテルの最先端部を後退させるステップと、
前記バルーンカテーテルの前記バルーンを前記狭窄部内に位置付けるステップとを含む、
ことを特徴とする血管内の狭窄部の治療方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−170472(P2012−170472A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−32030(P2011−32030)
【出願日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【出願人】(000109543)テルモ株式会社 (2,232)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【出願人】(000109543)テルモ株式会社 (2,232)
【Fターム(参考)】
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