説明

カニューレ/光学繊維装置及び前記装置を含むレーザー器具

いわゆる遠位端(21c)に開口(210)を含むカニューレ(2)、及びカニューレ(2)の内側に導入された光学繊維(1)を含みかつ電磁線がカニューレの前記遠位開口(210)によって正面に放射されるような方法で電磁線がカニューレの遠位端の開口(210)に導波されることを可能にする電磁線導波路手段を含む装置(E)であって、前記光学繊維(1)が外部保護鞘(11)によって包囲された芯(10)を含み、光学繊維(1)の保護鞘(11)の外径(D)が前記カニューレの少なくとも一つの遠位部分のカニューレ(2)の内径(d)に本質的に等しく、光学繊維の芯(10)が繊維の遠位部(100)で裸にされており、光学繊維の裸にされた遠位部(100)がカニューレ(2)の内側に完全に収容されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カニューレ内に導入された光学繊維を含む新しい装置、及び医学分野での使用のために意図されたレーザー器具を作るための前記カニューレ/光学繊維装置の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
光学繊維を含む針は一般に医学分野で使用され、光学繊維は、病気を治療または診断するためにレーザー線をレーザーエネルギー源から伝達可能にする。レーザーエネルギー源を使用するこのタイプの装置は、多数の医学分野で、特に拡張蛇行静脈の治療、脂肪症の治療のために、眼科手術の分野の経皮診断等のために使用されることができる。従って、このタイプの装置に対する多数の用途並びに各用途に関連した多数の制約がある。
【0003】
現在、例えば脂肪症または皮下脂肪細胞の治療及び減少の場合に、脂肪吸引技術が使用され、それは、患者の皮膚の真下へ略5mmの直径を持つ探針を導入し、脂肪を吸引することからなる。脂肪細胞の膜を破壊するために患者の皮膚の下に導入された超音波探針を使用することもまた一般的である。後者の場合、膜が破壊されると液体が漏れ、また吸引されなければならない。これらの二つの技術は、特に患者の皮膚に実行された穴のサイズのために、治療された領域のレベルでの均質性の不足及び患者の出血を起こすという欠点を与える。
【0004】
これらの理由のため、例えば文献US6206873に記載された新しい技術及び新しい装置が出現した。この装置は、カニューレ内に配置された光学繊維を含み、この光学繊維は、その近位端でレーザーエネルギー源に結合され、レーザー線(電磁線)がその遠位端に放射されるのを可能にする。カニューレは中空針からなり、その遠位端は開口されかつ斜めに切られており、光学繊維の遠位端を見せる。
【0005】
この技術は、患者の皮膚に穴を開け、針を患者の脂肪細胞の皮下層中に導入し、そして脂肪細胞の前記層をレーザー線により照射することからなる。レーザー線による照射は、脂肪層の脂肪分解を起こし、脂肪細胞の膜の破裂をもたらし、このようにして細胞を液体物質に変える。この液体物質は、吸引されることができ、またはそれがリンパ系によりまたは食作用により排出されるように残されることが好ましい。この文献に記載された技術は、脂肪細胞の層の均一治療が実行されることを可能にする一方、患者の出血の問題を排除し、患者の皮膚の穴のサイズを減らす。患者の出血は、実際、血管を焼灼するためのレーザー線のエネルギーの使用のおかげで排除される。
【0006】
このUS6206873公報に記載された針/光学繊維装置は次の欠点を与える。
【0007】
第一の欠点は、光学繊維の遠位端が針の遠位開口を越えて延びるという事実から発生する。その結果は、装置が人体中に導入されるときの光学繊維破断の危険であり、それは非常に有害でありかつ患者の健康に危険であることが立証できる。
【0008】
通常、光学繊維は三つの同心部分を含む:
− 例えばSiO(それはドープされてもドープされなくてもよい)から作られた、電磁線の導波伝播を確保する中心部、
− 一般的に「クラッディング」と呼ばれ、中心部に電磁線を閉じ込めるように、中心部を包囲しかつ中心部に対して異なる屈折率を示す、非常に薄い中間層(例えばSiOまたはポリマーから作られる)、
− より厚い機械的なポリマー保護鞘。
【0009】
請求項を含む明細書において、用語「芯」は光学繊維の中心部及び中間層(「クラッディング」)を示し、用語「鞘」は上述の機械的な保護鞘を示す。
【0010】
レーザー線の放射を改善しかつ光学繊維の芯を包囲する鞘の燃焼を避けるために、実際に、その遠位端の光学繊維の芯を裸にすることが好ましい。このように裸にされた光学繊維の芯は、繊維の芯を包囲する機械的な保護鞘により繊維の遠位端でもはや保護されない。しかし、光学繊維の芯は機械的な観点から非常にもろく、破断の危険を著しく増大する。
【0011】
第二の欠点は、針に対する光学繊維の不動化に関連する。上述のUS6206873公報の装置では、光学繊維は、光学繊維が通過される弾性リング及び締付けねじを含む機械的締付けシステムにより針に対して不動化されている。この機械的締付けシステムは光学繊維を針に対して確実に不動化させない。その結果は、実際に、この装置の実施時に、光学繊維が針に対して滑るという有意な危険があることであり、それは患者の体内での光学繊維の破断の危険を増大する。
【0012】
第三の欠点は、光学繊維と針の間の、組織が針の内側に侵入するのを可能にする隙間の存在に関連する。しかし、レーザーを実施すると、針と光学繊維の間に侵入する組織はレーザーにより燃やされる。一方で、これらの燃えた組織の全てまたは一部は有害な態様で最後には患者の体の内側に残り、他方でそれらは光学繊維に損傷を起こしうる。
【0013】
フランス特許出願FR−A−2875122は、血管閉塞で使用されることができかつ一実施態様では針の内側に配置された光学繊維を含む医学器具を記載する。この針/光学繊維の実施態様は、US6206873公報の装置に対して上述された三つの欠点を与える。
【0014】
文献FR−A−2875122は別の解決策を提案し、そこでは、光学繊維は、針と一体化されているシリカ電磁線導波路により置き換えられている;より詳細には、この電磁線導波路は針の内側の内部「カバー」により形成される。「カバー」の技術的概念はこの文献中に明確化されておらず、明らかでない。それにもかかわらず、針の内側のかかる電磁線導波路の実現は実施するのが困難であると思われ;さらに、かかる装置は今日まで市場に出ておらず、その有効性は疑問視されうる。
【0015】
アメリカ特許出願US2006/0078265は、主としてハンドピースに連結されかつ人間の組織上にレーザー線を投影するために使用されるレーザーエネルギー源からなる装置を記載する。このハンドピースは特に、光学繊維、及びこの光学繊維を含むカニューレを含む。光学繊維の遠位部は、この場合、カニューレ内に完全に収容されている。カニューレはその遠位端で閉じられており、レーザー線の側方拡散のために側方開口がカニューレに配置されている。
【0016】
光学繊維の保護鞘は繊維の遠位端で部分的に除去されており、従って光学繊維の芯を露出している。鞘の遠位端はカニューレの内壁の周囲に分配された三つの接触点に対して当接しており、それは光学繊維の遠位端がレーザー線を拡散させるカニューレの側方開口に対して正しく配置されることを可能にする。
【0017】
このUS2006/0078265公報に記載された装置では、光学繊維をカニューレに対して不動化及び維持する問題は解決されていない。従って、光学繊維の末端が内部接触点に対して当接しているという事実にもかかわらず、光学繊維は後方へスライドでき、もし光学繊維が正しく不動化して遠位部内に維持されなければ、この装置を実施すると、繊維の芯をその裸にされた遠位端で破断する危険がある。
【0018】
加えて、上述した他の文献においても同様に、組織を侵入可能にする隙間が光学繊維とカニューレの間にある。
【0019】
最後に、このUS2006/0078265公報に記載された全ての装置において、レーザー放射は側方であり、正面でなく、レーザー線を偏向しかつカニューレの側方開口を通してそれを拡散するために反射器が針の内側に置かれることが必須である。反射器の実施は、装置の製造を不利な態様で複雑にする。
【0020】
US2002/0138073公報は、光学繊維を用いる外科レーザー探針を開示し、その放射遠位部は円筒チップの内側に取付けられている。円筒チップの端部は鏡により閉じられ、このチップの円筒壁は、繊維の端部で送出されたレーザー線に対して透明である材料から作られている。この円筒チップは、光学繊維により送出された電磁線の側方拡散を可能にするが、正面放射を可能にしない。さらに、この電磁線の側方拡散を得るために、分散媒体が光学繊維の遠位端とチップの閉鎖端の間の円筒チップ内に置かれている。
【0021】
US5269777公報は、光学繊維を用いる外科レーザー探針を開示し、その放射遠位部は、好ましくは0.5cm〜5cmの長さを持つシリコーンから作られた分散チップの内側に挿入されている。この分散チップは繊維芯の遠位端に固定されており、カニューレを構成しない。このチップの固定後に、第二内部分散層が例えば射出成形によりチップの内側に付着される。この内部分散層は例えばダイヤモンド粉末、TiOまたはアルミナのような分散粒子を含む。光学繊維により遠位端まで導波される電磁線は分散チップ内ではもはや導波されず、チップの内部分散層によりいずれの方向にも分散される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
第一態様によれば、本発明の主目的は、新しいカニューレ/光学繊維装置を提供することであり、それは電磁線の正面放射を可能にし、光学繊維の破断の危険を減少可能にし、かつ光学繊維がカニューレに対して信頼性を持って不動化されることを可能にするものである。
【課題を解決するための手段】
【0023】
本発明のこの第一態様によれば、光学繊維/カニューレ装置は、いわゆる遠位端に開口を含むカニューレ、及び電磁線導波路手段を含む。これらの電磁線導波路手段は、カニューレ内に導入された光学繊維を含み、かつ電磁線が前記カニューレの遠位端により正面で放射されるような方法で電磁線がカニューレの遠位端の開口に導波されるのを可能にする。前記光学繊維は、外部保護鞘により包囲された芯を含み、光学繊維の保護鞘の外径(D)は前記カニューレの少なくとも一つの遠位部分のカニューレの内径(d)に本質的に等しい。光学繊維の芯は繊維の遠位部で裸にされており、かつ光学繊維の裸にされた遠位部はカニューレの内側に完全に収容されている。
【0024】
用語「本質的に等しい」は、繊維を導入する作業時に光学繊維がカニューレの内側でスライドすることを可能にするのに十分なだけの機能的隙間を光学繊維の鞘とカニューレの間に持つように、光学繊維の鞘の前記外径がカニューレの内径に対して非常にわずかに小さいことを意味する。
【0025】
本明細書において、用語「カニューレ」はその一般的意味で与えられており、光学繊維が人体の内側に導入されかつ案内されることを可能にするために、長かろうと、曲がっていようとまたは真直ぐであろうと、いずれの中空支持体も包含する。カニューレは特に、遠位端が丸くて組織に対して攻撃的でない中空管を含むことができ;カニューレはまた、遠位端が斜めに切られ、かつ組織に突き通されることができる中空針を含むことができる。
【0026】
上述の第一態様から独立して実施されることができる本発明の第二態様によれば、本発明の装置は、カニューレと、カニューレの内側に導入される光学繊維を含む電磁線導波路手段とを含み;このカニューレは光学繊維上にひだ付けされる。この第二態様によれば、カニューレは、その遠位端で開かれるかまたはその遠位端で閉じられるかのいずれかであり、かつその遠位部にUS2006/0078265公報に記載されたカニューレ/光学繊維装置に匹敵する態様で電磁線の放射のための側方開口を含むことができる。
【0027】
上述の第一及び第二態様から独立して実施されることができる本発明の第三態様によれば、本発明の装置は、いわゆる遠位端で開いているカニューレと、カニューレの内側に導入された光学繊維を含みかつ電磁線がカニューレの開かれた遠位端に導波されることができる電磁線導波路手段とを含み、前記光学繊維は外部保護鞘により包囲された芯を含んでいる。光学繊維の芯は繊維の遠位端で裸にされており;光学繊維の遠位部はカニューレの内側に完全に収容され、かつ光学繊維の遠位端はカニューレの遠位開口を塞ぐ。
【0028】
好ましくは、しかし任意的に、本発明によれば、上述の三つの態様に対して、カニューレ/光学繊維装置は個々にまたは組合せて次の追加の技術的特徴を含む:
− カニューレは、連続中空部を含む中空挿入体をその遠位部に含み、繊維の芯の裸にされた遠位部はこの中空挿入体中に通されている;
− 光学繊維の鞘はカニューレの内側に当接して配置されており;より詳細には光学繊維の鞘は挿入体に対して当接して配置されている;
− 繊維の芯の裸にされた遠位部は中空挿入体の内側に完全に収容されている;
− 中空挿入体は熱伝導材料から作られ、光学繊維の鞘が熱的に保護されることを可能にする;
− 光学繊維の芯の遠位端はカニューレの遠位開口と同一平面である;
− 光学繊維の裸にされた遠位部はカニューレの遠位開口を塞ぎ、それが外来物のカニューレ中への侵入を有利に防ぐ;
− 電磁線導波路手段は、カニューレに固定された追加の光学導波路を含み、光学繊維の芯の遠位端は好ましくは前記追加の光学導波路と接触している;
− 追加の光学導波路はカニューレの遠位開口と同一平面である;
− 追加の光学導波路はカニューレの遠位開口を塞ぎ、それが外来物のカニューレ中への侵入を有利に防ぐ;
− カニューレは光学繊維の鞘上へひだ付けされ、それが光学繊維がカニューレに関して簡単にかつ効率的に不動化されることを可能にする。
【0029】
本発明の別の目的は、本発明の装置の光学繊維に結合されたレーザー源を含むレーザー器具であり、前記装置は上述の第一、第二または第三態様に適合することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
本発明及びその利点は、以下の非限定的かつ非網羅的例のみの記載を添付図面を参照して読めば、より容易に理解されるであろう。
【図1】図1は、本発明によるレーザー器具を示す。
【図2】図2は、本発明の第一実施態様のカニューレ/光学繊維装置の断面を示す。
【図3】図3は、本発明の第二実施態様のカニューレ/光学繊維装置の断面を示す。
【図4】図4は、本発明の第三実施態様のカニューレ/光学繊維装置の断面を示す。
【図5】図5は、本発明の第四実施態様のカニューレ/光学繊維装置の断面を示す。
【図6】図6は、本発明の第五実施態様のカニューレ/光学繊維装置の断面を示す。
【図7】図7は、本発明の第六実施態様のカニューレ/光学繊維装置の断面を示す。
【図8】図8は、本発明の第七実施態様によるカニューレ/光学繊維装置の断面を示す。
【図9】図9は、本発明の第八実施態様によるカニューレ/光学繊維装置の断面を示す。
【図10】図10は、本発明の第九実施態様によるカニューレ/光学繊維装置の断面を示す。
【図11】図11は、本発明の第十実施態様によるカニューレ/光学繊維装置の断面を示す。
【図12】図12は、装置の第一製造方法の第一段階からもたらされるカニューレ中の光学繊維を示す。
【図13】図13は、装置の第一製造方法の第一段階からもたらされるカニューレ中の光学繊維を断面で示す。
【図14】図14は、装置の第一製造方法の第二段階からもたらされるカニューレ中の光学繊維を示す。
【図15】図15は、装置の第一製造方法の第二段階からもたらされるカニューレ中の光学繊維を断面で示す。
【図16】図16は、装置の第一製造方法の第三段階からもたらされるカニューレ中の光学繊維を示す。
【図17】図17は、装置の第一製造方法の第三段階からもたらされるカニューレ中の光学繊維を断面で示す。
【図18】図18は、装置の第二製造方法の第一段階からもたらされるカニューレ中の光学繊維を示す。
【図19】図19は、装置の第二製造方法の第一段階からもたらされるカニューレ中の光学繊維を断面で示す。
【図20】図20は、装置の第二製造方法の第二段階からもたらされるカニューレ中の光学繊維を示す。
【図21】図21は、装置の第二製造方法の第二段階からもたらされるカニューレ中の光学繊維を断面で示す。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1を参照すると、本発明によるレーザー器具は、ハンドピースPが連結されている参照符号Eを持つカニューレ/光学繊維装置と、装置Eの光学繊維に結合されているレーザー源Sとを含む。ハンドピースPはそれ自体知られており、カニューレ/光学繊維装置Eの取扱い及び操作を容易にする。このレーザー器具は、どのようなタイプのレーザー治療のためにも、例えば非限定的及び非網羅的態様で、拡張蛇行静脈の治療のために、脂肪症の治療のために、眼科手術の分野の経皮診断等のために、医学分野で使用されることを意図されている。レーザー器具の使用に最も良く適合したレーザー源を選ぶことは当業者の責務である。
【0032】
カニューレ/光学繊維装置Eの種々の実施態様が以下詳細に説明されるであろう。
【0033】
図2に示された第一実施態様では、装置Eは光学繊維1を含み、それはレーザー源Sにより供給された電磁線(光)を全内部反射により導波されるのを可能にし、かつ(レーザー源に対向した)その遠位部はカニューレ2内に導入されている。図2では、カニューレ2内に導入された光学繊維1の遠位部分及びカニューレ2の遠位部のみが示されている。さらに、カニューレ2の長さは、その用途に応じて増大されまたは減少されることができる。
【0034】
光学繊維1は、それ自体知られており、レーザー源により供給された電磁線の導波された伝播のための芯10と、芯10を包囲する例えばプラスチックから作られた機械的保護鞘11とを含む。先に述べたように、光学繊維の芯は、電磁線の導波された伝播のための中心部と、電磁線の中心部内への閉じ込めのための一般的に「クラッディング」と呼ばれかつ中心部を包囲する薄い中間層とを含む。添付された図面では、光学繊維の芯を形成する前記中心部及び前記薄い中間層は区別されていない。
【0035】
光学繊維は直径D(鞘11の外径)を持ち、繊維1の芯10は直径dを持つ。繊維1の芯10の遠位部100は裸にされており、すなわち保護鞘11は芯10を覆わず、従って芯10の遠位部100を露出する。芯10の遠位端101で放射されたレーザー線による鞘11の燃焼の危険はこのようにして避けられる。
【0036】
カニューレ2は、レーザー源Sにより放射された電磁線に対して不透明な柔軟な管、例えば柔軟なステンレス鋼管からなる。示された特別な例では、それは本質的にじょうごの形状の中空遠位部21により延ばされた中空円筒体20を含み、前記中空体20と中空遠位部21が連続内部中空部22を構成する。説明の残りにおいて、カニューレ2の外面は参照番号2aを与えられ、カニューレ2の内面は参照番号2bを与えられるであろう。
【0037】
説明の残りにおいて、中空円筒体20に相当するカニューレ2の部分の中空部22の内径は参照記号dを与えられ、中空円筒体20のレベルでのカニューレ2の外径は参照記号Dを与えられる。
【0038】
カニューレ2の上述の遠位部21は、本質的に截頭円錐の形状の第一部21aを含み、その第一部21aは、カニューレ2の円筒体20に延び、かつその横断断面が円筒体20より小さな直径の第二円筒部21bの方向に減少するカニューレ2の遠位部21の遠位端21cは開口している(カニューレ2の縦軸と整合した遠位開口210)。図2の特別な例では、カニューレ2の遠位開口210の直径は上述した第二部21bのレベルでのカニューレの中空部22の直径に等しく、説明の残りにおいて参照記号dを与えられている。第二部21bのレベルでのカニューレ2の外径は参照記号Dを与えられる。
【0039】
有利には、カニューレ2の遠位端21cは、装置Eの導入時の患者の組織を傷つける危険を制限するために丸くなっている。
【0040】
繊維1の鞘11の外径Dは中空部22の内径dに本質的に等しい。用語「本質的に等しい」は、繊維を導入する作業時に光学繊維1がカニューレ2の内側でスライドすることを可能にするのに十分なだけの機能的隙間を光学繊維1の鞘11とカニューレ2の間に持つように、光学繊維1の保護鞘11の外径Dがカニューレ2の内径dに対して非常にわずかに小さいことを意味する。典型的には、直径の差(d−D)が100μmより小さく、好ましくは50μmにより小さい。その結果は、一方では、光学繊維1の遠位部がカニューレ2の内側に信頼性ある態様で維持されることである。他方では、繊維1の鞘11上のカニューレ2の局所的締付けにより、例えば以下に詳述されるように光学繊維1の鞘11上のカニューレ2の簡単なひだ付けにより、光学繊維1をカニューレ2に対して信頼性を持って不動化することが容易である。
【0041】
また、図2を参照すると、光学繊維1の裸にされた遠位部100はカニューレ2の内側に完全に収容される。
【0042】
より詳細には、保護鞘11は、截頭円錐21aの形状の第一部分の内面2bに対してカニューレ2の内側で当接させられる。
【0043】
より詳細には、図2に示されるように、光学繊維の裸にされた芯10の遠位端101はカニューレ2の遠位開口210と同一平面である。
【0044】
装置E(カニューレ/繊維)の人体中への導入及び操作時に、光学繊維1の芯10の裸にされた遠位部100を破断する危険はこのようにして有利に避けられる。前記裸にされた遠位部100は機械的観点からよりもろいものである。
【0045】
さらにより詳細には、図2の例において、繊維の芯10の直径dはカニューレ2の遠位開口210の直径dに本質的に等しい。従って、裸にされた繊維10の芯はカニューレ2の遠位開口210を塞ぎ、有利には外来物のカニューレ2中への侵入、特にカニューレ2及び光学繊維1の人体内の移動時の組織の侵入を防ぐ。
【0046】
より詳細には、しかし必要ではないが、カニューレ2の遠位開口210のレベルで、繊維の芯の遠位端は、カニューレの遠位端21bの内側に、例えばUV線により活性化されることができる接着剤により接着されることができる。この接着剤は、外来物のカニューレ2の内側への遠位開口210によるいかなる侵入も防ぐ完全な密封性を、裸にされた繊維の芯とカニューレの内壁の間に確保することを可能にする。
【0047】
操作時に、レーザー源Sにより放射された全電磁線は光学繊維1によるカニューレ2の遠位開口210への全内部反射により導波され、この電磁線の全体がこのカニューレ2の遠位開口210により正面で放射される。
【0048】
図3に示された本発明の第二実施態様では、カニューレ2の遠位部21は本質的に半球形である。遠位部21のこの本質的に半球形の丸い部分は中空部22の直径dからより小さな直径dになることを可能にする。従って、保護鞘11は遠位半球形部21の内壁2bに対してカニューレ2の内側で当接させられる。この実施態様では、図2の第一実施態様と同様の態様において、光学繊維の芯10の裸にされた遠位部100はカニューレ2の内側に完全に収容され、繊維1の芯10の遠位端101はカニューレ2の遠位開口210と同一平面でありかつそれを塞ぐ。
【0049】
図4に示された本発明の第三実施態様では、カニューレ2は、外径D及び内径dを持つ中空円筒体20と、中空円筒挿入体23とを含む。挿入体23は、連続内部中空部230を含み、かつ中空円筒体20の内側に固定されている。
【0050】
この実施態様では、この挿入体23はより詳細には熱伝導材料から作られており、従ってレーザー線により作られた熱をカニューレ2の方向に排出可能にし、かつ前記熱の光学繊維1の鞘11の方向への伝播を避けさせる。明らかに、挿入体23は、レーザーにより作られた熱に抵抗する材料から作らなければならない。加えて、この挿入体23は光学繊維1の保護鞘11のための機械的当接体として作用し、従ってカニューレ2内の光学繊維の位置決めを容易にする。挿入体23は、例えば金属、特にステンレス鋼から作られ、中空円筒体20の内側に、レーザーにより、蝋付けにより、または接着により接合される。
【0051】
より詳細には、挿入体23は外径Dと内径dを持ち、かつ前記挿入体23の遠位端231が中空体20の遠位開口210と同一平面であるように中空円筒体20の内側に完全に収容される。光学繊維1の芯10の裸にされた遠位部100は挿入体23の内側に完全に収容され、繊維1の保護鞘11は中空体20の内側で挿入体23に対して突き合せ状態にある。より詳細には、繊維1の芯10の遠位端101は挿入体23の遠位端231の開口232と同一平面であり、かつそれを塞ぐ。
【0052】
この実施態様では、挿入体23の外径Dは中空部22の直径dに本質的に等しい。同様に、挿入体の内径dは繊維1の芯10の直径dに本質的に等しい。繊維の裸にされた芯10が挿入体23の中空部230中に導入されること、及び挿入体23が中空体20により構成された中空部22中に導入されることを可能にするために、特定の許容隙間を考慮することが明らかに必要である。
【0053】
図5は、本発明の第四実施態様を示し、それは、異なる形状の挿入体23の実施のために図4の実施態様とは異なる。この中空挿入体23は、第一円筒状部23aと、より大きな横断断面を持ち以下挿入体23のヘッドと呼ばれる第二部23bとを含む。挿入体23は、カニューレ2の中空円筒体20に、一方では挿入体23の管状部23aが本体20の内側に完全に収容され、かつ他方では挿入体23のヘッド23bが中空体20の遠位端面21cに対して当接状態にあるように、固定される。この実施態様では、光学繊維の芯10の裸にされた遠位端101が中空体20の遠位端面21cに対して突き出るが、挿入体23の内側に完全に収容され、挿入体23のヘッド23bの遠位開口232と同一平面であり、かつそれを塞ぐ。
【0054】
図6に示された本発明の第五実施態様では、カニューレ2は、外径Dと内径dを持つ中空円筒体20からなる。外径Dの光学繊維1は、繊維1の芯の裸にされた遠位端101がカニューレ2の遠位開口210と同一平面であるが、この遠位開口210を塞がないようにカニューレ2の中空部22の内側に配置されている。
【0055】
図2から6の装置E(カニューレ/光学繊維)を製造するために、二つの異なる製造方法が実施されることができる。
【0056】
第一製造方法は図12から17に示され、第二製造方法は図18から21に示される。これらの二つの方法は以下に詳細に述べられるであろう。これらの図面では、示されたカニューレ及び光学繊維1は図3の実施態様に相当することは注目されるべきである。当業者はこれらの方法を図2,4,5及び6の他の実施態様の製造のために容易に置き換えることができるであろう。
【0057】
図12から17を参照すると、装置Eを製造するために、第一段階(図12と13)において、カニューレ2は、光学繊維1の芯10が遠位部分で予め裸にされている光学繊維1中に、繊維の保護鞘11がカニューレ内に当接させられるまで、通される。図4または図5の実施態様に対しては、挿入体23は中空体20に予め固定されているであろうし、光学繊維の裸にされた遠位部は、繊維の保護鞘11が挿入体23に対して当接させられるまで挿入体23中に通される。第二段階(図14と15)では、カニューレ2は好ましくは繊維1をカニューレ2に対して堅固に不動化するようにひだ付けされる。このひだ付けはカニューレ2の壁及び保護鞘11を局所的に変形してカニューレ2の内側の繊維1を不動化することを可能にする。ひだ付けが実行されたら、半径方向の変形4がカニューレ2の外壁2a上に見られる。カニューレ2の外壁2a上のこれらの半径方向の変形4は鞘11の変形4′をもたらし、それらはカニューレ2内の繊維1のブロックを可能にしかつそれがスライドするのを防ぐ。最後に、第三段階(図16と17)では、光学繊維1の芯10は、その遠位端101がカニューレ2の遠位開口210と[図5の実施態様に対しては挿入体23の遠位開口232と]同一平面であるように切断される。
【0058】
図18から21に示された第二方法は、第一段階(図18と19)において、光学繊維1の適当な長さを裸にし、繊維の鞘11がカニューレ2の内側に当接させられかつ繊維1の芯10の遠位端101がカニューレの遠位開口210と[または図5の実施態様に対しては挿入体23の遠位開口232と]同一平面になるように、カニューレ2の内側に光学繊維1を挿入することからなる。次いで、第二段階(図20と21)では、鞘11上へのカニューレ2のひだ付けが、繊維1をカニューレ2中に不動化するために実行される。
【0059】
今まさに述べられた二つの方法において、繊維1上へのカニューレのひだ付けは、装置Eの人体中への導入の領域から上流の領域において、すなわち人体の内側に導入されることを意図されていない領域において実行される。
【0060】
図7に示された本発明の第六実施態様では、カニューレ2は、外径Dと内径dを持つ管状体20からなる。以下光学導波路と呼ばれる追加の電磁線導波路3が管状体20の内側かつその遠位部に固定されている。この光学導波路3はレーザー源Sの波長の範囲内のいずれかの透明材料から作られ、示された例では、本体20の遠位開口210と同一平面でありかつこの遠位開口210を塞ぐ。
【0061】
光学繊維1の芯10の裸にされた遠位部100はこの導波路3に対して当接して配置されることが好ましい。導波路3により延ばされた光学繊維の芯10は、導波路3と共に導波路手段を形成し、レーザー源Sにより放射された電磁線が全内部反射により本体20の遠位開口210に導波されること、及びこの電磁線をカニューレの遠位開口210により正面に放射することを可能にする。別の実施態様では、光学繊維1の芯10の裸にされた遠位部100の遠位端101はこのようにして光学導波路3に接近して、しかしそれに触れることなく配置されることができる。この場合、光学繊維1の芯10の遠位端101と光学導波路3との間の距離は、電磁線が、繊維1の芯10を離れるとき、顕著な損失なしに光学導波路3に伝達されるように、十分小さくなければならない。
【0062】
図8から11は本発明の他の実施態様を示し、それらは、図7の光学導波路3に対して異なる幾何学的形状を示す光学導波路3′の実施のために図7の上述実施態様とは異なる。
【0063】
カニューレ2を光学繊維1の鞘11に対してひだ付けすることを通して、光学繊維1をカニューレ2に対して不動化するための上述解決策はまた、図7から11の実施態様で実施されることができる。
【0064】
本発明は、例としてのみ記載された添付図面に示された実施態様に限定されない。当業者の理解内のかつ添付請求項により包含される他の実施態様が、本発明の範囲外になることなく予想されることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
いわゆる遠位端(21c)に開口(210)を含むカニューレ(2)、及びカニューレ(2)の内側に導入された光学繊維(1)を含みかつ電磁線がカニューレの前記遠位開口(210)によって正面に放射されるような方法で電磁線がカニューレの遠位端の開口(210)に導波されることを可能にする電磁線導波路手段を含む装置(E)であって、前記光学繊維(1)が外部保護鞘(11)によって包囲された芯(10)を含み、光学繊維(1)の保護鞘(11)の外径(D)が前記カニューレの少なくとも一つの遠位部分のカニューレ(2)の内径(d)に本質的に等しく、光学繊維の芯(10)が繊維の遠位部(100)で裸にされており、光学繊維の裸にされた遠位部(100)がカニューレ(2)の内側に完全に収容されていることを特徴とする装置。
【請求項2】
カニューレ(2)が、その遠位部(21)において、中空挿入体(23)を含み、中空挿入体(23)が両端を開いた中空部(230)を含むこと、及び繊維の芯(10)の裸にされた遠位部(100)がこの中空挿入体(23)中に通されることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
光学繊維(1)の鞘(11)がカニューレ(2)の内側に当接して配置されることを特徴とする請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
光学繊維(1)の鞘(11)がカニューレの内側にかつ挿入体(23)に対して当接して配置されることを特徴とする請求項2または3に記載の装置。
【請求項5】
繊維の芯(10)の裸にされた遠位部(100)が中空挿入体(23)の内側に完全に収容されていることを特徴とする請求項2〜4のいずれか一つに記載の装置。
【請求項6】
中空挿入体(23)が、熱伝導性材料から作られ、かつ光学繊維の鞘(11)が熱的に保護されることを可能にすることを特徴とする請求項2〜5のいずれか一つに記載の装置。
【請求項7】
光学繊維(1)の芯(10)の遠位端(101)がカニューレ(2)の遠位開口(210または232)と同一平面であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一つに記載の装置。
【請求項8】
光学繊維の裸にされた遠位部(100)がカニューレ(2)の遠位開口(210または232)を塞ぐことを特徴とする請求項1〜7のいずれか一つに記載の装置。
【請求項9】
電磁線導波路手段がカニューレ(2)に固定された追加の光学導波路(3)を含むことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項10】
追加の光学導波路(3)がカニューレ(2)の遠位開口(210)と同一平面であることを特徴とする請求項9に記載の装置。
【請求項11】
追加の光学導波路(3)がカニューレ(2)の遠位開口(210)を塞ぐことを特徴とする請求項9または10に記載の装置。
【請求項12】
カニューレ(2)が光学繊維(1)の鞘(11)上にひだ付けされることを特徴とする請求項1〜11のいずれか一つに記載の装置。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれか一つに記載の装置(E)、及びこの装置(E)の光学繊維(1)に結合されたレーザー源(S)を含むことを特徴とするレーザー器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公表番号】特表2010−519947(P2010−519947A)
【公表日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−551240(P2009−551240)
【出願日】平成20年2月29日(2008.2.29)
【国際出願番号】PCT/FR2008/000264
【国際公開番号】WO2008/129166
【国際公開日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【出願人】(506242739)オプティカル システム アンド リサーチ フォー インダストリー アンド サイエンス オシリス (4)
【Fターム(参考)】