説明

カバーと、フック部を有するオーバーモールド部材を複数含む成形品とから構成されるアセンブリ

成形品と、この成形品を覆うカバーとを備え、長手方向溝部が外部に開口しながら成形品に形成され、2つの、フック部を有する部材が、溝部の底部を少なくとも部分的に形成するように、成形品にオーバーモールドされており、フック部が、カバーから突出するループ部の開口部の中に引っかけられてカバーを成形品に固定するように貫通するアセンブリであって、少なくとも2つの、フック部を有するオーバーモールド部材が設けられていて、長手方向に縦に並べることによって、深溝部の底部を少なくとも部分的に形成しており、2つの、フック部を有する部材は、フック部を有する部材が1つもない中間領域によって互いに隔てられており、カバーが深溝部の上部へ向かって、捲れ上がることを防止するための手段が設けられている、アセンブリ。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に自動車のクッションである成形品と、成形品にオーバーモールドされた少なくとも2つの、フック部を有する部材と、成形品を少なくとも部分的に覆うカバーと、を備え、カバーが、フック・アンド・ループ式またはフック・イン・フック式の自動ファスナまたは「タッチ・ファスナ」装置を介して成形品に固定されており、フック部がオーバーモールド部材から突出し、カバーから突出するループ部またはフック部と協働して固定する、アセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
米国特許出願2003/0162008号という文献が、外面を有する成形品と、その外面を覆うカバーとを備えたアセンブリを開示している。溝部または深溝部が成形品に形成され、2つの対向する側面を有し、この2つの側面は合わさって深溝部の底部を形成する。2つの爪部を有するオーバーモールド部材が深溝部の底部に配置され、カバーに取り付けられたワイヤが深溝部に挿入され、当接またはクリップ式に挟むことでそれぞれの爪部と協働してカバーを成形品の周りに保持する。
【0003】
その形式のアセンブリは製造が難しく、特に深溝部の側壁部から盛り上がる爪部を適切に位置決めするのが難しく、その結果、行われる固定は、面ファスナを用いて固定することにより得られる固定ほど信頼性が高くない。
さらに、いったんワイヤを爪部の間に挟むと、カバーを傷つけずに外すことが非常に困難であり、実際には不可能である。
【0004】
従来技術において、成形品およびカバーを備えたアセンブリが知られており、このアセンブリでは、成形品が溝部または深溝部が設けられている。溝部または深溝部は、成形品の外面に形成されていて、2つの側面がある。2つの側面は、底部で合わさっており、この底部からはフック部が突出して、カバーから突出するループ部と協働する。カバーを固定するフック・アンド・ループ・システムを含むこのようなアセンブリは、米国特許出願2003/0162008号に記載されているものよりも信頼性があるが、非常にコストがかかり、特に、引き抜こうとする力に十分耐えられるよう固定するには、実質的に底部全体をフック部で覆う必要がある。フック部は、具体的には、深溝部の底部に配置された、フック部を有する部材の一部である。フック部を有する部材は連続的に並べられ、つまり、端と端とをつなげて並べられていることにより、アセンブリの製造コストが非常に高くなる。フック部を有する上記部材は非常に高価だからである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許出願2003/0162008号明細書
【発明の概要】
【0006】
第1の態様において、本発明の目的は、成形品と、カバーとから構成されるアセンブリであって、面ファスナ(カバーを成形品の周りにぴったりと合わせるのを非常に簡単にし、具体的には、例えばカバーの位置を直すために、固定してあるのを外したり、必要であれば再び固定することを可能にする)を有するにもかかわらず、製造するコストが低く、それでいて、カバーを固定するために面ファスナを使用することにより得られるアセンブリの信頼性および引き抜き強度を失うことがないアセンブリを提供することによって、従来技術の欠点を解決することである。
【0007】
この第1の態様において、本発明は、成形品と、成形品の外面を少なくとも部分的に覆うカバーとを備え、少なくとも1つの長手方向溝部または深溝部が、外部に開口しながら成形品に形成され、少なくとも1つの、フック部を有する部材が、溝部の底部を少なくとも部分的に形成するように、成形品にオーバーモールドされており、一部のフック部、好ましくはフック部がカバーから突出するループ部の開口部の中に引っかけられてカバーを成形品に固定するように貫通するアセンブリであって、
・少なくとも2つの、フック部を有するオーバーモールド部材が設けられ、長手方向に縦に並べることによって、深溝部の底部を少なくとも部分的に形成し、2つの、フック部を有する部材は、フック部を有する部材が存在しない中間領域により互いに隔てられ、
・カバーが深溝部の上部へ向かって、特に中間領域または各中間領域において捲れ上がることを防止する手段が設けられている、アセンブリを提供する。
【0008】
このように、本発明では、カバーを物品の周りに固定するために面ファスナを使用するが、使用する量は少ないため、コストに関して非常に好ましい効果がある。このアセンブリを非常に簡単に製造し、取り付けられ、または、高い信頼性をもって固定されることに悪影響はない。特に、アセンブリの引き抜き強度に悪影響がなく、引き抜き強度は維持され、実際には捲れ上がり防止手段によって改善される。
【0009】
好ましくは、ループ部がカバーに固定したポケット部の外面から突出し、捲れ上がり作用を防止する手段は、ポケット部内を通るワイヤで構成されている。
【0010】
したがって、カバーを成形品に固定するために、フックアンドループ式のシステムが設けられている従来技術と比べると、設けられているフック部が少ないため、コストが非常に安くなる。代わりに、硬質ワイヤが設けられている。このワイヤは特に熱可塑性材料でできていて、はるかに安価であるが、同等またはそれ以上の上方引き抜き強度を得ることができる。
さらに、直線状に延在しておらず、むしろ湾曲した部分を含む深溝部では、直線状のオーバーモールド部材を使用することができる。オーバーモールド部材をその湾曲した部分に合わせることで、オーバーモールド部材を互いに間隔をあけて配置することができ、深溝部が延在する長さ全体にわたって連続的に配置する必要がないという事実により、容易である。或いは、これらの部材は、対応する湾曲した形状である必要がある。
【0011】
好ましくは、ループ部がポケット部の周囲の底の部分から突出し、特にこの部分だけから突出する。
【0012】
改良例では、中間領域の長さ、つまり、2つの連続した長手方向に隣り合うオーバーモールド部材の間の距離が、ワイヤがないと、捲れ上がり作用が起きるようなものである。また、ワイヤの材料および寸法は、ワイヤをポケット部に入れたときに、ワイヤに十分な剛性があって捲れ上がり作用が小さくなり、特に、捲れ上がり作用がもはやまったく起きないようなものである。
【0013】
好ましい実施形態では、断面において、各々の、フック部を有するオーバーモールド部材がU字形状またはC字形状をしており、これらの形状の2つの分岐部は、溝部の外側に向けて延在し、U字形状またはC字形状の内面には、フック部が突出していない2つの遠位端部分と、フック部を有するオーバーモールド部材のフック部が突出している中間底部部分とが存在する。
【0014】
ある有益な実施形態では、溝部に、成形品を成形した材料によって形成された2つの側面があり、これらの側面は、外側から、各々の、フック部を有する部材のU字形状またはC字形状の分岐部のそれぞれの上端部または遠位端部まで延在し、U字形状またはC字形状の分岐部のそれぞれの内面は、それぞれの側面に直につながっている。
【0015】
特に、溝部の側面は直立するとともに、U字形状またはC字形状のそれぞれの分岐部の内側上端部とぴったりと合っている。
【0016】
好ましい実施形態では、溝部に少なくとも1つの湾曲形状部分があり、この湾曲形状部分の中には、少なくとも1つの、直線状または湾曲した形状のオーバーモールド部材が延在し、このオーバーモールド部材の長さは、湾曲部分の長さよりも短い。
【0017】
好ましくは、溝部の幅は、溝部の向かい合う2つの壁部の間の最も短い距離と定義され、特に、フック部を有する部材が所定の方向に並べられている場合には、深溝部の幅は、上記所定の方向に垂直に測定される。また、ループ部を有する部材の幅寸法、つまり、ワイヤの幅寸法と、ポケット部の厚さの2倍の合計は、深溝部の幅に略等しいが、上記深溝部の幅よりも若干小さい。
【0018】
好ましくは、各オーバーモールド部材のU字形状またはC字形状の2つの分岐部の上端部のそれぞれの最も内側の位置の間の距離は、ループ部を有する部材のループ部を除く幅寸法、つまり、ワイヤの幅寸法と、ポケット部の厚さの2倍の合計に略等しいが、この幅寸法よりも若干大きい。
【0019】
好ましくは、ポケット部は、2つの、または、2枚のカバーの2つの端部を重ね合わせたところで、カバー部に、特に縫いつけて固定する。
【0020】
好ましくは、少なくとも2つの、フック部を有するオーバーモールド部材の間の中間距離は、各オーバーモールド部材の最も長い寸法の、特に長さ寸法の50%よりも長く、好ましくは、各オーバーモールド部材の最も長い寸法よりも長い。
【0021】
好ましくは、少なくとも2つのオーバーモールド部材の間の距離は、20ミリメートル(mm)より長く、具体的には100mmよりも長く、特に100mmから500mmまでの範囲にある。
【0022】
好ましくは、ワイヤは断面が楕円形であり、特に、その楕円形の長軸が、深溝部の底部から外へ向かう方向へ、つまり、各オーバーモールド部材の基部に略垂直に延在する。
【0023】
特に好ましい実施形態では、ワイヤが正方形または長方形断面をしていて、断面の角部が丸めてあり、特に、ワイヤが長方形断面を有する場合、長さが深溝部の底部から外へ向かう方向に延在する。
【0024】
第1の態様から独立し、それ自体発明を構成する本発明の第2の態様では、フック部を有するオーバーモールド部材がユニットを使ってオーバーモールドされるが、そのユニットは、第1に、成形品にオーバーモールドする、少なくとも1つのフック部を有するオーバーモールド部材、特に、少なくとも2つのフック部を有する部材であって、その部材または各部材が、2つの先端側壁部および底部により規定される開口内部空間を形成し、その部材から突出する少なくとも1つまたは複数のフック部が底部から突出するオーバーモールド部材と、第2に、内部ボリュームを規定する内壁部を有する型であって、内部ボリュームが型の中でモールディングにより被形成品と同じ形状をしており、少なくとも1つの台座部が上記内壁部から内部ボリュームの中へと突出し、オーバーモールド部材が、成形用発泡体を成形している間、台座部と接触し、台座部が、具体的には平行面である、2つの対向する外側面を有するレール形状部分を含む、型とを備え、発泡体を成形している間、フック部が先端側壁部と外側面の間に介在することなく、特に、フック部が先端側壁部と外側面の間に介在することなく、オーバーモールド部材のそれぞれの先端側壁部が、それぞれの対向する外側面と、特に、対向する少なくとも1つのそれぞれの接触線に沿って接触していている。
【0025】
台座部は2つの側壁部の間に把持されるので、上記側壁部が2つの側面に、特に弾性的な方法で押しつけられ、フック部を含む側壁間の空間に注入する液状発泡体で密閉される。
【0026】
このような用途は特に都合のよいものである。このユニットを用いて得られる幅の狭い深溝部、このようなユニットのオーバーモールド部材、および、本発明のループ部を有する部材の組み合わせが、捲れ上がり作用を受けることなく、従来技術よりも少ないフック部を有するオーバーモールド部材を深溝部の底部に設けることを可能にするからである。
しかしながら、フック部を有する従来の部材、つまり、特に側壁部がないか、または、フック部を保護するための被膜があるこのような部材を、本発明で保護される範囲において、使用することも可能である。
【0027】
好ましい実施形態では、フック部を有する部材が、その2つの側壁部の間で台座部を力をかけて固定する。
【0028】
改良例では、フック部を有する部材と台座部との間がクリップ留めによって接触する。
【0029】
好ましい実施形態では、フック部を有する部材の各側壁部が最も内側の先端部を有し、フック部の最も高い位置の高さが最も内側の先端部の高さよりも低く、台座部が2つの、対向する外側面を有するレール形状部分を含み、これらの外側面が間隔をあけて配置されるとともに、オーバーモールド部材の側壁部の先端部の形状と略同一の形状を有し、レール部の厚さ、つまり、所定の方向に測定した2つの側面の間の距離が、上記所定の方向における2つの側壁部の2つの先端部の間の距離より若干大きい。
【0030】
好ましくは、2つの側壁部の最も内側の先端部は、形状が直線状であり、好ましくは互いに平行である。上から見た面に見られるように、レール部の2つの外側面は同じ直線状な形状をしているので、上記のそれぞれの接触線も直線状である。
【0031】
好ましくは、2つの側壁部は互いの方へわずかに傾斜しており、特に、断面に見られるように、フック形状、C字形状、円弧形状、または、類似の形状により傾斜している。
【0032】
好ましくは、オーバーモールド部材は、さらに前方および後方壁部を有し、この壁部は、側壁部に対して横方向に延在する。
【0033】
好ましくは、前方および後方壁部のそれぞれの上端部は、それぞれの高さがフック部の最も高い位置より高いが、2つの側壁部の上端部の高さよりも低い。
【0034】
好ましい実施形態では、前方および後方壁部の上端部に沿って延在する1または複数の密閉用リブ部が設けられている。
【0035】
好ましくは、台座部は、前方および後方壁部の上端部の形状に対して略相補的な形状をした上部を有するので、壁部の上端部に載せることができ、任意に、前方および後方壁部の2つの上端部に沿って延在するシーリング用のガスケットが介在させた状態にできる。
【0036】
フック部が中にある開口内部空間は、したがって完全に閉じられ、このときフック部は、第1にレール部の2つの側面とオーバーモールド部材の2つの側壁部との接触部で、第2に前方および後方壁部ならびにレール部の上部で、発泡体から特に良好に保護される。
【0037】
別の実施形態では、各々の最も内側の上端部が、湾曲した線を、特に円弧状の線を形成し、上から見た面内で見られるように2つの側面が上記湾曲した線と同一の形状をして、上記それぞれの接触の線が上記湾曲した線により構成されている。
【0038】
好ましくは、オーバーモールド部材が2つの側壁部を越えて外側の方へ延在し、これにより、1つまたは複数の外側縁部を形成している。
【0039】
完成した成形品では、これら2つの縁部が発泡体で完全に取り囲まれており、このように発泡体に固定することで、オーバーモールド部材が成形品に卓越した強度で固定される。
特に、オーバーモールド部材が、発泡体が注入される前に台座部を固定して台座部の上にクリップ留めされたオーバーモールド部材である場合、モールディングの終わりに成形品が発泡体の中に良好に固定されることにより、、オーバーモールド部材を台座部から取り外している間(そのとき、成形品にオーバーモールドされたものとして固定されている)、オーバーモールド部材が成形品に適切に接合されたままでいることが保証される。
【0040】
オーバーモールド部材を成形品の発泡体の中に良好に固定することは、オーバーモールド部材が2つの側壁部を有し、その間にフック部が位置している場合、発泡体が側壁部の上面全体と接触している事実によりさらに容易となる。深溝部の幅は、この場合、2つの側壁部の2つの上部内側端部の間の距離に等しい。
【0041】
好ましくは、一方または各々の側壁部に外側リブ部があり、レール部は、各々のリブ部、または、上記(複数の)リブ部で厚さが最大であり、2つのリブ部は特に同じ高さにあり、上記レール部の厚さとは、上記2つのリブ部の2つの最も外側の位置の間の距離である。
【0042】
本発明はまた、成形材料、特に熱可塑性発泡体から作られた本体と、成形された本体の中にオーバーモールドされた1または複数のフック部を有するオーバーモールド部材と、を有する成型品であって、発泡体が、成形された本体の外部へ開口する溝部が形成されるように、内部空間に対応する領域を除いて断面において、オーバーモールド部材の周囲全体にわたってオーバーモールド部材と接触し、溝部は、台座部の2つの側壁部の2つの内側上端部の間の距離に対応する1つまたは複数の厚さを有するレール部の形状に対して相補的な形状を特に有する、成型品を提供する。
【0043】
複数のオーバーモールド部材を設けた場合、すなわち、本発明の第1の態様の範囲内では、オーバーモールド部材は、フック部のない中間領域によって互いに隔てられる。
【0044】
本発明はまた、本発明のアセンブリの成形品を製造する方法を提供する。この方法は、被成形品と同じ形状の型と、型の壁部から突出するレール形状の台座部が型のボリュームを規定する型を用意するステップを含んでよく、間隔をあけて配置された2つの側壁部およびフック部が突出する底部を各々が有する1つまたは複数のオーバーモールド部材により台座部を固定し、オーバーモールド部材の2つの壁部の間の内部空間を密閉するような方法で、フック部を有する部材の2つの側壁部が台座部の2つの面に、少なくとも2つのそれぞれの接触線に沿って、間にフック部を介在させることなく押しつけて、物品をモールディングする発泡体を注入するステップがある。
【0045】
最初の2つの態様から独立しており、それ自体で発明を構成し、また、他の2つの態様のいずれか、または、他の2つの態様の両方と組み合わせて用いるのに適した第3の態様では、本発明は、フック部を有するオーバーモールド部材、特に、本発明の第1の態様におけるアセンブリの一部とするオーバーモールド部材をも提供する。
【0046】
互いから間隔をあけて配置された2つの側壁部と、底部とを、開口内部空間を形成し、その開口内向部が、一方の壁部から他方へいく方向、特に、2つの壁部に垂直な方向に最も広い幅を有するような方法で含み、少なくとも1つのフック部、好ましくは複数のフック部が底部から突出する、フック部を有するオーバーモールド部材は、2つの側壁部の上部または遠位部が、2つの側壁部の上端部の2つの最も内側の位置の間の距離が上記最も広い幅よりも小さくなるように、互いに対して傾斜している。
【0047】
好ましくは、壁部を通る断面において、特にフック部が突出する領域において、底部は、形状が略円弧状である。
【0048】
好ましくは、オーバーモールド部材のフック部は、内部空間の底部のみから突出する。
【0049】
本発明の一実施形態が以下に図面を参照しながら説明されている。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明で使用できるアセンブリのためのフック部を有するオーバーモールド部材の上から見た斜視図である。
【図2】図1の線A−Aでの断面図である。
【図3A】本発明のそれぞれの成形品の一部の断面図であって、各々が、図1および2のオーバーモールド部材を含む図である。
【図3B】本発明のそれぞれの成形品の一部の断面図であって、各々が、図1および2のオーバーモールド部材を含む図である。
【図3C】本発明のそれぞれの成形品の一部の断面図であって、各々が、図1および2のオーバーモールド部材を含む図である。
【図4A】図1および2のフック部を有するオーバーモールド部材と、それぞれの台座部を示す側面図であり、各台座部がレール形状であり、フック部を有するオーバーモールド部材が台座部の上に配置されている図である。
【図4B】図1および2のフック部を有するオーバーモールド部材と、それぞれの台座部を示す側面図であり、各台座部がレール形状であり、フック部を有するオーバーモールド部材が台座部の上に配置されている図である。
【図5A】図4Aと同様の図であるが、フック部を有するオーバーモールド部材の中のフック部を入れるための内部空間を密閉式に保護する方法で、それぞれのレール形状台座部を力をかけて(クリップ式に)挿入した状態を示し、図3Aの成形品に対応している図である。
【図5B】図4Bと同様の図であるが、フック部を有するオーバーモールド部材の中のフック部を入れるための内部空間を密閉式に保護する方法で、それぞれのレール形状台座部を力をかけて(クリップ式に)挿入した状態を示し、図3Bの成形品に対応している図である。
【図6】図3の成形品を覆うカバーから突出する、本発明のアセンブリのループ部を有する部材の断面図である。
【図7】ループ部を有する部材とフック部を有する部材が、図3の成形品における深溝部の底部において、図6のループ部を有する部材を含むカバーを成形品にかけた場合であって、硬質プラスチック材料製のワイヤをポケット部に挿入していないときにどのように協働するかを線図式に示す図である。
【図8】ループ部を有する部材とフック部を有する部材が、図3の成形品における深溝部の底部において、図6のループ部を有する部材を含むカバーを成形品にかけた場合であって、硬質プラスチック材料製のワイヤをポケット部に挿入したときにどのように協働するかを線図式に示す図である。
【図9】フック部を有するオーバーモールド部材の別の実施形態を、図2と同一の断面図で線図式に示す図である。
【図10】本発明のアセンブリの台座部で可能性のある別の実施形態の図4または図5と同じ図である。
【図11】本発明のアセンブリの成形品の深溝部を通る断面図である。
【図12】本発明のアセンブリの別の実施形態の図11と同じ図である。
【図13】本発明の成形品を覆うカバーの実施形態の線図式の断面図である。
【図14】本発明の成形品を覆うカバーの別の実施形態の線図式の断面図である。
【図15】本実施形態では湾曲した部分と直線状な部分とから構成されている深溝部の上にある成形品の図である。
【図16】本発明のアセンブリの台座部で可能性のある別の実施形態の図4または図5と同じ図である。
【図17】フック部が突出する平坦な底部を有する、フック部を有するオーバーモールド部材の別の実施形態を示す、図2と同じ断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0051】
図面、特に図1に、本発明の第3の態様でのフック部を有するオーバーモールド部材であって、本発明の第1および/または第2の態様において実施することができるオーバーモールド部材の斜視図を示す。部材1は、型の中に配置して、モールディングによって成形品を形成するものであり、被成形品は、成形材料、特に発泡体、より詳しくは熱可塑性発泡体製である。発泡体を型に流し込むと、上記発泡体が液体のようにオーバーモールド部材に接触し、次いで、固まることによって、オーバーモールド部材にしっかりと固定する。発泡体を型に流し込む目的は、発泡体がフック部の下を貫通することでフック部を汚すことがないように、フック部を保護することである。これは、発泡体がフック部の下に入ってしまうと、フック部が使用不能になり、もはやループと協働してフッキングや面ファスナ機能を行うことができなくなるからである。
【0052】
オーバーモールド部材1にはプレート部2があり、プレート部2は縦の長さがLであり、幅がlである矩形の基部を有する。長さLはオーバーモールド部材の長手方向に延在し、一方、幅lは横方向に延在する。2つの側壁部3および4は、プレート部2の上面から延在する。これらの側壁部3および4の各々は上端部を有し、この上端部は、この例では、図面に対して実質的に左右方向の面から構成されている。各上端部は線5および6を有し、この線5および6は、上端部の最も内側の、つまり、他方の壁部に最も近い位置で構成されている。断面では、特に図2のように、これらの線5および6の各々が、それぞれの最も内側の位置を形成している。これらの2つの線5および6は、この例では、直線状である。図9に示す別の実施形態では、これらの上端部は、必ずしも平坦な面ではなく、段差がつけられていてもよい。故に、図9では、上端部が左右方向の第1の面(リブ部を除いた壁部3の上面に対応している)を有し、続いて第2の左右方向の面(リブ部の上面)があり、この第2の左右方向の面は、第1の面に対して段差がつけられているとともに、湾曲部分で終わっている。この湾曲部分は、第2の左右方向の面で最も内側の位置から、壁部3および4の上端部の最も内側の位置に対応する湾曲部分の最も内側の位置まで延在する。
【0053】
したがって、断面では、特に図1のA−A断面では、図2に示されるように、オーバーモールド部材は、略U字形状またはC字形状であり、U字形状またはC字形状の分岐部分は、2つの壁部3および4により構成されている。
【0054】
U字形状のまたはC字形状内面は、3つの部分から構成されている。すなわち、2つの先端部分があり、各々が最も内側の位置5または最も内側の位置6から底部の中間部分まで延在する。底部の中間部分は、両側の最も外側にあるフック部38により規定されている。したがって、2つの先端部分には突出するフック部が1つもなく、オーバーモールド部材のすべてのフック部が底部の中間部分から突出している。
【0055】
本発明のオーバーモールド部材の底部を厳密に定義する第1の定義方法は、フック部を考慮することであり、その中にすべてのフック部がある内部空間を規定する最小面として底部を定義することである。
【0056】
第2の方法は、各断面において、2つの最も内側の位置(5および6)を、内部空間を規定する内面に、縦方向に(つまり、例えば、図2のベース・プレート部の平面に垂直に)突出させ、突出位置5’および6’を得るように、その間に底部が広がっていると考えることである。
【0057】
本発明のオーバーモールド部材の底部を規定するには、この2つの方法のいずれか一方を利用することができる。
【0058】
図1および2では、側壁部3および4の先端位置5および6で終了している遠位端部分が互いの方へ若干傾斜している。したがって、断面、例えばA−A断面では、オーバーモールド部材1が、開口したU字形状または開口したC字形状の内部空間を規定しており、この内部空間は、2つの壁部3および4によって、かつ、プレート部2の上面によって規定されている。示されているように、この内部空間は、好ましくは床部7(プレート部の上面)を有し、床部7は、前述した中間部分に対応している。フック部38は、この床部7から突出している。上記フック部38は、所望の任意の方法で並べることができ、好ましくは、示されているように、フック部38は横列および縦列に並べられ、特に、任意の縦列において、フック部の頭部が図面の右方向および左方向を交互に向いている。
【0059】
壁部に垂直な方向、つまり、図2の左右方向に測定した最も長い距離Dは、高さhでの2つの壁部間の距離である。これは、2つの先端部の間の距離dよりも大きい。同じ関係が図9に示した実施形態でも確認できる。図2において、実施形態は、前方壁部9および後方壁部10の間の長手方向に沿ったすべての断面について、断面が同じであるようになっている。これは、壁部と端部がこの例では直線状となっているからである。しかしながら、上記断面が変化する実施形態、例えば、壁部や端部が上から見た平面内で一定量の湾曲、例えば、円弧もしくは楕円曲線、または、あらゆる他の想像可能な形状に湾曲している実施形態も考えられる。Dがdよりも大きいという関係は、その場合にも、各断面で有効である。
【0060】
オーバーモールド部材は、前方壁部8および後方壁部9をも有する。前方壁部8および後方壁部9と、側壁部3および4と、底部床部7とは、その中にフック部がある開口内部空間を規定する。前方壁部8および後方壁部9の各々は、それぞれの上端部10および11を有し、上端部10および11は、一方の側端部5から反対側の他方の側端部6まで延在する。これらの端部10および11は、この例ではC字形状をしている。シーリング用のガスケット13が前方壁部8および後方壁部9の上端部10および11に沿って延在する。
【0061】
上から見ると、壁部8および9の内側上端部は直線である。これらの線は直線以外のものであってもよく、それが何であっても任意の形状であってよく、特に、1つまたは複数の湾曲した部分を有する任意の形状であってもよい。
【0062】
上述した部材1は、液状の発泡体を注入する型に入れるものである。液状の発泡体は、固まることで、側壁部5および6と、プレート部2の底面と、前方壁部8および後方壁部9の外面とに固定され、これにより、フック部を成形した発泡品に固定する。
【0063】
型の内部では、レールの形状をした少なくとも1つの台座部12が型の内壁部16から突出し、その型は、モールディングにより作ろうとする物品の形状をしたボリュームを規定する。完成した成形品に、中にフック部を配置するために形成する深溝部の数の関係で1または複数の台座部を設けることも可能である。特に、深溝部の列を形成する台座部の列を設けることも可能である。また、台座部の一部は湾曲していてもよい。発泡体がフック部に注入され、または、フック部と接触することを防止するために、フック部は、発泡体が注入されている間、その注入された発泡体と接触しないようにしなければならない。このため、フック部を有するオーバーモールド部材は、フック部を台座部の方へ向けた状態で、台座部の上に力をかけて固定する。どのような台座部の上にも、オーバーモールド部材を1つだけ配置することも可能であるし、複数のオーバーモールド部材を縦に並べて配置することも可能である。この場合、オーバーモールド部材は、本発明の第1の態様にあるように、互いに一定距離を離して配置することもでき、あるいは、互いに非常に近づけて配置することも可能である。さらに言えば、所望であれば、端部と端部をつなげて配置することも可能である。
【0064】
レール部12は、対向する2つの側面30および31を有する。上から見ると、つまり、図4および5の矢印Fに沿って見ると、これらの面は直線の形状をしている。したがって、側面30および31は、2つの側壁部3および4の内側上端部5および6と同じ形状を有することができる。
【0065】
2つの面30および31の間の距離Dは、レールの厚み方向に対応する方向である、2つの面30および31に垂直な方向(図の左右方向)に測定すると、側壁3および4の2つの上端部5および6の間を同じ方向に測定した距離dに略等しいが、それより若干大きい。
【0066】
レール部が延在する長手方向(図4または5の面に垂直な方向)に沿って一定の厚みとなっていない場合には、各断面で測定された厚みDは、測定がなされた(長手方向に沿った)位置での2つの最も内側の先端部5および6の間の距離dに略等しいが、それよりも若干大きく、レール部の面の形状は、先端部の形状と相補的である。したがって、例えば、端部5および6ならびに面30および31を直線状な形状の代わりに円弧形状にすることも可能である。重要なことは、レール部を側壁部の間に挿入したときに、発泡体から密閉するために、面と端部が略同じ形状を有することである。
【0067】
図5Aおよび図5Bに示されるように、オーバーモールド部材1が、モールディングの間、台座部12の面30および31と接触するとき、この接触は、少なくとも、先端部5および6によって規定される直線の全体にわたって生じる。示した実施形態では、この接触は、これらの線を含む面で生じている。
【0068】
さらに、レール部12は、前方壁部8および後方壁部9の上端部10および11の形状と相補的な形状の上部を有する。したがって、この例では、レール部12の上部が、前方壁部8および後方壁部9の上端部の円弧形状またはC形状に対応した形状のC字形状、または、円弧状にしてある。部材1の2つの側壁部がその2つの端部5および6の間に台座部12を固定するように部材1を押圧すると、これらの2つの端部が互いから少し離れて、レール部の上部15が側壁部8および9の2つの上端部10および11と接触するようになるまで、レール部が中に入ることができる。2つの上端部に弾性があるということは、2つの壁部が弾性によって互いの方向へ戻ろうとするので、2つの上端部がレール部の対応する面に接触するところが密閉されることを意味する。一方、密閉用リブ部13は、レール部12の上部と、壁部8および9の上端部との間にあり、発泡体が注入されている間、フック部に対して優れた密閉状態を提供する。
【0069】
図10に示した改良例では、レール部の対向する2つの側面30および31から横方向に突出する2つのリブ部を設けることができる。どの断面においても、レール部の最も広い幅は、2つのリブ部の2つの最も外側の位置の間の距離Dであり、そして、この距離Dは、距離dより大きい。
【0070】
図16に示した別の実施形態では、2つの長手方向チャネルを対向する2つの側面30および31に設けることができる。これらのチャネルは、側方先端部をスナップ留めで受けるものである。
【0071】
上述した2つの実施形態は、クリップ留めまたはスナップ留めを利用した改良例である。しかしながら、クリップ留めまたはスナップ留め自体は本発明の効果を得るための必須のものではなくい。本発明の効果は、台座部を2つの側壁の間に、互いに、例えば、外側に向けて離した2つの壁部がレール部に押し当てられながら内側に戻ろうとする事実によって、接触を保った状態で挿入されるときはいつでも得られる。
【0072】
発泡体を成形し、その発泡体が固まったら、成形品は型から取り出す。長手方向深溝部15(長さ方向は図3に垂直である)が成形品の外面に形成される。この深溝部は、レール部12の形状と略相補的な形状をしている。発泡体は、オーバーモールド部材1の先端部より下の内面、および、開口内部空間の底部の全体を除くオーバーモールド部材1の周囲全体に広がっている。特に、発泡体は、2つの側壁部3および4の上面を2つの壁部の上端部の最も内側の位置5および6まで覆うまで広がっている。発泡体は、深溝部の2つの直立面50および51を規定し、この直立面は、成形品の外部に向かって開口する深溝部の上部開口部からオーバーモールド製品のU字形状の分岐部を形成する壁部3および4のそれぞれの上端部まで延在する。オーバーモールド製品の内面のフック部のない先端部分は、略平行であり、直立面50および51と連続している。直立面50および51からそれぞれの内側部分へは、特に継ぎ目において、滑らかに移行しており、如何なる凹凸もない。
【0073】
図3A、3Bおよび3Cは、それぞれの結果得られた成形品の一部を示している。もちろん、成形品によっては、この種の深溝部を複数設け、各々の深溝部に本発明のフック部を有する部材を少なくとも1つ設けることも可能である。特に、非常に長い台座部であって、間隔をあけて配置された複数のオーバーモールド部材が底部にある深溝部を得るため、間隔をあけて配置された複数のオーバーモールド部材により固定された台座部を設けることもできる。
【0074】
フック部を有するオーバーモールド部材を1つまたは複数有する発泡体品のモールディングが終わると、特に、成形品が自動車のクッションである場合には、次に成形品をカバーによって覆う必要がある。このカバーはループ部を有する部材に取り付けられる。ループ部は、フック部と協働して、カバーが成形品を覆っている間、カバーを成形品に、特に、成形品の外面の形状にぴったりとフィットさせて固定する。
【0075】
この種のループ部を有する部材が図6に示されている。この部材には、織物材料からなり、それ自体の上に折り重ねられたシートで構成されたポケット部20が設けられており、ループ部が結果得られた管の外面から突出する。これらのループ部21は、特に、ポケット部20の外面に織り込まれていてもよいし、または、編み込まれていてもよい。カバーを形成するシート22および23の形の2つが縁部において重ね合わせてあり、2つのシート22および23を接合してカバーを形成するように、ポケット部が2つの縁部の側面に縫いつけてある(図13および14参照)。したがって、2つのシート22および23の間の接合部にあるポケット部20は、深溝部15の底部に挿入されて、ループ部がフック部と接触する。これにより、カバー22が成形品の周りに、特に輪郭と、深溝部15の壁部に沿って固定される。
【0076】
図7および8は、フック部とループ部の間を固定したところの側面図(成形品を省略している)を示している。例として、フック部を有する2つのオーバーモールド部材1が深溝部の底部に配置されている。もちろん、フック部を有する部材を3つ以上深溝部の中に設けるために、深溝部がもっと長い距離を長手方向に延在することとしてもよい。
【0077】
さらに、硬質プラスチック材料からなる円柱棒状体で構成されるワイヤ24が、ループ部を有する部材のポケット部20に、アセンブリ全体を強化するために挿入されている。プラスチック材料からなる硬質ワイヤは、例えば、ポリプロピレン(PP)製またはポリエチレン(PE)製であり、直径が少なくとも2mmであり、特に直径が2mmから10mmの範囲内にある。しかし、中空ワイヤ、つまり、管形状をしたワイヤを設けることも可能である。硬質ワイヤ24が布地ポケット部20の中にない場合には、フック部を有する2つの部材1の間の中間領域において、捲れ上がり作用が生じ、図7に示すように、ポケット部が、テント式に変形するよう、持ち上がる、つまり、アーチ型になる。
【0078】
逆に、プラスチック材料からなる硬質ワイヤ24がポケット20の中に配置されていると、図8に示すように、捲れ上がり作用がなくなる。したがって、図7に示した2つの部材1は、ワイヤ24がないと、捲れ上がり作用があり、ワイヤ24がポケット部20内に挿入されると、捲れ上がり作用がないような距離をあけて配置される。具体的には、この距離は、容易に80mmに達しうることを前提として、20mmから25mmの範囲よりも長い距離に対応しており、もっと言えば、150mmから200mmの範囲よりも長い距離に対応している。
【0079】
指摘したように、図4Aにおいて、レール部12の厚さDは、好ましくは、8mmから16mmの範囲にあり、より好ましくは、9mmから12mmの範囲にある。もっとも、これらの厚さ寸法の範囲は、図面に示した他の実施形態についても有効である。
【0080】
図3B、4Bおよび5Bに対応する実施形態では、台座部が下方に向かって(つまり、矢印Fによって示される方向に)徐々に幅が細くなっている。この結果、上部開口部に向かって徐々に幅が細くなる、図3Bに示す深溝部が得られる。しかしながら、図3Aの実施形態のように2つの壁部の上端部の最も内側の位置5および6は、溝部50の2つの面50および51から盛り上がっていない。同じことは、図3Cに示した実施形態にも当てはまる。
【0081】
図11は、図8のアセンブリを、深溝部を通る断面で示している。深溝部の幅は、図に対して左右方向に測定される。ワイヤの直径と、ポケット部を形成するために、それ自体の上に折り重ねられたシートの厚さの2倍との合計は、深溝部の幅と略等しい。特に、ポケット部と深溝部の各壁部は、互いに直に接触する。点線は、成形品を成形した発泡体を示すのに用いられている。特に、物品の外側に開口する深溝部の開口部と、この例では直立壁である2つの壁部3および4の上端部との間に発泡体により形成された2つの直立面50および51を示すのに用いられている。
【0082】
示したすべての実施形態において、発泡体は、U字形状の分岐部を形成するオーバーモールド部材の壁部の上端部の面のすべて、または実質的にすべてを、すなわち、最も内側の位置5および6までを覆う。
【0083】
図12は別の実施形態を示している。
この実施形態では、ワイヤが卵形または楕円形断面をしており、その長軸が図の上下方向、つまり、深溝部の底部から外部に向けて延在する。ループ部を有する部材の全体の幅(短軸に沿った寸法とポケット部の厚さの2倍)は、深溝部の幅寸法と略等しい。
【0084】
図15は、直前状に延在しない深溝部であって、特に、湾曲した部分を含む深溝部を有する成形品の実施形態を示している。オーバーモールド部材は、深溝部の中に連続的に配置、特に、端と端を接続して配置する必要がないので、アセンブリは簡単になっており、特に、深溝部の湾曲部分の形状と相補的な湾曲形状のオーバーモールド部材を用意する必要はない。直線部分に使用される、長さが短くて、大きな間隔をあけて配置されるものと同じ部材が、あまり曲がっていない湾曲部分にも適している。
【0085】
本出願では、用語「フック部」は、引っかかる能力、特にループ部に引っかかる能力のあるあらゆる部材を意味する。具体的には、フック部とは、軸部と、その軸部から横方向に突出した頭部を備えた部材である。したがって、キノコの形状、かえしの形状、二重頭部の形状、または、いくつかの他の似た種類の部材が本発明の意味でのフック部である。
【0086】
本用途では、発明の第1の態様を説明しており、第1の態様では、複数のオーバーモールド部材が設けられている。この第1の態様でのオーバーモールド部材の例を図面に示した。しかし、この第1の態様の範囲内で、他の形式のオーバーモールド部材を設けることもでき、例えば、型の底部にフック部を保護するために空洞部が形成されている従来技術のシステムを用いて、または、さらに言えば、フック部を注入された発泡体から保護する単なる保護被膜を用いて、オーバーモールドされた、フック部を有する単なる細片を設けることもできる。
【0087】
本発明の第2および第3の態様では、成形品とカバーとの間の相互の固定は、成形品から突出するフック部がカバーにあるループ部と協働することによって行われると説明した。ループ部の代わりにフック部を設けることも可能であり、そのフック部は、この場合、オーバーモールド部材にあるフック部と、フック間面ファスナ式に協働することに留意すべきであり、これが、本発明のこれら第2および第3の態様において、用語「ループ部」をループ部はフック部であってもよいという事実をも包含する幅広い意味に解釈すべき理由である。それとは反対に、第1の態様では、用語「ループ部」は、フック部材が通過し、引っかかることができる開口部があることを意味する。
【0088】
同様に、第2の態様の範囲内で、オーバーモールド部材を1つだけ、または、このような部材を複数、任意の台座部の上に載せて使用するように用意することも可能であり、この場合には、オーバーモールド部材を互いにある程度離して配置(この場合には、本発明の第1の態様の範囲内にある)、または、互いに非常に近づけて、または、さらに言えば、所望の場合には端と端を接続して配置することも可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
成形品と、
前記成形品の外面を少なくとも部分的に覆うカバー(22、23)とを備え、
少なくとも1つの長手方向溝部または深溝部(15)が、外部に開口しながら前記成形品に形成され、
少なくとも1つの、フック部(38)を有する部材(1)が、前記溝部(15)の底部を少なくとも部分的に形成するように、前記成形品にオーバーモールドされており、
一部のフック部(38)、好ましくは前記フック部のすべてが、前記カバー(22、23)から突出するループ部(21)の開口部の中に引っかけられて前記カバー(22、23)を前記成形品に固定するように貫通するアセンブリであって、
少なくとも2つの、フック部を有するオーバーモールド部材(1)が、長手方向に縦に並べることによって、前記深溝部(15)の底部を少なくとも部分的に形成するよう設けられ、前記2つの、フック部を有する部材(1)は、フック部を有する部材(1)が存在しない中間領域により互いに隔てられ、
前記カバー(22、23)が前記深溝部の上部へ向かって、特に前記中間領域または各中間領域において捲れ上がることを防止する手段が設けられている、アセンブリ。
【請求項2】
前記ループ部(21)は、前記カバー(22、23)に固定したポケット部(20)の外面から突出し、前記捲れ上がり作用を防止する手段は、前記ポケット部(20)内を通るワイヤ(24)で構成されている、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項3】
前記中間領域の長さ、つまり、前記2つの連続した長手方向に隣り合うオーバーモールド部材(1)の間の距離が、前記ワイヤ(24)がないときに捲れ上がり作用が起きるようなものであり、前記ワイヤ(24)の材料および寸法は、前記ワイヤ(24)を前記ポケット部(20)に入れたときに、前記ワイヤ(24)に十分な剛性があって前記捲れ上がり作用が小さくなる、特に、もはや捲れ上がり作用がまったく起きないようなものである、請求項1または2に記載のアセンブリ。
【請求項4】
前記ループ部(21)は、前記ポケット部(20)の周囲の底の部分から突出する、請求項1から3のいずれかに記載のアセンブリ。
【請求項5】
断面において、各々の、フック部を有するオーバーモールド部材(1)がU字形状またはC字形状をしており、前記U字形状または前記C字形状の2つの分岐部(3、4)は、前記溝部(15)の外側に向けて延在し、前記U字形状または前記C字形状の内面には、フック部が突出していない2つの遠位端部分と、フック部を有する前記オーバーモールド部材(1)の前記フック部(38)が突出している中間底部部分(7)とが存在する、請求項1から4のいずれかに記載のアセンブリ。
【請求項6】
前記溝部(15)には、前記成形品を成形した材料により形成された2つの側面(50、51)があり、前記側面は、前記開口部から、各々の、フック部を有する部材(1)の前記U字形状または前記C字形状の前記分岐部(3、4)の前記それぞれの遠位端部まで延在し、前記U字形状または前記C字形状の前記2つの分岐部(3、4)のそれぞれの内面は、それぞれの前記側面(50、51)に直につながっている、請求項5に記載のアセンブリ。
【請求項7】
前記溝部(15)の前記側面(50,51)は、少なくとも部分的に直線状であり、前記U字形状または前記C字形状の前記それぞれの分岐部(3、4)の内側上端部とぴったりと合っている、請求項6に記載のアセンブリ。
【請求項8】
前記溝部(15)に少なくとも1つの湾曲形状部分があり、前記湾曲形状部分の中には、少なくとも1つの、直線状または湾曲した形状のオーバーモールド部材(1)が延在し、前記オーバーモールド部材(1)の長さは、前記湾曲部分の長さよりも短い、請求項1から7のいずれかに記載のアセンブリ。
【請求項9】
各オーバーモールド部材(1)の前記U字形状または前記C字形状の前記2つの分岐部(3、4)の上端部のそれぞれの最も内側の位置(5、6)の間の距離は、前記ループ部を有する部材の前記ループ部を除く幅寸法、つまり、前記ワイヤ(24)の幅寸法と、前記ループ部(21)を除く前記ポケット部(20)の厚さの2倍の合計に略等しいが、この幅寸法よりも若干大きい、請求項5から8のいずれかに記載のアセンブリ。
【請求項10】
前記ワイヤ(24)が長方形断面をしていて、前記断面の角部が丸めてあり、特に、前記ワイヤが長方形断面を有する場合、長さが前記深溝部(15)の底部から外へ向かう方向に延在する、請求項1から9のいずれかに記載のアセンブリ。
【請求項11】
前記ワイヤ(24)は断面が楕円形をしており、特に、前記楕円形の長軸が、上下方向に延在する、請求項1から9のいずれかに記載のアセンブリ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3A】
image rotate

【図3B】
image rotate

【図3C】
image rotate

【図4A】
image rotate

【図4B】
image rotate

【図5A】
image rotate

【図5B】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate


【公表番号】特表2013−517078(P2013−517078A)
【公表日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−549391(P2012−549391)
【出願日】平成23年1月12日(2011.1.12)
【国際出願番号】PCT/FR2011/000015
【国際公開番号】WO2011/089333
【国際公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【出願人】(596170996)
【氏名又は名称原語表記】APLIX
【Fターム(参考)】