説明

カバーの接続構造

【課題】ケースとカバーとのガタつきを抑えつつケースとカバーとを確実に接続するカバーの接続構造を提供する。
【解決手段】板状のケース本体および壁部材12を有するケース10と、ケースの開口を覆うカバー本体およびカバー本体の当接面から立設する壁板22を有し、カバー本体が壁部材に取り付けられたときに壁板が壁部材の外周面12aに対向するように配置されるカバー20とを接続するカバーの接続構造31であって、ケースにカバーが取り付けられた状態で、壁板が対向する壁部材の外周面および当接面にそれぞれ平行となる方向を基準方向Yとしたときに、壁板の基準方向の中間部22aに接触し、壁板の中間部を壁部材の外周面に向かって変形させる押さえ部材40と、壁板における中間部の基準方向の両側を壁部材の外周面から離間する方向に向かって変形させる一対の変形部23とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケースにカバーを取り付けるためのカバーの接続構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子部品を外力や水、埃などから保護するために、電子部品を収容する収容空間が内部に形成された収容ケースが用いられている。
この種の収容ケースとしては、例えば、特許文献1に記載されたものがある。この収容ケースは、電子部品の下部を覆うロアケースと、ロアケースに係合し電子部品の上部を覆うアッパーケースとを備えている。アッパーケースの背面下端部とロアケースの背面上端部とを接合させた状態で、アッパーケースとロアケースとを閉じる方向に動かすと、両ケースが閉じられた状態において一方のケースに設けられた角孔と他方のケースに設けられた爪とが嵌合し、両ケースが互いに固定される。
しかし、この収容ケースでは、角孔と爪との寸法の設定値(設計時に目標とした寸法値)からのずれにより両ケースがガタつき、異音(ビビリ音)が生じる恐れがある。
【0003】
このガタつきを抑えた構造として、特許文献2に記載された収容ケースがある。この収容ケースは、ケースと、ケースに取り付けられるカバーとを備えている。カバーの開口端周辺には、内壁部および外壁部が形成されている。外壁部には、貫通孔である嵌合口が形成されている。一方で、ケースの壁部の内面には、内面から突起した複数のガイドリブが設けられている。ガイドリブには、突起する高さを開口端に向けて減少させたテーパー部が設けられている。壁部の外面には、前述の嵌合口に係合する爪部が形成されている。
カバーの内壁部と外壁部との間にケースの壁部を挿入したときに、嵌合口に爪部が係合するとともに、内壁部がテーパー部により外壁部から離間する方向に湾曲する。内壁部がテーパー部から受ける弾性力により、ケースに対してカバーがガタつくのが抑えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5−12844号公報
【特許文献2】特開2001−339174号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献2の収容ケースでは、ケースの壁部の内面にガイドリブが設けられているとともに、カバーを取り付けたときにケース内に内壁部が湾曲した状態で配置される。このため、収容ケース内の収容空間が小さくなったり、収容ケース内に電子部品を収容しにくくなったりする恐れがある。
【0006】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであって、収容空間を確保しながら、ケースとカバーとのガタつきを抑えつつケースとカバーとを確実に接続するカバーの接続構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
本発明のカバーの接続構造は、板状のケース本体、および前記ケース本体の縁部から立設する壁部材を有するケースと、前記ケースの開口を覆うカバー本体、および前記壁部材の縁部に当接する前記カバー本体の当接面から立設する壁板を有し、前記カバー本体が前記壁部材に取り付けられたときに前記壁板が前記壁部材の外周面に対向するように配置されるカバーと、を接続するカバーの接続構造であって、前記ケースに前記カバーが取り付けられた状態で、前記壁板が対向する前記壁部材の外周面および前記当接面にそれぞれ平行となる方向を基準方向としたときに、前記壁板の前記基準方向の中間部に接触し、前記壁板の前記中間部を前記壁部材の外周面に向かって変形させる押さえ部材と、前記壁板における前記中間部の前記基準方向の両側を前記壁部材の外周面から離間する方向に向かって変形させる一対の変形部と、を備え、前記押さえ部材は前記ケースに接続され、一対の前記変形部は前記壁板に設けられていることを特徴としている。
【0008】
この発明によれば、ケースにカバーが取り付けられたときに、壁板に設けられた一対の変形部、および押さえ部材により、壁板は、基準方向の中間部が壁部材に向かって変形すると同時に、中間部の基準方向の両側が壁部材から離間する方向に向かって変形する。すなわち、壁板は、壁部材側が凸となる弓形に変形する。そして、この際に生じる壁板の弾性力により、壁板の中間部が押さえ部材に押し付けられるとともに、中間部の基準方向の両側が壁部材に押し付けられる。例えば、変形部が設定値より小さく形成された場合に、弓形に変形する壁板の変形の程度が小さくなる。しかし、この場合においても、壁板の中間部が押さえ部材に押し付けられるとともに、中間部の基準方向の両側が壁部材に押し付けられる状態は維持される。これにより、ケースとカバーとの、壁板と壁部材とが対向する方向のガタつきを抑えて、ケースとカバーとを確実に接続することができる。
接続構造は、ケースとカバーとで形成される収容空間の外部に設けられるため、収容空間の収容性を確保することができる。
【0009】
また、上記のカバーの接続構造において、前記壁部材の外周面に凹部が形成され、前記変形部は前記壁板から突出するように形成され、前記変形部は前記凹部に係合することがより好ましい。
この発明によれば、ケースに取り付けられたカバーが、ケースから外れるのを抑えることができる。
【0010】
また、上記のカバーの接続構造において、前記変形部は、前記壁板が前記カバー本体の前記当接面から立設する立設方向の端部に、前記立設方向に向かうにしたがって前記壁板に近づくように形成された案内面を有することがより好ましい。
この発明によれば、ケースにカバーを取り付けるときに壁部材に案内面が当接すると、案内面が上述のように形成されているため、壁部材にカバー本体が近づくにしたがって壁板が外方に開くように変形する。このため、ケースにカバーを取り付けやすくすることができる。
【0011】
また、上記のカバーの接続構造において、前記押さえ部材は、前記壁部材の外周面に向かって凸となる曲面状に形成された押さえ側変形部を有し、前記ケースに前記カバーが取り付けられたときに、前記押さえ側変形部は前記壁板の前記中間部に接触することがより好ましい。
この発明によれば、弓形に変形する壁板の押さえ側変形部側の面における曲率半径を押さえ側変形部の曲率半径より大きくすることで、壁板と押さえ側変形部とが接触する位置がずれた場合であっても、壁板に押さえ側変形部を1カ所で接触させることができる。
【0012】
この場合、壁板は、押さえ部材および一対の変形部により、基準方向に沿って互い違いとなるように3カ所で支持される。壁板が4カ所以上で支持される構成にした場合には、例えば、押え部材が当初の設定値より小さく形成された場合に、押さえ部材や変形部の配置により、ケースにカバーが取り付けられたときに押さえ部材や変形部が壁板からわずかに離間してしまう。このような部分があると、わずかに離間した部分と壁板との間で異音が生じる恐れがある。
壁板を互い違いとなるように3カ所で支持することで、壁板から異音が生じるのを防止することができる。
【0013】
また、上記のカバーの接続構造において、前記押さえ部材は、端子台であることがより好ましい。
この発明によれば、壁板を変形させる部材を、ケースに接続される端子台で兼用させることができる。
【0014】
また、本発明の他のカバーの接続構造は、板状のケース本体、および前記ケース本体の縁部から立設する壁部材を有するケースと、前記ケースの開口を覆うカバー本体、および前記壁部材の縁部に当接する前記カバー本体の当接面から立設する壁板を有し、前記カバー本体が前記壁部材に取り付けられたときに前記壁板が前記壁部材の外周面に対向するように配置されるカバーと、を接続するカバーの接続構造であって、前記ケースに前記カバーが取り付けられた状態で、前記壁板が対向する前記壁部材の外周面および前記当接面にそれぞれ平行となる方向を基準方向としたときに、前記壁板の前記基準方向の中間部を前記壁部材の外周面から離間する方向に向かって変形させる変形部と、前記壁板における前記中間部の前記基準方向の両側に接触し、前記中間部の前記基準方向の両側を前記壁部材の外周面に向かってそれぞれ変形させる押さえ部材と、を備え、前記押さえ部材は前記ケースに接続され、前記変形部は前記壁板に設けられていることを特徴としている。
【0015】
この発明によれば、ケースにカバーが取り付けられたときに、押さえ部材および壁板に設けられた変形部により、カバーの壁板は、基準方向の中間部が壁部材から離間する方向に向かって変形すると同時に、中間部の基準方向の両側が壁部材に向かってそれぞれ変形する。
これにより、壁板は押さえ部材側が凸となる弓形に変形し、ケースとカバーとの、壁板と壁部材とが対向する方向のガタつきを抑えて、ケースとカバーとを確実に接続することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明のカバーの接続構造によれば、収容空間を確保しながら、ケースとカバーとのガタつきを抑えつつケースとカバーとを確実に接続することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第1実施形態のカバーの接続構造が用いられる収容ケースの一部を破断した斜視図である。
【図2】図1中の切断線A1−A1の断面図である。
【図3】図1中の切断線A2−A2の断面図である。
【図4】同収容ケースの要部を模式的に示す平面の断面図である。
【図5】同収容ケースの要部を模式的に示す平面の断面図である。
【図6】本発明の実施形態の変形例のカバーの接続構造が用いられる収容ケースの要部の断面図である。
【図7】本発明の実施形態の変形例のカバーの接続構造が用いられる収容ケースの要部の断面図である。
【図8】本発明の実施形態の変形例におけるカバーの接続構造で、図8(A)は変形部の断面図であり、図8(B)は変形部の斜視図である。
【図9】本発明の実施形態の変形例のカバーの接続構造が用いられる収容ケースの要部の断面図である。
【図10】本発明の第2実施形態のカバーの接続構造が用いられる収容ケースの要部を模式的に示す平面の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(第1実施形態)
以下、本発明に係るカバーの接続構造(以下、「接続構造」とも称する。)の実施形態、および接続構造が用いられる収容ケースを、図1から図9を参照しながら説明する。図1に示すように、この収容ケース1は、ケース10と、ケース10の開口を覆うカバー20とを備えている。
【0019】
ケース10は、平面視で矩形の板状に形成されたケース本体11、および、ケース本体11の縁部全周から立設する壁部材12を有している。
壁部材12におけるケース本体11の短辺側の外周面12aには、一対の接続片13が設けられている。接続片13は、壁部材12のケース本体11側に設けられている。
それぞれの接続片13には、貫通孔13aが形成されている。貫通孔13aにネジ部材を挿通させて固定することで、ケース10を他の装置などに取り付けることができる。
壁部材12の外周面12aには、端子台30および端子台(押さえ部材)40が不図示のネジ部材により接続されている。端子台30および端子台40は、ケース10をケース長手方向Xに挟むように配置され、それぞれがケース10内と電気的に接続されている。
ケース10内には電子機器が収容可能になっていて、端子台30からケース10内に導かれた電力は、この電子機器により所定の処理が施され、端子台40などから出力される。
【0020】
本実施形態では、ケース10は、アルミニウムを鋳造することで形成されている。ケース10を製造するときには、図2に示すように、壁部材12の短辺側において、金型分離面Lを境界面として下型と上型とに分離された型を用いる。壁部材12の外周面12aとケース本体11とのなす角θ1は、上型を取り外すために90°より小さく設定され、外周面12aは抜きテーパー面となっている。
【0021】
図3および図4に示すように、端子台40は端子側変形部(押さえ側変形部)41を有している。
端子側変形部41は、平面視で壁部材12の外周面12aに向かって凸となる曲面状に形成されている。端子側変形部41は、壁部材12におけるケース短手方向(基準方向)Yの中央部と対向するように配置されている。隙間Sは、端子側変形部41と壁部材12の外周面12aとの間に形成されている。端子側変形部41の曲率半径は、所定値R1に設定されている。
なお、図示はしないが、端子台30は端子台40と同様に形成されている。
【0022】
カバー20は、図1および図2に示すように、ケース10の開口10aを覆う平板状のカバー本体21、および、壁部材12の縁部に当接するカバー本体21の当接面21aから立設する一対の壁板22を有している。
壁板22は、カバー本体21のケース長手方向Xの両端部にそれぞれ設けられている。それぞれの壁板22は、同様の構成となっているため、以下では、ケース10にカバー20が取り付けられたときに、端子台40側に配置される壁板22について説明する。
壁板22は、カバー本体21に比べて小さな板状に形成されている。壁板22は、ケース10にカバー20が取り付けられたときに、壁部材12の外周面12aに対向するように配置される。
壁板22のケース短手方向Yの両端部には、壁板22の内方の面(カバー本体21の中央部側の面)から突出する変形部23がそれぞれ形成されている。それぞれの変形部23は、ドーム状に形成されている。変形部23は、図2に示すように、壁板22がカバー本体21の当接面21aから立設するZ1方向(立設方向)の端部に、Z1方向に向かうにしたがって壁板22に近づくように形成された案内面23aを有している。
なお、端子台40および一対の変形部23で、本実施形態の接続構造31を構成する(図4参照。)。
本実施形態では、カバー本体21、壁板22、および一対の変形部23は、弾性材料である金属板をプレス加工することなどで一体に形成されている。
【0023】
ケース10にカバー20が取り付けられた状態で、壁部材12の外周面12aおよびカバー本体21の当接面21aにそれぞれ平行となる方向は、ケース短手方向Yとなる。以下では、壁板22がケース短手方向Yにおいて支持されて変形する状態について説明する。
ケース10にカバー20が取り付けられると、図3および図4に示すように、壁部材12と端子側変形部41との間に形成された隙間Sに、カバー20の壁板22が挿入される。このとき、端子台40の端子側変形部41は壁板22のケース短手方向Yの中間部22aに接触し、この中間部22aを壁部材12の外周面12aに向かって変形させる。これと同時に、それぞれの変形部23は、壁板22のケース短手方向Yの両端部を壁部材12の外周面12aから離間する方向に向かって変形させる。
これにより、壁板22は、平面視で壁部材12側が凸となる弓形に変形する。
【0024】
本実施形態の接続構造31によれば、ケース10にカバー20が取り付けられたときに、壁板22に設けられた一対の変形部23、および端子台40により、壁板22は、ケース短手方向Yの中間部22aが壁部材12に向かって変形すると同時に、ケース短手方向Yの両端部が壁部材12から離間する方向に向かって変形する。すなわち、壁板22は、壁部材12側が凸となる弓形に変形する。そして、この際に生じる壁板22の弾性力により、壁板22の中間部22aが端子台40に押し付けられるとともに、壁板22のケース短手方向Yの両端部が壁部材12に押し付けられる。例えば、一方の変形部23が設定値より小さく形成された場合に、図4中に2点鎖線で示すように弓形に変形する壁板22の変形の程度が小さくなる。しかし、壁板22の中間部22aが端子台40に押し付けられるとともに、ケース短手方向Yの両端部が壁部材12に押し付けられる状態は維持される。
これにより、ケース10とカバー20とのケース長手方向Xのガタつきを抑えて、ケース10とカバー20とを確実に接続することができる。
接続構造31は、ケース10とカバー20とで形成される収容空間の外部に設けられるため、収容空間の収容性を確保することができる。
【0025】
壁板22をケース短手方向Yに沿って、壁部材12側から、端子台40側から、そして再び壁部材12側からと、互い違いとなるように支持している。したがって、壁板22をケース長手方向Xの両側から、Z1方向を軸にして回転することなく安定的に支持することができる。
【0026】
変形部23は案内面23aを有するため、ケース10にカバー20を取り付けるときに壁部材12に案内面23aが当接すると、壁部材12にカバー本体21が近づくにしたがって壁板22が外方に開くように変形する。このため、ケース10にカバー20を取り付けやすくすることができる。
また、端子台40は端子側変形部41を有する。このため、図4に示すように、弓形に変形する壁板22の端子側変形部41側の面における曲率半径R2を端子側変形部41の曲率半径R1より大きくすることで、壁板22と端子側変形部41とが接触する位置がずれた場合であっても、壁板22に端子側変形部41を1カ所で接触させることができる。曲率半径R2を大きくするためには、ケース10にカバー20を取り付けたときに壁板22が弓形に変形する範囲内で、変形部23が突出する長さを小さくしたり隙間Sを大きくしたりする方法がある。
したがって、端子側変形部41および一対の変形部23により、壁板22を常に3カ所で支持することができ、ケース10とカバー20とを確実に接続することができる。
【0027】
壁板22は、端子台40および一対の変形部23により、ケース短手方向Yに沿って互い違いとなるように3カ所で支持される。これに対して、壁板22を端子台40に代えて、例えば図5に示すように、端子台Tで支持する場合で説明する。端子台Tは、壁部材12に対向するように配置されている。端子台Tは、ケース10にカバー20が取り付けられたときに、壁板22に当接部T11、T12で当接する端子側突部T1、T2を有している。端子側突部T1、T2は、ケース短手方向Yにおいて一対の変形部23に挟まれるように配置されている。
このとき、端子側突部T2が図中に2点鎖線で示すように、当初の設定値より小さく形成された場合に、ケース10にカバー20が取り付けられたときに、端子側突部T2が壁板22からわずかに離間してしまう場合がある。この場合、端子側突部T2と壁板22との間で異音が生じる恐れがある。このように、壁板22を4カ所で支持するためには、当接部T11、T12に高い寸法精度が必要になる。
壁板22を互い違いとなるように3カ所で支持することで、高い寸法精度が必要とせずに、壁板22から異音が生じるのを防止することができる。
押さえ部材は端子台40であるため、壁板22を変形させる部材を、ケース10に接続される端子台40で兼用させることができる。このため、収容ケース1に用いられる部品を増加させることなく、壁板22を変形させることができる。
【0028】
ケース10およびカバー20は、金属で形成されていて、収容ケース1には接続構造31が用いられている。したがって、壁板22が端子台40から離間した場合であっても壁板22の変形部23が壁部材12に押し付けられ、変形部23が壁部材12から離間した場合であっても壁板22が端子台40に押し付けられる。このようにケース10とカバー20とが常に電気的に接続されることで同電位となり、ケース10、カバー20間のシールド性が高まる。したがって、収容ケース1内に収容された電子機器などが外部のノイズから受ける影響を低減させることができる。
壁部材12の外周面12aは前述のような抜きテーパー面となっているため、ケース10にカバー20を取り付けるときに、変形部23をより確実に壁部材12に接触させることができる。
【0029】
本実施形態においては、接続構造はその構成を以下に説明するように様々に変形させることができる。
例えば、図6に示すように、壁部材12の外周面12aに凹部12bを形成するとともに、ケース10にカバー20を取り付けたときに、前述の変形部23が凹部12bに係合するように構成してもよい。
凹部12bが外周面12aから凹む深さは、変形部23が壁板22の内方の面から突出する長さより小さく設定されている。
このように構成することで、壁板22が弓形に変形する程度は小さくなるが、ケース10に取り付けられたカバー20が、ケース10に対してZ1方向とは反対方向となるZ2方向に移動してケース10から外れるのを抑えることができる。
【0030】
図7に示すように、壁部材12の外周面12aに凹部12cを形成するとともに、壁板22に変形部27を形成してもよい。
凹部12cは、凹部12cと外周面12aとで規定される空間が、略直方体状になるように形成されている。
変形部27は、Z1方向の端部にZ1方向に向かうにしたがって壁板22に近づくように形成された案内面27aを有し、Z2方向の端部にZ2方向にほぼ直交する係止面27bを有している。
変形部27が壁板22の内方の面から突出する長さは、凹部12cが外周面12aから凹む深さより長く設定されている。変形部27は、金属板の一部を切り欠いてプレス加工により切り起こすことなどで形成することができる。
このように構成することで、凹部12cに変形部27の係止面27bが係合したときに、ケース10からカバー20が外れるのをより確実に抑えることができる。
【0031】
なお、この変形部27を用いる変形例では、図8(A)および図8(B)に示すように、変形部28を、ドーム形状をZ1方向の半分のみを残した形状に形成してもよい。
変形部28は、Z1方向の端部にZ1方向に向かうにしたがって壁板22に近づくように形成された案内面28aを有し、Z2方向の端部にZ2方向にほぼ直交する係止面28bを有している。変形部28が壁板22の内方の面から突出する長さは、凹部12cが外周面12aから凹む深さより長く設定されている。
変形部28をこのように構成しても、前述の変形部27と同様の効果を奏することができる。
【0032】
また、図9に示すように、壁板22のZ1方向の端部を壁板22の内方に折り返すことで、変形部29を構成してもよい。この場合の変形部29が壁板22の内方の面から突出する長さ(壁板22の厚さ)は、凹部12cが外周面12aから凹む深さより長く設定されている。
この変形例においても、変形部29のZ1方向側に案内面29aが、Z2方向側に係止面29bがそれぞれ形成される。
【0033】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について図10を参照しながら説明するが、前記実施形態と同一の部位には同一の符号を付してその説明は省略し、異なる点についてのみ説明する。
図10に示すように、本実施形態の接続構造32は、壁板22の中間部22aにおける内方の面に設けられた変形部23と、端子台46とを有している。端子台46のケース短手方向Yの両端部には、壁部材12側の面から突出する端子側突部46aがそれぞれ形成されている。
それぞれの端子側突部46aは、壁部材12に対向するように配置されている。すなわち、端子側突部46aは、壁部材12の外周面12aとの間に隙間Sを形成している。端子台46は、ケース10に接続されている。
ケース10にカバー20が取り付けられたときに、変形部23は、壁板22の中間部22aを壁部材12の外周面12aから離間する方向に向かって変形させ、端子台46の端子側突部46aは、壁板22のケース短手方向Yの両端部に接触し、壁板22の両端部を外周面12aに向かってそれぞれ変形させる。
これにより、壁板22は、平面視で端子台46側が凸となる弓形に変形する。
【0034】
以上のように構成された本実施形態の接続構造32においても、壁板22の弾性力により中間部22aが壁部材12に押し付けられるとともに、壁板22のケース短手方向Yの両端部が端子側突部46aに押し付けられる。これにより、ケース10とカバー20とのケース長手方向Xのガタつきを抑えて、ケース10とカバー20とを確実に接続することができる。
【0035】
以上、本発明の第1実施形態および第2実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の構成の変更なども含まれる。さらに、各実施形態で示した構成のそれぞれを適宜組み合わせて利用できることは、言うまでもない。
たとえば、前記第1実施形態および第2実施形態では、ケース10にカバー20を容易に取り付けられる場合などには、変形部は案内面を有していなくてもよい。
押さえ部材は、端子台であるとしたが、押さえ部材としては、ケース10に接続される他の部品を適宜用いることができる。
【0036】
また、前記第1実施形態および第2実施形態では、壁板22は、端子台および変形部により、ケース短手方向Yに互い違いとなるように3カ所で支持されていた。
しかし、ケース10およびカバー20などの部品を形成する寸法精度が充分高い場合などには、壁板22が4カ所以上で支持されるように構成してもよい。
図5に2点鎖線で示すように端子側突部T2が当初の設定値より小さく形成された場合には、ケース10に端子台Tが接続される向きを調節して、端子側突部T2を壁板22側に移動させるとともに、端子側突部T1を壁板22から離間する側に移動させる。このように調節することなどによっても、壁板22が4カ所以上で支持される場合に好適に対応することできる。
【0037】
前記第1実施形態では、変形部23は、壁板22のケース短手方向Yの両端部にそれぞれ形成されているとした。しかし、壁板22において、一対の変形部23が中間部22aをケース短手方向Yに挟むように配置されていればこの限りではない。
第2実施形態の接続構造32においても、ケース10にカバー20が取り付けられたときに、一対の端子側突部46aが変形部23をケース短手方向Yに挟むように配置されていればよい。
【符号の説明】
【0038】
1 収容ケース
10 ケース
10a 開口
11 ケース本体
12 壁部材
12a 外周面
12b、12c 凹部
20 カバー
21 カバー本体
21a 当接面
22 壁板
22a 中間部
23、27、28、29 変形部
23a、27a、28a、29a 案内面
31、32 カバーの接続構造
40、46 端子台(押さえ部材)
41 端子側変形部(押さえ側変形部)
Y ケース短手方向(基準方向)
Z1 方向(立設方向)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状のケース本体、および前記ケース本体の縁部から立設する壁部材を有するケースと、前記ケースの開口を覆うカバー本体、および前記壁部材の縁部に当接する前記カバー本体の当接面から立設する壁板を有し、前記カバー本体が前記壁部材に取り付けられたときに前記壁板が前記壁部材の外周面に対向するように配置されるカバーと、を接続するカバーの接続構造であって、
前記ケースに前記カバーが取り付けられた状態で、前記壁板が対向する前記壁部材の外周面および前記当接面にそれぞれ平行となる方向を基準方向としたときに、
前記壁板の前記基準方向の中間部に接触し、前記壁板の前記中間部を前記壁部材の外周面に向かって変形させる押さえ部材と、
前記壁板における前記中間部の前記基準方向の両側を前記壁部材の外周面から離間する方向に向かって変形させる一対の変形部と、を備え、
前記押さえ部材は前記ケースに接続され、
一対の前記変形部は前記壁板に設けられていることを特徴とするカバーの接続構造。
【請求項2】
前記壁部材の外周面に凹部が形成され、
前記変形部は前記壁板から突出するように形成され、
前記変形部は前記凹部に係合することを特徴とする請求項1に記載のカバーの接続構造。
【請求項3】
前記変形部は、前記壁板が前記カバー本体の前記当接面から立設する立設方向の端部に、前記立設方向に向かうにしたがって前記壁板に近づくように形成された案内面を有することを特徴とする請求項1または2に記載のカバーの接続構造。
【請求項4】
前記押さえ部材は、前記壁部材の外周面に向かって凸となる曲面状に形成された押さえ側変形部を有し、
前記ケースに前記カバーが取り付けられたときに、前記押さえ側変形部は前記壁板の前記中間部に接触することを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のカバーの接続構造。
【請求項5】
前記押さえ部材は、端子台であることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載のカバーの接続構造。
【請求項6】
板状のケース本体、および前記ケース本体の縁部から立設する壁部材を有するケースと、前記ケースの開口を覆うカバー本体、および前記壁部材の縁部に当接する前記カバー本体の当接面から立設する壁板を有し、前記カバー本体が前記壁部材に取り付けられたときに前記壁板が前記壁部材の外周面に対向するように配置されるカバーと、を接続するカバーの接続構造であって、
前記ケースに前記カバーが取り付けられた状態で、前記壁板が対向する前記壁部材の外周面および前記当接面にそれぞれ平行となる方向を基準方向としたときに、
前記壁板の前記基準方向の中間部を前記壁部材の外周面から離間する方向に向かって変形させる変形部と、
前記壁板における前記中間部の前記基準方向の両側に接触し、前記中間部の前記基準方向の両側を前記壁部材の外周面に向かってそれぞれ変形させる押さえ部材と、を備え、
前記押さえ部材は前記ケースに接続され、
前記変形部は前記壁板に設けられていることを特徴とするカバーの接続構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−21159(P2013−21159A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−153800(P2011−153800)
【出願日】平成23年7月12日(2011.7.12)
【出願人】(000002037)新電元工業株式会社 (776)
【Fターム(参考)】