説明

カバーテープの製造方法

【課題】製造上の問題を生ずることなく、かつ、簡易に、適正な剥離強度を有するカバーテープを製造することのできるカバーテープの製造方法を提供する。
【解決手段】少なくとも基材11、粘着層12および非粘着層13を順次備えるカバーテープの製造方法である。基材11上に積層された粘着層12と記非粘着層13とを貼合して積層体20を形成する貼合工程と、積層体20のうち基材11および粘着層12を残して非粘着層13を切断するハーフカット工程と、積層体20をスリットするスリット工程と、を有し、ハーフカット工程と該スリット工程とを、貼合工程の直後に、かつ、同時に実施するとともに、貼合工程、ハーフカット工程およびスリット工程を、インラインで一工程にて行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はカバーテープの製造方法(以下、単に「製造方法」とも称する)に関し、詳しくは、電子部品や半導体部品の収納、搬送用のエンボスキャリアテープに使用される粘着型カバーテープの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子部品や半導体部品は小型化の一途を辿っている。そのため、これら電子部品等の収納・搬送用の容器としては、電子部品等を収納するための収納部が連続的に形成されたエンボスキャリアテープが、一般に使用されている。
【0003】
エンボスキャリアテープにおいて、電子部品等の内容物は、収納部の開口部分をカバーテープより覆うことで、収納部内に封入されており、実装時には、カバーテープをエンボスキャリアテープから剥離することで、収納部から取り出される。この際、内容物を収納部から自動的に取り出して実装工程を行うためには、カバーテープがエンボスキャリアテープから容易に剥離できることが重要となる。このカバーテープを剥離する際の剥離力が低すぎると、実装時以外の搬送途中においてもカバーテープが外れて内容物が脱落するおそれがあり、高すぎても、カバーテープの剥離不良により内容物が脱落するおそれがある。そのため、カバーテープには、キャリアテープとの間で、適正な剥離強度を確保でき、安定した剥離性を有することが求められる。
【0004】
従来、使用されているカバーテープとしては、図5(a)に示すような、基材101上にヒートシール層102を設けた構成のものが知られている。この熱シール型カバーテープは、ヒートシール層102を介して、内容物1が収納された収納部2を覆うように、エンボスキャリアテープ3上に熱融着される。また、同図(b)に示すような、基材201上に粘着層202を設けた粘着型カバーテープも知られている。この粘着型カバーテープにおいては、電子部品等の内容物1が粘着層に付着しないように、収納部に対応する部分を覆う保護層203が設けられている。
【0005】
このような粘着型カバーテープは、例えば、特許文献1、2に開示されている。また、その製造方法については、例えば、特許文献3に、少なくとも基材層、粘着層、非粘着層を有する積層フィルムの非粘着層をカットする工程、当該積層フィルムをマイクロスリットする工程を有する粘着型カバーテープの製造方法が開示されており、広幅の原反を用意し、カットとマイクロスリットを同時に行う事により、広幅の原反から任意の幅のカバーテープを任意の巻数採取する事が可能となる旨、記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実開昭61−175174号公報(実用新案登録請求の範囲等)
【特許文献2】実開昭61−202362号公報(実用新案登録請求の範囲等)
【特許文献3】特許第3544941号公報(特許請求の範囲等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、従来の熱シール型のカバーテープは、エンボスキャリアテープとの接合の際に加熱を必要とするため、接合に時間がかかり、また、加熱によりヒートシール層が変質して、剥離強度が変動する場合があるという難点があった。一方、粘着型カバーテープは、加圧のみでエンボスキャリアテープと接合することが可能であるので工程上簡易であり、剥離強度の変動の問題も有しないものである。
【0008】
しかしながら、小型化したエンボスキャリアテープにおいて、粘着型カバーテープとの接合幅は、例えば0.5〜2.5mm程度と非常に狭幅となる。この接合幅で、カバーテープの機能として必要なエンボスキャリアテープとの間の粘着力、好適には0.1〜1.3N程度を満足するためには、粘着層の粘着強度として8〜13N/25mm(JIS対SUS)程度が必要と考えられる。この強度は、例えば、再剥離可能な微粘着または弱粘着の粘着テープと比較して、高い強度であるといえる。
【0009】
ここで、特許文献3に開示された製造方法におけるように、基材、粘着層および非粘着層が積層された幅広の原反を用いて、非粘着層をハーフカットして剥離した後にスリットを行う場合、粘着層と非粘着層とをあらかじめ貼合しておくと、粘着層/非粘着層間の粘着力は、貼合直後から徐々に増加する傾向にある。よって、かかる製造方法を用いた場合、カットされた狭幅の非粘着層を剥離して粘着層を露出させる工程で、非粘着層の剥離に多大な時間を要するか、または、非粘着層が破断してしまうなど、製造時の困難が生ずることになる。また、特許文献3には、非粘着層を粘着層から剥離させる目的で、非粘着層面に離型処理その他の表面処理がなされていてもよい旨記載されているが、特許文献3の方法では、粘着層と非粘着層との貼合後に非粘着層の両端部のみを剥離して除去するため、離型処理等を施すとすれば、非粘着層のうち、かかる剥離が必要な狭幅部分にのみ施すことになる。このような処理工程には精度が求められるので、簡易な方法とはいえない。
【0010】
したがって、特許文献3に記載の方法では十分なものではなく、製造上の問題を生ずることなく、かつ、簡易に、適正な剥離強度を有するカバーテープを製造することのできる技術の確立が求められていた。
【0011】
そこで本発明の目的は、上記問題を解消して、製造上の問題を生ずることなく、かつ、簡易に、適正な剥離強度を有するカバーテープを製造することのできるカバーテープの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは鋭意検討した結果、基材、粘着層および非粘着層を積層して積層体を形成した直後に非粘着層のハーフカットと積層体のスリットとを同時に実施するとともに、これら一連の工程をインラインで一工程にて行うものとすることで、従来技術におけるような製造上の問題を生ずることなく、適正な剥離強度を有するカバーテープを製造することが可能となることを見出して、本発明を完成するに至った。
【0013】
すなわち、本発明は、少なくとも基材、粘着層および非粘着層を順次備えるカバーテープの製造方法において、
前記基材上に積層された前記粘着層と前記非粘着層とを貼合して積層体を形成する貼合工程と、該積層体のうち該基材および該粘着層を残して該非粘着層を切断するハーフカット工程と、該積層体をスリットするスリット工程と、を有し、該ハーフカット工程と該スリット工程とを、前記貼合工程の直後に、かつ、同時に実施するとともに、該貼合工程、ハーフカット工程およびスリット工程を、インラインで一工程にて行うことを特徴とするものである。
【0014】
本発明においては、前記ハーフカット工程後に、ハーフカットされた前記非粘着層を前記粘着層から剥離して該粘着層を露出させる露出工程を含むことが好ましい。また、前記露出工程後には、前記積層体を、前記粘着層を巻内側にしてテープ状に巻取ることができる。さらに、本発明においては、前記基材上に、前記粘着層および離型フィルムを順次積層して中間積層体を作製し、該中間積層体から該離型フィルムを剥離した後に、該粘着層と前記非粘着層との貼合を行うことが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、上記構成としたことにより、製造上の問題を生ずることなく、かつ、簡易に、適正な剥離強度を有するカバーテープを製造することのできるカバーテープの製造方法を実現することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】(a)〜(c)は、本発明のカバーテープの製造方法の一例に係る模式的断面図である。
【図2】本発明のカバーテープの製造方法を実施可能な製造設備の一例を示す概略説明図である。
【図3】(a)〜(e)は、図2の製造設備に対応する各製造工程を示す模式的断面図である。
【図4】本発明に係るカバーテープをエンボスキャリアテープに適用した状態を示す模式的断面図である。
【図5】(a),(b)は、従来のカバーテープをエンボスキャリアテープに適用した状態を示す模式的断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。
本発明は、少なくとも基材、粘着層および非粘着層を順次備えるカバーテープの製造方法の改良に係るものである。図1(a)〜(c)に、本発明のカバーテープの製造方法の一例に係る模式的断面図を示す。
【0018】
本発明においては、まず、(a)基材11上に積層された粘着層12と、非粘着層13とを貼合して積層体20を形成し(貼合工程)、その直後に、(b)積層体20のうち基材11および粘着層12を残して非粘着層13を切断する(ハーフカット工程)と同時に、積層体20をスリットする(スリット工程)。このように、ハーフカット工程とスリット工程とを貼合工程の直後に行うものとすることで、その後、(c)ハーフカットされた非粘着層13Aを粘着層12から剥離して、粘着層12を露出させる(露出工程)際に、ハーフカットされた非粘着層13Aを粘着層12から容易に剥離することが可能となり、露出工程を効率的に行うことができるとともに、従来のような非粘着層の剥離時における問題を生ずるおそれがなくなった。
【0019】
また、本発明においては、上記貼合工程、ハーフカット工程およびスリット工程を、インラインで一工程にて行う。上記工程をインラインで一工程にて行うとともに、ハーフカット工程とスリット工程とを同時に実施するものとしたことで、一工程で簡易に、カバーテープ10を製造することが可能となった。
【0020】
本発明の製造方法により形成されるカバーテープにおいては、非粘着層13の幅が粘着層12の幅よりも狭く設定されて、粘着層12がテープ幅方向両端に露出部12aを有する。本発明によれば、露出部12aの幅xが0.5〜3mmであって、かつ、露出部12aの幅xの公差が0.01〜0.1mmであるような狭幅の露出幅を有するカバーテープを、容易に、かつ、精度良く形成することができ、かつ、適正な剥離強度も確保することが可能である。ここで、露出部幅の公差とは、露出部幅の設定値をAmm、実際の露出部幅の値をBmmとしたとき、これらの値の差の絶対値|A−B|mmを意味する。
【0021】
本発明において、ハーフカット工程およびスリット工程は、各工程に使用する切刃を、積層体20の走行方向に対し、同じ位置に配置することで、容易に同時に実施することができる。具体的には、例えば、図示するように、ハーフカット用の一対の切刃31とスリット用の切刃32とを組合わせた組刃を用いることができる。
【0022】
本発明の製造方法は、より具体的には、例えば、図2に示すような製造設備において実施することができる。なお、図中の(a)〜(e)は、図3の(a)〜(e)に対応する。この場合、まず、基材11上に、粘着層12および離型フィルム14を順次積層して、中間積層体30を作製する(図3(a))。また、非粘着層13には、所望に応じ、帯電防止処理を施して、帯電防止コート15が形成された第二の中間積層体40とする(図3(b))。
【0023】
次いで、上記中間積層体30をロール41から繰り出して、ロール42により離型フィルム14を剥離する(図3(c))。その後、中間積層体30の粘着層12と、ロール43から繰出された第二の中間積層体40の非粘着層13とを貼合せて、積層体200を形成する。ここで、積層体200は、基材11上に粘着層12を形成した後、インラインにて非粘着層13を貼合することにより形成するものであってもよい。次いで、組刃31,32により、ハーフカット工程およびスリット工程を実施して(図3(d))、ロール44によりハーフカットされた非粘着層13Aを剥離し、粘着層12を露出させることで、カバーテープ100を得ることができる(図3(e))。得られた複数条のカバーテープ100からなる積層体200は、粘着層12を巻内側にして、ロール45によりテープ状に巻取ることができる。
【0024】
図4に、上記カバーテープ100をエンボスキャリアテープ3に適用した状態を示す模式的断面図を示す。図示するように、本発明のカバーテープ100は、内容物1を収納する収納部2が長手方向に断続的に形成されてなるエンボスキャリアテープ3の表面に粘着されて、収納部2を封止するものであって、非粘着層13が剥離された粘着層12の露出部12aで、エンボスキャリアテープ3と接合する。一方、収納部2に対応する部分には、非粘着層13ないしその表面の帯電防止コート15が面するので、内容物1が粘着層12に接触するおそれはない。
【0025】
本発明においては、上記製造工程に係る条件を満足するものであればよく、これにより本発明の所期の効果を得ることができ、本発明を適用するカバーテープの形状、材質、物性値等については、特に制限されるものではない。具体的には例えば、以下のように構成することができる。
【0026】
本発明において、基材11には、熱可塑性樹脂からなるフィルムを好適に用いることができる。熱可塑性樹脂としては、具体的には例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル、エチレン−1−ブテン等のエチレン系共重合体などのポリオレフィン系樹脂、6,6−ナイロン、12−ナイロンなどのポリアミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリスチレン、スチレン−ブタジエンランダム共重合体、スチレン−ブタジエンブロック共重合体、スチレン−エチレン−ブタジエン−スチレン共重合樹脂等のスチレン系共重合体などのポリスチレン系樹脂等を挙げることができる。これら熱可塑性樹脂は、単独で用いても、適宜混合して用いてもよい。また、熱可塑性樹脂の二軸延伸フィルムを用いることも好ましく、具体的には例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン、ナイロン、ポリカーボネート系樹脂の二軸延伸フィルムを挙げることができる。これら熱可塑性樹脂およびそのフィルムとしては、市販品を使用することができる。なお、基材11は、1層であっても2層以上の積層であってもよく、2層以上の場合、二軸延伸フィルムに熱可塑性樹脂の層を積層形成したものであってもよい。また、基材11中には、公知の添加剤や充填材等を適宜配合することができる。
【0027】
基材11の厚みは、カバーテープとしての機械的特性およびハンドリング性の観点から、好適には、12〜80μmの範囲とする。また、本発明においては、基材11に帯電防止処理を施すことも好ましい。これにより、電子部品等を静電気から保護するとともに、カバーテープへの埃の付着を防止する効果が得られる。帯電防止処理は、例えば、基材11の表面抵抗率が1×10〜1×1013Ω/□程度となるよう行うことが好ましい。また、基材11上に粘着層12を形成する際の保持力を高めるために、基材11の表面に、プライマー処理等の表面処理を施してもよい。
【0028】
粘着層12は、常温で粘着性を有するアクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ゴム系粘着剤等を単独または2種以上混合して用いて形成することができ、各種フィラーや硬化剤等の添加剤を含んでいてもよい。粘着層12の形成方法については、特に制限はなく、例えば、コンマコート、リバースコート、エアナイフコート、ダイヘッドコート、メイヤーバーコート、ダイレクトグラビア、オフセットグラビア等の公知の手法により、粘着剤を基材11上に塗布することで、形成することができる。
【0029】
粘着層12の厚みは、好適には、10〜30μmの範囲とする。粘着層12の厚みが薄すぎると、非粘着層13のハーフカットの際に基材11を損傷するおそれがあり、また、エンボスキャリアテープに対する十分な粘着力が得にくい。また、粘着層12の厚みを上記範囲程度としておくことで、非粘着層13のハーフカットの際に粘着層12が一部カットされた場合でも、カバーテープとしての機能を損なうことがない。一方、粘着層12の厚みが厚すぎると、コスト性が悪化する。また、粘着層12の粘着力は、0.1〜1.3Nの範囲が好ましく、これにより、適正な範囲の剥離強度を確保できる。
【0030】
非粘着層13は、エンボスキャリアテープ3の収納部2内に収納される内容物1と粘着せず、かつ、粘着層12と剥離できるものであれば、材質等については特に制限されない。具体的には例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリプロピレン等の熱可塑性樹脂の二軸延伸フィルムを好適に用いることができる。
【0031】
非粘着層13の幅は、粘着層12より狭く、かつ、内容物1よりも広いものであれば、特に制限されない。非粘着層13の厚みは、好適には、4〜40μmの範囲とする。非粘着層13の厚みが厚すぎると、非粘着層13の剛性により、一旦粘着した非粘着層/粘着層面が剥離してしまうおそれがあり、薄すぎると、作業性が低下する。また、前述したように、非粘着層13には、帯電防止処理を施すことが好ましく、これにより、電子部品等を静電気から保護するとともに、カバーテープへの埃の付着を防止する効果が得られる。帯電防止処理は、例えば、非粘着層13の表面抵抗率が1×10〜1×1013Ω/□程度となるよう行うことが好ましい。
【0032】
なお、本発明に係るカバーテープが適用されるエンボスキャリアテープについては、特に制限はなく、例えば、スチレン系やポリカーボネート系樹脂を用いたエンボスキャリアテープの他、カーボンブラック等の導電材を混合したものや導電性塗料を塗工したものなどにも適用することが可能である。
【実施例】
【0033】
以下、本発明を、実施例を用いてより詳細に説明する。
<実施例1>
図2に示す製造設備を用いて、インラインで、カバーテープの製造を行った。まず、基材11としての、厚み25μmmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上に、コンマコーターを用いて、アクリル系粘着材を20g/mにて塗布し、乾燥して、粘着層12を形成した。その後、粘着層12上に離型PETフィルム14を貼合して、基材/粘着層/離型フィルムからなる中間積層体30を作製した(図3(a))。
【0034】
次いで、非粘着層13として、帯電防止処理を施して帯電防止コート15を形成した、厚み16μmの二軸延伸PETフィルムを作製し、第二の中間積層体40とした(図3(b))。
【0035】
図示する製造設備において、中間積層体30をロール41から繰り出して、ロール42により離型フィルム14を剥離し(図3(c))、中間積層体30の粘着層12と、ロール43から繰出された第二の中間積層体40の非粘着層13とを貼合して、積層体200を形成した。次いで、組刃31,32により、非粘着層13をハーフカットすると同時に積層体200をスリットして(図3(d))、ロール44によりハーフカットされた非粘着層13Aを剥離しながら連続的に除去し、粘着層12を露出させた後(図3(e))、ロール45により積層体200をテープ状に巻取った。以上のようにして、粘着型カバーテープ100を作製した。ここで、カバーテープ100の幅は100mm、非粘着層13の幅は99mmとし、粘着層12の露出部の設定幅はそれぞれ0.5mmとした。以下の実施例および比較例において同様である。
【0036】
<実施例2>
図示しない製造設備を用いて、インラインで、カバーテープの製造を行った。まず、基材11としての、厚み25μmmの二軸延伸PETフィルム上に、コンマコーターを用いて、アクリル系粘着材を20g/mにて塗布し、乾燥して、粘着層12を形成した。その後、この粘着層12上に、非粘着層13としての、帯電防止コート15を形成した厚み16μmの二軸延伸PETフィルムを貼合せて、積層体200を形成した。次いで、組刃31,32により、非粘着層13をハーフカットすると同時に積層体200をスリットして、ハーフカットされた非粘着層13Aを剥離しながら連続的に除去し、粘着層12を露出させた後、積層体200をテープ状に巻取った。以上のようにして、粘着型カバーテープ100を作製した。実施例2では、基材11上への粘着層12の形成から積層体200の巻取りまでをすべて一工程で実施した点が、実施例1と異なっている。
【0037】
<比較例1>
実施例1と同様にして中間積層体30と第二の中間積層体40とを貼合して得られた積層体200について、貼合から72時間経過後に、非粘着層13のハーフカットおよび積層体200のスリットを行った以外は実施例1と同様にして、カバーテープを作製した。
【0038】
<比較例2>
実施例2と同様にして得られた積層体200について、貼合から72時間経過後に、非粘着層13のハーフカットおよび積層体200のスリットを行った以外は実施例2と同様にして、カバーテープを作製した。
【0039】
<カバーテープの評価>
(1)粘着層/非粘着層間の粘着強度
実施例1,2に関しては貼合直後の積層体200、比較例1,2に関しては72時間経過後の積層体200からサンプルを採取して、15mm幅試験片の剥離強度を測定した。
(2)非粘着層の剥離性
上記と同様のサンプルについて、非粘着層を剥離する際の剥離性について、官能評価を行った。
これらの結果を、下記の表中に示す。
【0040】
【表1】

【0041】
上記表中に示すように、実施例1,2における粘着層と非粘着層との貼合直後の剥離強度は、比較例1,2における72時間経過後の剥離強度よりも大幅に低い値となっている。このため、粘着層と非粘着層との貼合直後にハーフカット工程およびスリット工程を実施し、非粘着層を剥離して粘着層を露出させた実施例1,2では、非粘着層の剥離を簡便に行うことができ、効率よく粘着型カバーテープを作製することができた。
【0042】
一方、粘着層と非粘着層との貼合から72時間経過後にハーフカット工程およびスリット工程を実施し、非粘着層を剥離して粘着層を露出させた比較例1,2では、時間の経過により粘着強度が上昇しており、非粘着層の剥離に多大な時間を要した。また、粘着層と非粘着層との粘着強度が高いために、剥離した非粘着層が不定期に切断する現象が発生してしまった。
【符号の説明】
【0043】
1 内容物
2 収納部
3 エンボスキャリアテープ
11 基材
12 粘着層
13 非粘着層
13A ハーフカットされた非粘着層
14 離型フィルム
15 帯電防止コート
20,200 積層体
30 中間積層体
31,32 組刃
40 第二の中間積層体
41〜45 ロール
100 カバーテープ
101 基材
102 ヒートシール層
201 基材
202 粘着層
203 保護層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも基材、粘着層および非粘着層を順次備えるカバーテープの製造方法において、
前記基材上に積層された前記粘着層と前記非粘着層とを貼合して積層体を形成する貼合工程と、該積層体のうち該基材および該粘着層を残して該非粘着層を切断するハーフカット工程と、該積層体をスリットするスリット工程と、を有し、該ハーフカット工程と該スリット工程とを、前記貼合工程の直後に、かつ、同時に実施するとともに、該貼合工程、ハーフカット工程およびスリット工程を、インラインで一工程にて行うことを特徴とするカバーテープの製造方法。
【請求項2】
前記ハーフカット工程後に、ハーフカットされた前記非粘着層を前記粘着層から剥離して該粘着層を露出させる露出工程を含む請求項1記載のカバーテープの製造方法。
【請求項3】
前記露出工程後に、前記積層体を、前記粘着層を巻内側にしてテープ状に巻取る請求項2記載のカバーテープの製造方法。
【請求項4】
前記基材上に、前記粘着層および離型フィルムを順次積層して中間積層体を作製し、該中間積層体から該離型フィルムを剥離した後に、該粘着層と前記非粘着層との貼合を行う請求項1〜3のうちいずれか一項記載のカバーテープの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−92278(P2012−92278A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−243065(P2010−243065)
【出願日】平成22年10月29日(2010.10.29)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】