説明

カバー体付き保冷容器

【課題】保冷容器本体10に袋状のカバー体20を取り付けるときに、周方向のズレが生じないようにする。
【解決手段】第1のカバー体20の上縁に面ファスナー(位置決め用部材)23を形成する。第1のカバー体20を容器本体10に取り付けたときに面ファスナー(位置決め用部材)23が位置すべき容器本体10の外周面位置近傍に垂直方向の凸条(「位置決め用の目印部」)18を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はカバー体を備えた合成樹脂発泡体からなる保冷容器に関し、特に、食品などを容器本体に収容して冷蔵室内において予冷し、予冷後に適宜の冷媒を収容しかつ蓋をして、収容物の運搬や保管に供するようにしたカバー体付き保冷容器に関する。
【背景技術】
【0002】
野菜などの生鮮食品、冷凍食品あるいは冷蔵食品などは、消費者に届くまでに、所定の温度環境下で低温保管されまた運搬される。その目的で、軽量であり断熱性にも富むことから、例えばポリスチレン樹脂発泡体のような合成樹脂発泡体からなる保冷容器が多く用いられている。
【0003】
保冷容器は、通常、容器本体と蓋とからなり、蓋をした状態で容器本体の内部は実質的に外気から遮断した状態とされる。そのために、容器本体内に保冷すべき物品とドライアイスのような冷媒を同時に収容して蓋をし、保管あるいは物流時に、収容物の冷却と保冷を行う場合もある。しかし、容器内に収容した冷媒の冷熱だけでは十分な冷却効果が得られない場合があり、得られるとしても多量の冷媒を必要とすることから、食品などの物品を収容した容器本体を、蓋をしない状態で冷気環境にある冷蔵倉庫内に置き、倉庫内の冷気で収容した物品を所要温度まで予冷することが行われる。
【0004】
そのような保冷容器の一例として、特許文献1には、合成樹脂発泡体からなる容器本体と蓋体とからなり、容器本体は4周の側壁上縁に適数の切り欠き部を形成しており、蓋体は周縁下部に前記切り欠き部に対応する突部を有しており、蓋をした状態で容器本体の内部は実質的に外気から遮断した状態とされる保冷容器であって、容器本体の前記切り欠き部の底面部分は側壁内側縁が側壁外側縁よりも低位となる傾斜面とされている保冷容器が記載されている。この保冷容器では、容器本体に形成した切り欠き部の底面部分を側壁内側縁が側壁外側縁よりも低位となる傾斜面としたことにより、冷気環境にある冷蔵倉庫内で容器本体を段積み状にして予冷するときに、前記切り欠き部から容器本体内への冷気の入り込み量が大きくなり、短い時間で収容した物品に対する高い予冷効果が達成される。
【0005】
予冷後の容器本体に蓋をした状態で、保管や運搬に供されるが、容器本体および蓋体を保護するため、また予冷時や保管、運搬時での作業性を良好にするために、容器本体および蓋体にカバー体を取り付けることが行われる。特許文献2にはその種のカバー付き容器が記載されており、そこでは、容器本体に袋状のカバー体を確実に固定することができるように、カバー体の上端部を容器本体の開口端部上で内側に折り込むとともに、開口端部に断面伏凹形の補強枠を嵌合被着して、カバー体の上端部を補強枠と開口端部との間に挟み込んで固定するようにしている。
【0006】
【特許文献1】特開2005−206213号公報
【特許文献2】特開2007−91271号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1あるいは2に記載される形態の保冷容器は、予冷後に蓋がされ、容器本体の内部を外気から遮断した状態で、保管や搬送に供される。搬送先では、保冷した物品を複数回に分けて取り出す作業が行われ、その都度、蓋の開閉が繰り返される。蓋の着脱と反復した蓋の開閉作業の双方を容易化するために、面ファスナーを用いて、容器本体と蓋体とを着脱自在とすることが行われている。特許文献2に記載のように袋状のカバー体を用いる保冷容器において、容器本体を被覆するカバー体に一方の面ファスナーを取り付け、蓋体を被覆するカバー体の対応する位置に他方の面ファスナーを取り付けることで、容器本体に対して蓋体を着脱自在に取り付けることができる。しかし、容器本体に袋状のカバー体を取り付けるときに、周方向のズレが生じると、面ファスナーの位置にも周方向のずれが生じ、適正な位置に蓋体を取り付けることができなくなる。
【0008】
正規の位置からずれた位置に蓋体が取り付けられていると、容器本体の4周の側壁上縁に対する蓋体の嵌め合い状態が不完全になり、蓋体の開閉を繰り返し行うと、容器本体の4周の側壁上縁や蓋体の周囲に欠けや亀裂が生じる恐れがあり、そのために、容器本体へ袋状のカバー体を取り付けるときに慎重な作業を必要とする。
【0009】
また、特許文献1に記載される保冷容器のように4周の側壁上縁に適数の切り欠き部を形成した保冷容器の場合、冷気環境にある冷蔵倉庫内で段積み状として予冷するときに、前記切り欠き部が容器本体内への冷気の取り込み口となる。従って、容器本体を袋状のカバー体で被覆するときに、4周の側壁上縁に形成した切り欠き部がカバー体で覆われないようにする必要がある。そのために、カバー体としてその上端部が容器本体の4周の側壁上縁に達する深さのものを用いることはできず、結果として、特許文献2に記載のように、カバー体の上端部を容器本体の側壁上縁上で内側に折り込むとともに、側縁上縁に断面伏凹形の補強枠を嵌合被着して、カバー体の上端部を補強枠と側縁上縁との間に挟み込んで確実に固定するような手法を採用することができない。そのために、袋状のカバー体をその上縁が容器本体の4周の側壁上縁より下位の位置に位置させた状態で、容器本体に取り付けざるを得ない場合であっても、カバー体を容器本体に確実に固定できる手法が求められている。特に、底板と4周の側壁とを備えた合成樹脂発泡体からなる容器は、通常は型内発泡成形によって作られるが、型抜きを容易にするために、容器の4周側壁の外側面は底板から4周の側壁上縁に向けて次第に外側に拡開する方向のテーパー面となっている場合が多く、その場合であっても、カバー体を容器本体に確実に固定できる手法が求められている。
【0010】
本発明は、上記のような要請に的確に答えることのできるカバー付き保冷容器を開示することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明による第1形態のカバー体付き保冷容器は、底板と4周の側壁とを備えた合成樹脂発泡体からなる容器本体と該容器本体の上面開口部を覆う蓋体とからなり、前記容器本体の外側が袋状の第1のカバー体により被覆されてなるカバー体付き保冷容器であって、前記第1のカバー体はその上縁を前記容器本体の4周の側壁上縁より下位に位置させて前記容器本体に取り付けられており、前記第1のカバー体の上縁近傍には位置決め用部材が形成されており、前記第1のカバー体を前記容器本体に取り付けたときに前記位置決め用部材が位置すべき容器本体の外周面位置には位置決め用の目印部が形成されていることを特徴とする。
【0012】
上記のカバー体付き保冷容器では、第1のカバー体の上縁近傍には位置決め用部材が形成されており、容器本体の外周面には第1のカバー体を容器本体に取り付けたときに前記位置決め用部材が位置すべき位置には位置決め用の目印部が形成されているので、カバー体を容器本体に取り付けるときに、容器本体に形成した位置決め用の目印部にカバー体の位置決め用部材を一致させて被覆作業を行うことにより、容器本体における本来位置すべき所定の位置に、カバー体を容易にかつ確実に取り付けることができる。すなわち、周方向に位置ずれを起こした状態でカバー体が取り付けられるのを確実に回避することができる。
【0013】
本発明の第2の形態によるカバー体付き保冷容器は、底板と4周の側壁とを備えた合成樹脂発泡体からなる容器本体と該容器本体の上面開口部を覆う蓋体とからなり、前記容器本体の外側が袋状の第1のカバー体により被覆されてなるカバー体付き保冷容器であって、前記容器本体の4周側壁の外側面は底板から4周の側壁上縁に向けて次第に外側に拡開する方向のテーパー面となっており、前記第1のカバー体はその上縁を前記容器本体の4周の側壁上縁より下位に位置させて前記容器本体に取り付けられており、前記第1のカバー体の上縁内側の周方向長さは該上縁が位置している場所における前記容器本体の外側面の周方向長さと等しいかそれよりも短くされており、前記第1のカバー体の上縁近傍には位置決め用部材が形成されており、前記第1のカバー体を前記容器本体に被覆したときに前記位置決め用部材が位置することとなる容器本体の外周面位置には位置決め用の目印部が形成されていることを特徴とする。
【0014】
上記第2の形態のカバー体付き保冷容器は、前記した第1の形態のカバー体付き保冷容器の構成をすべて備える。そのために、第1の形態のカバー体付き保冷容器と同様に、本来位置すべき容器本体の所定位置に、カバー体を容易かつ確実に取り付けることができる。さらに、第2の形態のカバー体付き保冷容器は、第1のカバー体の上縁内側の周方向長さが、該上縁が位置している場所における容器本体の外側面の周方向長さと等しいかそれよりも短くされているので、所定の位置に第1のカバー体を取り付けた状態で、第1のカバー体の上縁内側は容器本体の外側面に密着した状態を取ることができる。密着により両者間の摩擦力は大きくなり、容器本体の4周側壁の外側面が底板から4周の側壁上縁に向けて次第に外側に拡開する方向のテーパー面となっていても、第1のカバー体は容易に離脱しない状態でしっかりと容器本体に取り付けられる。また、密着していることにより、異物が第1のカバー体と容器本体の間に入り込むのを阻止することができる。
【0015】
本発明によるカバー体付き保冷容器の第3の態様では、前記容器本体は4周の側壁上縁に適数の切り欠き部を形成しており、前記蓋体は周縁下部に前記切り欠き部に対応する突部を有しており、前記蓋体をした状態で前記容器本体の内部は外気から遮断した状態となり、かつ、前記容器本体の前記切り欠き部の底面部分は側壁内側縁が側壁外側縁よりも低位となる傾斜面とされており、前記袋状の第1のカバー体の上縁は前記底面部分の側壁外側縁よりも下位に位置していることを特徴とする。
【0016】
第3の態様のカバー体付き保冷容器で用いる容器本体の形状は、前記した特許文献1に記載されるものである。そして、容器本体に袋状の第1のカバー体を取り付けることにより、容器本体を外力から保護することができ、容器本体の繰り返し使用を確実とする。また、予冷時や保管、運搬時での作業性も良好となる。さらに、第1のカバー体の上縁は、前記切り欠き部の前記底面部分の側壁外側縁よりも下位に位置しているので、冷気環境にある冷蔵倉庫内で段積み状態で予冷するときに、冷気が容器本体内へ入り込むのが阻害されることはない。
【0017】
本発明によるカバー体付き保冷容器の第4の態様では、上記各態様のカバー体付き保冷容器において、さらに、前記蓋体の外側が第2のカバー体により被覆されており、前記第1のカバー体と第2のカバー体はそれぞれに取り付けた面ファスナーを介して着脱自在となっており、前記第1のカバー体に取り付けた面ファスナーは第1のカバー体の上縁近傍に形成した前記位置決め用部材を兼ねることを特徴とする。
【0018】
第4の態様のカバー体付き保冷容器では、冷気環境にある冷蔵倉庫内で予冷するときは蓋体を取り外しておき、予冷後に蓋をして保管や運搬に供される。前記したように、本発明による容器本体には所期どおりの位置に袋状の第1のカバー体を取り付けることができるので、第1のカバー体に取り付けた位置決め用部材を兼ねる前記した面ファスナーは、高い確率で容器本体の外周囲における本来あるべき位置となる。それにより、蓋体を本来あるべき位置に取り付けることができるので、蓋の開閉が多数回繰り返されても、容器本体の4周の側壁上縁や蓋体に欠けや亀裂が生じるのを、確実に回避することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、底板と4周の側壁とを備えた合成樹脂発泡体からなる容器本体と該容器本体の上面開口部を覆う蓋体とからなり、容器本体の外側が袋状の第1のカバー体により被覆されてなるカバー体付き保冷容器において、第1のカバー体を容器本体の所定の位置に容易かつかつ確実に取り付けることができる。また、その結果として、容器本体に対する所定の位置に蓋体を確実に取り付けることができる。それにより、蓋の開閉が多数回繰り返されても、容器本体の4周の側壁上縁や蓋体に欠けや亀裂が生じるのを回避することができ、結果として、容器本体および蓋体のより長期にわたる繰り返し使用が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、図面を参照して、本発明を実施の形態に基づき説明する。図1と図2は本発明によるカバー体付き保冷容器の一例を示す斜視図であり、図1は容器本体側と蓋体側とを分離した状態で、図2は容器本体側に蓋体側を取り付けた状態を示している。図3は容器本体と蓋体とを示す斜視図であり、図4は容器本体に第1のカバー体を取り付けるときの作業手順を説明するための図である。図5は食品などの物品を収容した容器本体を、蓋をしない状態で冷気環境にある冷蔵倉庫内に置き、倉庫内の冷気で収容した物品を所要温度まで予冷する状態を説明するための図である。
【0021】
図示の例において、カバー体付き保冷容器100は、容器本体10と該容器本体の外側を被覆する袋状の第1のカバー体20、および、蓋体30と該蓋体本体の外側を被覆する第2のカバー体40とからなる。容器本体10と蓋体30は、共に発泡ポリスチレンのような合成樹脂発泡体の成形品である。また、第1のカバー体20および第2のカバー体40は、主として可撓性のある防水性シート材、例えばポリエチレン等の合成樹脂のテープ状糸のクロスにアルミ箔を積層したシート材等により構成される。
【0022】
図3に示すように、容器本体10は4周の側壁11を持ち上方を開放した箱形容器であり、その上縁12には切り欠き部13が形成されている。また、側壁11の内側には上下方向に走る凹溝14が底面まで達するように形成されており、底面にも凹溝14に連続した凹溝が交差するようにして形成されている。図3には明示されないが、図4に強調して示すように、容器本体10の4周の側壁11の外側面は底板から4周の側壁上縁12に向けて次第に外側に拡開する方向の5/1000以上の角度のテーパー面となっている。
【0023】
本発明において必須の構成ではないが、図示の容器本体10において、各切り欠き部13の底面部分15は、その側壁内側縁16が側壁外側縁17よりも低い位置となる傾斜面、すなわち、物品収容空間側が低位となるような傾斜面とされている。傾斜角度は好ましくは2度〜45度程度の範囲である。
【0024】
容器本体10における少なくとも対向する長手方向の2つの側壁11(図3では、一方の側壁11aのみが示される)には、前記した切り欠き部13における側壁外側縁17の延長線上近傍に上端を位置させるようにして、所要本数の垂直方向の凸条18が形成されている(図3(a)におけるb−b線による断面図である図3(b)も参照)。この凸条18が、本発明でいう「位置決め用の目印部」に相当する。なお、図示の例では、2本で一組の2つの凸条18が形成されているが、凸条18の本数は任意である。また、位置決め用の目印部は、垂直方向に延びる凸条18であることが望ましいが、目印としての機能を果たすことができれば、形状は任意であり、凹条でもよく、塊状のものでもよい。
【0025】
蓋体30は4つの側壁31の各周縁32の下部に前記切り欠き部13に対応する突部33を有しており、蓋をすることにより、容器本体10の内部は実質的に外気から遮断した状態とされる。すなわち、突部33は前記容器本体10の切り欠き部13内に気密に入り込みうる大きさと形状であり、突部33の底面35は、容器本体10に形成した切り欠き部13の底面部分15と同じ角度の傾斜面となっている。周縁32の内側には容器本体10に気密に内嵌合する壁面36が形成されており、蓋をしたときの内部空間の気密性を一層確実にしている。
【0026】
第1のカバー体20は、容器本体10の外側形状にほぼ一致する袋状のものであり、その深さは、図1に示すように、容器本体10に取り付けた状態で、その上縁21が容器本体10の4周の側壁11の上縁12より下位に位置する寸法とされている。図示の例で、容器本体10は前記したように切り欠き部13を有しており、第1のカバー体20の深さは、容器本体10に取り付けた状態で、その上縁21が切り欠き部13における前記側壁外側縁17と同じ高さ位置またはそこから僅かに下がった位置となるように、設計されている。
【0027】
また、第1のカバー体20の上縁21近傍には所要個数の面ファスナー23が取り付けてある。この面ファスナー23が、本発明でいう第1のカバー体20の上縁21近傍に形成した「位置決め用部材」に相当する。この例では、面ファスナー23は、当該第1のカバー体20を容器本体10に適正に取り付けたときに、容器本体10の外周面に形成した前記所要本数の垂直方向の凸条18(「位置決め用の目印部」)と対向する位置となる第1のカバー体20の上縁21近傍に取り付けられている。さらに、第1のカバー体20の上縁21の内側の周方向長さは、当該第1のカバー体20を容器本体10に適正に取り付けたときに、その上縁が位置することとなる容器本体10の外側面の周方向長さと等しいかそれよりも短くされている。
【0028】
第2のカバー体40は、蓋体30の天板および4つの側壁31を覆うことのできる寸法の形状のものであり、その裏面に取り付けたフック41を利用して、帯状の留め付けバンド42が着脱自在に取り付けられる。留め付けバンド42の両端には面ファスナー43が取り付けてある。第2のカバー体40の裏面に蓋体30を置き、フック41を通して2本の留め付けバンド42を取り付けることにより、蓋体30と第2のカバー体40は一体となる。
【0029】
なお、前記フック41は、容器本体10に対して適正な位置に蓋体30を取り付けたときに、第2のカバー体40に取り付けられた留め付けバンド42の端部に取り付けた面ファスナー43が、容器本体10に適正に取り付けられた第1のカバー体20における前記面ファスナー23と対向した位置となる場所に取り付けられている。
【0030】
図4は、容器本体10に第1のカバー体20を取り付けるときの作業手順を示している。取り付けに際し、上面開口部側を下向きにした姿勢で、容器本体10を適宜の作業台50の上に置く。その上方から、前記した第1のカバー体20をかぶせるようにして落とし込んでいく。前記したように、容器本体10の4周の側壁11の外側面は底板から4周の側壁上縁12に向けて次第に外側に拡開する方向のテーパー面となっており、容器本体10に対する第1のカバー体20の落とし込み作業は、作業開始当初は両者間に隙間があり、比較的容易である。しかし、隙間があるために、本来あるべき位置から周方向に僅かにずれた姿勢で、被覆される可能性がある。
【0031】
落とし込んでいく過程で、作業者は、容器本体10に形成した垂直方向の凸条18(「位置決め用の目印部」)に、第1のカバー体20の上縁に取り付けた位置決め用部材、すなわち面ファスナー23が一致するように、第1のカバー体20の周方向の位置について微調整を行う。微調整後の状態が図4(a)に示される。位置調整を終えた後、作業者は、第1のカバー体20をさらに引き下げることにより、第1のカバー体20の取り付け作業は終了する。その状態が図4(b)に示される。
【0032】
この例において、前記したように、第1のカバー体20の上縁21内側の周方向長さは、該上縁21が最終的に位置することとなる容器本体10の外側面の場所における周方向長さと等しいかそれよりも短くされている。そのために、図4(a)の位置から図4(b)の位置に第1のカバー体20が移動する過程で、第1のカバー体20の上縁21は容器本体10の外側面の適正な位置にぴったりと密着するようになる。場合によっては、容器本体10が合成樹脂発泡体であることから、容器本体10の外側面に変形を伴いながら移動してぴったりと密着するようになる。
【0033】
密着により第1のカバー体20の上縁21内側と容器本体10の外側面との間の摩擦力は大きくなり、容器本体10の4周側壁11の外側面が底板から4周の側壁上縁に向けて次第に外側に拡開する方向のテーパー面となっていても、第1のカバー体20は容易に離脱しない状態で、かつ適正な位置において、しっかりと容器本体10に取り付けられる。また、密着していることにより、異物が第1のカバー体20と容器本体10の間に入り込むのも阻止される。
【0034】
そのようにして第1のカバー体20を取り付けた容器本体側に、第2のカバー体40を取り付けた蓋体30を取り付ける。取り付けに当たっては、第1のカバー体20に取り付けた一方の面ファスナー23と、第2のカバー体40に取り付けた留め付けバンド42の一方の面ファスナー43とを接合する。その状態が図2に示される。図2に示す状態から、蓋体30および第2のカバー体40を矢印方向に回転することにより、蓋が閉められ、留め付けバンド42の他方の面ファスナー43と、第1のカバー体20に取り付けた他方の面ファスナー23とを接合することにより、蓋締めは完了する。
【0035】
上記のように、第1のカバー体20は容器本体10に対して適正な位置に取り付けてあり、適正な位置にある第1のカバー体20の適正な位置に第2のカバー体40が取り付けられるので、容器本体10に対する本来あるべき位置に蓋体30を確実に取り付けることが可能となる。それにより、蓋の開閉が多数回繰り返されても、容器本体10の4周の側壁11の上縁12や蓋体30に欠けや亀裂が生じるのを回避することができ、結果として、容器本体10および蓋体30のより長期にわたる繰り返し使用が可能となる。
【0036】
さらに、図示の例において、容器本体10は、前記したように、各切り欠き部13の底面部分15がその側壁内側縁16が側壁外側縁17よりも低い位置となる傾斜面、すなわち、物品収容空間側が低位となるような傾斜面とされている。そのために、図5に示すように、冷気環境にある冷蔵倉庫内で冷凍品Pを収容した容器本体10を段積み状にして予冷するときに、前記切り欠き部13から容器本体10内への冷気の入り込み量が大きくなり、短い時間で収容した物品に対する高い予冷効果が達成される。
【0037】
なお、図5では第1のカバー体20を省略しているが、図1に示したように、第1のカバー体20の深さは、容器本体10に取り付けた状態で、その上縁21が切り欠き部13における前記側壁外側縁17と同じ高さ位置またはそこから僅かに下がった位置となるようにされており、容器本体10に第1のカバー体20を取り付けた状態で冷気環境にある冷蔵倉庫内で予冷するときでも、切り欠き部13から容器本体10内への冷気の入り込みは支障なく進行する。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明によるカバー体付き保冷容器の一例を示す斜視図であり、容器本体側と蓋体側とを分離した状態で示している。
【図2】図1に示したカバー体付き保冷容器であって、容器本体側に蓋体側を取り付けた状態を示している。
【図3】図3(a)は容器本体と蓋体とを示す斜視図、図3(b)は図3(a)のb−b線による断面図。
【図4】容器本体に第1のカバー体を取り付けるときの作業手順を説明するための図。
【図5】食品などの物品を収容した容器本体を冷気環境にある冷蔵倉庫内に置き予冷する状態を説明するための図。
【符号の説明】
【0039】
100…カバー体付き保冷容器、
10…容器本体、
11…容器本体の4周の側壁、
12…側壁の上縁、
13…切り欠き部、
14…凹溝、
15…切り欠き部の底面部分、
16…側壁内側縁、
17…側壁外側縁、
18…垂直方向の凸条(「位置決め用の目印部」)、
20…袋状の第1のカバー体、
21…第1のカバー体の上縁、
23…面ファスナー(「位置決め用部材」)、
30…蓋体、
31…蓋体の側壁、
32…周縁、
33…切り欠き部に対応する突部、
35…突部の底面、
36…容器本体に気密に内嵌合する壁面、
40…第2のカバー体、
41…フック、
42…帯状の留め付けバンド、
43…面ファスナー、
50…作業台、

【特許請求の範囲】
【請求項1】
底板と4周の側壁とを備えた合成樹脂発泡体からなる容器本体と該容器本体の上面開口部を覆う蓋体とからなり、前記容器本体の外側が袋状の第1のカバー体により被覆されてなるカバー体付き保冷容器であって、
前記第1のカバー体はその上縁を前記容器本体の4周の側壁上縁より下位に位置させて前記容器本体に取り付けられており、
前記第1のカバー体の上縁近傍には位置決め用部材が形成されており、
前記第1のカバー体を前記容器本体に取り付けたときに前記位置決め用部材が位置すべき容器本体の外周面位置近傍には位置決め用の目印部が形成されている、
ことを特徴とするカバー体付き保冷容器。
【請求項2】
底板と4周の側壁とを備えた合成樹脂発泡体からなる容器本体と該容器本体の上面開口部を覆う蓋体とからなり、前記容器本体の外側が袋状の第1のカバー体により被覆されてなるカバー体付き保冷容器であって、
前記容器本体の4周側壁の外側面は底板から4周の側壁上縁に向けて次第に外側に拡開する方向のテーパー面となっており、
前記第1のカバー体はその上縁を前記容器本体の4周の側壁上縁より下位に位置させて前記容器本体に取り付けられており、
前記第1のカバー体の上縁内側の周方向長さは該上縁が位置している場所における前記容器本体の外側面の周方向長さと等しいかそれよりも短くされており、
前記第1のカバー体の上縁近傍には位置決め用部材が形成されており、
前記第1のカバー体を前記容器本体に取り付けたときに前記位置決め用部材が位置することとなる容器本体の外周面位置近傍には位置決め用の目印部が形成されている、
ことを特徴とするカバー体付き保冷容器。
【請求項3】
請求項1または2に記載のカバー体付き保冷容器であって、前記容器本体は4周の側壁上縁に適数の切り欠き部を形成しており、前記蓋体は周縁下部に前記切り欠き部に対応する突部を有しており、前記蓋体をした状態で前記容器本体の内部は外気から遮断した状態となり、かつ、前記容器本体の前記切り欠き部の底面部分は側壁内側縁が側壁外側縁よりも低位となる傾斜面とされており、前記袋状の第1のカバー体の上縁は前記底面部分の側壁外側縁よりも下位に位置していることを特徴とするカバー体付き保冷容器。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか一項に記載のカバー体付き保冷容器であって、前記蓋体の外側が第2のカバー体により被覆されており、前記第1のカバー体と第2のカバー体はそれぞれに取り付けた面ファスナーを介して着脱自在となっており、前記第1のカバー体に取り付けた面ファスナーは第1のカバー体の上縁近傍に形成した前記位置決め用部材を兼ねることを特徴とするカバー体付き保冷容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−120666(P2010−120666A)
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−294776(P2008−294776)
【出願日】平成20年11月18日(2008.11.18)
【出願人】(000002440)積水化成品工業株式会社 (1,335)
【Fターム(参考)】