説明

カプセル化された超硬材料の製法

本発明は、カプセル化材料で被覆された超硬コアを含有するペレットを形成する方法において、ショベルローターを、回転パン及び/又は流動床装置と順々に組み合わせて利用する工程を含む、上記方法に関する。本発明は、超硬材料の供給源を提供する工程と、適切な接着剤と、溶媒又は流動媒体と、目的とするコーティング層又はカプセル化層とを含んでなる混合物を提供する工程と、ショベルローターの中で、前記超硬材料と前記混合物とを混合する工程と、前記超硬材料が前記混合物によって被覆されてペレットを形成するような具合に、適切な速度で前記ローターを回転させる工程と、前記ペレットを、回転容器又は流動床造粒装置の中に導入する工程と、前記ペレットをカプセル化材料に接触させて、前記回転容器の中に導入された前記ペレットよりも大きい質量のペレットを形成する工程とを教示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カプセル化された超硬(研磨)材料の製法に関する。とりわけ、本発明は、ダイヤモンド及び立方晶窒化ホウ素(cBN)から選ばれる超硬材料を製造する方法であって、ショベルローター(shovel rotor)を、第2の技術と一緒に用いる工程を含む方法に関する。
【背景技術】
【0002】
米国特許第4,770,907号(キムラ、フジパウダル、1988)、米国特許第5,143,523号〔マタレッセ(Matarrese)、ゼネラル・エレクトリック社(GE)、1992〕及び米国特許第5,405,573〔クラーク(Clark)等、ゼネラル・エレクトリック社、1995〕号明細書は全て、流動床を用いて粒子を被覆することを記述する。この方法において、超硬コア(例えば、ダイヤモンドの種)は、接着剤、溶媒及び粒子材料(例えば、金属粉末、カプセル化材料)の微細懸濁液が噴霧されている室の内部の気体流に浮遊させられる。代替的に、接着剤−溶媒は、別々に粉末を添加することによって噴霧されてもよい。該室内で費やされる滞留時間に(非線形的に)比例する体積で突発的なペレット(emergent pellets)が作り上げられる。この方法の利点は、流動床によってコア種が良好に分離され、それによって、被覆材料が適当な速度で堆積されながら、単一コア(ダイヤモンドの種)が確実に各々のペレットの中に含有されることである。この技術の不都合な点は、高密度粒子の被覆材料(例えば、Mb、W及びWC)が用いられるとき、最大堆積速度は比較的遅く、且つ、ペレットの増加質量は、懸濁液を維持する装置の能力の点で、問題となることである。このことは、その装置の容量を増大することによって対処することができるが、これは、多額の費用が必要であり、商業的規模の量の材料を製造する商業的実行可能性に影響を与える。加えて、流動床型被覆加工は、様々な密度の粉末の混合物で被覆する場合、理想的ではなく、材料としての粒子の形状及び大きさは、流動床内で分離する傾向があり、目的とする組成が均一には達成されないことがある。
【0003】
英国特許第1014295号[ノートン(Norton),1965]及び欧州特許第0012631号[トムリンソン(Tomlinson)、デビアス(DeBeers),1983]明細書に記述される「回転パン(rotating pan)」法は、超硬コア材料(例えば、ダイヤモンドの種)を、回転傾斜型パン、ドラム、又は他のいずれかの回転容器の中に導入する工程であって、1)回転するダイヤモンドの種の上に、金属粉末、接着剤及び溶媒を含有するスラリー(カプセル化材料)を噴霧すること、2)それら接着剤及び溶媒は、別々に噴霧され、且つ、該金属粉末は、次いで、回転するダイヤモンドの種の上に「まき散らす(spinkled)」こと、によってペレットを成長させることができる工程を含む。パンの回転によって、被覆済みダイヤモンドの種(突発的なペレット)は分離され、次いで、噴霧された材料から溶媒を除去する時間が、プロセスが進むにつれて体積が増大するカプセル化材料の同心状被覆物を形成することを可能にする。この技術は、カプセル化材料を堆積するという点では効率的であり、このようにして、ペレット塊を迅速に成長させる。しかし、この方法の課題は、該プロセスの初期段階において、コア及び/又は早期ペレットの凝集作用の影響を受け易いことである。堆積速度は、凝集作用を回避するために非常に遅いものでなければならず、このことによって、全処理時間は増大し、該プロセスの処理量は減少する。突発的なペレットが臨界サイズに達成した後、凝集作用は重大性が低下する。凝集作用の結果、最終ペレットは、かなり大きい粒度分布を有することがあり、且つ、ペレット1個当り2個以上のコアを含有することがある。このことは、工程所要時間及び加工費が増大する一因となる。
【0004】
南アフリカ共和国特許第2006/06674号[フリン(Flynn)等,E6,2006]は、ペレットを迅速に形成するために、二段階プロセスを採用することによって、この課題を部分的に克服する。本質的に、上述の課題に対する解決法は、当該技術分野で知られている2つの技術を単一プロセスの設計に結び付けることである。従って、該プロセスの初期段階には、1個のコア粒子のみ(例えば、ダイヤモンドの種)を含有するペレットの収率を最大にするための流動床アプローチが包含される。それらペレットは、流動性懸濁液(fluid suspension)中に残留しながら、臨界サイズの体積(Vcrit)まで作り上げられてもよい。ペレットが、この臨界サイズに達するとき、それらペレットを回転パンまで移動させる。該回転パンにおいて、それらペレットは、最終ペレットプロセスの(サブ)コアを形成する。そのようにして生成されたペレットは、導入されたままのペレットよりも著しく大きい体積を有し、且つ、表面上の層が、噴霧をより迅速に吸収するので、凝集の危険性は非常に減少する。従って、堆積速度は増大し得る。加えて、より重い粒子は、噴霧の表面張力によって、あまり一緒に結合しそうにない。しかしながら、両方の技術を組み合わせることは、材料を一方の機械から他方の機械に移動させるという点で、二対の資本設備と休止時間とが必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、上記に概説される技術上の課題を克服して、カプセル化された研磨材を生成するための、費用効率のより高い解決方法を提供する技術を開発する必要がある。好ましくは、そのような技術は、「パン回転」経路又は「流動」経路のいずれか一方と組み合わせて用いられるとき、利点を提供する。2007年7月23日に出願された、出願人らの南アフリカ特許出願第2007/06077号明細書の内容、及び該特許出願明細書に基づき優先権を主張する明細書は全て、言及されることによって、本明細書に組み入れられる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によると、カプセル化材料で被覆された超硬コアを含有するペレットを形成する方法において、ショベルローターを、回転パン及び/又は流動床装置と順々に組み合わせて利用する工程を含む、上記方法が提供される。
【0007】
本発明の好ましい具体例において、本方法は、
− 超硬材料の供給源を提供する工程と、
− 適切な接着剤と、溶媒又は流動媒体と、目的とするコーティング層又はカプセル化層とを含んでなる混合物を提供する工程と、
− ローターを含む容器であって、ガス流を受け入れるように構成された容器の中で、前記超硬材料と前記混合物とを混合する工程と、
− 前記超硬材料が前記混合物によってカプセル化されてペレットを形成するように、適切な速度でローターを回転させる工程と、
− 前記ペレットを、回転容器の中に導入する工程と、
− 前記ペレットを、カプセル化材料に接触させて、回転容器の中に導入されたペレットよりも大きい質量のペレットを形成する工程と、
を含む。
【0008】
好ましくは、回転容器は、パン又はドラムである。
ショベルローターは、ドイツ国特許第19750042号、米国特許第6,449,869号及び米国特許第6,354,728号明細書に記述されている。それら明細書の内容物は、言及されることによって本明細書に組み入れられる。
超硬材料は、ダイヤモンド、立方晶窒化ホウ素、ウルツ鉱型窒化ホウ素、炭化物、酸化物又はケイ化物、Si、SiC、Al、AlC、SiO、及び/又は上記のもののいずれかのクラスターから選ばれてもよい。最も好ましくは、超硬材料は、ダイヤモンドである。ダイヤモンドは、天然物又は合成物であってもよい。合成ダイヤモンドは、化学蒸着法又は高圧高温(HPHT)法によって合成されてもよい。
【0009】
好ましくは超硬材料は、粒子の形態で存在する。それら超硬材料は、直径が好ましくは少なくとも約0.01μm、好ましくは少なくとも約0.1μm、より好ましくは少なくとも約1μmである。超硬材料は、直径が好ましくは約5mm以下、好ましくは約4mm以下、より好ましくは約3mm以下である。好ましくは、粒子は、該粒子の最大直径を測定して、約1μm〜約1.5mmの粒度を有する。この粒度範囲において、それら粒子は、ミクロン微子、粗粒子又はモノクリスタルとして知られている。
それら粒子は、予備被覆された粒子若しくはクラッド粒子であってもよく、且つ/又は、初期のプロセス工程によって、同一若しくは異なる製造技術を用いて、部分的にカプセル化された粒子であってもよい。(被覆されていない、被覆された、クラッドされた、又はカプセル化された)それら粒子は、種粒子と称されてもよい。
【0010】
定義
カプセル化された粒子
砥粒のようなカプセル化された粒子は、微粒子材料(例えば、金属、金属合金、セラミック及び/若しくはセラミック粉末、又はそれらの組合せ)の塊を含んでなる外被(envelope)の内部に、該微粒子材料を一緒に保持するための別個の接着剤を用いることを含むいずれかのプロセスによって、カプセル化された粒子である。典型的には、接着剤は、有機材料である。接着剤は、後で除去が可能であり、且つ、微粒子材料は、部分的に又は完全に焼結され得る。
【0011】
被覆された粒子/クラッド粒子
被覆された粒子は、前記粒子の少なくとも1種類を含んでなるコアであって、該粒子の表面に物理的若しくは化学的に結合された材料の1つ以上の層によって完全に又は部分的に取り囲まれているコアを有するものとして説明され得る。本発明において、被覆は、コーティングを生成するためのプロセスが、堆積の後直ちに微粒子材料を一緒に保持する接着剤材料に依存しないという点で、カプセル化と異なる。コーティングは、1個以上のコア粒子の表面を完全に又は部分的に覆うことができる。コーティングを生成するためのプロセスには、化学蒸着(CVD)、物理蒸着(PVD)、他の同等の熱間加工又は冷間加工、めっき、ゾルゲル、又は、ポリマー前駆体を用いて生成されるセラミック被覆加工が包含される。コーティングの厚さは、ナノ原子層から数百ミクロンまでの範囲であるが、典型的には0.1μm〜5μmの範囲のいかなる厚さであってもよい。例えば、コーティングの厚さが、研磨粒子の粒度と比べて大きいとき(例えば、コーティングの厚さが、コア粒子の直径の約5%より大きいとき)、該コーティングは、クラッディングとして更に区別されてもよい。クラッディングの場合、好ましい堆積方法には、無電解析出及び電解析出が包含される。
【0012】
本質的に、本発明のこの態様は、粒子をショベルローターで被覆するか、ペレット化するか又はカプセル化することと、回転パン方法との2つの技術を組み合わせて、単一プロセス設計にすることである。従って、本プロセスの初期段階には、1個のコア粒子のみ(例えば、ダイヤモンドの種)を含有するペレットの収率を最大にする、ショベルローターによるアプローチが包含される。それらペレットを、懸濁液中に保持しながら、臨界サイズ体積(Vcrit)まで作り上げることができる。ペレットがこの臨界サイズに達するとき、それらペレットを、ショベルローターから除去し、次いで、回転パンに移動させる。回転パンにおいて、それらペレットは、最終ペレットプロセスの(サブ)コアを形成する。そのようにして生成されたペレットは、導入されるときのペレットより著しく大きい体積を有し、且つ、凝集の危険性は遥かに低減されている。
【0013】
本プロセスの好ましい具体例において、ショベルローター方法による前記材料の被覆工程は、各々のコアの上にコーティングを作り上げて、所定の臨界サイズ(Vcrit)が達成されるのに十分な時間続けられる。各々のペレットの平均直径寸法は、超硬コアの平均直径寸法の約4倍以下、好ましくは3倍以下、より好ましくは2倍以下で変動してもよい。
ショベルローターの利点は、様々な特性を持つペレット(例えば、より脆弱なペレット、及びあまり圧縮されていないペレット)を生成することができることである。
【0014】
生成されるペレットは、その後、回転パン、好ましくは傾斜型パン、の中に導入され、しかも、1)金属粉末、接着剤及び溶媒を含有するスラリー(被覆組成物)を回転するダイヤモンドの種の上に噴霧すること、並びに/又は、2)接着剤及び溶媒を、別々に噴霧し、次いで、金属粉末を、回転するダイヤモンドの種の上に「まき散らす(spinkled)」ことによって、ペレットを更に作り上げることができる。パンの回転は、噴霧された被覆材料から溶媒を除去する時間が、プロセスが進むにつれて体積が増大する、被覆材料の同心円状被覆物を形成するのを可能にさせる。
本発明による方法は、結果的に、パン方法のみを使用することよりも、パン方法における付着速度が著しく増大する。
本発明によると、ペレットの直径は、1時間当り50μm以下だけ、好ましくは1時間当り100μm以下だけ、より好ましくは1時間当り150μm以下だけ、より好ましくは1時間当り200μm以下だけ、より好ましくは1時間当り250μm以下だけ、より好ましくは1時間当り300μm以下だけ、より好ましくは1時間当り350μm以下だけ、より好ましくは1時間当り400μm以下だけ、最も好ましくは1時間当り450μm以下だけ、増大し得る。このことによって、結果的に、パンコータの工程所要時間が著しく減少し、そのため加工費が減少する。
【0015】
これの利点は、ショベルローター造粒機からのペレットが、初期段階において、回転パンコーター中に確実に最小限の凝集を確保するのに十分な体積(Vcrit)のペレットとなり、それによって、より速い速度で作り上げることが可能になることによって達成される。ペレット化された材料は、200〜1500μmの範囲のダイヤモンドの種を、微粒子金属(Co、Fe、Ni、W、Mn、Cu及びSnを包含するが、それらに限定されない)、セラミック、炭化タングステンの粉末、及び/又はそれらの凝集体でペレット化することを包含する、様々な用途を有する。
本発明による方法は、ペレットを生成するコストの面で著しい利点を有し、且つ、高密度金属粉末が、商業的に実行可能な生成プロセスで用いられるのを可能にする。
【0016】
本発明の第2の具体例によると、カプセル化材料で被覆された超硬コアを含有するペレットを形成する方法において、
− 超硬コア材料を、気体流の中に浮遊させる工程と、
− 前記超硬コア材料をカプセル化材料に接触させて、ペレットを形成する工程と、
− 適切な接着剤と、溶媒又は流動媒体と、目的とする被覆層又はカプセル化層とを含む混合物を提供する工程と、
− ローターを備えた容器であって、気体流を受け入れて、カプセル化されたペレットを形成するように構成された容器を備えたショベルローターの中で、前記ペレット及び前記混合物を混合する工程と、
− 前記ペレットが前記混合物によってカプセル化されるように、適切な速度でローターを回転させる工程と、
を含む、上記方法が提供される。
【0017】
超硬材料は、立方晶窒化ホウ素、並びに(天然ダイヤモンド、並びに、合成ダイヤモンド、高圧高温(HPHT)合成ダイヤモンドと化学蒸着(CVD)合成ダイヤモンドとの両方を包含する合成ダイヤモンド、並びに、被覆されたダイヤモンド又はクラッドされたダイヤモンドを包含する)ダイヤモンドから選択してもよい。
超硬コア材料は、好ましくは、流動床の造粒装置/カプセル化装置である室又は作業容器の中に浮遊させられる。好ましくは、作業容器は、材料加工領域と、該加工領域の直下に配置された回転可能な多孔板と、該作業容器内で装填材料を流動循環させるために該加工領域を通って気体流動体を運搬するための手段とを備えたタイプの、流動床の造粒装置/カプセル化装置であり、該造粒装置は、通常、該加工領域内で超硬コア材料を個々に流動化させるように操作される。
【0018】
被覆材料は、金属粉末、接着剤及び溶媒から構成されていてもよい。金属粉末は、コバルト、銅、鉄、青銅、炭化タングステン、ニッケル、タングステン金属、モリブデン、亜鉛、黄銅、銀、又はそれらの2種類以上の混合物であって、好ましくは、約0.1μmより大きく約300μm未満の範囲内の粒度を有するものであってもよい。接着剤としては、ポリエチレングリコール、流動パラフィン、グリセリン、セラック、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルブチラール(PVB)、セルロース、又はステアリン酸が好ましく、また、溶媒は、水又は有機溶媒(好ましくは、エチルアルコール、トリクロロエチレン若しくはIPA(イソプロピルアルコール))である。金属粉末は、それら金属粉末と接着剤と溶媒との混合物(スラリー)の約80重量%以下、好ましくは約70重量%以下、好ましくは約60重量%以下で含まれるのが望ましく、且つ、接着剤は、金属粉末の約30重量%以下、好ましくは約25重量%以下、好ましくは約20重量%以下、好ましくは約15重量%以下、好ましくは約10重量%以下、好ましくは約5重量%以下で含まれるのが望ましい。
【0019】
加えて、被覆材料それ自体の耐摩耗性を改善するために、金属粉末に硬質相を加えることができる。この硬質相は、ダイヤモンド、立方晶窒化ホウ素(cBN)、炭化タングステン(WC)、WC−コバルトサーメットの粒子、又は、従来のいずれかのセラミック硬質相(例えば、炭化ケイ素(SiC)、窒化ケイ素(SiN)、アルミナ(Al)若しくはこれらのいずれかの混合物)の粒子であってもよい。これらの硬質相の寸法は、0.1μm〜300μmの範囲であってもよい。
本方法の好ましい具体例において、被覆材料を噴霧する工程は、各々のコアの上にコーティングを形成するのに十分な時間続けて、所定の臨界サイズ(Vcrit)が達成される。各々のペレットの平均直径寸法は、超硬コアの平均直径寸法の約4倍以下、好ましくは約3倍以下、より好ましくは約2倍以下に及ぶことがある。流動床の造粒装置の多孔板は、好ましくは、造粒操作の全期間にわたって回転して、超硬コアが流動化される間、材料加工領域内で超硬コアを循環させる。
【0020】
ペレットは、次いで、ローターを備えた容器であって、気体流れを受け入れてカプセル化ペレットを形成するように構成された容器を備えたショベルローターの中で、適切な接着剤と、溶媒又は流動溶媒と、目的とする被覆層又はカプセル化層との混合物と一緒に混合される。
本発明は、次いで、次の非限定的実施例を参照して説明される。
【実施例1】
【0021】
ダイヤモンドコア及び結合材タイプの詳細が提供される:
ダイヤモンドコア:SDB1125 寸法25/35USメッシュ、炭化チタン層で予備被覆された公称662μm。
結合材材料:WC/Co/Cu:重量で65/25/10。
結合材の密度:12.7g/cc。
スラリーの組成:エチルアルコール溶媒中、結合材粉末50重量%である。該エチルアルコール溶媒には、接着剤材料(この場合、ポリエチレングリコール)が、該金属結合材粉末の3重量%の濃度で添加された。両方の方法において、このスラリー配合物は、採用された。
【0022】
段階1
公称360mmの直径の室を備えたショベルローターでの試行は、ドクター・フリッシュ社(Dr.Fritsch)からのV17−785結合材(WC約65%、Cu5%、Co30%)を用いて行った。用いられたダイヤモンドは、厚さが約0.5〜1.0μmの炭化タングステン層(エレメント6のSDB1100+25/35USメッシュ状のTC)で予備被覆された、粗い高品位ダイヤモンドであった。
この二段階プロセスは、上記に詳述された接着剤と溶媒との配合物を有するショベルローター装置であって、直径が公称662μmであるUSメッシュサイズ2535の、炭化チタンで被覆された高品質ダイヤモンド粗粒子を有する装置でペレットプロセスを開始することを含んでいた。該プロセスは、コア結晶の直径が直径約772μmまで増大し、コア結晶が結合材材料の「殻(shell)」を含んでなるまで進めることができた。材料の試料を抽出し、次いで、粒子の数を数えて、凝集(結合した2個以上の粒子)のレベルを確定した。加えて、100個の粒子を抽出し、次いで、粉砕して単一コアのみを含有するペレットの割合を決定した。
【0023】
段階2
次いで、初期のショベルローター段階からのバッチ全体を、回転パン装置に移し、プロセスを再開した。ペレットは、それらペレットが回転パンに導入される前に、臨界サイズに達したので、凝集の傾向は著しく減少する。加えて、ペレットの表面は、結合材の堆積の速度増大に対してなおいっそう感受性が強い。ペレットの直径が増大する速度は表面積に比例し、その結果として、付着速度は、増大する粒子半径の2乗の関係、即ち、(r)で増大し、従って、結合材材料を懸濁状態で含有するスラリーの堆積速度は、凝集のレベルをあまり増大させることなく増大し得るであろう。更にまた、本プロセスを停止し、次いで、ペレットを抽出して凝集のレベルを決定し、且つ、ペレット1個当り1個のダイヤモンドコアが確実に存在するようにした。この分析の結果を、以下の表1及び表2に示す。加えて、平均堆積速度は、凝集のレベルと「単一のコア」の評価とに関連して各々の技術のために、与えられている。
【0024】
二段階プロセス方法の利点は、
段階1)ショベルローター法:ペレット1個当り1個のコアを確保し、且つ、ペレット作製の初期段階において、低レベルの凝集を可能にし、それによって、開始時のペレット寸法が、高レベルの単一コアペレットと低レベルの凝集とを伴って達成される。
段階2)回転パン法:ペレットが最終サイズまで迅速に作製されるのを可能にするが、ペレット1個当り単一コアが維持され、且つ、大きいペレットの大きさを達成することができる。なぜなら、ペレットの大きさ/質量が増大するにつれて困難になる、気体/流動体の懸濁液を維持することへの依存度が全く存在しないからである。
【0025】
二段階プロセスは、結果的に、単一コアを含有するペレットが著しく改善されることと相俟って、凝集レベルが最小限に抑えられ、しかも、分離して用いられる場合の他の諸方法と比べて最大付着速度を提供する。
【0026】
【表1】

【実施例2】
【0027】
ペレットを製造するための2つの方法は、二段階アプローチ:
1)流動床;及び
2)ショベルローター
で用いられた。
ダイヤモンドコアと結合材のタイプとの詳細が与えられる:
ダイヤモンドコア:SDB1125 サイズ2535♯、炭化チタン層で予備被覆された公称662μm。
結合材材料:WC/Co/Cu:重量で65/25/10。
結合材の密度:12.7g/cc。
スラリーの組成:エチルアルコール溶媒中、結合材粉末50重量%である。該エチルアルコール溶媒には、接着剤材料(この場合、ポリエチレングリコール)が、該金属結合材粉末の3重量%の濃度で添加された。両方の方法において、このスラリー配合物が用いられた。
【0028】
段階1
流動床装置に、サイズ2535♯のダイヤモンド粉末3000crtsを装入する。該粉末は、前もって予備処理されて、各々の結晶の周囲にチタンコーティングが確実に存在するようにした。グラフは、各々のプロセスがカプセル化されたダイヤモンドを生成する能力と、これらの方法の各々によってペレットを生成することに関連する特徴とを示す。主要因は、
i) 凝集のレベル、及び
ii) 単一コア粒子を含有するペレットの割合
である。
二段階プロセスは、1個の単一コアを含有するペレットの個数を最大にするが、凝集したペレット(即ち、結合した2個以上のペレット)の発生率を最小限に抑える。凝集と単一コアの個数とに関して妥協することなく、ペレットを迅速に成長させることが可能になる。
【0029】
この二段階プロセスは、上記に詳述された接着剤と溶媒との配合物を有する流動床装置であって、直径が公称662μmであるUSメッシュサイズ2535の、炭化チタンで被覆された高品質ダイヤモンド粗粒子を有する装置でペレットプロセスを開始することを含んだ。本プロセスは、コア結晶の直径が直径約772μmまで増大し、コア結晶が結合材材料の「殻」を含んでなるまで進めることができた。材料の試料を抽出し、次いで、粒子の数を数えて、凝集(結合した2個以上の粒子)のレベルを確定した。加えて、100個の粒子を抽出し、次いで、粉砕して単一コアのみを含有するペレットの割合を決定した。
【0030】
段階2
次いで、初期流動床からのバッチ全体を、ショベルローターに移し、次いで、本プロセスを再開した。ペレットは、今や、それらペレットが回転パンに導入される前、臨界サイズに達したので、凝集の傾向は著しく減少する。加えて、それらペレットの表面は、今や、結合材の堆積の速度増大に対してなおいっそう感受性が強い。更にまた、本プロセスを停止し、次いで、ペレットを抽出して凝集のレベルを決定し、且つ、ペレット1個当り1個のダイヤモンドコアが確実に存在するようにした。
二段階プロセス法の利点は、段階1(流動床法)によって、ペレット1個当り1個のコアが確保され、ペレット成長の初期段階において、低レベルの凝集が可能となり、それによって、出発のペレットサイズが、高レベルの単一コアペレットと低レベルの凝集とを伴って達成され得ることである。
二段階プロセスは、結果的に、単一コアを含有するペレットが著しく改善されることと相俟って、凝集レベルが最小限に抑えられ、しかも、分離して用いられる場合の他の諸方法と比べて最大付着速度を提供する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カプセル化材料で被覆された超硬コアを含有するペレットを形成する方法であって、
ショベルローターを、回転パン及び/又は流動床装置と順々に組み合わせて利用する工程を含む、上記方法。
【請求項2】
(1)超硬材料の供給源を提供する工程と、
(2)適切な接着剤と、溶媒又は流動媒体と、目的とするコーティング層又はカプセル化層とを含んでなる混合物を提供する工程と、
(3)ローターを備えた容器であって、ガス流を受け入れるように構成された容器を備えたショベルローターの中で、前記超硬材料と前記混合物とを混合する工程と、
(4)前記超硬材料が前記混合物によって被覆されてペレットを形成するように、適切な速度で前記ローターを回転させる工程と、
(5)前記ペレットを、回転容器の中に導入する工程と、
(6)前記ペレットをカプセル化材料に接触させて、前記回転容器の中に導入された前記ペレットよりも大きい質量のペレットを形成する工程と、
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記回転容器は、パン又はドラムである、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記超硬材料は、ダイヤモンド、立方晶窒化ホウ素、ウルツ鉱型窒化ホウ素、炭化物、酸化物又はケイ化物、Si、SiC、Al、AlC、SiO、及び/又は上記のもののいずれかのクラスターから選ばれる、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記超硬材料が、粒子の形態で存在する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記ショベルローターによる前記材料の被覆工程は、各々のコアの上にコーティングを形成するのに十分な時間続けて、所定の臨界サイズ(Vcrit)を達成する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記ショベルローターで生成された前記ペレットを、傾斜型回転パンの中に導入し、しかも、
(a)金属粉末、接着剤及び溶媒を含有するスラリー(被覆組成物)を、前記の回転するダイヤモンドの種の上に噴霧すること、及び/又は、
(b)前記の接着剤及び溶媒を、別々に噴霧し、次いで、前記金属粉末を、前記の回転するダイヤモンドの種の上にまき散らすこと、
によって前記ペレットを更に作り上げる、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
カプセル化材料で被覆された超硬コアを含有するペレットを形成する方法であって、
(1)超硬コア材料を、気体流の中に浮遊させる工程と、
(2)前記超硬コア材料をカプセル化材料に接触させて、ペレットを形成する工程と、
(3)適切な接着剤と、溶媒又は流動媒体と、目的とする被覆層又はカプセル化層とを含んでなる混合物を提供する工程と、
(4)ローターを備えた容器であって、気体流を受け入れて、カプセル化されたペレットを形成するように構成された容器を備えたショベルローターの中で、前記ペレット及び前記混合物を混合する工程と、
(5)前記ペレットが前記混合物によってカプセル化されるように、適切な速度で前記ローターを回転させる工程と、
を含む、上記方法。
【請求項9】
前記超硬材料は、立方晶窒化ホウ素及びダイヤモンドから選ばれるものであって、前記ダイヤモンドが天然ダイヤモンド及び合成ダイヤモンド、及び被覆されたダイヤモンド又はクラッドされたダイヤモンドを包含し、前記合成ダイヤモンドは高圧高温(HPHT)合成ダイヤモンドと化学蒸着(CVD)合成ダイヤモンドとの両方を包含する、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記超硬コア材料は、流動床の造粒装置/カプセル化装置である室又は作業容器の中に浮遊させられる、請求項8又は9に記載の方法。
【請求項11】
前記被覆材料は、金属粉末、接着剤及び溶媒を含んでなる、請求項8〜10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記金属粉末は、コバルト、銅、鉄、青銅、炭化タングステン、ニッケル、タングステン金属、モリブデン、亜鉛、黄銅、銀、又はそれらの2種類以上の混合物である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記接着剤は、ポリエチレングリコール、流動パラフィン、グリセリン、セラック、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルブチラール(PVB)、セルロース、ステアリン酸、又はそれらの混合物である、請求項11又は12に記載の方法。
【請求項14】
前記溶媒は、水、又は、エチルアルコール、トリクロロエチレン、及び/若しくはIPA(イソプロピルアルコール)である、請求項11〜13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記金属粉末は、前記の金属粉末と接着剤と溶媒の混合物の約80重量%以下で含まれる、請求項11〜14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
ダイヤモンド、立方晶窒化ホウ素(cBN)、炭化タングステン(WC)、WC−コバルトサーメットの粒子、又は、炭化ケイ素(SiC)、窒化ケイ素(SiN)、アルミナ(Al)若しくはこれらのいずれかの混合物を含有する従来のあらゆるセラミック硬質相から選ばれる硬質相を、前記金属粉末に加えて、前記被覆材料それ自体の耐摩耗性を改善する、請求項11〜15のいずれか1項に記載の方法。

【公表番号】特表2011−521014(P2011−521014A)
【公表日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−546436(P2010−546436)
【出願日】平成21年2月16日(2009.2.16)
【国際出願番号】PCT/IB2009/050626
【国際公開番号】WO2009/101605
【国際公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【出願人】(506231892)エレメント シックス リミテッド (15)
【Fターム(参考)】