説明

カプセル型医療装置用アンテナおよびカプセル型医療装置

【課題】カプセル型筐体内に収容される各内部構成要素の機能を妨げることなくカプセル型筐体内にさらに収納可能なスペースを与えること。
【解決手段】カプセル型医療装置に内蔵するためのアンテナであって、アンテナ導体29と、アンテナ導体29の少なくとも一部と電気的に接触する板状のアンテナ基板28aと、を備え、アンテナ導体29と板状のアンテナ基板28aとが密着して形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、カプセル型医療装置に用いられるアンテナであるカプセル型医療装置用アンテナおよびこれを用いたカプセル型医療装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、被検者の体内に挿入されて体内の観察、検査、治療または処置などを行うカプセル型医療装置が実用化されている。このカプセル型医療装置は、カプセル型筐体と、このカプセル型筐体内に収容される、例えば撮像部、送信器、アンテナ、または電力源などの各内部構成要素とを有する。この様なカプセル型医療装置としてはカプセル内視鏡が知られており、カプセル内視鏡として例えば特許文献1に記載された嚥下可能カプセルがある。
【0003】
【特許文献1】特開2005−329247号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述したカプセル型医療装置は、各内部構成要素同士が近接するように配置された集合体を形成している。また、前記集合体とカプセル型筐体との間も近接するように形成されている。このため、カプセル型筐体内に、さらに内部構成要素の追加を行おうとしたり、あるいはスペース増大を伴う内部構成要素への置換を行おうとしたりしても、現状ではカプセル型筐体に収納スペースがなかった。また、カプセル型医療装置の小型化も難かった。
【0005】
この発明は、上記に鑑みてなされたものであって、さらにスペースを確保することができるカプセル型医療装置用アンテナおよびカプセル型医療装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
カプセル型医療装置には、カプセル型医療装置の構成要素が得た情報を外部に送信したり、外部から与えられた情報を受信したりする際に使用されるアンテナが含まれている。本発明者等は、カプセル型医療装置に収容される従来のアンテナは特許文献1の図1に示されるように立体的な形状をしており、アンテナ内部にデッドスペースが存在していることに着目した。また、本発明者等は前記デッドスペースを低減または無くすことによりさらなるスペースを設けられることを見出した。
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、この発明にかかるカプセル型医療装置用アンテナは、カプセル型医療装置に内蔵するためのアンテナであって、アンテナ導体と、前記アンテナ導体の少なくとも一部と電気的に接触する板状のアンテナ基板と、を備え、前記アンテナ導体と前記板状のアンテナ基板とが密着していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
この発明にかかるカプセル型医療装置用アンテナでは、アンテナ内部のデッドスペースを低減または無くすことができる。
【0009】
このカプセルにかかるカプセル型医療装置用アンテナを含むカプセル型医療装置では、さらなるスペースを設けることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明は、カプセル型医療装置に内蔵するためのアンテナであって、アンテナ導体と、前記アンテナ導体の少なくとも一部と電気的に接触する板状のアンテナ基板と、を備え、前記アンテナ導体と前記板状のアンテナ基板とが密着している。本発明のように、アンテナ導体とアンテナ基板とが密着してなるアンテナは、アンテナ自体に無駄な空間が生じ難いという利点を有する。
【0011】
以下、本発明のアンテナの構成要素であるアンテナ導体と、アンテナ基板とについて詳細を記載する。
【0012】
(アンテナ導体)
本発明で用いられるアンテナ導体の材質としては特に限定されず、従来公知の導電性物質を用いることができるが、例えば、銅、銅合金、銀、銀合金、金、金合金、錫合金または導電性接着剤などを用いることができ、前記銅合金としては、銅−亜鉛合金が好ましい。前記導電性接着剤としてはエポキシ樹脂に銀を練りこんだものが好ましい。
【0013】
アンテナ導体の形状としては特に限定されず、ワイヤ状または板状のいずれであってもよい。アンテナ導体がワイヤ状である場合、ワイヤの太さ、長さ、または配置形状等は特に限定されず目的に応じて適宜決定することができる。アンテナ導体が板状である場合、板の厚み、形状等は特に限定されず目的に応じて適宜決定することができるが、例えば、アンテナ導体の形状としてはC字形状を採用することもできる。アンテナ導体がC字形状であると、ループアンテナを実現できる。
【0014】
また、アンテナ導体の形状は、併用するアンテナ基板の形状に合わせて決定することもできる。例えば、アンテナ基板として空洞を有する形状のものを用いた場合、前記空洞を防ぐことのないような形状にすることが好ましい。この様なアンテナ基板とアンテナ導体との組み合わせについては、詳細を後述の「アンテナ導体とアンテナ基板との組み合わせ」の欄に記載する。
【0015】
アンテナ導体が板状である場合、片面に導電性を有する凸部が設けられていることが好ましい。アンテナ導体の表面に凸部を設けることにより、アンテナ導体の表面積を増加させて抵抗率を低下させることができる。
【0016】
前記凸部の数としては特に限定されず、放射特性、製造のし易さ、機械的強度、原料コストなど目的に応じて適宜決定することができる。
【0017】
前記凸部の形状としては特に限定されず、放射特性、製造のし易さ、機械的強度、原料コストなど目的に応じて適宜決定することができる。前記凸部を複数設ける場合、各凸部の形状は全て同じであってもよいし、複数の形状を採用してもよい。
【0018】
前記凸部の配置位置としては特に限定されず、放射特性、製造のし易さ、機械的強度、原料コストなど目的に応じて適宜決定することができる。
【0019】
前記凸部の形成材料としては特に限定されず、放射特性、製造のし易さ、機械的強度、原料コストなど目的に応じて適宜決定することができるが、例えば、用いるアンテナ導体と同じ材料、はんだ、および導電性接着剤からなる群より選択される少なくとも1種が挙げられる。前記はんだ、または前記導電性接着剤としては従来公知のものを用いることができる。
【0020】
アンテナ導体の少なくとも一部には低反射加工が施されていてもよい。低反射加工を施すことによりアンテナ導体で反射した光が、カプセル型医療装置の撮像結果に影響を及ぼすことを低減することができる。前記低反射加工として、例えば、アンテナ導体の表面を粗にすること、または、アンテナ導体の表面に低反射膜を設けることが挙げられる。前記低反射膜の材質、または厚みは特に限定されず目的に応じて決定することができる。
【0021】
(アンテナ基板)
本発明で用いられるアンテナ基板としては特に限定されず、従来公知の非導電性物質からなるものを用いることができるが、例えば、ガラスエポキシ基板、紙フェノール基板、紙エポキシ基板、ガラスコンポジット基板、テフロン(登録商標)基板、アルミナ基板、フォトソルダーレジスト基板、液晶ポリマー基板、またはポリイミド基板などを用いることができる。
【0022】
アンテナ基板の色は特に限定されないが、可視光透過性を有することが好ましく、無色透明であるとより好ましく、さらに好ましくは可視光透過率80%以上である。
【0023】
アンテナ基板の形状としては特に限定されず、目的に応じて適宜決定することができるが、例えば、円形、楕円形、四角形、矩形、多角形、または曲線部分を有する多角形などが挙げられる。また、アンテナ基板には空洞が形成されていてもよい。空洞を有するアンテナ基板の形状としては、例えば円環状が挙げられる。
【0024】
アンテナ基板の少なくとも一部には低反射加工が施されていてもよい。低反射加工を施すことによりアンテナ基板で反射した光が、カプセル型医療装置の撮像結果に影響を及ぼすことを低減することができる。前記低反射加工として、例えば、アンテナ基板の表面を粗にすること、または、アンテナ基板の表面に低反射膜を設けることが挙げられる。前記低反射膜の材質、または厚みは特に限定されず目的に応じて決定することができる。
【0025】
図1に示すように、アンテナ基板は他の基板と連結していてもよい。他の基板として、例えば、カプセル型医療装置の構成要素のうちの一つである送信器を保持するための送信基板が挙げられる。アンテナ基板と他の基板とを連結する連結部は可撓性を有することが好ましい。連結部が可撓性を有することにより、カプセル型医療装置の構成要素を筐体内に収める際の取り扱い性が向上する。
【0026】
(アンテナ導体とアンテナ基板との組み合わせ)
アンテナ導体とアンテナ基板との組み合わせとしては、特に限定されず、それぞれ上述のものを適宜組み合わせて用いることができるが、好ましい例を以下に記載する。
【0027】
例えば、空洞を有するアンテナ基板と前記空洞を塞がないような形状のアンテナ導体との組み合わせ、または空洞を有するアンテナ基板と前記空洞を塞がないように配置されたアンテナ導体との組み合わせが好ましい。より好ましくは前記空洞を有するアンテナ基板は円環状である。これらの様な組み合わせを採用することで、空洞を有するアンテナを得ることができるが、この様なアンテナを用いることで、例えば、空洞部分にカプセル型医療装置の他の構成要素を配置したり、カプセル型医療装置の構成要素の一例である撮像部をアンテナ基板よりも内側に配置したりすることができる。後者についてより詳細に説明をすると、従来のカプセル型医療装置では、撮像部の視野を遮らないようにカプセル型医療装置の外装と撮像部との間には他の構成要素を配置することがなかった。しかし、本発明のように、アンテナが空洞を有する場合、前記空洞を通じて外部を観察できるため、従来とは異なり外装と撮像部との間にアンテナを配置することができる。
【0028】
他の例としては、可視光透過性を有するアンテナ基板と前記アンテナ基板の全面を塞がないような形状のアンテナ導体との組み合わせ、または、可視光透過性を有するアンテナ基板と前記アンテナ基板の全面を塞がないように配置されたアンテナ導体との組み合わせが好ましい。より好ましくは前記アンテナ基板は無色透明であり、さらに好ましくは可視光透過率が80%以上である。これらの様な組み合わせを採用することで、部分的に可視光透過性を有するアンテナを得ることができるが、この様なアンテナを用いることで、例えば、カプセル型医療装置の構成要素の一例である撮像部をアンテナ基板よりも内側に配置したりすることができる。より詳細に説明をすると、上述したようにカプセル型医療装置の外装と撮像部との間には他の構成要素を配置することがなかった。しかし、本発明のように、アンテナが可視光透過性部分を有する場合、前記可視光透過性部分を通じて外部を観察できるため、従来とは異なり外装と撮像部との間にアンテナを配置することができる。また、可視光透過性を有するアンテナ基板には上述したように空洞が設けられていてもよい。
【0029】
(実施の形態1)
以下、本発明のアンテナの形成例を示すが、本発明は以下の記載に限定されない。
図1〜図6において、連結部28cの導体パターンは、アンテナ基板28aの上面側において接続端子31aに接続される。接続端子31aは、アンテナ導体29aにおける一方の端部近傍に対応する位置に形成されている。中間端子32aは、アンテナ基板28aの表側において、アンテナ導体29aの他方の端部の近傍に設けられる。そして、アンテナ導体29aの浮き上がりを防止するための固定用ランド33aは、アンテナ基板28aの表側において、アンテナ導体29aのほぼ中間点に対応する位置に設けられる。なお、この表面側の固定用ランド33aは、他の回路とは接続せず、独立させている。
【0030】
中間端子32aはスルーホール34を介して、アンテナ基板28aの裏側の中間端子32bに接続されている。中間端子32bは、アンテナ導体29bにおける一方の端部近傍に対応する位置に形成される。接続端子31bは、アンテナ基板28aの裏側において、アンテナ導体29bの他方の端部の近傍に設けられ、連結部28cの導体パターンに接続される。そして、アンテナ導体29bの浮き上がりを防止するための固定用ランド33bは、アンテナ基板28aの裏側において、アンテナ導体29bのほぼ中間点に対応する位置に設けられる。なお、この裏面側の固定用ランド33bも他の回路とは接続せず、独立させている。
【0031】
そして、アンテナ基板28aの表と裏側のそれぞれに、アンテナ導体29aとアンテナ導体29bとが装着され、接続端子31aとアンテナ導体29a、固定用ランド33aとアンテナ導体29a、中間端子32aとアンテナ導体29a、中間端子32bとアンテナ導体29b、固定用ランド33bとアンテナ導体29bおよび接続端子31bとアンテナ導体29bとがそれぞれ図示しないはんだによって接続される。なお、この実施の形態1では、はんだを用いたが、これは導電性接着剤を用いても良い。
【0032】
これにより、接続端子31aと接続端子31bとの間にアンテナ導体29a、29bによる螺旋状のアンテナ導体29が連結され、アンテナ基板28aに2巻きのヘリカルアンテナが形成された状態となっている。なお、この実施の形態1では、2巻きのヘリカルアンテナとしたが、これに限らず、2つのループアンテナを形成してもよい。
【0033】
このようにして、アンテナ基板28aの両面に、薄板によって形成されたアンテナ導体29a、アンテナ導体29bが装着され、これらがはんだ付け接続されることによってアンテナが形成される。これにより、厚みの薄い板状のアンテナを実現できる。従って、撮像部4の撮像機能を妨げることなく、カプセル型筐体22の小型化を促進できるとともに、同一形状・大きさのカプセル型筐体内への新たな内部構成要素の追加あるいは機能追加を容易に行うことができる。
【0034】
なお、接続端子31aと接続端子31bとの間がアンテナとなるので、接続端子31a、接続端子31bあるいは中間端子32a、中間端子32bの位置を適宜変更すれば、アンテナ導体29aやアンテナ導体29bの形状を変えずとも容易にアンテナ長の異なるアンテナを得ることができる。
【0035】
また、図2および図3において、アンテナ導体29a、アンテナ導体29bの、接続端子31a、接続端子31b、中間端子32a、中間端子32b、固定用ランド33aおよび固定用ランド33bに対応する位置に、アンテナ基板28a側に向かって突出した突起38を設けると、これらの突起38間では高架橋状態となるので、アンテナ導体29aあるいはアンテナ導体29bとアンテナ基板28aとの間に形成される隙間に他のパターン(図6の導体40)を形成することが可能となる。
【0036】
アンテナ基板28aの、アンテナ導体29で囲まれた領域には、図2および図3に示したように、中空部の一例として孔41が設けられる。この孔41には、上述のごとく、発光部3および撮像部4が貫通配置されている。この孔41を設けることにより、アンテナ基板28aを撮像部4より前方に設けても、アンテナ基板28aが撮像部4の撮像範囲内に入り込み難くすることができる。なお、孔41を設けず、この孔41の部分を、無色透明な部材で形成するようにしてもよい。これは、撮像部4による撮像が可能であればよく、この透明部材で形成することによって、アンテナ基板28aの強度を増すことができる。また、アンテナ基板28a全体を無色透明な部材で形成するようにしてもよい。
【0037】
なお、この実施の形態1では、図4に示した展開状態のものを、図1に示したようにアンテナ基板28aを曲げた場合に、発光部3および撮像部4が孔41内に入るとともに、孔41を貫通するように、この孔41の大きさなどを設定している。
【0038】
図1では孔41は1個の開口となっているが、孔41は、撮像部4や発光部3のそれぞれに対し、1個ずつの別の孔を設けるようにしても良い。
【0039】
つぎに、この発明の実施の形態1であるカプセル型医療装置の製造方法について説明する。まず、アンテナ基板28aの接続端子31a、固定用ランド33a、中間端子32aにスクリーン印刷などにより、クリーム状のはんだを塗布し、次にその上面にアンテナ導体29aを装着する。その後、リフロー炉などではんだを溶融させて、アンテナ導体29aをアンテナ基板28aへ接続固定する。
【0040】
次に、アンテナ基板28aの電子部品を装着すべき箇所や接続端子31b、固定用ランド33b、中間端子32bへスクリーン印刷などによりクリーム状のはんだを塗布し、その上面に電子部品やアンテナ導体29bを装着する。そして、リフロー炉などによってはんだを溶融させて、電子部品やアンテナ導体29bをフレキシブル基板28へ接続固定する。
【0041】
その後、図4に示した展開状態から、アンテナ基板28aや連結部28cを所定の位置で折り曲げ、接続部30aや接続部30bがコネクタ39a、コネクタ39bにそれぞれ挿入される。なお、このとき、発光部3や撮像部4が、図1〜図3に示したように、孔41を貫通するように組み立てられる。
【0042】
そして、基板27aと端子基板36との間に電池7を挟みこむ。ただし、不使用状態において、電池7の不要な電力消費を避けるため、電池7と基板27aあるいは電池7と端子基板36との間に絶縁紙が介在された状態でカプセル型筐体22内に収納される。なお、絶縁紙は、カプセル型医療装置の使用時に除去される。
【0043】
アンテナ導体29a、アンテナ導体29bは、上述したように、薄い金属板を板金加工、いわゆるプレス加工で打ち抜いて形成したものである。従って、非常に生産性が良好であり、安価である。この実施の形態1では、厚みが0.15mmの黄銅板を用いているので、錆び難く防錆処理が不要である。なお、この実施の形態1では黄銅を用いたが、これは銅板を用いても良い。この場合、導体抵抗が小さくできるので、アンテナ効率が良好になる。
【0044】
また、この実施の形態1におけるアンテナ導体29a、アンテナ導体29bのアンテナ基板28aに対向する面側には、図6に示したように、絶縁膜37を形成している。この絶縁膜37は、ポリイミドなどのような耐熱性を有する樹脂によって形成される。そして、アンテナ導体29aやアンテナ導体29bにおいて、接続端子31a、接続端子31b、固定用ランド33a、固定用ランド33b、中間端子32aと中間端子32bに対応する位置は絶縁膜37の不形成部としておく。これにより、図6に示したように、はんだ35は絶縁膜37の不形成部にのみ付着するので、アンテナ導体29のアンテナ長のばらつきを小さくできる。
【0045】
なお、この実施の形態1において、プレス加工によって発生するアンテナ導体29a、アンテナ導体29bの加工バリによってアンテナ導体29a、アンテナ導体29bと、図6に示したアンテナ導体29a、アンテナ導体29b下の導体40との短絡が発生しないようにすることが必要である。そこで、アンテナ導体29a、アンテナ導体29bがアンテナ基板28aに装着される時にバリ方向がアンテナ基板28aの反対側となるように装着するか、あるいは導体40上にも絶縁膜を形成するなどの処理を行う。
【0046】
また、この実施の形態1では、アンテナ導体29を、アンテナ基板28aの表裏に装着されたアンテナ導体29a、アンテナ導体29bで構成したが、これはアンテナ長が短くてよい場合には、一方面のみに装着しても良い。ただし、この場合には、中間端子32a、中間端子32bは不要となり、接続端子31aと接続端子31bとは同じ面に形成される。なお、この場合、アンテナ導体29は、アンテナ基板28aが折り曲げられた状態において、送信基板28bの電子部品と反対側に装着する。これは、基板28を折り曲げ前において,送信基板28bの電子部品とアンテナ導体29aとが同じ面側となるので、1度のリフロー加熱で良いためである。従って、生産性が良好なカプセル型医療装置21を実現できる。
【0047】
さらに、この実施の形態1では、接続端子31a、接続端子31bを共に送信基板28b上の送信回路へ接続する平衡型のアンテナとしたが、これは、接続端子31aあるいは接続端子31bのいずれか一方のみを送信回路へ接続すれば、不平衡型のアンテナとすることもできる。
【0048】
あるいは、アンテナ導体29に直列あるいは並列に容量素子を設ければ、同調形式のアンテナとすることもできる。その場合において、容量素子として容量を変化させることができる可変容量ダイオードを用いれば、受信あるいは送信できる周波数を可変できる同調型のアンテナを得ることも可能となる。なお、このような同調アンテナの場合、アンテナ導体29の近傍に容量素子、あるいは可変容量ダイオードを配置することが望ましい。これにより、アンテナ導体29と容量素子との間を接続するパターンなどへの妨害信号の飛び込みを少なくできる。
【0049】
この実施の形態1によれば、アンテナ導体29がアンテナ基板28a上に装着されて実現されたものであるので、このアンテナ導体29の近傍に容量素子を装着することが可能であり、同調形式のアンテナにも適する構造である。
【0050】
さらに、この実施の形態1におけるアンテナ基板28aの上面側(表面側)は暗色としている。これにより、発光部3から照射された光がアンテナ基板28aで反射し難くなるので、反射光が撮像部4に写り込み難くできる。なお、この実施の形態1では、基板28の表面に、低反射皮膜の一例として黒色のレジスト膜を塗布することで形成している。なお、アンテナ25が撮像部4より前方を覆うように設けられる場合には、アンテナ基板28aは透明とする。つまり、発光部3から照射される光をアンテナ基板28aが妨げることのないように、また撮像部4の撮像を妨げないようにするためである。
【0051】
この実施の形態1では、板状のアンテナ基板28a上に電気的に接触するアンテナ導体29を、このアンテナ基板28aに密着形成するようにしているので、アンテナ設置スペースを格段に小さくすることができ、しかも、このアンテナ基板28aとアンテナ導体29とが、撮像部4あるいは発光部3の機能を妨げずに不要スペース内に設けているので、カプセル型筐体22の小型化を促進できるとともに、同一形状・大きさのカプセル型筐体内への新たな内部構成要素の追加あるいは機能追加を容易に行うことができる。
【0052】
(実施の形態2)
つぎに、この発明の実施の形態2について説明する。この実施の形態2では、図7〜図11に示すように、アンテナ導体29に替えて、アンテナ導体29と同じC字型形状であるが、アンテナ基板28a上に立設するアンテナ導体52を用いている。換言すれば、このアンテナ導体52は、板状のアンテナ導体52a、アンテナ導体52bが、アンテナ基板28aに対して立てかけられた状態で、搭載されることとなる。
【0053】
このアンテナ導体52a、アンテナ導体52bは、板金成形の過程で、端子部53aと、端子部53bとが、アンテナ導体52bに対し、ほぼ直角に折り曲げられる。なお、端子部53aは接続端子31aや接続端子31bに対応する位置に設けられ、端子部53bは、固定用ランド33a、固定用ランド33bに対応する位置に設けられている。なお、これら端子部53a、端子部53bは、接続端子31a、接続端子31bや固定用ランド33a、固定用ランド33bとの接続用の端子として用いられるが、それ以外に突起38と同じ作用も奏するものである。
【0054】
そして、アンテナ導体52a、アンテナ導体52bは、端子部53a、端子部53bが内側となる方向にCの字形状にカーリング加工される。なお、この実施の形態2におけるアンテナ導体52a、アンテナ導体52bは、実施の形態1と同じく、厚みが0.15mmの黄銅製の薄板が好ましく用いられる。
【0055】
そして、端子部53aが接続端子31aあるいは接続端子31bへはんだ付けされ、端子部53bが固定用ランド33a、固定用ランド33bへはんだ付けされる。この場合、はんだ35は、端子部53a、端子部53bに付着する。従って、はんだ35が規定以外の箇所に付着し難くなるので、アンテナ導体52のインピーダンスが変化し難くできる。
ここで、この実施の形態2において、端子基板27bの直径は、アンテナ導体52bの直径よりも小さくしている。そして端子基板27bの側面がアンテナ導体52bと対向するように配置される。つまり、アンテナ導体52bが端子基板27bを囲むように配置されることとなる。これによって、端子基板27bの前方側におけるアンテナ導体52の高さを低くできる。従って、アンテナ導体52が撮像手段4の撮像範囲に入り込むことを発生し難くできる。さらに、端子基板27bにおいて、アンテナ基板28aと対向する面積を小さくできるので、端子基板27bの前方面側に、より多くの電子部品の搭載が可能となる。
【0056】
なお、アンテナ導体52bをアンテナ基板28aにおいて、できる限り外周近傍に装着し、アンテナ導体52bの天面が端子基板27bの前方面と対向するようにすれば、一般的に汎用の電子部品実装機では、実装が困難で実質的に部品の搭載ができない端子基板27bの外周から0.5mm程度の領域もアンテナ領域として有効的に使用できる。この場合には、基板28の面積を有効的に利用可能である。
【0057】
また、この実施の形態2では、接続部30aをアンテナ基板28aに設けている。これにより、接続部30aをアンテナ基板28aと別途折り曲げすることが不要となる。
なお、上述した実施の形態1、2では、アンテナ基板28aを端子基板27b上に配置したが、このアンテナ基板28aを、撮像手段23の基板27aと端子基板27b間、または撮像手段23と電池7間、もしくは撮像手段23と送信器24間に設置しても良い。
【0058】
また、上述した実施の形態1、2において、アンテナ導体29を構成するアンテナ導体29a、アンテナ導体29b、アンテナ導体52a、アンテナ導体52bの表面上に、はんだを設けて、その肉厚を厚くすれば、アンテナ導体29a、アンテナ導体29b、アンテナ導体52a、アンテナ導体52bとしての電気的抵抗成分を小さくすることが出来、Q値を高くすることも出来る。たとえば、図2および図3に示すように、アンテナ導体29a、アンテナ導体29bの表面側に、はんだによって凸部29cを部分的に盛りつけるようにしてもよい。もちろん、凸部29cは、アンテナ導体29a、アンテナ導体29bの全面に形成するようにしてもよい。また、アンテナ導体52aアンテナ導体52bに対して、はんだを設けた場合には、アンテナ基板28a面方向に、はんだが広がって凸部を形成し、板状のアンテナ導体52aアンテナ導体52bが肉厚の導体になる。なお、この凸部は、はんだに替えて、導電性接着剤によって形成してもよい。
【0059】
以下、添付図面を参照して、本発明のアンテナを適用しうるカプセル型医療装置について説明する。ただし、本発明は以下の記載に限定されるものではない。
【0060】
図1は、本発明のアンテナを適用したカプセル型医療装置21の縦断面図である。図1に示したカプセル型医療装置21は、カプセル型筐体22内に、撮像時に体内に照明光を発する発光部3、体内画像を撮像する撮像部4、少なくとも被検体の体内から得られた情報を外部に送信するための送信器24およびアンテナ25、これらを制御する制御部6、これらに電源を供給する電力源7が収容されている。ただし、本発明のカプセル型医療装置の構成要素としては上述のものに限定されない。例えば、撮像部の機能によっては発光部を含まない構造も取りうる。図1において適用されているアンテナは、空洞を有するアンテナ基板28aと前記空洞を塞がないような形状のアンテナ導体29との組み合わせにより形成されてなり、前記空洞内にカプセル型医療装置の構成要素の一種である発光部3および撮像部4が配置されている。以下、各構成要素について詳細を記載する。
【0061】
(筐体)
カプセル型筐体22は、カプセル型医療装置の内部構成要素を保護する役割を少なくとも担う。カプセル型筐体22の形状としては特に限定されず、例えば図1に示すように両端がドーム型の円筒形などが挙げられる。カプセル型医療装置の内部構成要素が水を嫌う場合、カプセル型筐体22は気密性を有していることが好ましい。
【0062】
カプセル型筐体の形成材料としては特に限定されず、例えば樹脂が挙げられる。
体内の情報を取得する撮像部4が、光学情報を取得する機能を有する場合、カプセル型筐体22には光学的に透明な部分を含むことが好ましい。例えば、図1に示すように半球ドーム形状をなす部分を、透明部材22aで形成することができる。
【0063】
(撮像部)
撮像部4は被検体から得られる情報を取得する機能を有する。図1ではアンテナ25の空洞を貫通するように撮像部4が配置されているが、空洞を有するアンテナ25と組み合わせて用いる場合、空洞を通じて筐体の外を観察できる位置に撮像部が配置されていてもよい。
【0064】
(送信器)
送信器24は、送信基板28bおよび送信基板上に配置された電子部品24aを含む。また、送信基板28bは、図1に示すようにアンテナ基板28aと連結していてもよい。図4に連結された送信基板28bとアンテナ基板28aとを展開した図を例示する。
【0065】
図4では、アンテナ25が設けられたアンテナ基板28aと、送信器24が設けられた送信基板28bと、この送信基板28bとアンテナ基板28aとの間を連結する連結部28cとが示されている。連結部28cを曲げることで、アンテナ基板と送信基板とを対向させることができる。例えば、図1では、アンテナ基板28aは端子基板27bの上面に端子基板27bと対向して配置され、一方、送信基板28bは電池7の下面に基板27aと対向する状態で配置される。なお、この状態において、送信基板28bは、送信基板28bに搭載された電子部品が下面側を向き、端子基板36が上面を向くように、折り曲げられているが、本発明はこの様な配置に限定されない。
【0066】
連結部28は、可撓性を有することが好ましい。連結部を形成する材質としては特に限定されず目的に応じて適宜決定することができる。
【0067】
送信基板28bとアンテナ基板28aとが連結している場合、例えば、送信基板28bおよびアンテナ基板28aの双方に亘って導体パターンを形成して、送信器24とアンテナ導体29とを電気的に連結することができる。
【0068】
(電力源)
電力源は、カプセル型医療装置の各構成要素に電力を供給する役割を少なくとも担う。
電力源としては特に限定されないが従来公知の電池を用いることができる。
【0069】
(その他の構成要素)
本発明のカプセル型医療装置には、上述の構成要素以外にも目的に応じて、従来公知のカプセル型医療装置の構成要素を含むことができる。
【0070】
また、上述した例では、1つの撮像部を有したカプセル型医療装置について説明したが、これに限らず、複数の撮像部を有したカプセル型医療装置についても適用することができる。
【0071】
さらに、上述した例では、連結部28cを有するフレキシブル基板28を用いて送信部24と、アンテナ基板28aおよびアンテナ導体29,52とを接続するようにして、アンテナ基板28aおよびアンテナ導体29,52とを撮像部近傍に配置するようにしていたが、これに限らず、カプセル型筐体22内の任意の箇所に配置してもよい。この場合であっても、アンテナ基板28aおよびアンテナ導体29,52自体が小型化されているので、カプセル型筐体22内に、さらに収納可能なスペースを確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】この発明の実施の形態1にかかるカプセル型医療装置の縦断面図である。
【図2】図1に示したカプセル型医療装置のA−A線断面図である。
【図3】図1に示したカプセル型医療装置のB−B線断面図である。
【図4】図1に示したフレキシブル基板の展開図である。
【図5】図1に示したアンテナ導体の平面図および側面図である。
【図6】図1に示したアンテナ導体要部の断面図である。
【図7】この発明の実施の形態2にかかるカプセル型医療装置の縦断面図である。
【図8】図7に示したカプセル型医療装置のC−C線断面図である。
【図9】図7に示したカプセル型医療装置のD−D線断面図である。
【図10】図7に示したアンテナ導体要部の断面図である。
【図11】図7に示したアンテナ導体の平面図および側面図である。
【符号の説明】
【0073】
3 発光部、
4 撮像部、
6 制御部、
7 電池、
21 カプセル型医療装置、
22 カプセル型筐体、
22a 透明部材、
23 撮像手段、
24 送信器、
25 アンテナ、
27a 基板、
27b 基板、
28 フレキシブル基板、
28a アンテナ基板、
28b 送信基板、
28c 連結部、
29 アンテナ導体、
29a アンテナ導体、
29b アンテナ導体、
29c 凸部、
30a 接続部、
30b 接続部、
31a,31b 接続端子、
32a 中間端子、
32b 中間端子、
33a 固定用ランド、
33b 固定用ランド
34 スルーホール、
35 はんだ、
36 端子基板、
37 絶縁膜、
38 突起、
39a コネクタ、
39b コネクタ、
40 導体、
41 孔、
52 アンテナ導体、
52a アンテナ導体、
52b アンテナ導体、
53a 端子部、
53b 端子部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カプセル型医療装置に内蔵するためのアンテナであって、
アンテナ導体と、
前記アンテナ導体の少なくとも一部と電気的に接触する板状のアンテナ基板と、
を備え、前記アンテナ導体と前記板状のアンテナ基板とが密着していることを特徴とするカプセル型医療装置用アンテナ。
【請求項2】
前記アンテナ導体は板状であり、
前記アンテナ基板の少なくとも片方の面と重なるように配置されることを特徴とする請求項1に記載のカプセル型医療装置用アンテナ。
【請求項3】
前記アンテナ導体の、前記アンテナ基板と接していない方の面に導電性を有する凸部が設けられていることを特徴とする請求項2に記載のカプセル型医療装置用アンテナ。
【請求項4】
前記凸部は、はんだであることを特徴とする請求項3に記載のカプセル型医療装置用アンテナ。
【請求項5】
前記凸部は、導電性接着剤であることを特徴とする請求項3または4に記載のカプセル型医療装置用アンテナ。
【請求項6】
前記アンテナ基板は、スルーホールを含み、
前記アンテナ導体は、アルファベットのC字形状であり、
一対の前記アンテナ導体が、前記アンテナ基板の両面に配置され、前記スルーホールにより前記一対のアンテナ導体の端部同士が電気的に接続されていることを特徴とする請求項2〜5のいずれか一つに記載のカプセル型医療装置用アンテナ。
【請求項7】
前記アンテナ導体の表面の少なくとも一部に、低反射膜が設けられていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一つに記載のカプセル型医療装置用アンテナ。
【請求項8】
前記アンテナ基板の少なくとも一方の面には低反射膜が設けられていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一つに記載のカプセル型医療装置用アンテナ。
【請求項9】
前記アンテナ基板は、無色透明であり、
前記アンテナ導体は、前記アンテナ基板の全面を塞がないように配置されているか、または前記アンテナ基板の全面を塞がないように形作られることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一つに記載のカプセル型医療装置用アンテナ。
【請求項10】
前記アンテナ基板は、中心に空洞を有する円環状を有しており、
前記アンテナ導体は、前記空洞を塞がないように配置されているか、または前記空洞を塞がないように形作られることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一つに記載のカプセル型医療装置用アンテナ。
【請求項11】
少なくとも一部が透明である筐体と、
前記筐体に収容された、請求項9に記載のカプセル型医療装置用アンテナ、撮像部、送信器、および電力源と、
を有し、
前記カプセル型医療装置用アンテナを通じて前記筐体の外を観察できる位置に、前記撮像部が配置されることを特徴とするカプセル型医療装置。
【請求項12】
少なくとも一部が透明である筐体と、
前記筐体に収容された、請求項10に記載のカプセル型医療装置用アンテナ、撮像部、送信器、および電力源と、
を有し、
前記空洞内に前記撮像部を配置したことを特徴とするカプセル型医療装置。
【請求項13】
少なくとも一部が透明である筐体と、
前記筐体に収容された、請求項10に記載のカプセル型医療装置用アンテナ、撮像部、送信器、および電力源と、
を有し、
前記空洞を通じて前記筐体の外を観察できる位置に、前記撮像部が配置されることを特徴とするカプセル型医療装置。
【請求項14】
少なくとも一部が透明である筐体と、
前記筐体に収容された、請求項1〜10のいずれか一つに記載のカプセル型医療装置用アンテナ、撮像部、送信器、および電力源と、
を有し、
前記カプセル型医療装置用アンテナは、前記撮像部の視野範囲外に配置されることを特徴とするカプセル型医療装置。
【請求項15】
少なくとも一部が透明である筐体と、
前記筐体に収容された、請求項1〜10のいずれか一つに記載のカプセル型医療装置用アンテナ、撮像部、送信器、および電力源と、
を有し、
前記送信器は、送信基板および前記送信基板上に配置された電子部品からなり、
前記アンテナ基板および前記送信基板は連結しており、さらに、前記アンテナ基板と前記送信基板とが対向するように折り曲げられていることを特徴とするカプセル型医療装置。
【請求項16】
前記アンテナ基板および前記送信基板は、連結部により連結されており、
前記連結部は可撓性を有することを特徴とする請求項15に記載のカプセル型医療装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2009−268691(P2009−268691A)
【公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−121513(P2008−121513)
【出願日】平成20年5月7日(2008.5.7)
【出願人】(304050923)オリンパスメディカルシステムズ株式会社 (1,905)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】