説明

カメラモジュールのカム構造

【課題】 端面カムの安定した動作と、初期位置出しの容易化。
【解決手段】 駆動モータと、このモータの出力軸に連動して動力を伝達するギアユニットと、このギアユニットの最終段に取り付けられる端面カムと、この端面カムに接して光軸方向に移動するレンズを保持したレンズ枠と、前記レンズを通して受光する受像素子とから成るカメラモジュールのカム構造において、前記端面カム5には、回転軸に対してカム斜面部5aと反対側に外周から突出するように突起部5cを設け、前記端面カム5の重心位置が軸心にくるようにした。裏面側には同心の環状凹溝5dが形成されて軽量化が図られている。突出部5cはこのカム5の重心位置が軸心にくるような位置と大きさに設定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話、小型カメラなどの小型携帯機器に搭載されるカメラモジュールに関し、更に詳しくは、カメラモジュールのカム構造に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話などの小型携帯機器にカメラモジュールが多用されている。このようなカメラモジュールにはオートフォーカス(AF)機能やズーム機能を組み込みながら、小型で軽量、かつ強固に構成されたものが開発されている(例えば、特許文献1参照。)。図5は従来のカメラモジュールの基本構成を示している図面である。図5に示すように、カメラモジュール50は、レンズ(G1)51aを保持したレンズ枠52aと、レンズ(G2)51b及びレンズ(G3)51cを保持したレンズ枠52bと、レンズ枠52a及び52bを駆動するモータであるステッピングモータ53と、このモータ53の出力軸に連動して動力を伝達するギアユニット54と、このギアユニット54の最終段に取り付けられる端面カム55と、CCD又はCMOS方式の受像素子56とから成っており、これらが図示しない筐体に組み込まれている。
【0003】
レンズ枠52a及び52bには、それぞれカム当接体52cがレンズ枠の外周から径方向外側へ突出して一体に形成されており、カム当接体52cは引っ張りコイルバネ58によって端面カム55のカム斜面部55aを挟み込むように係合しているから、ステッピングモータ53を駆動して端面カム55を回転させると、光軸に平行なシャフト57a及び57bに案内されたレンズ枠52a及び52bが、光軸方向に移動してオートフォーカス(AF)やズームなどの焦点調整機能を働かせるようになっている。
【0004】
このような端面カム55の初期位置を検出するには、端面カム55に貼ったアルミなどの反射テープをフォトリフレクタなどのセンサーによって検出する。或いはレンズ枠52a及び52bの外周から伸びて設けられた突起をフォトインタラプタに通過させることによって検出するという方法によっていた。
【特許文献1】特開2005−215539号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、端面カム55には、カム斜面部55aが形成されているが、カム形状を180°以下に設定するような場合には、カム斜面部55a用の肉が回転軸に対して片側に偏ることによって片重り状態になり、重心のバランスが崩れる。そして、端面カム55に片重りがあると慣性モーメントが大きくなり、駆動トルクを大きくしなければならないという問題が生じる。また、片重りがあると振動モータの原理によって端面カム55が振動を起こし易くなる。また、端面カム55の回転の初期位置を検出するためにセンサーを用いると、スペース/コスト/工数がそれぞれ増大することになって不利であるという問題があった。
【0006】
本発明の目的は、以上のような問題点を解決して、端面カムが安定したカム軌道を有し、カムの初期位置検出が容易になるカメラモジュールのカム構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前述した目的を達成するための本発明の手段は、駆動用モータと、このモータの出力軸に連動して動力を伝達するギアユニットと、このギアユニットの最終段に取り付けられる端面カムと、この端面カムに接して光軸方向に移動するレンズを保持したレンズ枠と、前記レンズを通して受光する受像素子とから成るカメラモジュールのカム構造において、前記端面カムには、回転軸に対してカム斜面部と反対側に外周から突出するように突起部を設け、前記端面カムの重心位置が軸心にくるようにしたことを特徴とする。
【0008】
また、前記突起部が前記端面カムの初期位置検出を行う際の検出部を兼ねていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、カメラモジュールにおいて、駆動用モータと、このモータの出力軸に連動して動力を伝達するギアユニットと、このギアユニットの最終段に取り付けられる端面カムと、この端面カムに接して光軸方向に移動するレンズを保持したレンズ枠と、前記レンズを通して受光する受像素子とから成るカメラモジュールのカム構造において、前記端面カムには、回転軸に対してカム斜面部と反対側に外周から突出するように突起部を設け、前記端面カムの重心位置が軸心にくるようにしたので、端面カムの軌道が安定して動作するようになった。また、前記突起部が前記端面カムの初期位置出しを行う際の検出部を兼ねているようにしたので、端面カムの初期位置検出が容易にできるようになった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の最良の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1は本発明の実施形態であるカメラモジュールの端面カムの斜視図、図2は同じ端面カムの平面図、図3は図2のA−A断面を示す断面図、図4は端面カムの底面図である。
【0011】
まず、この本発明の実施の形態であるカメラモジュール10の基本構成は従来技術で説明したものと同様であるから説明を省略する。本カメラモジュール10の端面カム5は、図1に示すように、180°の範囲にカム斜面部5aが形成されており、回転軸9に対してカム斜面部5aと反対側の外周に突出するようにして突起部5cが一体形成されている。裏面側には同心の環状凹溝5dが形成されている。突出部5cは、この端面カム5の重心位置が軸心にくるように位置と大きさが設定されている。
【0012】
次に、このカメラモジュール10の端面カム5の初期位置検出方法について説明する。初期のリセット動作時に、ステッピングモータ53を回転させて筐体に設けられたストッパ部に突起部5cをぶつける。そのぶつけた位置を原点と認識して、以降はステッピングモータ53のパルス数によって、レンズ位置を把握する。
【0013】
次に、本発明の実施形態の効果について説明する。端面カム5の裏面に設けた凹溝5dによって軽量化が図られており、カム斜面部5aの反対側の外周部に突出した突起部5cを設けて、端面カム5の重心位置が軸心にくるようにしたので、端面カム5は高速で旋回しても安定した軌道を持って動作するようになり、レンズ51a、51b及び51cの位置が正確に決まるようになった。また、端面カム5の初期位置検出の際に突起部5cを端面カム5の外側の筐体のストッパ部に付き当てることによって原点の認識が容易にできるのでスペース/コスト/工数の点から有利になった。
【産業上の利用可能性】
【0014】
本発明のカメラモジュールは、携帯電話、小型カメラ、PDAなどに広く適用できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施形態である端面カムの斜視図である。
【図2】本発明の実施形態である端面カムの平面図である。
【図3】図2のA−A断面を示す断面図である。
【図4】本発明の実施形態である端面カムの底面図である。
【図5】従来のカメラモジュールの基本構成を示す説明図である。
【符号の説明】
【0016】
5 端面カム
5a カム斜面部
5c 突起部
6 受像素子
9 回転軸
10 カメラモジュール
51a、51b、51c レンズ
52a、52b レンズ枠
53 ステッピングモータ
54 ギアユニット


【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動モータと、このモータの出力軸に連動して動力を伝達するギアユニットと、このギアユニットの最終段に取り付けられる端面カムと、この端面カムに接して光軸方向に移動するレンズを保持したレンズ枠と、前記レンズを通して受光する受像素子とから成るカメラモジュールのカム構造において、前記端面カムには、回転軸に対してカム斜面部と反対側に外周から突出するように突起部を設け、前記端面カムの重心位置が軸心にくるようにしたことを特徴とするカメラモジュールのカム構造。
【請求項2】
前記突起部が前記端面カムの初期位置検出を行う際の検出部を兼ねていることを特徴とする請求項1に記載のカメラモジュールのカム構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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