説明

カメラモジュール

【課題】カメラモジュールおよび近接センサを備える電子機器に対する搭載スペースを低減することができるカメラモジュールを提供すること。
【解決手段】センサ基板17と、レンズホルダ16と、レンズ14と、赤外線カットフィルタ15と、を具備するカメラモジュール11。センサ基板17は、固体撮像素子12および近接センサの受光部22を有する基板13である。レンズホルダ16は、センサ基板17上に、固体撮像素子12および近接センサの受光部22を覆うように実装されたものであり、筒状部18および、略中央に開口部20が設けられた天板19からなる。レンズ14および赤外線カットフィルタ15は、それぞれレンズホルダ16内に形成される。赤外線カットフィルタ15は、近接センサの受光部22の上方を除く位置に形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、カメラモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、カメラモジュールは、固体撮像素子が搭載された基板と、この基板上に実装され、レンズ等の光学系部材を内部に有するレンズホルダと、によって構成されている。
【0003】
ところで、近年は、上述のカメラモジュールが搭載されるとともに、様々なアプリケーションをタッチパネル上で操作するタイプの電子機器が存在している。このようなタイプの電子機器には、アプリケーションの誤作動を抑制するために、被測定物までの距離を検出するための近接センサが搭載される。
【0004】
しかし、従来の電子機器においては、カメラモジュールと近接センサとが別部品であるため、両者を搭載するためのスペースが大型化する問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−11198号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の実施形態は、カメラモジュールおよび近接センサを備える電子機器に対する搭載スペースを低減することができるカメラモジュールを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本実施形態によるカメラモジュールは、固体撮像素子および近接センサの受光部を有するセンサ基板と、このセンサ基板上に、前記固体撮像素子および前記受光部を覆うように実装され、筒状部および、この筒状部の一端に設けられ、略中央に開口部を有する天板からなるレンズホルダと、このレンズホルダの内部に形成されたレンズと、前記レンズホルダの内部、且つ、前記近接センサの受光部の上方を除く位置に形成された赤外線カットフィルタと、を具備することを特徴とするものである。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】第1の実施形態に係るカメラモジュールおよび近接センサの光源を模式的に示す垂直断面図である。
【図2】図1の二点鎖線X−X´に沿って示すカメラモジュールの水平断面図である。
【図3】第2の実施形態に係るカメラモジュールを模式的に示す垂直断面図である。
【図4】図3の二点鎖線Y−Y´に沿って示すカメラモジュールの水平断面図である。
【図5】第3の実施形態に係るカメラモジュールを模式的に示す上面図である。
【図6】図5の二点鎖線Z−Z´に沿って示すカメラモジュールの垂直断面図である。
【図7】赤外線遮断部および赤外線非遮断部からなる、他の形態の赤外線カットフィルタを有する第1の実施形態に係るカメラモジュールを示す、図2に相当する水平断面図である。
【図8】第2の実施形態に係るカメラモジュールのレンズホルダの他の形態を示す、図4に相当する水平断面図である。
【図9】近接センサ受光部をエリアセンサとすることによる、距離検出精度の向上の理由を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明の実施形態に係るカメラモジュールについて詳細に説明する。(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係るカメラモジュールおよび近接センサの光源を模式的に示す垂直断面図である。図1に示すように、第1の実施形態に係るカメラモジュール11は、固体撮像素子12が表面に搭載された基板13と、この基板13の表面に実装され、レンズ14および赤外線カットフィルタ15を内部に有するレンズホルダ16と、を備えるものである。
【0010】
固体撮像素子12は、フォトダイオード、マイクロレンズ等からなる複数の画素が格子状に配列形成されてなるものであり、例えばCCD(Charge Coupled Device)センサ、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサ等である。
【0011】
この固体撮像素子12が搭載される基板13は、例えばプリント基板である。なお、以降の説明において、固体撮像素子12を含み、この固体撮像素子12が搭載された基板13を、センサ基板17と称する。
【0012】
センサ基板17の表面には、レンズホルダ16が実装されている。レンズホルダ16は、両端が開口した筒状の筒状部18と、この筒状部18の一方の開口端を塞ぐように設けられた天板19と、からなるものである。天板19の略中央部には、光をレンズホルダ16内に取り込むための開口部20を有している。
【0013】
このレンズホルダ16は、内部に、レンズ14および赤外線カットフィルタ15を有している。レンズ14は、筒状部18の内壁、および天板19に接触するように形成されている。このレンズ14は、天板19の開口部20から取り込まれる、撮像対象によって反射された光L1(以下、これを撮像光L1と称する)を、上述の固体撮像素子12に集光するものである。
【0014】
また、赤外線カットフィルタ15は、筒状部18の内部において、レンズ14の下方かつ、レンズ14とは離間した位置に配置されるとともに、側面が、筒状部18の内壁に接するように形成されている。この赤外線カットフィルタ15は、天板19の開口部20から取り込まれる撮像光L1のうち、赤外線成分を遮断するためのものであり、これによって、撮像される画像の劣化が抑制されている。
【0015】
このようなレンズホルダ16は、センサ基板17の表面上に、固体撮像素子12を覆うように配置されている。そして、レンズホルダ16の筒状部18の他方の開口端が、センサ基板17の所望の位置に設けられた接着剤(図示せず)に接触するようにして、レンズホルダ16は、センサ基板17の表面上に実装されている。
【0016】
なお、上述のレンズホルダ16は、レンズ14の焦点位置が固体撮像素子12に合致するように位置が調節されて実装される。レンズホルダ16の上下方向の位置は、接着剤(図示せず)の厚みによって調節される。
【0017】
以上に説明したカメラモジュール11は、さらに、赤外線L2を出射する光源21と、光源21から出射された赤外線L2を受光する受光部22と、からなる近接センサのうち、受光部22を内部に備えている。
【0018】
近接センサの受光部22は、光源21から出射され、被測定物23によって反射された赤外線L2を受光することにより、被測定物23までの距離を検出可能にするものである。すなわち、被測定物23までの距離が近いほど、被測定物23によって反射され、受光部22で受光される赤外線L2の強度は強くなる。従って、受光部22で赤外線L2を受光し、受光量に応じて出力される強度情報から、被測定物23までの距離の検出を可能にする。
【0019】
上述のカメラモジュール11および近接センサが、例えばタッチパネルを有する携帯電話に搭載される場合、上述の被測定物23は、例えば人間の頭部である。この場合、近接センサの受光部22が人間の頭部によって反射された赤外線L2を受光することにより、人間の頭部までの距離を検出することが可能となる。
【0020】
なお、受光量に応じて出力される強度情報は、例えば、上述の携帯電話に設けられる制御部に送られる。そして、制御部では、受け取った強度情報に基づいて、例えばタッチパネルの電源のON/OFF等を制御する。
【0021】
上述の近接センサの受光部22は、センサ基板17の表面上に、レンズホルダ16に覆われるようにして搭載されている。従って、光源21から出射され、被測定物23によって反射された赤外線L2は、レンズ14および赤外線カットフィルタ15を介して受光部22に到達することになる。しかし、赤外線カットフィルタ15は、赤外線を遮断する性質を有する。従って、本実施形態にかかるカメラモジュール11における赤外線カットフィルタ15は、少なくとも一部に、赤外線L2を透過させる領域を有している。以下に、このような赤外線カットフィルタ15について、さらに詳述する。
【0022】
図1に示すように、赤外線カットフィルタ15は、赤外線遮断部24と、赤外線非遮断部25と、によって構成される。赤外線遮断部24は、例えばガラス等の光透過性を有する透明基板26の表面に、赤外線を反射させるための赤外線遮断膜27がコーティングされた部分である。赤外線遮断膜27は、例えばSiO膜とTiO膜とが積層されたものであり、全体として1μm程度の厚みになるように繰り返し積層されている。
【0023】
これに対して赤外線非遮断部25は、透明基板26の表面に赤外線遮断膜27が形成されず、透明基板26が露出した部分である。この赤外線非遮断部25は、少なくとも近接センサの受光部22の上方に形成される。以下、赤外線非遮断部25について、図2を参照してより詳細に説明する。図2は、図1の二点鎖線X−X´に沿ったカメラモジュール11の水平断面図である。
【0024】
図2に示すように、赤外線カットフィルタ15は、その側面が、略四角形のレンズホルダ16の内壁に接する略四角形のものである。この赤外線カットフィルタ15の赤外線非遮断部25は、近接センサの受光部22の上方を含む領域に形成される。ただし、赤外線非遮断部25は、レンズ14によって集光され、固体撮像素子12に到達する撮像光L1が通る領域(同図の一点鎖線S1で示す領域内)を除く領域に形成される。さらに、赤外線非遮断部25は、被測定物23によって反射された赤外線L2がカメラモジュール11に対して斜めに入射される場合を考慮して、入射された赤外線L2が通過するように、少なくとも近接センサの受光部22の面積より大きい面積を有するように形成される。
【0025】
このような赤外線非遮断部25は、光透過性を有する透明基板26の表面全面に赤外線遮断膜27を形成した後、所望の位置をパターニングにより除去することにより形成される。
【0026】
本実施形態に係るカメラモジュール11に適用される赤外線カットフィルタ15は、以上のように、赤外線遮断部24および赤外線非遮断部25を有することが好ましい。しかしながら、本実施形態においては、赤外線カットフィルタ15は、必ずしも赤外線非遮断部25を有する必要はない。
【0027】
すなわち、赤外線カットフィルタ15の赤外線遮断部24は、照射される赤外線を100%反射させることは困難であり、わずかに赤外線は透過する。従って、近接センサの光源21として、赤外線遮断部24を透過した赤外線L2が、距離を検出することが可能な程度の強度で受光部22に到達するように、極めて強い強度で赤外線L2を出射する光源21を適用してもよい。この場合には、赤外線カットフィルタ15は、必ずしも赤外線非遮断部25を有する必要はない。
【0028】
また、近接センサの光源21として、赤外線カットフィルタ17では遮断されない波長(例えば、1000μmより長波長)の光を出射する光源21を適用してもよい。この場合であっても、赤外線カットフィルタ17は、必ずしも赤外線非遮断部25を有する必要はない。
【0029】
しかしながら、光源21から、極めて強い強度で赤外線L2を出射するためには、多大は消費電力が必要であり、また、赤外線カットフィルタ17では遮断されない波長の光を出射する光源21は、一般に、通常の赤外線光源と比較して、高コストである。従って、赤外線カットフィルタ17の一部に、赤外線非遮断部25を設けることが好ましい。
【0030】
以上に説明した本実施形態に係るカメラモジュール11は、近接センサの光源21とともに、例えば携帯電話等の電子機器に搭載される。この際、近接センサの受光部22は、カメラモジュール11の内部に搭載されている。従って、カメラモジュール11とともに近接センサを電子機器に搭載する際に必要なスペースは、カメラモジュール11および近接センサの光源21を搭載するスペースだけでよい。すなわち、近接センサの受光部22を搭載するスペースは不要である。従って、電子機器に対する搭載スペースを低減することができるカメラモジュール11を提供することができる。
【0031】
(第2の実施形態)
図3は、第2の実施形態に係るカメラモジュールを模式的に示す垂直断面図である。図3に示すカメラモジュール31は、図1に示すカメラモジュール11と比較して、赤外線カットフィルタ32およびレンズホルダ33の筒状部34の内部構造が異なっている。なお、図3においては省略するが、このカメラモジュール31の近傍には、図1と同様にして、近接センサの光源21が配置される。
【0032】
図3に示されるように、第2の実施形態に係るカメラモジュール31において、赤外線カットフィルタ32は、近接センサの受光部22の上方が覆われないように形成されている。すなわち、赤外線カットフィルタ32は、その側面の一部が、レンズホルダ33の筒状部34の内壁とは離間し、後述するレンズホルダ33の仕切り部35に接するように形成されている。
【0033】
また、レンズホルダ33は、内部に仕切り部35が形成された筒状部34を有するものである。この仕切り部35は、赤外線カットフィルタ32の一部を構成する光透過性を有する透明基板26の側面が、レンズホルダ33の内部において露出することを防止するためのものである。
【0034】
すなわち、この仕切り部35が存在しない場合、透明基板26の側面が、レンズホルダ33の内部において露出し、この部分によって撮像光L1は乱反射する。この結果、撮像された画像は劣化する。しかし、仕切り部35を設けることにより、撮像光L1の乱反射は抑制され、撮像された画像の劣化は抑制される。
【0035】
なお、レンズホルダ33の筒状部34の上部、すなわち、レンズ14に接する部分の肉厚は、これ以外の部分の肉厚より厚く形成されている。なお、この肉厚の部分は、内壁が、レンズホルダ33の内部方向に、近接センサの受光部22の上方に至る領域まで延長形成される。
【0036】
以下に、これらのレンズホルダ33および赤外線カットフィルタ32について、図4を参照して、さらに詳しく説明する。図4は、図3の二点鎖線Y−Y´に沿ったカメラモジュール31の水平断面図である。
【0037】
図4に示すように、赤外線カットフィルタ32は、近接センサの受光部22の上方が開口される凹部37を有する略四角形状のものである。この赤外線カットフィルタ32は、凹部37を除く側面が、レンズホルダ33の筒状部34の内壁に接するとともに、凹部37が、レンズホルダ33の仕切り部35に接するように形成されている。
【0038】
また、レンズホルダ33は、内部に仕切り部35を有する略四角形の筒状部34を有するものである。仕切り部35は、筒状部34の内壁に接するコ字状のものである。そして、仕切り部35は、これと筒状部34の一部によって囲まれる空間が、近接センサの受光部22の上方に位置するように形成される。
【0039】
仕切り部35と筒状部34の一部によって囲まれる空間は、被測定物によって反射された赤外線L2を通過させ、赤外線L2を近接センサの受光部22に到達させることが可能なように構成される。従って、この空間は、赤外線L2がカメラモジュール31に対して斜めに入射される場合を考慮して、入射された赤外線L2が通過するように、少なくとも近接センサの受光部22の面積より大きな開口面積を有する空間となっている。しかし、上記空間は、固体撮像素子12に到達する撮像光L1を遮断しないように、この撮像光L1が通る領域(同図の一点鎖線S1で示す領域内)は覆わないように形成される。
【0040】
このような第2の実施形態に係るカメラモジュール31において、撮像光L1は赤外線カットフィルタ32によって、その赤外線成分が遮断される。しかし、光源21から出射され、被測定物23によって反射された赤外線L2は、仕切り部35と筒状部34の一部によって囲まれる空間を通過して受光部22に到達する。
【0041】
なお、本実施形態に係るカメラモジュール31においては、必ずしも仕切り部35を有する必要はない。仕切り部35が形成されない場合であっても、赤外線L2は、赤外線カットフィルタ32の凹部37とレンズホルダ33の筒状部34の内壁とで囲まれる空間を通過し、近接センサの受光部22に到達することができる。しかし、赤外線カットフィルタ32の凹部37を構成する側面から透明基板26が、レンズホルダ33の内部に露出する。従って、この露出した透明基板26に撮像光L1が照射されると、撮像光L1は乱反射される。撮像光L1が乱反射した場合、撮像した画像にはフレアが発生し、撮像した画像が劣化する問題がある。従って、この画像の劣化を抑制するために、仕切り部35は形成されることが好ましい。
【0042】
以上に説明した第2の実施形態に係るカメラモジュール31は、図1に示すカメラモジュール11と同様に、近接センサの受光部22が、カメラモジュール31の内部に搭載されている。従って、カメラモジュール31とともに近接センサを電子機器に搭載する際に必要なスペースは、カメラモジュール31および近接センサの光源21を搭載するスペースだけでよい。従って、電子機器に対する搭載スペースを低減することができるカメラモジュール31を提供することができる。
【0043】
また、第2の実施形態に係るカメラモジュール31は、赤外線カットフィルタ32の一部に、赤外線L2を通過させるための凹部37を有するものである。従って、第2の実施形態に係るカメラモジュール31は、第1の実施形態に係るカメラモジュール11と比較して、光源21の消費電力を低減することができる。
【0044】
すなわち、図2に示される赤外線非遮断部25は、赤外線L2をほぼ100%透過させる領域である。しかし、赤外線L2は、赤外線非遮断部25を通過する際に、その強度が減衰する。これに対し、第2の実施形態に係るカメラモジュール31では、赤外線L2を通過させる領域が空間である。従って、赤外線L2は、その強度が減衰することなく、この空間を通過する。従って、第2の実施形態に係るカメラモジュールによれば、光源から出射される赤外線の強度は、第1の実施形態に係るカメラモジュール11を適用した場合よりも小さくてよい。従って、光源21の消費電力を低減することができる。
【0045】
(第3の実施形態)
図5は、第3の実施形態に係るカメラモジュールを模式的に示す上面図である。また、図6は、図5の二点鎖線Z−Z´に沿ったカメラモジュールを模式的に示す断面図である。図5および図6に示されるカメラモジュール41は、図1に示すカメラモジュール11と比較して、レンズホルダ42の形状が異なっている。
【0046】
図5および図6に示すように、レンズホルダ42は、レンズ14および赤外線カットフィルタ15が内部に形成される筒状部43と、この筒状部43の一端に設けられ、略中央に開口部44が設けられた天板45と、筒状部43の外壁に設けられ、近接センサの光源21を内部に配置可能な光源収納部46と、によって構成されている。
【0047】
図5に示すように、このレンズホルダ42には、天板45に設けられた開口部44の他に、光源収納部46にも開口部47が設けられている。天板45に設けられた開口部44は、図1に示されるレンズホルダ16の天板19に設けられた開口部20と同じ構成であり、レンズ14の一部が露出する。一方で、光源収納部46に設けられた開口部47は、光源収納部46に光源21を収納した際に、光源21の一部が露出する。
【0048】
以下に、図6を参照して、上述のレンズホルダ42を有する第3の実施形態に係るカメラモジュール41について、より詳細に説明する。図6に示すように、第3の実施形態に係るカメラモジュール41において、基板48の表面上には、固体撮像素子12および近接センサの受光部22が搭載される。また、基板48の表面上において、固体撮像素子12および近接センサの受光部22とは離間した位置には、近接センサの光源21が搭載される。
【0049】
この基板48の表面上には、上述のレンズホルダ42が実装されている。このレンズホルダ42は、筒状部43が固体撮像素子12および近接センサの受光部22を覆い、光源収納部46が近接センサの光源21を覆うようにして、基板48の表面上に実装されている。
【0050】
なお、筒状部43内には、例えば第1の実施形態に係るカメラモジュール11と同様に、レンズ14および赤外線カットフィルタ15がそれぞれ形成されている。しかし、筒状部43内に配置される赤外線カットフィルタ15は、第2の実施形態に係るカメラモジュール31の赤外線カットフィルタ32であってもよい。この場合、レンズホルダ42の筒状部43の内部に、仕切り部35が形成されていることが好ましい。
【0051】
以上に説明した第3の実施形態に係るカメラモジュール41は、例えば、基板48の表面上の所定の位置に、固体撮像素子12、近接センサの受光部22、および近接センサの光源21を配置した後、これらが覆われるように、レンズホルダ42を基板48の表面上に実装することにより製造される。
【0052】
以上に説明した第3の実施形態に係るカメラモジュール41であっても、図1に示すカメラモジュール11と同様に、近接センサの受光部22を搭載するためのスペースを必要としない。従って、電子機器に対する搭載スペースを低減することができるカメラモジュール41を提供することができる。
【0053】
また、第3の実施形態に係るカメラモジュール41は、近接センサの光源21が一体化されたものである。従って、光源21を、カメラモジュール41とは別工程にて電子機器に搭載する必要がなく、カメラモジュール41を電子機器に搭載すると同時に、光源21も搭載される。従って、第3の実施形態に係るカメラモジュール41によれば、第1または第2の実施形態に係るカメラモジュール11、31と比較して、電子機器に搭載する際の工程数を減らすことができる。
【0054】
さらに、第3の実施形態に係るカメラモジュール41は、近接センサの光源21が一体化されたものである。従って、カメラモジュール41を電子機器に搭載した際に、近接センサの受光部22に対する近接センサの光源21の位置のばらつきは抑制される。従って、第3の実施形態に係るカメラモジュール41によれば、第1または第2の実施形態に係るカメラモジュール11、31と比較して、近接センサの距離検出精度を向上させることができる。
【0055】
以上に、本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の趣旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0056】
例えば、第1の実施形態に係るカメラモジュール11に適用される赤外線カットフィルタ15の赤外線非遮断部25は、図2に示されるように、近接センサの受光部22の上方のみに形成された。しかし、この赤外線カットフィルタ15の赤外線非遮断部25は、被測定物23によって反射された赤外線L2が遮断されないように形成されていればよい。従って、赤外線カットフィルタ15は、例えば以下の図7に示す構造であってもよい。
【0057】
図7は、赤外線遮断部51および赤外線非遮断部52からなる、他の形態の赤外線カットフィルタ53を有する第1の実施形態に係るカメラモジュール54を示す、図2に相当する水平断面図である。図7に示すように、赤外線カットフィルタ53の赤外線非遮断部42は、近接センサの受光部22の上方の、4辺で囲われた略四角形状の領域であり、この領域を構成する3辺がレンズホルダ16の内壁に接し、他の1辺がレンズホルダ16の内壁とは離間するように形成されてもよい。この際、赤外線非遮断部42は、他の1辺が、固体撮像素子12と近接センサの受光部22との間に配置されるように形成される。赤外線カットフィルタ53は、例えば図7に示される構造であってもよい。
【0058】
また、第2の実施形態に係るカメラモジュール31に適用されるレンズホルダ33は、図4に示されるように、側壁の一部にコ字状の仕切り部35を有するものであった。しかし、このカメラモジュール31に適用されるレンズホルダ33は、被測定物23によって反射された赤外線L2が遮断されないように形成されていればよい。従って、レンズホルダ33は、例えば以下の図8に示す構造であってもよい。
【0059】
図8は、他の形態のレンズホルダ61を有する第2の実施形態に係るカメラモジュール62を示す、図4に相当する水平断面図である。図8に示すように、レンズホルダ61の筒状部63は、4枚の平面で構成され、そのうちの1平面の一部に、他の3平面の肉厚よりも厚く形成された肉厚部64を有するものである。肉厚部64は、1平面のうち、略四角形の赤外線カットフィルタ65が配置される高さを含む位置全体にわたって、赤外線カットフィルタ65の厚みよりも厚く形成される。さらに、肉厚部64は、近接センサの受光部22の上方を覆う程度に、レンズホルダ61の内部方向に張り出して形成される。
【0060】
さらに、この肉厚部64のうち、近接センサの受光部22の上方に対応する位置には、開口部66が形成されている。この開口部66は、被測定物23によって反射された赤外線L2が通過する領域である。従って、赤外線L2がカメラモジュールに対して斜めに入射される場合を考慮して、斜めに入射された赤外線L2であっても通過する程度の開口面積を有するように形成されている。すなわち、開口部66が設けられた肉厚部64によって、仕切り部が構成されている。レンズホルダ61は、例えば図8に示される構造であってもよい。
【0061】
また、近接センサの受光部22は、例えばエリアセンサ71としてもよい。受光部22をエリアセンサ71とすることにより、近接センサの距離検出精度を向上させることができる。以下に、図9を参照して、この理由について説明する。
【0062】
図9は、近接センサの受光部22をエリアセンサ71とすることによって、距離検出精度が向上する理由を説明するための説明図である。図9に示すように、カメラモジュールから遠い位置に被測定物23−2が存在する場合、被測定物23−2によって反射された赤外線の反射光L2−2は、レンズ14の作用により、エリアセンサ71上において、レンズ14の中心O側の位置P2に戻ってくる。
【0063】
これに対して、カメラモジュールから近い位置に被測定物23−1が存在する場合、被測定物23−1によって反射された赤外線の反射光L2−1は、レンズ14の作用により、エリアセンサ71上において、レンズ14の外側の位置P1に戻ってくる。
【0064】
このような作用により、エリアセンサ71は、反射光L2−1、L2−2が受光された位置(P1、P2)を示す位置情報と、反射光L2−1、L2−2の強度情報と、を用いて被測定物23−1、23−2までの距離を検出する。従って、近接センサの受光部22をエリアセンサ71とすることによって、距離検出精度を向上させることができる。
【0065】
なお、これに対して近接センサの受光部22は、反射光のL2−1、L2−2の強度情報のみを用いて被測定物23−1、23−2までの距離を検出するため、被測定物23−1、23−2の状態(例えば肌の色の違い)による距離検出の誤差が大きい。
【0066】
この他にも、近接センサの受光部22が搭載されるカメラモジュールは、レンズホルダが、撮像光L1が遮断されることなく固体撮像素子12に到達し、かつ、被測定物23によって反射された赤外線L2が遮断されることなく受光部22に到達する構造であればよく、上述の実施形態に係るカメラモジュールに限定されるものではない。従って、例えばセンサ基板17の構造は、基板13上に固体撮像素子12が載置されたものに限定されず、例えば基板13とこの基板13上に固定されたガラス基板との間に固体撮像素子12が搭載されたセンサ基板を適用してもよい。
【符号の説明】
【0067】
11、31、41、54、62・・・カメラモジュール
12・・・固体撮像素子
13、48・・・基板
14・・・レンズ
15、32、53、65・・・赤外線カットフィルタ
16、33、42、61・・・レンズホルダ
17・・・センサ基板
18、34、43、63・・・筒状部
19、45・・・天板
20、44、47・・・開口部
21・・・光源
22・・・受光部
23、23−1、23−2・・・被測定物
24、51・・・赤外線遮断部
25、52・・・赤外線非遮断部
26・・・透明基板
27・・・赤外線遮断膜
35・・・仕切り部
37・・・凹部
46・・・光源収納部
64・・・肉厚部
66・・・開口部
71・・・エリアセンサ
L1・・・撮像光
L2、L2−1、L2−2・・・赤外線
S1・・・撮像光が通過する領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固体撮像素子および近接センサの受光部を有するセンサ基板と、
このセンサ基板上に、前記固体撮像素子および前記受光部を覆うように実装され、筒状部および、この筒状部の一端に設けられ、略中央に開口部を有する天板からなるレンズホルダと、
このレンズホルダの内部に形成されたレンズと、
前記レンズホルダの内部、且つ、前記近接センサの受光部の上方を除く位置に形成された赤外線カットフィルタと、
を具備することを特徴とするカメラモジュール。
【請求項2】
前記赤外線カットフィルタは、赤外線遮断部および赤外線非遮断部によって構成され、前記赤外線非遮断部は、前記近接センサの受光部の上方を含む領域に形成されることを特徴とする請求項1に記載のカメラモジュール。
【請求項3】
前記近接センサの受光部は、エリアセンサであることを特徴とする請求項1または2に記載のカメラモジュール。
【請求項4】
前記レンズホルダは、前記筒状部の外壁に、近接センサの光源を内部に配置可能な光源収納部を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のカメラモジュール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−60362(P2012−60362A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−200893(P2010−200893)
【出願日】平成22年9月8日(2010.9.8)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】