説明

カメラ装置、特に、車両の周辺検知システムのためのカメラ装置

【課題】この発明は、カメラ装置に関し、特に車両の周辺検知システムのためのカメラ装置に関する。
【解決手段】このカメラ装置は、光学系保持体を支持するための支持フレームを有し、この光学系は、入射光を画像センサに導くものである。この発明における前記支持フレームは、光学系保持体の接触面のための支承面を有し、画像センサの平面に対し実質的に平行に広がること、および、その光学系保持体は、支承面の平面に整列する位置に配置され、かつ、目標位置で恒常的に固定可能であることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、光学系保持体を保持するための支持フレームを有し、光学系保持体の光学系は、入射光を画像センサに導くために用いられるカメラ装置、特に車両の周辺検知システムのためのカメラ装置に関する。更に、この発明は、このようなカメラ装置のための支持フレームに関し、光学系を有する光学系保持体を画像センサに対して調整するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の技術では、車両の周辺検知システムのためのカメラ装置が知られている。このような周辺検知システムは、車両の周辺を検知し、他の車両装置の有無に関する、または車両運転者のための情報を提供する。例えば、車両の後部領域をカメラによって検知するために用いられる周辺検知システムが知られている。他のシステムは、夜間走行(夜間の視覚)の際に情報を提供する。更には、運転者が車道内にいるか否かをモニタする複数のカメラを有するシステム(車道線検知警告システム)も知られている。
【0003】
各々の知られたカメラ装置は、1つの光学系、特に1つのまたは複数のレンズを有する夫々1つの光学系保持体を具備する。更に、画像センサ、例えば画像チップまたは画像センサチップが設けられている。
【0004】
カメラ装置の取付けの際には、光学系を有する光学系保持体が画像センサに対して所定の目標位置を形成することに留意しなければならない。このときのみ、画像センサが、実際に、検知されるべき画像を検知することが保証されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、この発明の課題は、光学系を画像センサに対して容易な方法で調整して、恒常的に固定することができるカメラ装置を提供することである。この場合、出来る限り少ない部材を用いることが意図され、カメラ装置が簡単で、かつ場所を取らないような構造になっていることが意図される。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題は、明細書の冒頭の部分に記載されたタイプのカメラ装置を用いて、支持フレームが、画像センサの面に対し実質的に平行に設けられた、光学系保持体の接触面のための支承面を有し、光学系保持体は、調整位置で、支承面の面に沿って移動可能であり、目標位置で恒常的に固定可能であることによって、解決される。
【0007】
画像センサに対し平行な支承面を設けることによって、光学系保持体を、2つのみの空間方向に移動することができる。従って、光学系を画像センサに対し平行に設けることができる。光学系保持体を支持フレームの支承面に沿って移動することができることによって、光学系保持体を、目標位置に達するまで、容易な方法で、手動または自動的に、正しい位置へ移動することができる。目標位置に達すると、光学系保持体を、支持フレームに恒常的に固定することができる。
【0008】
この発明の好ましい実施の形態は、支持フレームまたは光学系保持体が、光学系保持体を支承面へ押圧するために適切である予圧手段を有することを提案する。光学系保持体または支持フレームを少なくとも部分的に抱擁し、および/または後方を把持することができるこのような予圧手段は、光学系保持体を、第3の空間方向でなく、従って画像センサの面に対し垂直に容易に移動することができるという利点を有する。このことによって、光学系保持体の移動の際に、光学系保持体を、支承面の面に沿ってのみ移動することが保証される。更に、光学系保持体を支承面へと押圧することによって、光学系保持体が、自動的に、例えば自重の故に支持フレームへ動くことがないことが達成される。
【0009】
予圧手段が、支承面および接触面夫々を覆っており、かつ支承面に対し少なくとも垂直に弾性的に可撓性を有し、かつ光学系保持体および支持フレーム夫々の後方を調整位置および/または目標位置で把持する突条部として形成されていることができることは好都合である。このように弾性的に可撓性のある突条部は、例えば、支持フレームおよび/または光学系保持体に一体的に結合されており、または支持フレームおよび/または光学系保持体に形成されていてもよい。弾性的な可撓性の故に、光学系保持体を支持フレームへ押圧することができる。
【0010】
この発明の他の実施の形態では、光学系保持体が目標位置で支持フレームに取外し不能に結合されているように、支持フレームが形成されていることが提案されている。取外し不能な結合を、例えば、光学系保持体を支持フレームに貼着および/または溶接することによって行なうことができる。
【0011】
支持フレームおよび光学系保持体が、夫々、第1のプラスチックからなること、および光学系保持体および支持フレームが、夫々、少なくとも部分的に、第2の透明なプラスチックからなり、支承面が、支持フレームの接触面と溶接可能であり、取外し不能に結合されることが特に好都合であることが明らかになった。この場合、溶接は、特にレーザ溶接法でなされる。プラスチックが光透過性を有するので、この場合、2つの材料の、接触されている表面が溶けることが保証される。レーザビームは、十分に光透過性のあるプラスチックに損傷を与えることなく、プラスチックを透過することができる。溶接は、特に、光学系保持体の角の領域で、なすことができる。
【0012】
この発明の、他の、好ましい実施の形態は、支承面および接触面が夫々、少なくとも2つの側で、少なくとも部分的に、区画突条部によって区画されていることを提案する。このような区画突条部によって、光学系保持体が、支持フレームの支承面に沿って移動可能であることが制約されている。これにより、光学系保持体の、支持フレームからの望ましくない、余りに遠い移動および場合によっては滑り落ちが防がれる。
【0013】
この場合、光学系保持体の接触面が、区画突条部が設けられていない側を通って、支承面に沿って押込み可能であることが考えられることは好ましい。
【0014】
この発明の特に好ましい実施の形態は、予圧手段が、複数の区画突条部に設けられていることを提案する。予圧手段は、この関連で、区画突条部と一体的に形成されていてもよく、特に、予圧手段は区画突条部に形成されていてもよい。
【0015】
支持フレームに対する光学系保持体の十分な移動性を保証するために、この発明では、支承面が、支承面上で支承される、光学系保持体の接触面よりも大きい寸法を有することが提案されていてもよい。
【0016】
カメラ装置の構造がコンパクトな場合、画像センサおよび/または支持フレームがプリント回路上に直接設けられていてもよい。画像センサは、プリント回路の条導体にはんだ付けされていてもよい。支持フレームは、例えば、保持用切欠き部に差し込まれているか、ねじによって、プリント回路に螺着されていてもよい。
【0017】
明細書の冒頭に記載された課題は、更に、このような支持フレームまたは光学系保持体によって、ならびに光学系を有する光学系保持体を画像センサに対し調整する方法によって解決される。支持フレームは、画像センサの面に対し実質的に平行に設けられている支承面を有する。この方法は、
a)画像センサに対する光学系、従ってまた光学系保持体の、従ってまた支持フレームの目標位置に達するまで、光学系保持体の接触面を、支持フレームの支承面に沿って移動させ、
b)光学系保持体を支持フレームに恒常的に固定するステップを有することを特徴とする。
【0018】
この場合、この発明では、目標位置を定めるために、適切なテスト画像を光学系に投影すること、および、テスト画像の位置が、画像センサによって捉えられた画像の目標位置に対応するまで、ステップa)に従って移動を行なうことが考えられる。テスト画像を作成することによって、適切な条件下での調整を行なうことができる。光学系が画像センサに対し目標位置を有することを保証することができる。
【0019】
この発明の実施の形態では、調整位置に達した後に、光学系保持体を支持フレームに溶接および/または貼着することによって、恒常的な固定が達成される。
【0020】
この発明の他の詳細および実施の形態は、以下の記述から読み取ることができる。この記述において、図面に示した実施の形態を参照して、この発明を詳述する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
図1ないし3に部分的に示したカメラ装置は、プリント回路10を有する。プリント回路上には、画像センサ用ホルダ12が、画像センサ14と共に設けられている。画像センサ14は感光性の面16を有する。
【0022】
図2に示すように、支持フレーム18は、画像センサ用ホルダ12および画像センサ14を覆うように取着されている。支持フレーム18は、中央の貫通口20を有する。入射光は、この貫通口を通って感光性の面16に達することができる。支持フレーム18は、例えばロック手段によって、またはねじによってプリント回路10に設けられていてもよい。
【0023】
支持フレーム18は、画像センサ14の面に平行に、従ってまたプリント回路10に平行に延びている矩形の支承面22を有する。図2では、支承面22が、都合3つの側で、区画突条部24,26,28によって区画されることが明らかに見て取れる。2つの向かい合っている区画突条部24,28では、夫々、中央の領域に、予圧手段30が設けられている。これらの予圧手段30は、支承面22上で中央の貫通口20の方向に迫り出している突条部34を有する。更に、突条部34は、支承面22に垂直の方向に限って弾性的に形成されている。弾性的な可撓性を実現するために、予圧手段30は縦方向スリット32を有する。突条部34は、支承面22から、寸法xだけ離隔している。
【0024】
図3では、レンズ保持体36が示されている。レンズ保持体は、支持フレーム18と反対側に、レンズを有する光学系40を具備する。ここでは、光学系40は、光学系保持体38のスリーブ状の部分の自由端に設けられている。光学系保持体は、支持フレームに向いた側で、接触面42を持った支承部分41を有する。この接触面は、支持フレーム18の支承面22に載っている。ここでは、保持面42の寸法は、支承面22の寸法よりも小さい。このことによって、光学系保持体の接触面42が支持フレームの支承面22に沿って移動可能であることが達成される。
【0025】
光学系保持体38を、区画突条部24,26および28が設けられていない支承面22の、その面を通って、予圧手段30の突条部34の下へ押し込むことができる。この場合、接触部分41の厚みは、この厚みが、支承面22と突条部34との間の間隔xよりも僅かに大きいように、選択されている。このことにより、突条部34が接触面42を支承面22へ押圧することが達成される。このことにより、支承面22における接触面42の確実な接触が保証される。
【0026】
図4に示した、予圧手段30の断面図は、突条部34および縦方向スリット32を示す。突条部34が、支承面22の方向に向いておりかつ光学系保持体38の接触部分41に接触するために用いられる鼻部44を有することが、明らかに見て取れる。
【0027】
光学系40を画像センサ14に対し調整するために、適切なテスト画像を光学系40に投影することができることが好ましい。画像センサによって捉えられた画像の位置が目標位置に対応しないときは、光学系保持体38を、支承面22に沿って、目標位置に届くまで、適切に移動することができる。
【0028】
目標位置に届く際に、光学系保持体38は、支持フレーム18に恒常的に結合される。このことを、特にレーザ溶接によって行なうことができる。この目的のためには、光学系保持体38が、レーザビームを損傷なしに透過する十分に光透過性のある材料からなることが、好ましい。このとき、レーザビームは、接触部分の領域で、この接触部分41の下方に位置する支承面22に当たる。そこでは、支持フレームの材料が溶かされる。このことによって、光学系保持体38および支持フレーム18の溶接を行なう。好ましくは、溶接が、接触部分41の、従ってまた支承面22の角の領域における点溶接または線溶接であることができる。
【0029】
典型的な溶接は、図3で、参照符号46で示されている。
【0030】
図5および6は、中央の貫通口50を持った支持フレーム48を有する、この発明の第2の実施の形態を示す。現存の支承面52は、2つの互いに直交して設けられた区画突条部54,56によって区画されている。2つの区画突条部54および56には、夫々予圧手段60が設けられている。予圧手段60は、図4に示すのと同じように、支承面52の方向に向いている鼻部66を有する突条部64を具備する。
【0031】
支承面52に対し垂直に延びている方向において突条部64の一定の弾性的な可撓性を達成するために、円形の穴68の形態の切欠きが設けられている。
【0032】
図5に示した光学系保持体70は、光学系保持体38のように、貫通口を取り囲む、平面図で矩形の接触部分72を有する。この接触部分の、支承面52に向いた側が接触面74を形成する。
【0033】
この場合、接触部分72の厚みは、鼻部66と支承面52との間の間隔よりも僅かに大きい。このことによって、プレストレスの下での、光学系保持体70の、支持フレーム48おける設置が達成される。
【0034】
光学系保持体を、図5および6に図示しない画像センサに対して調整するために、光学系保持体70を、支承面52の面に沿って移動することができる。目標位置に達する際に、光学系保持体70を、接触部分72の領域で、特に、図3に図示のようにレーザ溶接によって、支持フレーム48に恒常的に結合することが好ましい。
【0035】
明細書、上記の請求項および図面に示されたすべての特徴は、単独のみならず、互いに任意な組合せでも、この発明にとって重要である。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】この発明の第1の実施の形態の組立工程を示す。
【図2】この発明の第1の実施の形態の他の組立工程を示す。
【図3】この発明の第1の実施の形態の更に他の組立工程を示す。
【図4】図3の線IVに沿った断面を示す。
【図5】この発明の第2の実施の形態の支持フレームおよびレンズ保持体を示す。
【図6】図5に示した支持フレームを単独図で示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学系保持体(38,70)を支持するための支持フレーム(18,48)を有し、前記光学系保持体の光学系(40)は、入射光を画像センサ(14)に導くために用いられるカメラ装置、特に車両の周辺検知システムのためのカメラ装置において、
前記支持フレーム(18,48)は、前記画像センサ(14)の面に対し実質的に平行に設けられた、前記光学系保持体の接触面(42,72)のための支承面(22,52)を有すること、および前記光学系保持体は、調整位置で、前記支承面(22,52)の面に沿って移動可能であり、目標位置で恒常的に固定可能であることを特徴とするカメラ装置。
【請求項2】
前記支持フレーム(18,48)または光学系保持体(38,70)は、前記光学系保持体(38,70)を前記支承面(22,52)へ押圧するために適切である予圧手段(30,60)を有することを特徴とする請求項1に記載のカメラ装置。
【請求項3】
前記予圧手段(30,60)は、前記支承面(22,52)および前記接触面(42,72)夫々を覆っておりかつ前記支承面(22,52)および前記接触面(42,72)夫々に対し少なくとも垂直に弾性的に可撓性を有する突条部(34,64)を有し、これらの突条部は、前記光学系保持体(38,70)のまたは前記支持フレーム(18,48)の部分(41,72)の後方を把持するために適切であることを特徴とする請求項2に記載のカメラ装置。
【請求項4】
前記予圧手段(30,60)は、弾性的可撓性を実現するための切欠き部(32,68)を有することを特徴とする請求項2または3に記載のカメラ装置。
【請求項5】
前記支持フレーム(18,48)は、前記光学系保持体(38,70)が目標位置で前記支持フレーム(18,48)に取外し不能に結合されているように、形成されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1に記載のカメラ装置。
【請求項6】
前記支持フレーム(18,48)および前記光学系保持体(38,70)は夫々第1のプラスチックからなること、および前記光学系保持体(38,70)および前記支持フレーム(18,48)は夫々、少なくとも部分的に、第2の透明なプラスチックからなり、前記支承面(22,52)が前記支持フレーム(18,48)の前記接触面(42,74)と溶接可能であり、取外し不能に結合されることを特徴とする前記すべての請求項のいずれか1に記載のカメラ装置。
【請求項7】
前記支承面(22,52)および前記接触面(42,74)は夫々、少なくとも2つの側で、少なくとも部分的に、区画突条部(22,24,26,54,56)によって区画されていることを特徴とする前記すべての請求項のいずれか1に記載のカメラ装置。
【請求項8】
前記光学系保持体(38,70)の前記接触面(42,74)は、区画突条部が設けられていない側を通って、前記支承面(22,52)に沿って押込み可能であることを特徴とする請求項7に記載のカメラ装置。
【請求項9】
前記予圧手段(30,60)は、少なくとも2つの区画突条部(24,28,54,56)に設けられていることを特徴とする請求項2ないし8のいずれか1に記載のカメラ装置。
【請求項10】
前記支承面(22,52)は、前記支承面(22,52)上で支承される、前記光学系保持体(38,70)の前記接触面(42,74)よりも、大きい寸法を有することを特徴とする前記すべての請求項のいずれか1に記載のカメラ装置。
【請求項11】
前記画像センサ(14)および/または前記支持フレーム(18,58)はプリント回路(10)上に設けられていることを特徴とする前記すべての請求項のいずれか1に記載のカメラ装置。
【請求項12】
前記すべての請求項のいずれか1に記載のカメラ装置のための支持フレーム(18,58)または光学系保持体(38,70)。
【請求項13】
光学系(40)を有する光学系保持体(38,70)を画像センサ(14)に対し調整する方法であって、支持フレーム(18,58)は、前記画像センサ(14)の面に対し実質的に平行に設けられている支承面(22,52)を有し、前記光学系保持体(38,70)は、前記支承面(42,74)へ接触するための接触面(42,74)を有する方法において、
a)前記画像センサ(14)に対する前記光学系(40)、従ってまた前記光学系保持体(38,70)の、従ってまた前記支持フレーム(18,58)の目標位置に達するまで、前記光学系保持体の前記接触面(42,74)を、前記支持フレーム(18,58)の前記支承面(22,52)に沿って移動させ、
b)前記光学系保持体(38,70)を前記支持フレーム(18,58)に恒常的に固定するステップを有することを特徴とする方法。
【請求項14】
前記目標位置を定めるために、適切なテスト画像を前記光学系(40)に投影すること、および、前記テスト画像の位置が、前記画像センサ(14)によって捉えられた画像の目標位置に対応するまで、ステップa)に従って移動を行なうことを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記恒常的な固定を溶接および/または貼着によって行なうことを特徴とする請求項13または14に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2007−527033(P2007−527033A)
【公表日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−553473(P2006−553473)
【出願日】平成17年1月29日(2005.1.29)
【国際出願番号】PCT/EP2005/000894
【国際公開番号】WO2005/090127
【国際公開日】平成17年9月29日(2005.9.29)
【出願人】(303049337)バレオ・シャルター・ウント・ゼンゾーレン・ゲーエムベーハー (18)
【Fターム(参考)】