説明

カラオケシステム

【課題】従来のカラオケシステムの機能を有効に活用し、映画やドラマなどの映像コンテンツをもって、見易い映像コンテンツの映像出力と、その音響出力と利用者の台詞音声をミキシング音声出力し、利用者自らが参加した臨場感ある映像と音響を体感できると共に、利用者に対して好適に台詞を表示でき、その登場人物の台詞の発声練習を効率良く行えるカラオケシステムの提供。
【解決手段】主表示手段(D1)と副表示手段(D2)とを備え、台詞のある登場人物が含まれた映像コンテンツを有し、利用者が所望する登場人物の台詞音声を消去して音響出力すると共に、その音響出力と利用者の台詞音声とをミキシングして音声出力するためのミキシング音声出力手段(13)を備えたカラオケ演奏装置(1)を主体とし、主表示手段(D1)には、字幕テロップを表示出力させずに映像コンテンツを映像出力し、副表示手段(D2)には、当該映像コンテンツの映像出力と同期させ、消去された台詞の字幕テロップを表示出力させるように制御するための出力制御手段(18)を備えたカラオケシステムを構築した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、映像コンテンツの映像出力と、その音響出力と利用者の台詞音声とをミキシング音声出力できるカラオケ演奏装置を主体とするカラオケシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、老若男女を問わずカラオケが親しまれているが、特に最近では、個室内にカラオケ演奏装置を設置したカラオケルームを多数備える、所謂「カラオケボックス」が広く普及している。カラオケルームは、その室内にて大音響で音楽を演奏させても、あるいは、大出力で歌唱したとしても、その防音機能により、外部にはほとんど音が漏れないように設計されている。
【0003】
さらに、最近では、カラオケ演奏装置が付帯する表示装置は液晶技術やプラズマ技術の進展により薄型で大型化し、これと従来の防音機能を併用し、カラオケルーム内でカラオケ以外の映像コンテンツ、具体的には映画やドラマを鑑賞するサービスが提供されるようになっている。このようなサービスに関しては、例えば、特許文献1では、カラオケ演奏装置が付帯する各装置を併用し、映画鑑賞ができるカラオケシステムが開示されている。
【0004】
ところで、映画やドラマなどの映像コンテンツの利用法としては、例えば、アニメや洋画の声優の真似事をしたいと思う人達や声優を本気で目指す人達が、声優がアフターレコーディング所謂「アフレコ」をしているが如く、映像コンテンツから環境音(台詞音声以外の自然音や効果音など)を残し、登場人物の台詞音声を消去して音響出力することで、消去された登場人物の台詞を、その台本を見ながら発声練習をしたり、あるいは、語学の修得を目指す人達が、同様な方法で、外国語の台詞の発声練習をしたりするなどがある。
【0005】
このような映像コンテンツを利用して、台詞の発声練習をするためには、発声練習の対象となる登場人物の台詞音声を消去しなければならないが、現在の音響処理技術では、特に難しいことではない。例えば、上記特許文献1でも、映画を構成する映像信号と音声信号とを別処理できるシステムが開示され、映像信号と音声信号とを別処理とすることにより、映像に音声を付加したり消去したりできる。さらに、現在では、環境音に加え、登場人物毎に複数の音声信号を重畳して構成したり、全ての音声信号データから特定の音声周波数帯の音声信号を抽出したりして、それぞれの音声信号を別々に処理することで、例えば、環境音を残して全ての登場人物の台詞音声を消去することは勿論、所定の登場人物だけの台詞を消去することもできる。
【0006】
また、台詞の発声練習をするためには、一般的に、利用者には台本が必要となるが、映像コンテンツは映像を中心として鑑賞するため、台本用の字幕テロップが入ると映像が見難くなって好ましくないが、本来、カラオケシステムでは背景映像に歌詞テロップを入れる技術を備えているので、映像コンテンツに字幕テロップを自在に入れたり消したり、あるいは、編集することもできる。このような映像コンテンツへのスーパーインポーズ技術に関しては、例えば、特許文献3では、動画像に映画やカラオケの字幕などの静止画像を合成する際、その合成処理の負荷を低減できる画像合成システムに関する技術が開示されている。また、特許文献4では、カラオケ演奏装置の歌詞テロップのスーパーインポーズ文字を見易く表示する映像合成装置が開示されている。
【特許文献1】特開平8−292780号公報
【特許文献2】特開平11−341355号公報
【特許文献3】特開2000−101914号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
現在では上記のような技術がありながら、実際には、カラオケシステムが提供する映像コンテンツを利用した台詞の発声練習サービスは普及していない。換言すれば、従来のカラオケシステムの機能を有効に活用し、映画やドラマなどの映像コンテンツをもって、登場人物の台詞の発声練習ができるシステム、具体的には、映像コンテンツの映像出力と、その音響出力と利用者の台詞音声をミキシング音声出力できると共に、利用者に対して好適に台詞を表示できる有効なカラオケシステムは確立されていなかった。
【0008】
そこで、本発明は、従来のカラオケシステムの機能を有効に活用し、映画やドラマなどの映像コンテンツをもって、見易い映像コンテンツの映像出力と、その音響出力と利用者の台詞音声をミキシング音声出力し、利用者自らが参加した臨場感ある映像と音響を体感できると共に、利用者に対して好適に台詞を表示でき、その登場人物の台詞の発声練習を効率良く行えるカラオケシステムの提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を鑑み、本発明者らは、主表示手段と副表示手段とを備え、映像コンテンツを映像出力する際、利用者が所望する登場人物の台詞音声を消去し、その音響出力と利用者の台詞音声とをミキシング音声出力すると共に、主表示手段には、如何なる台詞の字幕テロップも表示させずに見易い映像コンテンツを映像出力し、副表示手段には、当該映像コンテンツの映像出力と同期させ、その消去された台詞を字幕テロップ表示させるように制御できるカラオケシステムを構築することで、上記課題を解決できることを見出し、本発明のカラオケシステムを想到した。
【0010】
すなわち、本発明の請求項1記載のカラオケシステムは、主表示手段と副表示手段とを備え、台詞のある登場人物が含まれた映像コンテンツを有し、当該映像コンテンツの全てまたは所定の前記登場人物の台詞音声を消去して音響出力すると共に、その音響出力と利用者の台詞音声とをミキシングして音声出力するためのミキシング音声出力手段を備えたカラオケ演奏装置を主体としてなり、
前記主表示手段には、如何なる台詞の字幕テロップも表示させずに前記映像コンテンツを映像出力し、
前記副表示手段には、当該映像コンテンツの映像出力と同期させ、少なくとも前記消去された台詞の字幕テロップを表示出力させる、
ように制御するための出力制御手段を有してなることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の請求項2記載のカラオケシステムは、請求項1記載のカラオケシステムにおいて、前記副表示手段が、前記カラオケ演奏装置が付帯するカラオケリモコン装置に組み込まれてなることを特徴とする。
【0012】
さらに、本発明の請求項3記載のカラオケシステムは、請求項1ないし請求項2記載のカラオケシステムにおいて、前記台詞の字幕テロップが台本様態であって、字幕テロップ毎に登場人物のID表示が付されてなることを特徴とする。
【0013】
そして、本発明の請求項4記載のカラオケシステムは、請求項3記載のカラオケシステムにおいて、前記台本様態の台詞の字幕テロップが、台詞の進行に伴って色変わりするように制御されてなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明の請求項1記載のカラオケシステムによれば、利用者が所望する登場人物の台詞音声を消去して音響出力し、これと利用者の台詞音声をミキシング音声出力すると共に、主表示手段には、如何なる台詞の字幕テロップも表示させずに映像コンテンツを映像出力し、副表示手段には、当該映像コンテンツの映像出力と同期させ、消去された台詞を字幕テロップにて表示することにより、利用者自らが参加した臨場感ある映像と音響を体感できると共に、利用者にとって映像表示とは別表示の台詞の文字テロップは非常に見易く、台詞の発声練習を効率良く行えるなどといった効果を奏する。
【0015】
また、本発明の請求項2記載のカラオケシステムによれば、副表示手段が、前記カラオケ演奏装置が付帯するカラオケリモコン装置に組み込まれており、現在のカラオケリモコン装置には、LCD(Liquid Crystal Display)が標準装備されていることから、その表示機能とリモータブル機能を効率良く活用することで、利用者の手元にて台詞の字幕テロップを容易かつ明瞭に見ることができるといった効果を奏する。
【0016】
さらに、本発明の請求項3記載のカラオケシステムによれば、字幕テロップが台本様態であって、字幕テロップ毎に登場人物のID表示が付されているため、実際の冊子状の台本と同じように活用でき、利用者が分かり易く台詞を読めるといった効果を奏する。
【0017】
そして、本発明の請求項4記載のカラオケシステムによれば、台本様態の字幕テロップが、台詞の進行に伴って色変わりするように制御されるため、カラオケ演奏時の歌詞テロップの色変わりと同様に、色変わりが台詞の発声タイミングを利用者に知らしめることができ、利用者がこれに基づき、より分かり易く台詞を読めるといった効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明のカラオケシステムについて、最適な実施例を挙げて詳述するが、先ず、図1に示す、本発明のカラオケシステムを構成するカラオケ演奏装置のブロック構成図に基づき、本システムの全体構成について説明する。
【実施例1】
【0019】
本実施例のカラオケシステムを構成するカラオケ演奏装置(1)は、装置全体の動作を制御する中央制御手段(2)と、これに接続された各種機器で構成され、この中央制御手段(2)には、ハードディスク(3)、RAM(4)、音源(シンセサイザ:5)、ミキサ(6)、PCMデコーダ(9)、MPEGデコーダ(10)、合成回路(11)、リモコン装置(R)などが接続されている。特に、ハードディスク(3)には、歌唱コンテンツデータ(C1)として、個々のカラオケ楽曲を特定する楽曲コード(20)に紐付けされた、演奏データ(21)、背景映像データ(22)、歌詞テロップデータ(23)などが記録され、一方、映像コンテンツデータ(C2)として、個々の映像コンテンツを特定する映像コード(24)に紐付けされた、映像データ(25)、音響データ(26)、字幕テロップデータ(27)などが記録されている。
【0020】
歌詞テロップデータ(23)および字幕テロップデータ(27)とは、カラオケ楽曲の演奏および映像コンテンツの映像出力に同期して表示される文字テロップの起源となるデータである。これらの文字テロップデータは、歌詞や字幕を構成する各文字を所定のコードで表記した文字情報や、各文字の表示位置や文字フォント、文字タイプ(イタリック・ボールド等)を指定する表示レイアウト情報、各文字の色変え開始時刻と色変え終了時刻とをタイムコードデータで表記した色変え制御情報、あるいは、同じくタイムコードデータで表記した文字の表示・消去時期を規定する表示タイミングデータなどを含んで構成されている。
【0021】
ここで、各機能手段について少々説明する。通信制御手段(12)は、ADSL回線、ISDN回線、一般電話回線などを介して、インターネット上にカラオケ事業者が管理するVPN(Virtual Private Network)を用いてカラオケホスト装置(図示省略)に接続するための制御を行う。このカラオケホスト装置からは、個々のカラオケ演奏装置(1)へ歌唱コンテンツデータ(C1)および映像コンテンツデータ(C2)に関する各種データが配信される。
【0022】
歌唱コンテンツデータ(C1)の場合、音源(5)は、中央制御手段(2)が実行する楽曲シーケンサ(15)の処理によって入力された演奏データに応じて楽音信号を形成する。形成された楽音信号はミキサ(6)に入力され、このミキサ(6)は、音源(5)が発生した複数の楽音信号やカラオケマイク(M)と、A/Dコンバータ(8)を介して入力された利用者の歌唱音声信号を適当なバランスでミキシングする。ミキシングされたデジタル音声信号はサウンドシステム(SS:7)に入力される。このサウンドシステム(7)はパワーアンプを備え、入力されたデジタル信号をアナログ信号に変換して増幅してスピーカ(S)から楽音と歌唱音声を放音する。なお、A/Dコンバータ(8)によってデジタル信号に変換された歌唱音声信号はボーカルアダプタ(図示省略)にも入力され、このボーカルアダプタから採取された歌唱音声信号の歌唱周波数により歌唱力の自動採点などが行われる。
【0023】
一方、映像コンテンツデータ(C2)の場合、ミキシング音声出力手段(13)は、PCM(Pulse Code Modulation)形式で記録されている音響データ(26)を抽出し、これをPCMデコーダ(9)にて再生させて音響出力し、これをミキサ(6)に入力するように制御する。そして、歌唱コンテンツの場合と同様、ミキサ(6)は、A/Dコンバータ(8)を介して入力された利用者の台詞音声を適当なバランスでミキシングし、ミキシングされたデジタル音声信号はサウンドシステム(7)に入力される。なお、歌唱コンテンツデータ(C1)におけるのと同様、A/Dコンバータ(8)によってデジタル信号に変換された台詞音声信号をボーカルアダプタ(図示省略)にも入力することで、このボーカルアダプタから採取された台詞音声信号の発声周波数により、例えば、これを外国語の台詞音声の自動採点にも利用できるように構成すれば、外国語の発声練習にも効果的に活用することもできる。
【0024】
ハードディスク(3)に記録されている歌唱コンテンツデータ(C1)の背景映像データ(22)と映像コンテンツデータ(C2)の映像データ(25)は共にMPEG(Moving Picture Experts)形式で記録されており、出力制御手段(18)が、これを読み出して、MPEGデコーダ(10)に入力して再生処理を行う。歌唱コンテンツデータ(C1)の場合、このMPEGデコーダ(10)は、入力されたMPEGデータをNTSCの映像信号に変換して合成回路(11)に入力し、この合成回路(11)は、VRAM(Video RAM)上で、この映像信号上で歌詞テロップをOSD合成し、その映像信号を主表示手段(D1)に表示する。
【0025】
また、映像コンテンツデータ(C2)の場合、出力制御手段(18)は、映像データ(25)がMPEGデコーダ(10)により、その圧縮データが伸長されてコンポジットの映像信号に変換された後、如何なる台詞の字幕テロップも合成しない状態で主表示手段(D1)に映像出力するように制御すると共に、字幕テロップデータ(少なくとも消去された台詞の字幕テロップデータ)は合成回路(11)を経るものの合成は行われず、その信号は迂回経路にて送信され、副表示手段(D2)に表示するように制御される。なお、この合成回路(11)はフェード機能も有しており、字幕テロップをフェードイン・フェードアウトしたり、複数行の字幕テロップを表示出力する際、その一部の行のみをフェードインしたりフェードアウトしたりすることもできる。なお、本実施例では、副表示手段(D2)には字幕テロップの表示だけで、映像データ(25)は映像出力しなが、本発明はこれに限定されず、副表示手段(D2)に、この合成回路(11)にて字幕テロップを合成した映像データ(25)を映像出力しても構わない。
【0026】
リモコン装置(R)は利用者インタフェイスやリモコン信号送信回路などからなり、利用者の操作に応じた操作信号を中央制御手段(2)に入力する。この中央制御手段(2)は、操作入力処理手段(19)によって、この操作信号を検出し、対応する処理を行う。例えば、リモコン装置(R)にて楽曲コードが入力されると、これを操作入力処理手段(19)が検出し、カラオケ楽曲のリクエストであるとしてシーケンサ(14)に伝達し、同じように、映像コードが入力されると、映像コンテンツのリクエストであるとしてシーケンサ(14)に伝達する。このシーケンサ(14)は、これに応じて、この楽曲コード(20)や映像コード(24)で識別される演奏データ(21)や映像データ(25)などをハードディスク(3)から読み出す。
【0027】
このシーケンサ(14)は主に楽曲シーケンサ(15)、文字シーケンサ(16)からなっており、楽曲シーケンサ(15)は、演奏データ中の演奏データトラック、ガイドメロディトラックなどのトラックデータを読み出し、このデータで音源(5)を制御することでカラオケ楽曲の演奏を行う。一方、文字シーケンサ(16)は、文字パターン作成手段(17)を備えており、歌唱コンテンツデータ(C1)における歌詞テロップデータ(23)の他、映像コンテンツデータ(C2)における字幕テロップデータ(27)の画像パターンを作成し、これを上記した合成回路(11)に出力する。
【0028】
ここで、図2に示す、映像コンテンツデータの概略的構成図と、図3に示す、映像出力と字幕テロップ表示タイミングとの同期方法の概念図に基づき、本発明についてさらに詳述する。
【0029】
先ず、図2に示すように、本実施例の映像コンテンツデータ(C2)は、個々の映像コンテンツ毎に映像コード(24)が付されて識別される。その構成は主に映像データ(25)、音響データ(26)、台詞の字幕テロップデータ(27)からなる。音響データ(26)は、環境音データ(26x)に加え、台詞のある登場人物AからDを識別する「人物コードa」から「人物コードd」に紐付けされた台詞音声データ(26a)、(26b)、(26c)、(26d)からなり、各台詞音声データは個別に処理できるように独立可能に記録されている。利用者は自ら所望する登場人物を選択することで、環境音データ(26x)を残して全ての登場人物の台詞音声データ(26a)、(26b)、(26c)、(26d)を消去することは勿論、所定の登場人物だけの台詞を消去することもでき、消去された台詞音声データを除いた音響データが音響出力される。
【0030】
また、台詞の字幕テロップデータ(27)は、音響データ(26)の上記各台詞音声データに対応し、上記と同じ登場人物AからDを識別する「人物コードa」から「人物コードd」に紐付けされた字幕テロップデータ(27a)、(27b)、(27c)、(27d)からなり、各台詞音声データについても個別に処理できるように独立可能に記録され、利用者が選択して消去された台詞音声データに対応する字幕テロップデータが抽出されて副表示手段に表示するように制御される。そして、図3に示すように、映像データには、その映像出力の進行に伴うタイムコードデータが付帯されており、このタイムコードデータに基づき、映像コンテンツの映像出力との同期を取るように、登場人物A〜D毎にその台詞の字幕テロップの表示・消去時期を規定するタイミングデータが設定されている。
【0031】
以下、本発明のカラオケシステムについて、別の実施例を挙げて詳述するが、特に、図4に示す、本発明のカラオケシステムのシステムフロー図、図5に示す、カラオケリモコン装置の外観斜視図、図6および図7に示す、カラオケリモコン装置に組み込まれた副表示手段の表示画面に基づき、本システムにおける処理手順と、本発明の請求項2、請求項3および請求項4記載の発明について詳述する。
【実施例2】
【0032】
先ず、図4に示すように、利用者は映像コードにより映像コンテンツを指定する(S1)。映像コンテンツの指定は、図5に示す、カラオケリモコン装置(R)を利用するが、ここで、カラオケリモコン装置(R)について少々説明する。図5の(イ)の正面斜視図に示すように、カラオケリモコン装置(R)は、その正面に液晶ディスプレイ(Ra)とタッチセンサ(Rb)とを積層してなるタッチパネルを備えており、本実施例では、このカラオケリモコン装置(R)に組み込まれた液晶ディスプレイ(Ra)を副表示手段としている。また、このタッチセンサ(Rb)は利用者にGUI(Graphical User Interface)環境を提供し、利用者からの指示をカラオケ演奏装置に伝達する。さらに、図5の(ロ)の背面斜視図に示すように、その背面の下方所定部には接続端子(Rc)が設けられ、カラオケ演奏装置と有線にて接続している専用架台(図示省略)に装着されると、その接続によりカラオケ演奏装置から、所定の台詞の字幕テロップデータなどが転送されてくる。
【0033】
図6の表示画面(Ra1)は、利用者が映像コンテンツを指定する際の利用者インタフェイスを示しており、この表示画面(Ra1)には、歌唱コンテンツか映像コンテンツかを選択するための「カラオケコンテンツ」アイコン(30)と「シネマコンテンツ」アイコン(31)が設けられており、利用者が後者を選択すると表示画面(Ra2)に切り替わる。この表示画面(Ra2)では、利用者は所望する映像コンテンツの映像コードを、カラオケ楽曲の指定と同様、テンキー列(33)を利用して映像コード入力欄(34)に入力する。入力後、「転送」アイコン(35)を選択すると映像コンテンツが正式に指定される。
【0034】
映像コンテンツが正式に指定されると、次に、図4に示すように、利用者は自らが所望する登場人物を、その人物コードにより指定する(S2)。ここで、図7の表示画面(Ra3)は登場人物を指定するための利用者インタフェイス表示画面である。この表示画面(Ra3)では、台詞のある登場人物の顔写真(あるいはアニメ画)と共に、登場人物のIDである氏名ないしニックネームなどを掲載した登場人物指定欄(36)が設けられ、それぞれの登場人物を指定するための「指定」アイコン(36a)が備えられており、利用者は所望の登場人物を指定して「転送」アイコン(35)を選択すると登場人物が正式に指定される。なお、本発明では、登場人物の指定は全てでも所定でも構わず、また、所定の場合であっても単数でも複数でも構わない。
【0035】
登場人物が正式に指定されると、次に、図4に示すように、映像コンテンツの音響出力については、指定登場人物の台詞音声データ以外の音響データが抽出され(S3)、この抽出音響データが出力される(S4)。この時、互いの同期をとって、主表示手段では、字幕テロップを非表示として映像データが出力され(S5)、リモコン装置の液晶ディスプレイでは、指定された登場人物の台詞の字幕テロップが表示される(S6)。そして、映像コンテンツの映像出力中に、利用者はこの字幕テロップを見ながらその台詞音声を発し、その音響出力とミキシングされ音声出力される(S7)。
【0036】
映像コンテンツの映像出力中には、図7の表示画面(Ra4)が示すように、利用者が指定した登場人物の台詞の字幕テロップ(38)が台本様態にて表示される。すなわち、本実施例では、利用者が指定した登場人物の台詞の字幕テロップは勿論、その他の登場人物の字幕テロップも表示され、その字幕テロップ毎に登場人物のID(38a)も表示される。また、この表示画面(Ra4)には、タイムコード表示部(37)も備えられ、映像出力の進行に伴い刻々と時間表示する。各登場人物の台詞の字幕テロップには、このタイムコード表示を利用し、これに基づき、台詞を発声するタイミング時間(38b)も表示され、これらにより、カラオケリモコン装置を実際の冊子状の台本と同じように活用でき、利用者が分かり易く台詞を読める。なお、本実施例では、利用者が指定した登場人物以外の台詞の字幕テロップも表示しているが、本発明では、勿論、指定した登場人物の台詞の字幕テロップだけを表示させても構わない。
【0037】
さらに、本実施例では、このような台本様態の台詞の字幕テロップが、台詞の進行に伴って色変わりする。図7の表示画面(Ra4)では、カラオケシステムの歌詞テロップの色変わり機能を利用し、登場人物の台詞の進行に合わせ、台詞音声を現に発している字幕テロップ(38c)と直後に発する字幕テロップ(38d)とは異なる色で表現されており、台詞の進行に伴って色変わりしている。この色変わりによって台詞の発声タイミングを利用者に知らしめることができ、利用者は、より分かり易く台詞を読める。そして、最後に、図4に示すように、所定時間が経過し、映像コンテンツの映像出力の終了(S8)にて本システムは終了する。
【0038】
以上、詳述したように、本発明のカラオケシステムによれば、利用者が所望する登場人物の台詞音声を消去して音響出力し、これと利用者の台詞音声をミキシング音声出力すると共に、主表示手段には、如何なる台詞の字幕テロップも表示させずに映像コンテンツを映像出力し、副表示手段には、当該映像コンテンツの映像出力と同期させ、消去された台詞を字幕テロップにて表示することにより、利用者自らが参加した臨場感ある映像と音響を体感できると共に、利用者にとって映像表示とは別表示の台詞の文字テロップは見易くなり、台詞の発声練習を効率良く行える。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明のカラオケシステムを構成するカラオケ演奏装置のブロック構成図。
【図2】映像コンテンツデータの概略的構成図。
【図3】映像出力と字幕テロップ表示タイミングとの同期方法の概念図。
【図4】本発明のカラオケシステムのシステムフロー図。
【図5】カラオケリモコン装置の外観斜視図。
【図6】カラオケリモコン装置に組み込まれた副表示手段の表示画面。
【図7】カラオケリモコン装置に組み込まれた副表示手段の表示画面。
【符号の説明】
【0040】
1 カラオケ演奏装置
2 中央制御手段
3 ハードディスク
6 ミキサ
9 PCMデコーダ
10 MPEGデコーダ
11 合成回路
13 ミキシング音声出力手段
18 出力制御手段
24 映像コード
25 映像データ
26 音響データ
27 字幕テロップデータ
D1 主表示手段
D2 副表示手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
主表示手段と副表示手段とを備え、台詞のある登場人物が含まれた映像コンテンツを有し、当該映像コンテンツの全てまたは所定の前記登場人物の台詞音声を消去して音響出力すると共に、その音響出力と利用者の台詞音声とをミキシングして音声出力するためのミキシング音声出力手段を備えたカラオケ演奏装置を主体としてなり、
前記主表示手段には、如何なる台詞の字幕テロップも表示させずに前記映像コンテンツを映像出力し、
前記副表示手段には、当該映像コンテンツの映像出力と同期させ、少なくとも前記消去された台詞の字幕テロップを表示出力させる、
ように制御するための出力制御手段を有してなるカラオケシステム。
【請求項2】
前記副表示手段が、前記カラオケ演奏装置が付帯するカラオケリモコン装置に組み込まれてなる請求項1記載のカラオケシステム。
【請求項3】
前記台詞の字幕テロップが台本様態であって、字幕テロップ毎に登場人物のID表示が付されてなる請求項1ないし請求項2記載のカラオケシステム。
【請求項4】
前記台本様態の台詞の字幕テロップが、台詞の進行に伴って色変わりするように制御されてなる請求項3記載のカラオケシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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