説明

カラオケシステム

【課題】利用者が実際に感じる印象に近い演奏評価を実現するカラオケシステムを提供する。
【解決手段】所定の演奏曲の出力に対応して、マイクロフォン40により入力された音声に関する情報を記録する記録制御手段96と、その記録制御手段96により記録された音声に関する情報を、対応する演奏曲と関連づけて記憶するSNSデータベース84と、所定の演奏曲の出力に際して、そのSNSデータベース84にその演奏曲に関連づけられて記憶された音声に関する情報に基づいて演奏評価を行う演奏評価制御手段100とを、備えたものであることから、利用者の実際の歌唱に相当する情報に基づいて演奏評価を行うことで、利用者が実際に感じる印象に近い演奏評価を実現するカラオケシステム10を提供することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多数の演奏曲のうちから選択される所定の演奏曲を出力させるカラオケ装置を用いたカラオケシステムに関し、特に、利用者が実際に感じる印象に近い演奏評価を実現するための改良に関する。
【背景技術】
【0002】
多数の演奏曲のうちから選択される所定の演奏曲を出力させる音楽再生装置が知られている。例えば、カラオケボックス等で使用されるカラオケ装置がそれである。斯かるカラオケ装置によれば、予め記憶装置に記憶された多数のカラオケ演奏曲から選択された所定のカラオケ演奏曲の音楽情報を出力させると共に、そのカラオケ演奏曲の歌詞情報を含む映像をその出力に同期して画面に表示させることで、所望の歌のカラオケ演奏を楽しむことができる。
【0003】
ところで、近年普及しているカラオケ装置には、上述のような音楽再生装置としての機能のみならず、音声入力装置(マイクロフォン)から入力される音声情報に基づいて歌唱力等を評価(採点)する演奏評価機能を備えたものがある。例えば、特許文献1に記載されたカラオケ装置がそれである。斯かるカラオケ装置によれば、音程、テンポ、音量等を基準として音声入力装置から入力される音声情報とカラオケ演奏曲の演奏情報とを比較することで、その入力される音声情報に応じて歌唱の評価を採点することができる。
【0004】
【特許文献1】特開平9−101794号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上述した従来技術のような演奏評価は、通常、予め定められたアルゴリズムに従い、MIDI(Musical Instrument Digital Interface)データ等の演奏情報を基準として機械的に行われるものであったことから、利用者が実際に上手いと感じる演奏に正当な評価が与えられなかったり、逆に歌い方によっては下手な演奏に高い評価が与えられるというように、利用者の感じ方と演奏評価とか必ずしも一致しないという不具合があった。このため、利用者が実際に感じる印象に近い演奏評価を実現するカラオケシステムの開発が求められていた。
【0006】
本発明は、以上の事情を背景として為されたものであり、その目的とするところは、利用者が実際に感じる印象に近い演奏評価を実現するカラオケシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
斯かる目的を達成するために、本発明の要旨とするところは、多数の演奏曲のうちから選択される所定の演奏曲を出力させると共に音声入力装置により入力される音声を増幅して出力させるカラオケ装置を用いたカラオケシステムであって、所定の演奏曲の出力に対応して、前記音声入力装置により入力された音声に関する情報を記録する記録制御手段と、その記録制御手段により記録された音声に関する情報を、対応する演奏曲と関連づけて記憶するデータベースと、所定の演奏曲の出力に際して、そのデータベースにその演奏曲に関連づけられて記憶された音声に関する情報に基づいて演奏評価を行う演奏評価制御手段とを、備えたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0008】
このようにすれば、所定の演奏曲の出力に対応して、前記音声入力装置により入力された音声に関する情報を記録する記録制御手段と、その記録制御手段により記録された音声に関する情報を、対応する演奏曲と関連づけて記憶するデータベースと、所定の演奏曲の出力に際して、そのデータベースにその演奏曲に関連づけられて記憶された音声に関する情報に基づいて演奏評価を行う演奏評価制御手段とを、備えたものであることから、利用者の実際の歌唱に相当する情報に基づいて演奏評価を行うことで、利用者が実際に感じる印象に近い演奏評価を実現するカラオケシステムを提供することができる。
【0009】
ここで、好適には、前記音声に関する情報は、前記音声入力装置により入力された音声をディジタル信号化したものであり、前記データベースに記憶されたその音声に関する情報に基づいてその情報に対応する音声を出力させる音声出力手段と、その音声出力手段により出力される音声に対して投票評価を受け付ける投票評価制御手段とを、備え、前記データベースは、その投票評価制御手段による投票評価結果を、対応する演奏曲と関連づけて記憶するものであり、前記演奏評価制御手段は、所定の演奏曲の出力に際して、そのデータベースにその演奏曲に関連づけられて記憶された前記音声に関する情報及び投票評価結果に基づいて演奏評価を行うものである。このようにすれば、利用者の実際の歌唱に対して投票評価を受け付け、その投票評価結果に基づいて演奏評価を行うことで、更に利用者が実際に感じる印象に近い演奏評価を実現することができる。
【0010】
また、好適には、前記データベースは、複数の利用者それぞれに対応して、その利用者の演奏に係る音声に関する情報を、対応する演奏曲と関連づけて記憶するものである。このようにすれば、所定の利用者を対象として、その利用者の実際の歌唱に相当する情報に基づく演奏評価を実現することができる。
【0011】
また、好適には、所定の演奏曲の選曲入力が行われた場合に、その演奏曲に対応する音声に関する情報が前記データベースに記憶されているか否かを通知する通知制御手段を備えたものである。このようにすれば、利用者の実際の歌唱に相当する情報に基づく演奏評価の可否を好適に通知することができる。
【0012】
また、好適には、前記演奏評価制御手段は、所定の演奏曲の出力に際して、前記音声入力装置により入力される音声のピッチ及び音量と前記データベースにその演奏曲に関連づけられて記憶された音声のピッチ及び音量とを比較することで前記演奏評価を行うものである。このようにすれば、利用者の実際の歌唱に相当する情報に基づいて実用的な態様で演奏評価を行うことができる。
【0013】
また、好適には、前記データベースは、複数の利用者それぞれに対応して、複数の演奏曲に関する前記演奏評価制御手段による演奏評価結果を記憶するものであり、前記演奏評価制御手段は、それら演奏評価結果の平均に基づいて前記演奏評価を行うものである。このようにすれば、所定の利用者を対象として、その利用者の過去の演奏評価結果に基づく演奏評価を行うことで、更に利用者が実際に感じる印象に近い演奏評価を実現することができる。
【0014】
また、好適には、前記データベースは、複数の利用者それぞれに対応して、複数の演奏曲に関する前記投票評価制御手段による投票評価結果を記憶するものであり、前記演奏評価制御手段は、それら投票評価結果の平均に基づいて前記演奏評価を行うものである。このようにすれば、所定の利用者を対象として、その利用者に対する過去の投票評価結果に基づく演奏評価を行うことで、更に利用者が実際に感じる印象に近い演奏評価を実現することができる。
【0015】
また、好適には、前記データベースは、複数の利用者をフレンドとして相互に関連づけて記憶するものであり、前記演奏評価制御手段は、所定の利用者に係る演奏曲の出力に際して、そのデータベースにその利用者のフレンドに対応してその演奏曲と関連づけられて記憶された音声に関する情報に基づいて演奏評価を行うものである。このようにすれば、ソーシャルネットワークサービスにおいてフレンドとして登録された利用者の実際の歌唱に相当する情報に基づく演奏評価を実現することができる。
【0016】
以下、本発明の好適な実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
【実施例】
【0017】
図1は、本発明が好適に適用されるカラオケシステム10を説明する概略図である。この図1に示すように、本実施例のカラオケシステム10では、カラオケボックス、スナック、旅館等の店舗12における複数の個室14a、14b、14c、・・・(以下、特に区別しない場合には単に個室14と称する)にそれぞれ1台乃至は複数台ずつ(図1では1台ずつ)のカラオケ装置16a、16b、16c、・・・(以下、特に区別しない場合には単にカラオケ装置16と称する)が設置されている。これら複数のカラオケ装置16は、ルータ28を介して公衆電話回線等による通信回線18に接続されており、同じくその通信回線18に接続されたカラオケサービス提供会社のサーバ装置(センタ装置)20との相互間でその通信回線18を介して情報の通信が可能とされている。このサーバ装置20は、カラオケ情報(楽曲データ)、背景映像情報、曲間情報等のデジタルコンテンツ(Digital Contents)の保管や入出力管理等の基本的な制御に加えて、後述するソーシャルネットワークサービス管理制御等を行うサーバであり、上記通信回線18を介して上記カラオケ装置16に定期的にコンテンツの配信を行うと共に、そのカラオケ装置16からの要求に応じて所定の機能制御プログラムを送信するものである。また、上記カラオケシステム10は、複数の電子早見本装置22a、22b、22c、・・・(以下、特に区別しない場合には単に電子早見本装置22と称する)を備えており、上記カラオケ装置16の利用に際して、各利用者(グループ)毎に1台ずつの電子早見本装置22が貸与され、各個室14において後述するように上記カラオケ装置16の遠隔操作装置として用いられるようになっている。上記店舗12内には上記複数のカラオケ装置16を相互に接続するLAN24が敷設されており、上記電子早見本装置22からのカラオケ装置16への入力は、所定のアクセスポイント26及びLAN24を介したLAN通信等により行われる。
【0018】
図2は、上記カラオケ装置16の構成を例示するブロック線図である。この図2に示すように、上記カラオケ装置16は、CRT(Cathode-ray Tube)やTFT(Thin Film Transistor Liquid Crystal)等の映像表示装置30と、CRTコントローラ等の映像出力制御部32と、映像情報デコーダ34と、ビデオミキサ36と、音源であるシンセサイザ38と、音声出力手段である音声情報デコーダ39と、音声入力装置であるマイクロフォン40と、A/Dコンバータ41と、アンプミキサ42と、スピーカ44と、操作パネル46と、その操作パネル46等からの入力信号を処理する入出力インターフェイス48と、中央演算処理装置であるCPU50と、読出専用メモリであるROM52と、随時書込読出メモリであるRAM54と、記憶装置であるハードディスク56と、モデム58と、LANポート60と、上記電子早見本装置22やリモコン装置64等の入力装置からのリモコン信号を受信するためのリモコン受信部62とを、備えて構成されている。
【0019】
前記映像出力制御部32は、前記CPU50において生成された歌詞文字映像等の文字映像(テロップ)を出力する文字映像出力装置として機能する他、前記映像表示装置30による種々の映像表示を制御する表示制御装置である。また、前記映像情報デコーダ34は、利用者が歌詞を参照しながら歌を歌う際に前記ハードディスク56に記憶された背景映像情報に基づいて所定の背景映像を再生(デコード)する背景映像再生装置である。この背景映像情報は、例えば、MPEG(Moving Picture Experts Group)形式のデータであり、そのMPEGデータに基づいて前記映像情報デコーダ34により再生された背景映像は、前記ビデオミキサへ送られる。また、前記ビデオミキサ36は、前記CPU50において生成され且つ前記映像出力制御部32から出力される文字映像と、前記映像情報デコーダ34により再生される背景映像とを合成して前記映像表示装置30に表示させる映像合成装置である。
【0020】
前記シンセサイザ38は、前記ハードディスク56から読み出されて送られて来るカラオケ演奏曲の演奏情報に基づいて楽器の演奏信号等の音楽信号を生成する音源である。この演奏情報は、例えば、MIDI(Musical Instrument Digital Interface)形式のデータであり、そのMIDIデータに基づいて前記シンセサイザ38により生成された音楽信号は、アナログ信号に変換されて前記アンプミキサ42へ送られる。そのアンプミキサ42では、送られてきた音楽信号と前記マイクロフォン40を介して入力される利用者の歌声とがミキシングされ、それらの信号が電気的に増幅されて前記スピーカ44から出力される。また、前記A/Dコンバータ41は、音声入力装置である前記マイクロフォン40から入力されるアナログ信号としての音声情報をディジタル信号に変換して前記CPU50等へ供給する。
【0021】
前記音声情報デコーダ39は、後述するサーバ装置20のSNSデータベース84等から読み出されて送られてくる音声情報に基づいてその音声情報に対応する音声を出力させる音声出力手段(音声出力部)である。この音声情報は、例えば、MPEG(Moving Picture Experts Group)形式のデータであり、そのMPEGデータに基づいて前記音声情報デコーダ39により再生された音声は、前記アンプミキサ42を介して前記スピーカ44から出力される。なお、前記音声情報デコーダ39により出力された音声が前記アンプミキサ42を介さずに直接前記スピーカ44から出力される構成も考えられる。また、この音声情報デコーダ39の機能が前記映像情報デコーダ34によって代替されてもよく、前記カラオケ装置16にそれらのうち一方のみが備えられたものであってもよい。
【0022】
前記操作パネル46は、前記カラオケ装置16の利用者が歌いたいカラオケ演奏曲を選択したり、演奏曲の音程を調整したり、演奏と歌との音量バランスを調整したり、その他、エコー、音量、トーン等の各種調整を行うための操作ボタン(スイッチ)或いはつまみを備えた入力装置である。また、前記カラオケ装置16には、前記操作パネル46の一部機能を遠隔で実行するための入力装置として機能するリモコン装置64が備えられており、前記リモコン受信部62は、そのリモコン装置64から送信されるリモコン信号を受信して前記CPU50へ供給する。また、前記カラオケ装置16と電子早見本装置22との対応付け(くくりつけ)処理も前記リモコン受信部62を介して行われ、そのようにして前記カラオケ装置16に対応付けられた電子早見本装置22も同様に入力装置として機能する。
【0023】
上記CPU50は、上記RAM54の一時記憶機能を利用しつつ上記ROM52に予め記憶された所定のプログラムに基づいて電子情報を処理・制御する所謂マイクロコンピュータであり、上記電子早見本装置22やリモコン装置64等により所定のカラオケ演奏曲が選曲された場合、その選曲されたカラオケ演奏曲を上記RAM54に設けられた予約曲テーブルに登録したり、その予約曲テーブルの演奏順に従って上記ハードディスク56から上記RAM54に選曲されたカラオケ演奏曲の演奏情報及び歌詞情報等を読み出したり、カラオケ演奏曲の演奏が進行するのに応じてそのRAM54から上記シンセサイザ38へ演奏情報を送信したり、歌詞情報に基づいて歌詞文字映像を生成して上記映像出力制御部32へ送ったり、選曲時には曲名文字映像を生成して上記映像出力制御部32へ送ったり、上記映像情報デコーダ34を制御して所定の背景映像を再生させたり、カラオケ演奏が行われていない間すなわち曲間において、新譜情報、選曲ランキング、店舗広告等の曲間情報を出力させたり、前記通信回線18を介した前記サーバ装置20との間の情報通信制御等の基本的な制御に加えて、後述するログイン認証制御、演奏評価制御、その演奏評価制御に関する録音制御や音声出力制御等の各種制御、及びその演奏評価制御に関する前記サーバ20との間の情報通信制御等を実行する。
【0024】
前記モデム58は、前記カラオケ装置16を公衆電話回線等による通信回線18に接続するための装置であり、前記CPU50から出力されるディジタル信号をアナログ信号に変換して前記通信回線18に送り出すと共に、その通信回線18を介して伝送されるアナログ信号をディジタル信号に変換して前記CPU50に供給する処理を行う。なお、前記店舗12に備えられた複数のカラオケ装置16のうち何れかのカラオケ装置16が前記ルータ28の機能を備えてマスターコマンダとして前記通信回線18に接続される態様も考えられ、その場合、前記モデム58はそのマスターコマンダとして機能するカラオケ装置16には必要とされるが、そのマスターコマンダを介して前記サーバ装置20との間で情報の通信を行う他のカラオケ装置16には必ずしも設けられなくともよい。
【0025】
前記LANポート60は、前記カラオケ装置16をLAN24を介して他のカラオケ装置16や電子早見本装置22等の他の機器に接続するための接続器であり、前記カラオケ装置16は、そのようにLAN24を介して接続されることで、他のカラオケ装置16や電子早見本装置22等の他の機器との間で情報の送受信が可能とされる。例えば、前記アクセスポイント26を介して受信される前記電子早見本装置22からの選曲入力を受け付けて前記RAM54に設けられた予約曲テーブルに記憶したり、そのアクセスポイント26を介して前記カラオケ装置16から電子早見本装置22へ所定の情報を送信したりというように、電波を介して前記カラオケ装置16と電子早見本装置22との間における相互の情報のやりとりが実行される。
【0026】
前記ハードディスク56には、カラオケ演奏曲を出力させるための多数のカラオケ情報(楽曲データ)を記憶するカラオケデータベース86をはじめとする各種データベースが設けられている。カラオケボックス等の店舗にそれぞれ備えられた複数のカラオケ装置16のうち所定のカラオケ装置16例えば前記カラオケ装置16aは、前記モデム58を介して前記通信回線18に接続されており、前記複数のカラオケ装置16によって常に新しい曲が演奏可能とされるように、随時新たな楽曲データ等が前記サーバ装置20から前記通信回線18を介して配信され、前記ハードディスク56のカラオケデータベース86等に記憶される。また、そのようにして前記サーバ装置20から情報を取得したカラオケ装置16aとその他のカラオケ装置16との間で前記LAN24を介した通信が行われることにより、各カラオケ装置16のハードディスク56に記憶される情報が共有され、上記カラオケデータベース86等の内容が等価なものとされる。
【0027】
上記カラオケデータベース86に記憶されるカラオケ情報は、演奏音を生成するための演奏情報及び歌詞文字映像(歌詞テロップ)を生成するための歌詞情報から成るものであり、コンテンツIDである各演奏曲に固有の選曲番号により識別される。このカラオケ情報に含まれる演奏情報は、例えば前記シンセサイザ38により所定の演奏音を出力させるためのMIDIデータであり、出力に係る演奏音(楽器)の種類と、各演奏音に対応する楽譜情報とを、含んでいる。また、上記歌詞情報は、前記映像出力制御部32等を介して演奏曲の歌詞文字映像を出力させるためのデータであり、前記歌詞文字映像に対応する歌詞のテキスト情報と、演奏出力に併行してその歌詞文字映像の表示を切り替えるための切替タイミング情報と、演奏出力に併行してその歌詞文字映像を順次色替えするための色替タイミング情報とを、含んでいる。
【0028】
図3は、前記サーバ装置20の構成を説明するブロック線図である。この図3に示すように、前記サーバ装置20は、中央演算処理装置であるCPU66によりRAM70の一時記憶機能を利用しつつROM68に予め記憶されたプログラムに従って信号処理を行う所謂マイクロコンピュータシステムを備えており、前記カラオケ装置16へのカラオケ情報等のコンテンツ配信制御をはじめとする基本的な制御に加えて、後述するSNS管理制御等の各種制御を実行する。また、ビデオボード72により制御されるCRTやTFT等の映像表示装置74と、インターフェイス78を介して接続されるキーボード等の入力装置76と、上記CPU66を前記通信回線18に接続するための装置であるモデム80とを、備えて構成されている。また、それぞれハードディスク等の大容量記憶装置に、前記カラオケ装置16に配信するための多数のカラオケ情報を記憶するカラオケデータベース82や後述するSNSに関する情報を記憶するSNSデータベース84等の各種データベースが設けられている。
【0029】
上記SNSデータベース84は、前記カラオケシステム10を利用する各ユーザ毎の、前記カラオケ装置16を用いたカラオケ演奏に関する情報、特にそのカラオケシステム10によるソーシャルネットワークサービスに関する情報を、そのユーザの識別情報と関連付けて記憶する記憶装置である。このソーシャルネットワークサービスとは、例えば、予め会員登録された会員相互間に限定して情報の閲覧等のサービスを提供する会員制のコミュニティ型のウェブサイトをいう。なお、以下の説明において、ソーシャルネットワークサービスをSNSと略称する。
【0030】
前記SNSデータベース84には、各ユーザ毎に、そのユーザの名前(ニックネーム)、生年月日、性別、メールアドレス、地域、血液型、星座、パスワードを忘れたときのための質問及び解答、及びSNSへのログイン認証に用いられるパスワードがそのユーザの識別情報と関連付けられて記憶されている。また、上記各ユーザの前記カラオケ装置16を用いたカラオケ演奏に関する情報として、そのユーザが前記カラオケ装置16によるカラオケ演奏において十八番曲として登録した演奏曲(簡易な操作により選曲入力を行い得るように設定された演奏曲)に関する情報、そのユーザが前記カラオケ装置16によるカラオケ演奏において選曲した選曲履歴(カラオケ装置16において過去に選曲された演奏曲の履歴)としての演奏曲に関する情報、そのユーザが前記カラオケ装置16により過去に演奏した各演奏曲の演奏評価結果に関する情報、それら各演奏曲の演奏評価結果に基づく統計により算出されるSNS会員を母集団とする演奏評価ランキング(全国うたランキング)に関する情報、そのユーザがフレンドとして登録した他のユーザに関する情報、そのユーザが過去にリクエスト投票を行った演奏曲に関する情報、そのユーザがウォッチリスト(監視対象曲)として登録した演奏曲に関する情報、そのユーザの前記カラオケ装置16が設置された店舗12への来店履歴に関する情報、及びグループりれき(グループ履歴)に関する情報等が各ユーザ毎にそのユーザの識別情報と関連付けられて記憶される。また、後述する本実施例の演奏評価制御に用いられるお手本演奏情報、そのお手本演奏情報に対応する演奏評価結果及び投票評価結果等も、このSNSデータベース84に各ユーザと関連づけられて記憶される。
【0031】
図4は、前記カラオケ装置16のCPU50及びサーバ装置20のCPU66に備えられた制御機能の要部を説明する機能ブロック線図である。この図4に示すSNS管理手段90は、前記サーバ装置20のCPU66に機能的に備えられたものであり、ログイン認証手段92、演奏制御手段94、記録制御手段96、送信制御手段98、演奏評価制御手段100、通知制御手段102、及び投票評価制御手段104は、前記カラオケ装置16のCPU50に機能的に備えられたものである。以下、これらの機能について、図5乃至図10等を用いて詳述する。
【0032】
上記SNS管理手段90は、前記カラオケシステム10におけるSNSの情報登録制御を行う。具体的には、前記電子早見本装置22等による入力操作に応じて、前記SNSデータベース84に新規ユーザ(利用者)の登録を行ったり、そのSNSデータベース84に記憶された登録内容を変更(更新)したり、そのSNSデータベース84に記憶された複数のユーザをフレンドとして相互に関連付けて登録したりというように、前記カラオケシステム10におけるSNSの統括的な管理制御を行う。また、後述する演奏評価制御に関連して、その演奏評価制御に係るカラオケ装置16からの送信要求に応じて所定のユーザに対応して記憶されたお手本演奏情報乃至そのお手本演奏情報に関連づけられた演奏評価結果や投票評価結果等の情報を前記通信回線18を介してそのカラオケ装置16へ送信する。
【0033】
また、前記SNS登録制御手段90は、好適には、各ユーザの前記カラオケ装置16を用いたカラオケ演奏に関する情報の閲覧レベルを設定し得るものである。この閲覧レベルは、そのユーザに対応して前記SNSデータベース84に記憶された前記カラオケ装置16を用いたカラオケ演奏に関する情報の、他のユーザに対する閲覧に関するものであり、例えば、第1レベル「誰であっても閲覧可能」、第2レベル「フレンドのフレンドまで閲覧可能」、第3レベル「フレンドは閲覧可能」、第4レベル「誰であっても閲覧不可能」というように、段階的に閲覧レベルを設定し得るものである。この閲覧レベルの設定は、上記十八番曲、演奏評価、選曲履歴等といった項目それぞれについて個別に設定できるようにしてもよいし、それらを一括して設定するものであってもよい。また、フレンドであるとそうでないとを問わず「公開」又は「非公開」というような簡単なものであってもよい。以下の説明においては、各項目について一括して「公開」又は「非公開」の2段階で閲覧レベルを設定する態様について説明する。
【0034】
また、前記SNS登録制御手段90は、前記電子早見本装置22のみならず、前記通信回線18に接続されたパーソナルコンピュータや携帯電話機等の外部装置の入力操作に応じて、前記SNSデータベース84への新規ユーザの登録や登録情報の更新等の各種制御を行うものである。すなわち、前記カラオケシステム10における本実施例のSNSは、そのカラオケシステム10を主体とするものであるが、そのカラオケシステム10に直接は関与しない外部の通信システムを介しても新規登録、アクセス、情報の更新等が可能とされている。
【0035】
前記ログイン認証手段92は、前記電子早見本装置22のタッチパネルディスプレイ等を介しての所定の入力操作により入力される識別情報(ユーザID)に応じて前記カラオケシステム10におけるSNSのユーザを認証し、その認証が正常に行われた場合にはその識別情報をもってそのユーザのSNSへのログインを許可する。例えば、前記電子早見本装置22により識別情報及びパスワードが入力された場合、その識別情報に関連付けられて前記SNSデータベース84に記憶されたパスワードが入力されたものと一致するか否かを前記サーバ装置20に照会し、一致する場合には正常な認証を行う一方、一致しない場合にはエラーとする。なお、上記ログイン認証手段92は、前記カラオケ装置16において入力された識別情報及びパスワードを前記サーバ装置20へ送信するものであってもよく、実質的な認証はそのサーバ装置20側で行うものであっても構わない。
【0036】
前記演奏制御手段94は、前記カラオケ装置16によるカラオケ演奏に際しての演奏曲の出力を制御する。具体的には、前記RAM54等に記憶された予約曲テーブルにおける演奏順に、その予約曲テーブルに記憶された演奏曲の選曲番号に対応するカラオケ情報を前記カラオケデータベース86から読み出し、そのカラオケ情報に含まれる演奏情報に基づいて演奏曲の出力を制御する。すなわち、演奏情報としてのMIDIデータに基づいて、前記シンセサイザ38によりそのMIDIデータにおける楽譜情報としてのトラック乃至はチャンネルに対応する楽器の演奏音(音楽情報)を出力させ、前記アンプミキサ42を介して前記スピーカ44から出力させる。
【0037】
前記記録制御手段96は、前記演奏制御手段94による所定の演奏曲の出力に対応して、音声入力装置である前記マイクロフォン40により入力された音声に関する情報を記録する。好適には、前記マイクロフォン40により入力されて前記A/Dコンバータ41によりディジタル信号に変換された音声情報のピッチ及び音量を、例えば25〜50[ms](40〜80[Hz])を単位として時系列で記録する。これにより、例えば[ピッチ]・[音量]・[ピッチ]・[音量]・[ピッチ]・[音量]・・・[ピッチ]・[音量]という順番で並ぶデータが作成され、それぞれのピッチ乃至音量に対応する時間は先頭から何番目のデータであるかによってわかる。また、前記記録制御手段96は、好適には、前記マイクロフォン40により入力されて前記A/Dコンバータ41によりディジタル信号に変換された音声情報そのものをMPEGデータやWAVデータ等の形式で記録(録音)する。斯かる情報は、前記RAM54やハードディスク56等の記憶装置に一時的に記憶される。そして、対象となる演奏曲の出力(演奏)が終了した時点でその演奏に係る演奏曲の選曲番号及び利用者の識別情報と関連づけられ、前記送信制御手段98により前記通信回線18を介して前記サーバ装置20へ送信(アップロード)される。その情報を受信したサーバ装置20では、前記SNS管理手段90によりその情報が前記SNSデータベース84に、識別情報に対応する利用者のお手本演奏情報として、演奏曲の選曲番号と関連づけられて記憶される。
【0038】
前記演奏評価制御手段100は、前記演奏制御手段94による所定の演奏曲の出力に際して、前記SNSデータベース84にその演奏曲に関連づけられて記憶された音声に関する情報すなわち上記お手本演奏情報に基づいて演奏評価を行う。具体的には、所定の利用者に関連づけられて前記SNSデータベース84に記憶されたお手本演奏情報のうち、演奏評価に係る演奏曲に関連づけられて記憶されたお手本演奏情報すなわち評価対象である演奏曲と同一の演奏曲に対応するお手本演奏情報を読み出し(ダウンロードし)、そのお手本演奏情報のピッチ及び音量と、その演奏曲の出力に併行して前記マイクロフォン40により入力される音声のピッチ及び音量とを比較することで斯かる演奏評価を行う。この演奏評価の態様としては、例えば、千点満点中何点というように数値的に採点を行うものであってもよいし、20段階評定の何れに当てはまるかを判定するというように簡易なものであってもよい。また、斯かる演奏評価制御は、演奏と併行して各区分毎に複数回行われた評価を、演奏終了時に集計するものであってもよいし、前記記録制御手段96により前記RAM54等に入力音声情報を記録しておき、演奏終了時にそれをお手本演奏情報と比較することで一括して行うものであってもよい。
【0039】
図5は、前記演奏評価制御手段100による演奏評価制御を説明する図であり、前記マイクロフォン40から入力される音声に相当する入力音声情報の波形を実線で、前記SNSデータベース84から読み出されるお手本演奏情報の波形を一点鎖線でそれぞれ示している。前記演奏評価制御手段100は、例えば、この図5に示す入力音声情報とお手本演奏情報との間の面積(斜線で示す領域の面積)Sに応じてその入力音声情報に係る演奏評価を行う。すなわち、この面積Sが小さいほど(0に近いほど)高評価となるように、逆に面積Sが大きいほど低評価となるように予め定められた関係から、その面積Sに基づいて評価を導出する。ここで、前述のように、前記記録制御手段96は入力される音声の記録(録音)に際して適当な時間の幅で単位を区切っているため、単純に記録したデータでずれを比較するのでは、実際には少しの差であっても大きくずれる可能性がある。そこで、好適には、ピッチデータをN点とり、N−1次多項式で補間(例えば、よく知られたラグランジュ補間等)することで滑らかな曲線を得て、その曲線に基づき演奏評価を行う。実際の演奏評価では、そのようにして得られた2つのピッチの曲線に対して差の絶対値を累計(積分)してゆくことで上記面積Sを算出する。この際の時間の分解能は、ピッチの単位時間よりある程度細かくしておくことが望ましい。また、上記差の絶対値の累計を演奏時間(音声を発生している時間)で割ることで、ずれの平均値が算出される。そのようにずれの平均値を算出することで、時間に対してのずれと音程のずれを同時に考慮した採点を実現することができる。同様に、音量に関しても上記ピッチと同様に入力音声情報とお手本音声情報との比較が行われ、それらの結果から入力音声情報に係る演奏評価が行われる。
【0040】
また、前記演奏評価制御手段100による演奏評価結果は、演奏評価に係る利用者の識別情報及び演奏曲の選曲番号と関連づけられ、前記送信制御手段98により前記通信回線18を介して前記サーバ装置20へ送信(アップロード)される。その情報を受信したサーバ装置20では、前記SNS管理手段90によりその情報が前記SNSデータベース84に、識別情報に対応する利用者の演奏評価結果として、演奏曲の選曲番号と関連づけられて記憶される。更には、演奏評価の基準となったお手本演奏情報乃至そのお手本演奏情報に係る利用者の識別情報と関連づけられて記憶されてもよい。
【0041】
図4に戻って、前記通知制御手段102は、前記電子早見本装置22等により所定の演奏曲の選曲入力が行われた場合に、その演奏曲に対応するお手本演奏情報が前記SNSデータベース84に記憶されているか否かを通知する。好適には、その演奏曲に対応するお手本演奏情報が、その演奏曲の演奏(演奏評価)に係る利用者のフレンドと関連づけられて前記SNSデータベース84に記憶されているか否かを通知する。すなわち、前記演奏評価制御手段100は、好適には、所定の利用者に係る前記演奏制御手段94による所定の演奏曲の出力に際して、前記SNSデータベース84にその演奏曲に関連づけられ且つその利用者のフレンドに関連づけられて記憶されたお手本演奏情報に基づいて演奏評価を行う。換言すれば、前記演奏評価制御手段100は、所定の利用者に係る前記演奏制御手段94による所定の演奏曲の出力に際して、その利用者のフレンドに関連づけられて記憶されたお手本演奏情報のみを対象として、そのお手本演奏情報を基準とする演奏評価制御を行う。
【0042】
前記通知制御手段102は、前記電子早見本装置22等により所定の利用者に係る演奏曲の選曲入力が行われた場合に、その演奏曲に対応するお手本演奏情報がその利用者のフレンドと関連づけられて(そのフレンドのお手本演奏情報として)前記SNSデータベース84に記憶されているか否かを前記サーバ装置20に照会し、対応するお手本演奏情報が記憶されている場合には、例えば図6に示すように、そのお手本演奏情報に対応する複数のフレンドを前記電子早見本装置22やリモコン装置64等による選択可能に、前記映像出力制御部32等を介して前記映像表示装置30に表示させる。なお、お手本演奏情報に対応する前記演奏評価制御手段100による評価結果乃至はその平均(或いは、後述する投票評価制御手段104による評価結果乃至はその平均)が所定値以上であるフレンドに限定して斯かる表示を行うものであってもよい。そして、図6に示すように選択可能に表示された複数のフレンドのうち何れか1人のフレンドが選択されると、その選択されたフレンドの情報(識別情報等)が前記送信制御手段98により前記サーバ装置20へ送信され、そのサーバ装置20のSNSデータベース84からそのフレンドに関連づけられたお手本演奏情報が前記通信回線18を介して前記カラオケ装置16へ送信され、そのお手本演奏情報を基準として、前記演奏評価制御手段100による演奏評価制御が行われる。斯かる演奏評価の結果は、例えば図8乃至図9に示すように、評価基準となるお手本演奏情報に係る利用者(フレンド)の名前(ニックネーム)と共に、前記映像出力制御部32等を介して前記映像表示装置30に表示される。
【0043】
また、前記通知制御手段102は、対象となる演奏曲に対応するお手本演奏情報がその利用者のフレンドと関連づけられて前記SNSデータベース84に記憶されていない場合には、例えば図7に示すように、その利用者のフレンドに関連づけられて該当するお手本演奏情報は存在しない旨を、前記映像出力制御部32等を介して前記映像表示装置30に表示させる。また、好適には、図7に示すように、その表示に続いて対象となる演奏曲のお手本演奏情報を有する(その利用者に関連づけられた情報として記憶する)利用者を新たにフレンドとするためのフレンド検索処理が実行される。
【0044】
図4に戻って、前記投票評価制御手段104は、前記SNSデータベース84に記憶されたお手本演奏情報(ディジタル化された音声情報)に対して、利用者の人為的な投票評価を受け付ける。具体的には、評価対象であるお手本演奏情報を前記SNSデータベース84から読み出し、そのお手本演奏情報を前記音声情報デコーダ39によりデコードして前記スピーカ44から出力させる。そして、その出力が終了した時点で図10に示すような投票評価入力待ち受け画面を、前記映像出力制御部32等を介して前記映像表示装置30に表示させる。その表示に従って、投票評価に係る点数が入力されると共に送信操作が行われると、その投票評価結果が前記送信制御手段98により前記サーバ装置20へ送信され、そのサーバ装置20のSNSデータベース84に、対象となるお手本演奏情報と関連づけられて記憶される。この投票評価制御手段104による投票評価制御は、その投票評価の主体である利用者のフレンドのお手本演奏情報のみを対象として実行されるものであってもよいし、フレンドとは専ら関係ない任意の利用者のお手本演奏情報を対象として行い得るものであっても構わない。
【0045】
以上のような制御により、前記SNSデータベース84には、複数の利用者それぞれに対応して(関連づけられて)、複数の演奏曲に関する前記演奏評価制御手段100による演奏評価結果が記憶される。また、複数の利用者それぞれに対応して(関連づけられて)、複数の演奏曲に関する前記投票評価制御手段104による投票評価結果が記憶される。ここで、前記演奏評価制御手段100は、好適には、所定のお手本演奏情報を基準とする演奏評価において、そのお手本演奏情報と関連づけられて前記SNSデータベース84に記憶された演奏評価結果の平均(1つの評価しか記憶されていない場合はその評価)、或いはそのお手本演奏情報に対応する利用者と関連づけられて前記SNSデータベース84に記憶された(複数の演奏曲に対応する)演奏評価結果の平均に基づいて前記演奏評価を行う。また、好適には、所定のお手本演奏情報を基準とする演奏評価において、そのお手本演奏情報と関連づけられて前記SNSデータベース84に記憶された投票評価結果の平均(1つの評価しか記憶されていない場合はその評価)、或いはそのお手本演奏情報に対応する利用者と関連づけられて前記SNSデータベース84に記憶された(複数の演奏曲に対応する)投票評価結果の平均に基づいて前記演奏評価を行う。例えば、対象となるお手本演奏情報と関連づけられて前記SNSデータベース84に記憶された演奏評価結果(投票評価結果)の平均、或いはそのお手本演奏情報に対応する利用者と関連づけられて前記SNSデータベース84に記憶された演奏評価結果(投票評価結果)の平均を、前記演奏評価制御手段100による演奏評価の上限値として前記評価を行う。このようにすれば、演奏評価乃至投票評価の平均が高い利用者のお手本演奏情報が自ずと演奏評価の基準として選択され、そのお手本演奏情報に基づいて利用者が実際に感じる印象に近い演奏評価が実現される。
【0046】
図11は、前記カラオケ装置16のCPU50によるお手本演奏評価制御の要部について説明するフローチャートであり、所定の周期で繰り返し実行されるものである。
【0047】
先ず、ステップ(以下、ステップを省略する)SA1において、お手本採点モードによる選曲入力操作が前記電子早見本装置22やリモコン装置64等により行われたか否かが判断される。このSA1の判断が否定される場合には、SA6以下の処理が実行されるが、SA1の判断が肯定される場合には、SA2において、SA1における選曲入力に係る利用者のフレンドに関連づけられて、その選曲に係る演奏曲に対応するお手本演奏情報が前記SNSデータベース84に記憶されているか否かが前記サーバ装置20に照会される。このSA2の判断が否定される場合、すなわち前記SNSデータベース84に該当するお手本演奏情報が記憶されていないと判断される(その旨がサーバ装置20から返信されてきた)場合には、SA3において、例えば前述した図7に示すような、お手本演奏情報を有するフレンドがいない旨を通知する映像が前記映像表示装置30に表示された後、SA6以下の処理が実行されるが、SA2の判断が肯定される場合、すなわち前記SNSデータベース84に該当するお手本演奏情報が記憶されていると判断される(その旨がサーバ装置20から返信されてきた)場合には、SA4において、例えば前述した図6に示すように、該当するお手本演奏情報に対応するフレンドが前記電子早見本装置22やリモコン装置64等による選択可能に前記映像表示装置30に表示された後、SA5において、その表示に従って所定のフレンドが選択される操作が行われたか否かが判断される。このSA5の判断が否定される場合には、その判断が繰り返されることにより待機させられるが、SA5の判断が肯定される場合には、選択されたフレンドに関する情報(識別情報)と関連づけられて、SA1において選曲された演奏曲が前記RAM54等の予約曲テーブルに予約された後、SA6以下の処理が実行される。
【0048】
SA6においては、お手本カラオケ演奏開始であるか否か、すなわち前記RAM54等の予約曲テーブルに予約された所定の演奏曲の演奏順となると共に、その演奏曲に所定のお手本演奏情報が関連づけられているか否かが判断される。このSA6の判断が否定される場合には、SA1以下の処理が再び実行されるが、SA6の判断が肯定される場合には、SA7において、演奏開始に係る演奏曲に関連づけられたお手本演奏情報が、前記サーバ装置20のSNSデータベース84からダウンロードされる。次に、SA8において、対象となる演奏曲のカラオケ演奏が開始され、前記記録制御手段96の動作に対応するSA9において、前記マイクロフォン40により入力された音声に関する情報(音声のピッチ及び音量、或いはディジタル化された音声情報そのもの)が随時前記RAM54等に記録(録音)される。また、SA9の処理と同期して、前記演奏評価制御手段100の動作に対応するSA10において、SA7にてダウンロードされたお手本演奏情報に基づく演奏評価が行われる。次に、SA11において、対象となる演奏曲のカラオケ演奏が終了するか否かが判断される。このSA11の判断が否定される場合には、SA8以下の処理が再び実行されるが、SA11の判断が肯定される場合には、SA12において、SA10における演奏評価が集計され、その評価結果を示す前述した図8乃至図9のような映像が前記映像表示装置30に表示される。次に、SA13において、その演奏評価結果が評価対象である演奏曲の選曲番号、利用者の識別情報等と関連づけられて前記サーバ装置20へ送信された後、本ルーチンが終了させられる。以上の制御において、SA3及びSA4が前記通知制御手段102の動作に、SA8及びSA11が前記演奏制御手段94の動作にそれぞれ対応する。
【0049】
図12は、前記カラオケ装置16のCPU50によるユーザ投票評価制御の要部について説明するフローチャートであり、所定の周期で繰り返し実行されるものである。
【0050】
先ず、SB1において、所定のお手本演奏情報を対象とするユーザ採点(投票評価)開始操作が前記電子早見本装置22やリモコン装置64等により行われたか否かが判断される。このSB1の判断が否定される場合には、それをもって本ルーチンが終了させられるが、SB1の判断が肯定される場合には、SB2において、前記サーバ装置20のSNSデータベース84から対象となるお手本演奏情報がダウンロードされる。次に、前記音声情報デコーダ39の動作に対応するSB3において、SB2にてダウンロードされたお手本演奏情報がデコードされ、そのお手本演奏情報に対応する音声が前記スピーカ44から出力される。次に、SB4において、対象となるお手本演奏情報の出力が終了したか否かが判断される。このSB4の判断が否定される場合には、SB3以下の処理が再び実行されるが、SB4の判断が肯定される場合には、SB5において、前述した図10に示すような投票評価待ち受け映像が前記映像表示装置30に表示され、前記電子早見本装置22やリモコン装置64等を介しての点数入力操作及び決定送信操作が待ち受けられる。次に、SB6において、前記電子早見本装置22やリモコン装置64等により決定送信操作が行われたか否かが判断される。このSB6の判断が否定される場合には、SB5以下の処理が再び実行されるが、SB6の判断が肯定される場合には、SB7において、投票採点結果が対象となるお手本演奏情報及び評価主体である利用者の識別情報等と関連づけられて前記サーバ装置20へ送信された後、本ルーチンが終了させられる。以上の制御において、SA13及びSB7が前記送信制御手段98の動作に、SB2乃至SB7が前記投票評価制御手段104の動作にそれぞれ対応する。
【0051】
このように、本実施例によれば、所定の演奏曲の出力に対応して、音声入力装置である前記マイクロフォン40により入力された音声に関する情報を記録する記録制御手段96(SA9)と、その記録制御手段96により記録された音声に関する情報を、対応する演奏曲と関連づけて記憶するSNSデータベース84と、所定の演奏曲の出力に際して、そのSNSデータベース84にその演奏曲に関連づけられて記憶された音声に関する情報に基づいて演奏評価を行う演奏評価制御手段100(SA10)とを、備えたものであることから、利用者の実際の歌唱に相当する情報に基づいて演奏評価を行うことで、利用者が実際に感じる印象に近い演奏評価を実現するカラオケシステム10を提供することができる。
【0052】
また、前記音声に関する情報は、前記マイクロフォン40により入力された音声をディジタル信号化したものであり、前記SNSデータベース84に記憶されたその音声に関する情報に基づいてその情報に対応する音声を出力させる音声出力手段である音声情報デコーダ39(SB3)と、その音声情報デコーダ39により出力される音声に対して投票評価を受け付ける投票評価制御手段104(SB2乃至SB7)とを、備え、前記SNSデータベース84は、その投票評価制御手段104による投票評価結果を、対応する演奏曲と関連づけて記憶するものであり、前記演奏評価制御手段100は、所定の演奏曲の出力に際して、そのSNSデータベース84にその演奏曲に関連づけられて記憶された前記音声に関する情報及び投票評価結果に基づいて演奏評価を行うものであるため、利用者の実際の歌唱に対して投票評価を受け付け、その投票評価結果に基づいて演奏評価を行うことで、更に利用者が実際に感じる印象に近い演奏評価を実現することができる。
【0053】
また、前記SNSデータベース84は、複数の利用者それぞれに対応して、その利用者の演奏に係る音声に関する情報を、対応する演奏曲と関連づけて記憶するものであるため、所定の利用者を対象として、その利用者の実際の歌唱に相当する情報に基づく演奏評価を実現することができる。
【0054】
また、所定の演奏曲の選曲入力が行われた場合に、その演奏曲に対応する音声に関する情報が前記SNSデータベース84に記憶されているか否かを通知する通知制御手段102(SA3及びSA4)を備えたものであるため、利用者の実際の歌唱に相当する情報に基づく演奏評価の可否を好適に通知することができる。
【0055】
また、前記演奏評価制御手段100は、所定の演奏曲の出力に際して、前記マイクロフォン40により入力される音声のピッチ及び音量と前記SNSデータベース84にその演奏曲に関連づけられて記憶された音声のピッチ及び音量とを比較することで前記演奏評価を行うものであるため、利用者の実際の歌唱に相当する情報に基づいて実用的な態様で演奏評価を行うことができる。
【0056】
また、前記SNSデータベース84は、複数の利用者それぞれに対応して、複数の演奏曲に関する前記演奏評価制御手段100による演奏評価結果を記憶するものであり、前記演奏評価制御手段100は、それら演奏評価結果の平均に基づいて前記演奏評価を行うものであるため、所定の利用者を対象として、その利用者の過去の演奏評価結果に基づく演奏評価を行うことで、更に利用者が実際に感じる印象に近い演奏評価を実現することができる。
【0057】
また、前記SNSデータベース84は、複数の利用者それぞれに対応して、複数の演奏曲に関する前記投票評価制御手段104による投票評価結果を記憶するものであり、前記演奏評価制御手段100は、それら投票評価結果の平均に基づいて前記演奏評価を行うものであるため、所定の利用者を対象として、その利用者に対する過去の投票評価結果に基づく演奏評価を行うことで、更に利用者が実際に感じる印象に近い演奏評価を実現することができる。
【0058】
また、前記SNSデータベース84は、複数の利用者をフレンドとして相互に関連づけて記憶するものであり、前記演奏評価制御手段100は、所定の利用者に係る演奏曲の出力に際して、そのSNSデータベース84にその利用者のフレンドに対応してその演奏曲と関連づけられて記憶された音声に関する情報に基づいて演奏評価を行うものであるため、ソーシャルネットワークサービスにおいてフレンドとして登録された利用者の実際の歌唱に相当する情報に基づく演奏評価を実現することができる。
【0059】
以上、本発明の好適な実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、更に別の態様においても実施される。
【0060】
例えば、前述の実施例において、前記ログイン認証手段92、演奏制御手段94、記録制御手段96、送信制御手段98、演奏評価制御手段100、通知制御手段102、及び投票評価制御手段104は、前記カラオケ装置16のCPU50に機能的に備えられたものであったが、本発明はこれに限定されるものではなく、これらの機能の一部が前記サーバ装置20のCPU66或いは前記電子早見本装置22のCPU等に機能的に備えられたものであってもよい。例えば、前記通知制御手段102が前記電子早見本装置22に備えられ、その電子早見本装置22のタッチパネルディスプレイに図6乃至図10のような映像が表示されるものであっても構わない。
【0061】
また、前述の実施例において、前記演奏評価制御手段100は、ピッチデータをN点とり、N−1次多項式で補間することで滑らかな曲線を得て、その曲線に基づき演奏評価を行うものであったが、例えば前記マイクロフォン40から入力される入力音声情報及びお手本演奏情報それぞれの波形を画像としてとらえ、予め定められた関係からそれら画像に基づく画像処理の手法により演奏評価を行うものであってもよい。すなわち、前記演奏評価制御手段100による評価方法は、様々なものが適宜選択されて用いられ得る。
【0062】
また、前述の実施例において、前記記録制御手段96により記録された音声に関する情報は、前記SNSデータベース84にその音声に係る利用者と関連づけられて記憶されるものであったが、そのSNSデータベース84乃至は前記カラオケシステム10におけるソーシャルネットワークサービスとは専ら関係なく、所定の記憶装置に記憶されるものであってもよい。更には、利用者の識別情報と関連づけることなく、すべてのお手本演奏情報を匿名のデータとして記憶し、それらのお手本演奏情報を基準とする前記演奏評価制御を行う態様も考えられる。
【0063】
その他、一々例示はしないが、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲内において種々の変更が加えられて実施されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明が好適に適用されるカラオケシステムを説明する概略図である。
【図2】図1のカラオケシステムに備えられたカラオケ装置の構成を例示するブロック線図である。
【図3】図1のカラオケシステムに備えられたサーバ装置の構成を説明するブロック線図である。
【図4】図2のカラオケ装置のCPU及び図3のサーバ装置のCPUに備えられた制御機能の要部を説明する機能ブロック線図である。
【図5】図2のカラオケ装置のCPUによる演奏評価制御を説明する図であり、マイクロフォンから入力される音声に相当する入力音声情報の波形を実線で、SNSデータベースから読み出されるお手本演奏情報の波形を一点鎖線でそれぞれ示している。
【図6】図2のカラオケ装置のCPUによる演奏評価制御に際して映像表示装置に表示される、SNSデータベースにお手本演奏情報を有するフレンドがいることを示す映像である。
【図7】図2のカラオケ装置のCPUによる演奏評価制御に際して映像表示装置に表示される、SNSデータベースにお手本演奏情報を有するフレンドがいないことを示す映像である。
【図8】図2のカラオケ装置のCPUによる演奏評価制御の終了に際して映像表示装置に表示される評価結果映像の一例である。
【図9】図2のカラオケ装置のCPUによる演奏評価制御の終了に際して映像表示装置に表示される評価結果映像の他の一例である。
【図10】図2のカラオケ装置のCPUによる投票評価制御に際して映像表示装置に表示される投票採点待ち受け映像である。
【図11】図2のカラオケ装置のCPUによるお手本演奏評価制御の要部について説明するフローチャートである。
【図12】図2のカラオケ装置のCPUによるユーザ投票評価制御の要部について説明するフローチャートである。
【符号の説明】
【0065】
10:カラオケシステム
16:カラオケ装置
39:音声情報デコーダ(音声出力手段)
40:マイクロフォン(音声入力装置)
84:SNSデータベース
96:記録制御手段
100:演奏評価制御手段
102:通知制御手段
104:投票評価制御手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多数の演奏曲のうちから選択される所定の演奏曲を出力させると共に音声入力装置により入力される音声を増幅して出力させるカラオケ装置を用いたカラオケシステムであって、
所定の演奏曲の出力に対応して、前記音声入力装置により入力された音声に関する情報を記録する記録制御手段と、
該記録制御手段により記録された音声に関する情報を、対応する演奏曲と関連づけて記憶するデータベースと、
所定の演奏曲の出力に際して、該データベースに該演奏曲に関連づけられて記憶された音声に関する情報に基づいて演奏評価を行う演奏評価制御手段と
を、備えたものであることを特徴とするカラオケシステム。
【請求項2】
前記音声に関する情報は、前記音声入力装置により入力された音声をディジタル信号化したものであり、
前記データベースに記憶された該音声に関する情報に基づいて該情報に対応する音声を出力させる音声出力手段と、
該音声出力手段により出力される音声に対して投票評価を受け付ける投票評価制御手段と
を、備え、
前記データベースは、該投票評価制御手段による投票評価結果を、対応する演奏曲と関連づけて記憶するものであり、
前記演奏評価制御手段は、所定の演奏曲の出力に際して、該データベースに該演奏曲に関連づけられて記憶された前記音声に関する情報及び投票評価結果に基づいて演奏評価を行うものである請求項1に記載のカラオケシステム。
【請求項3】
前記データベースは、複数の利用者それぞれに対応して、該利用者の演奏に係る音声に関する情報を、対応する演奏曲と関連づけて記憶するものである請求項1又は2に記載のカラオケシステム。
【請求項4】
所定の演奏曲の選曲入力が行われた場合に、該演奏曲に対応する音声に関する情報が前記データベースに記憶されているか否かを通知する通知制御手段を備えたものである請求項1から3の何れか1項に記載のカラオケシステム。
【請求項5】
前記演奏評価制御手段は、所定の演奏曲の出力に際して、前記音声入力装置により入力される音声のピッチ及び音量と前記データベースに該演奏曲に関連づけられて記憶された音声のピッチ及び音量とを比較することで前記演奏評価を行うものである請求項1から4の何れか1項に記載のカラオケシステム。
【請求項6】
前記データベースは、複数の利用者それぞれに対応して、複数の演奏曲に関する前記演奏評価制御手段による演奏評価結果を記憶するものであり、前記演奏評価制御手段は、それら演奏評価結果の平均に基づいて前記演奏評価を行うものである請求項1から5の何れか1項に記載のカラオケシステム。
【請求項7】
前記データベースは、複数の利用者それぞれに対応して、複数の演奏曲に関する前記投票評価制御手段による投票評価結果を記憶するものであり、前記演奏評価制御手段は、それら投票評価結果の平均に基づいて前記演奏評価を行うものである請求項2から6の何れか1項に記載のカラオケシステム。
【請求項8】
前記データベースは、複数の利用者をフレンドとして相互に関連づけて記憶するものであり、前記演奏評価制御手段は、所定の利用者に係る演奏曲の出力に際して、該データベースに該利用者のフレンドに対応して該演奏曲と関連づけられて記憶された音声に関する情報に基づいて演奏評価を行うものである請求項3から7の何れか1項に記載のカラオケシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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