説明

カラオケネットワークシステム及びコンテンツ中継装置

【課題】カラオケ装置がユーザから予約されたコンテンツを取得する際のユーザの待ち時間を低減する。
【解決手段】ホストサーバ2は、ユーザ端末6を介してカラオケ店舗の予約を受け付けると、該当のカラオケ店舗のコンテンツ中継装置3へ予約情報と当該予約ユーザ専用の十八番リストとを送信する。コンテンツ中継装置3は、ホストサーバ2から受信した予約情報を予約リストに登録するとともに、受信した十八番リストを記憶する。そして、予約リストに登録されている予約情報のうちで予約日時が早いものから順次、その予約ユーザの十八番リストに登録されているコンテンツをホストサーバ2から取得する。カラオケ装置4は、予約ユーザからのログインを受け付けるとこのユーザ専用の十八番リストをホストサーバ2から取得し、その取得した十八番リストに登録のコンテンツをコンテンツ中継装置3から取得する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カラオケ店舗内のネットワークに接続されたカラオケ装置に対してコンテンツを配信する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、カラオケ装置で再生するコンテンツを、広域ネットワークを介してコンテンツ配信用のホストサーバから全国のカラオケ店舗(例えばカラオケボックス)に設置されたカラオケ装置へ配信するカラオケネットワークシステムが広く普及している。
【0003】
ところで、近年、カラオケ装置で再生するコンテンツは、通常の演奏データ(MIDIデータ)の他、実際の演奏音声をサンプリングした高音質の生音楽曲やプロモーションビデオ(PV)映像、CM映像等、多種多様化しており、そのデータ量も年々増加傾向にある。また、カラオケ装置を利用するユーザの趣味や嗜好の多様化に対応した個別のサービスを提供するため、近年では個々のユーザごとに専用のコンテンツが必要となる等、カラオケ装置で使用されるコンテンツは膨大な量となりつつある。
【0004】
そのため、全てのコンテンツをカラオケ装置内の記憶装置に保存することができなくなってきている。そこで、ユーザがカラオケ楽曲や動画等のコンテンツの再生を要求したときに、そのコンテンツがカラオケ装置に存在しなければ、そのコンテンツを保有する別の機器(例えば、インターネット上のホストサーバ等)からコンテンツを取得してから、コンテンツの再生を行うサービスが準備されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−241887
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記のようなサービスでは、予めカラオケ装置が保有しているコンテンツを再生する場合と比較して、コンテンツの再生を開始するまでに他の機器からコンテンツを取得するための時間が必要となり、その分ユーザを待たせることになる。また、一般的にカラオケボックス1店舗に複数のカラオケ装置が設置されており、その全てが1つの通信回線(ADSL回線や光通信回線)を共有するといった運用形態が多く、各カラオケ装置が個別にホストサーバからコンテンツを取得する場合であると、通信回線の負荷が高くなり、コンテンツを取得するのにかかる通信時間は更に長くなる。
【0007】
カラオケサービスを提供するカラオケボックス等では、通常、ユーザに対してカラオケ装置の利用時間が決められているため、コンテンツを取得するためにユーザを待たせる時間が多く存在することは好ましくない。
【0008】
一方、特許文献1では、ユーザが所望するコンテンツの利用可否状況を携帯情報端末からホストサーバへ問い合わせることで、そのコンテンツを利用できるカラオケ店舗に関する情報をホストサーバが携帯情報端末へと通知する技術が開示されている。このようにすることで、ユーザは、所望するコンテンツが確実に利用できるカラオケ店舗を選んで来店することができ、コンテンツを円滑に利用できる。しかしながら、特許文献1に記載のカラオケネットワークシステムは、ユーザがカラオケ楽曲や動画等のコンテンツの再生を要求したときに、ホストサーバからコンテンツを取得することを想定したものではなく、カラオケ装置が保有していないコンテンツを取得するための待ち時間に関して何ら考慮されていないため、上記問題を解決することはできない。
【0009】
本発明は、上記問題を解決するためになされており、複数のカラオケ装置が接続されたカラオケネットワークシステムにおいて、各カラオケ装置がユーザから予約されたコンテンツを取得する際のユーザの待ち時間を低減するための技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するためになされた請求項1に記載のカラオケネットワークシステムは、ユーザからリクエストされたコンテンツを実行する複数のカラオケ装置と、1つのコンテンツ中継装置とがカラオケ店舗内において第1のネットワークを介して通信可能に接続された店舗内カラオケシステムと、カラオケ店舗外に配置されたコンテンツ配信用のホストサーバとが、第2のネットワークを介して通信可能に接続されたものである。
【0011】
このうち、ホストサーバは、ユーザが所有する情報通信端末との間で通信可能に構成されており、さらに、個人用リスト記憶手段と、予約情報配信手段と、一次配信手段と、個人用リスト配信手段とを備える。
【0012】
個人用リスト記憶手段は、個々のユーザごとに、ユーザの識別情報と、そのユーザによるリクエストが期待されるコンテンツの一覧とを対応付けて記録した個人用リストを記憶する。予約情報配信手段は、ユーザが所有する情報通信端末との通信を介して、ユーザがカラオケ店舗を利用する日時の予約を受け付け、その予約に関する情報として、その予約をしたユーザの識別情報及び予約日時を含む予約情報と、その予約をしたユーザに対応する個人用リストとを、当該予約されたカラオケ店舗のコンテンツ中継装置に対して配信する。一次配信手段は、コンテンツ中継装置からコンテンツの取得要求を受け付け、その受け付けた取得要求に該当するコンテンツを要求元のコンテンツ中継装置に対して配信する。個人用リスト配信手段は、カラオケ装置から個人用リストの取得要求を受け付け、その取得要求に該当するユーザの個人用リストを要求元のカラオケ装置に対して配信する。
【0013】
一方、各カラオケ店舗に1台配置されるコンテンツ中継装置は、一次記憶手段と、予約情報記憶手段と、予約情報登録手段と、一次取得手段と、二次配信手段とを備える。
一次記憶手段は、ホストサーバから取得したコンテンツを記憶するためのものである。予約情報記憶手段は、ホストサーバから受信した予約情報の一覧である予約リストと、その予約リストに登録されている予約情報に係るユーザの個人用リストとを記憶する。予約情報登録手段は、ホストサーバから予約情報及びその予約情報に対応する個人用リストを受信し、その受信した予約情報を予約リストに登録するとともに、その受信した個人用リストを予約情報記憶手段に記録する。一次取得手段は、予約情報記憶手段に記憶されている予約リストに基づいて、予約に係るユーザの個人用リストに記録されているコンテンツの取得が済んでいない予約情報の中から予約の日時が最も早いものを選択し、その選択した予約情報に係るユーザの個人用リストに記録されているコンテンツをホストサーバから取得し、これを一次記憶手段に格納する処理を順次繰り返す。二次配信手段は、カラオケ装置からコンテンツの取得要求を受け付け、一次記憶手段に格納されているコンテンツの中から当該取得要求に該当するコンテンツを要求元のカラオケ装置に対して配信する。
【0014】
一方、カラオケ装置は、自カラオケ装置を使用するユーザを自カラオケ装置に対応付けてログイン可能に構成されており、さらに、二次記憶手段と、ログイン受付手段と、個人用リスト取得手段と、二次取得手段とを備える。
【0015】
二次記憶手段は、コンテンツ中継装置から取得したコンテンツを記憶するためのものである。ログイン受付手段は、自カラオケ装置を使用するユーザから、当該ユーザの識別情報の入力を伴う自カラオケ装置へのログイン手続きを受け付ける。個人用リスト取得手段は、ログイン受付手段によりユーザからのログイン手続きを受け付けた後、当該ユーザの識別情報に該当する個人用リストをホストサーバから取得する。
【0016】
二次取得手段は、個人用リスト取得手段によって個人用リストを取得した後、その取得した個人用リストに記録されているコンテンツをコンテンツ中継装置から取得し、これを二次記憶手段に格納する。
【0017】
ここで、個人用リストに記録されている「ユーザによるリクエストが期待されるコンテンツ」とは、例えば、そのユーザの十八番のカラオケ楽曲であったり、ユーザ自らホストサーバにアップロードした画像等、ユーザがカラオケ装置でリクエストする可能性が高いと推定されるコンテンツである。このような個人用リストへのコンテンツの登録は、例えばユーザ自らが予め指定するものであってもよいし、ユーザの歌唱履歴等に基づいて自動的に登録されるものであってもよい。なお、このような個人用リストをホストサーバへ登録する手順は周知のものであり、また、本発明の要点ではないため、ここでの説明は省略する。
【0018】
請求項1のカラオケネットワークシステムによれば、ユーザが情報通信端末を用いて利用したいカラオケ店舗と、その日時とをホストサーバに対して予約することで、そのユーザによるリクエストが期待されるコンテンツ(=個人用リストに登録されているコンテンツ)を、予約されたカラオケ店舗のコンテンツ中継装置に対して予め一次配信しておくことができる。つまり、ユーザがカラオケ店舗を予約してから実際に来店するまでの時間を活用して、ユーザによるリクエストが期待されるコンテンツの一次配信までは少なくとも実行しておくことができ、そのコンテンツがリクエストされたときの取得待ち時間を低減できる。また、個々のカラオケ装置が各個にホストサーバから直接コンテンツを取得することがないため、通信回線の負荷を抑えることができる。
【0019】
コンテンツ配信用のホストサーバと各カラオケ店舗とを繋ぐネットワーク(WAN)と、カラオケ店舗内に敷設されるネットワーク(LAN)とで通信速度を比較した場合、一般にWANの方が通信速度が遅いため、WANを介して行われるホストサーバからコンテンツ中継装置までの一次配信は、LANを介して行われるコンテンツ中継装置からカラオケ装置までの二次配信よりも時間がかかる。そこで、ユーザからの予約を受け付けた時点で、ホストサーバからコンテンツ中継装置までのWANを介した一次配信を予め行っておくことで、コンテンツ取得の遅延時間を低減できるのである。
【0020】
さらに、コンテンツ中継装置は、ホストサーバから受信した予約情報に基づき、予約日時が早い、すなわち来店が早いユーザのコンテンツを優先してホストサーバから一次配信を受けるので、来店が早いユーザを長く待たせることがない。
【0021】
なお、ユーザがカラオケ店舗の予約をした時点では、ユーザがどのカラオケ装置を利用するかまでは特定できない。そこで、ユーザがカラオケ店舗へ来店し、特定のカラオケ装置に対してログインした時点、すなわち、ユーザが使用するカラオケ装置が確定した時点で、そのユーザによるリクエストが期待されるコンテンツの二次配信を予め実行しておくことで、個人用リストのコンテンツがリクエストされたときの取得待ち時間を低減できる。また、この二次配信は店舗内のLANを経由して行われるので、ユーザがカラオケ装置の使用を開始した時点でホストサーバからWAN経由でコンテンツを取得する場合と比較して格段に早く二次配信を済ませることができる。
【0022】
一方、請求項2に記載のカラオケネットワークシステムは、請求項1に記載のカラオケネットワークシステムと比較して、ユーザがログインした時点でそのユーザの個人用リストに登録されたコンテンツを取得するのではなく、ユーザからのリクエストを受け付けたコンテンツをコンテンツ中継装置から取得する点で異なる。
【0023】
請求項2に記載のような構成によれば、ユーザがログインした時点でコンテンツを取得する請求項1の構成と比較して、コンテンツ取得の迅速性の面では及ばないものの、リクエストの有無に関わらず個人用リストに登録されたコンテンツを全て取得するのではなく、ユーザからリクエストされたコンテンツのみを取得することで、カラオケ店舗内のLANの通信負荷を低減できるとともに、カラオケ装置が備える記憶装置の記憶容量を節約できるといったメリットがある。
【0024】
しかし、コンテンツ取得の迅速性の面で請求項1に記載の構成に及ばないとはいえ、ユーザからの予約を受け付けた時点でホストサーバからコンテンツ中継装置までのWANを介した一次配信を予め行っておくので、個人用リストのコンテンツがリクエストされた際のコンテンツ取得の遅延時間を十分低減できる。また、カラオケ店舗内での二次配信はLANを経由して行われるので、ユーザからのリクエストを受け付けた時点でホストサーバからWAN経由でコンテンツを取得する場合と比較して格段に早く二次配信を済ませることができる。
【0025】
つぎに、請求項3に記載のコンテンツ中継装置は、請求項1,2に記載のカラオケネットワークシステムを構成するコンテンツ中継装置として機能するものである。このように構成されたコンテンツ中継装置をカラオケネットワークシステムに適用することで、上述の効果を得られる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】カラオケネットワークシステム1の概略構成を示すブロック図である。
【図2】ホストサーバ2,コンテンツ中継装置3及びカラオケ装置4の概略構成を示すブロック図である。
【図3】十八番リスト及び予約リストの一例を模式的に示す説明図である。
【図4】サーバ処理の手順を示すフローチャートである。
【図5】中継処理の手順を示すフローチャートである。
【図6】コンテンツ取得処理の手順を示すフローチャートである。
【図7】ログイン処理の手順を示すフローチャートである。
【図8】リクエスト処理の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。なお、本発明は下記の実施形態に何ら限定されるものではなく様々な態様にて実施することが可能である。
[カラオケネットワークシステム1の構成の説明]
図1に示すように、カラオケネットワークシステム1は、ユーザにカラオケサービスを提供するカラオケ店舗内の各カラオケルームにそれぞれ設置されるカラオケ装置4a,4b,4c,4dとコンテンツ中継装置3とがLAN100を介して接続された店舗内のネットワークが、広域ネットワークであるWAN200を介してホストサーバ2と接続されることによって形成されている。なお、図1においては、説明の便宜上、1つのカラオケ店舗内に4台のカラオケ装置がカラオケネットワークシステム1に接続されている構成を示すが、同一店舗内に更に多くのカラオケ装置4が接続されていてもよい。また、実際には数多くの店舗内のネットワークがホストサーバ2に接続された態様で実施される。なお、以下の説明において、カラオケ装置4a,4b,4c,4dを特に区別しない場合は、単にカラオケ装置4と表記する。
【0028】
ホストサーバ2は、カラオケ店舗内のコンテンツ中継装置3からの要求に応じてカラオケの楽曲データやPV映像、CM映像等といった各種コンテンツを要求元のコンテンツ中継装置3へ配信するためのカラオケサービス用のサーバ装置である。このホストサーバ2は、適宜な処理能力を有する情報処理装置等で構成されており、外部記憶装置としてのハードディスクドライブ(以下、HDD)24にカラオケサービスとして提供可能な全てのコンテンツを常に保有している。また、ホストサーバ2は、WAN200(例えばインターネット)及びカラオケ店舗側のコンテンツ中継装置3を介して、カラオケ店舗側のLAN100に接続されている。また、ホストサーバ2は、WAN200を介してユーザが所有する携帯通信端末やパソコン(以下、PC)といったユーザ端末6との間でデータ通信可能に構成されている。
【0029】
さらに、ホストサーバ2は、各カラオケ店舗向けに配信するコンテンツデータを格納するデータベースの他に、本システムを利用する権限を有する個々のユーザごとに、そのユーザが得意とする(いわゆる十八番の)カラオケ楽曲や、よく利用するサービス等といった、ユーザがリクエストする可能性が高いコンテンツの一覧である十八番リスト(本発明の個人用リストに相当)をHDD24に記憶している。この十八番リストに登録されるコンテンツは、ユーザ端末6を介してユーザ自ら登録したものであったり、ユーザによるコンテンツの利用実績に基づいてホストサーバ2側で自動的に登録するものであってもよい。また、ユーザ端末6を介してユーザ自らホストサーバ2にアップロードした画像等のコンテンツを登録できるようにしてもよい。
【0030】
また、その他にも、ホストサーバ2は、本システムを利用する権限を有するユーザの識別情報(ユーザID)や認証用のパスワードを含む登録情報を蓄積するユーザ登録データベース等を備えている。
【0031】
さらに、ホストサーバ2は、WAN200を介してユーザ端末6からカラオケ店舗の利用の予約を受け付け可能に構成されている。具体的には、ホストサーバ2側でユーザ端末6向けに店舗予約用Webページを用意しておく。この店舗予約用Webページは、予約をする店舗、予約日時等の予約情報をユーザが入力するためのフォームを備えており、この店舗用Webページにアクセスしてきたユーザ端末6側で前記予約情報がフォームに記入されることで、予約をする店舗、時間等の情報がホストサーバ2へ送信される。ホストサーバ2は、ユーザからの店舗の利用の予約を受け付けると、その予約に該当する店舗のコンテンツ中継装置3に対して所定の予約情報と、その予約に係るユーザ(以下、予約ユーザとも称する)の十八番リストとを配信する(詳細は後述)。
【0032】
コンテンツ中継装置3は、外部ネットワークであるWAN200と、内部ネットワークであるLAN100との接続点に設置されており、ホストサーバ2からコンテンツを取得し(一次配信)、これをLAN100を介して接続されている各カラオケ装置4に対して配信(二次配信)するための通信装置である。このコンテンツ中継装置3は、ホストサーバ2から予約情報及び当該予約ユーザの十八番リストを受信すると、予約情報を予約リスト(詳細は後述)に登録する。そして、この予約リストに基づき、予約日時の早い予約情報から順に、その予約情報に係る予約ユーザの十八番リストに登録されているコンテンツをホストサーバ2から取得する。そして、カラオケ装置4からの要求に応じて、ホストサーバ2から予め取得しておいたコンテンツを要求元のカラオケ装置4へ配信する。
【0033】
カラオケ装置4は、カラオケサービスを利用するユーザからリクエストされたカラオケ楽曲や、映画、バラエティ番組、ドラマ、CMといった映像コンテンツやオーディション、クイズ等のユーザ参加型のコンテンツ、飲食物の注文といった購買コンテンツ等、様々なコンテンツを各自のHDD44に保有しており、この保有するコンテンツを再生する装置である。
【0034】
カラオケ装置4は、再生するコンテンツを自ら保有するための記憶装置であるHDD44を備えているが、このHDD44の記憶容量はホストサーバ2が備えるHDD24よりも小さいものであり、近年大容量化しつつあるコンテンツを全て自前のHDD44保有することは困難である。そのため、カラオケ装置4は、ホストサーバ2が配信可能な全てのコンテンツを必ずしも保有しているとは限らない。しかしながら、カラオケ装置4に対してコンテンツをリクエストする際に用いるリモコン端末5が備える電子早見本では、ホストサーバ2が配信可能な全てのコンテンツが網羅されており、カラオケ装置4が保有していないコンテンツであってもリクエスト予約すること自体は可能である。
【0035】
そこで、ユーザがカラオケ装置4の利用を開始する際に、ユーザからのログイン操作を受け付け、自カラオケ装置4にログインしたユーザの十八番リストをホストサーバ2から取得する。そして、ログインユーザの十八番リストに登録されているコンテンツをコンテンツ中継装置3から予め取得しておき、ログインユーザが十八番リストに登録されているコンテンツをリクエストした場合、予め取得しておいた該当のコンテンツを再生する。
【0036】
リモコン端末5は、カラオケルーム内でカラオケ装置4を遠隔操作するためのものであり、ユーザが再生を希望するコンテンツのリクエストを行うための操作等の各種操作をユーザから受け付け、その操作信号を無線LAN通信や赤外線通信によって操作対象のカラオケ装置4に送信する機能を有する。また、リモコン端末5は、無線LAN通信を用いてLAN100及びWAN200経由でホストサーバ2との間で通信を行う機能を有し、リモコン端末5を使ってカラオケ装置4にログインしようとするユーザに対する認証をホストサーバ2に依頼し、その認証結果を受信する。
【0037】
つぎに、図2(a),(b),(c)は、ホストサーバ2、コンテンツ中継装置3及びカラオケ装置4の概略構成を示すブロック図である。
ホストサーバ2は、図2(a)に示すように、ハードウェア構成としてCPU21、RAM22、ROM23、HDD24、WAN通信部25等を備える。
【0038】
CPU21は、RAM22やROM23に記憶されたプログラムやデータに従って、ホストサーバ2各部に対する制御及び各種演算を実行する装置で、後述するサーバ処理を含む各種処理は、このCPU21によって実行される。RAM22は、CPU21から直接アクセスされるメインメモリとして利用される記憶装置である。ROM23は、不揮発性の記憶装置であり、BIOSや読み出し専用のデータ等を記憶している。HDD24は、各カラオケ店舗向けに配信するコンテンツ、本システムを利用する権限を有する個々のユーザの十八番リスト、ユーザ登録データベース等の各種データや、プログラム等を保存しておくための記憶装置である。WAN通信部25は、ホストサーバ2をWAN200に接続して各カラオケ店舗のコンテンツ中継装置3やユーザ端末6との間で通信を行うための通信インタフェースである。
【0039】
コンテンツ中継装置3は、図2(b)に示すように、ハードウェア構成としてCPU31、RAM32、ROM33、HDD34、WAN通信部35、LAN通信部36等を備える。
【0040】
CPU31は、RAM32やROM33に記憶されたプログラムやデータに従って、コンテンツ中継装置3各部に対する制御及び各種演算を実行する装置で、後述する中継処理及びコンテンツ取得処理等の各種処理は、このCPU31によって実行される。RAM32は、CPU31から直接アクセスされるメインメモリとして利用される記憶装置である。なお、後述する予約リストやホストサーバ2から受信した十八番リストもここに記憶される。ROM33は、不揮発性の記憶装置であり、BIOSや読み出し専用のデータ等を記憶している。HDD34は、ホストサーバ2から取得したコンテンツやプログラム等の各種データを保存しておくための記憶装置である。
【0041】
WAN通信部35は、コンテンツ中継装置3をWAN200に接続して外部のホストサーバ2との間で通信を行うための通信インタフェースである。LAN通信部36は、コンテンツ中継装置3をLAN100に接続して、同一店舗内のLAN100に接続された各カラオケ装置4との間で通信を行うための通信インタフェースである。
【0042】
カラオケ装置4は、図2(c)に示すように、ハードウェア構成としてCPU41、RAM42、ROM43、HDD44、操作部45、再生部46、入力部47、LAN通信部48等を備える。
【0043】
CPU41は、RAM42やROM43に記憶されたプログラムやデータに従って、カラオケ装置4各部に対する制御及び各種演算を実行する装置で、後述するログイン処理及びリクエスト処理等の各種処理は、このCPU41によって実行される。RAM42は、CPU41から直接アクセスされるメインメモリ等として利用される記憶装置である。なお、ホストサーバ2から取得した十八番リストもここに記憶される。ROM43は、不揮発性の記憶装置であり、BIOSや読み出し専用のデータ等を記憶している。HDD44は、コンテンツ中継装置3から取得したコンテンツやプログラム等の各種データを保存しておくための装置である。操作部45は、ユーザからの各種指示を入力するための入力装置であり、複数のキースイッチや、リモコン端末5との間で赤外線通信を行う通信インタフェース等によって構成される。
【0044】
再生部46は、演奏データに基づく演奏再生を行うMIDI音源、MIDI音源から生成されたオーディオ信号及び入力部47から入力された音声信号をスピーカへ出力する音声制御部、画像データに基づく映像の再生を制御する映像再生部、映像を表示するためのモニタ等を備える。入力部47は、マイクロフォンによって歌唱者の歌唱音声を音声信号へ変換し、再生部46へ入力するためのものである。LAN通信部48は、カラオケ装置4をLAN100に接続して外部と通信を行うための通信インタフェースである。
【0045】
[カラオケネットワークシステム1の各装置が管理するデータの説明]
つぎに、カラオケネットワークシステム1の各装置が管理するデータの概要について、図3に基づき説明する。
【0046】
図3(a)は、ホストサーバ2が記憶する十八番リストの一例を示す説明図である。ホストサーバ2には、予め登録された個々のユーザごとに専用の十八番リストが用意されており、必要に応じてコンテンツ中継装置3及びカラオケ装置4に配信される。この十八番リストには、ユーザの識別情報であるユーザIDに対応付けて、そのユーザの十八番のカラオケ楽曲や、よく利用するサービス等といった、ユーザがリクエストする可能性が高いコンテンツに関する情報のレコード(以下、十八番レコードとも称する)が羅列されている。
【0047】
個々の十八番レコードには、コンテンツの識別情報であるコンテンツ番号、コンテンツ名、コンテンツのファイル名、取得フラグ等の情報が含まれている。なお、取得フラグは、ホストサーバ2から十八番リストを受信したコンテンツ中継装置3やカラオケ装置4において、その十八番レコードに該当のコンテンツを取得したか否かを確認するために用いる情報である。ホストサーバ2から十八番レコードを受信したコンテンツ中継装置3又はカラオケ装置4において、十八番レコードに該当のコンテンツを取得していない場合に取得フラグは「0」、コンテンツを取得した場合に取得フラグは「1」に設定される。なお、ホストサーバ2からコンテンツ中継装置3やカラオケ装置4へ十八番リストを配信する時点では、各十八番レコードの取得フラグは「0」にセットされている。
【0048】
図3(b)は、コンテンツ中継装置3が記憶する予約リストの一例を示す説明図である。予約リストは、ホストサーバ2から受信した予約情報のレコード(以下、予約レコードとも称する)を予約日時の早い順に羅列したものであり、コンテンツ中継装置3のRAM32等に記憶されている。
【0049】
個々の予約レコードには、ユーザがカラオケ店舗を利用する予約日時(年月日、時間)、予約ユーザの識別情報であるユーザID、取得フラグ等の情報が含まれている。なお、取得フラグは、その予約レコードに該当の予約ユーザの十八番リストに登録されているコンテンツを全て取得したか否かを確認するために用いる情報である。予約ユーザの十八番リストに登録されているコンテンツを未取得である場合に保有フラグは「0」、予約ユーザの十八番リストに登録されているコンテンツを取得済みである場合に保有フラグは「1」に設定される。
【0050】
[ホストサーバ2が実行するサーバ処理の説明]
つぎに、ホストサーバ2のCPU21が実行するサーバ処理の詳細な内容について、図4のフローチャートに基づいて説明する。この処理は、ホストサーバ2の稼働中に常に実行される処理である。
【0051】
ホストサーバ2のCPU21は、まず、ユーザからカラオケ店舗への来店予約を受け付けたか否かを判定する(S100)。来店予約は、先述のとおりユーザ端末6からWAN200を介して行われる。来店予約を受け付けた場合(S100:YES)、予約されたカラオケ店舗のコンテンツ中継装置3に対して、予約ユーザのユーザID及び予約日時(年月日、時刻)を含む予約情報と、当該予約ユーザに該当の十八番リストを配信し(S101)、S100の処理へ戻る。
【0052】
一方、S100でユーザからの来店予約を受け付けていないと判定した場合(S100:NO)、カラオケ装置4から特定のユーザの十八番リストの取得要求を受信したか否かを判定する(S102)。十八番リストの取得要求を受信した場合(S102:YES)、HDD24に保有している十八番リストの中から、指定されたユーザIDに該当の十八番リストを要求元のカラオケ装置4へ配信し(S103)、S100の処理へ戻る。
【0053】
一方、S102で十八番リストの取得要求を受信していないと判定した場合(S102:NO)、コンテンツ中継装置3から特定のコンテンツに対する取得要求を受信したか否かを判定する(S104)。コンテンツの取得要求を受信した場合(S104:YES)、HDD24に保有しているコンテンツの中から、指定されたコンテンツを要求元のコンテンツ中継装置3へ配信し(S105)、S100の処理へ戻る。一方、S104でコンテンツの取得要求を受信していないと判定した場合(S104:NO)、S100の処理へ戻る。
【0054】
[コンテンツ中継装置3が実行する中継処理の説明]
つぎに、コンテンツ中継装置3のCPU31が実行する中継処理の詳細な内容について、図5のフローチャートに基づいて説明する。この処理は、コンテンツ中継装置3の稼働中に常に実行される処理である。
【0055】
コンテンツ中継装置3のCPU31は、まず、カラオケ装置4から特定のコンテンツに対する取得要求を受信したか否かを判定する(S200)。コンテンツの取得要求を受信した場合(S200:YES)、HDD34に保有しているコンテンツの中から、指定されたコンテンツを要求元のカラオケ装置4へ配信し(S201)、S200の処理へ戻る。
【0056】
一方、S200でコンテンツの取得要求を受信していないと判定した場合(S200:NO)、ホストサーバ2から予約情報、及びこの予約情報に係る予約ユーザの十八番リストを受信したか否かを判定する(S202)。なお、予約情報及び十八番リストは、ホストサーバ2が実行する先述のサーバ処理(図4参照)のS101で送信されるものである。予約情報及び十八番リストを受信した場合(S202:YES)、当該予約ユーザの十八番リストをメモリに記憶するとともに、予約リスト(図3(b)参照)に受信した予約情報に基づく予約レコードを登録する(S203)。そして、予約リストに登録されている各予約レコードを予約日時の早い順にソートし(S204)、S200の処理へ戻る。一方、S202で予約情報及び十八番リストを受信していないと判定した場合(S202:NO)、S200の処理へ戻る。
【0057】
[コンテンツ中継装置3が実行するコンテンツ取得処理の説明]
つぎに、コンテンツ中継装置3のCPU31が実行するコンテンツ取得処理の詳細な内容について、図6のフローチャートに基づいて説明する。この処理は、コンテンツ中継装置3の稼働中に常に実行される処理である。
【0058】
コンテンツ中継装置3のCPU31は、まず、予約リスト(図3(b)参照)内に予約レコードが存在するか否かを判定する(S300)。予約リスト内に予約レコードが存在しない間(S300:NO)、この処理を繰り返す。そして、予約リスト内に予約レコードが存在すると判定した場合(S300:YES)、前回取得した予約レコードの次の予約レコードを取得する(S301)。ただし、初回は予約リストにおいて先頭の予約レコードを取得する。そして、S301で取得した予約レコードの取得フラグが「0」に設定されているか否かを判定する(S302)。
【0059】
予約レコードの取得フラグが「0」である場合(S302:YES)、この予約レコードに含まれるユーザIDに該当する十八番リスト(図3(a)参照)に十八番レコードが存在するか否かを判定する(S303)。十八番リストに十八番レコードが存在する場合(S303:YES)、前回取得した十八番レコードの次の十八番レコードを取得する(S304)。ただし、初回は十八番レコードにおいて先頭の十八番レコードを取得する。そして、S304で取得した十八番レコードの取得フラグが「0」に設定されているか否かを判定する(S305)。十八番レコードの取得フラグが「0」である場合(S305:YES)、この十八番レコードに含まれるコンテンツ番号に該当のコンテンツをホストサーバ2から取得する(S306)。ここでは、ホストサーバ2に対してコンテンツ番号を指定してコンテンツの取得要求を通知し、その通知に応じてホストサーバ2から配信されてくるコンテンツをHDD34に格納する。S306でコンテンツを取得した後、当該十八番レコードの取得フラグを「1」に変更し(S307)、S308の処理へ移行する。一方、S305で十八番レコードの取得フラグが「1」であると判定した場合(S305:NO)、S308の処理へ移行する。
【0060】
つぎに、S308では、S304で今回取得した十八番レコードの次の十八番レコードが十八番リストに存在するか否かを判定する。次の十八番レコードが存在する場合(S308:YES)、S304の処理へ戻る。以降、S304からS308の処理を順次繰り返すことで、十八番リストに登録されている未取得のコンテンツをホストサーバ2から順次取得する。その後、S308で次の十八番レコードが存在しないと判定した場合(S308:NO)、S301で今回取得した予約レコードの取得フラグを「1」に変更する(S309)。そして、S301で今回取得した予約レコードの次の予約レコードが予約リストに存在するか否かを判定する(S310)。次の予約レコードが存在する場合(S310:YES)、S301の処理へ戻り、予約リストから次の予約レコードを取得する。
【0061】
一方、S302で予約レコードの取得フラグが「1」であると判定した場合(S302:NO)、カラオケ装置4からログアウト通知を受信したか否かを判定する(S311)。ここでは、カラオケ装置4にログイン中のユーザがリモコン端末5を用いてログアウトをする指示入力した場合、ログアウトしたユーザのユーザIDを含むログアウト通知がカラオケ装置4からコンテンツ中継装置3へ送信される。カラオケ装置4からログアウト通知を受信した場合(S311:YES)、ログアウトしたユーザのユーザIDに該当する十八番リストに登録されているコンテンツをHDD34から削除する(S312)。そして、ログアウトしたユーザのユーザIDに該当する十八番リストを削除する(S313)とともに、そのユーザIDに該当する予約レコードを予約リストから削除し(S314)、S310の処理へ移行する。一方、S311でカラオケ装置4からログアウト通知を受信していないと判定した場合(S311:NO)、S310の処理へ移行する。
【0062】
以上のようにしてS301〜S314の処理を順次繰り返すことで、予約日時の早い予約レコードから順に、該当のユーザの十八番リストのコンテンツを順次取得していく。そして、S310で次の予約レコードが予約リストに存在しないと判定した場合(S310:NO)、S300の処理へ戻る。
【0063】
[カラオケ装置4が実行するログイン処理の説明]
つぎに、カラオケ装置4のCPU41が実行するログイン処理の詳細な内容について、図7のフローチャートに基づいて説明する。この処理は、カラオケ装置4の稼働中に常に実行される処理である。
【0064】
カラオケ装置4のCPU41は、まず、リモコン端末5からユーザのログイン通知を受信したか否かを判定する(S400)。ログイン通知を受信していない間(S400:NO)、この処理を繰り返す。なお、カラオケ装置4に対するユーザのログインは、次のような手順で行われる。
【0065】
ユーザは、リモコン端末5を操作して自身に割り当てられているユーザID及び認証用のパスワードをリモコン端末5に入力する。リモコン端末5は、入力されたユーザID及びパスワードをホストサーバ2へ送信してログイン要求を行う。ホストサーバ2は、リモコン端末5から受信したユーザID及びパスワードを、ユーザ登録データベースに予め登録されているユーザID及びパスワードと照合する。リモコン端末5から送信されてきたユーザID及びパスワードがユーザ登録データベースに登録されているユーザID及びパスワードと適合する場合、ログインを許可する旨の認証結果通知を要求元のリモコン端末5に対して送信する。
【0066】
リモコン端末5は、ホストサーバ2から認証結果通知を受信すると、自リモコン端末5の操作対象であるカラオケ装置4に対して、当該ユーザがログインを開始した旨を通知するためのログイン通知を送信する。このログイン通知には、例えば当該ログインユーザのユーザID等が含まれる。カラオケ装置4は、リモコン端末5からログイン通知を受信すると、自カラオケ装置4を利用中のログインユーザとして、当該ログイン通知に含まれるログインユーザのユーザIDをRAM42等に記憶する。
【0067】
図7のフローチャートの説明に戻る。S400でリモコン端末5からログイン通知を受信したと判定した場合(S400:YES)、このログインユーザの十八番リストをホストサーバ2から取得する(S401)。ここでは、ホストサーバ2に対してユーザIDを指定して十八番リストの取得要求を通知し、その通知に応じてホストサーバ2から配信されてくる十八番リストを取得し、RAM42に格納する。
【0068】
ログインユーザの十八番リストを取得後、この取得した十八番リスト内に十八番レコードが存在するか否かを判定する(S402)。十八番リストに十八番レコードが存在しない場合(S402:NO)、S400の処理へ戻る。一方、十八番リストに十八番レコードが存在する場合(S402:YES)、前回取得した十八番レコードの次の十八番レコードを取得する(S403)。ただし、初回は十八番レコードにおいて先頭の十八番レコードを取得する。そして、S403で取得した十八番レコードの取得フラグが「0」に設定されているか否かを判定する(S404)。十八番レコードの取得フラグが「0」である場合(S404:YES)、この十八番レコードに含まれるコンテンツ番号に該当のコンテンツをコンテンツ中継装置3から取得する(S405)。ここでは、コンテンツ中継装置3に対してコンテンツ番号を指定してコンテンツの取得要求を通知し、その通知に応じてコンテンツ中継装置3から配信されてくるコンテンツをHDD44に格納する。S405でコンテンツを取得した後、当該十八番レコードの取得フラグを「1」に変更し(S406)、S407の処理へ移行する。一方、S404で十八番レコードの取得フラグが「1」であると判定した場合(S404:NO)、S407の処理へ移行する。
【0069】
つぎに、S407では、S403で今回取得した十八番レコードの次の十八番レコードが十八番リストに存在するか否かを判定する。次の十八番レコードが存在する場合(S407:YES)、S403の処理へ戻る。以降、S403からS407の処理を順次繰り返すことで、十八番リストに登録されている未取得のコンテンツをコンテンツ中継装置3から順次取得する。その後、S407で次の十八番レコードが存在しないと判定した場合(S407:NO)、S400の処理へ戻る。
【0070】
[カラオケ装置4が実行するリクエスト処理の説明]
本実施形態のカラオケネットワークシステム1では、先述のログイン処理によって十八番リストのコンテンツを取得する手順を経なくても、来店予約時にコンテンツ中継装置3が予め取得しておいた予約ユーザの十八番リストに登録のコンテンツをカラオケ装置4が取得することができる。以下、その手順について、図8のフローチャートに基づいて説明する。このリクエスト処理は、カラオケ装置4の稼働中に常に実行される処理である。
【0071】
カラオケ装置4のCPU41は、まず、リモコン端末5からコンテンツのリクエスト通知を受信したか否かを判定する(S500)。ここでは、ユーザがリモコン端末5上でリクエストするコンテンツを選択し、リクエスト通知の送信指示をリモコン端末5へ入力することで、リモコン端末5からコンテンツ番号を含むリクエスト通知がカラオケ装置4へ送信される。コンテンツのリクエスト通知を受信していない間(S500:NO)、この処理を繰り返す。
【0072】
そして、コンテンツのリクエスト通知を受信した場合(S500:YES)、リクエスト通知に含まれるコンテンツ番号に該当のコンテンツを自カラオケ装置4のHDD44に保有しているか否かを判定する(S501)。リクエスト通知に該当のコンテンツを保有している場合(S501:YES)、HDD44に保有しているコンテンツの中から、当該リクエストされたコンテンツを再生し(S502)、S500の処理へ戻る。
【0073】
一方、S501でリクエスト通知に該当のコンテンツを保有していないと判定した場合(S501:NO)、リクエストされたコンテンツをコンテンツ中継装置3から取得する(S503)。ここでは、コンテンツ中継装置3に対してコンテンツ番号を指定してコンテンツの取得要求を通知し、その通知に応じてコンテンツ中継装置3から配信されてくるコンテンツをHDD44に格納する。S503でコンテンツを取得した後、その取得したコンテンツを再生し(S504)、S500の処理へ戻る。
【0074】
つぎに、上記実施形態のカラオケネットワークシステム1の構成と特許請求の範囲に記載の構成との対応を説明する。実施形態におけるホストサーバ2のHDD24が個人用リスト記憶手段に相当する。また、CPU21及びWAN通信部25が、予約情報配信手段、一次配信手段、及び個人用リスト配信手段に相当する。コンテンツ中継装置3のHDD34が一次記憶手段に相当する。また、RAM32が予約情報記憶手段に相当する。また、CPU21が予約情報登録手段に相当する。また、CPU21及びWAN通信部35が一次取得手段に相当する。また、CPU21及びLAN通信部36が二次配信手段に相当する。カラオケ装置4のHDD44が二次記憶手段に相当する。また、CPU41及び操作部45がログイン受付手段に相当する。また、CPU41及びLAN通信部48が、個人用リスト取得手段及び二次取得手段に相当する。
【0075】
[効果]
上記実施形態のカラオケネットワークシステム1によれば、下記の効果を奏する。
(1−1)ユーザがユーザ端末6を介して利用するカラオケ店舗と、その日時とをホストサーバ2に対して予約することで、そのユーザによるリクエストが期待されるコンテンツ(=当該ユーザ専用の十八番リストに登録されているコンテンツ)を、予約されたカラオケ店舗のコンテンツ中継装置3に対して予め一次配信しておくことができる。つまり、ユーザが来店の予約をしてから実際にカラオケ店舗へ来店するまでの時間を活用して、ユーザによるリクエストが期待される十八番リストのコンテンツの一次配信までは少なくとも実行しておくことができ、そのコンテンツがリクエストされたときの取得待ち時間を低減できる。また、個々のカラオケ装置4が各個にホストサーバ2から直接コンテンツを取得することがないため、通信回線の負荷を抑えることができる。
【0076】
(1−2)コンテンツ配信用のホストサーバ2と各カラオケ店舗とを繋ぐWAN200と、カラオケ店舗内に敷設されるLAN100とで通信速度を比較した場合、一般にWAN200の方が通信速度が遅いため、WAN200を介して行われるホストサーバ2からコンテンツ中継装置3までの一次配信は、LAN100を介して行われるコンテンツ中継装置3からカラオケ装置4までの二次配信よりも時間がかかる。そこで、ユーザからの来店予約を受け付けた時点で、ホストサーバ2からコンテンツ中継装置3までの一次配信を予め行っておくことで、コンテンツ取得の遅延時間を低減できる。
【0077】
(1−3)コンテンツ中継装置3は、ホストサーバ2から受信した予約情報に基づき、予約日時が早い、すなわち来店が早いユーザのコンテンツを優先してホストサーバ2から一次配信を受けるので、来店が早いユーザを長く待たせることがない。
【0078】
(1−4)ユーザがカラオケ店舗の予約をした時点では、ユーザがカラオケ店舗内のどのカラオケ装置4を利用するかまでは特定できない。そこで、ログイン処理(図7)によって、ユーザが特定のカラオケ装置4に対してログインした時点、すなわち、ユーザが使用するカラオケ装置4が確定した時点で、そのユーザによるリクエストが期待される十八番リストのコンテンツをカラオケ装置4が予め取得しておくことで、十八番リストのコンテンツがリクエストされたときの取得待ち時間を低減できる。また、この二次配信は店舗内のLAN100を経由して行われるので、ユーザがカラオケ装置4の使用を開始した時点でホストサーバ2からWAN200経由でコンテンツを取得する場合と比較して格段に早く二次配信を済ませることができる。
【0079】
(2−1)リクエスト処理(図8)では、ユーザからのリクエストを受け付けた時点で、そのコンテンツをコンテンツ中継装置3から取得する。このような取得手順の場合、ユーザがログインした時点で十八番リストのコンテンツを取得するログイン処理(図7)の手順と比較して、コンテンツ取得の迅速性の面では及ばないものの、リクエストの有無に関わらず十八番リストに登録されたコンテンツを全て取得するのではなく、ユーザからリクエストされたコンテンツのみを取得することで、カラオケ店舗内のLAN100の通信負荷を低減できるとともに、カラオケ装置4が備えるHDD44の記憶容量を節約できるといったメリットがある。
【0080】
(2−2)リクエスト処理(図8)では、コンテンツ取得の迅速性の面でログイン処理(図7)手順に及ばないとはいえ、ユーザからの予約を受け付けた時点でホストサーバ2からコンテンツ中継装置3までのWAN200を介した一次配信を予め行っておくので、予約ユーザの十八番リストのコンテンツがリクエストされた際のコンテンツ取得の遅延時間を十分低減できる。また、カラオケ店舗内での二次配信はLAN100を経由して行われるので、ユーザからのリクエストを受け付けた時点でホストサーバ2からWAN200経由でコンテンツを取得する場合と比較して格段に早くコンテンツの取得を済ませることができる。
【符号の説明】
【0081】
1…カラオケネットワークシステム、2…ホストサーバ、3…コンテンツ中継装置、4…カラオケ装置、5…リモコン端末、6…ユーザ端末、21,31,41…CPU、22,32,42…RAM、23,33,43…ROM、24,34,44…ハードディスクドライブ(HDD)、25,35…WAN通信部、36,48…LAN通信部、45…操作部、46…再生部、47…入力部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザからリクエストされたコンテンツを実行する複数のカラオケ装置と、1つのコンテンツ中継装置とがカラオケ店舗内において第1のネットワークを介して通信可能に接続された店舗内カラオケシステムと、カラオケ店舗外に配置されたコンテンツ配信用のホストサーバとが、第2のネットワークを介して通信可能に接続されたカラオケネットワークシステムにおいて、
前記ホストサーバは、ユーザが所有する情報通信端末との間で通信可能に構成されており、さらに、
個々のユーザごとに、ユーザの識別情報と、そのユーザによるリクエストが期待されるコンテンツの一覧とを対応付けて記録した個人用リストを記憶する個人用リスト記憶手段と、
ユーザが所有する情報通信端末との通信を介して、ユーザが前記カラオケ店舗を利用する日時の予約を受け付け、その予約に関する情報として、その予約をしたユーザの識別情報及び予約日時を含む予約情報と、その予約をしたユーザに対応する前記個人用リストとを、当該予約されたカラオケ店舗のコンテンツ中継装置に対して配信する予約情報配信手段と、
前記コンテンツ中継装置からコンテンツの取得要求を受け付け、その受け付けた取得要求に該当するコンテンツを要求元の前記コンテンツ中継装置に対して配信する一次配信手段と、
前記カラオケ装置から個人用リストの取得要求を受け付け、その取得要求に該当するユーザの個人用リストを要求元の前記カラオケ装置に対して配信する個人用リスト配信手段とを備え、
前記コンテンツ中継装置は、
前記ホストサーバから取得したコンテンツを記憶するための一次記憶手段と、
前記ホストサーバから受信した予約情報の一覧である予約リストと、その予約リストに登録されている予約情報に係るユーザの個人用リストとを記憶する予約情報記憶手段と、
前記ホストサーバから前記予約情報及びその予約情報に対応する個人用リストを受信し、その受信した予約情報を前記予約リストに登録するとともに、その受信した個人用リストを前記予約情報記憶手段に記録する予約情報登録手段と、
前記予約情報記憶手段に記憶されている予約リストに基づいて、予約に係るユーザの個人用リストに記録されているコンテンツの取得が済んでいない前記予約情報の中から予約の日時が最も早いものを選択し、その選択した予約情報に係るユーザの個人用リストに記録されているコンテンツを前記ホストサーバから取得し、これを前記一次記憶手段に格納する処理を順次繰り返す一次取得手段と、
前記カラオケ装置からコンテンツの取得要求を受け付け、前記一次記憶手段に格納されているコンテンツの中から当該取得要求に該当するコンテンツを要求元の前記カラオケ装置に対して配信する二次配信手段とを備え、
前記カラオケ装置は、自カラオケ装置を使用するユーザを自カラオケ装置に対応付けてログイン可能に構成されており、
さらに、前記コンテンツ中継装置から取得したコンテンツを記憶するための二次記憶手段と、
自カラオケ装置を使用するユーザから、当該ユーザの識別情報の入力を伴う自カラオケ装置へのログイン手続きを受け付けるログイン受付手段と、
前記ログイン受付手段によりユーザからのログイン手続きを受け付けた後、当該ユーザの識別情報に該当する前記個人用リストを前記ホストサーバから取得する個人用リスト取得手段と、
前記個人用リスト取得手段によって前記個人用リストを取得した後、その取得した個人用リストに記録されているコンテンツを前記コンテンツ中継装置から取得し、これを前記二次記憶手段に格納する二次取得手段とを備えること
を特徴とするカラオケネットワークシステム。
【請求項2】
ユーザからリクエストされたコンテンツを実行する複数のカラオケ装置と、1つのコンテンツ中継装置とがカラオケ店舗内において第1のネットワークを介して通信可能に接続された店舗内カラオケシステムと、カラオケ店舗外に配置されたコンテンツ配信用のホストサーバとが、第2のネットワークを介して通信可能に接続されたカラオケネットワークシステムにおいて、
前記ホストサーバは、ユーザが所有する情報通信端末との間で通信可能に構成されており、さらに、
個々のユーザごとに、ユーザの識別情報と、そのユーザによるリクエストが期待されるコンテンツの一覧とを対応付けて記録した個人用リストを記憶する個人用リスト記憶手段と、
ユーザが所有する情報通信端末との通信を介して、ユーザが前記カラオケ店舗を利用する日時の予約を受け付け、その予約に関する情報として、その予約をしたユーザの識別情報及び予約日時を含む予約情報と、その予約をしたユーザに対応する前記個人用リストとを、当該予約されたカラオケ店舗のコンテンツ中継装置に対して配信する予約情報配信手段と、
前記コンテンツ中継装置からコンテンツの取得要求を受け付け、その受け付けた取得要求に該当するコンテンツを要求元の前記コンテンツ中継装置に対して配信する一次配信手段とを備え、
前記コンテンツ中継装置は、
前記ホストサーバから取得したコンテンツを記憶するための一次記憶手段と、
前記ホストサーバから受信した予約情報の一覧である予約リストと、その予約リストに登録されている予約情報に係るユーザの個人用リストとを記憶する予約情報記憶手段と、
前記ホストサーバから前記予約情報及びその予約情報に対応する個人用リストを受信し、その受信した予約情報を前記予約リストに登録するとともに、その受信した個人用リストを前記予約情報記憶手段に記録する予約情報登録手段と、
前記予約情報記憶手段に記憶されている予約リストに基づいて、予約に係るユーザの個人用リストに記録されているコンテンツの取得が済んでいない前記予約情報の中から予約の日時が最も早いものを選択し、その選択した予約情報に係るユーザの個人用リストに記録されているコンテンツを前記ホストサーバから取得し、これを前記一次記憶手段に格納する処理を順次繰り返す一次取得手段と、
前記カラオケ装置からコンテンツの取得要求を受け付け、前記一次記憶手段に格納されているコンテンツの中から当該取得要求に該当するコンテンツを要求元の前記カラオケ装置に対して配信する二次配信手段とを備え、
前記カラオケ装置は、
前記コンテンツ中継装置から取得したコンテンツを記憶するための二次記憶手段と、
ユーザからのリクエストを受け付けたコンテンツを前記コンテンツ中継装置から取得し、これを前記二次記憶手段に格納するする二次取得手段とを備えること
を特徴とするカラオケネットワークシステム。
【請求項3】
ユーザからリクエストされたコンテンツを実行する複数のカラオケ装置と、1つのコンテンツ中継装置とがカラオケ店舗内において第1のネットワークを介して通信可能に接続された店舗内カラオケシステムと、カラオケ店舗外に配置されたコンテンツ配信用のホストサーバとが、第2のネットワークを介して通信可能に接続されたカラオケネットワークシステムを構成する前記コンテンツ中継装置であって、
前記ホストサーバから取得したコンテンツを記憶するための一次記憶手段と、
前記ホストサーバから受信した予約情報の一覧である予約リストと、その予約リストに登録されている予約情報に係るユーザの個人用リストとを記憶する予約情報記憶手段と、
前記カラオケ店舗を利用する予約をしたユーザの識別情報及び予約日時を含む予約情報と、その予約をしたユーザの識別情報と、そのユーザによるリクエストが期待されるコンテンツの一覧とを対応付けて記録した個人用リストとを前記ホストサーバから受信し、その受信した予約情報を前記予約リストに登録するとともに、その受信した個人用リストを前記予約情報記憶手段に記録する予約情報登録手段と、
前記予約情報記憶手段に記憶されている予約リストに基づいて、予約に係るユーザの個人用リストに記録されているコンテンツの取得が済んでいない前記予約情報の中から予約の日時が最も早いものを選択し、その選択した予約情報に係るユーザの個人用リストに記録されているコンテンツを前記ホストサーバから取得し、これを前記一次記憶手段に格納する処理を順次繰り返す一次取得手段と、
前記カラオケ装置からコンテンツの取得要求を受け付け、前記一次記憶手段に格納されているコンテンツの中から当該取得要求に該当するコンテンツを要求元の前記カラオケ装置に対して配信する二次配信手段とを備えること、
を特徴とするコンテンツ中継装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−237382(P2010−237382A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−84376(P2009−84376)
【出願日】平成21年3月31日(2009.3.31)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】