説明

カラオケ採点システム

【課題】 利用者の所望に応じて設定された時間的要素を含む利用者別採点基準を用いて、歌唱採点を行う。
【解決手段】 複数の採点基準を管理する採点基準管理手段37と、利用者を特定する利用者管理手段38と、特定された任意の利用者が選択した採点基準と、当該利用者が任意に設定した時間的要素とを紐付けして、利用者別採点条件設定テーブル54を作成する利用者別採点条件設定手段39と、任意の利用者の歌唱タイミングが当該利用者により設定された時間的要素に含まれるか否かを判定する時間的要素判定手段40と、任意の利用者の歌唱タイミングが当該利用者により設定された時間的要素に含まれていると、当該利用者が選択した利用者別採点基準を採用し、それ以外にはデフォルトの採点基準を採用する採点基準採用手段41と、選択された採点基準を用いて採点を行う歌唱採点手段42と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カラオケ採点システムに関するものであり、特に、歌唱者の所望に応じて設定された、時間的要素を含む採点基準を用いて歌唱採点可能としたカラオケ採点システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在普及しているカラオケ演奏装置には歌唱採点機能を有しているものがあり、マイクロホンから入力された歌唱音声と、予め楽曲毎に設定されたリファレンスとを比較して、音程の正確性、発声タイミング、音量の加減等について、歌唱の巧拙を採点することができるようになっている。
【0003】
例えば、特許文献1には、採点機能付きのカラオケ演奏装置に関する技術が開示されている。特許文献1に記載された技術は、歌唱音声の周波数を採点して基本得点を算出するとともに、歌唱のビブラート、抑揚、声質、タイミング、しゃくりなど他の歌唱要素を採点して付加ポイントを算出する。そして、基本得点に付加ポイントを加算して最終得点を求めるようにしたものである。
【0004】
また、特許文献2には、異なる評価の得点を複数種類表示することが可能なカラオケ演奏装置に関する技術が開示されている。この特許文献2に記載された技術は、歌唱者の歌唱音声が入力されると、歌唱採点機能が働き、歌唱の音高、音量、リズムを点数化する。そして、それぞれ異なる複数の採点基準(歌唱の音高、音量、リズムに対する重み付けが異なる採点基準)に基づいて、歌唱採点機能における採点値を加重平均し、複数の採点結果を導き出すことにより、音程(周波数)重視、リズム重視等のように視点の異なった複数の採点結果を得るようにしたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−107337号公報
【特許文献2】特開平10−161673号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、歌唱者の立場に立った場合に、一律に規定された採点基準によって採点するのではなく、歌唱者にとって特別な日や、曜日あるいは時間帯などで、気分を盛り上げるために、甘めな採点として欲しい場合がある。例えば、利用者の誕生日や結婚記念日、あるいは週末や夜の時間帯等、種々の時間的要素に応じて採点基準を変更することができれば、カラオケ演奏装置を用いた歌唱の楽しさを広げることができる。
【0007】
また、歌唱力アップに対して真剣に取り組んでいる歌唱者にとっては、例えば、曜日毎に採点基準が変更される設定とすることにより、様々な観点から歌唱力を客観的に評価することができる。さらに、月毎に採点レベルの難易度が高くなるような設定とすることにより、月を経ることに伴う歌唱回数の増加に応じて、歌唱力の向上を判定することができるとともに、歌唱者のチャレンジ精神を喚起することができる。
【0008】
しかし、従来のカラオケ演奏装置における歌唱採点では、月日、曜日、時間等の時間的要素に応じて採点基準を変更することはできないため、カラオケ演奏装置を用いた歌唱の楽しさを広げるためのさらなる工夫が望まれていた。
【0009】
本発明は、上述した事情に鑑み提案されたもので、利用者の所望に応じて設定された時間的要素を含む利用者別採点基準を用いて、歌唱採点を行うことが可能なカラオケ採点システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のカラオケ採点システムは、上述した目的を達成するため、以下の特徴点を有している。すなわち、本発明のカラオケ採点システムは、カラオケ演奏端末において歌唱採点を行う際に、利用者の所望に応じて利用者毎に設定された採点基準を用いて歌唱採点を行うことが可能なカラオケ採点システムであって、採点基準管理手段と、利用者管理手段と、利用者別採点条件設定手段と、時間的要素判定手段と、採点基準採用手段と、歌唱採点手段と、を備えたことを特徴としている。
【0011】
ここで、採点基準管理手段は、それぞれ異なる複数の採点基準を、採点基準管理テーブルにて管理するための手段である。利用者管理手段は、カラオケ演奏端末を利用する利用者を特定して、利用者管理テーブルにて管理するための手段である。利用者別採点条件設定手段は、特定された任意の利用者が複数の採点基準の中から選択した採点基準と、当該利用者が任意に設定した時間的要素とを紐付けして、利用者別採点条件設定テーブルを作成するための手段である。時間的要素判定手段は、利用者別採点条件設定テーブルを参照して、任意の利用者が歌唱する際に、当該歌唱タイミングが当該利用者により設定された時間的要素に含まれるか否かを判定するための手段である。採点基準採用手段は、歌唱タイミングが利用者により設定された時間的要素に含まれている場合には、利用者が選択した利用者別採点基準を採用し、歌唱タイミングが利用者により設定された時間的要素に含まれていない場合には、予め設定されたデフォルトの採点基準を採用するための手段である。歌唱採点手段は、特定された利用者が歌唱する楽曲について歌唱採点を行う際に、当該利用者のものとして採用された採点基準に従って採点を行うための手段である。
【0012】
このような構成からなるカラオケ採点システムでは、採点基準管理手段により、予め、採点レベルや、歌唱技法の質についての重み付けがそれぞれ異なる複数の採点基準を、採点基準管理テーブルを用いて管理する。なお、採点レベルとは、発声タイミングや音程の一致に関する許容範囲の広狭を相違させて難易度を設定した基準のことであり、歌唱技法の質とは、ビブラート、しゃくり、ロングトーン等のことである。また、利用者管理手段により、ID媒体等から取得された利用者IDに基づき利用者を特定し、利用者管理テーブルを作成して管理する。
【0013】
また、利用者別採点条件設定手段により、利用者が所望する利用者別採点基準を設定する。すなわち、採点基準管理テーブルを参照し、利用者の所望に応じて、月日、曜日、時間帯等といった時間的要素を含んだ採点基準を選択し、当該利用者の採点基準として設定する。設定された採点基準は、利用者別採点条件設定テーブルにて管理される。
【0014】
そして、任意の利用者が歌唱を行う際に、時間的要素判定手段により、利用者別採点条件設定テーブルを参照して、当該歌唱を行うタイミングが、当該利用者により設定された月日、曜日、時間帯等といった時間的要素に含まれるか否かを判定する。この判定結果に基づいて、歌唱採点手段で用いる採点基準が設定される。すなわち、採点基準採用手段により、歌唱タイミングが当該歌唱を行う利用者により設定された時間的要素に含まれている場合には、当該利用者が選択した利用者別採点基準を採用する。一方、歌唱タイミングが当該歌唱を行う利用者により設定された時間的要素に含まれていない場合には、予め設定されたデフォルトの採点基準を採用する。
【0015】
そして、歌唱採点手段により、特定された利用者が歌唱する楽曲について歌唱採点を行う際に、採用された採点基準に従って採点が行われる。採用される採点基準は、上述したように、利用者別採点基準又はデフォルトの採点基準のいずれかである。
【発明の効果】
【0016】
本発明のカラオケ採点システムでは、利用者の所望に応じて設定された時間的要素を含む利用者別採点基準を用いて、歌唱採点を行うことができる。例えば、利用者の誕生日や結婚記念日、あるいは週末や夜の時間帯等、自らの気分を盛り上げるために高得点を得たいと欲している場合には、容易に高得点を得られるような採点基準を設定する。また、日々の練習により歌唱力の向上を目指す場合には、日を追う毎に厳しくなる採点基準を設定する等、利用者の所望に応じた採点基準を用いて歌唱採点を行うことにより、カラオケ演奏装置を用いた歌唱の楽しさを十分に味わうことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施形態に係るカラオケ採点システムを含むカラオケシステムの概略構成を示すブロック図。
【図2】本発明の実施形態に係るカラオケ採点システムを適用するカラオケ演奏端末の概略構成を示すブロック図。
【図3】顧客データベースの構成を示す説明図。
【図4】採点基準管理テーブルの構成を示す説明図。
【図5】利用者別採点条件設定テーブルの構成を示す説明図。
【図6】本発明の実施形態に係るカラオケ採点システムにおける歌唱採点のフローチャート。
【図7】本発明の実施形態に係るカラオケ採点システムにおける選曲画面の模式図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
<基本構成>
以下、図面を参照して、本発明のカラオケ採点システムの実施形態について説明する。図1は本発明の実施形態に係るカラオケ採点システムを含むカラオケシステムの概略構成を示すブロック図、図2は本発明の実施形態に係るカラオケ採点システムを適用するカラオケ演奏端末の概略構成を示すブロック図である。また、図3は顧客データベースの構成を示す説明図、図4は採点基準管理テーブルの構成を示す説明図、図5は利用者別採点条件設定テーブルの構成を示す説明図である。
【0019】
本発明の実施形態に係るカラオケ採点システムを含むカラオケシステムは、図1に示すように、通信ネットワーク12を介して相互に接続されたホスト装置11と複数のカラオケ演奏端末10と、を備えている。通信ネットワーク12は、公衆電話回線、専用電話回線、光通信回線、LAN等を用いることができるが、ネットワークに対する第三者の侵入やデータの傍聴及び改竄が困難であるとともに、帯域を独占せずに安価な通信網であるという点で、インターネットにより構成されるVPNを利用することが好ましい。
【0020】
<ホスト装置>
ホスト装置11は、図1に示すように、制御手段51、データ処理手段52、顧客データベース53、利用者別採点条件設定テーブル54、送受信部55を備えている。
【0021】
<制御手段/送受信部>
制御手段51は、ホスト装置11を統括的に制御するための手段であり、CPU及びその周辺機器を含んで構成され、CPU等がROM等に格納されたアプリケーションプログラムに従って動作することにより制御機能を発揮するようになっている。送受信部55は、各カラオケ演奏端末10との間でデータの送受信を行うための手段であり、通信ネットワーク12における通信方式の整合性を保つための通信回路やソフトウェアにより構成される。
【0022】
<データ処理手段/顧客データベース>
データ処理手段52は、顧客データベース53及び利用者別採点条件設定テーブル54にアクセスして、データの抽出、変更、追加を処理するためのプログラムからなる。顧客データベース53は、利用者毎に利用者情報が登録されたデータベースである。この顧客データベース53は、図3に示すように、利用者毎に、利用者ID、氏名、セカンドネーム(例えば愛称)、住所、電話番号、年齢(または生年月日)、性別、職業等が関連付けて構成されている。なお、顧客データベース53に含まれるデータは、図3に示すものに限られず、顧客としての登録年数、カラオケシステムの利用頻度等を含ませてもよい。
【0023】
<利用者別採点条件設定テーブル>
利用者別採点条件設定テーブル54は、各カラオケ演奏端末10が備える利用者別採点条件設定手段39の機能により作成されるデータテーブルであり、図5に示すように、利用者IDと、当該利用者のものとして設定された時間的要素を含む利用者別採点基準とを紐付けしたデータ構造を有している。なお、顧客データベース53を構成する顧客データ及び利用者別採点条件設定テーブル54を構成する利用者別採点基準設定データは、ホスト装置11とカラオケ演奏端末10とが通信ネットワーク12を介して通信を行うことにより送受信される。利用者別採点条件設定手段39については、後に詳述する。
【0024】
図5に示す例では、曜日毎及び指定日毎に採点基準を設定することができるようになっている。すなわち、特定の曜日毎にそれぞれ採点基準が設定されるとともに、特定の指定日に対しても採点基準が設定されている。この場合、特定の指定日に紐付けられた採点基準が優先して採用される。なお、他の時間的要素としては、時間、日、週、月、年等の他に、誕生日、結婚記念日等、どのような時間的要素を採用してもよい。また、採点基準の優先順位についても、適宜変更して設定することができる。
【0025】
<カラオケ演奏端末>
本発明の実施形態に係るカラオケ演奏端末10は、図2に示すように、カラオケ本体21、カラオケリモコン装置22、スピーカ23、ミキシングアンプ24、マイクロホン25、ディスプレイ装置26を備えている。
【0026】
<カラオケ本体>
カラオケ本体21は、中央制御手段31、ROM32、RAM33、HDD34、ネットワーク送受信手段35、ローカル送受信手段36、採点基準管理手段37、利用者管理手段38、利用者別採点条件設定手段39、時間的要素判定手段40、採点基準採用手段41、歌唱採点手段42、予約管理手段43、音楽再生制御手段44、A/Dコンバータ45、映像再生制御手段46を備えている。
【0027】
<中央制御手段>
中央制御手段31は、カラオケ本体21を総合的に制御するための手段であり、例えばCPU及びその周辺機器により構成されており、CPU等がROM32等に記憶されたプログラムに従って動作することにより、制御機能を発揮することができるようになっている。
【0028】
<ROM/RAM>
ROM32は、カラオケ本体21を構成する各機器を制御するためのプログラムデータや数値データを記憶するための機器で、例えば半導体メモリ等で構成される。また、RAM33は、プログラムや各種データを一時的に記憶する一時記憶領域として機能するもので、例えば半導体メモリ等で構成される。なお、物理的な半導体メモリによりRAM33を構成するのではなく、ハードディスク記憶装置等を用いて仮想的なRAM33を構成してもよい。本実施形態では、RAM33に、予約待ち行列33a、利用者管理テーブル33b、利用者別採点条件データ33cが記憶されるようになっている。
【0029】
予約待ち行列33aは、予約管理手段43により管理されるデータであり、この予約待ち行列33aに従って予約楽曲の演奏が行われる。利用者管理テーブル33bは、利用者管理手段38により管理されるデータテーブルであり、選曲予約や歌唱採点を行う際に利用される。利用者別採点条件データ33cは、カラオケ演奏端末10にログインしている利用者に関して、ホスト装置11の利用者別採点条件設定テーブル54から取得したデータであり、歌唱採点を行う際に利用される。なお、ゲストIDでログインした利用者の場合には、当該ゲスト利用者について、一時的な利用者別採点条件データ33cが設定される。
【0030】
<HDD>
HDD34は、大容量記憶装置として機能するもので、楽曲データベース34a、映像データベース34b、採点基準管理テーブル34cが格納されている。なお、HDD34に替えて、あるいはHDD34とともに、データを書き替え可能なDVD等の大容量記憶装置を用いてもよい。
【0031】
楽曲データベース34aは、演奏データ(MIDI(登録商標)データ)及び歌詞描出データが同期されて構成される楽曲データについて、楽曲IDと対応付けてそれぞれ格納したデータベースである。演奏データは各楽曲の演奏データをデジタル化したものであり、歌詞描出データは演奏に同期した歌詞文字の表示タイミングデータ及び色変わりデータを含んでいる。映像データベース34bは、演奏されるカラオケ楽曲に対応した背景映像を、当該カラオケ楽曲の楽曲IDに対応させた映像ファイルとして所定数格納したデータベースである。
【0032】
<送受信手段>
ネットワーク送受信手段35は、ホスト装置11とカラオケ本体21との間で、データの送受信を行うための電子回路及びプログラムからなる。また、ローカル送受信手段36は、カラオケ本体21とカラオケリモコン装置22との間で、データの送受信を行うための電子回路及びプログラムからなる。本実施形態では、赤外線通信により、カラオケ本体21とカラオケリモコン装置22との間でデータの送受信が行われる。
【0033】
<採点基準管理手段>
採点基準管理手段37は、それぞれ異なる複数の採点基準を、採点基準管理テーブル34cにて管理するためのプログラムからなる。すなわち、難易度がそれぞれ異なる採点レベルと、ビブラート、しゃくり、ロングトーン等の歌唱技法の質に対する重み付けとがそれぞれ異なる複数の採点基準を予め用意し、この採点基準に対応する採点基準管理テーブル34cを作成して、採点基準管理手段37により管理する。採点レベルの難易度は、例えば、発声タイミングや音程の一致に関する許容範囲の広狭で設定することができる。なお、採点レベルの段階数や、重み付け対象となる歌唱技法の質については、上述したものに限られず、カラオケシステムの利用者構成等に合わせて、適宜変更して設定することができる。
【0034】
<採点基準管理テーブル>
採点基準管理テーブル34cは、図4に示すように、採点IDと、採点レベルデータと、重み付け対象項目データと、採点対象となる属性データとを紐付けして構築されている。上述したように、採点レベルの段階数や、重み付け対象となる歌唱技法の質については、他の基準を用いてもよい。この際、図4に示すように、採点ID毎にそれぞれ異なる採点審査員のキャラクタを設定しておき、このキャラクタ設定に基づき、選曲画面(図7参照)に採点審査員のキャラクタを表示するようにしてもよい。
【0035】
また、採点基準管理テーブル34cは、楽曲毎、あるいは所定のカテゴリに応じて分類された楽曲のジャンル毎に設定することが可能である。この場合には、図4に示すようなデータテーブルが、楽曲毎に作成され、あるいはジャンル毎に作成される。なお、楽曲のジャンルとは、演歌、J−POP、アニメソング、応援歌、韓国曲、中国曲、フォークソング等のように、楽曲を特徴付けるカテゴリのことである。
【0036】
<利用者管理手段>
利用者管理手段38は、カラオケ演奏端末10を利用する利用者を特定して、利用者管理テーブル33bにて管理するためのプログラムからなる。すなわち、利用者管理手段38では、カードリーダ22cにより利用者IDが取得された場合に、この利用者IDに基づいて利用者を特定し、利用者管理テーブル33bを作成して管理する。取得した利用者IDは、選曲予約や歌唱採点を行う際に利用される。
【0037】
<利用者別採点条件設定手段>
利用者別採点条件設定手段39は、特定された任意の利用者が複数の採点基準の中から選択した採点基準と、当該利用者が任意に設定した時間的要素とを紐付けして、利用者別採点条件設定テーブル54を作成するためのプログラムからなる。すなわち、利用者IDに基づいて特定された利用者が、カラオケリモコン装置22に設けられた入出力インターフェースを用いて、予め採点基準管理テーブル34cにて管理されている複数の採点基準の中から所望の採点基準を選択し、月日、曜日、時間等の時間的要素に紐付けして入力すると、利用者別採点条件設定手段39の機能により、利用者別採点条件設定テーブル54が作成されてホスト装置11に格納される。
【0038】
なお、顧客データベース53に登録されていない利用者については、仮の利用者IDを発行するとともに、この利用者IDに紐付けして、利用者別採点基準を入力するような構成としてもよい。
【0039】
<時間的要素判定手段>
時間的要素判定手段40は、利用者別採点条件設定テーブル54を参照して、任意の利用者が歌唱する際に、当該歌唱タイミングが当該利用者により設定された時間的要素に含まれるか否かを判定するためのプログラムからなる。すなわち、任意の利用者による歌唱タイミングが当該利用者により設定された時間的要素に含まれているか否かにより、どのような採点基準を用いて歌唱採点を行うかが異なるため、歌唱タイミングと時間的要素との比較を行い、その判定結果に基づき、採点基準採用手段41において歌唱採点手段42で使用する採点基準が決定される。
【0040】
<採点基準採用手段>
採点基準採用手段41は、時間的要素判定手段40における判定結果に基づいて、任意の利用者による歌唱タイミングが当該利用者により設定された時間的要素に含まれている場合には、当該利用者が選択した利用者別採点基準を採用し、当該利用者の歌唱タイミングが当該利用者により設定された時間的要素に含まれていない場合には、予め設定されたデフォルトの採点基準を採用するためのプログラムからなる。なお、デフォルトの採点基準としては、どのような採点基準を採用してもよいが、例えば、採点レベルの難易度が中程度の「3」で、歌唱技法についての重み付けが行われていない採点基準をデフォルト設定とすることができる。
【0041】
例えば、利用者ID「****11」が付された利用者の利用者別採点条件設定テーブル54として図5に示すものが構築されており、当該利用者が月曜日に歌唱を行う場合には、時間的要素判定手段40において、当該利用者の歌唱タイミングが当該利用者により設定された時間的要素に含まれていると判断され、月曜日に対応した採点ID「***A」の採点基準が採用される。採点基準の採用については、後に詳述する。
【0042】
<予約管理手段>
予約管理手段43は、利用者により楽曲検索手段22aの機能を用いて選曲され、ローカル送受信手段36を介して受信した楽曲IDを、選曲順に演奏予約待ち行列33aとしてRAM33に格納し、管理するためのプログラムからなる。
【0043】
<歌唱採点手段>
歌唱採点手段42は、特定された利用者が歌唱する楽曲について歌唱採点を行う際に、当該利用者のものとして採用された採点基準に従って採点を行うためのプログラムからなる。すなわち、特定された利用者が歌唱する楽曲について歌唱採点を行う際に、採用された採点基準に従って、当該利用者の歌唱音声と楽曲について予め設定されたリファレンスとを比較し、所定の歌唱区間毎、あるいは音符毎に採点を行う。歌唱採点では、例えば、マイクロホン25により入力された歌唱者の音声信号から、音程、声量、テンポ等の歌唱評価データを抽出するとともに、この歌唱評価データと演奏楽曲の主旋律等のリファレンス情報とを比較して採点を行う。このような歌唱採点方法については、特開2007−121917号公報等に詳細に記載されている。
【0044】
<音楽再生制御手段>
音楽再生制御手段44は、楽曲IDに基づいて楽曲データベース34aから抽出された演奏データをデジタル再生するとともにアナログ変換してミキシングアンプ24に出力するための電子回路である。ミキシングアンプ24は、マイクロホン25から入力された歌唱者の歌唱音声信号と、音楽再生制御手段44から送出される演奏音声信号とをミキシングするとともに、アンプ機能により増幅してスピーカ23より出力させるための装置である。また、マイクロホン25からの音声入力信号は、A/Dコンバータ45によりデジタル変換され、歌唱採点手段42における採点に使用される。
【0045】
<映像再生制御手段>
映像再生制御手段46は、カラオケ楽曲の演奏中に、映像データベース34bから抽出した映像データ及び楽曲データベース34aから抽出した楽曲データのうちの歌詞テロップデータ(歌詞文字データ)を、当該カラオケ楽曲の演奏データに同期させてディスプレイ装置26に出力するための電子回路である。
【0046】
<ディスプレイ装置>
ディスプレイ装置26は、カラオケ演奏時の映像、歌詞テロップ等を表示するための装置で、例えば、液晶ディスプレイ等により構成される。
【0047】
<カラオケリモコン装置>
カラオケリモコン装置22は、ユーザインタフェース機能を備えており、カラオケ本体21のローカル送受信手段36に対して有線方式又は無線方式によりデータの送受信を行うようになっている。このカラオケリモコン装置22は、楽曲検索手段22aとして機能するプログラム、楽曲索引データベース22b、カードリーダ22cとして機能するプログラム及び機器、データの送受信を行うための電子回路及びプログラム、フラッシュメモリ等からなる記憶手段(図示せず)を備えている。
【0048】
<楽曲検索手段/楽曲索引データベース>
楽曲検索手段22aは、利用者の指示に基づき、楽曲索引データベース22bを参照して楽曲を検索するためのプログラムからなる。楽曲索引データベース22bは、カラオケ演奏端末10で演奏に供されるカラオケ楽曲についての属性情報を記述したデータベースであり、例えば、楽曲番号・曲名・歌手名・歌い出し部分の歌詞・流行時期・音楽ジャンル区分・デュエット曲か否かなど、種々の属性情報がこれに含まれている。
【0049】
<カードリーダ>
カードリーダ22cは、任意の利用者がカラオケ演奏端末10を利用する際に、当該利用者の利用者IDを取得するための電子回路及びプログラムからなる。本実施形態では、利用者がカラオケ演奏端末10を利用する際に、利用者が所持するID媒体27から利用者IDを取得するようになっている。カードリーダ22cで取得した利用者IDは、RAM33において利用者管理テーブル33bとして記憶され、利用者管理手段38にて管理される。ID媒体27は、例えば非接触型の、IDカード、携帯電話、携帯情報端末等からなり、利用者IDを記憶して、カードリーダ22cとの間でデータの送受信を行うことができるようになっている。
【0050】
<時間的要素を含む採点基準による歌唱採点>
図6は、本発明の実施形態に係るカラオケ採点システムにおける歌唱採点のフローチャートである。図7は、本発明の実施形態に係るカラオケ採点システムにおける選曲画面の模式図である。
【0051】
本発明の実施形態に係るカラオケ採点システムにおける歌唱採点では、図6に示すように、まず初めに、利用者IDを取得して利用者を特定し(S1)、当該利用者が選択した採点基準と時間的要素とを利用者IDに紐付けして、利用者別採点条件設定テーブル54を作成する(S2)。続いて、利用者IDが取得された利用者の歌唱か否かを判断し(S3)、利用者IDが取得された利用者の歌唱である場合には、当該利用者の利用者別採点条件設定テーブル54を参照する(S4)。
【0052】
続いて、現時点が当該利用者により設定された時間的要素に含まれるか否かを判断し(S5)、現時点が当該利用者により設定された時間的要素に含まれる場合には、当該利用者が選択した採点基準を採用する(S6)。一方、現時点が当該利用者により設定された時間的要素に含まれない場合には、デフォルトの採点基準を採用する(S7)。そして、採用された採点基準に従い歌唱採点を行う(S8)。
【0053】
具体的には、図7に示すように、月曜日に利用者aがカラオケシステムにログインすると、利用者aの利用者ID「****11」が特定される。そして、利用者aが歌唱を行う際に、利用者aの利用者ID「****11」に基づいて利用者別採点条件設定テーブル54を参照すると、月曜日の採点基準として採点ID「***A」が設定されているため、この採点ID「***A」の採点基準が採用されて、歌唱採点が行われる。この採点基準では、採点レベルの難易度が一番高い「1」で、ビブラート及びロングトーンに重み付けが行われている。このとき、選曲画面には、利用者aについての採点基準が表示されるとともに、審査員として仮想されたキャラクタが表示される。
【0054】
また、利用者aが火曜日に歌唱を行う場合には、利用者aの利用者ID「****11」に基づいて利用者別採点条件設定テーブル54を参照すると、火曜日の採点基準は設定されていない。なお、この日は、利用者別採点条件設定テーブル54で設定されている指定日にも該当しないものとする。この場合には、利用者aにより設定された採点基準が存在しないので、デフォルトの採点基準が採用されて、歌唱採点が行われる。他の曜日や指定日についても同様にして、利用者aの所望に応じて設定された採点基準が採用される。
【0055】
<他の実施形態>
本発明のカラオケ採点システム及びその周辺装置を構成する機器や手段は上述したものに限定されず、その利用目的に応じて、必要な機器や手段のみの構成としたり、適宜他の機器や手段を付加したりすることができる。また、各手段をそれぞれ別個のものとして構成するのではなく、複数の機能を統合した手段として構成してもよい。
【0056】
また、各カラオケ演奏端末10の構成要素となっている手段であっても、ホスト装置11において一括管理することができる手段等(例えば、採点基準管理手段37、採点基準管理テーブル34c)については、ホスト装置11の構成要素としてもよい。さらに、ホスト装置11と複数のカラオケ演奏端末10とをネットワーク接続し、ホスト装置11において顧客情報及び利用者別採点基準データを管理する構成となっているが、カラオケ演奏装置をスタンドアロンで運用し、顧客情報及び利用者別採点基準データの管理は、各カラオケ演奏装置で行うような構成としてもよい。
【符号の説明】
【0057】
10 カラオケ演奏端末
11 ホスト装置
12 通信ネットワーク
21 カラオケ本体
22 カラオケリモコン装置
22a 楽曲検索手段
22b 楽曲索引データベース
22c カードリーダ
23 スピーカ
24 ミキシングアンプ
25 マイクロホン
26 ディスプレイ装置
27 ID媒体
31 中央制御手段
32 ROM
33 RAM
33a 予約待ち行列
33b 利用者管理テーブル
33c 利用者別採点条件データ
34 HDD
34a 楽曲データベース
34b 映像データベース
34c 採点基準管理テーブル
35 ネットワーク送受信手段
36 ローカル送受信手段
37 採点基準管理手段
38 利用者管理手段
39 利用者別採点条件設定手段
40 時間的要素判定手段
41 採点基準採用手段
42 歌唱採点手段
43 予約管理手段
44 音楽再生制御手段
45 A/Dコンバータ
46 映像再生制御手段
51 制御手段
52 データ処理手段
53 顧客データベース
54 利用者別採点条件設定テーブル
55 送受信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カラオケ演奏端末において歌唱採点を行う際に、利用者の所望に応じて利用者毎に設定された採点基準を用いて歌唱採点を行うことが可能なカラオケ採点システムであって、
採点基準管理手段と、利用者管理手段と、利用者別採点条件設定手段と、時間的要素判定手段と、採点基準採用手段と、歌唱採点手段と、を備え、
前記採点基準管理手段は、それぞれ異なる複数の採点基準を、採点基準管理テーブルにて管理し、
前記利用者管理手段は、前記カラオケ演奏端末を利用する利用者を特定して、利用者管理テーブルにて管理し、
前記利用者別採点条件設定手段は、前記特定された任意の利用者が前記複数の採点基準の中から選択した採点基準と、当該利用者が任意に設定した時間的要素とを紐付けして、利用者別採点条件設定テーブルを作成し、
前記時間的要素判定手段は、前記利用者別採点条件設定テーブルを参照して、任意の利用者が歌唱する際に、当該歌唱タイミングが当該利用者により設定された時間的要素に含まれるか否かを判定し、
前記採点基準採用手段は、前記歌唱タイミングが前記利用者により設定された時間的要素に含まれている場合には、前記利用者が選択した利用者別採点基準を採用し、前記歌唱タイミングが前記利用者により設定された時間的要素に含まれていない場合には、予め設定されたデフォルトの採点基準を採用し、
前記歌唱採点手段は、前記特定された利用者が歌唱する楽曲について歌唱採点を行う際に、前記採用された採点基準に従って採点を行う
ことを特徴とするカラオケ採点システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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