説明

カラオケ演奏装置

【課題】ユーザ自らが歌声提供者になることができ、ユーザが自分と同じまたは近いキーまたはテンポなどで唄ったサンプル歌声の再生を可能にすることによりユーザが歌唱練習にも利用できるようにしたカラオケ演奏装置を提供する。
【解決手段】ユーザが演奏曲を選択し、キーやテンポを調整して録音設定ボタン6を押してスタートさせると、演奏曲に合わせて唄ったユーザの歌声がデータベースにサンプル歌声データとして登録されるとともにその演奏設定データも格納される。このサンプル歌声の再生を要求すると、演奏曲は演奏設定データのキーまたはテンポなどで演奏され、サンプル歌声が再生される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、顧客ユーザが選択した演奏曲を曲データベースより読み出し、音楽発生装置で演奏曲を再生するカラオケ演奏装置、さらに詳しく云えば、希望する演奏曲を、顧客ユーザに適合したキーまたはテンポで調整して演奏することにより、そのキーなどで唄ったサンプル歌声を多数登録でき、登録した歌声データを再生して聞くことができるカラオケ演奏装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図8はカラオケ装置に搭載する従来のお手本ボーカル収録方法を説明するための図、図9は図8で作成される演奏データおよび歌声データの例である。
お手本となるボーカルを作成する場合、プロボーカリスト41がカラオケ装置42で演奏されるオリジナルの演奏音44にしたがって歌を唄い、この歌声を録音し、音声圧縮ファイル43を形成するものである。演奏データに対しプロボーカリストの歌声データが作成される。
従来のカラオケ装置で提供される歌声データは、このようにお手本となるプロボーカリストの歌声データのみのボーカル機能しか搭載していない。これは、楽器演奏の初期設定状態において演奏される音に適合するキーでのみのボーカルで再生されるものである。したがって多くのユーザのキーに適合したものはサンプル歌声として利用することはできない。
【0003】
また、プロボーカリストのお手本音声データを所定のキーやテンポに変更することが考えられるが、お手本ボーカルの歌声データとしてMP3等の圧縮音声データが利用されているため、ディジタル処理(お手本ボーカルデータをキーやテンポを演算処理により変化させたもの)を行うこととなり、不自然な声になってしまうという問題があった。
【0004】
このように従来のオリジナルとしての歌声データはお手本としての位置づけのため、お手本または試聴用として利用できるものではなかった。
ところで、本件出願人は、カラオケ演奏で唄う場合に顧客が自らのキー,テンポを調整し選曲した演奏曲を移調して演奏させ、その移調演奏曲に合わせて顧客が唄うことができるカラオケ装置を提案している(特許文献1)。
この提案は、顧客が自分の音程を示すキーをシンボル化した値で認識し、それを絶対的な音程としてカラオケ装置に入力指示し自らのキー,テンポに適合した演奏曲で無理なく唄うことができるようにするものである。
【0005】
特許文献1は、顧客のキーに合わせた楽曲を提供できるということで有用であるが、上述したように多くの個性的な歌声をお手本または試聴用として提供できるものではない。
【特許文献1】特開2004−317934号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、種々のキーまたはテンポのユーザの歌声(これらの人のキーはオリジナルと必ずしも同じではなく、決してお手本として利用もしくは視聴に値しないレベルではない。)をお手本ボーカルとして記録し、公開し、試聴ができる装置の実現が望まれる。また、そのように登録した多数のお手本ボーカルを再生して利用者の歌唱練習に使えるようにする装置の実現が望まれる。
【0007】
本発明は上記要請に応えるもので、その目的は、ユーザ自らが歌声提供者になることができ、ユーザが自分と同じまたは近いキーまたはテンポなどで唄ったサンプル歌声の再生を可能にすることによりユーザが歌唱練習にも利用できるようにしたカラオケ演奏装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するために本発明の請求項1は、顧客ユーザが選択した演奏曲を曲データベースより読み出し、音楽発生装置で演奏曲を再生するカラオケ伴奏装置において、演奏曲に対しキーまたはテンポの調整値を示す演奏設定データを定義し、1または複数の演奏曲データと、任意のキーまたはテンポで調整した演奏曲で演奏して唄った1または複数のお手本歌声データと、該お手本歌声を唄ったときのキーまたはテンポの調整値を示す1または複数の演奏設定データを格納した記憶手段と、ユーザが演奏曲を選択するための曲データリストおよびお手本歌声データリストを要求する手段と、前記リストから演奏曲,お手本歌声データをそれぞれ選択した場合、選択された演奏曲および選択されたお手本歌声データならびに該お手本歌声データに付帯する演奏設定データを前記記憶部から読み出し、読み出した演奏曲を演奏設定データとして示されるキーまたはテンポで演奏するとともに読み出したお手本歌声データを再生する演奏・再生手段とを備え、選択した演奏曲に対し、任意のキーまたはテンポで調整した演奏曲で唄ったお手本歌声データを再生可能に構成したことを特徴とする。
本発明の請求項2は、請求項1記載の発明において前記曲データベースは演奏曲データの他、画面に表示される歌詞データおよび該歌詞を表示するタイミングを示す歌詞タイミングデータを含み、前記演奏設定データで歌詞データを表示するタイミングを調整することを特徴とする。
本発明の請求項3は、顧客ユーザが選択した演奏曲を曲データベースより読み出し、音楽発生装置で楽曲の伴奏曲を再生するカラオケ演奏装置において、演奏曲を記憶する記憶手段と、曲データリストを要求する曲データリスト要求手段と、曲データリストより選択した演奏曲を要求する演奏曲要求手段と、選択した演奏曲に対しキーまたはテンポを変更するキー・テンポを調整する手段と、選択した演奏曲を、前記キー・テンポの調整手段で調整されたキーまたはテンポで再生する音楽再生装置と、前記調整されたキーまたはテンポを示す演奏設定データを作成する演奏設定データ作成手段と、前記音楽再生装置で演奏された演奏曲に対し顧客ユーザが唄った歌声データおよび演奏設定データを前記記憶手段に記憶する歌声データ等登録制御手段とを備えたことを特徴とする。
本発明の請求項4は、請求項1,2または3記載の発明において前記演奏設定データは、オリジナルのキー,テンポから+または−側にずれた値で示されることを特徴とする。 本発明の請求項5は、請求項1,2または3記載の発明において前記演奏設定データはキーまたはテンポの他に、メロディーまたはマイクエフェクトのデータを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
上記構成によれば従来は特殊技能を持つ歌手(オリジナルキーにあわせて歌える歌唱者)のみしか歌声データを作ることができなかったが、ユーザ自らがサンプルの歌声データの提供者になることができる。サンプルとなる歌声データを作る場合にはユーザがキーまたはテンポを調整して歌を唄うと、その歌声データを記録し、そのときの調整したキーまたはテンポの演奏設定データを作成し記憶手段に格納する。このようにして種々のキー,テンポの多数の演奏設定データを作成することができる。
選曲した演奏データおよびサンプルの歌声データを選択して再生させると、このサンプルに付随する演奏設定データにより、選曲した演奏データは演奏設定データのキーまたはテンポで再生され、この演奏設定データのキーまたはテンポで唄われたときのサンプルの歌声を再生することができる。このように多数のサンプルの歌声データから自分と同じまたは極めて近いキーまたはテンポで唄った歌声を再生利用して歌唱練習を適切に行うことができる。多数のサンプル歌声データから自らのキーまたはテンポと同じか、近い人の歌声を見つければ、歌声データ部分を削除してそのキーまたはテンポでの演奏データを再生して歌唱練習を行うこともできる。
【0010】
また、選択した演奏データに対し、対応のサンプルの歌声データ対応の演奏設定データと組み合わせるのではなく、他の値のキーまたはテンポの演奏設定データと組み合わせることにより、種々のキーまたはテンポで演奏データを再生し歌を唄うこともできる。
さらに、演奏設定データとしてメロディー(音程)やマイクエフェクトを加えることにより、このような設定での演奏や歌声再生も可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳しく説明する。
図1は本発明によるカラオケ演奏装置を含むシステムの外観を示す斜視図である。
この実施の形態の装置は、ユーザ自身がキー,テンポ表示部で確認しながらキー,テンポを調整してカラオケ演奏を行う機能の他、ユーザの歌声を録音しユーザの録音した歌声データと演奏設定データとをデータベースに登録する機能および登録された多数のユーザのサンプル歌声データ,演奏設定データおよび演奏データで演奏および歌声再生する機能を備えている。
【0012】
カラオケシステムはカラオケ演奏装置1,スピーカ3A,3B,モニタ2,マイク4およびリモコン5により構成される。
演奏曲のリクエストはリモコン5またはカラオケ演奏装置1の前面パネルのボタンで行うことができる。ユーザが自分のキーまたはテンポに変更して選択した演奏曲を再生し唄った歌声データを、作成された演奏設定データともにデータベースに登録する場合、リクエスト曲の番号,歌い手の識別番号ID,歌い手の絶対キー値を入力する。カラオケ演奏装置1の前面パネルのキー値表示部12に例えばキー値「4」を入力すれば「4」が表示され、さらにモニタ2の左上にも同じキー値が表示される。カラオケ演奏装置1は選択された演奏曲の最高音を示すキーなどが入力されたキー値などに対しずれていれば、ずれ量だけ移調して演奏する。この演奏にしたがってユーザが歌を唄うと、唄った歌声データと作成された演奏設定データは演奏データにリンク付けされた状態でデータベースに記憶される。
【0013】
このように登録した歌声データを再生する場合、種々のキーまたはテンポで唄って登録された歌声データの中から希望する歌声データを選択すると、それにリンクされた演奏データがその歌声データに付帯する演奏設定データのキーまたはテンポで演奏され、歌声データが再生される。
この歌声データが自らのキーまたはテンポと同じまたは極めて近ければ、歌唱練習用として使用することができ、かかる場合には歌声データ部分を削除して演奏データを再生し、自らが唄って練習することもできる。
【0014】
図2は、図1のカラオケ演奏装置の前面パネルの詳細を示す図である。
カラオケ演奏装置1の前面パネル1aの中央上部に予約表示部18,演奏曲表示部19,次曲表示部20が配置される。予約表示部18は現在何個の楽曲が予約されているかを示すものである。演奏曲表示部19には現在選択している演奏曲を示す番号が表示され、次曲表示部20には次に選択されている演奏曲を示す番号が表示される。
【0015】
前面パネル1aの右寄りにはテンキー10,入力ボタン11および録音設定ボタン6が配置されている。選曲する場合、選択する演奏曲の番号を演奏曲表示部19にテンキー10で入力し、入力ボタン11を押すことにより確定する。
選択する演奏曲の番号を演奏曲表示部19にテンキー10で入力し、録音設定ボタン6を押すことにより、ユーザが選曲した演奏曲に対し唄う歌声をサンプル音声データとして登録することが確定する。
前面パネル1aの左寄りにはキー値表示部12が配置され、その周囲にキー値入力選択部13,テンポ入力選択部14が設けられている。さらにキー値入力選択部13の右側には原曲キー23が,その下側には早送り・一時停止・早戻しボタン24が配置されている。
【0016】
キー値表示部12は歌い手が自分の音程範囲の最高音を示すキーを数値(シンボル化されたもの)を直接入力するキーで、その数値が表示される。キー値入力選択部13はキーの高低を1つずつ移動させるためボタン、テンポ入力選択部14はテンポの速度の大小を1つずつ移動させるためのボタンである。男性キー21および女性キー22は例えば男女の平均的なキーを選択するためのボタンである。原曲キー23は選択した演奏曲の音程範囲の最高音を示すキーに移行するためのボタンである。
キー値表示部12の上部にはテンポ表示部15とキー表示部16が配置されている。テンポ表示部15はテンポ入力選択部14で選択したテンポをバー表示し、キー表示部16はキー値入力選択部13で選択したキー数値をバー表示する。
【0017】
図3は、本発明によるカラオケ演奏装置の回路の実施の形態を示すブロック図である。本図は本発明に直接関連する部分のみを記載してある。
カラオケ演奏装置1はROM33,RAM34,各演算機能を有する制御部26,操作部27,音声検出部28,音楽発生装置29およびミキシング回路30を備えている。ミキシング回路30は装置の外に設置されても良い。制御部26にはモニタ2が接続され、ミキシング回路30の出力にはアンプ31,スピーカ3A,3Bが接続されている。音声検出部28の入力にはマイク4が接続されている。操作部27は前面パネル1aの操作スイッチ部分に対応し、テンキー10,録音設定ボタン6およびキー,テンポに関するキー入力部を含む。また、リモコン信号を受信するためのリモコン受信部32を備えている。
ROM33は本発明におけるカラオケ演奏プログラムや該プログラム実行に必要なデータなどを格納している。RAM34は、制御部26で演算などを行う場合に作業領域として用いられるものであり、演奏データ,サンプル音声データ,演奏設定データなど一時的に種々のデータが保持される。
【0018】
記憶部25はデータベースでありカラオケ演奏装置1に接続され、曲リストデータを記憶する領域25aと、曲データを多数記憶する領域25bと、歌声データを多数記憶する領域25cと、多数の背景動画データを記憶する領域25dと、キーデータ,テンポデータ,メロディーデータおよびマイクエフェクトデータを示す演奏設定データを多数記憶する領域25eと、個人情報を記憶する領域25fとを備えている。
曲データ記憶領域25bには多数の曲データA,B〜Nが格納され、各曲データはMIDI演奏データと歌詞データと歌詞タイミングデータを含んでいる。MIDI演奏データは演奏ファイルであり、歌詞データは、その演奏データの歌詞を画面に表示するデータであり、歌詞タイミングデータは画面上に歌詞をどのタイミングで表示し、各文字の色をどのタイミングで変化させるかを示すデータである。
【0019】
前面パネル1aのテンキー10,入力ボタン11により歌い手が演奏曲を番号によって選択すると、制御部26はその情報を受け、データベース25に選択された演奏曲のアドレスを送り、演奏データは記憶領域25bより読み出される。また、歌い手のID情報が入力された場合には、同様にしてデータベース25の個人情報記憶領域25fよりその歌い手の個人情報が読み出される。個人情報にはその個人のシンボル化されたキー値情報が含まれていれば、そのキー値情報を入力キー値保持部26bにセットするように操作することも可能である。個人のキー値情報は予め登録しておくこともできるし、また、過去にこのカラオケ演奏装置で1度でも唄ったことがあれば、カラオケ演奏装置が自動的にその歌い手のキー値情報を制御部26が作成し個人情報記憶領域25fに格納する。
【0020】
歌声データの記憶領域25cは、多数のユーザがそれぞれユーザに適合したキー等で唄った歌声が多数記憶される領域であり、各演奏曲に対しそれぞれ異なるキーやテンポで唄った歌声が歌声データA〜Nというように格納されていく。
背景動画データの記憶領域25dは各演奏曲に対する画面の背景動画を多数格納している領域である。各演奏曲に対応付けられているが、対応付けられていない背景動画を選択することも可能である。演奏設定データを格納する記憶領域25eは、演奏データ対応に作成されたキーデータ,テンポデータ,メロディデータ,マイクエフェクトデータであり、歌声データが記憶されるとともに上記データが記憶されていく。
【0021】
制御部26はROM33からカラオケ演奏プログラムを読み出すことによりカラオケシステム全体の制御を司り、操作部27からの入力情報を受け、データベース25を制御し、モニタ2に表示情報を送り、音声検出部28からの歌い手の音声を検出して音楽発生装置29で作られる選択した演奏曲に音声をミキシングし出力させる制御などを行う。カラオケ演奏装置1が立ち上がると、モニタ2にメニュー画面が表示され、そのメニューに従って歌い手はID,選択する楽曲,キー値情報,コーラス・デュエット,テンポ情報などを入力することができる。制御部26は上記カラオケシステム全体の制御を行う他、比較器26a,入力キー値保持部26b,移調制御部26c,歌声データ等登録制御部26d,演奏設定データ作成部26e,サンプル歌声再生制御部26f,MIDIデータ解析・演奏部26g,歌詞データ解析・表示部26h,お手本音声データ解析・再生部26i,演奏設定・マイクエフェクト部26jおよび背景動画表示部26kの各機能部を有している。
【0022】
入力キー値保持部26bは歌い手が入力したシンボル化されたキー値を保持する。
キー値情報をシンボル化する場合、例えば1オクターブを12区分に区切り,ラをキー値「1」,シをキー値「2」・・・ソを「11」,ソの半音高い音を「12」に対応づけて絶対キーとしてシンボル化する。この対応付けに用いる数値は、オクターブの差異があっても同じキー値を繰り返し用いるようにし、区切りの数はさらに細かく,または大きく区切ることが可能である。選択した演奏曲の音程範囲が例えばレ〜ミ(シンボル数は12個)であったとすると、比較器26aは制御部26で抽出された最高音「8」を入力キー値保持部26bにセットされたキー値と比較する。
【0023】
入力キー値保持部26bに歌い手のキー値として例えば「6」がセットされた場合には、歌い手のキー値が演奏曲の音程の最高音キー値より2シンボル分低いため移調制御部26cは2シンボル分、演奏曲の音程範囲を低くするように移調する。移調制御部26cで移調制御を受けた演奏データは音声発生装置29に送られ、シンセサイザ29aによって演奏データの演奏曲が出力される。マイク4から入力した歌い手の音声は音声検出部28で検出され、その音声信号はミキシング回路30においてシンセサイザ29aから出力される演奏曲に重畳される。ミキシング回路30の混合信号は、アンプ31により増幅されて左右のスピーカ3A,3Bより出力される。制御部26は演奏曲,音声出力に合わせて背景画,演奏曲の歌詞をモニタ2に表示する制御を行う。
以上の各回路の動作は、入力したキー,テンポに自動的になるように演奏曲を移調して演奏する場合であり、上記動作のための操作はカラオケ演奏装置1の前面パネル1aの操作ボタンのみだけでなく、リモコン5によっても同様の操作(歌い手のキー値入力など)を行うことができる。
【0024】
歌声データ等登録制御部26dは、上記のように移調してユーザが選択した演奏曲に従って唄い、その演奏曲と歌声を再生するととも歌声データと作成される演奏設定データをデータベース25に登録する場合に、唄われた歌声データと演奏設定データをデータベース25の歌声データの記憶領域25cと演奏設定データの記憶領域25eに記憶するように制御するものである。このようにデータベース25への記憶は演奏曲を選曲し移調設定した後、録音設定ボタン6を押することにより行われる。
演奏設定データ作成部26eは上記移調設定したときキーまたはテンポのデータに基づきユーザが唄う演奏曲に対するキー・テンポデータを作成するものである。
サンプル歌声再生部26fは、ユーザが選択した演奏曲に対しサンプル歌声データを選択した場合、選択した演奏データとともに選択した歌声データおよび演奏設定データを読み出し、演奏設定データのキー,テンポに基づき演奏曲のキー,テンポを調整し歌声データを再生するものである。
【0025】
MIDIデータ解析・演奏部26g,歌詞データ解析・表示部26h,お手本音声データ解析・再生部26i,演奏設定・マイクエフェクト部26jおよび背景動画表示部26kは、サンプル歌声再生制御部26fで再生制御するときに使用される機能部で、歌声再生のシーケンスにおいて詳しく説明する。
【0026】
図4はある顧客の歌声を本発明によるカラオケ演奏装置に登録する流れを説明するための図である。
ユーザの配信要求操作によりデータベース25から曲リストが配信され(ステップ(以下「S」という)001)、カラオケ演奏装置の制御部26はモニタ2に曲リストを表示する(S002)。ユーザは自らの歌声登録のために曲リストから演奏曲を選択し演奏曲の配信を要求する(S003)。カラオケ演奏装置1の制御部26はリクエスト要求の演奏データをデータベース25に要求する(S004)。データベース25からは要求された演奏データが読み出され(S005)、カラオケ演奏装置1で受信される(S006)。
【0027】
ユーザは演奏曲の再生にあたり、キーまたはテンポの調整を行うか否かを選択することができ、キーまたはテンポを調整する場合にはキー値入力部13またはテンポ入力選択部14によりキーまたはテンポを入力することとなる。この後、録音設定ボタン6を押すことにより歌声を録音するとともに再生を行うことを確定する。歌声データ等登録制御部26dは、上記録音設定ボタン6が押され、スタートボタンが押される(S007)と、演奏を開始し、ユーザの歌声録音を開始しRAM34に記憶する(S008)。歌声データ等登録制御部26dが制御を演奏設定データ作成部26eに渡すと、演奏設定データ作成部26eは調整されたキーまたはテンポから演奏設定データを作成し、この作成された演奏設定データも歌声データ等登録制御部26dはRAM34に記憶する。
【0028】
図6に選択された演奏曲に対し種々のユーザの歌声とその時の演奏設定データの例を示す。図6(a)は演奏設定データとしてオリジナルのキーと、このキーで唄った男性Aの歌声データの例である。図6(b)は演奏設定データとしてキー「−2」と、このキーで唄った女性Aの歌声データの例である。図6(c)は演奏設定データとしてキー「+1」,テンポ「−3」と、このキーおよびテンポで唄った男性Bの歌声データの例である。このようにして演奏が行われ終了すると、歌声データ等登録制御部26dは歌声の録音を停止し(S009)、モニタ上に終了を示す画面を表示する。
ユーザがモニタ2上の終了画面を確認し、操作部27を操作して確認再生指示を行った場合(S010)には、歌声データ等登録制御部26dは同じ演奏曲の演奏を開始するとともにRAM34に格納した歌声データを読み出して再生する(S011)。
【0029】
ユーザが自らの歌声を確認した後、操作部27を操作してアップロードを指定する(S012)と、RAM34の歌声データおよび演奏設定データをデータベース25に送信する(S013)。データベース25では各データを格納するに当たり、不適切な歌声(例えば、オンチ,卑猥な音声など)がある場合にはそれらを排除し(S014)、歌声データと演奏設定データとをファイリング(演奏データとのリンク付け)して歌声データの記憶領域25cと演奏設定データの記憶領域25eにそれぞれ格納する。同時に歌声データおよび演奏設定データを検索するための曲リストを登録する(S015)。
このようにして各カラオケ演奏装置を利用するユーザは、自分のキー,テンポに適合した演奏曲を演奏して歌声をサンプルとしてデータベースに登録することができる。
【0030】
図5は、本発明によるカラオケ演奏装置で登録された歌声データを再生する流れを説明するための図である。
ユーザの配信要求操作によりデータベース25から曲リストおよびお手本リストが配信され(S101)、カラオケ演奏装置の制御部26はモニタ2に曲リスト,お手本リスト(歌声)ならびにお手本リストに付帯する演奏設定条件(演奏設定データ)を表示する(S102)。ユーザは曲リストから演奏曲を選択し演奏曲の配信の要求およびその演奏曲に対する多数のサンプル歌声から希望する演奏設定条件を操作部27により指定する(S103)と、サンプル歌声再生制御部26fはリクエスト要求曲データ,歌声データ,演奏設定データなどをデータベース25に要求する(S104)。データベース25は要求されたデータ群を配信する(S105)。
【0031】
サンプル歌声再生制御部26fはデータ群を受信すると、該データ群をRAM34に格納し演奏設定を自動更新し(S106)、演奏および歌声の再生を行う(S107)。
ユーザはこのように選択した演奏曲に対し自分のキーに適合したお手本の歌声をダウンロードして聞くことができる(S108)。
【0032】
図7は上記S107で演奏曲および歌声の再生制御を説明するための図であり、図3のRAM34と制御部26のMIDIデータ解析・演奏部26g,歌詞データ解析・表示部26h,お手本音声データ解析・再生部26i,演奏設定・マイクエフェクト部26jおよび背景動画表示部26kを抽出したブロック図である。
RAM34には選択した曲のMIDI演奏データ,歌詞データおよび歌詞タイミングデータと、この演奏曲について選択されたサンプル歌声データと、キー,テンポ,メロディー,マイクエフェクトなどの演奏設定データと、背景動画選択データが格納される。
演奏設定・マイクエフェクト部26jはRAM34に格納されているキー,テンポ,メロディー,マイクエフェクト(以下「キー等」という)のデータをMIDIデータ解析・演奏部26g,歌詞データ解析・表示部26hおよびお手本音声データ解析・再生部26iに送る。MIDIデータ解析・演奏部26gは演奏曲のMIDIデータを解析しキー等のデータによって例えば演奏曲のキーやテンポなどを調整した演奏信号を出力する。
【0033】
歌詞データ解析・表示部26hは、歌詞データと歌詞タンミングデータを入力し、例えばテンポ変更のデータからテロップを表示する歌詞タイミングを変え、変えたタイミングで歌詞の表示信号を出力する。
お手本音声データ解析・再生部26iはお手本音声データを解析し、歌声信号を出力する。例えばメロディーやマイクエフェクトのデータがあれば、お手本音声データにメロディーを与えたり、マイクエフェクトをかけた歌声信号を出力する。お手本データはキーやテンポが調整されている演奏で唄った歌声であるので、キーやテンポが変えられることはない。
上記MIDIデータ解析・演奏部26gの演奏信号とお手本音声データ解析・再生部26iの歌声信号はミキシング回路30で合成されてスピーカ3A,3Bより出力される。
また歌詞データ解析・表示部26hの歌詞の表示信号と背景動画表示部からの背景動画は画像合成されてモニタ2に表示される。
【0034】
図7の例は演奏設定データとしてキー,テンポの他にメロディーやマイクエフェクトデータなども有し、メロディーやマイクエフェクトデータで演奏曲のメロディーや音声にエフェクトをかけることができる例を説明したものである。なお、お手本歌声を登録する場合に、キーやテンポを調整しないでオリジナルの演奏曲によって歌声を登録した場合には、演奏設定データとしてキーやテンポの変更がないので、このようにして登録したサンプルの歌声を再生するときは、演奏曲や歌詞データ表示のタイミングなどはオリジナルの通りである。
【産業上の利用可能性】
【0035】
顧客ユーザが選択した演奏曲を曲データベースより読み出し、音楽発生装置で演奏曲を再生するカラオケ演奏装置である。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明によるカラオケ演奏装置を含むシステムの外観を示す斜視図である。
【図2】図1のカラオケ演奏装置の前面パネルの詳細を示す図である。
【図3】本発明によるカラオケ演奏装置の回路の実施の形態を示すブロック図てある。
【図4】ある顧客の歌声を本発明によるカラオケ演奏装置に登録する流れを説明するための図である。
【図5】本発明によるカラオケ演奏装置で登録された歌声データを再生する流れを説明するための図である。
【図6】お手本の歌声の各データの例を説明するための図である。
【図7】演奏データを演奏設定データのキー等に適合するように演奏し、お手本の歌声を再生するときに制御部の各機能部の関わり具合を説明するためのブロック図である。
【図8】従来のお手本ボーカル収録方法を説明するための図である。
【図9】図8で作成される演奏データおよび歌声データを示す図である。
【符号の説明】
【0037】
1 カラオケ演奏装置
2 モニタ
3A,3B スピーカ
4 マイク
5 リモコン
6 録音設定ボタン
10 テンキー
11 入力ボタン
12 キー値表示部
13 キー値入力選択部
14 テンポ入力選択部
15 テンポ表示部
16 キー表示部
18 予約表示部
19 演奏曲表示部
20 次曲表示部
21 男性キー
22 女性キー
23 原曲キー
24 早送り・一時停止・早戻しボタン
25 データベース(記憶部)
25a 曲リストデータ記憶領域
25b 曲データ記憶領域
25c 歌声データ記憶領域
25d 背景動画データ記憶領域
25e 演奏設定データ記憶領域
25f 個人情報記憶領域
26 制御部
26a 比較器
26b 入力キー値保持部
26c 移調制御部
26d 歌声データ等登録制御部
26e 演奏設定データ作成部
26f サンプル歌声再生制御部
26g MIDIデータ解析・演奏部
26h 歌詞データ解析・表示部
26i お手本音声データ解析・再生部
26j 演奏設定・マイクエフェクト部
26k 背景動画表示部
27 操作部
28 音声検出部
29 音楽発生装置
30 ミキシング回路
31 アンプ
32 リモコン受信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
顧客ユーザが選択した演奏曲を曲データベースより読み出し、音楽発生装置で演奏曲を再生するカラオケ伴奏装置において、
演奏曲に対しキーまたはテンポの調整値を示す演奏設定データを定義し、
1または複数の演奏曲データと、任意のキーまたはテンポで調整した演奏曲で演奏して唄った1または複数のお手本歌声データと、該お手本歌声を唄ったときのキーまたはテンポの調整値を示す1または複数の演奏設定データを格納した記憶手段と、
ユーザが演奏曲を選択するための曲データリストおよびお手本歌声データリストを要求する手段と、
前記リストから演奏曲,お手本歌声データをそれぞれ選択した場合、選択された演奏曲および選択されたお手本歌声データならびに該お手本歌声データに付帯する演奏設定データを前記記憶部から読み出し、読み出した演奏曲を演奏設定データとして示されるキーまたはテンポで演奏するとともに読み出したお手本歌声データを再生する演奏・再生手段とを備え、
選択した演奏曲に対し、任意のキーまたはテンポで調整した演奏曲で唄ったお手本歌声データを再生可能に構成したことを特徴とするカラオケ演奏装置。
【請求項2】
前記曲データベースは演奏曲データの他、画面に表示される歌詞データおよび該歌詞を表示するタイミングを示す歌詞タイミングデータを含み、前記演奏設定データで歌詞データを表示するタイミングを調整することを特徴とする請求項1記載のカラオケ演奏装置。
【請求項3】
顧客ユーザが選択した演奏曲を曲データベースより読み出し、音楽発生装置で楽曲の伴奏曲を再生するカラオケ演奏装置において、
演奏曲を記憶する記憶手段と、
曲データリストを要求する曲データリスト要求手段と、
曲データリストより選択した演奏曲を要求する演奏曲要求手段と、
選択した演奏曲に対しキーまたはテンポを変更するキー・テンポを調整する手段と、
選択した演奏曲を、前記キー・テンポの調整手段で調整されたキーまたはテンポで再生する音楽再生装置と、
前記調整されたキーまたはテンポを示す演奏設定データを作成する演奏設定データ作成手段と、
前記音楽再生装置で演奏された演奏曲に対し顧客ユーザが唄った歌声データおよび演奏設定データを前記記憶手段に記憶する歌声データ等登録制御手段と、
を備えたことを特徴とするカラオケ演奏装置。
【請求項4】
前記演奏設定データは、オリジナルのキー,テンポから+または−側にずれた値で示されることを特徴とする請求項1,2または3記載のカラオケ演奏装置。
【請求項5】
前記演奏設定データはキーまたはテンポの他に、メロディーまたはマイクエフェクトのデータを含むことを特徴とする請求項1,2または3記載のカラオケ演奏装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−304474(P2007−304474A)
【公開日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−135001(P2006−135001)
【出願日】平成18年5月15日(2006.5.15)
【出願人】(306019111)株式会社タイトー (475)
【Fターム(参考)】