説明

カラオケ装置の歌詞テロップ表示制御システム

【課題】本発明は、カラオケ装置の歌詞テロップ表示制御システムに関し、歌唱者による歌唱技量を客観的に判断可能として利用者に対して効率的かつ効果的にサポートすることを目的とする。
【解決手段】媒体読取部37で利用者IDを取得し、利用者が所定の楽曲を歌唱した祭に、採点された最新の当該楽曲における歌唱区間毎の所定の採点情報を、当該利用者IDに関連付けて採点情報記録部29に記録しておき、歌詞表示制御手段30において、利用者が所定の楽曲を歌唱する祭に、記録された当該楽曲における歌唱区間毎の採点情報から、各歌唱区間について、当該採点情報が予め設定された採点基準値を上回っている歌唱区間では当該歌唱区間の歌詞テロップを非表示とし、当該採点基準値を下回っている歌唱区間では当該歌唱区間の歌詞テロップの所定部分を表示させる制御を行わせる構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、演奏楽曲の歌詞テロップを表示させると共に、歌唱採点機能を備えたカラオケ装置の歌詞テロップ表示制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、カラオケ装置においては、演奏される楽曲に関連した映像が表示され、当該表示中に歌唱楽曲の歌詞をも表示させることが一般化し、また、利用者の歌唱に対して採点を行う機能を備えたものまで出現している。このようなカラオケ装置を利用したカラオケ歌唱が一般化した中で、新たな付加価値を備えたものが望まれる。
【0003】
所定の楽曲を歌唱する場合に歌詞を総て記憶しておくことで感情移入し易くなることから、カラオケ装置の利用による歌唱においても歌詞を見ないで歌唱したいと望む利用者も多く、歌詞を記憶する利用者も増えてきている。また、一方で記憶による脳活性化で認知症予防も可能であるとの書籍等も出版されている中で、歌詞を記憶させるための歌詞表示技術が、以下の特許文献で種々提案されている。
【0004】
特許文献1には、カラオケ装置で楽音データに基づいて演奏曲が演奏されるときに、歌唱者による歌詞表示選択手段で歌詞テロップの非表示が選択されたときに、歌詞テロップの表示が行われず、非表示モードであることの表示を行わせることが提案されている。
【0005】
また、特許文献2には、歌唱者の任意の選択で歌詞テロップを表示させないようにするために、パネルの歌詞表示切替ボタンが設けられて、当該歌詞表示切替ボタンが押されてマイクに設けられているカンニングボタンが押されていないときに歌詞を非表示とさせることが提案されている。
【0006】
【特許文献1】特開平09−114476号公報
【特許文献2】特許第3423137号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1、2で提案されている何れの手法であっても、利用者によるボタン操作が必要であることから、歌詞を見ないで歌唱するという技量の向上を客観的に判断できるものでなく、専ら利用者自身の判断でマニュアル操作に頼らざるを得ないという問題がある。
【0008】
そこで、本発明は上記課題に鑑みなされたもので、歌唱者による歌唱技量を客観的に判断可能として利用者に対して効率的かつ効果的にサポートするカラオケ装置の歌詞テロップ表示制御システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、請求項1の発明では、演奏楽曲の歌詞テロップを表示させると共に、歌唱採点手段を備え、当該歌詞テロップの表示形態を制御するカラオケ装置の歌詞テロップ表示制御システムであって、少なくとも、利用者ID取得手段、採点情報記録手段及び歌詞表示制御手段を備え、前記利用者ID取得手段は、利用者による前記カラオケ装置に対するログイン要求に応じて当該利用者の所持するID媒体より利用者IDを取得するものであり、前記採点情報記録手段は、利用者が所定の楽曲を歌唱した際に、前記歌唱採点手段で採点された最新の当該楽曲における歌唱区間毎の所定の採点情報を、前記取得した利用者IDに関連付けて記録しておくものであり、前記歌詞表示制御手段は、利用者が所定の楽曲を歌唱する際に、前記採点情報記録手段を参照して当該楽曲における歌唱区間毎の前記採点情報を得、各歌唱区間について、当該採点情報が予め設定された採点基準値を上回っている歌唱区間では当該歌唱区間の歌詞テロップを非表示とし、当該採点基準値を下回っている歌唱区間では当該歌唱区間の歌詞テロップの所定部分を表示させる制御を行うものである、構成とする。
【0010】
請求項2、3の発明では、「前記歌唱採点手段は、入力される歌唱音声に対して歌唱区間毎の少なくとも音程採点を行うものであり、前記採点情報記録手段で記憶される最新の採点情報が、前記音程採点情報である」構成であり、
「前記歌唱採点手段は、入力される歌唱音声に対して音声認識を行い、歌唱区間毎の少なくとも歌詞採点を行うものであり、前記採点情報記録手段で記憶される最新の採点情報が、前記歌詞採点情報である」構成である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、利用者IDを取得し、利用者が所定の楽曲を歌唱した際に、採点された最新の当該楽曲における歌唱区間毎の所定の採点情報を、当該利用者IDに関連付けて記録しておき、利用者が所定の楽曲を歌唱する際に、記録された当該楽曲における歌唱区間毎の採点情報から、各歌唱区間について、当該採点情報が予め設定された採点基準値を上回っている歌唱区間では当該歌唱区間の歌詞テロップを非表示とし、当該採点基準値を下回っている歌唱区間では当該歌唱区間の歌詞テロップの所定部分を表示させる制御を行わせる構成とすることにより、歌唱者による歌唱技量を客観的に判断することができ、利用者に対して効率的かつ効果的にサポートすることができるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の最良の実施形態を図により説明する。本発明に係る歌詞テロップ表示制御システムを備えるカラオケ装置の構成図を示す。図1において、カラオケ装置11は、カラオケ本体12と、当該カラオケ本体12に附帯する遠隔入出力端末13を備え、また、通信ネットワーク14を介してホスト装置15に対して楽曲データ又は更新楽曲データ等や利用者情報等のデータ授受が自在に接続される。
【0013】
また、遠隔入出力端末13は、その構成を省略するが、ユーザインタフェース機能を備えて対応のカラオケ本体12(後述の送受信部31)に対して有線方式ないし無線方式(IR方式やブルートゥース機構のピコネット接続方式など)を利用してデータ授受を行うためのもので、そのための回路基板およびプログラムを備えると共に、利用者に楽曲を選択させる楽曲検索手段13Aのプログラムを備える。上記ユーザインタフェース機能としては、例えば備える表示入力部と相俟って液晶ディスプレイ(LCD)とタッチセンサとを積層した入出力用を可能とし、表示されるアイコン等に対応して当該タッチセンサにより楽曲の選択などのデータを入力することができるGUIである。また、ホスト装置15は、その構成を省略するが、少なくもと登録された利用者に関する情報を格納しておく顧客DB(図示せず)を備えるもので、この利用者に関する情報には少なくとも利用者IDの情報が含まれる。
【0014】
上記カラオケ本体12は、バス21、中央制御部22、ROM23、RAM24、音楽曲出力部25、再生制御部26、楽曲DB(楽曲データベース)27A、映像DB27B、歌唱採点手段28、採点情報記録部29及び送受信部31,32を適宜備える。この場合、上記中央制御部22は歌詞表示制御手段30を備える。
【0015】
また、上記カラオケ本体12に有線及び無線で外部接続されるものとして、映像表示部33、ミキシングアンプ34、マイク35、スピーカ36及び利用者ID取得手段である媒体読取部37を備える。上記歌詞表示制御手段30、歌唱採点手段28、採点情報記録部29及び利用者ID取得手段である媒体読取部37により、歌詞テロップ表示制御システムを構成する。そして、上記媒体読取部37に対応した少なくとも利用者IDを記憶しているID媒体51が利用者(顧客)において所持される。なお、上記各構成について、本発明の要旨と直接関連しない要素部分であっても、従前のカラオケ装置においても大部分が適用可能であることを示すために、装置全体を説明する。
【0016】
中央制御部22は、このシステムを統括的に処理制御する物理的なCPUであり、ROM23に記憶されているプログラムに基づくアルゴリズム処理を行う。また、中央制御部22は、当該システムを統括的に制御処理する他に、上記歌詞表示制御手段30(後述する)を備える。上記RAM24は、種々のプログラムを展開、実行させるための作業領域としての役割をなすもので、例えば半導体メモリで構成され、仮想的にハードディスク上に構築される場合をも含む概念である。
【0017】
上記音楽曲出力部25は、楽曲コードで楽曲DB27Aより抽出された演奏データをデジタル再生し、アナログ変換してミキシングアンプ34に出力する電子回路である。当該ミキシングアンプ34は、マイク35より入力した歌唱者の歌唱音声と、当該音楽曲出力部25より送られてくる演奏データをミキシングし、増幅してスピーカ36より出力させるものである。また、マイク35より入力される音声信号は、歌唱採点手段28に入力される。
【0018】
上記再生制御部26は、演奏時に、選択されて楽曲DB27Aより抽出された楽曲データのうちの歌詞テロップデータ(歌詞文字データ)を当該楽曲の演奏データに同期させて映像表示部33に出力する電子回路であるが、歌詞テロップデータの表示は上記歌詞表示制御手段30により制御される。当該映像表示部33としては例えば、ブラウン管(CRT)ディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)、プラズマディスプレイ(PDP)等がある。
【0019】
上記楽曲DB27Aは、演奏データ(MIDIデータ)及び歌詞テロップデータが同期されて構成される楽曲データ(ファイル)について楽曲コードをファイル名としてそれぞれ格納したデータベースである。演奏データはそれぞれの楽曲の演奏をデジタル的に表現したデータであり、歌詞テロップデータは演奏データに同期された楽曲の歌詞文字データである。上記映像DB27Bは、演奏される楽曲に対応した背景映像が、当該楽曲の楽曲コードに対応した映像ファイルとして所定数格納したデータベースである。
【0020】
上記歌唱採点手段28は、上記マイク35より入力される音声信号をデジタル信号に変換する機能を備え、ここでは、入力される歌唱音声に対して歌唱区間毎の少なくとも音程採点を行うプログラムであり、そのための音程判定手段41及び同期判定手段42の各プログラムを備えてRAM24で実行されると共に、リファレンスデータ43を備える。
【0021】
ここで、リファレンスデータ43は、演奏される楽曲の楽曲データが楽曲DB27Aより抽出されて音楽曲出力部25に送出される際に、例えば楽曲データに含まれるガイドメロディデータを取得しておくものである。上記音程判定手段41は、マイク35より入力される音声信号(変換した音声デジタル信号)の周波数を、リファレンスデータ43のガイドメロディの周波数と比較して一致程度(ずれ量)を算出して所定基準で採点するプログラムでありRAM24で実行される。上記同期判定手段42は、マイク35より入力される音声信号(音声デジタル信号)の発声タイミングをリファレンスデータ43の上記ガイドメロディとの同期状態を判定して、当該タイミングで発声された歌詞の音程を上記音程判定手段41で採点させるためのプログラムであり、RAM24で実行される。
【0022】
すなわち、歌唱採点手段28は、対応楽曲の歌唱区間(フレーズ)毎に、例えばガイドメロディのリファレンスデータ43に基づき、上記同期判定手段42で判定される発声タイミングにおける歌唱音声信号の音程に基づいて音程採点を行うものである。この各歌唱区間の音程採点情報は、採点情報記録部29に、当該楽曲毎に利用者IDに関連付けて記録され、当該利用者IDについて既に同じ楽曲が存在すれば歌唱区間毎に最新のものとして更新する。なお、ここでは、歌唱採点手段28が、歌唱音声信号の音程(周波数)とリファレンスの音程とを比較してそのずれ量を求めることとしているが、比較する対象は音程に限らず、たとえば、音量やリズムなどを比較してもよく、これら複数の要素を比較するようにしてもよい。
【0023】
上記採点情報記録部29は、一例を図2で示すが、利用者が所定の楽曲を歌唱した際に、歌唱採点手段28で採点された最新の当該楽曲における歌唱区間毎の所定の採点情報を、取得した利用者IDに関連付けて記録しておくメモリ(半導体メモリ、ハードディスク装置)である。当該採点情報記録部29の記録形態としては、ここでは歌唱採点手段28の採点情報を直接記録させる場合を示すが、当該採点情報をホスト装置15に記録しておき、所定の利用者がログインしたときに当該ホスト装置15よりダウンロードして上記採点情報記録部29に記憶させる場合であってもよい。
【0024】
また、中央制御部22の備える歌詞表示制御手段30は、利用者が所定の楽曲を歌唱する際に、採点情報記録部29を参照して当該楽曲における歌唱区間毎の採点情報(要素総合採点の情報)を得、各歌唱区間について、当該採点情報が予め設定された採点基準値を上回っている歌唱区間では当該歌唱区間の歌詞テロップを非表示とし、当該採点基準値を下回っている歌唱区間では当該歌唱区間の歌詞テロップの所定部分(ここでは歌唱区間の歌詞テロップの全部)を表示させる制御を行うプログラムであり、RAM24で実行される。
【0025】
当該送受信部31は、遠隔入出力端末13との間で有線方式ないし無線方式(IR方式やブルートゥース機構のピコネット接続方式など)を利用してデータ授受を行うためのもので、そのための回路基板およびプログラムを備える。上記送受信部32は、上記ホスト装置15と通信ネットワーク14を介してデータ授受を行うためのもので、通信方式と整合性をとるための例えば物理的な通信用回路やプラットフォーム等のソフトウエアにより構成されるものである。
【0026】
上記利用者ID取得手段である媒体読取部37は、利用者が所持するID媒体51から利用者によるカラオケ装置11に対するログイン要求に応じて当該利用者の所持するID媒体51より利用者IDを取得する電子回路及びプログラムであり、取得した利用者IDは一旦RAM24に記憶されて採点情報記録部29に対するアクセスに供される。当該ID媒体51は、少なくとも利用者IDを記憶し、上記媒体読取部37と例えば非接触でデータ授受が自在のものである。ID媒体51としては、例えば、非接触型のICカードや、携帯電話や小型モバイルコンピュータに内蔵させたICカード機能回路等がある。
【0027】
なお、図示しないが、当該カラオケ本体12には演奏楽曲、歌唱音声に対する種々の調節を行うボタンやツマミ類が可変抵抗器等の電子素子に直結された操作パネルも接続され、当該操作パネルはエコーや左右バランス、スピーカ36からの出力音量のボリウム等を備える。
【0028】
ここで、図2に、図1の採点情報記録部の一例の説明図を示す。図2において、採点情報記録部29には、例えば、利用者ID毎に、当該利用者が歌唱した楽曲(楽曲コード)に対応させて、当該楽曲の歌唱区間(フレーズ)毎に上記歌唱採点手段28が採点した音程採点を記録したもので、同じ楽曲については最新の採点情報が記録される。この各歌唱区間(フレーズ)の採点情報が、当該歌唱区間で歌詞テロップを表示させるか否かの対象となる。
【0029】
すなわち、歌唱に際して歌詞を間違えたり、忘却した場合には、音程や同期のずれることが経験的に得られたもので、例えば、上記歌詞表示制御手段30に設定された採点基準値(例えば85点)以下のフレーズが特定されて、当該フレーズの歌詞テロップの表示が制御されるものである。
【0030】
そこで、図3に本発明に係る歌詞テロップ表示制御の処理フローチャートを示すと共に、図4に図3におけるフレーズ歌詞テロップ表示の説明図を示す。図3(A)において、まず、利用者によるカラオケ装置11に対するログイン要求に応じて当該利用者の所持するID媒体51より媒体読取部37が利用者IDを取得し、取得された利用者IDは、一旦RAM24に記憶される(ステップ(S)1)。そこで、当該利用者による利用者IDに基づいて楽曲が選択された場合、歌詞制御表示手段30が取得した利用者IDに基づいて、採点情報記録部29を参照する(S2)。
【0031】
参照の結果、利用者IDが存在しなければ終了し(S3)、当該利用者IDが存在し、当該利用者の選択した楽曲と同じ楽曲(楽曲コード)が存在しなければ終了する(S4)。当該利用者IDが存在し(S3)、選択された楽曲と同じ楽曲(楽曲データ)が存在すれば(S4)、当該利用者IDの楽曲コード欄に対応した各フレーズ採点に対し、予め設定された採点基準値(例えば、85点)以下であるフレーズを特定する(S5)。
【0032】
そこで、歌詞表示制御手段30が、当該選択された楽曲の演奏開始に伴い、歌詞テロップ表示制御を開始する(S11)。演奏が開始されてから、上記採点基準値で特定した歌唱区間(フレーズ)以外の歌唱区間の場合には(S12)、楽曲DB27Aより送出されてくる各歌唱区間の歌詞テロップを非表示とさせる非表示制御信号を再生制御部26に送出することで当該歌唱区間の歌詞テロップは表示されない(S13)。
【0033】
この状態は、図4の映像表示部33において表示される背景映像画面61上に合成表示されるべき歌詞テロップの非表示形態として、例えば「・・・」のフレーズ歌詞非表示テロップ62で表す。当該フレーズ歌詞非表示テロップ62で表すことによって、演奏の進行に伴う歌詞進行を把握することができる。なお、完全な無表示としてもよい。例えば、図2に示すように(利用者ID「********02」の利用者)、採点情報記録部29を参照して総ての歌唱区間の採点情報が採点基準値を上回っている場合には、歌詞テロップは一切表示されないこととなり、「・・・」で表す必要もなく、完全な無表示とさせることで十分である。
【0034】
一方、演奏が進むにつれて、所定の歌唱区間(フレーズ)が上記採点基準値で特定した歌唱区間(フレーズ)の場合には(S12)、楽曲DB27Aより送出されてくる各歌唱区間の該当の歌詞テロップを全表示とさせる表示制御信号を再生制御部26に送出することで当該歌唱区間の歌詞テロップが全表示される(S14)。この状態は、図4の映像表示部33において表示される背景映像画面61上に歌詞テロップをフレーズ歌詞全表示テロップ63として合成表示させるものである。当該フレーズ歌詞全表示テロップ63を表示させることによって、当該歌唱区間の歌詞を歌唱者に記憶させるサポートとなるものである。そして、これらの歌詞テロップ表示制御が演奏されている楽曲が終了するまで続けられるものである(S15)。
【0035】
なお、当該楽曲の歌唱においても、歌唱採点手段28では、各歌唱区間で要素総合採点を行っており、上記採点情報記録部29に利用者IDが存在しなければ新たに設け、また、利用者により選択された楽曲と同じ楽曲(楽曲コード)が存在しなければ新たに設けて各歌唱区間(フレーズ)欄に採点情報が記録される。一方、利用者ID及び利用者が選択した楽曲と同じ楽曲(楽曲コード)が存在する場合には、各歌唱区間の採点情報を更新して最新のものとする。すなわち、採点情報記録部29には常に最新の採点情報が記録されるものである。
【0036】
このように、歌唱者による歌唱技量を採点情報記録部29における最新の各歌唱区間の採点情報で客観的に判断することができ、自動で歌詞テロップの表示、非表示を制御することで利用者に対する歌詞記憶を効率的かつ効果的にサポートすることができるものである。なお、歌唱採点を音程や音量に対して行う歌唱採点手段28を備えているカラオケ装置であっても本発明を適用させることができるものである。
【0037】
次に、図5に、歌詞テロップ表示制御におけるフレーズ特定の他の構成説明図を示す。図5(A)は上記歌唱採点手段28のブロック図、図5(B)は採点情報記録部29における記録内容の一例の説明図である。図5(A)において歌唱採点手段28は、上記音程判定手段41に代えて、歌詞判定手段44を備えさせたものである。この場合、リファレンスデータ43は、演奏される楽曲の歌詞データ(テキストコードデータ)を、所定フレーズ単位のデータとして楽曲DB27Aより取得する。
【0038】
上記歌詞判定手段44は、入力される歌唱音声信号の歌唱区間毎の発声言葉を認識してテキストコード変換する機能を備え、対応楽曲の歌唱区間(フレーズ)毎に、テキストコードデータのリファレンスデータ43に基づき、上記同期判定手段42で判定される発声タイミングにおける歌唱音声信号の歌詞内容(文字データ)との一致程度から音声認識歌詞採点を判定するプログラムである。例えば、一音間違える毎に5点ずつ減点していくことにより採点する。
【0039】
上記歌詞採点の情報が、図5(B)に示すように、利用者IDの当該利用者が歌唱した楽曲(楽曲コード)毎に、当該楽曲の各歌唱区間(フレーズ)に対して記録されるもので、同じ楽曲については最新の歌詞採点情報として記録されるものである。この各歌唱区間(フレーズ)の歌詞採点の情報が、当該歌唱区間で歌詞テロップを表示させるか否かの対象となる。
【0040】
すなわち、利用者による利用者IDに基づいて楽曲が選択された場合、歌詞制御表示手段30が取得した利用者IDに基づいて、採点情報記録部29を参照して、各フレーズの歌詞採点の情報が、予め設定された採点基準値(例えば、85点)以下であるフレーズを特定し、特定したフレーズが演奏されるときに、当該歌唱区間の歌詞テロップを全表示とさせる表示制御信号を再生制御部26に送出することで当該歌唱区間の歌詞テロップは全表示させるものである。
【0041】
このように、歌唱採点手段28による各歌唱区間の歌唱採点が、歌詞判定を要素とするものであれば、当該歌詞採点に基づいて歌詞表示の制御を行うことができるものであり、これによって当該歌詞の採点情報に基づいて歌唱者の歌唱技量を客観的に判断することができ、自動で歌詞テロップの表示、非表示を制御することで利用者に対する歌詞記憶を効率的かつ効果的にサポートすることができるものである。
【0042】
次に、図6に、歌詞テロップ表示制御における歌詞テロップ表示の他の説明図を示す。図6(A)は歌詞テロップ表示状態の説明図、図6(B)は歌詞テロップ表示制御のフローチャートである。この実施形態では、歌詞表示制御手段30が、該当歌唱区間で歌詞テロップを表示させる場合に、当該歌唱区間の歌詞テロップの全部を表示させるのではなく、図6(A)に示すように、採点情報記録部29に記録されている採点情報の歌詞採点に応じた比率で当該歌詞テロップの一部分、例えば最初の歌詞部分(頭出し歌詞部分)から当該比率に応じた文字数をフレーズ歌詞部分表示テロップ64として表示させるというものである。例えば、歌詞採点が0点の場合には当該フレーズの歌詞テロップを全表示させ、50点の場合には頭歌詞から半分表示させ、75点の場合には頭歌詞から4分の3表示させる。
【0043】
なお、歌詞表示制御手段30における歌詞テロップの表示、非表示のフレーズ特定は、図1に示す歌唱採点手段28又は図5(A)に示す歌唱採点手段28で採点された各歌唱区間の採点情報(図2又は図5(B))と設定基準値との比較でなされ、該当のフレーム及びその採点情報に基づく歌詞テロップの表示文字数を特定しておく。
【0044】
すなわち、図6(B)において、歌詞テロップを表示制御する該当歌唱区間(フレーズ)及び採点情報に基づく歌詞テロップの表示文字数が特定されていることを前提として、歌詞表示制御手段30が、当該選択された楽曲の演奏開始に伴い、歌詞テロップ表示制御を開始する(S21)。演奏が開始されてから、上記採点基準値で特定した歌唱区間(フレーズ)以外の歌唱区間の場合には(S22)、当該歌唱区間の歌詞テロップを非表示とさせる非表示制御信号を再生制御部26に送出することで当該歌唱区間の歌詞テロップを表示させない(S23)。
【0045】
一方、演奏が進むにつれて、所定の歌唱区間(フレーズ)が上記採点基準値で特定した歌唱区間(フレーズ)の場合には(S22)、当該フレーズにおける歌詞テロップの歌詞データのうち、歌詞採点に応じた比率の歌詞文字数を表示制御する(S24)。この状態は、図6(A)の映像表示部33において表示される背景映像画面61上に歌詞テロップをフレーズ歌詞部分表示テロップ64として合成表示されるものである。そして、これらの歌詞テロップ表示制御が演奏されている楽曲が終了するまで続けられるものである(S25)。
【0046】
このように、該当歌唱区間で歌詞採点の比率に応じた歌詞文字数のフレーズ歌詞部分表示テロップ64のみを表示させることによって、当該歌唱区間の歌詞の思い出しを喚起させることができ、利用者に対する歌詞記憶を効率的かつ効果的にサポートすることができるものである。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明のカラオケ装置の歌詞テロップ表示制御システムは、演奏楽曲の歌詞テロップを表示させると共に、歌唱採点機能を備えたカラオケ装置全般に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明に係る歌詞テロップ表示制御システムを備えるカラオケ装置の構成図である。
【図2】図1の採点情報記録部の一例の説明図である。
【図3】本発明に係る歌詞テロップ表示制御の処理フローチャートである。
【図4】図3におけるフレーズ歌詞テロップ表示の説明図である。
【図5】歌詞テロップ表示制御におけるフレーズ特定の他の構成説明図である。
【図6】歌詞テロップ表示制御における歌詞テロップ表示の他の説明図である。
【符号の説明】
【0049】
11 カラオケ装置
12 カラオケ本体
13 遠隔入出力端末
22 中央制御部
27A 楽曲DB
28 歌唱採点手段
29 採点情報記録部
30 歌詞表示制御手段
33 映像表示部
44 歌詞判定手段
51 ID媒体
61 背景映像画面
62 フレーズ歌詞非表示テロップ
63 フレーズ歌詞全表示テロップ
64 フレーズ歌詞頭表示テロップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
演奏楽曲の歌詞テロップを表示させると共に、歌唱採点手段を備え、当該歌詞テロップの表示形態を制御するカラオケ装置の歌詞テロップ表示制御システムであって、
少なくとも、利用者ID取得手段、採点情報記録手段及び歌詞表示制御手段を備え、
前記利用者ID取得手段は、利用者による前記カラオケ装置に対するログイン要求に応じて当該利用者の所持するID媒体より利用者IDを取得するものであり、
前記採点情報記録手段は、利用者が所定の楽曲を歌唱した際に、前記歌唱採点手段で採点された最新の当該楽曲における歌唱区間毎の所定の採点情報を、前記取得した利用者IDに関連付けて記録しておくものであり、
前記歌詞表示制御手段は、利用者が所定の楽曲を歌唱する際に、前記採点情報記録手段を参照して当該楽曲における歌唱区間毎の前記採点情報を得、各歌唱区間について、当該採点情報が予め設定された採点基準値を上回っている歌唱区間では当該歌唱区間の歌詞テロップを非表示とし、当該採点基準値を下回っている歌唱区間では当該歌唱区間の歌詞テロップの所定部分を表示させる制御を行うものである、
ことを特徴とするカラオケ装置の歌詞テロップ表示制御システム。
【請求項2】
請求項1記載のカラオケ装置の歌詞テロップ表示制御システムであって、
前記歌唱採点手段は、入力される歌唱音声に対して歌唱区間毎の少なくとも音程採点を行うものであり、
前記採点情報記録手段で記憶される最新の採点情報が、前記音程採点情報であることを特徴とするカラオケ装置の歌詞テロップ表示制御システム。
【請求項3】
請求項1記載のカラオケ装置の歌詞テロップ表示制御システムであって、
前記歌唱採点手段は、入力される歌唱音声に対して音声認識を行い、歌唱区間毎の少なくとも歌詞採点を行うものであり、
前記採点情報記録手段で記憶される最新の採点情報が、前記歌詞採点情報であることを特徴とするカラオケ装置の歌詞テロップ表示制御システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−58724(P2008−58724A)
【公開日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−236734(P2006−236734)
【出願日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【出願人】(390004710)株式会社第一興商 (537)
【Fターム(参考)】