説明

カラオケ装置

【課題】目新しく娯楽性の高い演奏評価を実現するカラオケ装置を提供する。
【解決手段】属性と語句との対応関係を記憶するハードディスク56と、その対応関係から、演奏に係る歌詞情報に含まれる語句に基づいて、複数の区分にそれぞれ対応する属性を決定する属性決定手段86と、演奏曲の出力に際して、マイクロフォン40から入力される音声に関する情報に基づいて、歌詞情報の区分毎に演奏の採点を行う演奏採点制御手段84と、決定された各区分毎の属性に基づいて、演奏採点制御手段84による各区分毎の採点結果を属性毎に統計する統計制御手段88と、その統計結果に基づいて演奏評価映像の表示制御を行う演奏評価映像表示制御手段90とを、備えたものであることから、演奏採点の結果を抽象的な映像として表示させることで、利用者に意外な印象を与えることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多数の演奏曲のうちから選択される所定の演奏曲を出力させるカラオケ装置に関し、特に、目新しく娯楽性の高い演奏評価を実現するための改良に関する。
【背景技術】
【0002】
多数の演奏曲のうちから選択される所定の演奏曲を出力させる音楽再生装置が知られている。例えば、カラオケボックス等で使用されるカラオケ装置がそれである。斯かるカラオケ装置によれば、予め記憶装置に記憶された多数のカラオケ演奏曲から選択された所定のカラオケ演奏曲の音楽情報を出力させると共に、そのカラオケ演奏曲の歌詞情報を含む映像をその出力に同期して画面に表示させることで、所望の歌のカラオケ演奏を楽しむことができる。
【0003】
ところで、近年普及しているカラオケ装置には、上述のような音楽再生装置としての機能のみならず、音声入力装置(マイクロフォン)から入力される音声情報に基づいて歌唱力等を評価(採点)する演奏評価機能を備えたものがある。例えば、特許文献1に記載されたカラオケ装置がそれである。斯かるカラオケ装置によれば、音程、テンポ、音量等を基準として音声入力装置から入力される音声情報とカラオケ演奏曲の演奏情報とを比較することで、その入力される音声情報に応じて歌唱の評価を採点することができる。
【0004】
【特許文献1】特開平9−101794号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、近年においては、上述した従来技術のような演奏評価機能を備えたカラオケ装置が広く普及したことにより、カラオケ演奏における演奏評価は特に目新しいものではなくなった。更には、その機能が音程、テンポ、音量等を基準として演奏を評価するものであることが広く知られるようになり、高得点を出すための選曲や歌い方が確立する等、その娯楽性は低下する傾向となるに至った。このため、目新しく娯楽性の高い演奏評価を実現するカラオケ装置の開発が求められていた。
【0006】
本発明は、以上の事情を背景として為されたものであり、その目的とするところは、目新しく娯楽性の高い演奏評価を実現するカラオケ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
斯かる目的を達成するために、本発明の要旨とするところは、多数の演奏曲のうちから選択される所定の演奏曲を出力させると共に、その演奏曲の出力と併行してその演奏曲の歌詞文字映像を含む演奏映像を表示させるカラオケ装置であって、音声を入力するための音声入力装置と、予め定められた複数の属性と各属性に対応する少なくとも1つの語句との関係を記憶する記憶装置と、複数の区分が定められた歌詞情報に基づいて前記歌詞文字映像の表示制御を行う歌詞文字映像表示制御手段と、前記記憶装置に記憶された関係から、前記歌詞情報に含まれる語句に基づいて、前記複数の区分にそれぞれ対応する少なくとも1つの属性を決定する属性決定手段と、前記演奏曲の出力に際して、前記音声入力装置から入力される音声に関する情報に基づいて、前記歌詞情報の区分毎に演奏の採点を行う演奏採点制御手段と、前記属性決定手段により決定される各区分毎の属性に基づいて、前記演奏採点制御手段による各区分毎の採点結果を前記属性毎に統計する統計制御手段と、その統計制御手段による前記属性毎の統計結果に基づいて所定の演奏評価映像の表示制御を行う演奏評価映像表示制御手段とを、備えたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0008】
このようにすれば、音声を入力するための音声入力装置と、予め定められた複数の属性と各属性に対応する少なくとも1つの語句との関係を記憶する記憶装置と、複数の区分が定められた歌詞情報に基づいて前記歌詞文字映像の表示制御を行う歌詞文字映像表示制御手段と、前記記憶装置に記憶された関係から、前記歌詞情報に含まれる語句に基づいて、前記複数の区分にそれぞれ対応する少なくとも1つの属性を決定する属性決定手段と、前記演奏曲の出力に際して、前記音声入力装置から入力される音声に関する情報に基づいて、前記歌詞情報の区分毎に演奏の採点を行う演奏採点制御手段と、前記属性決定手段により決定される各区分毎の属性に基づいて、前記演奏採点制御手段による各区分毎の採点結果を前記属性毎に統計する統計制御手段と、その統計制御手段による前記属性毎の統計結果に基づいて所定の演奏評価映像の表示制御を行う演奏評価映像表示制御手段とを、備えたものであることから、各区分の採点結果を属性毎に統計することで、どういった意味合いの歌詞を上手く歌えているかという傾向を明らかにできると共に、その統計結果を抽象的な映像として表示させることで、利用者に意外な印象を与えることができる。すなわち、目新しく娯楽性の高い演奏評価を実現するカラオケ装置を提供することができる。
【0009】
ここで、好適には、前記統計制御手段は、前記演奏採点制御手段による各区分毎の採点結果をすべて加算して総得点を算出すると共に、前記複数の属性毎にその属性に対応する区分の採点結果を加算して各属性の得点を算出し、前記総得点に対する各属性の得点の比率を算出する統計を行うものである。このようにすれば、簡単且つ実用的な態様で各区分の採点結果を属性毎に統計することができる。
【0010】
また、好適には、前記複数の区分は、前記歌詞文字映像の表示を切り替えるための情報に基づいて定められたものである。このようにすれば、実用的な区分を単位として演奏の採点乃至各属性毎の統計を行うことができる。
【0011】
また、好適には、前記演奏採点制御手段は、前記演奏曲の出力に際して、前記音声入力装置から入力される音声の音量、テンポ、及び音程に基づいて、前記歌詞情報の区分毎に演奏の採点を行うものである。このようにすれば、実用的な態様で演奏の採点を行うことができる。
【0012】
以下、本発明の好適な実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
【実施例】
【0013】
図1は、本発明が好適に適用される通信カラオケシステム10を説明する概略図である。この図1に示すように、斯かる通信カラオケシステム10では、カラオケボックス、スナック、旅館等の店舗12における複数の個室14a、14b、14c、・・・(以下、特に区別しない場合には単に個室14と称する)に本発明の一実施例であるそれぞれ1台乃至は複数台ずつ(図1では1台ずつ)のカラオケ装置16a、16b、16c、・・・(以下、特に区別しない場合には単にカラオケ装置16と称する)が設置されている。これら複数のカラオケ装置16は、ルータ28を介して公衆電話回線等による通信回線18に接続されており、同じくその通信回線18に接続されたカラオケサービス提供会社のサーバ装置(センタ装置)20との相互間でその通信回線18を介して情報の通信が可能とされている。このサーバ装置20は、カラオケ情報(楽曲データ)、背景映像情報、曲間情報等のデジタルコンテンツ(Digital Contents)の保管や入出力管理の基本的な制御を行うサーバであり、上記通信回線18を介して上記カラオケ装置16に定期的にコンテンツの配信を行うと共に、そのカラオケ装置16からの要求に応じて所定の機能制御プログラムを送信するものである。また、上記通信カラオケシステム10は、複数の電子早見本装置22a、22b、22c、・・・(以下、特に区別しない場合には単に電子早見本装置22と称する)を備えており、上記カラオケ装置16の利用に際して、各利用者(グループ)毎に1台ずつの電子早見本装置22が貸与され、各個室14において後述するように上記カラオケ装置16の遠隔操作装置として用いられるようになっている。上記店舗12内には上記複数のカラオケ装置16を相互に接続するLAN24が敷設されており、上記電子早見本装置22からのカラオケ装置16への入力は、所定のアクセスポイント26及びLAN24を介したLAN通信等により行われる。
【0014】
図2は、上記カラオケ装置16の構成を例示するブロック線図である。この図2に示すように、上記カラオケ装置16は、CRT(Cathode-ray Tube)やTFT(Thin Film Transistor Liquid Crystal)等の映像表示装置30と、CRTコントローラ等の映像出力制御部32と、映像情報デコーダ34と、ビデオミキサ36と、音源であるシンセサイザ38と、音声入力装置であるマイクロフォン40と、A/Dコンバータ41と、アンプミキサ42と、スピーカ44と、操作パネル46と、その操作パネル46等からの入力信号を処理する入出力インターフェイス48と、中央演算処理装置であるCPU50と、読出専用メモリであるROM52と、随時書込読出メモリであるRAM54と、記憶装置であるハードディスク56と、モデム58と、LANポート60と、上記電子早見本装置22やリモコン装置64等の入力装置からのリモコン信号を受信するためのリモコン受信部62とを、備えて構成されている。
【0015】
前記映像出力制御部32は、前記CPU50において生成された歌詞文字映像等の文字映像(テロップ)を出力する文字映像出力装置として機能する他、後述する演奏評価映像の表示をはじめとする前記映像表示装置30による種々の映像表示を制御する表示制御装置である。また、前記映像情報デコーダ34は、利用者が歌詞を参照しながら歌を歌う際に前記ハードディスク56に記憶された背景映像情報に基づいて所定の背景映像を再生(デコード)する背景映像再生装置である。この背景映像情報は、例えば、MPEG(Moving Picture Experts Group)形式のデータであり、そのMPEGデータに基づいて前記映像情報デコーダ34により再生された背景映像は、前記ビデオミキサへ送られる。また、前記ビデオミキサ36は、前記CPU50において生成され且つ前記映像出力制御部32から出力される文字映像と、前記映像情報デコーダ34により再生される背景映像とを合成して前記映像表示装置30に表示させる映像合成装置である。
【0016】
前記シンセサイザ38は、前記ハードディスク56から読み出されて送られて来るカラオケ演奏曲の演奏情報に基づいて楽器の演奏信号等の音楽信号を生成する音源である。この演奏情報は、例えば、MIDI(Musical Instrument Digital Interface)形式のデータであり、そのMIDIデータに基づいて前記シンセサイザ38により生成された音楽信号は、アナログ信号に変換されて前記アンプミキサ42へ送られる。そのアンプミキサ42では、送られてきた音楽信号と前記マイクロフォン40を介して入力される利用者の歌声とがミキシングされ、それらの信号が電気的に増幅されて前記スピーカ44から出力される。また、前記A/Dコンバータ41は、音声入力装置である前記マイクロフォン40から入力されるアナログ信号としての音声情報をディジタル信号に変換して前記CPU50等へ供給する。
【0017】
前記操作パネル46は、前記カラオケ装置16の利用者が歌いたいカラオケ演奏曲を選択したり、演奏曲の音程を調整したり、演奏と歌との音量バランスを調整したり、その他、エコー、音量、トーン等の各種調整を行うための操作ボタン(スイッチ)或いはつまみを備えた入力装置である。また、前記カラオケ装置16には、前記操作パネル46の一部機能を遠隔で実行するための入力装置として機能するリモコン装置64が備えられており、前記リモコン受信部62は、そのリモコン装置64から送信されるリモコン信号を受信して前記CPU50へ供給する。また、前記カラオケ装置16と電子早見本装置22との対応付け(くくりつけ)処理も前記リモコン受信部62を介して行われ、そのようにして前記カラオケ装置16に対応付けられた電子早見本装置22も同様に入力装置として機能する。
【0018】
上記CPU50は、上記RAM54の一時記憶機能を利用しつつ上記ROM52に予め記憶された所定のプログラムに基づいて電子情報を処理・制御する所謂マイクロコンピュータであり、上記電子早見本装置22やリモコン装置64等により所定のカラオケ演奏曲が選曲された場合、その選曲されたカラオケ演奏曲を上記RAM54に設けられた予約曲テーブルに登録したり、その予約曲テーブルの演奏順に従って上記ハードディスク56から上記RAM54に選曲されたカラオケ演奏曲の演奏情報及び歌詞情報等を読み出したり、カラオケ演奏曲の演奏が進行するのに応じてそのRAM54から上記シンセサイザ38へ演奏情報を送信したり、歌詞情報に基づいて歌詞文字映像を生成して上記映像出力制御部32へ送ったり、選曲時には曲名文字映像を生成して上記映像出力制御部32へ送ったり、上記映像情報デコーダ34を制御して所定の背景映像を再生させたり、カラオケ演奏が行われていない間すなわち曲間において、新譜情報、選曲ランキング、店舗広告等の曲間情報を出力させたり、前記通信回線18を介した前記サーバ装置20との間の情報通信制御等の基本的な制御に加えて、後述する演奏採点制御、採点結果の統計制御、及び演奏評価映像の表示制御等の各種制御を実行する。
【0019】
前記モデム58は、前記カラオケ装置16を公衆電話回線等による通信回線18に接続するための装置であり、前記CPU50から出力されるディジタル信号をアナログ信号に変換して前記通信回線18に送り出すと共に、その通信回線18を介して伝送されるアナログ信号をディジタル信号に変換して前記CPU50に供給する処理を行う。なお、前記店舗12に備えられた複数のカラオケ装置16のうち何れかのカラオケ装置16が前記ルータ28の機能を備えてマスターコマンダとして前記通信回線18に接続される態様も考えられ、その場合、前記モデム58はそのマスターコマンダとして機能するカラオケ装置16には必要とされるが、そのマスターコマンダを介して前記サーバ装置20との間で情報の通信を行う他のカラオケ装置16には必ずしも設けられなくともよい。
【0020】
前記LANポート60は、前記カラオケ装置16をLAN24を介して他のカラオケ装置16や電子早見本装置22等の他の機器に接続するための接続器であり、前記カラオケ装置16は、そのようにLAN24を介して接続されることで、他のカラオケ装置16や電子早見本装置22等の他の機器との間で情報の送受信が可能とされる。例えば、前記アクセスポイント26を介して受信される前記電子早見本装置22からの選曲入力を受け付けて前記RAM54に設けられた予約曲テーブルに記憶したり、そのアクセスポイント26を介して前記カラオケ装置16から電子早見本装置22へ所定の情報を送信したりというように、電波を介して前記カラオケ装置16と電子早見本装置22との間における相互の情報のやりとりが実行される。
【0021】
図3は、前記カラオケ装置16のCPU50に備えられた制御機能の要部を説明する機能ブロック線図である。この図3に示すように、前記ハードディスク56には、カラオケ演奏曲を出力させるための多数のカラオケデータ(楽曲データ)を記憶するカラオケデータベース66と、後述する演奏評価映像を出力させるための情報を記憶する演奏評価映像データベース68と、予め定められた複数の属性と各属性に対応する少なくとも1つの語句との関係の一例である属性/語句テーブル70とが、備えられている。カラオケボックス等の店舗にそれぞれ備えられた複数のカラオケ装置16のうち所定のカラオケ装置16例えば前記カラオケ装置16aは、前記モデム58を介して前記通信回線18に接続されており、前記複数のカラオケ装置16によって常に新しい曲が演奏可能とされるように、或いは最新の演奏評価映像が出力可能とされるように、随時新たな楽曲データ等が前記サーバ装置20から前記通信回線18を介して配信され、前記ハードディスク56のカラオケデータベース66や演奏評価映像データベース68等に記憶される。また、そのようにして前記サーバ装置20から情報を取得したカラオケ装置16aとその他のカラオケ装置16との間で前記LAN24を介した通信が行われることにより、各カラオケ装置16のハードディスク56に記憶される情報が共有され、上記カラオケデータベース66や演奏評価映像データベース68等の内容が等価なものとされる。
【0022】
上記カラオケデータベース66に記憶されるカラオケデータは、演奏音を生成するための演奏情報及び歌詞文字映像(歌詞テロップ)を生成するための歌詞情報から成るものであり、コンテンツIDである各演奏曲に固有の選曲番号により識別される。この歌詞情報は、前記歌詞文字映像に対応する歌詞のテキスト情報と、演奏出力に併行してその歌詞文字映像の表示を切り替えるためにそのテキスト情報を複数に区分する区分情報と、演奏出力に併行してその歌詞文字映像を順次色替えするための色替タイミング情報とを、含んでいる。また、上記演奏評価映像データベース68に記憶される情報は、前記映像出力制御部32を介して前記映像表示装置30に後述する図7(或いは図8)に示すような演奏評価映像104(或いは演奏評価映像106)を表示させるための情報である。また、上記属性/語句テーブル70は、後述する図6に例示するように、上記歌詞情報に関して予め定められた複数の属性と、各属性に対応する語句との対応関係を定めるものである。
【0023】
図3に示す演奏制御手段80は、前記カラオケ装置16によるカラオケ演奏に際しての演奏曲の出力を制御する。具体的には、前記RAM54等に記憶された予約曲テーブルにおける演奏順に、その予約曲テーブルに記憶された演奏曲の選曲番号に対応するカラオケ情報を前記カラオケデータベース66から読み出し、そのカラオケ情報に含まれる演奏情報に基づいて演奏曲の出力を制御する。すなわち、演奏情報としてのMIDIデータに基づいて、前記シンセサイザ38によりそのMIDIデータにおける楽譜情報としてのトラック乃至はチャンネルに対応する楽器の演奏音(音楽情報)を出力させ、前記アンプミキサ42を介して前記スピーカ44から出力させる。
【0024】
歌詞文字映像表示制御手段82は、前記カラオケ装置16によるカラオケ演奏に際して前記映像表示装置30における歌詞文字映像の表示を制御する。具体的には、所定の演奏曲のカラオケ演奏に際して、その演奏曲に対応するカラオケ情報に含まれる歌詞情報に基づく歌詞文字映像を上記演奏制御手段80による演奏曲の出力に連動して生成し、その歌詞文字映像を前記映像出力制御部32により出力させて前記ビデオミキサ36へ入力させる。図4は、所定の演奏曲のカラオケ情報に含まれる歌詞情報の一部を示す図である。前述したように、前記カラオケ情報の歌詞情報は、その歌詞情報に対応する歌詞文字映像の表示を切り替えるためにそのテキスト情報を複数に区分する区分情報を含んでおり、図4ではその区分情報を縦二本線で示している。カラオケ演奏に際しては、この縦二本線で区分された部分の歌詞情報すなわちテキスト「そして僕らは今日も旅ゆく|この果てしのない旅路を」に対応する歌詞文字映像が前記映像表示装置30に一時に(一画面に)表示される。また、一画面に表示される歌詞文字映像を改行表示するための改行情報を縦一本線で示している。上記演奏制御手段80によるカラオケ演奏制御に際しては、斯かる歌詞情報に基づいて上記歌詞文字映像表示制御手段82により例えば図5に示すように上記テキスト「そして僕らは今日も旅ゆく|この果てしのない旅路を」に対応する歌詞文字映像102を含む演奏映像100が前記映像表示装置30の画面に表示される。なお、この演奏映像100の背景映像は、前記映像情報デコーダ34により再生され、前記ビデオミキサ36において上記歌詞文字映像102の背面側レイヤに合成されたものである。なお、前述のように、上記演奏制御手段80によるカラオケ演奏に際しては、上記歌詞文字映像102が順次色替えさせられる色替え表示制御が行われるが、本実施例において斯かる制御については説明を省略する。
【0025】
図3に戻って、演奏採点制御手段84は、予め定められた関係から、音声入力装置である前記マイクロフォン40により入力される利用者の音声の音量、テンポ、及び音程等の情報に基づいてその利用者の演奏を採点(評価)する。例えば、前記マイクロフォン40により入力されて前記A/Dコンバータ41によりディジタル信号に変換された音声情報と、前記カラオケデータベース66から読み出される演奏情報(MIDIデータ)に基づいて前記シンセサイザ38により出力される演奏情報とを比較し、メロディなどの基本音程と入力される音声から抽出される音程との相対的なずれやその音声の絶対的な声量などを基準として採点を行う。この採点の態様としては、例えば、千点満点中何点というように数値的に採点を行うものであってもよいし、20段階評定の何れに当てはまるかを判定するというように簡易なものであってもよい。
【0026】
また、上記演奏採点制御手段84は、対象となる演奏曲が出力される間すなわち演奏開始から演奏終了までの間に所定のタイミングで複数回、例えばその演奏曲における所定のフレーズ(楽句)毎に上記採点を行い、演奏終了時に最終的な評価を算出する。具体的には、前記歌詞情報において一画面に表示される歌詞文字映像の単位としての区分を定める区分情報に基づいて、その区分毎に演奏の採点制御を行う。ここで、複数の区分(例えば2つの区分すなわち二画面分の歌詞文字映像に対応する部分)毎に斯かる採点を行うものであってもよい。また、斯かる区分よりも更に細かい単位として例えば歌詞文字映像を改行表示するための改行情報で区切られる区分毎に斯かる採点を行うものであってもよい。このようにして、カラオケ演奏と併行して上記演奏採点制御手段84により採点された採点結果は、前記RAM54等の記憶装置に順次一時的に記憶される。
【0027】
属性決定手段86は、記憶装置としての前記ハードディスク56の属性/語句テーブル70に記憶された関係から、前記歌詞情報に含まれる語句に基づいて、前記複数の区分にそれぞれ対応する少なくとも1つの属性を決定する。図6は、前記ハードディスク56に記憶された、予め定められた複数の属性と各属性に対応する少なくとも1つの語句との関係の一例である属性/語句テーブル70を示す図である。この図6に示す属性/語句テーブル70においては、前記歌詞情報に関して複数の属性が予め定められると共に、各属性にそれぞれ対応する複数の語句が定められている。例えば、属性「ビジネス」に対応して「サラリーマン」、「株、株式」、「仕事、しごと」等の語句が定められている。また、属性「友情」に対応して「友達、友だち、ともだち」、「仲間、なかま」、「仲良し、仲よし、なかよし、仲がいい、仲が良い」等の語句が定められている。また、属性「エロス」に対応して「おっぱい、胸、バスト」、「尻、しり、けつ」、「セクシー、セクスィー」等の語句が定められている。また、属性「優しさ」に対応して「思いやり、思い遣り、おもいやり」、「助け合い、たすけあい」、「親切、しんせつ」等の語句が定められている。
【0028】
上記属性決定手段86は、前記演奏採点制御手段84による採点の単位である前記区分それぞれに対応する歌詞情報に関して、その歌詞情報に含まれる語句が上記属性/語句テーブル70において定められているか否かを判定し、定められている場合にはその語句に対応する属性をその区分に対応する属性として決定する。ここで、区分によっては複数の属性に対応する語句を含む場合が考えられるが、斯かる場合にはその区分に対応して複数の属性を決定してもよいし、何れか1つの属性を決定してもよい。また、区分によっては上記属性/語句テーブル70に定められた語句を含まない場合も考えられるが、斯かる場合には例えば「属性なし」がその区分の属性として決定される。このようにして決定された各区分の属性は、前記演奏採点制御手段84によるその区分の採点結果と関連づけられて前記RAM54等の記憶装置に順次一時的に記憶される。
【0029】
図3に戻って、統計制御手段88は、前記属性決定手段86により決定される各区分毎の属性に基づいて、前記演奏採点制御手段84による各区分毎の採点結果を前記属性毎に統計する。好適には、前記演奏採点制御手段84による各区分毎の採点結果をすべて加算して総得点を算出すると共に、前記複数の属性毎にその属性に対応する区分の採点結果を加算して各属性の得点を算出し、前記総得点に対する各属性の得点の比率を算出する統計を行う。例えば、第1の区分の属性が「友情」であり採点結果が「90」点、第2の区分の属性が「優しさ」であり採点結果が「60」点、第3の区分の属性が「友情」であり採点結果が「80」点、第4の区分の属性が「エロス」であり採点結果が「70」点であった場合には、総得点が300(=90+60+80+70)、その総得点に対する属性「友情」の割合が0.57(=(80+90)/300)、属性「優しさ」の割合が0.2(=60/300)、属性「エロス」の割合が0.23(=70/300)として算出される。このような統計処理によって、前記演奏採点制御手段84による各区分毎の採点結果が、各属性毎の採点結果とされて前記RAM54等に一時的に記憶される。
【0030】
また、上記統計制御手段88は、総得点とは専ら関係なく各属性に対応する区分の採点結果の平均点を統計するものであってもよい。或いは、採点結果が予め定められた所定値以上であった区分に対応する属性を抽出したり、各区分を採点結果が高いものから順位付けしてその順位付けに従い属性の順位を決定するといったものでもよい。すなわち、上記統計制御手段88は、前記属性決定手段86により決定される各区分毎の属性に基づいて、前記演奏採点制御手段84による各区分毎の採点結果を前記属性毎に統計するものであればよく、その統計には種々の態様が考えられる。
【0031】
演奏評価映像表示制御手段90は、上記統計制御手段88による前記属性毎の統計結果に基づいて所定の演奏評価映像の表示制御を行う。具体的には、前記演奏評価映像データベース68に記憶された情報に基づいて、上記統計制御手段88による前記属性毎の統計結果に対応する演奏評価映像を、前記映像出力制御部32及びビデオミキサ36等を介して前記映像表示装置30に表示させる制御を行う。図7は、上記演奏評価映像表示制御手段90により前記映像表示装置30に表示される映像の一例である演奏評価映像104を示す図である。この図7に示す演奏評価映像104では、上記統計制御手段88により統計された各属性に対応する採点結果(総得点に対する割合、平均点等)が、前記演奏評価映像データベース68に予め定められた各属性に対応する記号の個数乃至大きさに反映され、それらの記号が身体を表す映像の各部に合成されて表示される。この身体を表す映像に対する各属性に対応する記号の表示位置は、前記演奏評価映像データベース68に予め定められたものであってもよいし、上記演奏評価映像表示制御手段90によりランダムに定められるものであってもよい。また、図8は、上記演奏評価映像表示制御手段90により前記映像表示装置30に表示される映像の他の一例である演奏評価映像106を示す図である。この図8に示す演奏評価映像106では、上記統計制御手段88により統計された各属性に対応する採点結果に基づいて、前記演奏評価映像データベース68に予め定められたテキストが選択され、そのテキストが連結された文章に対応する文字映像が吹き出しを表す映像の中に合成されて表示される。このテキストは、各属性の意味に応じて定められたものであってもよいし、各属性の意味とは専ら関係なく面白おかしい単語が適当に定められたものであってもよい。本実施例のカラオケ装置16においては、前記演奏採点制御手段84による採点結果は、具体的な点数としては表示されず、このように抽象化された演奏評価映像104、106等として前記映像表示装置30に表示される。
【0032】
図9は、前記カラオケ装置16のCPU50による演奏評価制御の要部を説明するフローチャートであり、所定の周期で繰り返し実行されるものである。
【0033】
先ず、ステップ(以下、ステップを省略する)S1において、採点モード(演奏評価モード)での所定の演奏曲のカラオケ演奏開始タイミングであるか否かが判断される。このS1の判断が否定される場合には、それをもって本ルーチンが終了させられるが、S1の判断が肯定される場合には、S2において、演奏開始に係る演奏曲に対応する楽曲データが前記カラオケデータベース66から読み出され、前記RAM54等に展開される。次に、前記属性決定手段86の動作に対応するS3において、前記ハードディスク56の属性/語句テーブル70に記憶された関係から、S2にて展開された楽曲データの歌詞情報に含まれる語句に基づいて、その歌詞情報における複数の区分にそれぞれ対応する少なくとも1つの属性が決定される。次に、S4において、S2にて展開された楽曲データの演奏情報(MIDIデータ)に基づいて、前記シンセサイザ38によりその演奏曲の出力が開始される。次に、S5において、S2にて展開された楽曲データの歌詞情報に基づいて、その歌詞情報に対応する歌詞文字映像の表示切替タイミングであるか否かが判断される。このS5の判断が否定される場合には、前記演奏採点制御手段84の動作に対応するS6において、その時点において前記映像表示装置30の画面に表示されている歌詞文字映像に対応する区分に関し、前記マイクロフォン40からA/Dコンバータ41を介して入力される音声に関する情報に基づいて演奏の採点が行われた後、S9以下の処理が実行されるが、S5の判断が肯定される場合には、前記歌詞文字映像表示制御手段82の動作に対応するS7において、次の区分の歌詞情報に基づく歌詞文字映像が生成され、その歌詞文字映像が前記映像出力制御部32により出力されて前記ビデオミキサ36を介して前記映像表示装置30に表示される。次に、S8において、演奏が終了した区分に関してS6の採点結果が前記RAM54等に記憶された後、S9において、カラオケ演奏終了タイミングであるか否かが判断される。このS9の判断が否定される場合には、S5以下の処理が再び実行されるが、S9の判断が肯定される場合には、前記統計制御手段88の動作に対応するS10において、S3にて決定された各区分毎の属性に基づいて、S6による各区分毎の採点結果が前記属性毎に統計される。次に、前記演奏評価映像表示制御手段90の動作に対応するS11において、S10による属性毎の統計結果に基づいて図7或いは図8に示すような演奏評価映像104、106等が前記映像表示装置30に表示された後、本ルーチンが終了させられる。以上の制御において、S4及びS9が前記演奏制御手段80の動作に対応する。
【0034】
このように、本実施例によれば、音声を入力するための音声入力装置であるマイクロフォン40と、予め定められた複数の属性と各属性に対応する少なくとも1つの語句との関係を記憶する記憶装置であるハードディスク56と、複数の区分が定められた歌詞情報に基づいて歌詞文字映像102の表示制御を行う歌詞文字映像表示制御手段82(S7)と、前記ハードディスク56に記憶された関係から、前記歌詞情報に含まれる語句に基づいて、前記複数の区分にそれぞれ対応する少なくとも1つの属性を決定する属性決定手段86(S3)と、前記演奏曲の出力に際して、前記マイクロフォン40から入力される音声に関する情報に基づいて、前記歌詞情報の区分毎に演奏の採点を行う演奏採点制御手段84(S6)と、前記属性決定手段86により決定される各区分毎の属性に基づいて、前記演奏採点制御手段84による各区分毎の採点結果を前記属性毎に統計する統計制御手段88(S10)と、その統計制御手段88による前記属性毎の統計結果に基づいて所定の演奏評価映像104、106の表示制御を行う演奏評価映像表示制御手段90(S11)とを、備えたものであることから、各区分の採点結果を属性毎に統計することで、どういった意味合いの歌詞を上手く歌えているかという傾向を明らかにできると共に、その統計結果を抽象的な映像として表示させることで、利用者に意外な印象を与えることができる。すなわち、目新しく娯楽性の高い演奏評価を実現するカラオケ装置16を提供することができる。
【0035】
また、前記統計制御手段88は、前記演奏採点制御手段84による各区分毎の採点結果をすべて加算して総得点を算出すると共に、前記複数の属性毎にその属性に対応する区分の採点結果を加算して各属性の得点を算出し、前記総得点に対する各属性の得点の比率を算出する統計を行うものであるため、簡単且つ実用的な態様で各区分の採点結果を属性毎に統計することができる。
【0036】
また、前記複数の区分は、前記歌詞文字映像102の表示を切り替えるための情報に基づいて定められたものであるため、実用的な区分を単位として演奏の採点乃至各属性毎の統計を行うことができる。
【0037】
また、前記演奏採点制御手段84は、前記演奏曲の出力に際して、前記マイクロフォン40から入力される音声の音量、テンポ、及び音程に基づいて、前記歌詞情報の区分毎に演奏の採点を行うものであるため、実用的な態様で演奏の採点を行うことができる。
【0038】
以上、本発明の好適な実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、更に別の態様においても実施される。
【0039】
例えば、前述の実施例において、前記演奏採点制御手段84、属性決定手段86、及び統計制御手段88は、何れも前記カラオケ装置16のCPU50に機能的に備えられたものであったが、これらの制御機能の一部乃至全部が前記サーバ装置20に備えられたものであってもよい。すなわち、前記演奏採点制御、属性決定制御、及び採点結果の統計制御等は、前記サーバ装置20により一元的に行われるものであってもよい。また、それらの制御機能が前記電子早見本装置22のCPUに備えられたものであってもよい。斯かる態様においては、その電子早見本装置22により前記演奏採点制御、属性決定制御、及び採点結果の統計制御等が実行される。
【0040】
また、前述の実施例では特に言及していないが、前記統計制御手段88による統計結果乃至演奏評価映像表示制御手段90により表示された演奏評価映像104等を利用者の識別情報と関連づけて前記サーバ装置20等に蓄積し、その演奏評価映像104等の時系列変化が閲覧できるようにしてもよい。
【0041】
その他、一々例示はしないが、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲内において種々の変更が加えられて実施されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明が好適に適用される通信カラオケシステムを説明する概略図である。
【図2】本発明の一実施例であるカラオケ装置の構成を例示するブロック線図である。
【図3】図2のカラオケ装置のCPUに備えられた制御機能の要部を説明する機能ブロック線図である。
【図4】所定の演奏曲のカラオケ情報に含まれる歌詞情報の一部を示す図である。
【図5】図4の歌詞情報に対応して図2の映像表示装置に表示される歌詞文字映像及び演奏映像を例示する図である。
【図6】図2のハードディスクに記憶された、予め定められた複数の属性と各属性に対応する少なくとも1つの語句との関係の一例である属性/語句テーブルを示す図である。
【図7】図2の映像表示装置に表示される演奏評価映像の一例を示す図である。
【図8】図2の映像表示装置に表示される演奏評価映像の他の一例を示す図である。
【図9】図2のカラオケ装置のCPUによる演奏評価制御の要部を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
【0043】
16:カラオケ装置
40:マイクロフォン(音声入力装置)
56:ハードディスク(記憶装置)
70:属性/語句テーブル
82:歌詞文字映像表示制御手段
84:演奏採点制御手段
86:属性決定手段
88:統計制御手段
90:演奏評価映像表示制御手段
100:演奏映像
102:歌詞文字映像
104、106:演奏評価映像

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多数の演奏曲のうちから選択される所定の演奏曲を出力させると共に、該演奏曲の出力と併行して該演奏曲の歌詞文字映像を含む演奏映像を表示させるカラオケ装置であって、
音声を入力するための音声入力装置と、
予め定められた複数の属性と各属性に対応する少なくとも1つの語句との関係を記憶する記憶装置と、
複数の区分が定められた歌詞情報に基づいて前記歌詞文字映像の表示制御を行う歌詞文字映像表示制御手段と、
前記記憶装置に記憶された関係から、前記歌詞情報に含まれる語句に基づいて、前記複数の区分にそれぞれ対応する少なくとも1つの属性を決定する属性決定手段と、
前記演奏曲の出力に際して、前記音声入力装置から入力される音声に関する情報に基づいて、前記歌詞情報の区分毎に演奏の採点を行う演奏採点制御手段と、
前記属性決定手段により決定される各区分毎の属性に基づいて、前記演奏採点制御手段による各区分毎の採点結果を前記属性毎に統計する統計制御手段と、
該統計制御手段による前記属性毎の統計結果に基づいて所定の演奏評価映像の表示制御を行う演奏評価映像表示制御手段と
を、備えたものであることを特徴とするカラオケ装置。
【請求項2】
前記統計制御手段は、前記演奏採点制御手段による各区分毎の採点結果をすべて加算して総得点を算出すると共に、前記複数の属性毎に該属性に対応する区分の採点結果を加算して各属性の得点を算出し、前記総得点に対する各属性の得点の比率を算出する統計を行うものである請求項1に記載のカラオケ装置。
【請求項3】
前記複数の区分は、前記歌詞文字映像の表示を切り替えるための情報に基づいて定められたものである請求項1又は2に記載のカラオケ装置。
【請求項4】
前記演奏採点制御手段は、前記演奏曲の出力に際して、前記音声入力装置から入力される音声の音量、テンポ、及び音程に基づいて、前記歌詞情報の区分毎に演奏の採点を行うものである請求項1から3の何れか1項に記載のカラオケ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図9】
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【図5】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−204870(P2009−204870A)
【公開日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−46934(P2008−46934)
【出願日】平成20年2月27日(2008.2.27)
【出願人】(396004833)株式会社エクシング (394)
【Fターム(参考)】