説明

カラーフィルタおよびその製造方法、表示装置およびその製造方法

【課題】製造効率を向上させることが容易に可能であって、コストダウンを実現する。
【解決手段】第1カラーフィルタ層411Rにおいて形成されている誘電多層膜DFと、第2カラーフィルタ層411Gにおいて形成されている誘電多層膜DFと、第3カラーフィルタ層411Bにおいて形成されている誘電多層膜DFとのそれぞれを、互いに同じ層構成になるように層が積層され、かつ、層厚が互いに異なるように形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カラーフィルタおよびその製造方法、表示装置およびその製造方法に関する。特に、入射光を着色するカラーフィルタであって、その入射光が入射される基板と、その基板に形成されており、入射光を第1の色彩に着色する第1カラーフィルタ層と、その第1カラーフィルタ層に並ぶように基板に形成されており、入射光を第1の色彩と異なる第2の色彩に着色する第2カラーフィルタ層とを含むカラーフィルタおよびその製造方法に関する。また、このカラーフィルタを含み、当該カラーフィルタによって着色された着色光を用いて画像を表示する表示装置およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
LCD(liquid crystal display)装置,有機EL(electroluminescence)表示装置などの表示装置は、CRT(Cathode Ray Tube)よりも、薄型、軽量、低消費電力などの利点を有し、パーソナルコンピュータ、デジタルスチルカメラ、携帯電話などのさまざまな電子機器に利用されている。このような表示装置の表示方式として、アクティブマトリクス方式が知られている。
【0003】
アクティブマトリクス方式の液晶表示装置においては、薄膜トランジスタ(TFT:Thin Film Transistor)が、アレイ状に複数形成されたアレイ基板を含む。そして、このアレイ基板に対して間隔を隔てるように対向基板が対面しており、そのアレイ基板と対向基板との間の間隔に液晶が注入され、液晶パネルが構成されている。
【0004】
そして、この液晶パネルにおいては、カラーにて画像を表示するために、対向基板にカラーフィルタ層を形成し、カラーフィルタとして対向基板を機能させている。具体的には、赤、緑、青の3原色に対応するカラーフィルタ層を画素電極に対応するように形成している。そして、このカラーフィルタ層の周囲を囲うように、ブラックマトリクス層が形成されており、入射光を遮光する。
【0005】
ここでは、顔料や染料などの着色剤を用いた吸収フィルタを、カラーフィルタ層として形成することが知られている。この場合には、入射光において所定の波長の光を透過し、その所定の波長の光以外の光を吸収することによって、入射光を着色する。
【0006】
この他に、誘電多層膜を用いた干渉フィルタを、カラーフィルタ層として形成することが提案されている。この場合においては、入射光において所定の波長の光を透過し、その所定の波長の光以外の光を反射することによって、その入射光を着色する(たとえば、特許文献1)。
【0007】
【特許文献1】特開2005−10280号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記のような表示装置において、複数の色彩に着色するように複数のカラーフィルタ層を形成する場合には、その着色する各色彩に応じて各カラーフィルタ層を形成するため、製造プロセスが複雑化する場合がある。このため、製造効率を向上させることが困難であり、コストダウンを実現することが容易ではなかった。
【0009】
また、この他に、画像をカラー表示する際には、上述したようにカラーフィルタ層において入射光が吸収または反射されるために、そのカラーフィルタ層を透過した透過光は、入射光よりも光強度が低下する。特に、顔料や染料などの着色剤を用いた吸収フィルタを、カラーフィルタ層として使用する場合には、この不具合が顕在化する場合があった。このため、その透過光によって表示される画像は、輝度が十分でない場合があるため、画像品質を向上させることが困難な場合があった。
【0010】
したがって、本発明においては、製造プロセスを簡略化し、製造効率を向上させることが容易であり、コストダウンを実現することが可能な、カラーフィルタおよびその製造方法、表示装置およびその製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、入射光を着色するカラーフィルタであって、前記入射光が入射される基板と、前記基板に形成されており、前記入射光を第1の色彩に着色する第1カラーフィルタ層と、前記第1カラーフィルタ層に並ぶように前記基板に形成されており、前記入射光を前記第1の色彩と異なる第2の色彩に着色する第2カラーフィルタ層とを有し、前記第1カラーフィルタ層と前記第2カラーフィルタ層とのそれぞれは、誘電多層膜による干渉フィルタであり、互いに同じになるように層が積層された層構成であって、互いに層厚が異なるように形成されている。
【0012】
好適には、前記第1カラーフィルタ層と前記第2カラーフィルタ層とのそれぞれは、端部において前記誘電多層膜の層が連続的に連なるように形成されている。
【0013】
好適には、前記基板において前記第1カラーフィルタ層と前記第2カラーフィルタ層とに並ぶように形成されており、前記入射光を前記第1の色彩と前記第2の色彩とのそれぞれと異なる第3の色彩に着色する第3カラーフィルタ層を有し、前記第3カラーフィルタ層は、誘電多層膜による干渉フィルタであり、前記第1カラーフィルタ層と前記第2カラーフィルタ層とのそれぞれと同じになるように層が積層された層構成であって、前記第1カラーフィルタ層と前記第2カラーフィルタ層とのそれぞれに対して層厚が異なると共に、前記第1カラーフィルタ層と前記第2カラーフィルタ層とのそれぞれの端部において当該誘電多層膜の層が連続的に連なるように形成されている。
【0014】
好適には、前記第1カラーフィルタ層は、前記入射光を赤に着色し、前記第2カラーフィルタ層は、前記入射光を緑に着色し、前記第3カラーフィルタ層は、前記入射光を青に着色する。
【0015】
好適には、前記基板において前記第1カラーフィルタ層と前記第2カラーフィルタ層と前記第3カラーフィルタ層とのそれぞれの間に並ぶように形成されており、前記入射光を遮光するブラックマトリクス層を有し、前記ブラックマトリクス層は、誘電多層膜による干渉フィルタであり、前記第1カラーフィルタ層と前記第2カラーフィルタ層と前記第3カラーフィルタ層とのそれぞれと同じになるように層が積層された層構成であって、前記第1カラーフィルタ層と前記第2カラーフィルタ層と前記第3カラーフィルタ層とのそれぞれに対して層厚が異なると共に、前記第1カラーフィルタ層と前記第2カラーフィルタ層と前記第3カラーフィルタ層とのそれぞれの端部において当該誘電多層膜の層が連続的に連なるように形成されている。
【0016】
また、本発明は、入射光を着色するカラーフィルタの製造方法であって、前記入射光を第1の色彩に着色する第1カラーフィルタ層と、前記入射光を前記第1の色彩と異なる第2の色彩に着色する第2カラーフィルタ層とのそれぞれを、前記入射光が入射される基板に形成するカラーフィルタ層形成工程を有し、前記カラーフィルタ層形成工程においては、前記第1カラーフィルタ層と前記第2カラーフィルタ層とのそれぞれを、誘電多層膜による干渉フィルタであって、互いが同じ層構成であり、互いに層厚が異なるように形成する。
【0017】
好適には、前記カラーフィルタ層形成工程は、前記基板において前記第1カラーフィルタ層と前記第2カラーフィルタ層とを形成するカラーフィルタ層形成領域を被覆するように誘電多層膜を形成する誘電多層膜形成工程と、モールドパターンが形成されたモールドを、前記誘電多層膜形成工程において形成された前記誘電多層膜に押圧し、当該モールドのモールドパターンを当該誘電多層膜にインプリントすることによって、当該誘電多層膜の層厚を、前記第1カラーフィルタ層と前記第2カラーフィルタ層とのそれぞれに対応するように変更するインプリント工程とを有する。
【0018】
また、本発明は、入射光を着色するカラーフィルタを含み、当該カラーフィルタが前記入射光を着色した着色光を用いて画像を表示する表示装置であって、前記カラーフィルタは、前記入射光が入射される基板と、前記基板に形成されており、前記入射光を第1の色彩に着色する第1カラーフィルタ層と、前記第1カラーフィルタ層に並ぶように前記基板に形成されており、前記入射光を前記第1の色彩と異なる第2の色彩に着色する第2カラーフィルタ層とを有し、前記第1カラーフィルタ層と前記第2カラーフィルタ層とのそれぞれは、誘電多層膜による干渉フィルタであり、互いに同じになるように層が積層された層構成であって、互いに層厚が異なるように形成されている。
【0019】
好適には、前記入射光を照射する光源と、前記光源が照射した入射光を変調する液晶層とを有し、前記カラーフィルタは、前記液晶層と前記光源との間に介在するように設置されており、前記光源が前記液晶層へ照射する入射光を、前記第1カラーフィルタ層と前記第2カラーフィルタ層とのそれぞれが着色する。
【0020】
また、本発明は、入射光を着色するカラーフィルタを含み、当該カラーフィルタが前記入射光を着色した着色光を用いて画像を表示する表示装置の製造方法であって、前記カラーフィルタを形成するカラーフィルタ形成工程は、前記入射光を第1の色彩に着色する第1カラーフィルタ層と、前記入射光を前記第1の色彩と異なる第2の色彩に着色する第2カラーフィルタ層とのそれぞれを、前記入射光が入射される基板に形成するカラーフィルタ層形成工程を有し、前記カラーフィルタ層形成工程においては、前記第1カラーフィルタ層と前記第2カラーフィルタ層とのそれぞれを、誘電多層膜による干渉フィルタであって、互いが同じ層構成であり、互いに層厚が異なるように形成する。
【0021】
本発明においては、前記入射光を第1の色彩に着色する第1カラーフィルタ層と、前記入射光を前記第1の色彩と異なる第2の色彩に着色する第2カラーフィルタ層とのそれぞれを、前記入射光が入射される基板に形成する。ここでは、前記第1カラーフィルタ層と前記第2カラーフィルタ層とのそれぞれを、誘電多層膜による干渉フィルタであって、互いが同じ層構成であり、互いに層厚が異なるように形成する。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、製造プロセスを簡略化し、製造効率を向上させることが容易であり、コストダウンを実現することが可能な、カラーフィルタおよびその製造方法、表示装置およびその製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態の一例について、図面を参照して説明する。
【0024】
<実施形態1>
(構成)
図1は、本発明にかかる実施形態1において、液晶表示装置100の要部を模式的に示す断面図である。図2は、本発明にかかる実施形態1において、液晶表示装置100における液晶パネル200を模式的に示す平面図である。
【0025】
本実施形態の液晶表示装置100は、図1に示すように、液晶パネル200とバックライト300とを有する。
【0026】
液晶パネル200は、アクティブマトリクス方式であって、図1に示すように、アレイ基板211と、対向基板221と、液晶層231とを含む。この液晶パネル200においては、図1に示すように、アレイ基板211と対向基板221とがスペーサSによって間隔を隔てられて貼り合わされており、そのアレイ基板211と対向基板221との間の間隔に液晶層231が注入されている。
【0027】
また、液晶パネル200においては、図1および図2に示すように、画素領域PAと周辺領域SAとが形成されている。ここで、画素領域PAは、図2に示すように、液晶パネル200の中央部分に位置している。そして、この画素領域PAには、複数の画素Pがマトリクス状に配置されており、画像が表示される。具体的には、バックライト300から照明された光がアレイ基板211の側から入射され、その入射光が液晶層231を介して対向基板221の側へ透過して出射される。そして、このようにして透過した透過光によって、画素領域PAにおいて画像表示が実施される。すなわち、本実施形態の液晶パネル200は、透過型である。また、図2に示すように、液晶パネル200においては、画素領域PAの周囲に周辺領域SAが設けられている。なお、図示を省略しているが、この液晶パネル200において、バックライト300の側の面と、そのバックライト300の側の面に対して反対の側の面とのそれぞれには、偏光板(図示なし)が設置されている。
【0028】
バックライト300は、たとえば、エッジライト方式であり、図1に示すように、光源311と、導光板321とを有している。このバックライト300は、液晶パネル200の背面に配置され、液晶パネル200の背面に光を照明する。ここで、バックライト300において、光源311は、たとえば、冷陰極管であり、白色の可視光を照射する。そして、導光板321は、光を照射する照射面が、液晶パネル200の背面に対面するように配置されており、光源311が照射した光を面状の光に変換するように拡散反射した後に、液晶パネル200の背面に、その照射面から光を平面光として照射する。
【0029】
液晶パネル200の各部について順次説明する。
【0030】
液晶パネル200においてアレイ基板211は、図1に示すように、基板であり、たとえば、ガラスなどのように、光を透過する絶縁体により形成されている。このアレイ基板211において画素領域PAに対応する部分においては、図2に示すように、複数の画素Pのそれぞれに対応するように、薄膜トランジスタ(図示なし)が画素スイッチング素子として形成されている。たとえば、ポリシリコンを用いて、この薄膜トランジスタが形成されている。また、画素領域PAにおいては、画素Pのそれぞれに対応するように画素電極(図示なし)が複数形成されている。たとえば、ITOを用いた透明電極として、この画素電極が形成されている。そして、この画素電極においては、画素スイッチング素子が走査信号に応じてスイッチング制御することによって、データ信号が供給される。一方、周辺領域SAにおいては、図2に示すように、H−Driver(水平ドライバ)211aとV−Driver(垂直ドライバ)211bとTG(Timing Generator)211cとDDCON(DC−DC Converter)211dとを含む駆動回路が、その画素Pを駆動するための周辺回路として形成されている。
【0031】
液晶パネル200において対向基板221は、図1に示すように、基板であり、アレイ基板211と同様に、たとえば、ガラスなどのように、光を透過する絶縁体により形成されている。対向基板221は、図1に示すように、一方の面がアレイ基板211に間隔を隔てて対面している。そして、対向基板221は、画素領域PAの周囲においてシール材によってアレイ基板211に貼り付けられている。また、対向基板221においては、アレイ基板211に形成された画素電極(図示なし)の共通電極として、対向電極(図示なし)が形成されている。この対向基板221の詳細内容については、後述する。
【0032】
液晶層231は、図1に示すように、アレイ基板211と対向基板221との間に形成されている。たとえば、液晶層231は、ツイストネマティック型の液晶が、そのアレイ基板211と対向基板221との間に注入され、配向処理されることによって形成されている。そして、液晶層231は、アレイ基板211に形成された画素電極(図示なし)と対向基板221に形成された対向電極(図示なし)とにおいて印加される電圧に基づいて、その配向状態が変化し、バックライト300から入射された入射光を変調する。
【0033】
本実施形態にかかる対向基板221について詳細に説明する。
【0034】
図3は、本発明にかかる実施形態1において、対向基板221の要部を拡大して模式的に示す断面図である。
【0035】
対向基板221は、図3に示すように、カラーフィルタ401が面に形成されており、バックライト300から白色CWの光として入射された入射光を、3原色の色彩CR,CB,CGの着色光のそれぞれに着色する。すなわち、対向基板221は、カラーフィルタ基板として機能する。
【0036】
ここで、カラーフィルタ401は、図3に示すように、第1カラーフィルタ層411Rと、第2カラーフィルタ層411Gと、第3カラーフィルタ層411Bとを含み、この第1カラーフィルタ層411Rと、第2カラーフィルタ層411Gと、第3カラーフィルタ層411Bとのそれぞれは、各画素Pに対応するように形成されている。具体的には、カラーフィルタ401において、バックライト300から白色CWの光として入射された入射光を、第1の色彩CRである赤色に着色する領域CFRには、第1カラーフィルタ層411Rが形成されており、第2の色彩CGである緑色に着色する領域CFGには、第2カラーフィルタ層411Gが形成されており、第3の色彩CBである青色に着色する領域CFGには、第3カラーフィルタ層411Bが形成されている。
【0037】
また、カラーフィルタ401は、図3に示すように、対向基板221においてバックライト300が配置される側の面に形成されている。すなわち、図3においては図示を省略しているが、カラーフィルタ層411は、図1に示すように、対向基板221において液晶層231を介してアレイ基板211に対面する面に形成されている。また、この他に、図3においては図示を省略しているが、第1カラーフィルタ層411Rと、第2カラーフィルタ層411Gと、第3カラーフィルタ層411Bとのそれぞれの間に対応するように、光を遮光するブラックマトリクス層(図示なし)が別途形成されている。
【0038】
カラーフィルタ401の各部について説明する。
【0039】
第1カラーフィルタ層411Rは、図3に示すように、バックライト300から白色CWの光として入射された入射光を、第1の色彩CRに着色するように、対向基板221に形成されている。本実施形態においては、第1カラーフィルタ層411Rは、誘電多層膜DFによる干渉フィルタであり、白色CWの光である入射光を、赤色CRの着色光に着色して透過するように形成されている。すなわち、第1カラーフィルタ層411Rは、白色CWの光において赤色CRに対応する波長範囲の光を透過し、その波長範囲の透過光以外の光を反射することによって、入射光を着色する。そして、第1カラーフィルタ層411Rが反射した反射光は、図3に示すように、バックライト300の側へ照射される。
【0040】
第2カラーフィルタ層411Gは、図3に示すように、バックライト300から白色CWの光として入射された入射光を、第1の色彩CRと異なる第2の色彩CGに着色するように、対向基板221に形成されている。ここでは、第2カラーフィルタ層411Gは、第1カラーフィルタ層411Rに並ぶように形成されている。本実施形態においては、第2カラーフィルタ層411Gは、誘電多層膜DFによる干渉フィルタであり、白色CWの光である入射光を、緑色CGの光に着色して透過するように形成されている。すなわち、第2カラーフィルタ層411Gは、入射光において緑色CGに対応する波長範囲の光を透過し、その波長範囲の透過光以外の光を反射することによって、その入射光を着色する。そして、第2カラーフィルタ層411Gが反射した反射光は、図3に示すように、バックライト300の側へ照射される。
【0041】
第3カラーフィルタ層411Bは、図3に示すように、バックライト300から白色CWの光として入射された入射光を、第1の色彩CRおよび第2の色彩CGと異なる第3の色彩CBに着色するように、対向基板221に形成されている。ここでは、第3カラーフィルタ層411Bは、第1カラーフィルタ層411Rおよび第2カラーフィルタ層411Gに並ぶように形成されている。本実施形態においては、第3カラーフィルタ層411Bは、誘電多層膜DFによる干渉フィルタであり、白色CWの光である入射光を、青色CBの光に着色して透過するように形成されている。すなわち、第3カラーフィルタ層411Bは、入射光において青色CBに対応する波長範囲の光を透過し、その波長範囲の透過光以外の光を反射することによって、その入射光を着色する。そして、第3カラーフィルタ層411Bが反射した反射光は、図3に示すように、バックライト300の側へ照射される。
【0042】
上記のように、本実施形態において、このカラーフィルタ401を構成する第1カラーフィルタ層411Rと第2カラーフィルタ層411Gと第3カラーフィルタ層411Bとのそれぞれは、誘電多層膜DFによる干渉フィルタであり、図3に示すように、第1カラーフィルタ層411Rと第2カラーフィルタ層411Gと第3カラーフィルタ層411Bとにおいては、誘電多層膜DFが同じ層構成になるように層が積層されている。つまり、第1カラーフィルタ層411Rと第2カラーフィルタ層411Gと第3カラーフィルタ層411Bとの間においては、複数の材料の誘電体層が同じ順で積層されている。しかし、図3に示すように、第1カラーフィルタ層411Rと第2カラーフィルタ層411Gと第3カラーフィルタ層411Bとの間においては、その誘電多層膜DFの層厚が異なるように形成されている。すなわち、第1カラーフィルタ層411Rと第2カラーフィルタ層411Gと第3カラーフィルタ層411Bとのそれぞれは、それぞれの間において同じ材料の誘電多層膜DFであるが、それぞれの間において、その誘電多層膜DFの層厚が異なるように形成されている。
【0043】
そして、これと共に、図3に示すように、第1カラーフィルタ層411Rと第2カラーフィルタ層411Gと第3カラーフィルタ層411Bとにおいては、それぞれの端部にて、その構成する誘電多層膜DFの層が連続的に連なるように形成されている。
【0044】
具体的には、第1カラーフィルタ層411Rと第2カラーフィルタ層411Gとの間においては、誘電多層膜DFの層厚が、第1カラーフィルタ層411Rから第2カラーフィルタ層411Gへ向かって薄くなるように、形成されている。ここでは、誘電多層膜DFを構成する各誘電体層の層厚が、第1カラーフィルタ層411Rから第2カラーフィルタ層411Gへ向かって薄くなるように、形成されている。そして、第2カラーフィルタ層411Gと第3カラーフィルタ層411Bとの間においては、誘電多層膜DFの層厚が、第2カラーフィルタ層411Gから第3カラーフィルタ層411Bへ向かって薄くなるように、形成されている。ここでは、誘電多層膜DFを構成する各誘電体層の層厚が、第2カラーフィルタ層411Gから第3カラーフィルタ層411Bへ向かって薄くなるように、形成されている。そして、第1カラーフィルタ層411Rと第3カラーフィルタ層411Bとの間においては、誘電多層膜DFの層厚が、第1カラーフィルタ層411Rから第3カラーフィルタ層411Bへ向かって薄くなるように、形成されている。ここでは、誘電多層膜DFを構成する各誘電体層の層厚が、第1カラーフィルタ層411Rから第3カラーフィルタ層411Bへ向かって薄くなるように、形成されている。この第1カラーフィルタ層411Rと第2カラーフィルタ層411Gとの間においては、その層厚に対応するように、光が着色されて透過される。
【0045】
また、このカラーフィルタ401を構成する第1カラーフィルタ層411Rと第2カラーフィルタ層411Gと第3カラーフィルタ層411Bとのそれぞれは、上述したように、白色CWの入射光において所定の色彩CR,CG,CBに対応する波長範囲の光のそれぞれを透過し、その波長範囲の透過光以外の光を反射することによって、その入射光を着色する。このとき、カラーフィルタ401の各層において反射された光HR,HG,HBは、図3に示すように、バックライト300の側に戻った後、再度、バックライト300によって拡散反射され、対向基板221の側に照射される。具体的には、バックライト300の導光板321によって拡散反射される。このため、本実施形態は、カラーフィルタ401において反射された光HR,HG,HBがバックライト300によって対向基板221の側に拡散反射され、画像表示において再利用されるため、輝度を向上させることができる。
【0046】
(製造方法)
以下より、上記のカラーフィルタ401を対向基板221に形成する製造方法について説明する。
【0047】
図4は、本発明にかかる実施形態1において、カラーフィルタ401を形成する製造方法の要部にて形成された対向基板221の断面図である。
【0048】
まず、カラーフィルタ401を対向基板221に形成する際においては、図4(a)に示すように、誘電多層膜DFを形成する。
【0049】
ここでは、対向基板221において、第1カラーフィルタ層411Rと第2カラーフィルタ層411Gと第3カラーフィルタ層411Bとを形成するカラーフィルタ層形成領域CFFを被覆するように、この誘電多層膜DFを形成する。たとえば、無機材料を用いることによって、この誘電多層膜DFを形成する。
【0050】
具体的には、ナノメートル単位になるまで細かく粉砕処理された酸化チタン(TiO)の粉末または酸化シリコン(SiO)の粉末を、水もしくはアルコールに混入させて、所定の粘性を持たせた塗布液を形成する。そして、スピンコート法により塗布液を塗布することによって、誘電多層膜DFを形成する。
【0051】
本実施形態においては、以下の表1に示すように、所定の屈折率であるガラス基板を対向基板221とし、そのガラス基板上に、複数の屈折率が異なる誘電体層DF1〜DF5を、そのガラス基板の側から、順次、積層することによって、誘電多層膜DFを形成する。すなわち、表1に示すように、屈折率が1.5であるTiO層と、屈折率が2.5であるSiO層との誘電体層を用いて、TiO層,SiO層,TiO層,SiO層,TiO層の順になるように、第1誘電体層DF1,第2誘電体層DF2,第3誘電体層DF3,第4誘電体層DF4,第5誘電体層DF5の5層の誘電体層を積層する。
【0052】
【表1】

【0053】
なお、上記のように積層されたフィルム状の誘電多層膜DFを、対向基板221に貼り付けることによって、この誘電多層膜DFを対向基板221に設けても良い。また、容易に弾性変形が可能なように有機系材料を用いることによって、この誘電多層膜DFを形成してもよい。また、蒸着法、スパッタ法によって成膜することによって、形成してもよい。
【0054】
つぎに、図4(b)に示すように、モールドMを誘電多層膜DFに押圧する。
【0055】
ここでは、上記のようにして対向基板221のカラーフィルタ層形成領域CFFにおいて形成された誘電多層膜DFと、モールドMにおいてモールドパターンMPが形成された面とを対面させる。その後、そのモールドMを対向基板221の側へ押圧し、モールドMに形成されているモールドパターンMPを、その誘電多層膜DFに転写する。すなわち、モールドMのモールドパターンMPを誘電多層膜DFにインプリントする。これによって、第1カラーフィルタ層411Rと第2カラーフィルタ層411Gと第3カラーフィルタ層411Bとのそれぞれが、入射光を、赤、緑、青の光のそれぞれに着色するように、その誘電多層膜DFの層厚を変更することによって、図3に示すように、カラーフィルタ401を形成する。
【0056】
具体的には、第1カラーフィルタ層411Rと第2カラーフィルタ層411Gと第3カラーフィルタ層411Bとのそれぞれにおける誘電多層膜DFが下記の表2に示す厚さになるように、上記のインプリントを実行する。
【0057】
ここでは、表2の最下段に示すように、第1カラーフィルタ層411Rに対応する部分を基準として、第2カラーフィルタ層411Gに対応する部分(図4(b)中のDG)が74.2nmの段差であって、第3カラーフィルタ層411Bに対応する部分(図4(b)中のDB)が126.2nmの段差が設けられており、さらに、第1カラーフィルタ層411Rと第2カラーフィルタ層411Gと第3カラーフィルタ層411Bとのそれぞれを形成する部分の端部において断面がテーパー形状になるようにモールドパターンMPが形成されているモールドMを用いる。そして、このモールドMにおいてモールドパターンMPが形成された面を誘電多層膜DFの面に対面させて密着させた後、以下の条件にて誘電多層膜DFの膜厚を変形するように加熱雰囲気においてモールドMを誘電多層膜DFに押圧し、インプリントを実施した。
【0058】
【表2】

【0059】
インプリント条件:450℃、2MPa圧
【0060】
上記のようにすることによって、カラーフィルタ401においては、図3に示すように、第1カラーフィルタ層411Rと第2カラーフィルタ層411Gと第3カラーフィルタ層411Bとの間にて、それぞれの誘電多層膜DFの層構成が同じになるように層が積層されており、かつ、その誘電多層膜DFの層厚が異なるように形成される。そして、これと共に、第1カラーフィルタ層411Rと第2カラーフィルタ層411Gと第3カラーフィルタ層411Bとのそれぞれの端部にて、その構成する誘電多層膜DFの層が連続的に連なるように形成される。そして、その後、このカラーフィルタ401の表面を被覆し、その表面を平坦化させる平坦化膜(図示なし)を、たとえば、屈折率が1.5であって光を透過する材料を用いて、1000nm以上の厚さになるように設けた。
【0061】
なお、上記においては、紫外線を誘電多層膜DFに照射することによって、第1カラーフィルタ層411Rと第2カラーフィルタ層411Gと第3カラーフィルタ層411Bとを形成してもよい。ここでは、たとえば、石英をモールドMに使用し、UV硬化性の多層膜に、600mJ/cmのエネルギーの紫外線(UV光)を照射する。この場合においては、室温環境の下で形成可能となる。
【0062】
図5は、本発明にかかる実施形態1において形成したカラーフィルタ401の分光透過率を示す図である。図5において、横軸は、光の波長λ(nm)であり、縦軸は、光の透過率T(%)である。また、この図5において、LRは、第1カラーフィルタ層411Rを透過した光の測定結果であり、LGは、第2カラーフィルタ層411Gを透過した光の測定結果であり、LBは、第3カラーフィルタ層411Bを透過した光の測定結果である。
【0063】
図5にてLRとして示すように、第1カラーフィルタ層411Rは、赤色に対応する波長帯域において光透過率が高くなるように形成されているため、光が赤色に着色されて透過される。また、図5にてLGとして示すように、第2カラーフィルタ層411Gは、緑色に対応する波長帯域において光透過率が高くなるように形成されているため、光が緑色に着色されて透過される。また、図5にてLBとして示すように、第3カラーフィルタ層411Bは、青色に対応する波長帯域において光透過率が高くなるように形成されているため、光が青色に着色されて透過される。
【0064】
上記のようにしてカラーフィルタ401を対向基板221に形成した後には、その対向基板221を用いて、図1に示すように、液晶パネル200を製造する。そして、この後、図1に示すように、液晶パネル200にバックライト300を配置し、液晶表示装置100を完成させる。
【0065】
以上のように、本実施形態にて、入射光を着色するカラーフィルタ401においては、その入射光を第1の色彩である赤色CR,第2の色彩である緑色CG,第3の色彩である青色CBのそれぞれに着色する誘電多層膜DFが、第1カラーフィルタ層411Rと第2カラーフィルタ層411Gと第3カラーフィルタ層411Bとのそれぞれにおいて形成されている。ここでは、第1カラーフィルタ層411Rにおいて形成されている誘電多層膜DFと、第2カラーフィルタ層411Gにおいて形成されている誘電多層膜DFと、第3カラーフィルタ層411Bにおいて形成されている誘電多層膜DFとのそれぞれは、互いに同じ層構成になるように層が積層されていると共に、その層厚が互いに異なるように形成されている。また、誘電多層膜DFは、第1カラーフィルタ層411Rと第2カラーフィルタ層411Gと第3カラーフィルタ層411Bとのそれぞれの端部において、誘電多層膜DFを構成する各層が連続的に連なるように形成されている。このように、本実施形態は、誘電多層膜を構成している誘電体層が積層されている層構成を、入射光を着色する各色彩に応じて変えずに、その誘電体層全体の層厚のみを変えることで、複数のカラーフィルタ層を形成しているため、複雑な製造プロセスを必要としない。このため、本実施形態は、製造効率を向上させることが容易に可能であって、コストダウンを実現することができる。
【0066】
また、この他に、上述したように、本実施形態においては、カラーフィルタ401の誘電多層膜DFにおいて透過されずに反射された光が、バックライト300によって、再度、対向基板221の側へ拡散反射されるために、画像の輝度が向上される。具体的には、吸収フィルタをカラーフィルタ層として使用した場合と比較して、輝度が2倍程度になることが確認できた。このため、本実施形態は、画像品質を向上させることができる。
【0067】
<実施形態2>
図6は、本発明にかかる実施形態2において、対向基板221の要部を拡大して示す断面図である。
【0068】
図6に示すように、本実施形態のカラーフィルタ401は、実施形態1と同様に、誘電多層膜DFによる干渉フィルタであるが、その誘電多層膜DFを構成する誘電体層が、実施形態1と異なる。この点を除き、本実施形態は、実施形態1と同様である。このため、重複する箇所については、説明を省略する。
【0069】
本実施形態のカラーフィルタ401においては、図6に示すように、第1カラーフィルタ層411Rと第2カラーフィルタ層411Gと第3カラーフィルタ層411Bとが誘電多層膜DFによって形成されている。具体的には、カラーフィルタ401において、バックライト300から白色CWの光として入射された入射光を、第1の色彩CRである赤色に着色する領域CFRには、第1カラーフィルタ層411Rが形成されており、第2の色彩CGである緑色に着色する領域CFGには、第2カラーフィルタ層411Gが形成されており、第3の色彩CBである青色に着色する領域CFGには、第3カラーフィルタ層411Bが形成されている。
【0070】
そして、この誘電多層膜DFを構成する複数の誘電体層DF1〜DF9においては、一の誘電体層DF5の膜厚が、第1カラーフィルタ層411Rと第2カラーフィルタ層411Gと第3カラーフィルタ層411Bとのそれぞれに対応する領域において異なるように形成されており、他の誘電多層膜DF1〜DF4,DF6〜DF9については、その膜厚が、第1カラーフィルタ層411Rと第2カラーフィルタ層411Gと第3カラーフィルタ層411Bとのそれぞれに対応する領域において同じになるように形成されている。つまり、本実施形態においては、積層されている複数の誘電体層DF1〜DF9にて、中間に位置する第5誘電体層DF5のみについて、その膜厚が、第1カラーフィルタ層411Rと第2カラーフィルタ層411Gと第3カラーフィルタ層411Bとのそれぞれに対応する領域において異なるように形成されている。
【0071】
(製造方法)
以下より、上記のカラーフィルタ401を対向基板221に形成する製造方法について説明する。
【0072】
図7,図8は、本発明にかかる実施形態2において、カラーフィルタ401を形成する製造方法の要部にて形成された対向基板221の断面図である。
【0073】
まず、図7(a)に示すように、第1から第5の誘電体層DF1〜DF5を積層する。
【0074】
ここでは、対向基板221において、第1カラーフィルタ層411Rと第2カラーフィルタ層411Gと第3カラーフィルタ層411Bとを形成するカラーフィルタ層形成領域CFFを被覆するように、この第1誘電体層DF1,第2誘電体層DF2,第3誘電体層DF3,第4誘電体層DF4を順次積層する。本実施形態においては、弾性剛性が高い無機系光学積層膜を形成する。
【0075】
その後、第1カラーフィルタ層411Rと第2カラーフィルタ層411Gと第3カラーフィルタ層411Bとを形成するカラーフィルタ層形成領域CFFを被覆するように、この第5誘電体層DF5を積層する。本実施形態においては、流動性がある光学膜を形成する。
【0076】
具体的には、以下の表3に示すように、屈折率が1.5であって、厚さが0.5mm程度のガラス基板を対向基板221とし、そのガラス基板上に、第1誘電体層DF1,第2誘電体層DF2,第3誘電体層DF3,第4誘電体層DF4,第5誘電体層DF5を、そのガラス基板の側から、順次、積層する。すなわち、表3に示すように、TiO層,SiO層,TiO層,SiO層,TiO層の順になるように、5層の誘電体層DF1〜DF5を積層する。
【0077】
【表3】

【0078】
つぎに、図7(b),(c)に示すように、モールドMを用いてインプリントを実施する。
【0079】
ここでは、図7(b)に示すように、上記のようにして対向基板221のカラーフィルタ層形成領域CFFにおいて形成された各誘電体層DF1〜5と、モールドMにおいてモールドパターンMPが形成された面とを対面させる。その後、そのモールドMを対向基板221の側へ押圧し、モールドMに形成されているモールドパターンMPを、第5の誘電体層DF5に転写する。すなわち、図7(c)に示すように、モールドMのモールドパターンMPを第5の誘電体層DF5にインプリントする。
【0080】
具体的には、第1カラーフィルタ層411Rと第2カラーフィルタ層411Gと第3カラーフィルタ層411Bとのそれぞれにおける第5の誘電体層DF5が下記の表4に示す厚さになるように、上記のインプリントを実行する。
【0081】
ここでは、表2の最下段に示すように、第1カラーフィルタ層411Rと第2カラーフィルタ層411Gと第3カラーフィルタ層411Bとのそれぞれを形成する部分において、第1カラーフィルタ層411Rに対応する部分を基準として、第2カラーフィルタ層411Gに対応する部分(図7(b)中のDG)が80nmの段差であって、第3カラーフィルタ層411Bに対応する部分(図7(b)中のDB)が40nmの段差になるように形成されたモールドMを用いる。そして、このモールドMを用いて、以下の条件にて、インプリントを実施した。
【0082】
【表4】

【0083】
インプリント条件:150℃,2MPa圧
【0084】
つぎに、図8(d)に示すように、第6から第9の誘電体層DF6〜DF9を積層する。
【0085】
ここでは、対向基板221において、第1カラーフィルタ層411Rと第2カラーフィルタ層411Gと第3カラーフィルタ層411Bとを形成するカラーフィルタ層形成領域CFFを被覆するように、この第6誘電体層DF6,第7誘電体層DF7,第8誘電体層DF8,第9誘電体層DF9を積層する。
【0086】
具体的には、以下の表5に示すように、第6誘電体層DF6,第7誘電体層DF7,第8誘電体層DF8,第9誘電体層DF9を、その対向基板221の側から、順次、積層する。すなわち、表5に示すように、SiO層,TiO層,SiO層,TiO層の順になるように、4層の誘電体層DF6〜DF9を、さらに積層する。このようにして、誘電多層膜DFの形成を完了させる。
【0087】
【表5】

【0088】
つぎに、図8(e)に示すように、平坦化膜HTを積層する。
【0089】
ここでは、誘電多層膜DFを被覆し、その表面を平坦化させるように、平坦化膜HTを形成する。たとえば、屈折率が1.5の材料を用いて、ほぼ2μmの厚さになるように設けた。
【0090】
図9は、本発明にかかる実施形態2において形成したカラーフィルタ401の分光透過率を示す図である。図9において、横軸は、光の波長λ(nm)であり、縦軸は、光の透過率T(%)である。また、この図9において、LRは、第1カラーフィルタ層411Rを透過した光の測定結果であり、LGは、第2カラーフィルタ層411Gを透過した光の測定結果であり、LBは、第3カラーフィルタ層411Bを透過した光の測定結果である。
【0091】
図9にてLRとして示すように、第1カラーフィルタ層411Rにおいては、赤色に対応する波長帯域において光透過率が高くなるように形成されているため、光が赤色に着色されて透過される。また、図9にてLGとして示すように、第2カラーフィルタ層411Gにおいては、緑色に対応する波長帯域において光透過率が高くなるように形成されているため、光が緑色に着色されて透過される。そして、図9にてLBとして示すように、第3カラーフィルタ層411Bにおいては、青色に対応する波長帯域において光透過率が高くなるように形成されているため、光が青色に着色されて透過される。
【0092】
以上のように、本実施形態は、実施形態1と同様に、誘電多層膜DFを構成している誘電体層DF1〜9が積層されている層構成を、入射光を着色する各色彩に応じて変えずに、その誘電多層膜DFの層厚のみを各色に応じて変えることで、複数のカラーフィルタ層を形成しているため、複雑な製造プロセスを必要としない。このため、本実施形態は、製造効率を向上させることが容易に可能であって、コストダウンを実現することができる。
【0093】
また、本実施形態は、実施形態1と同様に、カラーフィルタ401の誘電多層膜DFにおいて透過されずに反射された光を再利用できるため、画像品質を向上させることができる。
【0094】
さらに、本実施形態においては、実施形態1と異なり、誘電多層膜DFを構成する複数の誘電体層DF1〜DF9において、一の誘電体層DF5の膜厚を、第1カラーフィルタ層411Rと第2カラーフィルタ層411Gと第3カラーフィルタ層411Bとのそれぞれに対応する領域において異なるように形成している。このため、本実施形態によれば、モールドMによって、膜厚を変形させる誘電体層が1層で済むため、容易に制御をすることができる。また、不要な光を反射する効率も向上するため、光の利用効率が向上する。
【0095】
<実施形態3>
図10は、本発明にかかる実施形態3において、対向基板221の要部を拡大して示す断面図である。
【0096】
図10に示すように、本実施形態のカラーフィルタ401においては、第1カラーフィルタ層411Rと第2カラーフィルタ層411Gと第3カラーフィルタ層411Bと他に、ブラックマトリクス層411Kが形成されている。この点を除き、本実施形態は、実施形態2と同様である。このため、重複する箇所については、説明を省略する。
【0097】
ブラックマトリクス層411Kは、対向基板221のカラーフィルタ401において、第1カラーフィルタ層411Rと第2カラーフィルタ層411Gと第3カラーフィルタ層411Bとのそれぞれの周囲を囲うように形成されており、バックライト300から白色CWの光として入射された入射光を遮光する。つまり、図10に示すように、ブラックマトリクス層411Kは、バックライト300から白色CWの光として入射された入射光を、黒色の色彩CKに着色する。
【0098】
本実施形態においては、このブラックマトリクス層411Kは、第1カラーフィルタ層411Rと第2カラーフィルタ層411Gと第3カラーフィルタ層411Bとの場合と同様に、誘電多層膜DFによる干渉フィルタであり、白色CWの光である入射光が透過しないように形成されている。具体的には、カラーフィルタ401において、バックライト300から白色CWの光として入射された入射光を遮光する領域CFKに対応するように、ブラックマトリクス層411Kが形成されている。
【0099】
ここでは、ブラックマトリクス層411Kは、図10に示すように、その誘電多層膜DFの層構成が第1カラーフィルタ層411Rと第2カラーフィルタ層411Gと第3カラーフィルタ層411Bとのそれぞれにおける誘電多層膜DFと同じ層構成になるように層が積層されている。しかしながら、この誘電多層膜DFを構成する複数の誘電体層DF1〜DF9において、一の誘電体層DF5については、その膜厚が、第1カラーフィルタ層411Rと第2カラーフィルタ層411Gと第3カラーフィルタ層411Bとブラックマトリクス層411Kとのそれぞれに対応する領域において異なるように形成されており、他の誘電多層膜DF1〜DF4,DF6〜DF9については、その膜厚が、第1カラーフィルタ層411Rと第2カラーフィルタ層411Gと第3カラーフィルタ層411Bとブラックマトリクス層411Kとのそれぞれに対応する領域において同じになるように形成されている。
【0100】
上記のブラックマトリクス層411Kを含むカラーフィルタ401については、実施形態2と同様に、モールドMを第5誘電体層DF5に押圧することによって形成することができる。
【0101】
具体的には、第5誘電体層DF5が、下記の表6に示す厚さになるようにモールドパターンMPが形成されたモールドMを用いてインプリントを実行することによって、このブラックマトリクス層411Kを形成する。つまり、表6に示すように、第1カラーフィルタ層411Rに対応する部分を基準として、ブラックマトリクス層411Kに対応する部分が23nmの段差になるように形成されたモールドMを用いて、第5誘電体層DF5の層厚が53nmになるようにインプリントを実施した。
【0102】
【表6】

【0103】
以上のように、本実施形態においては、入射光を着色するカラーフィルタとして機能する対向基板221の誘電多層膜DFには、入射光を遮光するブラックマトリクス層411Kとして、さらに、形成されている。ここでは、第1カラーフィルタ層411Rと第2カラーフィルタ層411Gと第3カラーフィルタ層411Bとのそれぞれにおいて形成されている誘電多層膜DFと、ブラックマトリクス層411Kにおいて形成されている誘電多層膜DFとは、互いに同じ層構成になるように層が積層されていると共に、層厚が互いに異なるように形成されている。また、誘電多層膜DFは、第1カラーフィルタ層411Rと第2カラーフィルタ層411Gと第3カラーフィルタ層411Bとブラックマトリクス層411Kとのそれぞれの端部において、誘電多層膜DFを構成する各層が連続的に連なるように形成されている。このように、本実施形態は、各カラーフィルタ層411R,411G,411Bとブラックマトリクス層411Kとを、層構成を変えずに層厚のみを変えることで形成するため、複雑な製造プロセスにて製造されない。このため、本実施形態は、さらに、製造効率を向上させることが容易に可能であって、コストダウンを実現することができる。
【0104】
また、本実施形態においては、上述したように、ブラックマトリクス層411Kにおいて反射された光が、バックライト300によって、再度、対向基板221の側へ拡散反射されるために、画像の輝度が向上されるので、画像品質を向上させることができる。
【0105】
なお、上記の本実施形態において、液晶表示装置100は、本発明の表示装置に相当する。また、上記の実施形態において、バックライト300は、本発明の光源に相当する。また、上記の実施形態において、対向基板221は、本発明の基板に相当する。また、上記の実施形態において、液晶層231は、本発明の液晶層に相当する。また、上記の実施形態において、カラーフィルタ401は、本発明のカラーフィルタに相当する。また、上記の実施形態において、第1カラーフィルタ層411Rは、本発明の第1カラーフィルタ層に相当する。また、上記の実施形態において、第2カラーフィルタ層411Gは、本発明の第2カラーフィルタ層に相当する。また、上記の実施形態において、第3カラーフィルタ層411Bは、本発明の第3カラーフィルタ層に相当する。また、上記の実施形態において、ブラックマトリクス層411Kは、本発明のブラックマトリクス層に相当する。
【0106】
また、本発明の実施に際しては、上記した実施形態に限定されるものではなく、種々の変形形態を採用することができる。
【0107】
たとえば、本実施形態においては、液晶パネル200を構成する一対の基板211,221においてバックライト300から離れた側に位置する対向基板221に、カラーフィルタ401を形成する場合について説明したが、これに限定されない。たとえば、対向基板221よりもバックライト300に近い側に位置するアレイ基板211にカラーフィルタ401を形成してもよい。具体的には、アレイ基板211と液晶層231との間において介在するように、カラーフィルタ401を形成しても良い。また、この他に、液晶パネル200を構成するアレイ基板211および対向基板221以外の基板にカラーフィルタ401を設け、そのカラーフィルタ401が形成された基板を、液晶パネル200とバックライト300との間に配置するように構成しても良い。このようにすることによって、干渉フィルタとして形成されたカラーフィルタ401が反射した光がバックライト300の側に照射され、その光をバックライト300が、再度、拡散反射するため、表示画像の輝度が高くなり、画像品質を向上できる。
【0108】
また、本実施形態においては、透過型の液晶パネル200に適用する場合について説明したが、これに限定されない。反射型または透過型の液晶パネルに適用してもよい。この場合には、干渉フィルタのカラーフィルタ401が透過せずに反射した反射光が、液晶パネルにおいて形成された光反射部に照射されるように構成し、その反射光を画像表示に利用することによって、表示画像の輝度が高くなり、画像品質を向上できる。
【0109】
また、本実施形態においては、液晶表示装置100に適用する場合について説明したが、これに限定されない。たとえば、有機EL装置などの他の表示装置に適用してもよい。また、この他に、イメージセンサなどの光学機器に適用してもよい。
【0110】
また、本実施形態においては、赤緑青の3原色に対応するようにカラーフィルタ401を形成する場合について説明したが、これに限定されない。たとえば、補色など他の色に対応するように、カラーフィルタを形成する場合について適用しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0111】
【図1】図1は、本発明にかかる実施形態1において、液晶表示装置100の要部を示す断面図である。
【図2】図2は、本発明にかかる実施形態1において、液晶表示装置100における液晶パネル200を示す平面図である。
【図3】図3は、本発明にかかる実施形態1において、対向基板221の要部を拡大して示す断面図である。
【図4】図4は、本発明にかかる実施形態1において、カラーフィルタ401を形成する製造方法にて形成された対向基板221の要部を拡大して示す断面図である。
【図5】図5は、本発明にかかる実施形態1において形成したカラーフィルタ401の分光透過率を示す図である。
【図6】図6は、本発明にかかる実施形態2において、対向基板221の要部を拡大して示す断面図である。
【図7】図7は、本発明にかかる実施形態2において、カラーフィルタ401を形成する製造方法の要部にて形成された対向基板221の断面図である。
【図8】図8は、本発明にかかる実施形態2において、カラーフィルタ401を形成する製造方法の要部にて形成された対向基板221の断面図である。
【図9】図9は、本発明にかかる実施形態2において形成したカラーフィルタ401の分光透過率を示す図である。
【図10】図10は、本発明にかかる実施形態3において、対向基板221の要部を拡大して示す断面図である。
【符号の説明】
【0112】
100:液晶表示装置(表示装置)、200:液晶パネル、300:バックライト(光源)、211:アレイ基板、221:対向基板(基板)、231:液晶層(液晶層)、401:カラーフィルタ(カラーフィルタ)、411R:第1カラーフィルタ層(第1カラーフィルタ層)、411G:第2カラーフィルタ層(第2カラーフィルタ層)、411B:第3カラーフィルタ層(第3カラーフィルタ層)、411K:ブラックマトリクス層(ブラックマトリクス層)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入射光を着色するカラーフィルタであって、
前記入射光が入射される基板と、
前記基板に形成されており、前記入射光を第1の色彩に着色する第1カラーフィルタ層と、
前記第1カラーフィルタ層に並ぶように前記基板に形成されており、前記入射光を前記第1の色彩と異なる第2の色彩に着色する第2カラーフィルタ層と
を有し、
前記第1カラーフィルタ層と前記第2カラーフィルタ層とのそれぞれは、誘電多層膜による干渉フィルタであり、互いに同じになるように層が積層された層構成であって、互いに層厚が異なるように形成されている
カラーフィルタ。
【請求項2】
前記第1カラーフィルタ層と前記第2カラーフィルタ層とのそれぞれは、端部において前記誘電多層膜の層が連続的に連なるように形成されている、
請求項1に記載のカラーフィルタ。
【請求項3】
前記基板において前記第1カラーフィルタ層と前記第2カラーフィルタ層とに並ぶように形成されており、前記入射光を前記第1の色彩と前記第2の色彩とのそれぞれと異なる第3の色彩に着色する第3カラーフィルタ層
を有し、
前記第3カラーフィルタ層は、誘電多層膜による干渉フィルタであり、前記第1カラーフィルタ層と前記第2カラーフィルタ層とのそれぞれと同じになるように層が積層された層構成であって、前記第1カラーフィルタ層と前記第2カラーフィルタ層とのそれぞれに対して層厚が異なると共に、前記第1カラーフィルタ層と前記第2カラーフィルタ層とのそれぞれの端部において当該誘電多層膜の層が連続的に連なるように形成されている、
請求項2に記載のカラーフィルタ。
【請求項4】
前記第1カラーフィルタ層は、前記入射光を赤に着色し、
前記第2カラーフィルタ層は、前記入射光を緑に着色し、
前記第3カラーフィルタ層は、前記入射光を青に着色する、
請求項3に記載のカラーフィルタ。
【請求項5】
前記基板において前記第1カラーフィルタ層と前記第2カラーフィルタ層と前記第3カラーフィルタ層とのそれぞれの間に並ぶように形成されており、前記入射光を遮光するブラックマトリクス層
を有し、
前記ブラックマトリクス層は、誘電多層膜による干渉フィルタであり、前記第1カラーフィルタ層と前記第2カラーフィルタ層と前記第3カラーフィルタ層とのそれぞれと同じになるように層が積層された層構成であって、前記第1カラーフィルタ層と前記第2カラーフィルタ層と前記第3カラーフィルタ層とのそれぞれに対して層厚が異なると共に、前記第1カラーフィルタ層と前記第2カラーフィルタ層と前記第3カラーフィルタ層とのそれぞれの端部において当該誘電多層膜の層が連続的に連なるように形成されている、
請求項4に記載のカラーフィルタ。
【請求項6】
入射光を着色するカラーフィルタの製造方法であって、
前記入射光を第1の色彩に着色する第1カラーフィルタ層と、前記入射光を前記第1の色彩と異なる第2の色彩に着色する第2カラーフィルタ層とのそれぞれを、前記入射光が入射される基板に形成するカラーフィルタ層形成工程
を有し、
前記カラーフィルタ層形成工程においては、前記第1カラーフィルタ層と前記第2カラーフィルタ層とのそれぞれを、誘電多層膜による干渉フィルタであって、互いが同じ層構成であり、互いに層厚が異なるように形成する、
カラーフィルタの製造方法。
【請求項7】
前記カラーフィルタ層形成工程は、
前記基板において前記第1カラーフィルタ層と前記第2カラーフィルタ層とを形成するカラーフィルタ層形成領域を被覆するように誘電多層膜を形成する誘電多層膜形成工程と、
モールドパターンが形成されたモールドを、前記誘電多層膜形成工程において形成された前記誘電多層膜に押圧し、当該モールドのモールドパターンを当該誘電多層膜にインプリントすることによって、当該誘電多層膜の層厚を、前記第1カラーフィルタ層と前記第2カラーフィルタ層とのそれぞれに対応するように変更するインプリント工程と
を有する、
請求項6に記載のカラーフィルタの製造方法。
【請求項8】
入射光を着色するカラーフィルタを含み、当該カラーフィルタが前記入射光を着色した着色光を用いて画像を表示する表示装置であって、
前記カラーフィルタは、
前記入射光が入射される基板と、
前記基板に形成されており、前記入射光を第1の色彩に着色する第1カラーフィルタ層と、
前記第1カラーフィルタ層に並ぶように前記基板に形成されており、前記入射光を前記第1の色彩と異なる第2の色彩に着色する第2カラーフィルタ層と
を有し、
前記第1カラーフィルタ層と前記第2カラーフィルタ層とのそれぞれは、誘電多層膜による干渉フィルタであり、互いに同じになるように層が積層された層構成であって、互いに層厚が異なるように形成されている
表示装置。
【請求項9】
前記入射光を照射する光源と、
前記光源が照射した入射光を変調する液晶層と
を有し、
前記カラーフィルタは、前記液晶層と前記光源との間に介在するように設置されており、前記光源が前記液晶層へ照射する入射光を、前記第1カラーフィルタ層と前記第2カラーフィルタ層とのそれぞれが着色する、
請求項8に記載の表示装置。
【請求項10】
入射光を着色するカラーフィルタを含み、当該カラーフィルタが前記入射光を着色した着色光を用いて画像を表示する表示装置の製造方法であって、
前記カラーフィルタを形成するカラーフィルタ形成工程は、
前記入射光を第1の色彩に着色する第1カラーフィルタ層と、前記入射光を前記第1の色彩と異なる第2の色彩に着色する第2カラーフィルタ層とのそれぞれを、前記入射光が入射される基板に形成するカラーフィルタ層形成工程
を有し、
前記カラーフィルタ層形成工程においては、前記第1カラーフィルタ層と前記第2カラーフィルタ層とのそれぞれを、誘電多層膜による干渉フィルタであって、互いが同じ層構成であり、互いに層厚が異なるように形成する、
表示装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−304696(P2008−304696A)
【公開日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−151625(P2007−151625)
【出願日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】