説明

カラーフィルター用インク、カラーフィルター、画像表示装置、および、電子機器

【課題】コントラスト比、明度に優れ、耐久性にも優れたカラーフィルターの製造に好適
に用いることができる、インクジェット方式のカラーフィルター用インクを提供すること
、コントラスト比、明度に優れた画像を表示することができ、かつ、耐久性にも優れたカ
ラーフィルターを提供すること、また、該カラーフィルターを備えた画像表示装置、電子
機器を提供すること。
【解決手段】本発明のカラーフィルター用インクは、インクジェット方式によるカラーフ
ィルターの製造に用いられるカラーフィルター用インクであって、着色剤と、液性媒体と
、下記式(1)で表される化合物Sと、下記式(2)で表される単量体成分m1を含む重
合体Mとを含むことを特徴とする。
【化1】


【化2】

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カラーフィルター用インク、カラーフィルター、画像表示装置、および、電
子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
カラー表示を行う液晶表示装置(LCD)等には、一般に、カラーフィルターが用いら
れている。
カラーフィルターは、従来、着色剤、感光性樹脂、官能性モノマー、重合開始剤等を含
む材料(着色層形成用組成物)で構成された塗膜を基板上に形成し、その後、フォトマス
クを介して光を照射する感光処理、現像処理等を行う、いわゆるフォトリソグラフィー法
を用いて製造されてきた。このような方法では、通常、基板のほぼ全面に、各色に対応す
る塗膜を形成し、その一部のみを硬化させ、それ以外の大部分を除去するという操作を繰
り返すことにより、各色が重なり合わないようにカラーフィルターを製造する。このため
、カラーフィルターの製造において形成される塗膜は、最終的に得られるカラーフィルタ
ーには、その一部のみが着色層として残存するのみで、その大部分が製造工程において除
去されることとなる。このため、カラーフィルターの製造コストが上昇するばかりでなく
、省資源の観点からも好ましくない。
【0003】
一方、近年、インクジェットヘッド(液滴吐出ヘッド)を用いて、カラーフィルターの
着色層を形成する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。このような方法は
、着色層形成用の材料(着色層形成用組成物)の液滴の吐出位置等の制御が容易で、着色
層形成用組成物の無駄を少なくすることができるため、環境への負荷を低減することがで
き、また、製造コストも抑制することができる。
【0004】
しかしながら、インクジェットヘッドを用いたカラーフィルターの製造方法(インクジ
ェット法)では、形成される着色層が平坦になりにくく、この結果、カラーフィルターの
コントラスト比、明度が十分に高くならない問題があった。また、一般に、インクジェッ
ト法を用いて製造されるカラーフィルターは、製造時において、加熱処理によりインクを
固化し、製造後には、溶剤等で洗浄される。このため、インクジェット法を用いて製造さ
れるカラーフィルターには、耐熱性、耐溶剤性等の耐久性が要求される。
【0005】
【特許文献1】特開2004−2815号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、コントラスト比、明度に優れ、耐久性にも優れたカラーフィルターの
製造に好適に用いることができる、インクジェット方式のカラーフィルター用インクを提
供すること、コントラスト比、明度に優れた画像を表示することができ、かつ、耐久性に
も優れたカラーフィルターを提供すること、また、該カラーフィルターを備えた画像表示
装置、電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このような目的は、下記の本発明により達成される。
本発明のカラーフィルター用インクは、インクジェット方式によるカラーフィルターの
製造に用いられるカラーフィルター用インクであって、
着色剤と、
前記着色剤が溶解および/または分散する液性媒体と、
下記式(1)で表される化合物Sと、
下記式(2)で表される単量体成分m1を含む重合体Mとを含むことを特徴とする。
【化1】

【化2】

これにより、コントラスト比、明度に優れ、耐久性にも優れたカラーフィルターの製造
に好適に用いることができる、インクジェット方式のカラーフィルター用インクを提供す
ることができる。
【0008】
本発明のカラーフィルター用インクでは、前記R1および前記R2は、ともに、直鎖状
のアルキル基であることが好ましい。
これにより、カラーフィルターの耐溶剤性をより優れたものとすることができる。
本発明のカラーフィルター用インクでは、前記重合体Mは、さらに、下記式(3)で表
される単量体成分m2を含むことが好ましい。
【化3】

これにより、形成される着色部の耐薬品性、耐溶剤性、耐熱性等をより優れたものとす
ることができる。
【0009】
本発明のカラーフィルター用インクでは、前記重合体Mは、さらに、下記式(4)で表
される単量体成分m3を含むことが好ましい。
【化4】

これにより、着色部の形成時、基板上に付与されたカラーフィルター用インクから液性
媒体を除去する際に、固形分濃度の上昇に伴ってカラーフィルター用インクのチキソトロ
ピック性および粘度が上昇し、形成される着色部の表面に不本意な凹凸が生じることを抑
制することができる。
【0010】
本発明のカラーフィルター用インクでは、前記重合体Mの重量平均分子量が1000〜
50000であることが好ましい。
これにより、着色部形成時においてカラーフィルター用インクの流動性が不本意に低下
することを防止しつつ、形成される着色部の耐熱性、耐薬品性を十分に高いものとするこ
とができる。
【0011】
本発明のカラーフィルター用インクでは、カラーフィルター用インク中における前記重
合体Mの含有率をC[wt%]、カラーフィルター用インク中における前記化合物Sの
含有率をC[wt%]としたとき、1.0≦C/C≦5.0の関係を満足すること
が好ましい。
これにより、形成される着色部は、凹凸が特に少なくなり、明度およびコントラスト比
に特に優れ、かつ、耐溶剤性、耐熱性に特に優れたものとなる。
【0012】
本発明のカラーフィルター用インクでは、下記式(5)で表される単量体成分n1を含
んで構成された重合体Nを含むことが好ましい。
【化5】

これにより、カラーフィルター用インクの粘度を低いものとすることができ、着色部形
成時においても、カラーフィルター用インクの粘度を比較的低いものとすることができる
。このため、カラーフィルター用インクを用いて形成される着色部の表面に不本意な凹凸
が生じてしまうのをより効果的に防止することができる。また、着色剤が均一に分散した
状態で着色部が形成されるため、形成される着色部は、コントラスト比に特に優れたもの
となる。
【0013】
本発明のカラーフィルター用インクでは、前記重合体Nは、さらに、下記式(6)で表
される単量体成分n2を含んで構成されることが好ましい。
【化6】

これにより、基板との密着性に優れた着色部を好適に形成することができ、カラーフィ
ルターは耐熱性等の耐久性に特に優れたものとなる。
【0014】
本発明のカラーフィルター用インクでは、前記液性媒体として、1,3−ブチレングリ
コールジアセテート、ビス(2−ブトキシエチル)エーテル、2−(2−メトキシ−1−
メチルエトキシ)−1−メチルエチルアセテートおよびジエチレングリコールモノブチル
エーテルアセテートよりなる群から選択される1種または2種以上を含むことが好ましい

これにより、着色部形成時において、カラーフィルター用インク中に残存している液性
媒体が少量であっても、重合体Mおよび化合物Sは好適に液性媒体に溶解し、カラーフィ
ルター用インクは流動性を維持することができる。このため、カラーフィルター用インク
の粘度を低いものとすることができ、また、着色部形成時においても、カラーフィルター
用インクの粘度の上昇を防止することができる
【0015】
本発明のカラーフィルター用インクでは、前記液性媒体は、さらに、ジエチレングリコ
ールモノノルマルブチルエーテル、トリエチレングリコールモノノルマルブチルエーテル
および3−エトキシプロピオン酸エチルよりなる群から選択される1種または2種以上を
含むことが好ましい。
これにより、カラーフィルター用インクの対流が防止されつつ、カラーフィルター用イ
ンクの高い流動性が維持され、形成される着色部は、凹凸が少ないものとなる。
【0016】
本発明のカラーフィルターは、本発明のカラーフィルター用インクを用いて製造された
ことを特徴とする。
これにより、コントラスト比、明度に優れた画像を表示することができ、かつ、耐久性
にも優れたカラーフィルターを提供することができる。
本発明の画像表示装置は、本発明に記載のカラーフィルターを備えたことを特徴とする

これにより、表示部がコントラスト比、明度に優れた画像を表示することができ、かつ
、耐久性にも優れた画像表示装置を提供することができる。
【0017】
本発明の画像表示装置は、液晶パネルであることが好ましい。
これにより、表示部がコントラスト比、明度に優れた画像を表示することができ、かつ
、耐久性にも優れた画像表示装置を提供することができる。
本発明の電子機器は、本発明の画像表示装置を備えたことを特徴とする。
これにより、表示部がコントラスト比、明度に優れた画像を表示することができ、かつ
、耐久性にも優れた電子機器を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
《カラーフィルター用インク》
本発明のカラーフィルター用インクは、カラーフィルターの製造(カラーフィルターの
着色部の形成)に用いられるインクであり、特に、インクジェット方式によるカラーフィ
ルターの製造に用いられるものである。
カラーフィルター用インクは、着色剤、樹脂材料、前記着色剤が溶解および/または分
散する液性媒体等を含むものである。
【0019】
<着色剤>
カラーフィルターは、通常、異なる複数色の着色部(一般に、RGBに対応する3色の
着色部)を有している。着色剤は、通常、形成すべき着色部の色調に応じて選択される。
カラーフィルター用インクを構成する着色剤としては、例えば、各種顔料、各種染料を用
いることができる。
【0020】
顔料としては、例えば、C.I.ピグメントレッド1,2,3,4,5,6,7,8,
9,10,11,12,14,15,16,17,18,19,21,22,23,30
,31,32,37,38,40,41,42,48:1,48:2,48:3,48:
4,49:1,49:2,50:1,52:1,53:1,57,57:1,57:2,
58:2,58:4,60:1,63:1,63:2,64:1,81,81:1,83
,88,90:1,97,101,102,104,105,106,108,108:
1,112,113,114,122,123,144,146,149,150,15
1,166,168,170,171,172,174,175,176,177,17
8,179,180,185,187,188,190,193,194,202,20
6,207,208,209,215,216,220,224,226,242,24
3,245,254,255,264,265;C.I.ピグメントグリーン7,36,
15,17,18,19,26,50,58;C.I.ピグメントブルー1,15,15
:1,15:2,15:3,15:4,15:6,17:1,18,60,27,28,
29,35,36,60,80;C.I.ピグメントイエロー1,3,12,13,14
,15,16,17,20,24,31,34,35,35:1,37,37:1,42
,43,53,55,60,61,65,71,73,74,81,83,93,94,
95,97,98,100,101,104,106,108,109,110,113
,114,116,117,119,120,126,127,128,129,138
,139,150,151,152,153,154,155,156,157,166
,168,175,180,184,185;C.I.ピグメントバイオレット1,3,
14,16,19,23,29,32,36,38,50;C.I.ピグメントオレンジ
1,5,13,14,16,17,20,20:1,24,34,36,38,40,4
3,46,49,51,61,63,64,71,73,104;C.I.ピグメントブ
ラウン7,11,23,25,33;C.I.ピグメントブラック1,7や、これらの誘
導体等が挙げられる。
【0021】
カラーフィルター用インクが、着色剤として顔料を含むものであると、形成されるカラ
ーフィルター(着色部)の耐光性、耐熱性を向上させる上で有利である。
カラーフィルター用インクは、上記の着色剤の中でも、C.I.ピグメントレッド25
4、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントグリーン58、C.I.ピグ
メントブルー15:6、C.I.ピグメントバイオレット23、C.I.ピグメントイエ
ロー150およびこれらの誘導体よりなる群から選択される1種または2種以上を含むも
のであるのが好ましい。これにより、製造されるカラーフィルターの色再現範囲、耐光性
を特に優れたものとすることができる。
【0022】
特に、カラーフィルター用インクが、顔料(赤色顔料)として、C.I.ピグメントレ
ッド177とその誘導体、および/または、C.I.ピグメントレッド254とその誘導
体を含むものであると、当該カラーフィルター用インク(赤色のカラーフィルター用イン
ク)の発色性を特に優れたものとすることができる。また、カラーフィルター用インク中
における顔料粒子の分散安定性を優れたものとすることができる。この結果、着色部形成
時におけるカラーフィルター用インクの流動性を長期にわたって維持できるとともに、セ
ルへのインク付与時においては、カラーフィルター用インクの吐出安定性を特に優れたも
のとすることができる。
C.I.ピグメントレッド177の誘導体、C.I.ピグメントレッド254の誘導体
として、下記式(7)または下記式(8)で示される化合物(誘導体)を含有するもので
ある場合、上述したような効果がさらに顕著に発揮される。
【0023】
【化7】

【0024】
【化8】

【0025】
また、特に、カラーフィルター用インクが、顔料(緑色顔料)として、C.I.ピグメ
ントグリーン58(臭素化亜鉛フタロシアニン顔料)を含むものであると、当該カラーフ
ィルター用インク(緑色のカラーフィルター用インク)の発色性を特に優れたものとする
ことができる。また、C.I.ピグメントグリーン58は、明度に優れるという特徴を有
しているものの、従来においては、安定的に分散させるのが極めて困難な材料であった。
【0026】
しかしながら、C.I.ピグメントグリーン58を含む場合であっても、後に詳述する
樹脂材料(化合物Sおよび重合体M)とともに用いることにより、カラーフィルター用イ
ンク中における分散安定性を優れたものとすることができる。また、カラーフィルター用
インクの発色性をさらに優れたものとすることができるとともに、着色部形成時において
、顔料が高濃度化することによるカラーフィルター用インクの流動性の低下を抑制するこ
とができる。また、カラーフィルター用インク中における顔料の長期分散安定性(カラー
フィルター用インクの保存性)、カラーフィルター用インクの吐出安定性を特に優れたも
のとすることができる。
【0027】
また、本発明者は、C.I.ピグメントグリーン58を含む場合であっても、スルホン
化された顔料誘導体を副顔料として同時に含むことにより、カラーフィルター用インク中
における分散安定性をさらに優れたものとすることができることを見出した。これにより
、カラーフィルター用インクの発色性をさらに優れたものとすることができるとともに、
着色部形成時において、顔料が高濃度化することによるカラーフィルター用インクの流動
性の低下をさらに効果的に抑制することができる。また、カラーフィルター用インク中に
おける顔料の長期分散安定性(カラーフィルター用インクの保存性)、カラーフィルター
用インクの吐出安定性をさらに優れたものとすることができる。
【0028】
顔料として、C.I.ピグメントグリーン58とスルホン化された顔料誘導体とを含む
場合、スルホン化された顔料誘導体として、下記式(9)で示される化合物(誘導体)を
含有するのが好ましい。これにより、カラーフィルター用インク中における顔料粒子の分
散安定性を特に優れたものとすることができるとともに、製造されるカラーフィルターに
おいて、より優れたコントラストの画像を表示することができる。
【0029】
【化9】

【0030】
C.I.ピグメントグリーン58と上記のような顔料誘導体(スルホン化顔料誘導体)
とを含む場合、カラーフィルター用インク中における顔料誘導体(スルホン化顔料誘導体
)の含有率は、特に限定されないが、C.I.ピグメントグリーン58(主顔料):10
0重量部に対して、2〜32重量部であるのが好ましく、7〜28重量部であるのがより
好ましい。これにより、カラーフィルター用インク中における顔料粒子の分散安定性を優
れたものとすることができる。また、製造されるカラーフィルターのコントラスト比、明
度を特に優れたものとすることができる。
【0031】
また、特に、カラーフィルター用インクが、顔料(青色顔料)として、C.I.ピグメ
ントブルー15:6およびC.I.ピグメントバイオレット23を含むものであると、当
該カラーフィルター用インク(青色のカラーフィルター用インク)の発色性を特に優れた
ものとすることができる。また、カラーフィルター用インク中における顔料粒子の分散安
定性を特に優れたものとすることができる。
【0032】
カラーフィルター用インクが着色剤として顔料を含むもの(顔料インク)である場合、
顔料の平均粒径は、10〜200nmであるのが好ましく、20〜180nmであるのが
より好ましい。これにより、カラーフィルター用インク中における顔料の分散安定性や、
カラーフィルターインクの吐出安定性を十分に優れたものとしつつ、カラーフィルター用
インクを用いて製造されるカラーフィルターの耐久性(耐光性等)を十分に優れたものと
し、カラーフィルターにおける発色性、コントラスト等を特に優れたものとすることがで
きる。
【0033】
また、染料としては、例えば、アゾ染料、アントラキノン染料、縮合多環芳香族カルボ
ニル染料、インジゴイド染料、カルボニウム染料、フタロシアニン染料、メチン,ポリメ
チン染料等が挙げられる。染料の具体例としては、例えば、C.I.ダイレクトレッド2
,4,9,23,26,28,31,39,62,63,72,75,76,79,80
,81,83,84,89,92,95,111,173,184,207,211,2
12,214,218,221,223,224,225,226,227,232,2
33,240,241,242,243,247、C.I.アシッドレッド35,42,
51,52,57,62,80,82,111,114,118,119,127,12
8,131,143,145,151,154,157,158,211,249,25
4,257,261,263,266,289,299,301,305,319,33
6,337,361,396,397、C.I.リアクティブレッド3,13,17,1
9,21,22,23,24,29,35,37,40,41,43,45,49,55
、C.I.ベーシックレッド12,13,14,15,18,22,23,24,25,
27,29,35,36,38,39,45,46、C.I.ダイレクトバイオレット7
,9,47,48,51,66,90,93,94,95,98,100,101、C.
I.アシッドバイオレット5,9,11,34,43,47,48,51,75,90,
103,126、C.I.リアクティブバイオレット1,3,4,5,6,7,8,9,
16,17,22,23,24,26,27,33,34、C.I.ベーシックバイオレ
ット1,2,3,7,10,15,16,20,21,25,27,28,35,37,
39,40,48、C.I.ダイレクトイエロー8,9,11,12,27,28,29
,33,35,39,41,44,50,53,58,59,68,87,93,95,
96,98,100,106,108,109,110,130,142,144,16
1,163、C.I.アシッドイエロー17,19,23,25,39,40,42,4
4,49,50,61,64,76,79,110,127,135,143,151,
159,169,174,190,195,196,197,199,218,219,
222,227、C.I.リアクティブイエロー2,3,13,14,15,17,18
,23,24,25,26,27,29,35,37,41,42、C.I.ベーシック
イエロー1,2,4,11,13,14,15,19,21,23,24,25,28,
29,32,36,39,40、C.I.アシッドグリーン16、C.I.アシッドブル
ー9,45,80,83,90,185、C.I.ベーシックオレンジ21,23等が挙
げられる。
カラーフィルター用インク中における着色剤の含有率は、2〜25wt%であるのが好
ましく、3〜20wt%であるのがより好ましい。着色剤の含有率が前記範囲内の値であ
ると、カラーフィルター用インクを用いて製造されるカラーフィルターにおいて、より高
い色濃度を確保することができ、より鮮明な画像表示に用いることができる。
【0034】
<樹脂材料>
カラーフィルター用インクは、樹脂材料(バインダー樹脂)を含んでいる。樹脂材料は
、形成される着色部において、上述した着色剤のバインダーとして機能するとともに、着
色部の基板に対する密着性を向上させる機能を有する。また、カラーフィルター用インク
中においては、樹脂材料は、樹脂材料そのもの、またはその前駆体(モノマー、オリゴマ
ー、プレポリマー等)として存在している。これらの樹脂材料は、着色部を形成する際に
、熱等のエネルギーが付与されることにより固化または硬化するものである。
【0035】
なお、本明細書において、カラーフィルター用インク中の樹脂材料については、樹脂材
料だけでなく、その前駆体(モノマー、オリゴマー、プレポリマー等)も含む概念である
として説明する。
ところで、一般に、着色部の形成は、セル中に付与したカラーフィルター用インクから
液性媒体を除去し、カラーフィルター用インクを固化させることによって行われる。この
ような場合、セル中のカラーフィルター用インク中における着色剤や樹脂材料等の固形分
濃度が上昇し、液性媒体の除去に伴ってカラーフィルター用インクの粘度が上昇する。特
に、着色剤として顔料を用いた場合、このような粘度の上昇は顕著なものとなる。このよ
うに、粘度が高いものとなることにより、カラーフィルター用インクは、流動性を失い、
固化しやすいものとなる。
【0036】
また、インクを加熱または真空乾燥によって乾燥する際には、セル中において、インク
の外表面から液性媒体が揮発することによりインクが熱対流する現象(ベナードセル現象
)が起こる。また、セル中のインク内で熱分布が生じることにより、インク中の液性媒体
の揮発は、セルの特定の部分から起こりやすい。このため、セル中のカラーフィルター用
インクは、セル内を平面視した際の固形分量が均一になりにくく、凹凸ができやすい。
【0037】
このように、カラーフィルター用インクの粘度が上昇しつつ、セル内におけるインクの
対流、特定の部分からの液性媒体の揮発が起こると、カラーフィルター用インクは、液性
媒体の除去が進む比較的早い段階で、凹凸を有した形状で流動性を失い、固化してしまう
。この結果、従来のインクを用いた場合には、形成される着色部の表面は、凹凸が多いも
のとなっていた。このように、形成される着色部が平坦にならない場合、カラーフィルタ
ーの明度やコントラスト比が高いものとならない問題があった。
これに対し、本発明では、カラーフィルター用インクは、樹脂材料として、下記式(1
)で表される化合物Sと、下記式(2)で表される単量体成分m1を含む重合体Mとを含
む。
【0038】
【化10】

【0039】
【化11】

【0040】
このような化合物Sと重合体Mとは、同一の脂環式エポキシ基を有することにより、化
合物Sと重合体Mとの親和性、相溶性が高い。このため、カラーフィルター用インク中に
おいて重合体Mの分子鎖同士の隙間に化合物Sが入り込み、重合体Mの可塑剤および流動
性向上補助剤として機能する。また、化合物Sは、常温(25℃)において液状であり、
それ自身が流動性の高く、重合体Mや他のカラーフィルター用インクの成分を溶解または
分散させる液性媒体としての機能も有している。このため、カラーフィルター用インクに
、化合物Sと重合体Mとが同時に含まれることにより、カラーフィルター用インクの粘度
は十分に低いものとなる。また、着色部形成時において、カラーフィルター用インクは、
液性媒体の大部分が揮発したのちにも粘度が十分に低いものとなり、カラーフィルター用
インクの流動性が保持される。そして、液性媒体の揮発量が少なくなり、上述したような
カラーフィルター用インクの対流が抑制された時点で、流動性を有するカラーフィルター
用インクがセル内において平坦なものとなり、その形状で硬化する。このため、本発明の
カラーフィルター用インクを用いて形成される着色部は、凹凸が少なく平坦なものとなる
。以上の結果、本発明のカラーフィルター用インクを用いて形成されたカラーフィルター
は、コントラスト比、明度に優れたものとなる。
【0041】
また、カラーフィルター用インクが化合物Sと重合体Mとを同時に含むことにより、形
成される着色部は、耐熱性および耐溶剤性に優れたものとなる。
これに対し、カラーフィルター用インクは、化合物Sまたは重合体Mのうち一方しか含
まない場合、上述したような効果は得られない。
化合物Sのみカラーフィルター用インクに含まれる場合、化合物Sは、比較的低分子量
のモノマーであるため、形成される着色部は十分には硬化されず、耐熱性、耐溶剤性等の
耐久性が劣るものとなる。また、重合体Mのみカラーフィルター用インクに含まれる場合
、重合体Mは比較的高分子量であるため、カラーフィルター用インクの粘度が十分には低
くならず、着色部形成時におけるカラーフィルター用インクの流動性が劣るものとなる。
以下、本発明のカラーフィルター用インクを構成する樹脂材料について詳細に説明する

【0042】
[化合物S]
化合物Sは、上記式(1)で表わされる化合物である。化合物Sは、熱等のエネルギー
を付与されることにより反応して着色部を硬化する機能を有するとともに、カラーフィル
ター用インクから液性媒体の大部分が除去された際に、カラーフィルター用インクの流動
性を維持する機能を有する。
【0043】
なお、上述したように、化合物Sは、重合体Mや他のカラーフィルター用インクの成分
を溶解または分散させる液性媒体としての機能も有している。このため、カラーフィルタ
ー用インク中において後述する液性媒体の含有量が少ない場合であっても、カラーフィル
ター用インクは流動性を有する。また、化合物Sを含むことにより、カラーフィルター用
インク中にある液性媒体の量を減らすことができ、カラーフィルターインク中における着
色部となるべき成分の含有量を増加させることができる。このような場合、カラーフィル
ター製造時において、液性媒体の除去に必要とされるエネルギーを節減できる。また、セ
ルに付与するカラーフィルター用インクの量を減らすことができるため、セルからカラー
フィルター用インクがこぼれて混色したりすることを防止することができる。
【0044】
また、化合物Sは、着色部形成時においては、液性媒体の大部分が除去された後には、
熱等のエネルギーが付与されることにより反応し、形成される着色部の耐溶剤性等の耐久
性の向上に寄与する。これは、重合体M等に化合物Sが結合されることにより、化合物S
の置換基R1、R2の部分が重合体M等の分子鎖の周囲を取り囲み、立体障害として、溶
剤等の樹脂材料への侵入を防止するためと考えられる。また、置換基R1、R2は、疎水
性であるため、水分の樹脂材料への侵入も防止できる。この結果、カラーフィルターに対
して加熱、放熱を繰り返した際における、着色部から外気への水分の放出、外気からの着
色部への吸湿の度合いが少ないものとなる。このため、このような加熱、放熱が繰り返さ
れても着色部の劣化が起きにくいものとなる。
【0045】
上記式(1)において、R1およびR2は、アルキル基またはエポキシアルキル基であ
ればよいが、アルキル基であることが好ましい。これにより、カラーフィルターの耐溶剤
性をより優れたものとすることができる。
【0046】
また、上記式(1)において、置換基R1およびR2の炭素数は、それぞれ、4〜30
であればよいが、6〜20であることが好ましい。これにより、カラーフィルター用イン
クの粘度を十分に低いものとし、着色部形成時におけるカラーフィルター用インクの流動
性を特に優れたものとしつつ、上述したような化合物Sの立体障害による着色部への溶剤
、水分等の侵入防止効果を特に優れたものとすることができる。
【0047】
また、上記式(1)において、置換基R1およびR2は、分岐鎖を有するものであって
もよいし、直鎖状であってもよいが、直鎖状であることが好ましい。これにより、カラー
フィルター用インク中における化合物S同士または化合物Sと他の成分との絡み合いが少
ないものとなる。この結果、カラーフィルター用インクの粘度を十分に低いものとするこ
とができ、また、着色部形成時におけるインクの流動性が低下すること(粘度が上昇する
こと)をより確実に防止することができる。
上記式(1)において、置換基R1およびR2は、同一の置換基であってもよいし、異
なる置換基であってもよいが、同一の置換基であることが好ましい。
【0048】
また、上記式(1)において、R1およびR2のうち少なくとも一方がエポキシアルキ
ル基である場合、当該エポキシアルキル基は、主鎖部分の中央付近にエポキシ基が設けら
れていることが好ましい。より具体的には、エポキシアルキル基の主鎖の炭素数がn個と
したとき、エポキシ基は、主鎖の一方の端部から、(n/2)−1〜(n/2)+1個目
の炭素は、エポキシ基の一部を構成していることが好ましい。あるいは、エポキシアルキ
ル基の主鎖の炭素数が8以上である場合には、当該主鎖の両端の炭素から、それぞれ3つ
以上離れている炭素がエポキシ基を構成していることが好ましい。
このように、エポキシアルキル基の主鎖の中央付近にエポキシ基が設けられていることに
より、エポキシ基の反応性が抑制され、エポキシ基の不本意な反応が防止される。特に、
このような傾向は、エポキシアルキル基の主鎖の炭素数が多くなるほど顕著になる。
【0049】
上記式(1)において、置換基R1およびR2としては、例えば、ブチル基、ペンチル
基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、テトラデ
シル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、エイコシ
ル基等の各種直鎖アルキル基または分岐鎖アルキル基、またはこれらのエポキシ化置換基
が挙げられる。
化合物Sとしては、例えば、下記式(10)〜(15)に示される化合物が挙げられる
。この中でも、化合物Sとして、下記式(10)に示される化合物を用いることが好まし
い。これにより、形成される着色部の耐溶剤性および耐熱性を特に優れたものとすること
ができる。
【0050】
【化12】

【0051】
【化13】

【0052】
【化14】

【0053】
【化15】

【0054】
【化16】

【0055】
【化17】

【0056】
カラーフィルター用インク中における化合物Sの含有率は、0.1〜4.0であること
が好ましく、0.3〜3.0であることがより好ましい。これにより、カラーフィルター
用インクの着色部形成時における流動性を高いものとしつつ、形成される着色部の耐溶剤
性および耐熱性を十分に高いものとすることができる。
【0057】
[重合体M]
重合体Mは、上記式(2)で表される単量体成分m1を含むものである。重合体Mは、
実質的に単一の化合物からなるものであってもよいし、複数種の化合物の混合物であって
もよい。ただし、重合体Mが複数種の化合物の混合物である場合、各化合物が、単量体成
分m1を含有するものである。
【0058】
重合体Mは、形成される着色部において、硬度、耐熱性および耐溶剤性の向上に寄与す
る成分である。重合体Mは、熱等が加えられることにより、3次元網目状の高分子となり
、優れた硬度、耐熱性、および耐溶剤性を発現する。加えて、本発明では、樹脂材料(お
よび前駆体)として、重合体Mに加え化合物Sも同時に含んでおり、形成される着色部は
、重合体Mを単独で硬化した場合よりも耐溶剤性、耐熱性、硬度に優れたものとなる。
【0059】
また、重合体Mは、化合物Sの揮発を防止することができる。化合物Sを樹脂材料の前
駆体として単独で用いた場合、化合物Sは、着色部形成時において加熱されることにより
揮発する場合がある。このような場合、形成される着色部の厚さを調整することが困難で
ある。しかしながら、化合物Sと親和性の高い重合体Mとを同時に用いることにより、着
色部形成時における化合物Sの揮発が防止される。
以下、重合体Mを構成する単量体成分について詳述する。
【0060】
(単量体成分m1)
上述したように、重合体Mは、上記式(2)で表される単量体成分m1を単量体成分と
して含有してなるものである。
単量体成分m1を単量体成分として含有することにより、上述したように化合物Sと組
み合わせて、カラーフィルター用インクの粘度を低いものとすることができるとともに、
着色部形成時におけるカラーフィルター用インクの流動性を高いものとすることができる
。また、例えば、カラーフィルター用インクが着色剤として顔料を含む場合において、カ
ラーフィルター用インク中における顔料粒子の分散安定性を優れたものとすることができ
、カラーフィルター用インクの長期保存性、吐出安定性を優れたものとすることができる

【0061】
また、このような単量体成分m1を単量体成分として含有することにより、カラーフィ
ルター用インクの保存時や後述するインク付与工程等における樹脂材料の不本意な反応(
重合反応)を確実に防止しつつ、加熱環境下で行う着色部形成工程(硬化工程)において
は、樹脂材料の硬化反応(重合反応)を好適に進行させることができる。すなわち、単量
体成分m1を含有することにより、樹脂材料についての、所定温度以下では実質的に硬化
反応を進行させず、それ以上の温度で効率よく硬化反応を進行させることができる特性(
以下、「硬化反応のスイッチング特性」ともいう)を優れたものとすることができる。ま
た、単量体成分m1を単量体成分として含有することにより、形成される着色部の耐溶剤
性、耐熱性、硬度等を優れたものとすることができる。
【0062】
重合体M中における単量体成分m1の含有率(重合体の合成に用いる単量体の重量で換
算して求められる値。以下、他の単量体成分(他の重合体についても含む)の含有率につ
いても同様とする。)は、30〜90wt%であるのが好ましく、40〜80wt%であ
るのがより好ましい。重合体M中における単量体成分m1の含有率が前記範囲内の値であ
ると、後に詳述する他の単量体成分(単量体成分m2、m3)の機能を阻害することなく
、上述したような効果をより顕著に発現させることができる。なお、重合体Mが、複数種
の化合物の混合物である場合、単量体成分m1の含有率の値としては、これらの化合物に
ついての加重平均値(重量比に基づいた加重平均値)を採用することができる。以下の重
合体Mの他の単量体成分、他の重合体の各単量体成分についても同様とする。また、重合
体Mが、複数種の化合物の混合物である場合、これらの化合物が、いずれも、上記のよう
な含有率で単量体成分m1を含有しているのが好ましい。
また、重合体Mは、単量体成分m1以外の単量体成分を有していてもよい。このような
単量体成分としては、例えば、下記に示す単量体成分m2、m3等が挙げられる。
【0063】
(単量体成分m2)
重合体Mは、下記式(3)で表される単量体成分m2を単量体成分として含有すること
が好ましい。
【0064】
【化18】

【0065】
単量体成分m2を単量体成分として含有することにより、形成される着色部の耐薬品性
、耐溶剤性、耐熱性等をより優れたものとすることができる。これにより、着色部形成工
程(硬化工程)の後に、薬品塗布や洗浄(特に、N−メチル−2−ピロリドンやγ−ブチ
ルラクトンを用いた洗浄)等の後処理を行った場合であっても、これらによる悪影響の発
生を確実に防止することができる。
【0066】
また、単量体成分m2は、重合体Mにおいて、上述した単量体成分m1と同様に、比較
的低い温度(例えば、100℃以下)での反応性が十分に低いのに対し、着色部形成工程
(硬化工程)で施す熱処理のような加熱環境下では、十分な反応性を示すものである。こ
のため、カラーフィルター用インクの保存時や後述するインク付与工程等における樹脂材
料の不本意な反応(重合反応)を確実に防止しつつ、加熱環境下で行う着色部形成工程(
硬化工程)においては、樹脂材料の硬化反応(重合反応)を好適に進行させることができ
る。
【0067】
また、単量体成分m2を単量体成分として含有することにより、例えば、カラーフィル
ター用インクが着色剤として顔料を含む場合において、カラーフィルター用インク中にお
ける顔料粒子の分散安定性を優れたものとすることができ、カラーフィルター用インクの
長期保存性、吐出安定性を優れたものとすることができる。
重合体M中における単量体成分m2の含有率は、2〜20wt%であるのが好ましく、
3〜15wt%であるのがより好ましい。重合体M中における単量体成分m2の含有率が
前記範囲内の値であると、前述した単量体成分m1等の他の単量体成分の機能を阻害する
ことなく、上述したような効果をより顕著に発現させることができる。また、重合体Mが
、複数種の化合物の混合物である場合、これらの化合物が、いずれも、上記のような含有
率で単量体成分m2を含有しているのが好ましい。
【0068】
(単量体成分m3)
重合体Mは、下記式(4)で表される単量体成分m3を単量体成分として含有している
ことが好ましい。
【0069】
【化19】

【0070】
このような単量体成分m3を単量体成分として含有することにより、着色部の形成時、
基板上に付与されたカラーフィルター用インクから液性媒体を除去する際に、固形分濃度
の上昇に伴ってカラーフィルター用インクのチキソトロピック性および粘度が上昇し、形
成される着色部の表面に不本意な凹凸が生じることを抑制することができる。
また、単量体成分m3は、その末端に水酸基を有している。このような構造を有するこ
とにより、比較的低い温度(例えば、100℃以下)における反応性を十分に低いものと
しつつ、着色部形成工程(硬化工程)で施す熱処理のような加熱環境下における反応性を
高めることができる。これにより、カラーフィルター用インクの保存時や後述するインク
付与工程等における樹脂材料の不本意な反応(重合反応)を確実に防止しつつ、加熱環境
下で行う着色部形成工程(硬化工程)においては、樹脂材料の硬化反応(重合反応)を好
適に進行させることができる。
【0071】
また、単量体成分m3を単量体成分として含有することにより、例えば、カラーフィル
ター用インクが着色剤として顔料を含む場合において、カラーフィルター用インク中にお
ける顔料粒子の分散安定性をより優れたものとすることができ、カラーフィルター用イン
クの長期保存性、吐出安定性をより優れたものとすることができる。
重合体M中における単量体成分m3の含有率は、2〜20wt%であるのが好ましく、
3〜15wt%であるのがより好ましい。重合体M中における単量体成分m3の含有率が
前記範囲内の値であると、前述した単量体成分m1等の他の単量体成分の機能を阻害する
ことなく、上述したような効果をより顕著に発現させることができる。また、重合体Mが
、複数種の化合物の混合物である場合、これらの化合物が、いずれも、上記のような含有
率で単量体成分m3を含有しているのが好ましい。
重合体Mとしては、具体的には、例えば、下記式(16)のような重合体が挙げられる

【0072】
【化20】

【0073】
重合体Mの重量平均分子量は、1000〜50000であるのが好ましく、1200〜
10000であるのがより好ましく、1500〜5000であるのがさらに好ましい。こ
れにより、着色部形成時においてカラーフィルター用インクの流動性が不本意に低下する
ことを防止しつつ、形成される着色部の耐熱性、耐薬品性を十分に高いものとすることが
できる。また、重合体Mのカラーフィルター用インクの経時的安定性(長期保存性)、カ
ラーフィルター用インクの吐出安定性を特に優れたものとすることができるとともに、カ
ラーフィルターの生産性を十分に優れたものとし、カラーフィルターを用いて表示される
画像における色むら等の発生をより効果的に防止することができる。
【0074】
また、重合体Mの分散度(重量平均分子量Mw/数平均分子量Mn)は、1〜3である
のが好ましい。
また、カラーフィルター用インク中における重合体Mの含有率は、0.3〜13.0
wt%であることが好ましく、0.7〜8.0wt%であることがより好ましい。
また、カラーフィルター用インク中における重合体Mの含有率をC[wt%]、カラ
ーフィルター用インク中における化合物Sの含有率をC[wt%]としたとき、1.0
≦C/C≦5.0の関係を満足することが好ましく、1.2≦C/C≦4.0の
関係を満足することがより好ましい。これにより、形成される着色部は、凹凸が特に少な
くなり、明度およびコントラスト比に特に優れ、かつ、耐溶剤性、耐熱性に特に優れたも
のとなる。
上述したように本発明において、樹脂材料は、化合物Sおよび重合体Mを含むものであ
るが、さらに、他の樹脂成分を含むものであってもよい。
このような樹脂成分としては、以下に述べるような重合体N、重合体Oが挙げられる。
【0075】
[重合体N]
重合体Nは、下記式(5)で表される単量体成分n1を含む重合体である。
【0076】
【化21】

【0077】
このような重合体Nを含むことにより、樹脂材料としての硬化反応のスイッチング特性
、形成される着色部の硬度等を優れたものとすることができる。すなわち、カラーフィル
ター用インクの保存時や後述するインク付与工程等における樹脂材料の不本意な反応(重
合反応)を確実に防止しつつ、加熱環境下で行う着色部形成工程(硬化工程)においては
、樹脂材料の硬化反応(重合反応)を好適に進行させることができる。
【0078】
また、重合体Nは、カラーフィルター用インク内において着色剤を均一に分布させるこ
とにより、カラーフィルター用インクの粘度を低下させる機能を有する。特に、着色剤と
して顔料を含む場合において、重合体Nは、カラーフィルター用インク中における顔料粒
子の凝集を防止し、顔料の分散安定性を特に優れたものとすることができる。この結果、
カラーフィルター用インクの粘度を低いものすることができ、着色部形成時においても、
カラーフィルター用インクの粘度を比較的低いものとすることができる。このため、カラ
ーフィルター用インクを用いて形成される着色部の表面に不本意な凹凸が生じてしまうの
をより効果的に防止することができる。また、顔料粒子が分散した状態で着色部が形成さ
れるため、形成される着色部は、コントラスト比に特に優れたものとなる。
【0079】
また、重合体Nを含むことにより、後述するような製造方法を用いてカラーフィルター
用インクを製造する際に(後述する微分散工程で)、原料として用いる顔料粒子の凝集体
を容易に微粒子化(解砕)することができ、カラーフィルター用インクの生産性を向上さ
せることができる。また、重合体Nは、機械的な力に対して極めて優れた安定性を有して
いるため、顔料とともに後述する微分散工程に供された場合であっても、当該工程におけ
る変性、劣化が防止される。したがって、重合体Nを用いることにより、樹脂材料の劣化
等を確実に防止しつつ、顔料の分散性に優れたカラーフィルター用インクを効率よく調製
することができる。
【0080】
また、重合体Nは、化合物Sおよび重合体Mとの親和性、相溶性が十分に優れたもので
ある。その結果、着色部形成時におけるカラーフィルター用インクの流動性を長期にわた
って高いものとして維持できる。また、カラーフィルター用インクの吐出安定性を優れた
ものとすることができる。また、カラーフィルター用インクを用いて形成される着色部は
、透明性に優れ(樹脂材料の不透明性による光透過率の低下が防止され)、基板に対する
密着性が特に優れ、クラック等の問題が生じにくいものとなる。
なお、重合体Nは、実質的に単一の化合物からなるものであってもよいし、複数種の化
合物の混合物であってもよい。ただし、重合体Nが複数種の化合物の混合物である場合、
各化合物が、単量体成分n1を含有するものである。
【0081】
(単量体成分n1)
上述したように、重合体Nは、上記式(5)で表される単量体成分n1を単量体成分と
して含有してなるものである。
単量体成分n1を含有することにより、重合体Nは、上記のような特性を有するものと
なる。
【0082】
また、重合体Nが複数の成分からなる場合、重合体N中における単量体成分n1の含有
率は、25〜95wt%であるのが好ましく、40〜85wt%であるのがより好ましい
。重合体N中における単量体成分n1の含有率が前記範囲内の値であると、後述する他の
単量体成分の機能を阻害することなく、上述したような効果をより顕著に発現させること
ができる。また、重合体Nが、複数種の化合物の混合物である場合、これらの化合物が、
いずれも、上記のような含有率で単量体成分n1を含有しているのが好ましい。
また、重合体Nは、他の単量体成分を含むものであってもよい。重合体Nには、例えば
、下記に示す単量体n2〜n5が挙げられる。以下、各単量体について詳述する。
【0083】
(単量体成分n2)
重合体Nは、下記式(6)で表される単量体成分n2を単量体成分として含有すること
が好ましい。
【0084】
【化22】

【0085】
このような単量体成分n2を単量体成分として含有することにより、基板上へのカラー
フィルター用インクの濡れ広がりを良好なものとすることができ、気泡の混入等が確実に
防止され、基板との密着性に優れた着色部を好適に形成することができる。この結果、外
部の気温等が変化した場合であっても、基板から着色部が熱膨張、収縮等によって剥離す
ることを防止することができるため、カラーフィルターは耐熱性等の耐久性に特に優れた
ものとなる。また、カラーフィルター用インクが顔料および分散剤を含むものである場合
においては、単量体成分n2を単量体成分として含有することにより、分散剤の分散安定
性を特に優れたものとすることができ、結果として、顔料の分散安定性、カラーフィルタ
ー用インクの長期保存性を特に優れたものとすることができる。
【0086】
重合体N中における単量体成分n2の含有率は、2〜35wt%であるのが好ましく、
5〜25wt%であるのがより好ましい。重合体N中における単量体成分n2の含有率が
前記範囲内の値であると、他の単量体成分の機能を阻害することなく、上述したような効
果をより顕著に発現させることができる。また、重合体Nが、複数種の化合物の混合物で
ある場合、これらの化合物が、いずれも、上記のような含有率で単量体成分n2を含有し
ているのが好ましい。
【0087】
(単量体成分n3)
重合体Nは、下記式(17)で表される単量体成分n3を単量体成分として含有してい
てもよい。
【0088】
【化23】

【0089】
単量体成分n3を単量体成分として含有することにより、形成される着色部の耐薬品性
、耐溶剤性等をより優れたものとすることができる。これにより、着色部形成工程(硬化
工程)の後に、薬品塗布や洗浄(特に、N−メチル−2−ピロリドンやγ−ブチルラクト
ンを用いた洗浄)等の後処理を行った場合であっても、これらによる悪影響の発生をより
確実に防止することができる。
【0090】
また、単量体成分n3は、上述した単量体成分m1等と同様に、重合体N中において、
比較的低い温度(例えば、100℃以下)では反応性が十分に低いのに対し、着色部形成
工程(硬化工程)で施す熱処理のような加熱環境下では、十分な反応性を有するものであ
る。このため、カラーフィルター用インクの保存時や後述するインク付与工程等における
樹脂材料の不本意な反応(重合反応)を確実に防止しつつ、加熱環境下で行う着色部形成
工程(硬化工程)においては、樹脂材料の硬化反応(重合反応)を好適に進行させること
ができる。
【0091】
重合体N中における単量体成分n3の含有率は、5〜50wt%であるのが好ましく、
10〜40wt%であるのがより好ましい。重合体N中における単量体成分n3の含有率
が前記範囲内の値であると、他の単量体成分の機能を阻害することなく、上述したような
効果をより顕著に発現させることができる。また、重合体Nが、複数種の化合物の混合物
である場合、これらの化合物が、いずれも、上記のような含有率で単量体成分n3を含有
しているのが好ましい。
【0092】
(単量体成分n4)
重合体Nは、下記式(18)で表される単量体成分n4を単量体成分として含有してな
るものである。
【0093】
【化24】

【0094】
単量体成分n4を単量体成分として含有することにより、樹脂材料全体としての疎水性
を好適に調整することができ、樹脂材料を構成する各重合体の親和性、相溶性を特に優れ
たものとすることができる。その結果、カラーフィルター用インクの粘度を十分に低いも
のとすることができるとともに、着色部形成時においてより長期にわたってカラーフィル
ター用インクの流動性を維持できる。また、カラーフィルター用インクの吐出安定性を特
に優れたものとすることができ、また、カラーフィルター用インクを用いて形成される着
色部は、透明性に優れ(樹脂材料の不透明性による光透過率の低下が防止され)、基板に
対する密着性が特に優れ、クラック等の問題が生じにくいものとなる。
【0095】
重合体N中における単量体成分n4の含有率は、3〜40wt%であるのが好ましく、
5〜30wt%であるのがより好ましい。重合体N中における単量体成分n4の含有率が
前記範囲内の値であると、他の単量体成分の機能を阻害することなく、上述したような効
果をより顕著に発現させることができる。また、重合体Nが、複数種の化合物の混合物で
ある場合、これらの化合物が、いずれも、上記のような含有率で単量体成分n4を含有し
ているのが好ましい。
【0096】
(単量体成分n5)
重合体Nは、下記式(19)で表される単量体成分n5を単量体成分として含有してな
るものである。
【0097】
【化25】

【0098】
このような単量体成分n5は、前述した単量体成分m1等と同様に、後述する着色部形
成工程(硬化工程)において、樹脂材料の硬化に寄与する成分であるが、単量体成分m1
等が、形成される着色部の硬度を高いものとする機能を有しているのに対し、単量体成分
n5は、形成される着色部に適度な柔軟性を与え、着色部が設けられる基板等に変形(例
えば、熱膨張、熱収縮等)が生じた場合であっても、その変形に追従し、基板等に対する
着色部の密着性を保持させる機能を有している。これにより、例えば、製造されるカラー
フィルターが画像表示に伴う急激な温度変化に繰り返しさらされた場合においても良好な
密着性を保持することができ、光漏れ(白抜け、輝点)等の問題が発生するのをより確実
に防止することができる。すなわち、カラーフィルターの耐久性の向上に寄与することが
できる。
【0099】
重合体N中における単量体成分n5の含有率は、2〜30wt%であるのが好ましく、
5〜20wt%であるのがより好ましい。重合体N中における単量体成分n5の含有率が
前記範囲内の値であると、他の単量体成分の機能を阻害することなく、上述したような効
果をより顕著に発現させることができる。また、重合体Nが、複数種の化合物の混合物で
ある場合、これらの化合物が、いずれも、上記のような含有率で単量体成分n5を含有し
ているのが好ましい。
【0100】
重合体Nとしては、具体的には、下記式(20)、下記式(21)に示される重合体が
挙げられる。これらのうち、重合体Nとして、下記式(20)に示される重合体を用いる
ことが好ましい。このような重合体は、上述したような硬化反応のスイッチング特性に特
に優れるとともに、後述するカラーフィルター用インクの製造において、顔料の分散に好
適に用いることができる。
【0101】
【化26】

【0102】
【化27】

【0103】
特に、このような場合において、上記式(20)に示される重合体を用いる場合、上記
式(20)に示される重合体における単量体成分n1の含有量は、25〜75wt%であ
ることが好ましく、40〜60wt%であることがより好ましい。また、上記式(20)
に示される重合体における単量体成分n2の含有量は、2〜25wt%であることが好ま
しく、5〜15wt%であることがより好ましい。
【0104】
また、特に、上記式(21)に示される重合体を用いる場合、上記式(21)に示され
る重合体における単量体成分n1の含有量は、50〜95wt%であることが好ましく、
60〜85wt%であることがより好ましい。また、上記式(21)に示される重合体に
おける単量体成分n2の含有量は、3〜35wt%であることが好ましく、10〜25w
t%であることがより好ましい。
【0105】
重合体Nの重量平均分子量は、5000〜50000であるのが好ましく、6000〜
15000であるのがより好ましい。これにより、カラーフィルター用インクの経時的安
定性(長期保存性)、カラーフィルター用インクの吐出安定性を特に優れたものとするこ
とができるとともに、カラーフィルターの生産性を十分に優れたものとし、さらに、カラ
ーフィルター用インクを用いて形成される着色部の平坦性をより確実に高いものとするこ
とができ、カラーフィルターを用いて表示される画像における色むら等の発生をより効果
的に防止することができる。
また、重合体Nの分散度(重量平均分子量Mw/数平均分子量Mn)は、1〜3である
のが好ましい。
また、カラーフィルター用インク中における重合体Nの含有率は、0.3〜10.0w
t%であることが好ましく、0.7〜5.0wt%であることがより好ましい。
【0106】
[重合体O]
重合体Oは、下記式(22)で表される単量体成分o1を含む重合体であり、例えば、
下記式(23)で表わされる重合体である。重合体Oは、実質的に単一の化合物からなる
ものであってもよいし、複数種の化合物の混合物であってもよい。ただし、重合体Oが複
数種の化合物の混合物である場合、各化合物が、単量体成分o1を含有するものである。
【0107】
【化28】

【0108】
【化29】

【0109】
重合体Oは、形成される着色部の基板に対する密着性を特に優れたものとすることがで
きる。その結果、カラーフィルター用インクを用いて製造されたカラーフィルターの耐久
性を特に優れたものとすることができる。
また、重合体Oは、単量体成分o1以外の単量体成分を含むものであってもよい。
重合体Oの重量平均分子量は、1000〜50000であるのが好ましく、1200〜
10000であるのがより好ましく、1500〜5000であるのがさらに好ましい。こ
れにより、カラーフィルター用インクの経時的安定性(長期保存性)、カラーフィルター
用インクの吐出安定性を特に優れたものとすることができるとともに、カラーフィルター
の生産性を十分に優れたものとし、さらに、カラーフィルター用インクを用いて形成され
る着色部の平坦性をより確実に高いものとすることができ、カラーフィルターを用いて表
示される画像における色むら等の発生をより効果的に防止することができる。
【0110】
また、重合体Oの分散度(重量平均分子量Mw/数平均分子量Mn)は、1〜3である
のが好ましい。
なお、上述した各重合体は、最終的に上述したような構造(各単量体成分に対応する各
部分構造)を有していればよく、上述した各単量体成分そのものを用いて合成されたもの
であってもよいし、上述した単量体成分とは異なる成分(前駆体、誘導体等)を用いて合
成されたものであってもよい。
また、カラーフィルター用インク中における樹脂材料の含有率は、0.5〜18wt%
であるのが好ましく、1〜15wt%であるのがより好ましく、3〜10wt%であるの
がより好ましい。
【0111】
また、カラーフィルター用インク中における樹脂材料の含有率をC[wt%]、カラ
ーフィルター用インク中における着色剤の含有率をC[wt%]としたとき、0.2≦
/C≦9.0の関係を満足するのが好ましく、0.3≦C/C≦5.0の関係
を満足するのが好ましく、0.4≦C/C≦3.5の関係を満足するのがさらに好ま
しい。このような関係を満足することにより、製造されるカラーフィルターのコントラス
ト等をより優れたものとすることができたり、着色部厚さをより薄いものとした場合であ
っても十分なコントラストを確保することができる。なお、従来のカラーフィルター用イ
ンクでは、着色剤の含有率に対する樹脂材料の含有率を低いものとした場合(特に、着色
剤として顔料を用いた場合)、形成される着色部の表面に不本意な凹凸が生じる等の不都
合を生じやすかったが、本発明では、上記のように、着色剤の含有率に対する樹脂材料の
含有率を低いものとした場合であっても、形成される着色部の表面に不本意な凹凸が生じ
ることを確実に防止することができる。すなわち、上記のような関係を満足することによ
り、本発明の効果はより顕著に発揮される。
なお、カラーフィルター用インクを構成する樹脂材料は、上述した以外の樹脂成分また
はその前駆体を含むものであってもよい。
【0112】
<液性媒体>
液性媒体(液状媒質)は、上述したような着色剤等を、溶解および/または分散する機
能を有するものである。すなわち、液性媒体は、溶媒および/または分散媒として機能す
るものである。そして、通常、液性媒体は、カラーフィルターを製造する過程において、
その大部分が除去されるものである。
【0113】
カラーフィルター用インクを構成する液性媒体としては、例えば、エステル化合物、エ
ーテル化合物、ヒドロキシケトン、炭酸ジエステル、環状アミド化合物等を用いることが
でき、中でも、〔1〕多価アルコール(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコ
ール、ブチレングリコール、グリセリン等)の縮合物としてのエーテル(多価アルコール
エーテル)や、多価アルコールまたは多価アルコールエーテルのアルキルエーテル(例え
ば、メチルエーテル、エチルエーテル、ブチルエーテル、ヘキシルエーテル等)、エステ
ル(例えば、ホルメート、アセテート、プロピオネート等)、〔2〕多価カルボン酸(例
えば、こはく酸、グルタル酸等)のエステル(例えば、メチルエステル等)、〔3〕分子
内に少なくとも1つの水酸基と少なくとも1つのカルボキシル基とを有する化合物(ヒド
ロキシ酸)のエーテル、エステル等、〔4〕多価アルコールとホスゲンとの反応で得られ
るような化学構造を有する炭酸ジエステルが好ましい。液性媒体として用いることのでき
る化合物としては、例えば、2−(2−メトキシ−1−メチルエトキシ)−1−メチルエ
チルアセテート、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジ
アセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、4−メチル−1,3
−ジオキソラン−2−オン、ビス(2−ブトキシエチル)エーテル、グルタル酸ジメチル
、エチレングリコールジn−ブチレート、1,3−ブチレングリコールジアセテート、ジ
エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、テトラエチレングリコールジメチル
エーテル、1,6−ジアセトキシヘキサン、トリプロピレングリコールモノメチルエーテ
ル、ブトキシプロパノール、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレング
リコールメチルブチルエーテル、トリエチレングリコールメチルエチルエーテル、トリエ
チレングリコールメチルブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルア
セテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、3−エトキシプロピオン酸エチル、
ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、3−メトキシブチルアセテート、ジエチレ
ングリコールジエチルエーテル、オクタン酸エチル、エチレングリコールモノブチルエー
テルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテル、酢酸シクロヘキシル、こはく
酸ジエチル、エチレングリコールジアセテート、プロピレングリコールジアセテート、4
−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン、こはく酸ジメチル、1−ブトキシ−2−プ
ロパノール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチ
ルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、3−メトキシ−n−ブチルア
セテート、ジアセチン、ジプロピレングリコールモノn−プロピルエーテル、ポリエチレ
ングリコールモノメチルエーテル、ブチルグリコレート、エチレングリコールモノヘキシ
ルエーテル、ジプロピレングリコールモノn−ブチルエーテル、N−メチル−2−ピロリ
ドン、トリエチレングリコールブチルメチルエーテル、ビス(2−プロポキシエチル)エ
ーテル、ジエチレングリコールジアセテート、ジエチレングリコールブチルメチルエーテ
ル、ジエチレングリコールブチルエチルエーテル、ジエチレングリコールブチルプロピル
エーテル、ジエチレングリコールエチルプロピルエーテル、ジエチレングリコールメチル
プロピルエーテル、ジエチレングリコールプロピルエーテルアセテート、トリエチレング
リコールメチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールエチルエーテルアセテート
、トリエチレングリコールプロピルエーテルアセテート、トリエチレングリコールブチル
エーテルアセテート、トリエチレングリコールブチルエチルエーテル、トリエチレングリ
コールエチルメチルエーテル、トリエチレングリコールエチルプロピルエーテル、トリエ
チレングリコールメチルプロピルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセ
テート、n−ノニルアルコール、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレ
ングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコール2−エチルヘキシルエーテル、ト
リエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル
、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−2−エチル
ヘキシルエーテル、トリプロピレングリコールモノn−ブチルエーテル、ブチルセロソル
ブアセテート等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用
いることができる。
【0114】
中でも、液性媒体としては、1,3−ブチレングリコールジアセテート、ビス(2−ブ
トキシエチル)エーテル、2−(2−メトキシ−1−メチルエトキシ)−1−メチルエチ
ルアセテートおよびジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートよりなる群から
選択される1種または2種以上を含むことが好ましく、ジエチレングリコールモノブチル
エーテルアセテートを含むことがより好ましい。これらの化合物は、粘度が低く、温度に
よる粘度変化が少ない化合物であるとともに、上述したような化合物S、重合体Mとの親
和性が高い。このため、化合物S、重合体Mは液性媒体により容易に溶解することができ
る。また、着色部形成時において、カラーフィルター用インク中に残存している液性媒体
が少量であっても、重合体Mおよび化合物Sは好適に液性媒体に溶解し、カラーフィルタ
ー用インクは流動性を維持することができる。このため、カラーフィルター用インクの粘
度を低いものとすることができ、また、着色部形成時においても、カラーフィルター用イ
ンクの粘度の上昇を防止することができる。
【0115】
また、着色剤、樹脂材料等を比較的多量にカラーフィルター用インク中に含ませた場合
であっても、カラーフィルター用インクの物性の変化が比較的少ないものとなる。また、
カラーフィルター用インクが着色剤として顔料を含む場合においては、顔料の含有率を高
くした場合であっても、顔料の長期分散安定性を十分に優れたものとすることができる。
また、液性媒体が上記のような化合物で構成されたものであると、後述するようなカラー
フィルターの製造方法において、セル内全体に、カラーフィルター用インクをより確実に
濡れ広がるようにすることができる。
【0116】
また、上述した中でも、液性媒体が、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテ
ートを含むものである場合、カラーフィルター用インクの粘度を特に低いものとすること
ができ、カラーフィルター用インクの液滴の吐出安定性を特に優れたものとすることがで
きる。また、カラーフィルター用インクが基板上ですばやく隅々まで濡れ広がるため、形
成される着色部の厚さの均一性をより高いものとすることができ、色再現性および消偏性
(コントラスト比)を特に優れたものとすることができる。また、液性媒体が、ジエチレ
ングリコールモノブチルエーテルアセテートを含むものである場合、水の液性媒体への溶
解度を適度なものとすることができる。このため、カラーフィルター用インクを構成する
液性媒体は、外部からの吸湿を確実に防止することができる。また、液滴吐出装置のカラ
ーフィルター用インクの流路等の内部に水が混入した場合であっても、水を好適に溶解し
、除去することができる。この結果、液滴吐出ヘッドからのカラーフィルター用インクの
液滴の吐出安定性(例えば、液滴の吐出量の均一性)をより長期にわたって、特に優れた
ものとすることができる。
【0117】
また、上述した中でも、液性媒体がビス(2−ブトキシエチル)エーテル、1,3−ブ
チレングリコールジアセテートを含むものである場合、カラーフィルター用インクがノズ
ルの近傍で非常に乾燥しにくくなり、インク付与工程における飛行曲がりの発生がより効
果的に抑制される。また、ノズルの詰まりを防ぐために定期的にカラーフィルター用イン
クを少量排出するために行うフラッシング工程において、長距離のヘッド移動中における
ノズル近傍のカラーフィルター用インク乾燥を防ぐことができ、基板中に設けられたダミ
ー画素などの捨て打ちエリアが不必要となる。また、カラーフィルター用インクが乾燥し
にくくなることで、着色剤、樹脂材料等の成分の劣化、凝集、偏析をより確実に防止する
ことができる。
【0118】
また、特に、液性媒体が1,3−ブチレングリコールジアセテートを含むものである場
合、液性媒体への水の溶解度を適度なものとすることができる。このため、カラーフィル
ター用インクを構成する液性媒体は、外部からの過剰な水分の吸収を確実に防止しつつ、
液滴吐出装置のカラーフィルター用インクの流路等の内部に多少の水分が混入した場合で
あっても、水を好適に溶解することで、分散の安定性・流動性を保持したまま流路内を移
動することができる。
【0119】
液性媒体の大気圧(1気圧)下における沸点は、160〜300℃であるのが好ましく
、180〜290℃であるのがより好ましく、200〜280℃であるのがさらに好まし
い。液性媒体の大気圧下における沸点が前記範囲内の値であると、カラーフィルター用イ
ンクを吐出する液滴吐出ヘッドにおける目詰まり等をより効果的に防止することができ、
カラーフィルターの生産性を特に優れたものとすることができる。
【0120】
また、液性媒体の25℃における蒸気圧は、0.7mmHg以下であるのが好ましく、
0.1mmHg以下であるのがより好ましい。液性媒体の蒸気圧が前記範囲内と値である
と、カラーフィルター用インクを吐出する液滴吐出ヘッドにおける目詰まり等をより効果
的に防止することができ、カラーフィルターの生産性を特に優れたものとすることができ
る。
【0121】
カラーフィルター用インク中における液性媒体の含有率は、50〜98wt%であるの
が好ましく、60〜95wt%であるのがより好ましく、65〜93wt%であるのがさ
らに好ましい。液性媒体の含有率が前記範囲内の値であると、カラーフィルター用インク
の液滴吐出ヘッドからの吐出性を特に優れたものとしつつ、製造されるカラーフィルター
の耐久性を優れたものとすることができる。また、製造されるカラーフィルターにおいて
、十分な着色濃度を確保することができる。
【0122】
また、液性媒体は、複数種の化合物で構成される場合、液性媒体を構成する主成分のほ
かに、ジエチレングリコールモノノルマルブチルエーテル、トリエチレングリコールモノ
ノルマルブチルエーテルおよび3−エトキシプロピオン酸エチルよりなる群から選択され
る1種または2種以上を含む場合、以下のような効果が得られる。これらの化合物は、比
較的高い沸点を有するとともに、上述したような樹脂材料を溶解しやすい。そして、着色
部形成時において、主成分となる液性媒体の大部分が揮発した後に、このような化合物(
以下、副成分ともいう。)は比較的穏やかに除去される。一方で、副成分は樹脂材料を溶
解しやすいため、着色部形成時におけるカラーフィルター用インクの流動性を維持しやす
いものである。この結果、副成分の除去時におけるカラーフィルター用インクの対流が防
止されつつ、カラーフィルター用インクの高い流動性が維持され、形成される着色部は、
凹凸が少ないものとなる。
また、カラーフィルター用インク中における上述したような副成分の含有率は、3.0
〜25wt%であることが好ましく、7.0〜20wt%であることがより好ましい。
カラーフィルター用インクは、上記以外の成分を含むものであってもよい。カラーフィ
ルター用インクを構成する上記以外の成分としては、例えば、分散剤等が挙げられる。
【0123】
<分散剤>
カラーフィルター用インクには、分散剤が含まれていてもよい。これにより、例えば、
インクの液滴の吐出安定性を特に優れたものとすることができる。また、カラーフィルタ
ー用インク中に顔料が含まれる場合、分散剤は、カラーフィルター用インク中における顔
料粒子の分散性を向上させるのに寄与することができる。
分散剤としては、例えば、カチオン系、アニオン系、ノニオン系、両性、シリコーン系
、フッ素系等の界面活性剤が挙げられる。
【0124】
分散剤のより具体的な例としては、例えば、ディスパービック101、ディスパービッ
ク102、ディスパービック103、ディスパービックP104、ディスパービックP1
04S、ディスパービック220S、ディスパービック106、ディスパービック108
、ディスパービック109、ディスパービック110、ディスパービック111、ディス
パービック112、ディスパービック116、ディスパービック140、ディスパービッ
ク142、ディスパービック160、ディスパービック161、ディスパービック162
、ディスパービック163、ディスパービック164、ディスパービック166、ディス
パービック167、ディスパービック168、ディスパービック170、ディスパービッ
ク171、ディスパービック174、ディスパービック180、ディスパービック182
、ディスパービック183、ディスパービック184、ディスパービック185、ディス
パービック2000、ディスパービック2001、ディスパービック2050、ディスパ
ービック2070、ディスパービック2095、ディスパービック2150、ディスパー
ビックLPN6919、ディスパービック9075、ディスパービック9077(以上、
ビックケミー社製);EFKA 4008、EFKA 4009、EFKA 4010、
EFKA 4015、EFKA 4020、EFKA 4046、EFKA 4047、
EFKA 4050、EFKA 4055、EFKA 4060、EFKA 4080、
EFKA 4400、EFKA 4401、EFKA 4402、EFKA 4403、
EFKA 4406、EFKA 4408、EFKA 4300、EFKA 4330、
EFKA 4340、EFKA 4015、EFKA 4800、EFKA 5010、
EFKA 5065、EFKA 5066、EFKA 5070、EFKA 7500、
EFKA 7554(以上、チバスペシャリティ−社製);ソルスパース3000、ソル
スパース9000、ソルスパース13000、ソルスパース16000、ソルスパース1
7000、ソルスパース18000、ソルスパース20000、ソルスパース21000
、ソルスパース24000、ソルスパース26000、ソルスパース27000、ソルス
パース28000、ソルスパース32000、ソルスパース32500、ソルスパース3
2550、ソルスパース33500、ソルスパース35100、ソルスパース35200
、ソルスパース36000、ソルスパース36600、ソルスパース38500、ソルス
パース41000、ソルスパース41090、ソルスパース20000(以上、ルーブリ
ゾール社製);アジスパーPA111、アジスパーPB711、アジスパーPB821、
アジスパーPB822、アジスパーPB824(以上、味の素ファインテクノ社製);デ
ィスパロン1850、ディスパロン1860、ディスパロン2150、ディスパロン70
04、ディスパロンDA−100、ディスパロンDA−234、ディスパロンDA−32
5、ディスパロンDA−375、ディスパロンDA−705、ディスパロンDA−725
、ディスパロンPW−36(以上、楠本化成社製);および、フローレン DOPA−1
4、フローレン DOPA−15B、フローレン DOPA−17、フローレン DOP
A−22、フローレン DOPA−44、フローレン TG−710、フローレン D−
90(以上、共栄化学社製)、Anti−Terra−205(ビックケミー社製)、ヒ
ノアクトKF−1000、KF−1525、ヒノアクト1300M、ヒノアクトT905
0、ヒノアクトT6000、ヒノアクトT7000、ヒノアクトT8000、ヒノアクト
T8000E(以上、川研ファインケミカル社製)等が挙げられ、これらから選択される
1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0125】
特に、カラーフィルターインクは、分散剤として、所定の酸価を有する分散剤(以下、
酸価分散剤とも言う)と、所定のアミン価を有する分散剤(以下、アミン価分散剤とも言
う)とを含むものであるのが好ましい。これにより、カラーフィルター用インクの粘度を
低下させる粘度低減効果を発揮する酸価分散剤による効果と、カラーフィルター用インク
の粘度を安定化させるアミン価分散剤による効果とが両立される。その結果、カラーフィ
ルター用インク中における顔料の分散安定性、カラーフィルター用インクの液滴の吐出安
定性を特に優れたものとすることができる。
【0126】
酸価分散剤の具体例としては、ディスパービックP104、ディスパービックP104
S、ディスパービック220S、ディスパービック110、ディスパービック111、デ
ィスパービック170、ディスパービック171、ディスパービック174、ディスパー
ビック2095(以上、ビックケミー社製);EFKA 5010、EFKA 5065
、EFKA 5066、EFKA 5070、EFKA 7500、EFKA 7554
(以上、チバスペシャリティ−社製);ソルスパース3000、ソルスパース16000
、ソルスパース17000、ソルスパース18000、ソルスパース36000、ソルス
パース36600、ソルスパース41000(以上、ルーブリゾール社製)、ヒノアクト
KF−1000(川研ファインケミカル社製)等が挙げられる。
【0127】
また、アミン価分散剤の具体例としては、ディスパービック102、ディスパービック
160、ディスパービック161、ディスパービック162、ディスパービック163、
ディスパービック164、ディスパービック166、ディスパービック167、ディスパ
ービック168、ディスパービック2150、ディスパービックLPN6919、ディス
パービック9075、ディスパービック9077(以上、ビックケミー社製);EFKA
4015、EFKA 4020、EFKA 4046、EFKA 4047、EFKA
4050、EFKA 4055、EFKA 4060、EFKA 4080、EFKA
4300、EFKA 4330、EFKA 4340、EFKA 4400、EFKA
4401、EFKA 4402、EFKA 4403、EFKA 4800(以上、チ
バスペシャリティ−社製);アジスパーPB711(以上、味の素ファインテクノ社製)
;Anti−Terra−205(ビックケミー社製)、KF−1525、ヒノアクト1
300M、ヒノアクトT9050、ヒノアクトT6000、ヒノアクトT7000、ヒノ
アクトT8000、ヒノアクトT8000E(以上、川研ファインケミカル社製)等が挙
げられる。
【0128】
上記のような分散剤(酸価分散剤およびアミン価分散剤)を用いることにより、形成さ
れる着色部の色味に悪影響を与えることなく、インク中における顔料の分散安定性を優れ
たものとすることができる。
酸価分散剤とアミン価分散剤とを併用する場合、酸価分散剤の酸価(固形分換算したと
きの酸価)は、特に限定されないが、5〜370KOHmg/gであるのが好ましく、2
0〜270KOHmg/gであるのがより好ましく、30〜135KOHmg/gである
のがさらに好ましい。酸価分散剤の酸価が前記範囲内の値であると、アミン価分散剤と併
用した場合における顔料の分散安定性を特に優れたものとすることができ、また、アミン
価分散剤と併用した場合におけるカラーフィルター用インクの粘度の低減、安定化効果を
より顕著に得ることができる。また、カラーフィルター用インクの中に顔料が含まれる場
合、顔料の分散安定性を特に優れたものとすることができる。分散剤についての酸価は、
例えば、DIN EN ISO 2114に準拠する方法により求めることができる。
【0129】
また、酸価分散剤は、所定のアミン価を有していないもの、すなわち、アミン価が零で
あるのが好ましい。
アミン価分散剤と酸価分散剤とを併用する場合、アミン価分散剤のアミン価(固形分換
算したときのアミン価)は、特に限定されないが、5〜200KOHmg/gであるのが
好ましく、25〜170KOHmg/gであるのがより好ましく、30〜130KOHm
g/gであるのがさらに好ましい。アミン価分散剤のアミン価が前記範囲内の値であると
、酸価分散剤と併用した場合における顔料の分散安定性を特に優れたものとすることがで
き、また、酸価分散剤と併用した場合におけるカラーフィルター用インクの粘度の低減、
安定化効果をより顕著に得ることができる。なお、分散剤についてのアミン価は、例えば
、DIN 16945に準拠する方法により求めることができる。
【0130】
また、アミン価分散剤は、所定の酸価を有していないもの、すなわち、酸価が零である
のが好ましい。
また、酸価分散剤とアミン価分散剤とを併用する場合、カラーフィルター用インク中に
おける酸価分散剤の含有率をX[wt%]、当該カラーフィルター用インク中における
アミン価分散剤の含有率をX[wt%]としたとき、0.1≦X/X≦1の関係を
満足するのが好ましく、0.15≦X/X≦0.5の関係を満足するのがより好まし
い。このような関係を満足することにより、酸価分散剤とアミン価分散剤とを併用するこ
とによる相乗効果がより顕著に発揮され、液滴の吐出安定性等を特に優れたものとするこ
とができる。
また、分散剤としては、上記以外の分散剤を用いてもよい。
カラーフィルター用インク中における分散剤の含有率は、0.5〜15wt%であるの
が好ましく、0.5〜8wt%であるのがより好ましい。
【0131】
<その他の成分>
本発明のカラーフィルター用インクは、上記以外の成分を含むものであってもよい。こ
のような成分としては、例えば、各種架橋剤;ジアゾニウム塩、ヨードニウム塩、スルホ
ニウム塩、ホスホニウム塩、セレニウム塩、オキソニウム塩、アンモニウム塩、ベンゾチ
アゾリウム塩等のオニウム塩等の熱酸発生剤;ジアゾニウム塩、ヨードニウム塩、スルホ
ニウム塩、ホスホニウム塩、セレニウム塩、オキソニウム塩、アンモニウム塩等の光酸発
生剤;各種重合開始剤;酸架橋剤;界面活性剤;増感剤;光安定剤;各種染料;発光材料
;レベリング剤;酸化防止剤;紫外線吸収剤;接着性改良剤;各種重合促進剤;各種光安
定化剤;ガラス、アルミナ等の充填剤;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシ
シラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、N−(2−アミノエチル)−3
−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロ
ピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプ
ロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−(
3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルメチ
ルジメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロ
ピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等の密着促進剤;
2,2−チオビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,6−ジ−t−ブチル
フェノール等の酸化防止剤;2−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニ
ル)−5−クロロベンゾトリアゾール、アルコキシベンゾフェノン等の紫外線吸収剤;ポ
リアクリル酸ナトリウム等の凝集防止剤等が挙げられる。
【0132】
架橋剤としては、例えば、多価カルボン酸無水物、多価カルボン酸、多官能エポキシモ
ノマー、多官能アクリルモノマー、多官能ビニルエーテルモノマー、多官能オキセタンモ
ノマー等を用いることができる。多価カルボン酸無水物の具体例としては、無水フタル酸
、無水イタコン酸、無水コハク酸、無水シトラコン酸、無水ドデセニルコハク酸、無水ト
リカルバリル酸、無水マレイン酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水ジメチルテトラヒド
ロフタル酸、無水ハイミック酸、無水ナジン酸等の脂肪族または脂環族ジカルボン酸無水
物;1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸二無水物、シクロペンタンテトラカルボン
酸二無水物等の脂肪族多価カルボン酸二無水物;無水ピロメリット酸、無水トリメリット
酸、無水ベンゾフェノンテトラカルボン酸等の芳香族多価カルボン酸無水物;エチレング
リコールビストリメリテイト、グリセリントリストリメリテイト等のエステル基含有酸無
水物が挙げられるが、中でも、芳香族多価カルボン酸無水物が好ましい。また、市販のカ
ルボン酸無水物からなるエポキシ樹脂硬化剤も好適に用いることができる。また、多価カ
ルボン酸の具体例としては、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ブタンテトラカルボン
酸、マレイン酸、イタコン酸等の脂肪族多価カルボン酸;ヘキサヒドロフタル酸、1,2
−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、シクロペ
ンタンテトラカルボン酸等の脂肪族多価カルボン酸、およびフタル酸、イソフタル酸、テ
レフタル酸、ピロメリット酸、トリメリット酸、1,4,5,8−ナフタレンテトラカル
ボン酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸等の芳香族多価カルボン酸が挙げられるが、中
でも、芳香族多価カルボン酸が好ましい。また、多官能エポキシモノマーの具体例として
は、ダイセル化学工業株式会社製、商品名セロキサイド2021、ダイセル化学工業株式
会社製、商品名エポリードGT401、ダイセル化学工業株式会社製、商品名エポリード
PB3600、ビスフェノールA、水添ビスフェノールA、イソシアヌル酸トリグリシジ
ル等が挙げられる。また、多官能アクリルモノマーの具体例としては、ペンタエリスリト
ールエトキシテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエ
リスリトールトリアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、トリメ
チロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパンエトキシトリアクリレート
、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートトリメタリルイソシアヌレート、トリアリ
ルイソシアヌレート等が挙げられる。また、多官能ビニルエーテルモノマーの具体例とし
ては、1,4−ブタンジオールジビニルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジビニルエ
ーテル、ノナンジオールジビニルエーテル、シキロヘキサンジオールジビニルエーテル、
シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテ
ル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル、ペンタエリスリトールテトラビニルエ
ーテル等が挙げられる。また、多官能オキセタンモノマーの具体例としては、キシリレン
ジオキセタン、ビフェニル型オキセタン、ノボラック型オキセタン等が挙げられる。
【0133】
レベリング剤は、インクの表面張力を低下させることにより、インクの表面を平滑化し
、着色部を平坦化させるものである。このため、インクがレベリング剤を有することによ
り、長期にわたって低粘度で流動性を維持する上述したような樹脂材料の効果と相乗的に
作用し、セル中のインクの表面がより平坦になる。このため、形成される着色部はより平
坦なものとなる。
【0134】
このようなレベリング剤としては、アクリル系レベリング剤、ビニルエーテル系レベリ
ング剤、シリコーン系レベリング剤、フッ素−ケイ素系レベリング剤、アセチレングリコ
ール系レベリング剤等が挙げられ、これらのうち、1種または2種以上を組み合わせて用
いることができる。レベリング剤の具体例としては、OX−880EF、OX−881、
OX−883、OX−883HF、OX−70、OX−77EF、OX−60、OX−7
10、OX−720、OX−720EF、OX−750HF、LAP−10、LAP−2
0、LAP−30、1970、230、LF−1970、LF−1980、LF−198
2、LF−1983、LF−1984、LF−1985、LHP−95、LHP−96、
UVX−35、UVX−36、UVX−39、AQ−200(以上、楠本化成社製)BY
K−350、BYK−352、BYK−354、BYK−355、BYK−358N/3
61N、BYK−380N、BYK−381、BYK−392(以上、ビックケミー・ジ
ャパン製)等のアクリル系レベリング剤、LHP−90、LHP−91(楠本化成(株)
製)等のビニルエーテル系レベリング剤、BYK−307、BYK−300、BYK−3
02、BYK−306、BYK−330、BYK−331、BYK−344、BYK−s
ilclean3700(以上、ビックケミー・ジャパン社製)、KP−321、KP−
324(以上、信越化学工業社製)等のシリコーン系レベリング剤、メガファックF−4
43,F−444,F−445,F−446,F−470,F−471,F−472SF
,F−474,F−475,F−477,F−478,F−479,F−480SF,F
−482,F−483,F−484,F−486,F−487,F−489(以上、大日
本インキ化学工業社製)等のフッ素−ケイ素系レベリング剤、サーフィノール104、サ
ーフィノール82、サーフィノール2502、サーフィノール420、サーフィノール4
40、サーフィノール465、サーフィノール485、サーフィノール104E、サーフ
ィノール104H、サーフィノール104A、サーフィノール104BC、サーフィノー
ル104DPM、サーフィノール104PA、サーフィノール104PG−50、サーフ
ィノール104S、サーフィノールSE、サーフィノールSE−F、サーフィノール50
4、サーフィノール61、サーフィノール2502、サーフィノール82、サーフィノー
ルDF110D、サーフィノールDF37、サーフィノールDF58、サーフィノールD
F75、サーフィノールDF210、サーフィノールCT111、サーフィノールCT1
21、サーフィノールCT131、サーフィノールCT136、サーフィノールCT15
1、サーフィノールTG、サーフィノールGA、サーフィノールPSA−336、ダイノ
ール604、エンバイロジェムAD−01、オルフィンE1004、オルフィンE101
0、オルフィンPD−001、オルフィンPD−002W、オルフィンPD−004、オ
ルフィンEXP.4001、オルフィンEXP.4036、オルフィンEXP.4051
F、オルフィンSPC、オルフィンAF−103、オルフィンAF−104、オルフィン
AK−02、オルフィンSK−14、オルフィンAE−3、オルフィンPD−003、オ
ルフィンPD−201、オルフィンPD−202、オルフィンPD−301、オルフィン
B、オルフィンP、オルフィンY、オルフィンA、オルフィンSTG、オルフィンSPC
(以上、日信化学工業(株)社製)等のアセチレングリコール系レベリング剤、ノベック
FC−4430、ノベックFC−4432(以上、住友スリーエム(株)製);フォスフ
ァノールML−200、フォスファノールML−220、フォスファノールRD−510
Y、フォスファノールRS−410、フォスファノールRS−610、フォスファノール
RS−710、フォスファノールRL−210、フォスファノールRL−310、フォス
ファノールRB−410、フォスファノールRD−720N(以上、東邦化学工業(株)
社製);Lanco Flow L、Lanco Flow U、SOLSPERSE20000(以上、Lubrizol Deutschland G
mbH社製);フタージェント100、フタージェント100C、フタージェント110、
フタージェント140A、フタージェント150、フタージェント150CH、フタージ
ェントA−K、フタージェント501、フタージェント250、フタージェント251、
フタージェント222F、FTX−218、フタージェント300、フタージェント31
0、フタージェント400SW、フタージェント251、FTX−212M、フタージェ
ント250、FTX−245M、FTX−290M、FTX−207S、FTX−211
S、FTX−220S、FTS−230S、FTX−209F、FTX−213F、フタ
ージェント222F、FTX−233F、FTX−245F、FTX−208G、FTX
−218G、FTX−230G、FTS−240G、FTX−204D、FTX−208
D、FTX−212D、FTX−216D、FTX−218D、FTX−220D、FT
X−222D、FTX−720C、FTX−740C(以上、(株)ネオス社製);サー
フロンS−111n、サーフロンS−113、サーフロンS−121、サーフロンS−1
31、サーフロンS−132、サーフロンS−141、サーフロンS−145、サーフロ
ンS−381、サーフロンS−383、サーフロンS−393、サーフロンSC−101
、サーフロンKH−40、サーフロンSA−100(以上、AGCセイミケミカル(株)
社製);ユニダインDS−401、ユニダインDS−403、ユニダインNS−1602
、ユニダインNS−1603、ユニダインNS−1605(以上、日進化成(株)社製)
等が挙げられる。このようなレベリング剤の中でも、アクリル系レベリング剤、ビニルエ
ーテル系レベリング剤、アセチレングリコール系レベリング剤を用いることが好ましい。
特に、サーフィノールDF−58、LHP−95、LHP−90、LF1970から選択
される1種または2種以上を組み合わせて用いるのが好ましい。これにより、形成される
着色部の表面がより平坦化され、得られるカラーフィルターは、各部位での色むら、濃度
むらが特に小さいものとなる。
【0135】
酸化防止剤は、カラーフィルター用インクの酸化等による変質を防止するとともに、カ
ラーフィルター用インクによって形成された着色部内において顔料や樹脂材料等の熱や光
等による劣化を防止することができる。特に、赤色の着色剤は、緑、青等の着色剤と比較
して光、熱等によって変質しやすい傾向にあるが、赤色の着色剤とともに酸化防止剤を用
いることにより、好適に赤色の着色剤の変質を防止することができる。
【0136】
酸化防止剤としては、各種リン系酸化防止剤;各種イオウ系酸化防止剤;IRGANO
X 1010、IRGANOX 1035、IRGANOX 1076、IRGANOX
1135、IRGANOX 1520L(以上、チバジャパン株式会社製)等の各種ヒ
ンダードフェノール系酸化防止剤;TINUVIN 111FDL、TINUVIN 1
23、TINUVIN 144、TINUVIN 152、TINUVIN 292、T
INUVIN 5100、TINUVIN 5050、TINUVIN 5060、TI
NUVIN 5151(以上、チバジャパン株式会社製)等の各種ヒンダーアミン系酸化
防止剤等の各種酸化防止剤を1種または2種以上組み合わせて用いることができる。この
中でも、ヒンダードアミン系酸化防止剤、ヒンダードフェノール系酸化防止剤のうち少な
くとも一種を用いることが好ましく、ヒンダードフェノール系酸化防止剤を用いることが
より好ましく、TINUVIN152を用いることがさらに好ましい。このような酸化防
止剤は、好適にカラーフィルター用インク、着色部の変質を効果的に防止するとともに、
カラーフィルター用インク中における顔料の分散性に影響しにくく、かつ、形成される着
色部において、色、明度、コントラスト比等の光学特性に影響しにくいものである。
【0137】
紫外線吸収剤は、着色部において、紫外線を吸収することにより、着色部の他の成分の
劣化を防止する機能を有する。このような紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン系紫外
線吸収剤、サリチレート系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤等の各種紫
外線吸収剤を用いることができる。
熱酸発生剤は、加熱により酸を発生する成分であり、前記の中でも、特に、スルホニウ
ム塩およびベンゾチアゾリウム塩が好ましい。熱酸発生剤のより具体的な例としては、商
品名として、サンエイドSI−45、同左SI−47、同左SI−60、同左SI−60
L、同左SI−80、同左SI−80L、同左SI−100、同左SI−100L、同左
SI−145、同左SI−150、同左SI−160、同左SI−110L、同左SI−
180L(以上、三新化学工業社製品、商品名)、CI−2921、CI−2920、C
I−2946、CI−3128、CI−2624、CI−2639、CI−2064(以
上、日本曹達(株)社製品、商品名)、CP−66、CP−77(旭電化工業社製品、商
品名)、FC−520(3M社製品、商品名)等が挙げられる。
【0138】
光酸発生剤は、光により酸を発生する成分であり、より具体的な例としては、商品名と
して、サイラキュアUVI−6970、サイラキュアUVI−6974、サイラキュアU
VI−6990、サイラキュアUVI−950(以上、米国ユニオンカーバイド社製、商
品名)、イルガキュア261(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、商品名)、SP
−150、SP−151、SP−170、オプトマーSP−171(以上、旭電化工業株
式会社製、商品名)、CG−24−61(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、商品
名)、DAICATII(ダイセル化学工業社製、商品名)、UVAC1591(ダイセル
・ユーシービー(株)社製、商品名)、CI−2064、CI−2639、CI−262
4、CI−2481、CI−2734、CI−2855、CI−2823、CI−275
8(以上、日本曹達社製品、商品名)、PI−2074(ローヌプーラン社製、商品名、
ペンタフルオロフェニルボレートトルイルクミルヨードニウム塩)、FFC509(3M
社製品、商品名)、BBI−102、BBI−101、BBI−103、MPI−103
、TPS−103、MDS−103、DTS−103、NAT−103、NDS−103
(ミドリ化学社製、商品名)、CD−1012(米国、Sartomer社製、商品名)等が挙げ
られる。
【0139】
また、カラーフィルター用インクには、ポリアルキレングリコールが含まれていてもよ
い。ポリアルキレングリコールは、着色部の形成時において、カラーフィルター用インク
のチキソトロピック性を低下させることにより、カラーフィルター用インクの流動性を維
持することができ、この結果、着色部の平坦化に寄与することができる。また、ポリアル
キレングリコールは、着色部形成時において加熱されることにより除去される。
【0140】
ポリアルキレングリコールを構成するグリコール類としては、例えば、エチレングリコ
ール、1,2−プロピレングリコール等のプロピレングリコール、各種ブチレングリコー
ル、各種ペンチレングリコール、各種ヘキシレングリコール等が挙げられ、これらのうち
1種または2種以上を組みあわて用いることができる。これらのうち、エチレングリコー
ルのオリゴマーまたは、1,2−プロピレングリコールのオリゴマーを用いることが好ま
しい。
【0141】
また、ポリアルキレングリコールは、水酸基を有することが好ましい。例えば、末端の
水酸基は、置換されていないことが好ましい。このように、ポリアルキレングリコールが
水酸基を有することで、インクのチキソトロピック性をより低下させることができる。ま
た、カラーフィルター用インクの後述するような基板(特にガラス基板)への親和性が優
れたものとなり、カラーフィルター用インクは、セル中に好適に濡れ広がることができる

【0142】
ポリアルキレングリコールの重合度は、3〜40であることが好ましく、3〜20であ
ることがより好ましい。これにより、カラーフィルター用インクのチキソトロピック性を
十分に低下させることができる。
また、ポリアルキレングリコールの重量平均分子量は150〜2000であることが好
ましく、180〜1000であることがより好ましく、180〜500であることがさら
に好ましい。これにより、カラーフィルター用インクのチキソトロピック性を十分に低下
させることができる。
【0143】
カラーフィルター用インクの25℃における粘度(振動式粘度計を用いて測定される粘
度)は、特に限定されないが、4〜10mPa・sであるのが好ましく、5〜9.5mP
a・sであるのがより好ましい。カラーフィルター用インクの粘度が前記範囲内の値であ
ると、後述するようなインクジェット方式による液滴吐出において、吐出されるカラーフ
ィルター用インクの液適量のばらつきを特に小さいものとしつつ、液滴吐出ヘッドにおけ
る目詰まりの発生等をより確実に防止することができる。なお、カラーフィルター用イン
クの粘度の測定は、例えば、振動式粘度計を用いて行うことができ、特に、JIS Z8
809に準拠して行うことができる。
【0144】
≪カラーフィルター用インクの製造方法≫
次に、上述したようなカラーフィルター用インクの製造方法、特に、着色剤として顔料
を含むカラーフィルター用インクの製造方法の好適な実施形態について、説明する。
本実施形態の製造方法は、分散剤と、溶剤とを含む混合物を攪拌することにより、溶剤
中に分散剤を分散させた分散剤分散液を得る予備分散工程と、分散剤分散液に顔料を添加
し、無機ビーズを多段で添加して微分散処理を行い、顔料分散体を得る微分散工程と、顔
料分散体と化合物S、重合体M等の樹脂材料を構成する成分とを混合する混合工程とを有
する。
【0145】
<予備分散工程>
予備分散工程においては、分散剤と、溶剤とを含む混合物を攪拌することにより、溶剤
中に分散剤を分散させた分散剤分散液を調製する。これにより、分散剤の会合状態を解い
た(ほぐした)状態とすることができる。ところで、上述した酸価分散剤およびアミン価
分散剤は、本来、互いに電気的に引き付け合い易いという性質を有しているが、本実施形
態のように、顔料の微分散(微分散工程)に先立って予備分散工程を行うことにより、顔
料粒子の表面に、分散剤として酸価分散剤およびアミン価分散剤を用いた場合であっても
、酸価分散剤およびアミン価分散剤を、会合状態を十分に解いた状態で、均一かつ安定的
に付着させることができ、分散剤同士の凝集、顔料粒子同士の凝集等を確実に防止するこ
とができ、顔料の分散安定性を特に優れたものとすることができる。
【0146】
なお、本実施形態の方法により、カラーフィルター用インクを、重合体Nを含むものと
して調製する場合、本工程において、重合体Nを用いるのが好ましい。これにより、後述
する微分散工程で、分散剤分散液中に添加された顔料粒子(微分散されていない比較的粒
径の大きい顔料粒子)の表面に、分散剤および重合体Nを付着させ、当該顔料粒子(微分
散されていない比較的粒径の大きい顔料粒子)の分散剤分散液中における分散性を優れた
ものとすることができる。これにより、微分散工程における微分散処理を効率よく行うこ
とができ、カラーフィルター用インクの生産性を特に優れたものとすることができるとと
もに、最終的に得られるカラーフィルター用インク中における顔料粒子(微分散された顔
料微粒子)の長期分散安定性、液滴の吐出安定性を特に優れたものとすることができる。
【0147】
本工程で調製する分散剤分散液中における分散剤の含有率(複数種の分散剤を含む場合
は、その含有率の総和)は、特に限定されないが、10〜40wt%であるのが好ましく
、12〜32wt%であるのがより好ましい。分散剤の含有率が前記範囲内の値であると
、前述したような効果がより顕著に発揮される。
また、本工程で調製する分散剤分散液中における溶剤の含有率は、特に限定されないが
、40〜80wt%であるのが好ましく、53〜75wt%であるのがより好ましい。溶
剤の含有率が前記範囲内の値であると、前述したような効果がより顕著に発揮される。
【0148】
本工程では、各種攪拌機を用いて上記各成分の混合物を攪拌することにより、分散剤分
散液を得る。
本工程で用いることのできる攪拌機としては、例えば、ディスパーミル等の一軸または
二軸ミキサー等が挙げられる。
攪拌機を用いた攪拌処理時間は、特に限定されないが、1〜30分間であるのが好まし
く、3〜20分間であるのがより好ましい。
また、本工程での攪拌機が有する攪拌翼の回転数は、特に限定されないが、500〜4
000rpmであるのが好ましく、800〜3000rpmであるのがより好ましい。
【0149】
<微分散工程>
次に、上記工程で得られた分散剤分散液に顔料を添加し、無機ビーズを多段で添加して
微分散処理を行う(微分散工程)。
このように、本実施形態では、顔料を添加するのに先立ち、上記のような予備分散工程
を設けるとともに、顔料を微分散させる工程(微分散工程)において無機ビーズを多段で
添加する。微分散工程において、無機ビーズを多段で添加することにより、顔料の微粒化
の効率を優れたものとすることができ、最終的に得られるカラーフィルター用インク中に
おける顔料粒子を十分に小さいものとすることができる。このようにして最終的に得られ
るカラーフィルター用インクは、顔料の分散安定性、および、液滴の吐出安定性が、非常
に優れたものとなり、非常に優れたコントラストのカラーフィルターの製造に用いること
ができるもののとなる。
【0150】
本工程は、無機ビーズを多段で添加することにより行うものであればよく、3段以上に
分けて無機ビーズを添加するものであってもよいが、無機ビーズを2段で添加するのが好
ましい。これにより、最終的に得られるカラーフィルター用インク中における顔料粒子の
長期分散安定性を十分に優れたものとしつつ、カラーフィルター用インクの生産性を特に
優れたものとすることができる。
【0151】
以下の説明では、無機ビーズを2段で添加する方法、すなわち、微分散工程において、
第1の無機ビーズを用いた第1の処理と、第2の無機ビーズを用いた第2の処理とを行う
方法について、代表的に説明する。
本工程で用いる無機ビーズ(第1の無機ビーズ、第2の無機ビーズ)は、無機材料で構
成されたものであればいかなる材料で構成されたものであってもよいが、無機ビーズの好
適な例としては、ジルコニア製のビーズ(例えば、Toray ceram 粉砕ボール
(商品名)、株式会社東レ製)等が挙げられる。
【0152】
[第1の処理]
本工程では、まず、前述した予備分散工程で調製した分散剤分散液に顔料を添加し、所
定の粒径の第1の無機ビーズを用いて一次微分散する第1の処理を行う。
第1の処理で用いる第1の無機ビーズは、第2の処理で用いる第2の無機ビーズよりも
粒径の大きいものであるのが好ましい。
【0153】
第1の無機ビーズの平均粒径は、特に限定されないが、0.5〜3.0mmであるのが
好ましく、0.5〜2.0mmであるのがより好ましく、0.5〜1.2mmであるのが
さらに好ましい。第1の無機ビーズの平均粒径が前記範囲内の値であると、微分散工程全
体としての、顔料の微粒化(微分散)の効率を、特に優れたものとすることができる。
第1の無機ビーズの使用量は、特に限定されないが、分散剤分散液:100重量部に対
し、100〜600重量部であるのが好ましく、200〜500重量部であるのがより好
ましい。
【0154】
分散剤分散液に添加する顔料の使用量は、特に限定されないが、分散剤分散液:100
重量部に対し、12重量部以上であるのが好ましく、18〜35重量部であるのがより好
ましい。
第1の処理は、顔料、第1の無機ビーズを分散剤分散液に添加した状態で、各種攪拌機
を用いて攪拌することにより行うことができる。
【0155】
第1の処理で用いることのできる攪拌機としては、例えば、パールミル等のメディア型
分散機や、ディスパーミル等の一軸または二軸ミキサー等が挙げられる。
攪拌機を用いた攪拌処理時間(第1の処理の処理時間)は、特に限定されないが、10
〜120分間であるのが好ましく、15〜40分間であるのがより好ましい。
また、第1の処理での攪拌機が有する攪拌翼の回転数は、特に限定されないが、100
0〜5000rpmであるのが好ましく、1200〜3800rpmであるのがより好ま
しい。
【0156】
[第2の処理]
第1の処理を行った後、第2の無機ビーズを用いた第2の処理を行う。これにより、顔
料粒子が十分に微分散した顔料分散体が得られる。
第2の処理は第1の無機ビーズを含む状態で行うものであってもよいが、第2の処理に
先立ち、第1の無機ビーズを除去するのが好ましい。第1の無機ビーズの除去は、例えば
、ろ過等の方法により、容易かつ確実に行うことができる。
【0157】
第2の処理で用いる第2の無機ビーズは、第1の処理で用いる第1の無機ビーズよりも
粒径の小さいものであるのが好ましい。これにより、最終的に得られるカラーフィルター
用インク中における顔料を、十分に微粒化(微分散)させたものとすることができる。
第2の無機ビーズの平均粒径は、特に限定されないが、0.03〜0.3mmであるの
が好ましく、0.05〜0.2mmであるのがより好ましい。第2の無機ビーズの平均粒
径が前記範囲内の値であると、微分散工程全体としての、顔料の微粒化(微分散)の効率
を、特に優れたものとすることができる。
【0158】
第2の無機ビーズの使用量は、特に限定されないが、分散剤分散液:100重量部に対
し、100〜600重量部であるのが好ましく、200〜500重量部であるのがより好
ましい。
第2の処理は、各種攪拌機を用いて行うことができる。
第2の処理で用いることのできる攪拌機としては、例えば、パールミル等のメディア型
分散機や、ディスパーミル等の一軸または二軸ミキサー等が挙げられる。
【0159】
攪拌機を用いた攪拌処理時間(第2の処理の処理時間)は、特に限定されないが、10
〜120分間であるのが好ましく、15〜40分間であるのがより好ましい。
また、第2の処理での攪拌機が有する攪拌翼の回転数は、特に限定されないが、100
0〜5000rpmであるのが好ましく、1200〜3800rpmであるのがより好ま
しい。
【0160】
上記の説明では、微分散処理を2段で行う場合について中心的に説明したが、3段以上
の処理を行ってもよい。このような場合、後の処理で用いる無機ビーズの方が、先の処理
で用いる無機ビーズよりも小粒径であるのが好ましい。言い換えると、n段目の処理で用
いる無機ビーズ(第nの無機ビーズ)の平均粒径は、(n−1)段目の処理で用いる無機
ビーズ(第(n−1)の無機ビーズ)の平均粒径よりも小さいものであるのが好ましい。
なお、微分散工程(例えば、第1の処理、第2の処理)においては、必要に応じて、例
えば、溶剤による希釈等の処理を行ってもよい。
【0161】
<混合工程>
上記のような微分散工程で得られた顔料分散体を、化合物Sおよび重合体M等の樹脂材
料を構成する成分と混合する(混合工程)。これにより、カラーフィルター用インクが得
られる。
本工程は、第2の処理で用いた第2の無機ビーズを除去した状態で行うのが好ましい。
第2の無機ビーズの除去は、例えば、ろ過等の方法により、容易かつ確実に行うことがで
きる。
【0162】
本工程は、各種攪拌機を用いて行うことができる。
本工程で用いることのできる攪拌機としては、例えば、ディスパーミル等の一軸または
二軸ミキサー等が挙げられる。
攪拌機を用いた攪拌処理時間(本工程の処理時間)は、特に限定されないが、1〜60
分間であるのが好ましく、15〜40分間であるのがより好ましい。
【0163】
また、本工程での攪拌機が有する攪拌翼の回転数は、特に限定されないが、1000〜
5000rpmであるのが好ましく、1200〜3800rpmであるのがより好ましい

なお、本工程では、前記工程で用いた溶剤とは異なる組成の液体を添加してもよい。こ
れにより、前述した予備分散工程での分散剤の分散、および、微分散工程での顔料粒子の
微分散を好適に行いつつ、所望の特性を有するカラーフィルター用インクを確実に得るこ
とができる。
また、本工程においては、混合に先立って、または、混合の後に、前記工程で用いた溶
剤の少なくとも一部を除去してもよい。溶剤の除去は、例えば、対象とする液体を、減圧
雰囲気下に置いたり、加熱したりすることにより行うことができる。
【0164】
《インクセット》
上述したようなカラーフィルター用インクは、インクジェット方式によるカラーフィル
ターの製造に用いられるものである。カラーフィルターは、通常、フルカラー表示に対応
するため、複数色の着色部(通常は、光の三原色に対応するRGBの3色)を有している
。そして、これら複数色の着色部の形成には、それぞれに対応する色の複数種のカラーフ
ィルター用インクが用いられる。すなわち、カラーフィルターの製造には、複数色のカラ
ーフィルター用インクを備えるインクセットが用いられる。本発明においては、カラーフ
ィルターの製造において、上述したようなカラーフィルター用インクが、少なくとも1種
の着色部の形成に用いられるものであればよいが、全色の着色部の形成に用いられるのが
好ましい。
【0165】
より具体的には、本発明のカラーフィルター用インクセットは、赤色の着色剤(特に、
赤色の顔料)を含む赤色インクと、緑色の着色剤(特に、緑色の顔料)を含む緑色インク
と、青色の着色剤(特に、青色の顔料)を含む青色インクとを備えたものであるのが好ま
しい。これにより、カラーフィルター用インクセットを用いて製造されるカラーフィルタ
ーの色再現域を特に広いものとすることができる。また、カラーフィルターにおいて、各
色間での輝度バランスを容易に調整することができ、特に優れた画質の画像を好適に表示
することができる。
【0166】
《カラーフィルター》
次に、上述したようなカラーフィルター用インク(インクセット)を用いて製造される
カラーフィルターの一例について説明する。
図1は、本発明のカラーフィルターの好適な実施形態を示す断面図である。
図1に示すように、カラーフィルター1は、基板11と、上述したカラーフィルター用
インクを用いて成形された着色部12とを備えている。着色部12としては、互いに異な
る色の第1の着色部12A、第2の着色部12B、および第3の着色部12Cが設けられ
ている。そして、隣接する着色部12の間には、隔壁13が設けられている。
【0167】
<基板>
基板11は、光透過性を有する板状の部材で、着色部12、隔壁13を保持する機能を
有している。
基板11は、実質的に透明な材料で構成されたものであるのが好ましい。これにより、
カラーフィルター1を透過する光により、より鮮明な画像を形成することができる。
【0168】
また、基板11は、耐熱性、機械的強度に優れたものであるのが好ましい。これにより
、例えば、カラーフィルター1の製造時に加わる熱による変形等を確実に防止することが
できる。このような条件を満足する基板11の構成材料としては、例えば、ガラス、シリ
コン、ポリカーボネート、ポリエステル、芳香族ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリイ
ミド、ノルボルネン系開環重合体やその水素添加物等が挙げられる。
【0169】
<着色部>
着色部12は、上述したようなカラーフィルター用インク(カラーフィルター用インク
セット)を用いて形成されたものである。
着色部12は、上述したようなカラーフィルター用インク(カラーフィルター用インク
セット)を用いて形成されたものであるため、耐熱性、耐薬品性、コントラスト比および
明度に優れた、信頼性が高いものとなっている。
【0170】
各着色部12は、後述する隔壁13により囲まれた領域であるセル14内に設けられて
いる。
第1の着色部12A、第2の着色部12B、および第3の着色部12Cは、互いに異な
る色のものである。例えば、第1の着色部12Aを赤色フィルター領域(R)、第2の着
色部12Bを緑色フィルター領域(G)、第3の着色部12Cを青色フィルター領域(B
)とすることができる。
【0171】
そして、一組の異なる色の着色部12A、12B、12Cで1画素を構成している。そ
して、カラーフィルター1においては、その横方向および縦方向に、着色部12が所定数
配置されている。例えば、カラーフィルター1が、ハイビジョン用のカラーフィルターで
ある場合には1366×768個の画素が配置されており、フルハイビジョン用のカラー
フィルターである場合には1920×1080個の画素が配置されており、スーパーハイ
ビジョン用のカラーフィルターである場合には7680×4320個の画素が配置されて
いる。なお、カラーフィルター1は、例えば、有効領域外に予備の画素を備えたものであ
ってもよい。
【0172】
<隔壁>
隣接する着色部12の間には、隔壁(バンク)13が設けられている。これにより、隣
接する着色部12同士が混色してしまうのを確実に防止することができ、その結果、鮮明
な画像を確実に表示することができる。
隔壁13は、透明な材料で構成されたものであってもよいが、遮光性を有する材料で構
成されたものであるのが好ましい。これにより、コントラストに優れた画像を表示するこ
とができる。隔壁(遮光部)13の色は、特に限定されないが、黒色であるのが好ましい
。これにより、表示される画像のコントラストを特に優れたものとすることができる。
【0173】
隔壁13の高さは、特に限定されないが、着色部12の膜厚とほぼ同じであることが好
ましい。隔壁13の具体的な厚さは、0.1〜10μmであるのが好ましく、0.5〜3
.5μmであるのがより好ましい。これにより、カラーフィルター1を備えた画像表示装
置、電子機器における視野角特性を優れたものとすることができる。
隔壁13は、いかなる材料で構成されたものであってもよいが、例えば、主として硬化
性樹脂材料で構成されたものであるのが好ましい。これにより、後述するような方法で、
隔壁13を容易に所望の形状を有するものとして形成することができる。また、隔壁13
が遮光部としての機能を有するものである場合、その構成材料として、カーボンブラック
等の光吸収性の材料を含むものであってもよい。
【0174】
《カラーフィルターの製造方法》
次に、上述したようなカラーフィルター1の製造方法の一例について説明する。
図2は、カラーフィルターの製造方法を示す断面図、図3は、カラーフィルターの製造
に用いる液滴吐出装置を示す斜視図、図4は、図3に示す液滴吐出装置における液滴吐出
手段をステージ側から観察した図、図5は、図3に示す液滴吐出装置における液滴吐出ヘ
ッドの底面を示す図、図6は、図3に示す液滴吐出装置における液滴吐出ヘッドを示す図
であり、(a)は断面斜視図、(b)は断面図である。
【0175】
図2に示すように、本実施形態では、基板11を準備する基板準備工程(1a)と、基
板11上に隔壁13を形成する隔壁形成工程(1b、1c)と、インクジェット方式によ
りカラーフィルター用インク2を隔壁13で囲まれた領域に付与するインク付与工程(1
d)と、カラーフィルター用インク2から液性媒体を除去し、樹脂材料を硬化させること
により固形状の着色部12とする着色部形成工程(1e)とを有している。
【0176】
<基板準備工程>
まず、基板11を準備する(1a)。本工程で準備する基板11は、洗浄処理が施され
たものであるのが好ましい。また、本工程で準備する基板11は、シランカップリング剤
等による薬品処理、プラズマ処理、イオンプレーティング、スパッタリング、気相反応法
、真空蒸着等の適宜の前処理が施されたものであってもよい。
【0177】
<隔壁形成工程>
次に、基板11の隔壁形成用の感放射線性組成物を基板11の一方の面のほぼ全体に付
与し、塗膜3を形成する(1b)。なお、基板11上に感放射線性組成物を付与した後、
必要に応じて、プリベーク処理を行ってもよい。プリベーク処理は、例えば、加熱温度:
50〜150℃、加熱時間:30〜600秒という条件で行うことができる。
【0178】
その後、フォトマスクを介して、放射線を照射して、ポストエキスポジャーベーク処理
(PEB)を行い、さらに、アルカリ現像液を用いた現像処理を行うことにより、隔壁1
3が形成される(1c)。PEBは、例えば、加熱温度:50〜150℃、加熱時間:3
0〜600秒、放射線照射強度:1〜500mJ/cmという条件で行うことができる
。また、現像処理は、例えば、液盛り法、ディッピング法、振動浸漬法等により行うこと
ができ、現像処理時間は、例えば、10〜300秒とすることができる。また、現像処理
の後、必要に応じて、ポストベーク処理を行ってもよい。ポストベーク処理は、例えば、
加熱温度:150〜280℃、加熱時間:3〜120分という条件で行うことができる。
【0179】
<インク付与工程>
次に、インクジェット方式により、カラーフィルター用インク2を、隔壁13で囲まれ
たセル14内に付与する(1d)。
本工程は、形成すべき複数色の着色部12に対応する複数種のカラーフィルター用イン
ク2を用いて行う。この際、隔壁13が設けられているため、2種以上のカラーフィルタ
ー用インク2が混ざり合うことが確実に防止される。
【0180】
また、上述したようにカラーフィルター用インク2は、前記樹脂材料(重合体M、化合
物S)を含むものであり、粘度が比較的低いため、液滴の吐出安定性に優れている。この
ため、製造すべきカラーフィルター1が大型のものである場合や、多数枚のカラーフィル
ター1を連続的に製造する場合であっても、飛行曲がり等の問題の発生を確実に防止しし
つつ、液滴の吐出量を容易かつ確実に制御することができる。その結果、製造されるカラ
ーフィルター1における混色、色むら・濃度むら、コントラスト比の低下等の問題の発生
を確実に防止することができる。
カラーフィルター用インク2の吐出は、図3〜図6に示すような液滴吐出装置を用いて
行う。
【0181】
図3に示すように、本工程で用いる液滴吐出装置100は、カラーフィルター用インク
2を保持するタンク101と、チューブ110と、チューブ110を介してタンク101
からカラーフィルター用インク2が供給される吐出走査部102とを備える。吐出走査部
102は、複数の液滴吐出ヘッド(インクジェットヘッド)114をキャリッジ105に
搭載してなる液滴吐出手段103と、液滴吐出手段103の位置を制御する第1位置制御
装置104(移動手段)と、前記工程で隔壁13が形成された基板11(以下、単に「基
板11」とも言う。)を保持するステージ106と、ステージ106の位置を制御する第
2位置制御装置108(移動手段)と、制御手段112とを備えている。タンク101と
、液滴吐出手段103における複数の液滴吐出ヘッド114とは、チューブ110で連結
されており、タンク101から複数の液滴吐出ヘッド114のそれぞれにカラーフィルタ
ー用インク2が圧縮空気によって供給される。
【0182】
第1位置制御装置104は、制御手段112からの信号に応じて、液滴吐出手段103
をX軸方向、およびX軸方向に直交するZ軸方向に沿って移動させる。さらに、第1位置
制御装置104は、Z軸に平行な軸の回りで液滴吐出手段103を回転させる機能も有す
る。本実施形態では、Z軸方向は、鉛直方向(つまり重力加速度の方向)に平行な方向で
ある。第2位置制御装置108は、制御手段112からの信号に応じて、X軸方向および
Z軸方向の双方に直交するY軸方向に沿ってステージ106を移動させる。さらに、第2
位置制御装置108は、Z軸に平行な軸の回りでステージ106を回転させる機能も有す
る。
【0183】
ステージ106は、X軸方向とY軸方向との双方に平行な平面を有する。また、ステー
ジ106は、カラーフィルター用インク2を付与すべきセル14を有する基板11をその
平面上に固定、または保持できるように構成されている。
上述のように、液滴吐出手段103は、第1位置制御装置104によってX軸方向に移
動させられる。一方、ステージ106は、第2位置制御装置108によってY軸方向に移
動させられる。つまり、第1位置制御装置104および第2位置制御装置108によって
、ステージ106に対する液滴吐出ヘッド114の相対位置が変わる(ステージ106に
保持された基板11と、液滴吐出手段103とが相対的に移動する)。
【0184】
制御手段112は、カラーフィルター用インク2を吐出すべき相対位置を表す吐出デー
タを外部情報処理装置から受け取るように構成されている。
図4に示すように、液滴吐出手段103は、それぞれほぼ同じ構造を有する複数の液滴
吐出ヘッド114と、これらの液滴吐出ヘッド114を保持するキャリッジ105とを有
している。本実施形態では、液滴吐出手段103に保持される液滴吐出ヘッド114の数
は8個である。それぞれの液滴吐出ヘッド114は、後述する複数のノズル118が設け
られた底面を有している。それぞれの液滴吐出ヘッド114のこの底面の形状は、2つの
長辺と2つの短辺とを有する多角形である。液滴吐出手段103に保持された液滴吐出ヘ
ッド114の底面はステージ106側を向いており、さらに、液滴吐出ヘッド114の長
辺方向と短辺方向とは、それぞれX軸方向とY軸方向とに平行である。
【0185】
図5に示すように、液滴吐出ヘッド114は、X軸方向に並んだ複数のノズル118を
有する。これら複数のノズル118は、液滴吐出ヘッド114におけるX軸方向のノズル
ピッチHXPが所定の値となるように配置されている。ノズルピッチHXPの具体的な値
は、特に限定されないが、例えば、50〜90μmとすることができる。ここで、「液滴
吐出ヘッド114におけるX軸方向のノズルピッチHXP」は、液滴吐出ヘッド114に
おけるノズル118のすべてをY軸方向に沿ってX軸上に射像して得られた複数のノズル
像間のピッチに相当する。
【0186】
本実施形態では、液滴吐出ヘッド114における複数のノズル118は、ともにX軸方
向に延びるノズル列116Aと、ノズル列116Bとをなす。ノズル列116Aと、ノズ
ル列116Bとは、間隔を空けて並行に配置されている。そして、本実施形態においては
、ノズル列116Aおよびノズル列116Bのそれぞれにおいて、90個のノズル118
が一定間隔LNPでX軸方向に一列に並んでいる。LNPの具体的な値は、特に限定され
ないが、100〜180μmとすることができる。
ノズル列116Bの位置は、ノズル列116Aの位置に対して、ノズルピッチLNPの
半分の長さだけX軸方向の正の方向(図5の右方向)にずれている。このため、液滴吐出
ヘッド114のX軸方向のノズルピッチHXPは、ノズル列116A(またはノズル列1
16B)のノズルピッチLNPの半分の長さである。
【0187】
したがって、液滴吐出ヘッド114のX軸方向のノズル線密度は、ノズル列116A(
またはノズル列116B)のノズル線密度の2倍である。なお、本明細書において「X軸
方向のノズル線密度」とは、複数のノズルをY軸方向に沿ってX軸上に射像して得られた
複数のノズル像の単位長さ当たりの数に相当する。もちろん、液滴吐出ヘッド114が含
むノズル列の数は、2つだけに限定されない。液滴吐出ヘッド114はM個のノズル列を
含んでもよい。ここで、Mは1以上の自然数である。この場合には、M個のノズル列のそ
れぞれにおいて複数のノズル118は、ノズルピッチHXPのM倍の長さのピッチで並ぶ
。さらに、Mが2以上の自然数の場合には、M個のノズル列のうちの一つに対して、他の
(M−1)個のノズル列は、ノズルピッチHXPのi倍の長さだけ重複無くX軸方向にず
れている。ここで、iは1から(M−1)までの自然数である。
【0188】
さて、本実施形態では、ノズル列116Aおよびノズル列116Bのそれぞれが90個
のノズル118からなるため、1つの液滴吐出ヘッド114は180個のノズル118を
有する。ただし、ノズル列116Aの両端のそれぞれ5ノズルは「休止ノズル」として設
定されている。同様に、ノズル列116Bの両端のそれぞれ5ノズルも「休止ノズル」と
して設定されている。そして、これら20個の「休止ノズル」からはカラーフィルター用
インク2が吐出されない。このため、液滴吐出ヘッド114における180個のノズル1
18のうち、160個のノズル118がカラーフィルター用インク2を吐出するノズルと
して機能する。
【0189】
図4に示すように、液滴吐出手段103においては、複数個の上記液滴吐出ヘッド11
4がX軸方向に沿って2列に配置されている。一方の列の液滴吐出ヘッド114と他方の
列の液滴吐出ヘッド114とは、休止ノズル分を考慮して、Y軸方向から見て一部重なる
ように配置されている。これにより、液滴吐出手段103においては、基板11のX軸方
向の寸法分の長さに渡り、カラーフィルター用インク2を吐出するノズル118が前記ノ
ズルピッチHXPでX軸方向に連続するように構成されている。
【0190】
本実施形態の液滴吐出手段103では、基板11のX軸方向の寸法分の長さ全体をカバ
ーするように液滴吐出ヘッド114を配置しているが、本発明における液滴吐出手段は、
基板11のX軸方向の寸法分の長さの一部をカバーするようにものでもよい。
図に示すように、それぞれの液滴吐出ヘッド114は、インクジェットヘッドである。
より具体的には、それぞれの液滴吐出ヘッド114は、振動板126と、ノズルプレート
128とを備えている。振動板126と、ノズルプレート128との間には、タンク10
1から孔131を介して供給されるカラーフィルター用インク2が常に充填される液たま
り129が位置している。
【0191】
また、振動板126と、ノズルプレート128との間には、複数の隔壁122が位置し
ている。そして、振動板126と、ノズルプレート128と、1対の隔壁122とによっ
て囲まれた部分がキャビティ120である。キャビティ120はノズル118に対応して
設けられているため、キャビティ120の数とノズル118の数とは同じである。キャビ
ティ120には、1対の隔壁122間に位置する供給口130を介して、液たまり129
からカラーフィルター用インク2が供給される。
【0192】
振動板126上には、それぞれのキャビティ120に対応して、振動子124が位置す
る。振動子124は、ピエゾ素子124Cと、ピエゾ素子124Cを挟む1対の電極12
4A、124Bとを含む。この1対の電極124A、124Bとの間に駆動電圧を与える
ことで、対応するノズル118からカラーフィルター用インク2が吐出される。なお、ノ
ズル118からZ軸方向にカラーフィルター用インク2が吐出されるように、ノズル11
8の形状が調整されている。
【0193】
また、ノズルプレート128は、ステンレスで構成された基材と、基材を覆うようにし
て設けられ主としてシリカ化合物で構成されたシリカ膜と、シリカ膜を覆うようにして設
けられ、フルオロアルキル化合物を含む撥液膜とによって構成されている。
また、シリカ膜は、撥液膜とステンレスの基材とを密着させる機能を有するとともに、
ステンレスの基材を保護する機能を有する。
【0194】
制御手段112(図3参照)は、複数の振動子124のそれぞれに互いに独立に信号を
与えるように構成されていてもよい。つまり、ノズル118から吐出されるカラーフィル
ター用インク2の体積が、制御手段112からの信号に応じてノズル118毎に制御され
てもよい。また、制御手段112は、塗布走査の間に吐出動作を行うノズル118と、吐
出動作を行わないノズル118とを設定することでもできる。
本明細書では、1つのノズル118と、ノズル118に対応するキャビティ120と、
キャビティ120に対応する振動子124とを含んだ部分を「吐出部127」と表記する
こともある。この表記によれば、1つの液滴吐出ヘッド114は、ノズル118の数と同
じ数の吐出部127を有する。
【0195】
上記のような液滴吐出装置100を用いて、カラーフィルター1が有する複数色の着色
部12に対応するカラーフィルター用インク2を、セル14内に付与する。上記のような
装置を用いることにより、セル14内に、効率よくかつ選択的にカラーフィルター用イン
ク2を付与することができる。また、上述したように、カラーフィルター用インク2は、
優れた吐出安定性を有しており、長期間、液滴吐出を行った場合であっても、飛行曲がり
や、液滴の吐出量が不安定化する等の問題が極めて発生しにくいものである。したがって
、異なる色の着色部を形成するのに用いられる複数種のインクが混ざり合って(混色して
)しまったり、本来同一の着色濃度であることが求められる複数個の着色部の間での着色
濃度のばらつきが発生する等の問題を確実に防止することができる。なお、図示の構成で
は、液滴吐出装置100は、カラーフィルター用インク2を保持するタンク101、チュ
ーブ110等を1色分しか有していないが、これらの部材を、カラーフィルター1が有す
る複数色の着色部12に対応する複数色分有するものであってもよい。また、カラーフィ
ルター1の製造においては、複数色のカラーフィルター用インク2に対応する複数の液滴
吐出装置100を用いてもよい。
なお、本発明では、液滴吐出ヘッド114は、駆動素子として、ピエゾ素子の代わりに
静電アクチュエータを用いるものでもよい。また、液滴吐出ヘッド114は、駆動素子と
して電気熱変換素子を用い、この電気熱変換素子による材料の熱膨張を利用してカラーフ
ィルター用インクを吐出する構成であってもよい。
【0196】
<着色部形成工程(硬化工程)>
次に、セル14内のカラーフィルター用インク2から液性媒体を除去し、樹脂材料を硬
化させることにより固形状の着色部12とする(1e)。これにより、カラーフィルター
1が得られる。
本工程は、通常、加熱により行う。本工程を加熱により行うことにより、形成される着
色部12の基板11に対する密着性を特に優れたものとすることができる。また、形成さ
れる着色部12内に液性媒体が残存することを確実に防止することができる。その結果、
カラーフィルター1の耐久性、信頼性を特に優れたものとすることができる。また、カラ
ーフィルター1の生産性も向上する。
【0197】
本工程での加熱温度(加熱された基板11の温度)は、特に限定されないが、100〜
280℃であるのが好ましく、110〜250℃であるのがより好ましい。これにより、
着色部12の構成材料の不本意な劣化・分解等を防止しつつ、樹脂材料の硬化反応を効率
よく進行させ、さらに、カラーフィルター用インク2から好適に液性媒体を除去できる。
また、本工程での加熱時間は、特に限定されないが、30〜190分であることが好ま
しく、40〜130分であることがより好ましい。
【0198】
また、本工程は、温度の異なる複数の加熱処理を行ってもよい。具体的には、本工程に
おいて、比較的低温で基板11の加熱を行う第1の加熱処理と、第1の加熱処理よりも高
い温度で基板11の加熱を行う第2の加熱処理とを施してもよい。
これにより、着色部12の構成材料の不本意な劣化・分解等を防止し、カラーフィルタ
ー1の生産性を向上させ、さらに、形成される着色部12に液性媒体が残存すること等を
効果的に防止することができる。
【0199】
また、本工程において、比較的低温で基板11の加熱を行う第1の加熱処理と、第1の
加熱処理よりも高い温度で基板11の加熱を行う第2の加熱処理とを施すことにより、着
色部12の表面の平坦性をより高いものとすることができる。
このような場合、第1の加熱処理にて比較的低温で基板11を加熱することにより、カ
ラーフィルター用インク2の対流を防止しつつ、穏やかに液性媒体を除去し、カラーフィ
ルター用インク2の表面を平坦なものとした状態で、流動性を消失または低減させること
ができる。また、比較的低温で加熱することにより、不本意な樹脂材料の硬化反応を防止
することができる。特に、カラーフィルター用インク2は、液性媒体の大部分が揮発した
後にも長期にわたって流動性を維持できるため、カラーフィルター用インク2の対流が低
減した状態で、カラーフィルター用インク2は表面が容易に平坦なものとなる。
【0200】
また、第2の加熱処理では、第1の加熱処理では除去できなかった液性媒体を完全に除
去することができる。また、本工程で、樹脂材料を反応させてカラーフィルター用インク
2を硬化させる場合、第1の加熱処理において表面が平坦な状態で固定されたカラーフィ
ルター用インク2を、効率よくその形状で硬化させることができる。
上記のように、本工程において第1の加熱処理および第2の加熱処理を施す場合、第1
の加熱処理での処理温度(加熱された基板11の温度)は、特に限定されないが、30〜
100℃であるのが好ましく、40〜80℃であるのがより好ましい。これにより、カラ
ーフィルター用インク2の対流を確実に防止しつつ、カラーフィルター用インク2から好
適に液性媒体を除去できる。
【0201】
また、第1の加熱処理の時間は、特に限定されないが、3〜50分であることが好まし
く、5〜40分であることがより好ましい。
また、第2の加熱処理での処理温度(加熱された基板11の温度)は、特に限定されな
いが、120〜280℃であるのが好ましく、150〜250℃であるのがより好ましい
。これにより、第1の加熱処理では除去できなかった液性媒体を完全に除去することがで
きる。また、本工程で、樹脂材料(硬化性樹脂材料)を反応させてカラーフィルター用イ
ンク2を硬化させる場合、第1の加熱処理において表面が平坦な状態で固定されたカラー
フィルター用インク2を、効率よくその形状で硬化させることができる。
【0202】
また、第2の加熱処理の時間は、特に限定されないが、25〜150分であることが好
ましく、30〜100分であることがより好ましい。
また、本工程においては、例えば、活性エネルギー線の照射や、カラーフィルター用イ
ンク2が付与された基板11を減圧環境下に置く等の処理を行ってもよい。
活性エネルギー線を照射することにより、樹脂材料の硬化反応を効率よく進行させたり
、加熱温度を比較的低いものとした場合であっても、樹脂材料の硬化反応を確実に進行さ
せることができ、基板11等への悪影響の発生がより確実に防止される等の効果が得られ
る。活性エネルギー線としては、種々の波長の光線、例えば、紫外線、X線、g線、i線
、エキシマレーザー等を使用することができる。
【0203】
また、カラーフィルター用インク2が付与された基板11を減圧環境下に置く(減圧処
理を施す)ことにより、加熱温度を比較的低いものとした場合であっても、液性媒体を確
実に除去することができ、基板11、形成される着色部12等への悪影響の発生がより確
実に防止される。また、加熱処理および減圧処理を併用することにより、より効率よく着
色部を形成することができる。
【0204】
《画像表示装置》
次に、カラーフィルター1を有する画像表示装置(電気光学装置)である液晶表示装置
の好適な実施形態について説明する。
図7は、液晶表示装置の好適な実施形態を示す断面図である。同図に示すように、液晶
表示装置60は、カラーフィルター1と、カラーフィルター1の着色部12が設けられた
面側に配された基板(対向基板)66と、カラーフィルター1と基板66との間の空隙に
封入された液晶よりなる液晶層62と、カラーフィルター1の基板11の液晶層62に対
向する面とは反対の面側(図7中下側)に設けられた偏光板67と、基板66の液晶層6
2に対向する面とは反対の面側(図7中上側)に設けられた偏光板68とを有している。
そして、カラーフィルター1の着色部12および隔壁13が設けられた面(着色部12お
よび隔壁13の基板11に対向する面とは反対の面)には、共通電極61が設けられてお
り、基板(対向基板)66の液晶層62、カラーフィルター1に対向する面には、カラー
フィルター1の各着色部12に対応する位置に、マトリクス状に、画素電極65が配され
ている。さらに、共通電極61と液晶層62との間には配向膜64が設けられ、基板66
(画素電極65)と液晶層62との間には配向膜63が設けられている。
【0205】
基板66は、可視光に対して光透過性を有する基板であり、例えば、ガラス基板である

共通電極61、画素電極65は、可視光に対して光透過性を有する材料で構成されたも
のであり、例えば、ITO等で構成されている。
また、図中省略しているが、各画素電極65に対応するように、複数のスイッチング素
子(例えば、TFT:薄膜トランジスタ)が設けられている。そして、各着色部12に対
応する各画素電極65について、共通電極61との間での電圧の印加状態を制御すること
により、各着色部12(各画素電極65)に対応する領域での、光の透過性を制御するこ
とができる。
【0206】
液晶表示装置60では、図示しないバックライトから発せられた光が、偏光板68側(
図7中上側)から入射するようになっている。そして、液晶層62を透過し、カラーフィ
ルター1の各着色部12(12A、12B、12C)に入射した光は、各着色部12(1
2A、12B、12C)に対応する色の光として、偏光板67(図7中下側)から出射す
る。
【0207】
上述したように、着色部12は、本発明のカラーフィルター用インク2(カラーフィル
ター用インクセット)を用いて形成されたものであるため、平坦なものとなっており、コ
ントラスト比、明度および耐久性に優れたものである。また、着色部12は、各色間、各
画素間での特性のばらつきが抑制されたものである。その結果、液晶表示装置60におい
て、各部位での色むら、濃度むら等が抑制された画像を安定的に表示することができる。
【0208】
《電子機器》
前述したようなカラーフィルター1を有する液晶表示装置等の画像表示装置(電気光学
装置)1000は、各種電子機器の表示部に用いることができる。
図8は、本発明の電子機器を適用したモバイル型(またはノート型)のパーソナルコン
ピュータの構成を示す斜視図である。
この図において、パーソナルコンピュータ1100は、キーボード1102を備えた本
体部1104と、表示ユニット1106とにより構成され、表示ユニット1106は、本
体部1104に対しヒンジ構造部を介して回動可能に支持されている。
【0209】
このパーソナルコンピュータ1100においては、表示ユニット1106が画像表示装
置1000を備えている。
図9は、本発明の電子機器を適用した携帯電話機(PHSも含む)の構成を示す斜視図
である。
この図において、携帯電話機1200は、複数の操作ボタン1202、受話口1204
および送話口1206とともに、画像表示装置1000を表示部に備えている。
【0210】
図10は、本発明の電子機器を適用したディジタルスチルカメラの構成を示す斜視図で
ある。なお、この図には、外部機器との接続についても簡易的に示されている。
ここで、通常のカメラは、被写体の光像により銀塩写真フィルムを感光するのに対し、
ディジタルスチルカメラ1300は、被写体の光像をCCD(Charge Coupled Device)
などの撮像素子により光電変換して撮像信号(画像信号)を生成する。
ディジタルスチルカメラ1300におけるケース(ボディー)1302の背面には、画
像表示装置1000が表示部に設けられ、CCDによる撮像信号に基づいて表示を行う構
成になっており、被写体を電子画像として表示するファインダとして機能する。
【0211】
ケースの内部には、回路基板1308が設置されている。この回路基板1308は、撮
像信号を格納(記憶)し得るメモリが設置されている。
また、ケース1302の正面側(図示の構成では裏面側)には、光学レンズ(撮像光学
系)やCCDなどを含む受光ユニット1304が設けられている。
撮影者が表示部に表示された被写体像を確認し、シャッタボタン1306を押下すると
、その時点におけるCCDの撮像信号が、回路基板1308のメモリに転送・格納される

【0212】
また、このディジタルスチルカメラ1300においては、ケース1302の側面に、ビ
デオ信号出力端子1312と、データ通信用の入出力端子1314とが設けられている。
そして、図示のように、ビデオ信号出力端子1312にはテレビモニタ1430が、デー
タ通信用の入出力端子1314にはパーソナルコンピュータ1440が、それぞれ必要に
応じて接続される。さらに、所定の操作により、回路基板1308のメモリに格納された
撮像信号が、テレビモニタ1430や、パーソナルコンピュータ1440に出力される構
成になっている。
【0213】
なお、本発明の電子機器は、上述したパーソナルコンピュータ(モバイル型パーソナル
コンピュータ)、携帯電話機、ディジタルスチルカメラの他にも、例えば、テレビ(例え
ば、液晶テレビ)や、ビデオカメラ、ビューファインダ型、モニタ直視型のビデオテープ
レコーダ、ラップトップ型パーソナルコンピュータ、カーナビゲーション装置、ページャ
、電子手帳(通信機能付も含む)、電子辞書、電卓、電子ゲーム機器、ワードプロセッサ
、ワークステーション、テレビ電話、防犯用テレビモニタ、電子双眼鏡、POS端末、タ
ッチパネルを備えた機器(例えば金融機関のキャッシュディスペンサー、自動券売機)、
医療機器(例えば電子体温計、血圧計、血糖計、心電表示装置、超音波診断装置、内視鏡
用表示装置)、魚群探知機、各種測定機器、計器類(例えば、車両、航空機、船舶の計器
類)、フライトシュミレータ、その他各種モニタ類、プロジェクター等の投射型表示装置
等に適用することができる。中でも、テレビは、近年の表示部の大型化の傾向が顕著であ
るが、このような大型の表示部(例えば、対角線長80cm以上の表示部)を有する電子
機器では、従来のカラーフィルター用インクを用いて製造されるカラーフィルターを適用
した場合、色むら、濃度むら等の問題を特に生じ易かったが、本発明を適用すれば、この
ような問題の発生を確実に防止することができる。
以上、本発明について、好適な実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれらに限定
されるものではない。
【0214】
例えば、前述した実施形態においては、各色の着色部に対応するカラーフィルター用イ
ンクを、セル内に付与した後に、一括で、セル内の各色のカラーフィルター用インクから
液性媒体を除去し、樹脂材料を硬化させるもの、すなわち、着色部形成工程(硬化工程)
を1回のみ行うものとして説明したが、インク付与工程および着色部形成工程は、各色に
対応して、繰り返し行うものであってもよい。
【0215】
また、カラーフィルター、画像表示装置、電子機器を構成する各部は、同様の機能を発
揮する任意のものと置換、または、その他の構成を追加することもできる。例えば、本発
明のカラーフィルターにおいては、着色部の基板に対向する面とは反対の面側に、着色部
を被覆する保護膜が設けられていてもよい。これにより、着色部の損傷や劣化等をより効
果的に防止することができる。
【0216】
また、本発明のカラーフィルター用インクは、いかなる方法で製造されたものであって
もよく、上述したような方法により製造されたものでなくてもよい。
また、前述した実施形態では、カラーフィルター用インクセットが、光の三原色に対応
する3種(3色)のカラーフィルター用インクを備える場合について中心的に説明したが
、カラーフィルター用インクセットを構成するカラーフィルター用インクの数、種類(色
)は、上述したものに限定されない。例えば、本発明においてカラーフィルター用インク
セットは、4種以上のカラーフィルター用インクを備えるものであってもよい。
【実施例】
【0217】
次に、本発明の具体的実施例について説明する。
[1]重合体の合成
(合成例1)
攪拌機、還流冷却機、滴下漏斗、窒素導入管および温度計を備えた反応容器(フラスコ
)に、溶媒(溶剤)としてのジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート:31
4重量部を入れて、90℃に加熱した。続いて、ラジカル開始剤としての2,2′−アゾ
ビス(イソブチロニトリル)(AIBN):20重量部、および、ジエチレングリコール
モノブチルエーテルアセテート(溶媒):30重量部を加えた後、該フラスコ内に、上記
式(2)で表される単量体成分(化合物)m1:180重量部、上記式(3)で表される
単量体成分(化合物)m2:15重量部、上記式(4)で表される単量体成分(化合物)
m3:15重量部、2,2′−アゾビス(イソブチロニトリル)(AIBN):50重量
部をジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート:200重量部に溶解させた溶
液を滴下ポンプを用いて5時間かけて滴下し、さらに4時間熟成させた。その後、室温ま
で冷却して、単量体成分m1、m2、m3を含み上記式(16)で表される重合体Mとし
ての重合体M1を得た。
【0218】
(合成例2〜5)
重合体の合成に用いる溶媒(溶剤)の種類および各成分の比率を変更することにより、
重合体を構成する単量体成分の比率を表1に示すように変更した以外は、前記合成例1と
同様の操作を行った。その結果、4種の重合体(重合体M2〜M5)が得られた。なお、
各単量体成分は、合計で300重量部となるようにして合成に用いた。
【0219】
(合成例6)
重合体の合成に用いる溶媒(溶剤)の種類および各成分の比率を変更することにより、
重合体を構成する単量体成分の比率を表1に示すように変更した以外は、前記合成例1と
同様の操作を行った。その結果、重合体M’1が得られた。なお、各単量体成分は、合計
で300重量部となるようにして合成に用いた。
【0220】
(合成例7)
攪拌機、還流冷却機、滴下漏斗、窒素導入管および温度計を備えた反応容器(フラスコ
)に、溶媒(溶剤)としてのジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート:18
0重量部を入れて、85℃に加熱した。続いて、該フラスコ内に、上記式(5)で表され
る単量体成分(化合物)n1:188重量部、上記式(6)で表される単量体成分(化合
物)n2:34重量部、上記式(17)で表される単量体成分(化合物)n3:74重量
部、上記式(18)で表される単量体成分(化合物)n4:74重量部、ラジカル開始剤
としてのアゾビスジメチルバレロニトリル:64重量部をジエチレングリコールモノブチ
ルエーテルアセテート:386重量部に溶解させた溶液を滴下ポンプを用いて5時間かけ
て滴下し、さらに3時間熟成させた。その後、室温まで冷却して、単量体成分n1、n2
、n3、n4を含み上記式(20)で表される重合体Nとしての重合体N1を得た。
【0221】
(合成例8〜11)
重合体の合成に用いる溶媒(溶剤)の種類および各成分の比率を変更することにより、
重合体を構成する単量体成分の比率を表1に示すように変更した以外は、前記合成例7と
同様の操作を行った。その結果、4種の重合体(重合体N2〜N5)が得られた。なお、
各単量体成分は、合計で370重量部となるようにして合成に用いた。
【0222】
(合成例12)
攪拌機、還流冷却機、滴下漏斗、窒素導入管および温度計を備えた反応容器(フラスコ
)に、溶媒(溶剤)としてのジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート:24
6重量部を入れて、80℃に加熱した。続いて、該フラスコ内に、上記式(5)で表され
る単量体成分(化合物)n1:273重量部、上記式(6)で表される単量体成分(化合
物)n2:36重量部、上記式(19)で表される単量体成分(化合物)n5:41重量
部、ラジカル開始剤としての:39重量部をメトキシブチルアセテート:360重量部に
溶解させた溶液を滴下ポンプを用いて5時間かけて滴下し、さらに3時間熟成させた。
【0223】
その後、フラスコ内にグリシジルメタクリレート:26重量部、メトキノン:2重量部
を加え、110℃で10時間反応させた。その後、室温まで冷却して、溶剤中に溶解して
おり、単量体成分n1、n2、n5を含み上記式(21)で表される重合体Nとしての重
合体N6を得た。
【0224】
(合成例13〜17)
重合体の合成に用いる溶媒(溶剤)の種類および各成分の比率を変更することにより、
重合体を構成する単量体成分の比率を表1に示すように変更した以外は、前記合成例12
と同様の操作を行った。その結果、溶剤中に溶解した5種の重合体(重合体N7〜N11
)が得られた。なお、各単量体成分は、合計で350重量部となるようにして合成に用い
た。
【0225】
(合成例18)
攪拌機、還流冷却機、滴下漏斗、窒素導入管および温度計を備えた反応容器(フラスコ
)に、溶媒(溶剤)としてのジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート:31
4重量部を入れて、90℃に加熱した。続いて、ラジカル開始剤としての2,2′−アゾ
ビス(イソブチロニトリル)(AIBN):20重量部、および、ジエチレングリコール
モノブチルエーテルアセテート(溶媒):30重量部を加えた後、該フラスコ内に、上記
式(22)で表される単量体成分(化合物)o1:300重量部、2,2′−アゾビス(
イソブチロニトリル)(AIBN):50重量部をジエチレングリコールモノブチルエー
テルアセテート:200重量部に溶解させた溶液を滴下ポンプを用いて5時間かけて滴下
し、さらに4時間熟成させた。その後、室温まで冷却して、単量体成分o1を含み上記式
(23)で表される重合体O1を得た。
【0226】
表1には、合成例1〜20で合成した各重合体を構成する各単量体成分の比率、合成に
使用した溶剤、各重合体の重量平均分子量Mwをまとめて示した。なお、表中、「L」は
溶媒(溶剤)のことを意味し、特に、「L1」はジエチレングリコールモノブチルエーテ
ルアセテートのことを示し、「L2」は1,3−ブチレングリコールジアセテートのこと
を示し、「L3」は2−(2−メトキシ−1−メチルエトキシ)−1−メチルエチルアセ
テートのことを示し、「L4」はビス(2−ブトキシエチル)エーテルのことを示し、「
L5」はオクタン酸エチルのことを示す。また、上記のようにして合成した重合体は、い
ずれも、分散度(重量平均分子量Mw/数平均分子量Mn)が1〜3の範囲内であった。
【0227】
【表1】

【0228】
[2]カラーフィルター用インク(カラーフィルター用インクセット)の調製
(実施例1)
酸価分散剤としてのディスパービック111と、アミン価分散剤としてのディスパービ
ック166と、重合体N1、重合体N6と、液性媒体としてのジエチレングリコールモノ
ブチルエーテルアセテートとを、内容量400ccの攪拌機(一軸ミキサー)に投入し、
ディスパーミルで10分間攪拌して予備分散を行うことにより、分散剤分散液を得た(予
備分散工程)。このとき、攪拌機が有する攪拌翼の回転数は、2000rpmとなるよう
にした。
【0229】
次に、以下に述べるようにして、予備分散工程で得られた分散剤分散液に、顔料を添加
し、無機ビーズを多段で添加して微分散処理を行う微分散工程を施した。
まず、得られた分散剤分散液に、顔料を添加し、10分間攪拌を行った。このとき、攪
拌機が有する攪拌翼の回転数は、2000rpmとなるようにした。また、顔料としては
、C.I.ピグメントレッド177と上記式(7)で表される顔料誘導体との混合物と、
C.I.ピグメントレッド254と上記式(8)で表される顔料誘導体との混合物と、上
記式(8)で示される化学構造を有するスルホン化顔料誘導体の粉末とを用いた。また、
このとき、分散剤分散液と顔料との混合物中における顔料の含有率が16wt%となるよ
うに、液性媒体(分散媒)としてのジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート
で希釈した。
次に、平均粒径0.8mmの無機ビーズ(第1の無機ビーズ、ジルコニア製、「Tor
ay ceram 粉砕ボール」(商品名)、東レ株式会社製)を添加して、室温下、3
0分間攪拌し1段目の分散処理(第1の処理)を行った。このとき、攪拌機が有する攪拌
翼の回転数は、2000rpmとなるようにした。
【0230】
次に、フィルター(「PALL HDCII Membrane Filter」、P
ALL社製)を用いたろ過により、無機ビーズ(第1の無機ビーズ)を除去し、その後、
平均粒径0.1mmの無機ビーズ(第2の無機ビーズ、ジルコニア製、「Toray c
eram 粉砕ボール」(商品名)、東レ株式会社製)を添加し、更に30分間攪拌し第
2段目の分散処理(第2の処理)を行った。このとき、攪拌機が有する攪拌翼の回転数は
、2000rpmとなるようにした。また、このとき、得られる顔料分散体中における顔
料の含有率が13wt%となるように、液性媒体(分散媒)としてのジエチレングリコー
ルモノブチルエーテルアセテートで希釈した。
【0231】
その後、フィルター(「PALL HDCII Membrane Filter」(
商品名)、PALL社製)を用いたろ過により、無機ビーズ(第2の無機ビーズ)を除去
し、顔料分散体を得た。
次に、上記のようにして得られた顔料分散体に、重合体M1および化合物Sとしての上
記式(10)で表わされる化合物、レベリング剤(サーフィノールDF58、日信化学工
業(株)社製))、酸化防止剤(TINUVIN 152、チバジャパン株式会社製)お
よび、液性媒体としてのジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートおよびジエ
チレングリコールモノノルマルブチルエーテルを加え、混合した(混合工程)。本工程は
、上記の各材料を内容量400ccの攪拌機(一軸ミキサー)に投入し、ディスパーミル
で10分間攪拌することにより行った。このとき、攪拌機が有する攪拌翼の回転数は、2
000rpmとなるようにした。これにより、目的とする赤色のカラーフィルター用イン
ク(Rインク)を得た。得られたRインクの顔料の含有率は、7.3wt%であった。
【0232】
また、顔料の種類、各成分の使用量を変更した以外は、前記赤色のカラーフィルター用
インクと同様にして、緑色のカラーフィルター用インク(Gインク)、青色のカラーフィ
ルター用インク(Bインク)を調製した。これにより、R、G、Bの3色のインクからな
るインクセットが得られた。Rインクを構成する顔料の平均粒径、Gインクを構成する顔
料の平均粒径、Bインクを構成する顔料の平均粒径は、それぞれ、70nm、70nm、
70nmであった。また、Gインクの顔料としては、C.I.ピグメントグリーン58、
上記式(10)で示される化学構造を有するスルホン化顔料誘導体の粉末を用い、最終的
なGインク中の顔料の含有率を10.1wt%とした。また、Bインクの顔料としては、
C.I.ピグメントブルー15:6およびC.I.ピグメントバイオレット23を用い、
最終的なBインク中の顔料の含有率を4.9wt%とした。
【0233】
(実施例2〜10)
カラーフィルター用インクの材料の種類・含有量を表2、表3に示すように変更した以
外は、前記実施例1と同様にしてカラーフィルター用インク(インクセット)およびブラ
ンクのインクセットを調製した。
(比較例1〜3)
カラーフィルター用インクの材料の種類・含有量を表3に示すように変更した以外は、
前記実施例1と同様にしてカラーフィルター用インク(インクセット)を調製した。
【0234】
なお、上記各実施例および各比較例では、いずれも、重合体Nについては、これらを予
備分散工程で用い、重合体M、O、M’、化合物Sについては、混合工程で用いた。
また、上記各実施例のカラーフィルター用インクについて、振動式粘度計を用いて、J
IS Z8809に準拠して測定された25℃における粘度は、いずれも、8.0〜10
.0mPa・sであった。
【0235】
前記各実施例および各比較例でのカラーフィルター用インクの構成成分の種類、含有量
等を表2、表3にまとめて示した。なお、表中、C.I.ピグメントレッド177を「P
R177」、C.I.ピグメントレッド254を「PR254」、C.I.ピグメントレ
ッド177と式(7)で表される顔料誘導体との混合物「PR177D」、C.I.ピグ
メントレッド254と式(8)で表される顔料誘導体との混合物「PR254D」、式(
9)で表される顔料誘導体で構成された粉末を「SPD」、C.I.ピグメントグリーン
58を「PG58」、C.I.ピグメントグリーン36を「PG36」、C.I.ピグメ
ントブルー15:6を「PB15:6」、C.I.ピグメントイエロー150を「PY1
50」、C.I.ピグメントバイオレット23を「PV23」、式(11)で示される化
合物Sを「S1」、式(12)で示される化合物Sを「S2」、式(13)で示される化
合物Sを「S3」、式(14)で示される化合物Sを「S4」、式(15)で示される化
合物Sを「S5」、式(16)で示される化合物Sを「S6」、ディスパービック111
(酸価:50KOHmg/g)を「DA1」、ディスパービック166(アミン価:11
5KOHmg/g)を「DA4」、レベリング剤(サーフィノールDF58、日信化学工
業(株)社製))を「DF58」、レベリング剤(LHP−90、楠本化成社製)を「L
90」、レベリング剤(LHP−95、楠本化成社製)を「L95」、レベリング剤(L
F−1970、楠本化成社製)を「LF」、レベリング剤(オレフィンSPC、日信化学
工業(株)社製)を「SPC」、酸化防止剤(TINUVIN 152、チバジャパン株
式会社製)を「T152」で示した。また、液性媒体については、上述した表1の溶剤と
同様にして示し、さらに、「L6」をジエチレングリコールモノノルマルブチルエーテル
、「L7」をトリエチレングリコールモノノルマルブチルエーテル、「L8」を3−エト
キシプロピオン酸エチルで示した。
なお、分散剤の酸価は、DIN EN ISO 2114に準拠する方法により求め、
アミン価は、DIN 16945に準拠する方法により求めた。
【0236】
なお、各実施例および各比較例で用いた、C.I.ピグメントレッド177と式(7)
で表される顔料誘導体との混合物中における式(7)で表される顔料誘導体の含有率は、
いずれも、0.1〜10wt%であった。また、前記実施例および比較例で用いた、C.
I.ピグメントレッド254と式(8)で表される顔料誘導体との混合物中における式(
8)で表される顔料誘導体の含有率は、いずれも、0.1〜10wt%であった。
【0237】
【表2】

【0238】
【表3】

【0239】
[3]カラーフィルター用インクの評価
[3.1]液滴吐出量の安定性評価
チャンバー(サーマルチャンバー)内に設置した図3〜図6に示すような液滴吐出装置
および前記各実施例および各比較例のカラーフィルター用インクセットを用意し、ピエゾ
素子の駆動波形を最適化した状態で、各インクについて、液滴吐出ヘッドの各ノズルから
、300000発(300000滴)の液滴の連続吐出を行った。液滴吐出ヘッドの左右
両端の指定の2つのノズルについて、吐出された液滴の総重量を求め、上記2つのノズル
から吐出された液滴の平均吐出量の差の絶対値ΔW[ng]を求めた。このΔWの、液滴
の目標吐出量W[ng]に対する比率(ΔW/W)を求め、以下の4段階の基準に従
い、評価した。ΔW/Wの値が小さいほど、液滴吐出量の安定性に優れていると言える
。なお、ΔW/Wの値としては、3色のインクについて得られた値の平均値を採用した

【0240】
A:ΔW/Wの値が、0.065未満。
B:ΔW/Wの値が、0.065以上0.450未満。
C:ΔW/Wの値が、0.450以上0.780未満。
D:ΔW/Wの値が、0.780以上。
上記の評価の結果を、表2、表3に合わせて示した。
【0241】
[3.2]連続吐出試験
チャンバー(サーマルチャンバー)内に設置した図3〜図6に示すような液滴吐出装置
、前記各実施例および各比較例のカラーフィルター用インクセットを用いて、25℃、5
5%RHの環境下で、液滴吐出装置を48時間、連続で運転させることにより、カラーフ
ィルター用インクセットを構成する各インクの吐出を行った。
【0242】
連続運転後における、液滴吐出ヘッドを構成するノズルの目詰まりの発生率([(目詰
まりノズル数)/(全ノズル数)]×100)を求め、ノズルの目詰まりが発生している
ものについては、可塑材料で構成されたクリーニング部材により、目詰まりの解消が可能
であるか否かを調べた。その結果を、以下の4段階の基準に従い、評価した。なお、ノズ
ルの目詰まりの発生率の値としては、3色のインクについて得られた値の平均値を採用し
た。
【0243】
A:ノズルの目詰まりの発生がない。
B:ノズルの目詰まりの発生率が0.5%未満(ただし、ゼロを除く)であり、かつ
、クリーニングによる目詰まりの解消が可能。
C:ノズルの目詰まりの発生率が0.5%以上1.0%未満であり、かつ、クリーニ
ングによる目詰まりの解消が可能。
D:ノズルの目詰まりの発生率が1.0%以上、または、クリーニングによる目詰ま
りの解消が不可能。
【0244】
[3.3]固形分量の変化による粘度変化
各実施例および各比較例のカラーフィルター用インクについて、100℃の環境下に放
置し、当初のカラーフィルター用インク中の固形分量よりも固形分量が10.0wt%上
昇するように、液性媒体の除去を行った。そして、液性媒体の除去を行ったカラーフィル
ター用インクについて、当該カラーフィルター用インクの25℃における粘度:ηを測
定した。そして、液性媒体を除去する前のカラーフィルター用インクの25℃における粘
度:ηと比較し、下記の5段階の基準に従い、固形分量の変化による粘度変化を評価し
た。
なお、カラーフィルター用インクの固形分の重量は、カラーフィルター用インク:1g
をガラス板状にスピンコートにて膜厚が約1mmとなるように塗布し、200℃、1時間
の条件下に放置したときに揮発せずに残る重量とした。そして、カラーフィルター用イン
ク中の固形分量は、カラーフィルター用インクの全体の重量に占める当該固形分の重量の
割合[wt%]とした。
【0245】
A: η/η≦3.0
B: 3.0<η/η≦6.0
C: 6.0<η/η≦10.0
D: 10.0<η/η≦30.0
E: 30.0<η/η
なお、上記の評価は、各実施例および各比較例について、同様の条件で行った。
上記の評価の結果を、表2、表3に合わせて示した。
【0246】
[4]カラーフィルターの製造
前記各実施例および各比較例で調製したカラーフィルター用インク(インクセット)を
用いて、以下のようにして、カラーフィルターを製造した。
まず、両面にナトリウムイオンの溶出を防止するシリカ(SiO)膜が形成されたソ
ーダガラス製の基板(G5サイズ:1100×1300mm)を用意し、洗浄処理を施し
た。
次に、カーボンブラックを含む隔壁形成用の感放射線性組成物を、洗浄済の基板の一方
の面の全体に付与し、塗膜を形成した。
次に、加熱温度:110℃、加熱時間:120秒という条件でプリベーク処理を行った

【0247】
その後、フォトマスクを介して、放射線を照射して、ポストエキスポジャーベーク処理
(PEB)を行い、引き続き、アルカリ現像液を用いた現像処理を行い、さらに、ポスト
ベーク処理を行うことにより、隔壁を形成した。PEBは、加熱温度:110℃、加熱時
間:120秒、放射線照射強度:150mJ/cmという条件で行った。また、現像処
理は、例えば、振動浸漬法により行った。現像処理時間は、60秒とした。また、ポスト
ベーク処理は、加熱温度:150℃、加熱時間:5分という条件で行った。形成された隔
壁の厚さは、1.6μmであった。
【0248】
次に、図3〜図6に示すような液滴吐出装置を用いて、隔壁で囲まれた領域としてのセ
ル内に、カラーフィルター用インクを吐出した。この際、3色のカラーフィルター用イン
クを用い、各色のカラーフィルター用インクが混色しないようにした。各セル内には、形
成される着色部の平均厚さが2.0μmとなるような量のカラーフィルター用インクを付
与した。
【0249】
その後、ホットプレート上にて80℃で20分間の加熱処理を施した(第1の加熱処理
)。
さらに230℃のオーブン内で60分加熱処理を施すことにより(第2の加熱処理)、
3色(赤色(R)、緑色(G)、青色(B))の着色部が形成された。その後、N−メチ
ル−2−ピロリドンおよびγ−ブチルラクトンを用いた洗浄を行い、図1に示すようなカ
ラーフィルターが得られた。
上記のような方法を用いて、各実施例および各比較例のカラーフィルター用インク(イ
ンクセット)を用いて、それぞれ、6000枚のカラーフィルターを製造した。
【0250】
[5]カラーフィルターの評価
上記のようにして得られた各カラーフィルターを用いて、以下のような評価を行った。
[5.1]着色部の平坦性
前記各実施例および各比較例のカラーフィルター用インク(インクセット)を用いて製
造されたカラーフィルターのうち、それぞれ、31枚目に製造されたカラーフィルターを
用意した。
これらのカラーフィルターについて、触針式粗さ計(Tencor社製、P−15)を
用いて、着色部の最大高さと最小高さとの差ΔDを求め、以下の3段階の基準に従い、評
価した。
A:ΔDが0.25μm未満。
B:ΔDが0.25μm以上0.50μm未満。
C:ΔDが0.50μm以上。
【0251】
[5.2]コントラスト比の評価
前記各実施例および各比較例のカラーフィルター用インク(インクセット)を用いて製
造されたカラーフィルターのうち、それぞれ、6000枚目に製造されたカラーフィルタ
ーを用いて、同条件で図7に示すような液晶表示装置を製造した。
これらの液晶表示装置を用いて、赤色の単色表示、緑色の単色表示、青色の単色表示を
行い、コントラストテスター(壺坂電機社製、CT−1)を用いて、淡色表示を行ってい
ない場合と比較してのコントラスト比(CR)を求め、下記のようにして評価を行った。
【0252】
赤色の単色表示の場合、以下の4段階の基準に従い、評価した。
A:CRが2700以上。
B:CRが2150以上2700未満。
C:CRが1700以上2150未満。
D:CRが1700未満。
【0253】
緑色の単色表示の場合、以下の4段階の基準に従い、評価した。
A:CRが3600以上。
B:CRが3100以上3600未満。
C:CRが2800以上3100未満。
D:CRが2800未満。
【0254】
青色の単色表示の場合、以下の4段階の基準に従い、評価した。
A:CRが2900以上。
B:CRが2650以上2900未満。
C:CRが2250以上2650未満。
D:CRが2250未満。
【0255】
[5.3]明度の評価
[5.2]で製造した前記各実施例および各比較例の液晶表示装置について、下記に示
すような評価を行った。液晶表示装置について、赤色の単色表示、緑色の単色表示、青色
の単色表示を行い、色度計(ミノルタ社製、CM−3700d、光源としてC光源使用)
を用いて、xyY表色法による三刺激値を求め、赤色光、緑色光、青色光の3色のY値の
平均を白色光の明度Yとして、以下の5段階の基準に従い、評価した。
【0256】
A:明度Yが28.5以上。
B:明度Yが28.0以上28.5未満。
C:明度Yが27.5以上28.0未満。
D:明度Yが27.0以上27.5未満。
E:明度Yが27.0未満。
【0257】
[5.4]ヒートサイクル試験
前記各実施例および各比較例のカラーフィルター用インク(インクセット)を用いて製
造されたカラーフィルターのうち、それぞれ、21〜30枚目に製造されたカラーフィル
ターを用いて、同条件で図7に示すような液晶表示装置を製造した。
これらの液晶表示装置を用いて、暗室で、赤色の単色表示、緑色の単色表示、青色の単
色表示を行った状態で目視による観察を行い、光漏れ(白抜け、輝点)が発生していない
ことを確認した。
【0258】
次に、上記の液晶表示装置からカラーフィルターを取り外した。
取り外した各カラーフィルターを、25℃の環境下に1時間、次いで、80℃の環境下
に2時間、次いで、25℃の環境下に1時間、次いで、−15℃の環境下に2時間静置し
た。その後、再び、環境温度を20℃に戻し、これを1サイクル(6時間)とし、このサ
イクルを合計40回繰り返した(合計240時間)。
【0259】
その後、これらのカラーフィルターを用いて、再び、図7に示すような液晶表示装置を
組み立てた。
これらの液晶表示装置を用いて、暗室で、赤色の単色表示、緑色の単色表示、青色の単
色表示を行った状態で目視による観察を行い、光漏れ(白抜け、輝点)の発生状況を、以
下の5段階の基準に従い、評価した。
【0260】
A:光漏れ(白抜け、輝点)の発生したカラーフィルターはない。
B:1〜2枚のカラーフィルターにおいて、光漏れ(白抜け、輝点)が認められる。
C:3〜5枚のカラーフィルターにおいて、光漏れ(白抜け、輝点)が認められる。
D:6〜9枚のカラーフィルターにおいて、光漏れ(白抜け、輝点)が認められる。
E:10枚のカラーフィルターにおいて、光漏れ(白抜け、輝点)が認められる。
【0261】
[6]耐熱性評価
各カラーフィルター用インクを用いて、それぞれ、厚さ0.7mmのガラス基板上に、
スピンコートにより塗布した。インクの付与量は、乾燥膜厚が1.6μmとなるように設
定した。
次に、これらの試験片を、クリーンオーブン内で230℃で1時間加熱した。
【0262】
次に、230℃での加熱処理を施した試験片について、分光光度計(大塚電子社製、M
CPD3000)を用いて測色した。
その後さらに、これらの試験片を、クリーンオーブン内で250℃で1時間加熱した。
ここで、250℃での加熱処理を施した試験片について、分光光度計(大塚電子社製、
MCPD3000)を用いて測色した。
【0263】
これらの結果から、各試験片についての、溶剤の浸漬前後での色差(Lab表示系での
色差ΔE)を求め、以下の3段階の基準に従い、評価した。
○:色差(ΔE)が1.5未満。
△:色差(ΔE)が1.5以上3未満。
×:色差(ΔE)が3以上。
【0264】
[7]耐溶剤性評価
各カラーフィルター用インクを用いて、以下のようにして、下記の試験に用いる多数枚
の試験片(試験板)を作製した。
まず、各インクを用いて、それぞれ、厚さ0.7mmのガラス基板上に、スピンコート
により塗布した。インクの付与量は、乾燥膜厚が1.6μmとなるように設定した。
【0265】
次に、90℃のホットプレート上で10分間プリベークを行った。その後、クリーンオ
ーブン内で、200℃で30分間加熱してポストベークを行い、更に240℃で30分加
熱してポストベークを行い、着色膜を有する試験片(試験板)を得た。
前記各実施例および各比較例の各色の試験片について、分光光度計(大塚電子社製、M
CPD3000)を用いて測色した。
次に、これらの試験片を、50℃の溶剤中に10分間浸漬し、その後、同様に、分光光
度計(大塚電子社製、MCPD3000)を用いて測色した。
【0266】
これらの結果から、各試験片についての、溶剤の浸漬前後での色差(Lab表示系での
色差ΔE)を求め、以下の2段階の基準に従い、評価した。
○:色差(ΔE)が2.6未満。
×:色差(ΔE)が2.6以上。
溶剤としては、γ−ブチルラクトン(γ−BL)、イソプロピルアルコール(IPA)
、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、0.5N塩酸(HCl)、0.5N水酸化ナ
トリウム水溶液(NaOH)を用いた。
これらの結果を表4、表5に示す。
【0267】
【表4】

【0268】
【表5】

【0269】
表4、表5から明らかなように、本発明では、製造されたカラーフィルターは、明度、
コントラスト比に優れており、また、耐熱性、耐溶剤性等の耐久性に優れていた。
これに対し、各比較例では、満足な結果が得られなかった。
また、市販の液晶テレビを分解し、液晶表示装置部分を、上記のようにして製造したも
のと交換して、上記と同様の評価を行ったところ、上記と同様な結果が得られた。
【図面の簡単な説明】
【0270】
【図1】本発明のカラーフィルターの好適な実施形態を示す断面図である。
【図2】カラーフィルターの製造方法を示す断面図である。
【図3】カラーフィルターの製造に用いる液滴吐出装置を示す斜視図である。
【図4】図3に示す液滴吐出装置における液滴吐出手段をステージ側から観察した図である。
【図5】図3に示す液滴吐出装置における液滴吐出ヘッドの底面を示す図である。
【図6】図3に示す液滴吐出装置における液滴吐出ヘッドを示す図であり、(a)は断面斜視図、(b)は断面図である。
【図7】液晶表示装置の実施形態を示す断面図である。
【図8】本発明の電子機器を適用したモバイル型(またはノート型)のパーソナルコンピュータの構成を示す斜視図である。
【図9】本発明の電子機器を適用した携帯電話機(PHSも含む)の構成を示す斜視図である。
【図10】本発明の電子機器を適用したディジタルスチルカメラの構成を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0271】
1…カラーフィルター 11…基板 12…着色部 12A…第1の着色部 12B…
第2の着色部 12C…第3の着色部 13…隔壁(バンク)(遮光部) 14…セル
2…カラーフィルター用インク 3…塗膜 60…液晶表示装置 61…共通電極 62
…液晶層 63、64…配向膜 65…画素電極 66…基板(対向基板) 67、68
…偏光板 100…液滴吐出装置 101…タンク 102…吐出走査部 103…液滴
吐出手段 104…第1位置制御装置 105…キャリッジ 106…ステージ 108
…第2位置制御装置 110…チューブ 112…制御手段 114…液滴吐出ヘッド(
インクジェットヘッド) 116A、116B…ノズル列 118…ノズル 120…キ
ャビティ 122…隔壁 124…振動子 124A、124B…電極 124C…ピエ
ゾ素子 126…振動板 127…吐出部 128…ノズルプレート 129…液たまり
130…供給口 131…孔 1000…画像表示装置 1100…パーソナルコンピ
ュータ 1102…キーボード 1104…本体部 1106…表示ユニット 1200
…携帯電話機 1202…操作ボタン 1204…受話口 1206…送話口 1300
…ディジタルスチルカメラ 1302…ケース(ボディー) 1304…受光ユニット
1306…シャッタボタン 1308…回路基板 1312…ビデオ信号出力端子 13
14…データ通信用の入出力端子 1430…テレビモニタ 1440…パーソナルコン
ピュータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクジェット方式によるカラーフィルターの製造に用いられるカラーフィルター用イ
ンクであって、
着色剤と、
前記着色剤が溶解および/または分散する液性媒体と、
下記式(1)で表される化合物Sと、
下記式(2)で表される単量体成分m1を含む重合体Mとを含むことを特徴とするカラ
ーフィルター用インク。

【化1】

【化2】

【請求項2】
前記R1および前記R2は、ともに、直鎖状のアルキル基である請求項1に記載のカラ
ーフィルター用インク。
【請求項3】
前記重合体Mは、さらに、下記式(3)で表される単量体成分m2を含む請求項1また
は2に記載のカラーフィルター用インク。
【化3】

【請求項4】
前記重合体Mは、さらに、下記式(4)で表される単量体成分m3を含む請求項1ない
し3のいずれかに記載のカラーフィルター用インク。
【化4】

【請求項5】
前記重合体Mの重量平均分子量が1000〜50000である請求項1ないし4のいず
れかに記載のカラーフィルター用インク。
【請求項6】
カラーフィルター用インク中における前記重合体Mの含有率をC[wt%]、カラー
フィルター用インク中における前記化合物Sの含有率をC[wt%]としたとき、1.
0≦C/C≦5.0の関係を満足する請求項1ないし5のいずれかに記載のカラーフ
ィルター用インク。
【請求項7】
下記式(5)で表される単量体成分n1を含んで構成された重合体Nを含む請求項1な
いし6のいずれかに記載のカラーフィルター用インク。
【化5】

【請求項8】
前記重合体Nは、さらに、下記式(6)で表される単量体成分n2を含んで構成される
請求項1ないし7のいずれかに記載のカラーフィルター用インク。
【化6】

【請求項9】
前記液性媒体として、1,3−ブチレングリコールジアセテート、ビス(2−ブトキシ
エチル)エーテル、2−(2−メトキシ−1−メチルエトキシ)−1−メチルエチルアセ
テートおよびジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートよりなる群から選択さ
れる1種または2種以上を含む請求項1ないし8のいずれかに記載のカラーフィルター用
インク。
【請求項10】
前記液性媒体は、さらに、ジエチレングリコールモノノルマルブチルエーテル、トリエ
チレングリコールモノノルマルブチルエーテルおよび3−エトキシプロピオン酸エチルよ
りなる群から選択される1種または2種以上を含む請求項9に記載のカラーフィルター用
インク。
【請求項11】
請求項1ないし10のいずれかに記載のカラーフィルター用インクを用いて製造された
ことを特徴とするカラーフィルター。
【請求項12】
請求項11に記載のカラーフィルターを備えたことを特徴とする画像表示装置。
【請求項13】
画像表示装置は、液晶パネルである請求項12に記載の画像表示装置。
【請求項14】
請求項12または13に記載の画像表示装置を備えたことを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−145458(P2010−145458A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−319299(P2008−319299)
【出願日】平成20年12月16日(2008.12.16)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】