説明

カラーフィルター用顔料分散体の製造方法

【課題】低粘度で保存安定性に優れ、かつ粗大顔料粒子が極めて少ないカラーフィルター用顔料分散体の製造方法を提供する。
【解決手段】顔料、水不溶性分散剤、及び有機溶媒を含む、粘度が10〜55mPa・sの混合液を分散処理して、顔料分散体を得る工程(1)、得られた顔料分散体を、30万〜3千万G・minの条件で遠心分離処理して、顔料分散体を得る工程(2)、工程(2)で得られた顔料分散体に、100μm以下の精密ろ過膜又は分画分子量が10万以上の限外ろ過膜を用いるクロスフローろ過処理(i)を施すことにより顔料分散体を精製するか、又は5千万G・min以上の条件下における遠心分離処理(ii)を施すことにより得られた固形分を、再分散処理を行うことで顔料分散体を精製する工程(3)を有するカラーフィルター用顔料分散体の製造方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カラーフィルター用顔料分散体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置は、近年、パーソナルコンピュータ用モニターとしてだけでなく、テレビ用のモニターへの展開も進んでおり、その発色にはカラーフィルターが用いられている。現在、カラーフィルターの着色層は、耐光性、耐熱性に優れる顔料を用いる顔料分散法で製造することが主流となっている。一般に、顔料を微細で安定な粒子として分散させることができれば、可視光に対する散乱が少なくなる。
顔料の分散方法としては、メディアミル分散機を用いて、撹拌・混合によるせん断力・摩擦力、メディア同士の衝撃力等により、粒子を解砕・粉砕する方法が知られている。
しかし、顔料を微細化すればするほど、分散した粒子が再凝集し易く、それに起因する粒子径の増大や粘度の増大が起こり、分散状態を安定化させることが困難となる。
【0003】
これまで、カラーフィルターの高品質化(高輝度化、高コントラスト化等)のため、顔料や顔料分散剤の最適化、着色層中に含まれる顔料の微細化等が検討されてきた。
特許文献1〜3には、カラーフィルター分散液から、光の散乱を生じコントラスト比を下げる原因となる粗大顔料粒子を、遠心分離処理して除去する方法が開示されている。
しかし、特許文献1及び2は、粗大粒子を除去し、分散液中の顔料粒子の粒度分布を規定するのみで、粘度を低減したり、保存安定性を向上させる方法に関する記載はない。
また、特許文献3は、分散液の粘度がかなり高いため、低沸点溶剤で希釈した後、遠心分離により粗大粒子を除去し、その後溶剤を除去する方法である。この方法では遠心分離条件が弱すぎ、コントラスト比に影響する粗大粒子を十分に除去することができない。
特許文献4には、水系インクジェットインクの吐出安定化のため色材とポリマーからなる着色微粒子を形成後、高速超遠心分離により顔料を沈降させ、遊離するポリマーを除去する方法が開示されている。また、特許文献5には、金属コロイド粒子を含む溶液の分散安定化のため分散剤の一部を遠心分離又は限外ろ過で除去する方法が開示されている。
しかしながら、特許文献4及び5は水系インクに関するものであり、非水系顔料分散体とは異なるものであるとともに、粗大粒子を除去する方法についての記載もない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3073769号明細書
【特許文献2】特開2008−250023号公報
【特許文献3】特許第2951347号明細書
【特許文献4】特開平11−302586号公報
【特許文献5】WO2002/094954号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、低粘度で保存安定性に優れ、かつ粗大顔料粒子が極めて少ないカラーフィルター用顔料分散体の製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
すなわち、本発明は、下記工程(1)〜(3)を有する、カラーフィルター用顔料分散体の製造方法を提供する。
工程(1):顔料、水不溶性分散剤、及び有機溶媒を含む、粘度が10〜55mPa・sの混合液を分散処理して、顔料分散体を得る工程
工程(2):工程(1)で得られた顔料分散体を、30万〜3千万G・minの条件で遠心分離処理して、顔料分散体を得る工程
工程(3):工程(2)で得られた顔料分散体に、100μm以下の精密ろ過膜又は分画分子量が10万以上の限外ろ過膜を用いるクロスフローろ過処理(i)を施すことにより顔料分散体を精製するか、又は5千万G・min以上の条件下における遠心分離処理(ii)を施すことにより得られた固形分を、再分散処理を行うことで顔料分散体を精製する工程
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、低粘度で保存安定性に優れ、かつ粗大顔料粒子が極めて少ないカラーフィルター用顔料分散体を効率的に製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明のカラーフィルター用顔料分散体の製造方法は、下記工程(1)〜(3)を有することを特徴とする。
工程(1):顔料、水不溶性分散剤、及び有機溶媒を含む、粘度が10〜55mPa・sの混合液を分散処理して、顔料分散体を得る工程
工程(2):工程(1)で得られた顔料分散体を、30万〜3千万G・minの条件で遠心分離処理して、顔料分散体を得る工程
工程(3):工程(2)で得られた顔料分散体に、100μm以下の精密ろ過膜又は分画分子量が10万以上の限外ろ過膜を用いるクロスフローろ過処理(i)を施すことにより顔料分散体を精製するか、又は5千万G・min以上の条件下における遠心分離処理(ii)を施すことにより得られた固形分を、再分散処理を行うことで顔料分散体を精製する工程
以下、本発明で用いる各成分、各工程について説明する。
【0009】
<顔料>
本発明に用いられる顔料としては、無機顔料及び有機顔料のいずれも使用できる。また、必要に応じて、それらと体質顔料を併用することもできる。
色相は特に限定されるものではなく、赤色、黄色、青色、オレンジ、緑色、バイオレット等の有彩色顔料や白色顔料を用いることができる。
無機顔料としては、カーボンブラック、金属酸化物、金属硫化物、金属塩化物等が挙げられる。無機黒色顔料としてはカーボンブラックが好ましく、ファーネスブラック、サーマルランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等が挙げられる。
体質顔料としては、シリカ、炭酸カルシウム、タルク等が挙げられる。
有機顔料としては、例えば、アゾ顔料、ジアゾ顔料、フタロシアニン顔料、キナクリドン顔料、イソインドリノン顔料、ジオキサジン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、チオインジゴ顔料、アントラキノン顔料、キノフタロン顔料等が挙げられる。
赤系有機顔料としては、例えば、アゾ系顔料、ジアゾ系顔料、縮合アゾ系顔料、アゾレーキ顔料、キナクリドン顔料、ペリレン系顔料、アンスラキノン系顔料、ジケトピロロロピロール系顔料等が挙げられる。
より具体的には、Colour Index(The Society of Dyersand Colourists 出版、1997年版)でピグメント(Pigment)に分類されている化合物等が挙げられる。
これらの中では、本発明の効果をより有効に発現させる観点から、下記一般式(1)で表される、C.I.ピグメント レッド254、同255等のジケトピロロピロール系顔料が特に好ましい。
【0010】
【化1】

【0011】
(式中、X1及びX2は、それぞれ独立して、水素原子又はハロゲン原子を示し、Y1及びY2は、それぞれ独立して、水素原子又は−SO3H基を示す。)
一般式(1)におけるX1及びX2のハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子等が挙げられる。
一般式(1)で表されるジケトピロロピロール系顔料の製造方法に特に制限はない。例えば、ベンゾニトリル又はハロゲン化ベンゾニトリルとブロモ酢酸エステル等のハロゲン化酢酸エステルを、亜鉛粉末等の還元剤の存在下で反応させることにより、又は得られた化合物を更にスルホン化することにより製造することができる。
上記の顔料は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、顔料表面に対して有機溶媒との親和性を高め、分散安定性を高めるという観点から、樹脂や高分子、顔料誘導体等により予め表面処理を施した顔料を用いてもよく、顔料組成物中に含有させて分散処理を行ってもよい。
【0012】
<水不溶性分散剤>
本発明で用いられる水不溶性分散剤は、顔料を有機溶媒中で安定に微細化した状態で分散させうるものであればよく、公知の高分子分散剤を使用することができる。水不溶性分散剤は、カラーフィルター等を形成する場合はバインダーとしての働きも有すると考えられる。
ここで、水不溶性分散剤とは、分散剤を105℃で2時間乾燥させた後、25℃の水100gに溶解させたときに、その溶解量が10g以下、好ましくは5g以下、更に好ましくは1g以下である分散剤をいう。溶解量は、分散剤が塩生成基を有する場合は、その種類に応じて、分散剤の塩生成基を酢酸又は水酸化ナトリウムで100%中和した時の溶解量である。
水不溶性分散剤としては、例えば、特開平3−277673号公報、特開平10−339949号公報、特表2003−517063号公報等に記載の主鎖にアミド系骨格を有し、側鎖がメタクリル酸エステルによるマクロモノマーからなるグラフトポリマー;特公平7−96654号公報、特開平7−207178号公報等に記載の脂肪族ヒドロキシカルボン酸残基を有するポリエステル系オリゴマー;オルガノシロキサンポリマー(信越化学工業株式会社製、KP341、KP575等);(メタ)アクリル酸系(共)重合体(共栄油脂化学工業株式会社製、ポリフローNo.75、90、95等);その他市販品として、日本ルーブリゾール社製のソルスパース3000、5000、9000、12000、13240、13940、17000、20000、24000、26000、28000等の各種ソルスパース分散剤、味の素ファインテクノ株式会社製のアジスパーPB−821、PB−822、PB−881[組成(重量比):ポリアリルアミン/ポリカプロラクトン=5/95、Mw:8,000〕、三洋化成株式会社製のイソーネットS−20、ビックケミー・ジャパン株式会社製のDISPERBYK−161、DISPERBYK−2001等が挙げられる。
【0013】
特に、少なくとも顔料に吸着性を有するモノマーを含む構成単位と、有機溶媒に親和性を有するモノマーを含む構成単位からなるグラフトポリマーが、分散安定性を向上する観点から好ましい。これらは顔料や有機溶媒種により適宜選択して用いることができる。
例えば、顔料としてジケトピロロピロール系顔料、有機溶媒をジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート(BCA)とした場合、主鎖にアミド基を有し、側鎖がマクロモノマーからなるグラフトポリマーが好ましく、より具体的には、主鎖にアミド基を有するモノマー由来の構成単位を有し、側鎖にメタクリル酸エステルのマクロマー由来の構成単位を有するグラフトポリマー(x)や、主鎖にメタクリル酸エステルマクロマー由来の構成単位を有し、側鎖にポリオキサゾリン由来の構成単位を有するグラフトポリマー(y)等が好ましい。
これらの中では、前記のグラフトポリマー(x)がより好ましい。
【0014】
〔グラフトポリマー(x)〕
グラフトポリマー(x)は、下記の主鎖と側鎖とを有するものが特に好ましい。
主鎖:N−ビニル−2−ピロリドン由来の構成単位(a)と、水酸基含有モノマー由来の構成単位(b)とを含有し、グラフトポリマー(x)中の該構成単位(a)の含有量が2〜30重量%、該構成単位(b)の含有量が5〜30重量%である。
側鎖:数平均分子量が800〜4,000であるアルキル(メタ)アクリレート系マクロマー由来の構成単位(c)を含有し、グラフトポリマー(x)中の該構成単位(c)の含有量が65〜92重量%である。
グラフトポリマー(x)中の構成単位(a)、(b)及び(c)の含有量は、グラフトポリマー(x)を製造する際の構成単位(a)、(b)及び(c)それぞれに相当するモノマーの仕込み量に相当する。
【0015】
グラフトポリマー(x)の主鎖が、N−ビニル−2−ピロリドン由来の構成単位(a)を含有することにより、顔料の分散性に優れたものになると考えられる。その観点から、グラフトポリマー(x)中の該構成単位(a)の含有量は2〜30重量%であり、好ましくは5〜25重量%であり、より好ましくは10〜20重量%である。該構成単位(a)の含有量が2重量%以上であれば、顔料に十分に吸着することができ、顔料の分散性の向上に寄与することができ、構成単位(b)と(c)とのバランスの観点から、その上限が30重量%以下であれば本発明の効果を有効に発現できる。
【0016】
グラフトポリマー(x)の主鎖に含有される構成単位(b)を形成する水酸基含有モノマーとしては、下記式(2)で表される化合物が挙げられる。
CH2=C(R4)COO(R5O)nH (2)
(式中、R4は水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基、R5はヘテロ原子を有していてもよい炭素数1〜30の2価の炭化水素基、nは平均付加モル数を示し、1〜60の数である。)
式(2)において、R4の好適例としては、メチル基、エチル基、(イソ)プロピル基等が挙げられ、R5のヘテロ原子としては、例えば、窒素原子、酸素原子、ハロゲン原子及び硫黄原子が挙げられる。nは好ましくは1〜30の数である。
5O基の好適例としては、オキシエチレン基、オキシトリメチレン墓、オキシプロパン−1,2−ジイル基、オキシテトラメチレン基、オキシヘプタメチレン基、オキシヘキサメチレン基及びこれらの2種以上の組合せからなる炭素数2〜7のオキシアルカンジイル基(オキシアルキレン基)が挙げられる。
【0017】
水酸基含有モノマーの具体例としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(n=2〜30、nはオキシアルキレン基の平均付加モル数を示す。以下同じ。)(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(n=2〜30)(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール(n=1〜15)・プロピレングリコール(n=1〜15))(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの中では、顔料分散体の粘度安定性に優れる観点から、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、ポリプロピレングリコールメタクリレートが好ましく、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートが特に好ましい。
【0018】
グラフトポリマー(x)の主鎖が、水酸基含有モノマー由来の構成単位(b)を含有することにより、顔料分散体の粘度安定性が向上するものと考えられる。その観点から、グラフトポリマー(x)中の該構成単位(b)の含有量は5〜30重量%であり、好ましくは5〜25重量%であり、より好ましくは10〜20重量%である。該構成単位(b)の含有量が5重量%以上であれば、十分な粘度安定性に寄与することができ、構成単位(b)と(c)とのバランスの観点から、その上限が30重量%以下であれば本発明の効果を有効に発現できる。
【0019】
また、グラフトポリマー(x)の側鎖が、数平均分子量が800〜4000であるアルキル(メタ)アクリレート系マクロマー由来の構成単位(c)を含有することにより、(A)有機顔料の分散性を向上し、顔料分散体の低粘度化に寄与しうると考えられる。その観点から、グラフトポリマー(x)中の該構成単位(c)の含有量は65〜92重量%であり、好ましくは65〜85重量%であり、より好ましくは65〜80重量%である。該構成単位(c)の含有量が65重量%以上であれば、(A)有機顔料を十分に分散させることができ、構成単位(b)と(c)とのバランスの観点から、その上限が92重量%以下であれば本発明の効果を有効に発現できる。
【0020】
本発明のグラフトポリマーの側鎖に含有される構成単位(c)を形成するアルキル(メタ)アクリレート系マクロマーは、アルキル(メタ)アクリレート由来の構成単位を有し、その片末端に重合性官能基を有するものである。アルキル(メタ)アクリレート系マクロマー由来の構成単位(c)を含有する側鎖は、この片末端に重合性官能基を有するアルキル(メタ)アクリレート系マクロマーを共重合することにより得ることができ、該構成単位(c)は、側鎖に1種又は2種以上含まれていてもよい。
その具体例としては、片末端に重合性官能基を有する、アルキル(メタ)アクリレートの単独重合体、又は片末端に重合性官能基を有する、アルキル(メタ)アクリレートと他のモノマーとの共重合体が挙げられる。
【0021】
アルキル(メタ)アクリレートとしては、顔料分散体の低粘度化を促進する観点から、好ましくは炭素数1〜8、更に好ましくは炭素数1〜6、特に好ましくは炭素数1〜3の直鎖又は分岐鎖のアルキル基を有するものが好ましい。具体的には、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、(イソ)プロピル(メタ)アクリレート、(イソ又はターシャリー)ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、(イソ)オクチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの中では、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、及び(イソ)プロピル(メタ)アクリレートが特に好ましい。これらのアルキル(メタ)アクリレートは、1種単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
なお、本明細書にいう「(イソ又はターシャリー)」及び「(イソ)」は、これらの基が存在している場合とそうでない場合の双方を意味し、これらの基が存在していない場合には、ノルマルであることを示す。また、「(メタ)アクリレート」は、アクリレートとメタクリレートの双方を意味する。
【0022】
アルキル(メタ)アクリレート系マクロマーの重合性官能基としては、アクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基が好ましい。
アルキル(メタ)アクリレートと共重合する他のモノマーとしては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等のスチレン系モノマーや、ベンジル(メタ)アクリレート等が挙げられる。アルキル(メタ)アクリレート系マクロマー中、アルキル(メタ)アクリレート由来の構成単位の含有量は、80重量%以上が好ましく、90重量%以上が更に好ましく、実質的に100重量%が特に好ましい。「実質的に」とは、不純物程度の量の他のモノマー由来の構成単位を含有してもよいことを意味する。
【0023】
アルキル(メタ)アクリレート系マクロマーの数平均分子量は、顔料分散体の低粘度化を促進する観点から、800〜4,000であり、好ましくは1,000〜3,500であり、より好ましくは1,500〜3,000である。その数平均分子量が800以上であれば、十分な立体反発を生じて分散性を向上させることができ、4,000以下であることが顔料分散体の低粘度化に適している。
なお、アルキル(メタ)アクリレート系マクロマーの数平均分子量は、溶媒として1mmol/Lのラウリルジメチルアミンを含有するクロロホルムを用いたゲルクロマトグラフィー(GPC)法により、標準物質としてポリスチレンを用いて測定することができる。
【0024】
〔グラフトポリマー(x)の製造〕
グラフトポリマー(x)は、N−ビニル−2−ピロリドン、水酸基含有モノマー、及びアルキル(メタ)アクリレート系マクロマーを含有するモノマー混合物(以下、「モノマー混合物」という)を共重合して得ることが好ましい。モノマー混合物には、本発明を損なわない範囲内で、更にアルキル(メタ)アクリレート等を含有していてもよい。
モノマー混合物中におけるN−ビニル−2−ピロリドンの含有量は、顔料分散体中の(A)有機顔料の分散安定性の観点から、2〜30重量%であり、好ましくは5〜25重量%であり、より好ましくは10〜20重量%である。
モノマー混合物中における水酸基含有モノマーの含有量は、顔料分散体中の(A)有機顔料の分散安定性の観点から、5〜30重量%であり、好ましくは5〜25重量%であり、より好ましくは10〜20重量%である。
モノマー混合物中におけるアルキル(メタ)アクリレート系マクロマーの含有量は、顔料分散体中の(A)有機顔料の分散安定性を向上させる観点から、65〜92重量%であり、好ましくは65〜85重量%であり、より好ましくは65〜80重量%である。
【0025】
グラフトポリマー(x)は、塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法等の公知の重合法により、前記モノマー混合物を共重合させることによって製造することができる。これらの重合法の中では、顔料分散体に有機溶媒を用いる観点から、溶液重合法が好適である。
溶液重合法で用いる有機溶媒としては、グラフトポリマーと親和性の高い有機溶媒が好ましく、前記の有機溶媒を用いることができる。
重合の際には、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ化合物や、tert−ブチルペルオキシオクトエート、ジベンゾイルペルオキシド等の有機過酸化物等の公知のラジカル重合開始剤を用いることができる。
ラジカル重合開始剤の量は、モノマー混合物1モル当たり、好ましくは0.001〜5モル、より好ましくは0.01〜2モルである。
重合の際には、さらに、オクチルメルカプタン、2−メルカプトエタノール等のメルカプタン類、チウラムジスルフィド類等の公知の重合連鎖移動剤を添加することができる。
モノマー混合物の重合条件は、使用する重合開始剤、モノマー、有機溶媒の種類等によって異なるが、重合温度は、通常30〜100℃、好ましくは50〜80℃であり、重合時間は、重合温度等の条件により異なり一概に決めることはできないが、通常1〜20時間程度である。また、重合雰囲気は、窒素ガスやアルゴン等の不活性ガス雰囲気であることが好ましい。
重合反応の終了後、反応溶液から再沈澱、溶媒留去等の公知の方法により、生成した分散剤を単離することができる。また、得られた分散剤は、再沈澱を繰り返したり、膜分離法、クロマトグラフ法、抽出法等により、未反応のモノマー等を除去して精製することができる。
【0026】
得られるグラフトポリマー(x)の重量平均分子量(Mw)は、顔料分散体中の(A)有機顔料、特にジケトピロロピロール系顔料の分散安定性を向上させる観点から、5,000〜200,000が好ましく、5,000〜100,000が更に好ましく、6,000〜70,000が特に好ましい。なお、ポリマーの重量平均分子量は、溶媒として1mmol/Lのラウリルジメチルアミンを含有するクロロホルムを用いたゲルクロマトグラフィー(GPC)法により、標準物質としてポリスチレンを用いて測定される。
【0027】
<有機溶媒>
有機溶媒は特に限定されず、分散処理を行う条件下で液状の有機溶媒であればよい。
有機溶媒の好適例としては、顔料と高分子分散剤との分散性の観点から、例えば、エタノール、イソプロピルアルコール等の炭素数1〜4の低級アルコール;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素;プロピレングリコール等の多価アルコール;エチレングリコールジエチルエーテル等のエーテル等の他、酢酸エチル、シリコーンオイル、高級アルコール、油脂等及び下記一般式(3)で表される化合物等が挙げられる。
【0028】
【化2】

【0029】
(式中、R1及びR2は、それぞれ独立して、炭素数1〜4の直鎖又は分岐鎖のアルキル基、R3は水素原子又はメチル基を示す。)
一般式(3)において、R1及びR2の炭素数1〜4の直鎖又は分岐鎖のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、及びtert−ブチル基が挙げられる。これらの中では、メチル基及びエチル基が好ましい。
上記の有機溶媒は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0030】
分散体中の顔料の量は、分散時の生産性を向上させる観点から、好ましくは1重量%以上、より好ましくは5重量%以上、更に好ましくは10重量%以上である。また、分散時のハンドリング性を確保する観点から、好ましくは60重量%以下、より好ましくは50重量%以下、更に好ましくは40重量%以下である。
分散体中の高分子分散剤の量は、分散処理過程で不足する事のない添加量とする事が分散安定性を向上させる観点から好ましい。具体的には、顔料重量に対して、5重量%以上、好ましくは7重量%以上、より好ましくは10重量%以上である。また、分散体の適度な粘度が得る観点から、顔料重量に対して、200重量%以下、好ましくは100重量%以下、より好ましくは80重量%以下である。
分散体中の有機溶媒の量は、顔料濃度や高分子分散剤、その他添加剤を除いた量であり、分散処理時の操作性を向上させる観点から30重量%以上、好ましくは50重量%以上、更に好ましくは70重量%以上である。
【0031】
<カラーフィルター用顔料分散体の製造>
本発明のカラーフィルター用顔料分散体の製造方法においては、下記の工程(1)〜(3)を行う。
工程(1):顔料、水不溶性分散剤、及び有機溶媒を含む、粘度が10〜55mPa・sの混合液を分散処理して、顔料分散体を得る工程
工程(2):工程(1)で得られた顔料分散体を、30万〜3千万G・minの条件で遠心分離処理して、顔料分散体を得る工程
工程(3):工程(2)で得られた顔料分散体に、100μm以下の精密ろ過膜又は分画分子量が10万以上の限外ろ過膜を用いるクロスフローろ過処理を施すことにより顔料分散体を精製するか(i)、又は5千万G・min以上の条件下における遠心分離処理(ii)を施すことにより得られた固形分を、再分散処理を行うことで顔料分散体を精製する工程
【0032】
〔工程(1)〕
工程(1)は、顔料、水不溶性分散剤、及び有機溶媒を含む、粘度が10〜55mPa・sの混合液(以下、単に「混合液」ともいう)を分散処理して、顔料分散体を得る工程である。混合液の粘度は、顔料の微粒化の観点から、好ましくは10〜55mPa・s、好ましくは12〜50mPa・s、より好ましくは13〜45mPa・s、更に好ましくは15〜35mPa・sである。
本分散だけで顔料の平均粒径を所望の粒径となるまで微粒化することもできるが、好ましくは予備分散(1次分散)させた後、更に剪断応力を加えて本分散(2次分散、3次分散)を行い、顔料の平均粒径を所望の粒径とするよう制御することが好ましい。
例えば、予備分散終了後における顔料の平均粒径(D50:体積平均粒度分布における50%通過粒子径)を好ましくは0.2μm以下、より好ましくは0.15μm以下に調整する。
また、粗大粒子の含有量を低減させる観点から、予備分散終了後におけるD90(体積平均粒度分布における90%通過粒子径)を1μm以下にすることが好ましく、0.6μm以下にすることがより好ましく、0.4μm以下にすることが更に好ましい。なお、平均粒径(D50)、及びD90は、上記粒径範囲が測定可能な動的光散乱式粒度分布計やレーザードップラー式粒度分布計等によって測定することができる。
顔料、有機溶媒、及び水不溶性分散剤の混合順序に特に制限はないが、顔料の嵩比重を考慮して生産性を高める観点、及び顔料と有機溶媒との混合させ易さの観点から、有機溶媒に顔料を添加することが好ましい。水不溶性分散剤は、顔料を添加する前後に添加することが好ましい。
また、混合液を分散させる際に、予備分散終了後の粗大粒子の含有量を低減させる観点から、2回以上の予備分散処理や、異なる予備分散処理を組み合わせてもよい。予備分散処理回数は、煩雑性や生産性の観点から、好ましくは10回以下、より好ましくは5回以下である。
【0033】
(予備分散)
予備分散に用いる混合装置としては、アンカー翼等の一般に用いられている混合撹拌装置を用いることができる。混合撹拌装置の中では、ウルトラディスパー(淺田鉄工株式会社、商品名)、エバラマイルダー(株式会社荏原製作所、商品名)、TKホモミクサー、TKパイプラインミクサー、TKホモジェッター、TKホモミックラインフロー、フィルミックス(以上、プライミクス株式会社、商品名)、ウルトラタラックス、DISPAX-REACTOR、コロイドミル、CMS、MHD(IKAジャパン株式会社、商品名)、クリアミックス(エム・テクニック株式会社、商品名)、ケイディーミル(キネティック・ディスパージョン社、商品名)等の高速撹拌混合装置が好ましい。
なお、混合液を工程(1)で予備分散させた後、得られた予備分散体に粗大粒子が多い場合には、必要に応じて撹拌力よりも強力な剪断力を加えて所望の粒径となるまで微粒化を行うこともできる。
微粒化処理方法としては、効果微粒化効果が高いメディア粒子、例えば粒径0.1mm以上のメディア粒子、好ましくは粒径0.2mm以上のメディア粒子を用いたメディアミル、高圧ホモジナイザー等によって1パス以上の連続分散処理を行う方法等が挙げられる。微粒化効果が高いメディア粒子を用いた市販のメディアミルとしては、ダイノーミル(シンマルエンタープライゼス製、商品名:0.6L−ECM)、SCミル(日本コークス工業株式会社、商品名)、ペイントシェーカー(淺田鉄工株式会社、商品名)等が挙げられる。
【0034】
(本分散)
本分散に用いる混合装置としては、例えば、ロールミル、ニーダー、エクストルーダ等の混練機、スターミル(アシザワ・ファインテック株式会社、商品名)、ウルトラアペックスミル(寿工業株式会社、商品名)、ペイントシェーカー、ピコミル(淺田鉄工株式会社、商品名)、MicroMedia、DCPスーパーフロー、コスモ(ビューラー株式会社、商品名)、MSCミル(日本コークス工業株式会社、商品名)等のメディアミル、高圧ホモゲナイザー〔株式会社イズミフードマシナリ、商品名〕、ミニラボ8.3H型〔Rannie社、商品名〕に代表されるホモバルブ式の高圧ホモジナイザー、マイクロフルイダイザー〔Microfluidics 社、商品名〕、ナノマイザー〔ナノマイザー株式会社、商品名〕、スターバースト〔スギノマシン株式会社、商品名〕、ジーナスPY(白水化学株式会社、商品名)、DeBEE2000(日本ビーイーイー株式会社、商品名)等のチャンバー式の高圧ホモジナイザー等が挙げられる。
これらの中では、混合液に含まれている顔料の微粒化の観点から、本分散である2次分散装置としてはメディアミルが好ましく、3次分散装置としては高圧ホモジナイザーが好ましい。
【0035】
工程(1)において予備分散及び本分散にメディアミルを使用する場合、使用するメディア径は、予備分散処理時より本分散処理時の方を小さくする方が分散を効率化できるという点で好ましい。予備分散処理時に使用するメディア径は、使用する顔料の粗大粒子の大きさによって異なるが、原料顔料のD90の5〜200倍が好ましく、10〜100倍がより好ましく、上記のとおり0.1mm以上が好ましく、0.2mm以上がより好ましい。また本分散処理時に使用するメディア径は、0.1mm以下が好ましく、0.05mm以下がより好ましく、その上限は、分散を効率的に進める観点から、0.005mm以上が好ましい。
一方、工程(1)において予備分散及び本分散にメディアミルを使用する場合、分散処理時間は、予備分散処理時より本分散処理時の方を長くする方が好ましい。予備分散処理時の分散時間が長すぎると、分散体の再凝集が発生しやすくなり、分散体の粒径の増大、粘度の増加、耐熱性の低下等が起こりやすくなる。一方、本分散処理時の分散時間が短すぎると、分散体中の粗大粒子量が低減せず、所望のコントラスト比が得られにくくなる。
【0036】
工程(1)における分散処理時の有機溶媒の量は、50〜90重量%が好ましく、60〜90重量%が更に好ましい。有機溶媒の量を50重量%以上とすることで分散処理時の分散液の粘度を下げ、効率的に分散力を与えることができ、顔料を微粒化するのが可能となる。一方、有機溶媒の量を90重量%以下とすることで、過多の分散力を与え過ぎることを抑制し、分散体の再凝集、分散液の粘度上昇、保存安定性の悪化を防ぐことができる。
また、工程(1)で得られた顔料分散体は、直接、工程(2)の遠心分離処理に供してもよいが、遠心分離処理の効率を上げる観点から、遠心分離処理前に、更に有機溶媒を加えて、粘度を好ましくは3〜40mPa・s、より好ましくは3〜30mPa・s、更に好ましくは3〜20mPa・sとなるように調整してもよい。
【0037】
〔工程(2)〕
工程(2)は、工程(1)で得られた顔料分散体を、30万〜3千万G・minの条件で遠心分離処理して、顔料分散体を得る工程である。工程(2)を行うことにより、顔料分散体中の100nm以上の粗大粒子を除去することができ、粒径の揃ったコントラスト比の高いカラーフィルター用顔料分散体を得ることができる。
工程(2)の遠心分離処理においては、遠心分離後の粗大粒子を含まない上澄み液を回収する。粗大粒子を含む沈降物は遠心分離機の側壁又は遠沈管の底部に残存するので、上澄み液を回収する場合は、分離した粗大粒子を回収しないように慎重な操作が必要である。この操作法としては、例えば、上澄み部分を数回に分けて徐々に回収して、各回収部分の粒径を測定し粗大粒子が含まれないことを確認してから、再び分割回収した上澄み液を混合する方法等が挙げられる。
用いることのできる遠心分離機に特に制限はなく、例えば、丸善株式会社発行、化学工学会編「化学装置便覧」改訂二版第2刷(798頁参照)等に記載されている遠心沈降管型、円筒型、分離板型、バスケット型、スクリューデカンター型等が挙げられる。これらの中では、品種切り替え時の洗浄を容易に行うことができる等の操作性とともに、上澄み液を連続的に排出できるため効率よく遠心分離ができる等の観点から、円筒型遠心分離機が好ましい。
円筒型遠心分離機の市販品としては、例えば、株式会社関西遠心分離機製作所製のKS型、巴工業株式会社製のASM型の遠心分離機等が挙げられる。
【0038】
遠心分離機の運転方法には、(i)原液分散体を供給しながら分離液層を排出する連続式、及び、(ii)原液分散体を供給した後、分離液層が形成されたところで該液層を排出するバッチ式のいずれの運転方法であってもよい。粗大粒子を含まない分散液が連続的に得られるという観点から、(i)の連続式の遠心分離機を用いる運転方法が好ましい。
遠心分離の処理条件を決める要素としては、遠心加速度(G)と遠心分離処理時間(min)がある。このうち遠心加速度は、式(4)に基づいて求められるa値を、重力加速度(9.8m/s2)で除した値を用いる。
a[m/s2]=N2×π2×r/900 (4)
〔式中、Nは回転速度(min-1)、rは回転半径(m)、πは円周率を示す〕
遠心加速度と処理時間の積としては、前記粘度範囲の分散液から100nm以上の粗大粒子を除去できる遠心分離条件として、30万〜3千万G・minが好ましく、50万〜2.5千万G・minがより好ましく、100万〜2千万G・minが更に好ましい。
工程(2)終了後における100nm以上の粗大粒子量が少ないほうが、コントラスト比が高くなりやすいという点から、体積平均粒度分布における粗大粒子の積算量は5%以下が好ましく、3%以下がより好ましく、1%以下が更に好ましい。その下限は特に制限はないが、生産性及び保存安定性の観点から、0.01%以上が好ましい。
【0039】
〔工程(3)〕
工程(3)は、工程(2)で得られた顔料分散体に、100μm以下の精密ろ過膜又は分画分子量が10万以上の限外ろ過膜を用いるクロスフローろ過処理(i)を施すことにより顔料分散体を精製するか、又は5千万G・min以上の条件下における遠心分離処理(ii)を施すことにより得られた固形分を、再分散処理を行うことで顔料分散体を精製する工程である。このクロスフローろ過処理(i)又は遠心分離処理(ii)によって、工程(1)及び工程(2)で発生した顔料に吸着していない不安定な水不溶性分散剤の含有量を低減することができ、粘度が低く、保存安定性が良好な顔料分散体を得ることができる。
工程(2)において、遠心分離の処理効率を上げるために有機溶媒を加えて希釈した場合、工程(3)を行うことで有機溶媒を除くことが可能となり、顔料分散体の固形分を最適な濃度に調整することも可能である。
工程(3)で得られる顔料分散体の固形分は、工程(2)で得られる顔料分散体の固形分より高くすることが好ましい。
【0040】
(クロスフローろ過処理(i))
クロスフローろ過処理(i)により、顔料分散体を、クロスフローろ過機を循環させることで、顔料に吸着していない不安定な水不溶性分散剤を除去することができる。クロスフローろ過処理(i)に用いるろ過膜の孔径は、顔料分散体中の水不溶性分散剤を透過でき、かつ顔料分散体中の顔料を透過しない大きさとする。
精密ろ過膜(MF膜)の孔径は、100nm(0.1μm)以下であり、好ましくは80nm(0.08μm)以下、より好ましくは50nm(0.05μm)以下である。限外ろ過膜(UF膜)では、分画分子量が10万以上、好ましくは10万〜100万、より好ましくは10万〜80万、更に好ましくは10万〜50万である。
用いられるろ過膜としては、有機溶媒及び使用温度により劣化しないものであれば特に限定されない。例えば、アルミナ、ジルコニア、チタニア等を基材に用いた無機膜、304及び316ステンレススチール等を基材に用いた金属膜、セルロース、漂白コットン、ポリスルホン(PS)、ポリプロピレン(PP)、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリフッ化ビニルデン(PVDF)、ポリカーボネイト(PCTE)、ポリ4フッ化エチレン(PTFE)等を基材に用いた高分子膜が挙げられる。これらの中でも、無機膜、ポリスルホン(PS)膜、ポリ4フッ化エチレン(PTFE)膜、ポリエーテルサルフォン(PES)膜が好ましく、ポリエーテルサルフォン(PES)膜が更に好ましい。
【0041】
膜の形状としては、管型、平板型、モノリス型等が挙げられ、分散体を流す方式としては、内圧ろ過方式でも外圧ろ過方式でもよい。
上記の中では、限外ろ過膜を用いたクルスフローろ過方式がより好ましく、その中でも有機溶媒を加えながらクロスフローろ過する、透析ろ過(ダイアフィルトレーション)方式が更に好ましい。
ろ過温度を上げることにより分散体が減粘し、ろ過効率が上昇する。ろ過温度としては使用する膜の適用範囲内、かつ分散安定性を保持できる範囲であればよく、10〜150℃が好ましく、15〜100℃がより好ましく、20〜60℃がより好ましく、35〜60℃が更に好ましい。
【0042】
(遠心分離処理(ii))
遠心分離処理(ii)は、工程(2)の遠心分離処理より強い遠心分離条件(G・min)で行うことで、工程(2)で得られた顔料分散体を液分と固形分とに分離し、形成した液分(上澄み液)を除去して固形分を回収し、そして得られた固形分を再分散処理することで顔料分散体を精製する。
顔料に吸着していない水不溶性分散剤は液分(有機溶剤)中に存在するため、遠心分離中ないし遠心分離後に、液分の全部又は一部を除去することにより、顔料に吸着していない水不溶性分散剤を適切に取り除くことができる。また、回収される固形分は、主として水不溶性分散剤が顔料に吸着した粒子からなり、遠心分離後にスラリー状ないしケーキ状となって、遠心分離機の側壁ないし底部に残存しているので、容易に回収することができる。また、得られた固形分を再分散処理することにより、顔料の凝集体を更に解砕・安定化することができる。この再分散処理の際に用いる有機溶媒は、工程(1)で用いたのと同じ有機溶媒を使用することができる。
【0043】
用いることのできる遠心分離機は特に制限はなく、工程(2)と同じでもよいし、異なっていてもよい。品種切り替え時の洗浄を容易に行うことができる等の操作性の観点から、円筒型遠心分離機が好ましく、特に固形分を自動的に排出できる円筒型遠心分離機がより好ましい。自動排出円筒型遠心分離機の市販品としては、例えば、巴工業株式会社製AF型が挙げられる。また、固形分を効率良く回収できる観点から、バスケット型遠心分離機が好ましく、無孔壁バスケット型遠心分離機がより好ましく、特に、特開2003−93811号公報等に記載されているような、上澄み液にノズルを挿入し、該上澄み液を排出させる機能(スキミング機能)を備えているバスケット型遠心分離機が、効率よく遠心分離を行うことができることから好ましい。無孔壁バスケット型遠心分離機の市販品としては、例えば、株式会社関西遠心分離機械製作所製のKBS型、タナベウィルテック株式会社製のS型の遠心分離機等が挙げられる。
遠心分離機の運転方法にも特に制限はない。(i)原液分散体を供給しながら分離液層を排出する連続式、及び(ii)原液分散体を供給した後、分離液層が形成されたところで該液層を排出するバッチ式のいずれの運転方法であってもよい。効率的に固形分を分離回収できるという観点から、連続式の遠心分離処理が好ましい。
遠心加速度と処理時間との積(G・min)は、工程(2)で得られた分散体を確実に液分と固形分に分離する観点から、5千万G・min以上であり、遠心分離の処理効率を高めるとともに、遠心分離機の耐久性を高める観点から5千万〜5億G・minがより好ましく、5千万〜2億G・minが更に好ましい。
工程(3)の遠心分離処理(ii)においても、遠心分離処理の効率化のため、工程(2)で得られた顔料分散体に、工程(1)で用いたのと同じ有機溶媒を加えて分散液を低粘度化し、遠心分離処理を行うことができる。
【0044】
再分散処理には、ホモジナイザーを使用することができる。ホモジナイザーは、その高衝撃力と瞬間的な高圧を伴うキャビテーション現象を発現することで、顔料凝集体を解砕し、再凝集を抑制することにより、粗粒(顔料凝集体)を低減し、顔料粒子を安定化させることができると考えられる。
ホモジナイザーとしては、超音波ホモジナイザー、高圧ホモジナイザー等が挙げられる。超音波ホモジナイザーを使用する場合は、真空引き、脱泡、脱気を行ってから分散処理することが望ましい。また、投入する分散エネルギーの使用効率の観点からは、高圧ホモジナイザーがより好ましい。
用いることのできる市販の高圧ホモジナイザーとしては、前記のものが挙げられる。
顔料粒子の再凝集を抑制し分散安定化を図る観点からは分散圧力は20MPa以上であることが好ましく、50MPa以上がより好ましい。また、同様の観点から、処理パス数は少なくとも1パス以上、好ましくは3パス以上、より好ましくは5パス以上である。パスさせる運転方式としては、第2工程におけるメディア式分散機同様に、循環方式、連続方式があり、パス回数分布が生じにくい観点から連続方式がより好ましい。
再分散処理時の温度は特に限定されないが、5〜80℃が好ましい。
【0045】
工程(3)において、クロスフローろ過処理(i)又は遠心分離処理(ii)により、顔料に吸着していない水不溶性分散剤を除去するが、保存安定性を高める観点から、分散体中の顔料に吸着していない水不溶性分散剤の濃度は、好ましくは1.8重量%以下、より好ましくは1.5重量%以下、更に好ましくは1重量%以下であり、未吸着の分散剤が存在しないことが更に好ましい。また、その下限は特に制限はないが、生産性及び保存安定性の観点から、0.01重量%以上が好ましい。なお、顔料に吸着していない分散剤量の測定は、実施例記載の方法により行うことができる。
【0046】
工程(3)により得られる最終顔料分散体の粘度については、工程(3)でクロスフローろ過処理(i)を用いた場合は、ろ過処理工程での有機溶媒の除去量を調整することにより、分散液の粘度を所望の値に調整することができ、遠心分離処理(ii)を用いた場合は、遠心分離処理後の再分散工程での有機溶媒の添加量によって、所望の粘度に調整することができる。
粒径変化率、粘度変化率等の保存安定性については、顔料分散体の保存前後で粒径又は粘度が変化しないことが、顔料分散体の品質の安定化、カラーフィルター作製時の製造条件の安定化の点から好ましい。その観点から、粒径変化率は1.2以下が好ましく、1.1以下がより好ましく、1.0が更に好ましく、粘度変化率は1.5以下が好ましく、1.3以下がより好ましく、1.1以下が更に好ましい。
【0047】
<カラーフィルター用顔料分散体>
本発明の製造方法により得られたカラーフィルター用顔料分散体は、低粘度で保存安定性に優れ、かつ粗大顔料粒子が極めて少ないため、カラーフィルターとしてのコントラスト比が高くなる。そのため、特にインクジェット法により作製されるカラーフィルター用着色組成物として有用である。すなわち、各種のバインダー、多官能モノマー、光重合開始剤、溶剤、添加剤等を添加、混合することにより、カラーフィルター用着色組成物(カラーレジスト色材)として用いることができる。
バインダーとしては、(メタ)アクリル酸と(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体、スチレン/無水マレイン酸共重合体、スチレン/無水マレイン酸共重合体とアルコール類との反応物等を挙げることができる。その重量平均分子量は、5000〜200,000が好ましい。バインダーの含有量は、顔料分散組成物中の全固形分に対して20〜80重量%が好ましい。
多官能モノマーとしては、エチレン性不飽和二重結合を2個以上有する(メタ)アクリル酸エステル、ウレタン(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸アミド、アリル化合物、ビニルエステル等を挙げることができる。多官能モノマーの含有量は、顔料分散組成物中の全固形分に対して10〜60重量%が好ましい。
光重合開始剤としては、芳香族ケトン類、ロフィン2量体、ベンゾイン、ベンゾインエーテル類、ポリハロゲン類を挙げることができる。特に4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンと2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体の組み合わせ、4−[p−N,N−ジ(エトキシカルボニルメチル)−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン]が好ましい。光重合開始剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。光重合開始剤の含有量は、顔料分散組成物中の全固形分に対して0.2〜10重量%が好ましい。
【実施例】
【0048】
以下の製造例、実施例及び比較例において、「部」及び「%」は特記しない限り「重量部」及び「重量%」である。
実施例及び比較例で得られた顔料分散体中の顔料に吸着していない水不溶性分散剤(以下、「顔料未吸着分散剤」ともいう)量、固形分、粗大粒子量、及び粘度の測定、保存安定性(粘度変化率、粒径変化率)の評価は、以下の方法により行った。
【0049】
(1)顔料未吸着分散剤濃度の測定
顔料分散体40部をジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート(以下「BCA」という。有機溶媒)80部で希釈し、遠心分離機(株式会社久保田製作所製、冷却遠心機3K30C)を用いて55,000Gで24時間(79,200,000G・min)遠心分離(ローター:S12158)した後、次の方法で、上澄み液中の固形分を測定した。
上澄み液をアルミカップに精秤し、150℃の真空オーブン中で12時間乾燥した後の総重量から、下記計算式(5)より上澄み液中の固形分が求められる。
上澄み液中の固形分(重量%)=[(乾燥後の総重量−アルミカップ重量)/(乾燥前のサンプル重量)]×100 (5)
上記上澄み液の固形分から、顔料未吸着分散剤濃度は、次の式から計算できる。
顔料未吸着分散剤濃度(重量%)=上澄み液中の固形分×3 (6)
【0050】
(2)粗大粒子量の測定
顔料分散体の粒径分布を、マルバーン社製ゼータサイザー(粒子径、ゼータ電位、分子量測定装置)を用いて測定し、100nm以上の累積粒度分布を粗大粒子量(体積%)とした。
(3)粘度の測定
E型粘度計〔測定温度:20℃、測定時間:1分、回転数:20rpm、標準ローター(1°34′×R24)〕を用いて粘度を測定した。
(4)粘度安定性の評価
目的とする顔料分散体(工程(3)で得られた顔料分散体)を調製した直後(保存前)の粘度を、上記(3)により測定した。同様にして、前記顔料分散体を40℃で1週間保存した後の粘度を測定し、保存前後の粘度変化を対比して、下記計算式(7)により粘度変化率を求め、保存安定性を評価した。
粘度変化率=1週間保存後の粘度/調製直後(保存前)の粘度 (7)
(5)粒径安定性の評価
目的とする顔料分散体(工程(3)で得られた顔料分散体)を調製した直後(保存前)の粒径を、上記記載同様のマルバーン社製ゼータサイザーを用いて測定した。同様にして、前記顔料分散体を40℃で一週間保存した後の平均粒径(D50)を測定し、保存前後の平均粒径(D50)の変化を対比して、下記計算式(8)により粒径変化率を求め、保存安定性を評価した。
粒径変化率=7日間保存後の平均粒径/調製直後(保存前)の平均粒径 (8)
【0051】
製造例1(高分子分散剤の製造)
窒素導入管を備え付けた反応容器に、メタクリル酸メチル50部、BCA25部、3−メルカプトプロピオン酸(連鎖移動剤)5部を量り込み、窒素シールをしながら75℃まで昇温した。次に、メタクリル酸メチル200部、BCA100部、前記連鎖移動剤16.7部、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(重合開始剤)2部の混合物を3時間で滴下した。その後、BCA125部、前記連鎖移動剤0.9部、前記重合開始剤2部の混合物を1時間かけて滴下し、更に2時間熟成し、数平均分子量2,080、重量平均分子量3,350のメタクリル酸メチルマクロマー前駆体を合成した。
次いで、窒素導入管を空気導入管に切替え、得られたマクロマー前駆体に気体ポンプで空気を吹き込み、グリシジルメタクリレート23.3部、テトラブチルアンモニウムブロマイド7.9部、p−メトキシフェノール0.8部、BCA17部を添加し、90℃で10時間反応し、数平均分子量2,200、重量平均分子量3,500、固形分60%のメタクリル酸メチルマクロマーを得た。
【0052】
窒素導入管を備え付けた反応容器に、BCA10部を計り込み、窒素シールをしながら80℃まで昇温した。この反応容器に得られたメタクリル酸メチルマクロマーを固形分として72.5部、N−ビニル−2−ピロリドン12.8部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート14.7部、BCA120部の混合液230部、前記重合開始剤2部、及び2−メルカプトエタノール(連鎖移動剤)の0.4部を、2時間にわたって滴下し、滴下終了後さらに3時間反応させ、固形分40%のグラフトポリマー(高分子分散剤)溶液を得た。
得られた分散剤のゲルクロマトグラフィー(GPC)法によりポリスチレンを標準物質として測定した結果、数平均分子量(Mn)5,200、重量平均分子量(Mw)28,000であった。
【0053】
実施例1
(1)顔料分散体(1)の製造
ジケトピロロピロール系顔料(A)(チバ・スペシャルティー・ケミカルズ株式会社製、C.I.ピグメントレッド254、商品名「IRGAPHOR BK−CF」、平均一次粒径30nm(カタログ値))10部、BCA67.5部、製造例1で得られた高分子分散剤(40%)22.5部、φ0.3mmジルコニアビーズ200部をポリビンに入れ、予備分散処理工程としてペイントシェーカー(淺田鉄工株式会社製)にて3時間振とうし、次いでその分散液80部とφ0.05mmのジルコニアビーズ160部をポリビンに入れ、同様に本分散処理工程としてペイントシェーカーにて24時間振とうし、顔料分散体(1)(粘度:20mPa・s)を得た。
(2)顔料分散体(2)の製造
得られた顔料分散体(1)80部を遠心分離沈降管(ローター:S12158)に入れ、遠心分離機(株式会社久保田製作所製、冷却遠心機3K30C)を用いて、温度20℃、20,000Gの条件下で1時間遠心分離処理を行った。目視にて沈降物が生じていることを確認。その後、沈降した固形分が混ざらないように、ゆっくり上澄み液のみ回収し、顔料分散体(2)を得た。
(3)顔料分散体(3)の製造
得られた顔料分散体(2)40部をBCA80部で希釈した顔料分散体を遠心分離沈降管(ローター:S12159)に入れ、上記と同じ遠心分離機を用いて、温度20℃、55,000Gの条件下で24時間遠心分離後、上澄み(上澄みは目視にて透明)を捨て、沈降物を得た。
得られた沈降物に分散体が40部になるようにBCAを加え、超音波ホモジナイザー(シャープ株式会社製、SILENTSONIC UT−204)を用いて、超音波照射して再分散処理を行い、顔料分散体(3)(粘度:16mPa・s)を得た。評価結果を表1に示す。
【0054】
実施例2
(1)顔料分散体(4)の製造
ジケトピロロピロール系顔料(A)(チバ・スペシャルティー・ケミカルズ株式会社製、C.I.ピグメントレッド254、商品名「IRGAPHOR BK−CF」、平均一次粒径30nm(カタログ値))12.1部、BCA60.7部、製造例1で得られた高分子分散剤(40%)27.3部、φ0.3mmジルコニアビーズ200部をポリビンに入れ、予備分散処理工程としてペイントシェーカー(淺田鉄工株式会社製)にて3時間振とうし、次いでその分散液80部とφ0.05mmのジルコニアビーズ160部をポリビンに入れ、同様に本分散処理工程としてペイントシェーカーにて24時間振とうし、顔料分散体(4)(粘度:40mPa・s)を得た。
(2)顔料分散体(5)の製造
得られた顔料分散体(4)80部を遠心分離沈降管(ローター:S12159)に入れ、遠心分離機(株式会社久保田製作所製、冷却遠心機3K30C)を用いて、温度20℃、38,000Gの条件下で5.5時間遠心分離処理を行った。目視にて沈降物が生じていることを確認。その後、沈降した固形分が混ざらないように、ゆっくり上澄み液のみ回収し、顔料分散体(5)を得た。
(3)顔料分散体(6)の製造
得られた顔料分散体(5)40部をBCA80部で希釈した顔料分散体を上記と同じ遠心分離機を用いて、温度20℃、55,000Gの条件下で48時間遠心分離後、上澄み(上澄みは目視にて透明)を捨て、沈降物を得た。
得られた沈降物に分散体が40部になるようにBCAを加え、超音波ホモジナイザー(シャープ株式会社製、SILENTSONIC UT−204)を用いて、超音波照射して再分散処理を行い、顔料分散体(6)(粘度:22mPa・s)を得た。評価結果を表1に示す。
【0055】
実施例3
(1)顔料分散体(7)の製造
上記実施例1(1)で得られた顔料分散体(1)40部を、BCA40部で希釈した分散体(粘度:5mPa・s)を遠心分離沈降管(ローター:S12158)に入れ、遠心分離機(株式会社久保田製作所製、冷却遠心機3K30C)を用いて、温度20℃、20,000Gの条件下で0.25時間遠心分離処理を行った。目視にて沈降物が生じていることを確認。その後、沈降した固形分が混ざらないように、ゆっくり上澄み液のみ回収し、顔料分散体(7)を得た。
(2)顔料分散体(8)の製造
得られた顔料分散体(7)80部を遠心分離沈降管(ローター:S12159)に入れ、上記と同じ遠心分離機を用いて、温度20℃、55,000Gの条件下で18時間遠心分離後、上澄み(上澄みは目視にて透明)を捨て、沈降物を得た。
得られた沈降物に分散体が40部になるようにBCAを加え、超音波ホモジナイザー(シャープ株式会社製、SILENTSONIC UT−204)を用いて、超音波照射して再分散処理を行い、顔料分散体(8)(粘度:13mPa・s)を得た。評価結果を表1に示す。
【0056】
実施例4
(1)顔料分散体(9)の製造
上記実施例1(1)で得られた顔料分散体(1)80部を、バスケット式遠心分離機(株式会社関西遠心分離機製作所製、KBS−10)を用いて、1,500Gの条件下で13時間遠心分離処理を行った。その後、沈降した固形分が混ざらないように、ゆっくり上澄み液のみスキミング回収した、顔料分散体(9)を得た。
(2)顔料分散体(10)の製造
得られた顔料分散体(9)40部をBCA 80部で希釈した顔料分散体を連続式遠心分離機(株式会社関西遠心分離機製作所製、KS-1−L)を用いて、20,000Gの条件下で50時間遠心分離後、回転を停止し上澄みを捨て、ローター内部堆積した沈降物を回収した。
得られた沈降物に分散体が40部になるようにBCAを加え、超音波ホモジナイザー(シャープ株式会社製、SILENTSONIC UT−204)を用いて、超音波照射して再分散処理を行い、顔料分散体(10)(粘度:17mPa・s)を得た。評価結果を表1に示す。
【0057】
比較例1
(1)顔料分散体(11)の製造
ジケトピロロピロール系顔料(A)(チバ・スペシャルティー・ケミカルズ株式会社製、C.I.ピグメントレッド254、商品名「IRGAPHOR BK−CF」、平均一次粒径30nm(カタログ値))5部、BCA83.75部、製造例1で得られた高分子分散剤(40%)11.25部、φ0.3mmジルコニアビーズ200部をポリビンに入れ、予備分散処理工程としてペイントシェーカー(淺田鉄工株式会社製)にて3時間振とうし、次いでその分散液80部とφ0.05mmのジルコニアビーズ160部をポリビンに入れ、同様に本分散処理工程としてペイントシェーカーにて24時間振とうし、顔料分散体(11)(粘度:6mPa・s)を得た。
(2)顔料分散体(12)の製造
得られた顔料分散体(11)80部を遠心分離沈降管(ローター:S12158)に入れ、遠心分離機(株式会社久保田製作所製、冷却遠心機3K30C)を用いて、温度20℃、20,000Gの条件下で0.25時間遠心分離処理を行った。目視にて沈降物が生じていることを確認。その後、沈降した固形分が混ざらないように、ゆっくり上澄み液のみ回収し、顔料分散体(12)を得た。
(3)顔料分散体(13)の製造
得られた顔料分散体(12)80部を遠心分離沈降管(ローター:S12159)に入れ、上記と同じ遠心分離機を用いて、温度20℃、55,000Gの条件下で18時間遠心分離後、上澄み(上澄みは目視にて透明)を捨て、沈降物を得た。
得られた沈降物に分散体が40部になるようにBCAを加え、超音波ホモジナイザー(シャープ株式会社製、SILENTSONIC UT−204)を用いて、超音波照射して再分散処理を行い、顔料分散体(13)(粘度:19mPa・s)を得た。評価結果を表1に示す。
【0058】
比較例2
(1)顔料分散体(14)の製造
上記実施例1(1)で得られた顔料分散体(1)80部を遠心分離沈降管(ローター:S12158)に入れ、遠心分離機(株式会社久保田製作所製、冷却遠心機3K30C)を用いて、温度20℃、2,500Gの条件下で1時間遠心分離処理を行った。目視にて確認したところ、沈降物は確認できなかった。遠心沈降管から回収したものを、顔料分散液(14)とした。
(2)顔料分散体(15)の製造
得られた顔料分散体(14)40部をBCA 80部で希釈した顔料分散体を遠心分離沈降管(ローター:S12159)に入れ、上記と同じ遠心分離機を用いて、温度20℃、55,000Gの条件下で24時間遠心分離後、上澄み(上澄みは目視にて透明)を捨て、沈降物を得た。
得られた沈降物に分散体が40部になるようにBCAを加え、超音波ホモジナイザー(シャープ株式会社製、SILENTSONIC UT−204)を用いて、超音波照射して再分散処理を行い、顔料分散体(15)(粘度:16mPa・s)を得た。評価結果を表1に示す。
【0059】
比較例3
(1)顔料分散体(16)の製造
上記実施例1(2)で得られた顔料分散体(2)40部をBCA 80部で希釈した顔料分散体を遠心分離沈降管(ローター:S12158)に入れ、上記と同じ遠心分離機を用いて、温度20℃、20,000Gの条件下で1時間遠心分離した。透明な上澄み層は生じず、沈降物はほとんど生じなかった。沈降物がほとんど生じなかったため、顔料分散体とともに沈降物も回収し、超音波ホモジナイザー(シャープ株式会社製、SILENTSONIC UT−204)を用いて、超音波照射して再分散処理を行い、顔料分散液(16)(粘度:4mPa・s)を得た。この分散液では上澄みを捨てられなかったため、最終分散体の濃度は5.8%とかなり薄くなった。評価結果を表1に示す。
【0060】
【表1】

【0061】
表1から、実施例1〜4の顔料分散体は、比較例1〜3の顔料分散体に比べて、100nm以上の粗大粒子が少なく、顔料未吸着分散剤量も少なく、また保存後の粘度変化率及び粒径変化率が小さく、保存安定性に優れていることが分かる。
【0062】
実施例5
(1)顔料分散体(17)の製造
上記実施例1(2)で得られた顔料分散体(2)100部をBCA100部で希釈した顔料分散体を限外ろ過膜装置(ミリポア社製、ペリコンII、バイオマックス、材質:PES、分画分子量500,000、膜面積0.1m2)を用いて、初め透過液が目視で透明になるまで透過液側を循環液側に戻し、透過液が透明になるのを確認後、透過流速と同じ流量でBCAを連続的に滴下する透析ろ過方式でクロスフローろ過しながら、顔料未吸着分散剤濃度測定用のサンプルを連続的に循環液側からスポイトでサンプリングした。適宜顔料未吸着分散剤濃度を測定し、透過液側の未吸着分散剤濃度がほぼゼロになるまでろ過を継続した。その後、BCAの滴下を止めて、BCAの透過液量が100部になるまでろ過を行い、循環液側の顔料分散体(17)(粘度:16mPa・s)を得た。評価結果を表2に示す。
【0063】
実施例6
(1)顔料分散体(18)の製造
上記実施例2(2)で得られた顔料分散体(5)100部をBCA 200部で希釈した顔料分散体を限外ろ過膜装置(ミリポア社製、ペリコンII、バイオマックス、材質:PES、分画分子量500,000、膜面積0.1m2)を用いて、実施例5同様に、透過液側の未吸着分散剤濃度がほぼゼロになるまでろ過を継続した。その後、BCAの滴下を止めて、BCAの透過液量が200部になるまでろ過を行い、循環液側の顔料分散体(18)(粘度:23mPa・s)を得た。評価結果を表2に示す。
【0064】
実施例7
(1)顔料分散体(19)の製造
上記実施例3(1)で得られた顔料分散体(7)200部を限外ろ過膜装置(ミリポア社製、ペリコンII、バイオマックス、材質:PES、分画分子量500,000、膜面積0.1m2)を用いて、実施例5同様に、透過液側の未吸着分散剤濃度がほぼゼロになるまでろ過を継続した。その後、BCAの滴下を止めて、BCAの透過液量が100部になるまでろ過を行い、循環液側の顔料分散体(19)(粘度:16mPa・s)を得た。評価結果を表2に示す。
【0065】
実施例8
(1)顔料分散体(20)の製造
上記実施例1(1)で得られた顔料分散体(1)80部を、連続式遠心分離機(株式会社関西遠心分離機製作所製、KS−1−L)を用いて、18,000Gの条件下で1時間遠心分離処理を行った。その後、回転を停止し上澄みを回収し、顔料分散体(20)を得た。
(2)顔料分散体(21)の製造
得られた顔料分散体(20)100部をBCA100部で希釈した顔料分散体を限外ろ過膜装置(ミリポア社製、ペリコンII、バイオマックス、材質:PES、分画分子量500,000、膜面積0.1m2)を用いて、実施例5同様に、透過液側の未吸着分散剤濃度がほぼゼロになるまでろ過を継続した。その後、BCAの滴下を止めて、BCAの透過液量が100部になるまでろ過を行い、循環液側の顔料分散体(21)(粘度:18mPa・s)を得た。評価結果を表2に示す。
【0066】
実施例9
(1)顔料分散体(22)の製造
上記実施例8(1)で得られた顔料分散体(20)100部をBCA 100部で希釈した顔料分散体を限外ろ過膜装置(ミリポア社製、ペリコンII、バイオマックス、材質:PES、分画分子量500,000、膜面積0.1m2)を用いて、実施例5同様に、透過液側の未吸着分散剤濃度がほぼゼロになるまでろ過を継続した。その後、BCAの滴下を止めて、BCAの透過液量が100部になるまでろ過を行い、循環液側の顔料分散体(22)(粘度:16mPa・s)を得た。このとき、分散体温度を40℃まで昇温(実測は43℃)し、ろ過を行った。評価結果を表2に示す。
【0067】
実施例10
(1)顔料分散体(23)の製造
上記実施例8(1)で得られた顔料分散体(20)100部をBCA 100部で希釈した顔料分散体を精密ろ過膜装置(テトラテック社製、材質:PTFE、孔径0.05μm、膜面積0.05m2)を用いて、実施例5同様に、透過液側の未吸着分散剤濃度がほぼゼロになるまでろ過を継続した。このとき、透過液側は透明ではなく、極うすい赤色(薄ピンク色)であった。その後、BCAの滴下を止めて、BCAの透過液量が100部になるまでろ過を行い、循環液側の顔料分散体(23)(粘度:15mPa・s)を得た。評価結果を表2に示す。
【0068】
実施例11
(1)顔料分散体(24)の製造
BCA67.5部、製造例1で得られた高分子分散剤(40%)22.5部を混合したものに、ホモミキサー(IKAジャパン株式会社製、ウルトラタラックス)17,000rpmで撹拌下、顔料としてジケトピロロピロール系顔料(チバ・スペシャルティー・ケミカルズ株式会社製、PR254:商品名「IRGAPHOR BT−CF」)10部を投入し、30分間撹拌混合して一次予備分散体を得た。
得られた混合物を、φ0.3mmのジルコニアビーズを充填(充填率60vol%)したダイノーミル(シンマルエンタープライゼス社製、商品名、型式0.6L−ECM)を撹拌周速8m/s、滞留時間5分の条件で、連続方式により3パス処理し、数μmの粗大粒子を分散し、二次予備分散体を得た。
次に、φ0.05mmのジルコニアビーズを充填(充填率64vol%)したウルトラアペックスミル(内容積0.17L、寿工業株式会社製、メディア式分散機の商品名、型式UAM-05)を撹拌周速6m/s、滞留時間0.6分の条件で、連続方式により50パス本分散処理し、顔料分散体(24)(粘度:25mPa・s)を得た。
(2)顔料分散体(25)の製造
得られた顔料分散体(24)80部を、連続式遠心分離機(株式会社関西遠心分離機製作所製、KS−1−L)を用いて、18,000Gの条件下で1時間遠心分離処理を行った。その後、回転を停止し上澄みを回収し、顔料分散体(25)を得た。
(3)顔料分散体(26)の製造
得られた顔料分散体(25)100部をBCA 100部で希釈した顔料分散体を限外ろ過膜装置(ミリポア社製、ペリコンII、バイオマックス、材質:PES、分画分子量500,000、膜面積0.1m2)を用いて、実施例5同様に、透過液側の未吸着分散剤濃度がほぼゼロになるまでろ過を継続した。その後、BCAの滴下を止めて、BCAの透過液量が100部になるまでろ過を行い、循環液側の顔料分散体(26)(粘度:17mPa・s)を得た。評価結果を表2に示す。
【0069】
比較例4
(1)顔料分散体(27)の製造
上記比較例1(2)で得られた顔料分散体(12)200部を限外ろ過膜装置(ミリポア社製、ペリコンII、バイオマックス、材質:PES、分画分子量500,000、膜面積0.1m2)を用いて、初め透過液が目視で透明になるまで透過液側を循環液側に戻し、透過液が透明になるのを確認後、透過流速と同じ流量でBCAを連続的に滴下するダイアフィルトレーション方式でクロスフローろ過しながら、顔料未吸着分散剤濃度測定用のサンプルを連続的に循環液側からスポイトでサンプリングした。適宜顔料未吸着分散剤濃度を測定し、透過液側の未吸着分散剤濃度がほぼゼロになるまでろ過を継続した。その後、BCAの滴下を止めて、BCAの透過液量が100部になるまでろ過を行い、循環液側の顔料分散体(27)(粘度:23mPa・s)を得た。評価結果を表2に示す。
【0070】
比較例5
(1)顔料分散体(28)の製造
ジケトピロロピロール系顔料(A)(チバ・スペシャルティー・ケミカルズ株式会社製、C.I.ピグメントレッド254、商品名「IRGAPHOR BK−CF」、平均一次粒径30nm(カタログ値))21部、BCA31.75部、製造例1で得られた高分子分散剤(40%)47.25部、φ0.3mmジルコニアビーズ200部をポリビンに入れ、予備分散処理工程としてペイントシェーカー(淺田鉄工株式会社製)にて3時間振とうし、次いでその分散液80部とφ0.05mmのジルコニアビーズ160部をポリビンに入れ、同様に本分散処理工程としてペイントシェーカーにて24時間振とうした。固形分40.0%(顔料濃度21.0%、分散剤19.0%)の顔料分散体(28)(粘度:60mPa・s)を得た。
(2)顔料分散体(29)の製造
得られた顔料分散体(28)80部を遠心分離沈降管(ローター:S12159)に入れ、遠心分離機(株式会社久保田製作所製、冷却遠心機3K30C)を用いて、温度20℃、20,000Gの条件下で25時間遠心分離処理を行った。目視にて沈降物が生じていることを確認。その後、沈降した固形分が混ざらないように、ゆっくり上澄み液のみ回収し、顔料分散体(29)を得た。
(3)顔料分散体(30)の製造
得られた顔料分散体(29)100部をBCA 100部で希釈した顔料分散体を限外ろ過膜装置(ミリポア社製、ペリコンII、バイオマックス、材質:PES、分画分子量500,000、膜面積0.1m2)を用いて、初め透過液が目視で透明になるまで透過液側を循環液側に戻し、透過液が透明になるのを確認後、透過流速と同じ流量でBCAを連続的に滴下するダイアフィルトレーション方式でクロスフローろ過しながら、顔料未吸着分散剤濃度測定用のサンプルを連続的に循環液側からスポイトでサンプリングした。適宜顔料未吸着分散剤濃度を測定し、透過液側の未吸着分散剤濃度がほぼゼロになるまでろ過を継続しようとしたが、ろ過処理時間が実施例5の約3倍要したため中止した。その後、BCAの滴下を止めて、BCAの透過液量が100部になるまでろ過を行い、循環液側の顔料分散体(30)(粘度:41mPa・s)を得た。最終分散液の粘度がかなり高かったため、ろ過膜の目詰まりが発生しやすかった。評価結果を表2に示す。
【0071】
比較例6
(1)顔料分散体(31)の製造
上記実施例1(2)で得られた顔料分散体(2)100部をBCA 100部で希釈した顔料分散体を限外ろ過膜装置(ミリポア社製、ペリコンII、バイオマックス、材質:PES、分画分子量50,000、膜面積0.1m2)を用いて、初め透過液が目視で透明になるまで透過液側を循環液側に戻し、透過液が透明になるのを確認後、透過流速と同じ流量でBCAを連続的に滴下するダイアフィルトレーション方式でクロスフローろ過しながら、顔料未吸着分散剤濃度測定用のサンプルを連続的に循環液側からスポイトでサンプリングした。適宜顔料未吸着分散剤濃度を測定し、透過液側の未吸着分散剤濃度がほぼゼロになるまでろ過を継続した。その後、BCAの滴下を止めて、BCAの透過液量が100部になるまでろ過を行い、循環液側の顔料分散体(31)(粘度:22mPa・s)を得た。評価結果を表2に示す。
【0072】
比較例7
(1)顔料分散体(32)の製造
上記実施例3(1)で得られた顔料分散体(7)200部を、ロータリー式のエバポレーターを用いて、回収したBCA量が100部になるまで、BCA溶媒の除去(トッピング)を行い、顔料分散体(32)(粘度:20mPa・s)を得た。評価結果を表2に示す。
【0073】
【表2】

【0074】
表2から、実施例5〜11の顔料分散体は、比較例4〜7の顔料分散体に比べて、100nm以上の粗大粒子が少なく、顔料未吸着分散剤量も少なく、また保存後の粘度変化率及び粒径変化率が小さく、保存安定性に優れていることが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明によれば、低粘度で保存安定性に優れ、かつ粗大顔料粒子が極めて少ないカラーフィルター用顔料分散体を効率的に製造することができる。また、得られたカラーフィルター用顔料分散体は、耐熱性、コントラスト比に優れているため、液晶表示素子や固体撮像素子等のカラーフィルター用色材として好適に使用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記工程(1)〜(3)を有する、カラーフィルター用顔料分散体の製造方法。
工程(1):顔料、水不溶性分散剤、及び有機溶媒を含む、粘度が10〜55mPa・sの混合液を分散処理して、顔料分散体を得る工程
工程(2):工程(1)で得られた顔料分散体を、30万〜3千万G・minの条件で遠心分離処理して、顔料分散体を得る工程
工程(3):工程(2)で得られた顔料分散体に、100μm以下の精密ろ過膜又は分画分子量が10万以上の限外ろ過膜を用いるクロスフローろ過処理(i)を施すことにより顔料分散体を精製するか、又は5千万G・min以上の条件下における遠心分離処理(ii)を施すことにより得られた固形分を、再分散処理を行うことで顔料分散体を精製する工程
【請求項2】
工程(2)において、遠心分離処理前に有機溶媒を加えて粘度を3〜40mPa・sの範囲に調整する、請求項1に記載のカラーフィルター用顔料分散体の製造方法。
【請求項3】
工程(3)で得られる顔料分散体の固形分を、工程(2)で得られる顔料分散体の固形分より高くする、請求項1又は2に記載のカラーフィルター用顔料分散体の製造方法。
【請求項4】
工程(3)のクロスフローろ過処理(i)が透析ろ過処理である、請求項1〜3のいずれかに記載のカラーフィルター用顔料分散体の製造方法。
【請求項5】
工程(3)のクロスフローろ過処理(i)の温度が10〜150℃である、請求項1〜4のいずれかに記載のカラーフィルター用顔料分散体の製造方法。
【請求項6】
工程(3)の顔料分散体中の顔料に吸着していない水不溶性分散剤の濃度を0.01〜1.8重量%とする、請求項1〜5のいずれかに記載のカラーフィルター用顔料分散体の製造方法。

【公開番号】特開2012−17369(P2012−17369A)
【公開日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−154209(P2010−154209)
【出願日】平成22年7月6日(2010.7.6)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】