カラー撮像素子
【課題】偽色の発生を抑圧して高解像度化を図る。
【解決手段】水平方向及び垂直方向に配列された光電変換素子からなる複数の画素上に、所定のカラーフィルタ配列のカラーフィルタが配設されてなる単板式のカラー撮像素子である。このカラー撮像素子のカラーフィルタ配列は、輝度信号を得るために最も寄与する緑(G)に対応するGフィルタとG以外の赤(R)、青(B)に対応するR,Bフィルタとが配列された所定の基本配列パターン(P)を含み、この基本配列パターンPが水平方向及び垂直方向に繰り返して配置され、Gフィルタは、カラーフィルタ配列の水平、垂直、及び斜め(NE,NW)方向の各ライン内に配置され、R,Bフィルタは、カラーフィルタ配列の水平、及び垂直方向の各ライン内に配置される。また、Gフィルタに対応するG画素の画素数の比率は、R,Bフィルタに対応するR画素、B画素の各画素数の比率よりも大きくなっている。
【解決手段】水平方向及び垂直方向に配列された光電変換素子からなる複数の画素上に、所定のカラーフィルタ配列のカラーフィルタが配設されてなる単板式のカラー撮像素子である。このカラー撮像素子のカラーフィルタ配列は、輝度信号を得るために最も寄与する緑(G)に対応するGフィルタとG以外の赤(R)、青(B)に対応するR,Bフィルタとが配列された所定の基本配列パターン(P)を含み、この基本配列パターンPが水平方向及び垂直方向に繰り返して配置され、Gフィルタは、カラーフィルタ配列の水平、垂直、及び斜め(NE,NW)方向の各ライン内に配置され、R,Bフィルタは、カラーフィルタ配列の水平、及び垂直方向の各ライン内に配置される。また、Gフィルタに対応するG画素の画素数の比率は、R,Bフィルタに対応するR画素、B画素の各画素数の比率よりも大きくなっている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はカラー撮像素子に係り、特に色モワレの発生の抑圧及び高解像度化が可能なカラー撮像素子に関する。
【背景技術】
【0002】
単板カラー撮像素子の出力画像は、RAW画像(モザイク画像)であるため、欠落している色の画素を、周囲の画素から補間する処理(同時化処理)により多チャネル画像を得ている。この場合に問題となるのが、高周波の画像信号の再現特性であり、カラー撮像素子は白黒の撮像素子と比較して、撮像した画像にエリアシングが発生し易いため、色モワレ(偽色)の発生を抑圧しつつ再現帯域を広げて高解像化するということが重要な課題である。
【0003】
単板カラー撮像素子で最も広く用いられている色配列である原色系ベイヤー配列は、緑(G)画素を市松状に、赤(R)、青(B)を線順次に配置しているため、G信号は斜め方向で、R、B信号は水平、垂直方向の高周波信号を生成する際の再現精度が問題である。
【0004】
図13の(A)に示すような白黒の縦縞模様(高周波画像)が、図13の(B)に示すベイヤー配列の撮像素子に入射した場合、これをベイヤーの色配列に振り分けて色毎に比較すると、図13の(C)から(E)に示すようにRは薄い平坦、Bは濃い平坦、Gは濃淡のモザイク状の色画像となり、本来、白黒画像であるのに対し、RGB間に濃度差(レベル差)は起きないものが、色配列と入力周波数によっては色が付いた状態となってしまう。
【0005】
同様に、図14の(A)に示すような斜めの白黒の高周波画像が、図14の(B)に示すベイヤー配列の撮像素子に入射した場合、これをベイヤーの色配列に振り分けて色毎に比較すると、図14の(C)から(E)に示すようにRとBは薄い平坦、Gは濃い平坦の色画像となり、仮に黒の値を0、白の値を255とすると、斜めの白黒の高周波画像は、Gのみ255となるため、緑色になってしまう。このようにベイヤー配列では、斜めの高周波画像を正しく再現することができない。
【0006】
一般に単板式のカラー撮像素子を使用する撮像装置では、水晶などの複屈折物質からなる光学ローパスフィルタをカラー撮像素子の前面に配置し、高周波を光学的に落とすことで回避していた。しかし、この方法では、高周波信号の折り返りによる色付は軽減できるが、その弊害で解像度が落ちてしまうという問題がある。
【0007】
このような問題を解決するために、カラー撮像素子のカラーフィルタ配列を、任意の着目画素が該着目画素の色を含む3色と該着目画素の4辺のいずれかにおいて隣接する配列制限条件を満たす3色ランダム配列としたカラー撮像素子が提案されている(特許文献1)。
【0008】
また、分光感度が異なる複数のフィルタを有し、そのうち第1のフィルタと第2のフィルタが、画像センサの画素格子の一方の対角方向に第1の所定の周期で交互に配置されているとともに、他方の対角方向に第2の所定の周期で交互に配置されているカラーフィルタ配列の画像センサが提案されている(特許文献2)。
【0009】
更に、RGBの3原色のカラー固体撮像素子において、R、G、Bを水平に配置した3画素のセットを垂直方向にジグザグにずらしながら配置することによって、RGBそれぞれの出現確率を均等にし、かつ撮像面上の任意の直線(水平、垂直、斜めの直線)が全ての色を通過するようした色配列が提案されている(特許文献3)。
【0010】
更にまた、RGBの3原色のうちのR,Bを水平方向及び垂直方向にそれぞれ3画素置きに配置し、これらのR,Bの間にGを配置したカラー撮像素子が提案されている(特許文献4)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2000−308080号公報
【特許文献2】特開2005−136766号公報
【特許文献3】特開平11−285012号公報
【特許文献4】特開平8−23543号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
特許文献1に記載のカラー撮像素子は、フィルタ配列がランダムとなるため後段での同時化(補間)処理を行う際に、ランダムパターンごとに最適化する必要があり、同時化処理が煩雑になるという問題がある。また、ランダム配列では、低周波の色モアレには有効であるが、高周波部の偽色に対しては有効でない。
【0013】
また、特許文献2に記載の画像センサは、G画素(輝度画素)が市松状に配置されているため、限界解像度領域(特に斜め方法)での画素再現精度が良くないという問題がある。
【0014】
特許文献3に記載のカラー固体撮像素子は、任意の直線上に全ての色のフィルタが存在するため、偽色の発生を抑えることができる利点があるが、RGBの画素数の比率が等しいため、高周波再現性がベイヤー配列に比べて低下するという問題がある。尚、ベイヤー配列の場合、輝度信号を得るために最も寄与するGの画素数の比率が、R、Bそれぞれの画素数の2倍になっている。
【0015】
一方、特許文献4に記載のカラー撮像素子は、R、Bそれぞれの画素数に対するGの画素数の比率がベイヤー配列よりも高く、水平又は垂直方向にG画素のみのラインが存在するため、水平又は垂直方向に高周波部の偽色に対しては有効でない。
【0016】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、偽色の発生の抑圧及び高解像度化を図ることができるとともに、従来のランダム配列に比べて後段の処理を簡略化することができるカラー撮像素子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
前記目的を達成するために本発明の一の態様に係る発明は、水平方向及び垂直方向に配列された光電変換素子からなる複数の画素上に、所定のカラーフィルタ配列のカラーフィルタが配設されてなる単板式のカラー撮像素子であって、前記カラーフィルタ配列は、輝度信号を得るために最も寄与する第1の色に対応する第1のフィルタと前記第1の色以外の2色以上の第2の色に対応する第2のフィルタとが配列された所定の基本配列パターンを含み、該基本配列パターンが水平方向及び垂直方向に繰り返して配置され、前記第1のフィルタは、前記カラーフィルタ配列の水平、垂直、及び斜め(NE,NW)方向の各ライン内に配置され、前記第2のフィルタは、前記基本配列パターン内に前記カラーフィルタ配列の水平、及び垂直方向の各ライン内に1つ以上配置され、前記第1のフィルタに対応する第1の色の画素数の比率は、前記第2のフィルタに対応する第2の色の各色の画素数の比率よりも大きい。
【0018】
本発明の一の態様に係るカラー撮像素子によれば、輝度信号を得るために最も寄与する第1の色に対応する第1のフィルタを、カラーフィルタ配列の水平、垂直、及び斜め(NE,NW)方向の各ライン内に配置するようにしたため、高周波領域での同時化処理の再現精度を向上させることができ、また、前記第1の色以外の2色以上の第2の色に対応する第2のフィルタについてもカラーフィルタ配列の水平、及び垂直方向の各ライン内に1つ以上配置するようにしたため、色モワレ(偽色)の発生を抑圧して高解像度化を図ることができる。
【0019】
また、前記カラーフィルタ配列は、所定の基本配列パターンが水平方向及び垂直方向に繰り返して配置されているため、後段での同時化(補間)処理を行う際に、繰り返しパターにしたがって処理を行うことができ、従来のランダム配列に比べて後段の処理を簡略化することができる。
【0020】
更に、前記第1のフィルタに対応する第1の色の画素数と前記第2のフィルタに対応する第2の色の各色の画素数との比率を異ならせ、特に輝度信号を得るために最も寄与する第1の色の画素数の比率を、前記第2のフィルタに対応する第2の色の各色の画素数の比率よりも大きくするようにしたため、エリアシングを抑制することができ高周波再現性もよい。
【0021】
本発明の他の態様に係るカラー撮像素子において、前記カラーフィルタ配列は、前記第1のフィルタが水平、垂直、及び斜め(NE,NW)方向の各ライン内で2画素以上連続する部分を含んでいる。
【0022】
これにより、最小画素間隔で、水平、垂直、及び斜め(NE,NW)方向における輝度の変化の小さい方向(相関の高い方向)の判別ができる。
【0023】
本発明の更に他の態様に係るカラー撮像素子において、前記カラーフィルタ配列は、前記第1のフィルタからなる2×2画素に対応する正方配列を含んでいる。上記2×2画素の画素値を使用して、水平、垂直、及び斜め(NE,NW)方向のうちの相関の高い方向を判別することができる。
【0024】
本発明の更に他の態様に係るカラー撮像素子において、前記所定の基本配列パターン内のカラーフィルタ配列は、該基本配列パターンの中心に対して点対称であることが好ましい。これにより、後段に処理回路の回路規模を小さくすることが可能になる。
【0025】
本発明の更に他の態様に係るカラー撮像素子において、前記所定の基本配列パターンは、N×N(N:4以上8以下の整数)画素に対応する正方配列パターンであることが好ましい。Nが4よりも小さい場合には、本発明に係るカラーフィルタ配列の条件を満足せず、Nが8を超える場合には、同時化等の信号処理が複雑化するのに対し、基本配列パターンのサイズを大きくすることによる格別な効果が得られないからである。
【0026】
本発明の更に他の態様に係るカラー撮像素子において、前記所定の基本配列パターンは、6×6画素に対応する正方配列パターンであることが好ましい。
【0027】
上記のように所定の基本配列パターンは、N×N画素に対応する正方配列パターンであり、Nは4以上8以下の整数が好ましいが、Nは偶数の方が奇数よりも同時化処理時に有利であり、また、Nが4の場合は、前記基本配列パターン内に前記第1のフィルタが水平、垂直、及び斜め(NE,NW)方向の各ライン内で2画素以上連続する部分を含まないため、輝度の変化の小さい方向の判別に不利であり、Nが8の場合には、Nが6の場合に比べて信号処理が煩雑になる。したがって、前記基本配列パターンとしては、Nが6、即ち、6×6画素に対応する正方配列パターンが最も好ましい。
【0028】
本発明の更に他の態様に係るカラー撮像素子において、前記カラーフィルタ配列は、前記第1のフィルタが3×3画素群において中心と4隅に配置され、該3×3画素群が水平方向及び垂直方向に繰り返し配置されていることが好ましい。前記3×3画素群の4隅に前記第1のフィルタが配置されているため、該3×3画素群が水平方向及び垂直方向に繰り返し配置されると、前記カラーフィルタ配列は、前記第1のフィルタからなる2×2画素に対応する正方配列を含むようになり、この2×2画素の画素値を使用して、水平、垂直、及び斜め(NE,NW)方向のうちの相関の高い方向を判別することができるとともに、前記第1のフィルタがカラーフィルタ配列の水平、垂直、及び斜め(NE,NW)方向の各ライン内に配置されるようになる。
【0029】
本発明の更に他の態様に係るカラー撮像素子において、前記第2のフィルタは、前記カラーフィルタ配列の水平、垂直、及び斜め(NE,NW)方向の各ライン内に配置されるようにしてもよい。これにより、斜め方向の色再現性をより向上させることができる。
【0030】
本発明の更に他の態様に係るカラー撮像素子において、前記第1の色は、緑(G)色であり、前記第2の色は、赤(R)色及び青(B)色であることを特徴としている。
【0031】
本発明の更に他の態様に係るカラー撮像素子において、前記所定の基本配列パターンは、6×6画素に対応する正方配列パターンであり、前記カラーフィルタ配列は、3×3画素に対応する第1の配列であって、中心と4隅にGフィルタが配置され、中心のGフィルタを挟んで上下にBフィルタが配置され、左右にRフィルタが配列された第1の配列と、3×3画素に対応する第2の配列であって、中心と4隅にGフィルタが配置され、中心のGフィルタを挟んで上下にRフィルタが配置され、左右にBフィルタが配列された第2の配列とが、交互に水平方向及び垂直方向に配列されて構成されていることが好ましい。
【0032】
この基本配列パターンは、2×2画素に対応する正方配列のGフィルタを含み、また、基本配列パターンの中心に対して点対称となる最小サイズの基本配列パターンである。更に、上記構成のカラーフィルタ配列によれば、前記第1の配列又は第2の配列を中心に5×5画素(モザイク画像の局所領域)を抽出した場合、前記5×5画素の4隅に2×2画素のG画素が存在することになる。これらの2×2画素のG画素の画素値は、4方向の相関方向の判別に使用することができる。
【発明の効果】
【0033】
本発明によれば、輝度信号を得るために最も寄与する第1の色に対応する第1のフィルタを、カラーフィルタ配列の水平、垂直、及び斜め(NE,NW)方向の各ライン内に配置するとともに、前記第1のフィルタに対応する第1の色の画素数の比率を、前記第1の色以外の2色以上の第2のフィルタに対応する第2の色の画素数の比率よりも大きくするようにしたため、高周波領域での同時化処理の再現精度を向上させ、かつエリアシングを抑制することができる。
【0034】
また、前記第1の色以外の2色以上の第2の色に対応する第2のフィルタを、前記基本配列パターン内においてカラーフィルタ配列の水平、及び垂直方向の各ライン内に1つ以上配置するようにしたため、色モワレ(偽色)の発生を抑圧して高解像度化を図ることができる。
【0035】
更に、本発明に係るカラーフィルタ配列は、所定の基本配列パターンが水平方向及び垂直方向に繰り返されているため、後段での同時化(補間)処理を行う際に、繰り返しパターンにしたがって処理を行うことができ、従来のランダム配列に比べて後段の処理を簡略化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】図1は本発明に係る単板式のカラー撮像素子の第1の実施形態を示す図であり;
【図2】図2は第1の実施形態のカラー撮像素子のカラーフィルタ配列に含まれる基本配列パターンを示す図であり;
【図3】図3は第1の実施形態のカラー撮像素子のカラーフィルタ配列に含まれる6×6画素の基本配列パターンを3×3画素のA配列とB配列に分割し、これらを配置した様子を示す図であり;
【図4】図4は第1の実施形態のカラー撮像素子のカラーフィルタ配列に含まれる2×2画素のG画素の画素値から相関方向を判別する方法を説明するために使用した図であり;
【図5】図5はカラー撮像素子のカラーフィルタ配列に含まれる基本配列パターンの概念を説明するために使用した図であり;
【図6】図6は本発明に係る単板式のカラー撮像素子の第2の実施形態を示す図であり;
【図7】図7は本発明に係る単板式のカラー撮像素子の第3の実施形態を示す図であり;
【図8】図8は本発明に係る単板式のカラー撮像素子の第4の実施形態を示す図であり;
【図9】図9は本発明に係る単板式のカラー撮像素子の第5の実施形態を示す図であり;
【図10】図10は本発明に係る単板式のカラー撮像素子の第6の実施形態を示す図であり;
【図11】図11は本発明に係る単板式のカラー撮像素子の第7の実施形態を示す図であり;
【図12】図12は本発明に係る単板式のカラー撮像素子の第8の実施形態を示す図であり;
【図13】図13は従来のベイヤー配列のカラーフィルタを有するカラー撮像素子の課題を説明するために使用した図であり;
【図14】図14は従来のベイヤー配列のカラーフィルタを有するカラー撮像素子の課題を説明するために使用した他の図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、添付図面に従って本発明の好ましい実施の形態について詳説する。
【0038】
[カラー撮像素子の第1の実施形態]
図1は本発明に係る単板式のカラー撮像素子の第1の実施形態を示す図であり、特にカラー撮像素子に設けられているカラーフィルタのカラーフィルタ配列に関して示している。
【0039】
このカラー撮像素子は、水平方向及び垂直方向に配列(二次元配列)された光電変換素子からなる複数の画素(図示せず)と、各画素の受光面上に配置された、図1に示すカラーフィルタ配列のカラーフィルタとから構成されており、各画素上には、赤(R)、緑(G)、青(B)の3原色のカラーフィルタのうちのいずれかが配置される。
【0040】
尚、カラー撮像素子は、CCD(Charge Coupled Device)カラー撮像素子に限らず、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)撮像素子などの他の種類の撮像素子であってもよい。
【0041】
<カラーフィルタ配列の特徴>
第1の実施形態のカラー撮像素子のカラーフィルタ配列は、下記の特徴(1)、(2)、(3)、(4)、及び(5)を有している。
【0042】
〔特徴(1)〕
図1に示すカラーフィルタ配列は、6×6画素に対応する正方配列パターンからなる基本配列パターンP(太枠で示したパターン)を含み、この基本配列パターンPが水平方向及び垂直方向に繰り返し配置されている。即ち、このカラーフィルタ配列は、R、G、Bの各色のフィルタ(Rフィルタ、Gフィルタ、Bフィルタ)が所定の周期性をもって配列されている。
【0043】
このようにRフィルタ、Gフィルタ、Bフィルタが所定の周期性をもって配列されているため、カラー撮像素子から読み出されるR、G、B信号の同時化(補間)処理等を行う際に、繰り返しパターンにしたがって処理を行うことができる。
【0044】
また、基本配列パターンPの単位で間引き処理して画像を縮小する場合、間引き処理された縮小画像のカラーフィルタ配列は、間引き処理前のカラーフィルタ配列と同じにすることができ、共通の処理回路を使用することができる。
【0045】
〔特徴(2)〕
図1に示すカラーフィルタ配列は、輝度信号を得るために最も寄与する色(この実施形態では、Gの色)に対応するGフィルタが、カラーフィルタ配列の水平、垂直、及び斜め(NE,NW)方向の各ライン内に配置されている。
【0046】
輝度系画素に対応するGフィルタが、カラーフィルタ配列の水平、垂直、及び斜め(NE,NW)方向の各ライン内に配置されるため、高周波となる方向によらず高周波領域での同時化処理の再現精度を向上させることができる。
【0047】
〔特徴(3)〕
図1に示すカラーフィルタ配列の基本配列パターンは、その基本配列パターン内におけるR、G、Bフィルタに対応するR画素、G画素、B画素の画素数が、それぞれ8画素、20画素、8画素になっている。即ち、RGB画素の各画素数の比率は、2:5:2になっており、輝度信号を得るために最も寄与するG画素の画素数の比率は、他の色のR画素、B画素の画素数の比率よりも大きくなっている。
【0048】
上記のようにG画素の画素数とR,B画素の画素数との比率が異なり、特に輝度信号を得るために最も寄与するG画素の画素数の比率を、R,B画素の画素数の比率よりも大きくするようにしたため、同時化処理時におけるエリアシングを抑制することができるとともに、高周波再現性もよくすることができる。
【0049】
〔特徴(4)〕
図1に示すカラーフィルタ配列は、上記Gの色以外の2色以上の他の色(この実施形態では、R,Bの色)に対応するRフィルタ、Bフィルタが、基本配列パターンP内においてカラーフィルタ配列の水平、及び垂直方向の各ライン内に1つ以上配置されている。
【0050】
Rフィルタ、Bフィルタが、カラーフィルタ配列の水平、及び垂直方向の各ライン内に配置されるため、色モワレ(偽色)の発生を抑圧することができる。これにより、偽色の発生を抑制するための光学ローパスフィルターを光学系の入射面から撮像面までの光路に配置しないようにでき、又は光学ローパスフィルタを適用する場合でも偽色の発生を防止するための高周波数成分をカットする働きの弱いものを適用することができ、解像度を損なわないようにすることができる。
【0051】
図2は、図1に示した基本配列パターンPを、3×3画素に4分割した状態に関して示している。
【0052】
図2に示すように基本配列パターンPは、実線の枠で囲んだ3×3画素のA配列と、破線の枠で囲んだ3×3画素のB配列とが、水平、垂直方向に交互に並べられた配列となっていると捉えることもできる。
【0053】
A配列及びB配列は、それぞれ輝度系画素であるGフィルタが4隅と中央に配置され、両対角線上に配置されている。また、A配列は、中央のGフィルタを挟んでRフィルタが水平方向に配列され、Bフィルタが垂直方向に配列され、一方、B配列は、中央のGフィルタを挟んでBフィルタが水平方向に配列され、Rフィルタが垂直方向に配列されている。即ち、A配列とB配列とは、RフィルタとBフィルタとの位置関係が逆転しているが、その他の配置は同様になっている。
【0054】
また、A配列とB配列の4隅のGフィルタは、図3に示すようにA配列とB配列とが水平、垂直方向に交互に配置されることにより、2×2画素に対応する正方配列のGフィルタとなる。
【0055】
これは、輝度系画素であるGフィルタが、A配列またはB配列における3×3画素において4隅と中央に配置され、この3×3画素が水平方向、垂直方向に交互に配置されることで2×2画素に対応する正方配列のGフィルタが形成されるためである。尚、このような配列とすることで、前述の特徴(1),(2),(3),後述の特徴(5)が満たされる。
【0056】
〔特徴(5)〕
図1に示すカラーフィルタ配列は、Gフィルタからなる2×2画素に対応する正方配列を含んでいる。
【0057】
図4に示すように、Gフィルタからなる2×2画素を取り出し、水平方向のG画素の画素値の差分絶対値、垂直方向のG画素の画素値の差分絶対値、斜め方向(右上斜め、左上斜め)のG画素の画素値の差分絶対値を求めることにより、水平方向、垂直方向、及び斜め方向のうち、差分絶対値の小さい方向に相関があると判断することができる。
【0058】
即ち、このカラーフィルタ配列によれば、最小画素間隔のG画素の情報を使用して、水平方向、垂直方向、及び斜め方向のうちの相関の高い方向判別ができる。この方向判別結果は、周囲の画素から補間する処理(同時化処理)に使用することができる。
【0059】
また、図3に示すように3×3画素のA配列又はB配列の画素を同時化処理の対象画素とし、A配列又はB配列を中心に5×5画素(モザイク画像の局所領域)を抽出した場合、前記5×5画素の4隅に2×2画素のG画素が存在することになる。これらの2×2画素のG画素の画素値を使用することにより、4方向の相関方向の判別を最小画素間隔のG画素の情報を使用して精度よく行うことができる。
【0060】
〔特徴(6)〕
図1に示すカラーフィルタ配列の基本配列パターンは、その基本配列パターンの中心(4つのGフィルタの中心)に対して点対称になっている。また、図2に示したように、基本配列パターン内のA配列及びB配列も、それぞれ中心のGフィルタに対して点対称になっている。
【0061】
このような対称性により、後段の処理回路の回路規模を小さくしたり、簡略化することが可能になる。
【0062】
図5に示すように太枠で示した基本配列パターンPにおいて、水平方向の第1から第6のラインのうちの第1及び第3のラインのカラーフィルタ配列は、GBGGRGであり、第2のラインのカラーフィルタ配列は、RGRBGBであり、第4及び第6のラインのカラーフィルタ配列は、GRGGBGであり、第5のラインのカラーフィルタ配列は、BGBRGRとなっている。
【0063】
いま、図5において、基本配列パターンPを水平方向、及び垂直方向にそれぞれ1画素ずつシフトした基本配列パターンをP’、それぞれ2画素ずつシフトした基本配列パターンをP”とすると、これらの基本配列パターンP’、P”を水平方向及び垂直方向に繰り返し配置しても、同じカラーフィルタ配列になる。
【0064】
即ち、基本配列パターンを水平方向及び垂直方向に繰り返し配置することで、図5に示すカラーフィルタ配列を構成することができる基本配列パターンは複数存在する。第1の実施形態では、基本配列パターンが点対称になっている基本配列パターンPを、便宜上、基本配列パターンという。
【0065】
尚、後述する他の実施形態のカラーフィルタ配列においても、各カラーフィルタ配列に対して複数の基本配列パターンが存在するが、その代表的なものをそのカラーフィルタ配列の基本配列パターンという。
【0066】
[カラー撮像素子の第2の実施形態]
図6は本発明に係る単板式のカラー撮像素子の第2の実施形態を示す図であり、特にカラー撮像素子に設けられているカラーフィルタのカラーフィルタ配列に関して示している。
【0067】
第2の実施形態のカラー撮像素子のカラーフィルタ配列は、4×4画素に対応する正方配列パターンからなる基本配列パターン(太枠で示したパターン)を含み、この基本配列パターンが水平方向及び垂直方向に繰り返し配置されている。
【0068】
このカラーフィルタ配列は、第1の実施形態と同様に、Gフィルタが、カラーフィルタ配列の水平、垂直、及び斜め(NE,NW)方向の各ライン内に配置され、かつRフィルタ、Bフィルタが、カラーフィルタ配列の水平、及び垂直方向の各ライン内に配置されている。
【0069】
また、基本配列パターンは、その基本配列パターンの中心に対して点対称になっている。
【0070】
一方、このカラーフィルタ配列は、Gフィルタからなる2×2画素に対応する正方配列を含んでいないが、水平方向に隣接するGフィルタを有し、また、斜め方向(右上斜め、左上斜め)に隣接するGフィルタを有する。
【0071】
垂直方向には、Rフィルタ又はBフィルタを挟んでGフィルタが存在するため、これらのGフィルタに対応するG画素の画素値を垂直方向の相関を判断する場合に使用することができる。
【0072】
また、図6に示すカラーフィルタ配列の基本配列パターンは、その基本配列パターン内におけるR、G、Bフィルタに対応するR画素、G画素、B画素の画素数が、それぞれ4画素、8画素、4画素になっている。即ち、RGB画素の各画素数の比率は、1:2:1になっており、輝度信号を得るために最も寄与するG画素の画素数の比率は、他の色のR画素、B画素の画素数の比率よりも大きくなっている。
【0073】
上記のように第2の実施形態のカラー撮像素子のカラーフィルタ配列は、第1の実施形態のカラー撮像素子のカラーフィルタ配列の特徴(1)、(2)、(3)、(4)及び(6)と同じ特徴を有している。
【0074】
[カラー撮像素子の第3の実施形態]
図7は本発明に係る単板式のカラー撮像素子の第3の実施形態を示す図であり、特にカラー撮像素子に設けられているカラーフィルタのカラーフィルタ配列に関して示している。
【0075】
第3の実施形態のカラー撮像素子のカラーフィルタ配列は、5×5画素に対応する正方配列パターンからなる基本配列パターン(太枠で示したパターン)を含み、この基本配列パターンが水平方向及び垂直方向に繰り返し配置されている。
【0076】
このカラーフィルタ配列は、第1の実施形態と同様に、Gフィルタが、カラーフィルタ配列の水平、垂直、及び斜め(NE,NW)方向の各ライン内に配置され、かつRフィルタ、Bフィルタが、カラーフィルタ配列の水平、及び垂直方向の各ライン内に配置されている。
【0077】
また、図7に示すカラーフィルタ配列の基本配列パターンは、その基本配列パターン内におけるR、G、Bフィルタに対応するR画素、G画素、B画素の画素数が、それぞれ7画素、11画素、7画素になっている。即ち、RGB画素の各画素数の比率は、7:11:7になっており、輝度信号を得るために最も寄与するG画素の画素数の比率は、他の色のR画素、B画素の画素数の比率よりも大きくなっている。
【0078】
尚、基本配列パターンは、点対称になっておらず、また、Gフィルタからなる2×2画素に対応する正方配列を含んでいない。
【0079】
この第3の実施形態のカラー撮像素子のカラーフィルタ配列は、第1の実施形態のカラー撮像素子のカラーフィルタ配列の特徴(1)、(2)、(3)及び(4)と同じ特徴を有している。
【0080】
[カラー撮像素子の第4の実施形態]
図8は本発明に係る単板式のカラー撮像素子の第4の実施形態を示す図であり、特にカラー撮像素子に設けられているカラーフィルタのカラーフィルタ配列に関して示している。
【0081】
第4の実施形態のカラー撮像素子のカラーフィルタ配列は、第3の実施形態と同様に、5×5画素に対応する正方配列パターンからなる基本配列パターン(太枠で示したパターン)を含み、この基本配列パターンが水平方向及び垂直方向に繰り返し配置されている。
【0082】
このカラーフィルタ配列は、第1の実施形態と同様に、Gフィルタが、カラーフィルタ配列の水平、垂直、及び斜め(NE,NW)方向の各ライン内に配置され、かつRフィルタ、Bフィルタが、カラーフィルタ配列の水平、及び垂直方向の各ライン内に配置されている。
【0083】
また、図8に示すカラーフィルタ配列の基本配列パターンは、その基本配列パターン内におけるR、G、Bフィルタに対応するR画素、G画素、B画素の画素数が、それぞれ6画素、13画素、6画素になっている。即ち、RGB画素の各画素数の比率は、6:13:6になっており、輝度信号を得るために最も寄与するG画素の画素数の比率は、他の色のR画素、B画素の画素数の比率よりも大きくなっている。
【0084】
また、このカラーフィルタ配列は、Gフィルタからなる2×2画素に対応する正方配列を含んでいないが、Gフィルタが互いに隣接する4画素のかたまりがあり、これらの4画素の画素値から水平方向、垂直方向、及び斜め方向の相関を、最小画素間隔で判断することができる。尚、基本配列パターンは、点対称になっていない。
【0085】
この第4の実施形態のカラー撮像素子のカラーフィルタ配列は、第1の実施形態のカラー撮像素子のカラーフィルタ配列の特徴(1)、(2)、(3)、(4)及び(5)と同じ特徴を有している。
【0086】
[カラー撮像素子の第5の実施形態]
図9は本発明に係る単板式のカラー撮像素子の第5の実施形態を示す図であり、特にカラー撮像素子に設けられているカラーフィルタのカラーフィルタ配列に関して示している。
【0087】
第5の実施形態のカラー撮像素子のカラーフィルタ配列は、第3の実施形態と同様に、5×5画素に対応する正方配列パターンからなる基本配列パターン(太枠で示したパターン)を含み、この基本配列パターンが水平方向及び垂直方向に繰り返し配置されている。
【0088】
このカラーフィルタ配列は、Gフィルタが、カラーフィルタ配列の水平、垂直、及び斜め(NE,NW)方向の各ライン内に配置され、同様にRフィルタ、Bフィルタも、カラーフィルタ配列の水平、垂直、及び斜め(NE,NW)方向の各ライン内に配置されている。
【0089】
即ち、このカラーフィルタ配列は、R、G、Bフィルタの全てが、カラーフィルタ配列の水平、垂直、及び斜め(NE,NW)方向の各ライン内に配置されており、これにより、斜め方向の色再現性をより向上させることができる点で、第1の実施形態のカラー撮像素子のカラーフィルタ配列にない特徴を有している。
【0090】
また、図9に示すカラーフィルタ配列の基本配列パターンは、その基本配列パターン内におけるR、G、Bフィルタに対応するR画素、G画素、B画素の画素数が、それぞれ8画素、9画素、8画素になっている。即ち、RGB画素の各画素数の比率は、8:9:8になっており、輝度信号を得るために最も寄与するG画素の画素数の比率は、他の色のR画素、B画素の画素数の比率よりも大きくなっている。
【0091】
一方、このカラーフィルタ配列は、Gフィルタからなる2×2画素に対応する正方配列を含んでおらず、また、基本配列パターンは、点対称になっていない。
【0092】
この第5の実施形態のカラー撮像素子のカラーフィルタ配列は、第1の実施形態のカラー撮像素子のカラーフィルタ配列の特徴(1)、(2)、(3)及び(4)と同じ特徴を有している。
【0093】
[カラー撮像素子の第6の実施形態]
図10は本発明に係る単板式のカラー撮像素子の第6の実施形態を示す図であり、特にカラー撮像素子に設けられているカラーフィルタのカラーフィルタ配列に関して示している。
【0094】
第6の実施形態のカラー撮像素子のカラーフィルタ配列は、7×7画素に対応する正方配列パターンからなる基本配列パターン(太枠で示したパターン)を含み、この基本配列パターンが水平方向及び垂直方向に繰り返し配置されている。
【0095】
このカラーフィルタ配列は、第1の実施形態と同様に、Gフィルタが、カラーフィルタ配列の水平、垂直、及び斜め(NE,NW)方向の各ライン内に配置され、かつRフィルタ、Bフィルタが、カラーフィルタ配列の水平、及び垂直方向の各ライン内に配置されている。
【0096】
また、図10に示すカラーフィルタ配列の基本配列パターンは、その基本配列パターン内におけるR、G、Bフィルタに対応するR画素、G画素、B画素の画素数が、それぞれ12画素、25画素、12画素になっている。即ち、RGB画素の各画素数の比率は、12:25:12になっており、輝度信号を得るために最も寄与するG画素の画素数の比率は、他の色のR画素、B画素の画素数の比率よりも大きくなっている。
【0097】
また、このカラーフィルタ配列は、Gフィルタからなる2×2画素に対応する正方配列を含み、更に基本配列パターンは、その基本配列パターンの中心に対して点対称になっている。
【0098】
この第6の実施形態のカラー撮像素子のカラーフィルタ配列は、第1の実施形態のカラー撮像素子のカラーフィルタ配列の特徴(1)、(2)、(3)、(4)、(5)及び(6)と同じ特徴を有している。
【0099】
[カラー撮像素子の第7の実施形態]
図11は本発明に係る単板式のカラー撮像素子の第7の実施形態を示す図であり、特にカラー撮像素子に設けられているカラーフィルタのカラーフィルタ配列に関して示している。
【0100】
第7の実施形態のカラー撮像素子のカラーフィルタ配列は、8×8画素に対応する正方配列パターンからなる基本配列パターン(太枠で示したパターン)を含み、この基本配列パターンが水平方向及び垂直方向に繰り返し配置されている。
【0101】
このカラーフィルタ配列は、第1の実施形態と同様に、Gフィルタが、カラーフィルタ配列の水平、垂直、及び斜め(NE,NW)方向の各ライン内に配置され、かつRフィルタ、Bフィルタが、カラーフィルタ配列の水平、及び垂直方向の各ライン内に配置されている。
【0102】
また、図11に示すカラーフィルタ配列の基本配列パターンは、その基本配列パターン内におけるR、G、Bフィルタに対応するR画素、G画素、B画素の画素数が、それぞれ16画素、32画素、16画素になっている。即ち、RGB画素の各画素数の比率は、1:2:1になっており、輝度信号を得るために最も寄与するG画素の画素数の比率は、他の色のR画素、B画素の画素数の比率よりも大きくなっている。
【0103】
また、このカラーフィルタ配列は、Gフィルタからなる2×2画素に対応する正方配列を含み、更に基本配列パターンは、その基本配列パターンの中心に対して点対称になっている。
【0104】
この基本配列パターンを4×4画素に4分割した場合、対角の4×4画像の配列は同じになり、水平方向又は垂直方向に隣接する4×4画素の配列は、RフィルタとBフィルタとの位置関係が逆転しているが、その他の配置は同様になっている。
【0105】
この第7の実施形態のカラー撮像素子のカラーフィルタ配列は、第1の実施形態のカラー撮像素子のカラーフィルタ配列の特徴(1)、(2)、(3)、(4)、(5)及び(6)と同じ特徴を有している。
【0106】
[カラー撮像素子の第8の実施形態]
図12は本発明に係る単板式のカラー撮像素子の第8の実施形態を示す図であり、特にカラー撮像素子に設けられているカラーフィルタのカラーフィルタ配列に関して示している。
【0107】
上記第1から第7の実施形態のカラー撮像素子のカラーフィルタ配列は、いずれもRGBの3原色のカラーフィルタのカラーフィルタ配列であるが、第8の実施形態のカラー撮像素子のカラーフィルタ配列は、RGBフィルタの他に、エメラルド(E)のEフィルタ)を加えた4色のカラーフィルタのカラーフィルタ配列である点で相違する。
【0108】
第8の実施形態のカラー撮像素子のカラーフィルタ配列は、第7の実施形態と同様に8×8画素に対応する正方配列パターンからなる基本配列パターン(太枠で示したパターン)を含み、この基本配列パターンが水平方向及び垂直方向に繰り返し配置されている。
【0109】
このカラーフィルタ配列は、Gフィルタが、カラーフィルタ配列の水平、垂直、及び斜め(NE,NW)方向の各ライン内に配置され、一方、Rフィルタ、Bフィルタ、Eフィルタが、カラーフィルタ配列の水平、及び垂直方向の各ライン内に配置されている。
【0110】
また、図12に示すカラーフィルタ配列の基本配列パターンは、その基本配列パターン内におけるR、G、B、Eフィルタに対応するR画素、G画素、B画素、E画素の画素数が、それぞれ16画素、24画素、16画素、8画素になっている。即ち、RGBE画素の各画素数の比率は、2:3:2:1になっており、輝度信号を得るために最も寄与するG画素の画素数の比率は、他の色のR画素、B画素、E画素の画素数の比率よりも大きくなっている。
【0111】
また、このカラーフィルタ配列は、Gフィルタからなる2×2画素に対応する正方配列を含み、更に基本配列パターンは、その基本配列パターンの中心に対して点対称になっている。
【0112】
この第8の実施形態のカラー撮像素子のカラーフィルタ配列は、第1の実施形態のカラー撮像素子のカラーフィルタ配列の特徴(1)、(2)、(3)、(4)、(5)及び(6)と同じ特徴を有している。
【0113】
[その他]
上記実施形態では、RGBの3原色のカラーフィルタのカラーフィルタ配列、及びRGBの3原色+他の色(例えば、エメラルド(E))の4色のカラーフィルタのカラーフィルタ配列について説明したが、カラーフィルタの種類は、上述の実施形態に限定されない。
【0114】
また、本発明は、原色RGBの補色であるC(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)に、Gを加えた4色の補色系のカラーフィルタのカラーフィルタ配列にも適用できる。
【0115】
更に、本実施形態のカラー撮像素子のカラーフィルタ配列は、N×N(N:4以上の整数)画素に対応する正方の基本配列パターンが水平方向及び垂直方向に繰り返し配置されているが、N×M(N、M:4以上の整数で、N≠M)画素に対応する矩形の基本配列パターンが水平方向及び垂直方向に繰り返し配置されて構成されるものでもよい。
【0116】
更にまた、本発明は上述した実施形態に限定されず、本発明の精神を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であることは言うまでもない。
【技術分野】
【0001】
本発明はカラー撮像素子に係り、特に色モワレの発生の抑圧及び高解像度化が可能なカラー撮像素子に関する。
【背景技術】
【0002】
単板カラー撮像素子の出力画像は、RAW画像(モザイク画像)であるため、欠落している色の画素を、周囲の画素から補間する処理(同時化処理)により多チャネル画像を得ている。この場合に問題となるのが、高周波の画像信号の再現特性であり、カラー撮像素子は白黒の撮像素子と比較して、撮像した画像にエリアシングが発生し易いため、色モワレ(偽色)の発生を抑圧しつつ再現帯域を広げて高解像化するということが重要な課題である。
【0003】
単板カラー撮像素子で最も広く用いられている色配列である原色系ベイヤー配列は、緑(G)画素を市松状に、赤(R)、青(B)を線順次に配置しているため、G信号は斜め方向で、R、B信号は水平、垂直方向の高周波信号を生成する際の再現精度が問題である。
【0004】
図13の(A)に示すような白黒の縦縞模様(高周波画像)が、図13の(B)に示すベイヤー配列の撮像素子に入射した場合、これをベイヤーの色配列に振り分けて色毎に比較すると、図13の(C)から(E)に示すようにRは薄い平坦、Bは濃い平坦、Gは濃淡のモザイク状の色画像となり、本来、白黒画像であるのに対し、RGB間に濃度差(レベル差)は起きないものが、色配列と入力周波数によっては色が付いた状態となってしまう。
【0005】
同様に、図14の(A)に示すような斜めの白黒の高周波画像が、図14の(B)に示すベイヤー配列の撮像素子に入射した場合、これをベイヤーの色配列に振り分けて色毎に比較すると、図14の(C)から(E)に示すようにRとBは薄い平坦、Gは濃い平坦の色画像となり、仮に黒の値を0、白の値を255とすると、斜めの白黒の高周波画像は、Gのみ255となるため、緑色になってしまう。このようにベイヤー配列では、斜めの高周波画像を正しく再現することができない。
【0006】
一般に単板式のカラー撮像素子を使用する撮像装置では、水晶などの複屈折物質からなる光学ローパスフィルタをカラー撮像素子の前面に配置し、高周波を光学的に落とすことで回避していた。しかし、この方法では、高周波信号の折り返りによる色付は軽減できるが、その弊害で解像度が落ちてしまうという問題がある。
【0007】
このような問題を解決するために、カラー撮像素子のカラーフィルタ配列を、任意の着目画素が該着目画素の色を含む3色と該着目画素の4辺のいずれかにおいて隣接する配列制限条件を満たす3色ランダム配列としたカラー撮像素子が提案されている(特許文献1)。
【0008】
また、分光感度が異なる複数のフィルタを有し、そのうち第1のフィルタと第2のフィルタが、画像センサの画素格子の一方の対角方向に第1の所定の周期で交互に配置されているとともに、他方の対角方向に第2の所定の周期で交互に配置されているカラーフィルタ配列の画像センサが提案されている(特許文献2)。
【0009】
更に、RGBの3原色のカラー固体撮像素子において、R、G、Bを水平に配置した3画素のセットを垂直方向にジグザグにずらしながら配置することによって、RGBそれぞれの出現確率を均等にし、かつ撮像面上の任意の直線(水平、垂直、斜めの直線)が全ての色を通過するようした色配列が提案されている(特許文献3)。
【0010】
更にまた、RGBの3原色のうちのR,Bを水平方向及び垂直方向にそれぞれ3画素置きに配置し、これらのR,Bの間にGを配置したカラー撮像素子が提案されている(特許文献4)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2000−308080号公報
【特許文献2】特開2005−136766号公報
【特許文献3】特開平11−285012号公報
【特許文献4】特開平8−23543号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
特許文献1に記載のカラー撮像素子は、フィルタ配列がランダムとなるため後段での同時化(補間)処理を行う際に、ランダムパターンごとに最適化する必要があり、同時化処理が煩雑になるという問題がある。また、ランダム配列では、低周波の色モアレには有効であるが、高周波部の偽色に対しては有効でない。
【0013】
また、特許文献2に記載の画像センサは、G画素(輝度画素)が市松状に配置されているため、限界解像度領域(特に斜め方法)での画素再現精度が良くないという問題がある。
【0014】
特許文献3に記載のカラー固体撮像素子は、任意の直線上に全ての色のフィルタが存在するため、偽色の発生を抑えることができる利点があるが、RGBの画素数の比率が等しいため、高周波再現性がベイヤー配列に比べて低下するという問題がある。尚、ベイヤー配列の場合、輝度信号を得るために最も寄与するGの画素数の比率が、R、Bそれぞれの画素数の2倍になっている。
【0015】
一方、特許文献4に記載のカラー撮像素子は、R、Bそれぞれの画素数に対するGの画素数の比率がベイヤー配列よりも高く、水平又は垂直方向にG画素のみのラインが存在するため、水平又は垂直方向に高周波部の偽色に対しては有効でない。
【0016】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、偽色の発生の抑圧及び高解像度化を図ることができるとともに、従来のランダム配列に比べて後段の処理を簡略化することができるカラー撮像素子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
前記目的を達成するために本発明の一の態様に係る発明は、水平方向及び垂直方向に配列された光電変換素子からなる複数の画素上に、所定のカラーフィルタ配列のカラーフィルタが配設されてなる単板式のカラー撮像素子であって、前記カラーフィルタ配列は、輝度信号を得るために最も寄与する第1の色に対応する第1のフィルタと前記第1の色以外の2色以上の第2の色に対応する第2のフィルタとが配列された所定の基本配列パターンを含み、該基本配列パターンが水平方向及び垂直方向に繰り返して配置され、前記第1のフィルタは、前記カラーフィルタ配列の水平、垂直、及び斜め(NE,NW)方向の各ライン内に配置され、前記第2のフィルタは、前記基本配列パターン内に前記カラーフィルタ配列の水平、及び垂直方向の各ライン内に1つ以上配置され、前記第1のフィルタに対応する第1の色の画素数の比率は、前記第2のフィルタに対応する第2の色の各色の画素数の比率よりも大きい。
【0018】
本発明の一の態様に係るカラー撮像素子によれば、輝度信号を得るために最も寄与する第1の色に対応する第1のフィルタを、カラーフィルタ配列の水平、垂直、及び斜め(NE,NW)方向の各ライン内に配置するようにしたため、高周波領域での同時化処理の再現精度を向上させることができ、また、前記第1の色以外の2色以上の第2の色に対応する第2のフィルタについてもカラーフィルタ配列の水平、及び垂直方向の各ライン内に1つ以上配置するようにしたため、色モワレ(偽色)の発生を抑圧して高解像度化を図ることができる。
【0019】
また、前記カラーフィルタ配列は、所定の基本配列パターンが水平方向及び垂直方向に繰り返して配置されているため、後段での同時化(補間)処理を行う際に、繰り返しパターにしたがって処理を行うことができ、従来のランダム配列に比べて後段の処理を簡略化することができる。
【0020】
更に、前記第1のフィルタに対応する第1の色の画素数と前記第2のフィルタに対応する第2の色の各色の画素数との比率を異ならせ、特に輝度信号を得るために最も寄与する第1の色の画素数の比率を、前記第2のフィルタに対応する第2の色の各色の画素数の比率よりも大きくするようにしたため、エリアシングを抑制することができ高周波再現性もよい。
【0021】
本発明の他の態様に係るカラー撮像素子において、前記カラーフィルタ配列は、前記第1のフィルタが水平、垂直、及び斜め(NE,NW)方向の各ライン内で2画素以上連続する部分を含んでいる。
【0022】
これにより、最小画素間隔で、水平、垂直、及び斜め(NE,NW)方向における輝度の変化の小さい方向(相関の高い方向)の判別ができる。
【0023】
本発明の更に他の態様に係るカラー撮像素子において、前記カラーフィルタ配列は、前記第1のフィルタからなる2×2画素に対応する正方配列を含んでいる。上記2×2画素の画素値を使用して、水平、垂直、及び斜め(NE,NW)方向のうちの相関の高い方向を判別することができる。
【0024】
本発明の更に他の態様に係るカラー撮像素子において、前記所定の基本配列パターン内のカラーフィルタ配列は、該基本配列パターンの中心に対して点対称であることが好ましい。これにより、後段に処理回路の回路規模を小さくすることが可能になる。
【0025】
本発明の更に他の態様に係るカラー撮像素子において、前記所定の基本配列パターンは、N×N(N:4以上8以下の整数)画素に対応する正方配列パターンであることが好ましい。Nが4よりも小さい場合には、本発明に係るカラーフィルタ配列の条件を満足せず、Nが8を超える場合には、同時化等の信号処理が複雑化するのに対し、基本配列パターンのサイズを大きくすることによる格別な効果が得られないからである。
【0026】
本発明の更に他の態様に係るカラー撮像素子において、前記所定の基本配列パターンは、6×6画素に対応する正方配列パターンであることが好ましい。
【0027】
上記のように所定の基本配列パターンは、N×N画素に対応する正方配列パターンであり、Nは4以上8以下の整数が好ましいが、Nは偶数の方が奇数よりも同時化処理時に有利であり、また、Nが4の場合は、前記基本配列パターン内に前記第1のフィルタが水平、垂直、及び斜め(NE,NW)方向の各ライン内で2画素以上連続する部分を含まないため、輝度の変化の小さい方向の判別に不利であり、Nが8の場合には、Nが6の場合に比べて信号処理が煩雑になる。したがって、前記基本配列パターンとしては、Nが6、即ち、6×6画素に対応する正方配列パターンが最も好ましい。
【0028】
本発明の更に他の態様に係るカラー撮像素子において、前記カラーフィルタ配列は、前記第1のフィルタが3×3画素群において中心と4隅に配置され、該3×3画素群が水平方向及び垂直方向に繰り返し配置されていることが好ましい。前記3×3画素群の4隅に前記第1のフィルタが配置されているため、該3×3画素群が水平方向及び垂直方向に繰り返し配置されると、前記カラーフィルタ配列は、前記第1のフィルタからなる2×2画素に対応する正方配列を含むようになり、この2×2画素の画素値を使用して、水平、垂直、及び斜め(NE,NW)方向のうちの相関の高い方向を判別することができるとともに、前記第1のフィルタがカラーフィルタ配列の水平、垂直、及び斜め(NE,NW)方向の各ライン内に配置されるようになる。
【0029】
本発明の更に他の態様に係るカラー撮像素子において、前記第2のフィルタは、前記カラーフィルタ配列の水平、垂直、及び斜め(NE,NW)方向の各ライン内に配置されるようにしてもよい。これにより、斜め方向の色再現性をより向上させることができる。
【0030】
本発明の更に他の態様に係るカラー撮像素子において、前記第1の色は、緑(G)色であり、前記第2の色は、赤(R)色及び青(B)色であることを特徴としている。
【0031】
本発明の更に他の態様に係るカラー撮像素子において、前記所定の基本配列パターンは、6×6画素に対応する正方配列パターンであり、前記カラーフィルタ配列は、3×3画素に対応する第1の配列であって、中心と4隅にGフィルタが配置され、中心のGフィルタを挟んで上下にBフィルタが配置され、左右にRフィルタが配列された第1の配列と、3×3画素に対応する第2の配列であって、中心と4隅にGフィルタが配置され、中心のGフィルタを挟んで上下にRフィルタが配置され、左右にBフィルタが配列された第2の配列とが、交互に水平方向及び垂直方向に配列されて構成されていることが好ましい。
【0032】
この基本配列パターンは、2×2画素に対応する正方配列のGフィルタを含み、また、基本配列パターンの中心に対して点対称となる最小サイズの基本配列パターンである。更に、上記構成のカラーフィルタ配列によれば、前記第1の配列又は第2の配列を中心に5×5画素(モザイク画像の局所領域)を抽出した場合、前記5×5画素の4隅に2×2画素のG画素が存在することになる。これらの2×2画素のG画素の画素値は、4方向の相関方向の判別に使用することができる。
【発明の効果】
【0033】
本発明によれば、輝度信号を得るために最も寄与する第1の色に対応する第1のフィルタを、カラーフィルタ配列の水平、垂直、及び斜め(NE,NW)方向の各ライン内に配置するとともに、前記第1のフィルタに対応する第1の色の画素数の比率を、前記第1の色以外の2色以上の第2のフィルタに対応する第2の色の画素数の比率よりも大きくするようにしたため、高周波領域での同時化処理の再現精度を向上させ、かつエリアシングを抑制することができる。
【0034】
また、前記第1の色以外の2色以上の第2の色に対応する第2のフィルタを、前記基本配列パターン内においてカラーフィルタ配列の水平、及び垂直方向の各ライン内に1つ以上配置するようにしたため、色モワレ(偽色)の発生を抑圧して高解像度化を図ることができる。
【0035】
更に、本発明に係るカラーフィルタ配列は、所定の基本配列パターンが水平方向及び垂直方向に繰り返されているため、後段での同時化(補間)処理を行う際に、繰り返しパターンにしたがって処理を行うことができ、従来のランダム配列に比べて後段の処理を簡略化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】図1は本発明に係る単板式のカラー撮像素子の第1の実施形態を示す図であり;
【図2】図2は第1の実施形態のカラー撮像素子のカラーフィルタ配列に含まれる基本配列パターンを示す図であり;
【図3】図3は第1の実施形態のカラー撮像素子のカラーフィルタ配列に含まれる6×6画素の基本配列パターンを3×3画素のA配列とB配列に分割し、これらを配置した様子を示す図であり;
【図4】図4は第1の実施形態のカラー撮像素子のカラーフィルタ配列に含まれる2×2画素のG画素の画素値から相関方向を判別する方法を説明するために使用した図であり;
【図5】図5はカラー撮像素子のカラーフィルタ配列に含まれる基本配列パターンの概念を説明するために使用した図であり;
【図6】図6は本発明に係る単板式のカラー撮像素子の第2の実施形態を示す図であり;
【図7】図7は本発明に係る単板式のカラー撮像素子の第3の実施形態を示す図であり;
【図8】図8は本発明に係る単板式のカラー撮像素子の第4の実施形態を示す図であり;
【図9】図9は本発明に係る単板式のカラー撮像素子の第5の実施形態を示す図であり;
【図10】図10は本発明に係る単板式のカラー撮像素子の第6の実施形態を示す図であり;
【図11】図11は本発明に係る単板式のカラー撮像素子の第7の実施形態を示す図であり;
【図12】図12は本発明に係る単板式のカラー撮像素子の第8の実施形態を示す図であり;
【図13】図13は従来のベイヤー配列のカラーフィルタを有するカラー撮像素子の課題を説明するために使用した図であり;
【図14】図14は従来のベイヤー配列のカラーフィルタを有するカラー撮像素子の課題を説明するために使用した他の図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、添付図面に従って本発明の好ましい実施の形態について詳説する。
【0038】
[カラー撮像素子の第1の実施形態]
図1は本発明に係る単板式のカラー撮像素子の第1の実施形態を示す図であり、特にカラー撮像素子に設けられているカラーフィルタのカラーフィルタ配列に関して示している。
【0039】
このカラー撮像素子は、水平方向及び垂直方向に配列(二次元配列)された光電変換素子からなる複数の画素(図示せず)と、各画素の受光面上に配置された、図1に示すカラーフィルタ配列のカラーフィルタとから構成されており、各画素上には、赤(R)、緑(G)、青(B)の3原色のカラーフィルタのうちのいずれかが配置される。
【0040】
尚、カラー撮像素子は、CCD(Charge Coupled Device)カラー撮像素子に限らず、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)撮像素子などの他の種類の撮像素子であってもよい。
【0041】
<カラーフィルタ配列の特徴>
第1の実施形態のカラー撮像素子のカラーフィルタ配列は、下記の特徴(1)、(2)、(3)、(4)、及び(5)を有している。
【0042】
〔特徴(1)〕
図1に示すカラーフィルタ配列は、6×6画素に対応する正方配列パターンからなる基本配列パターンP(太枠で示したパターン)を含み、この基本配列パターンPが水平方向及び垂直方向に繰り返し配置されている。即ち、このカラーフィルタ配列は、R、G、Bの各色のフィルタ(Rフィルタ、Gフィルタ、Bフィルタ)が所定の周期性をもって配列されている。
【0043】
このようにRフィルタ、Gフィルタ、Bフィルタが所定の周期性をもって配列されているため、カラー撮像素子から読み出されるR、G、B信号の同時化(補間)処理等を行う際に、繰り返しパターンにしたがって処理を行うことができる。
【0044】
また、基本配列パターンPの単位で間引き処理して画像を縮小する場合、間引き処理された縮小画像のカラーフィルタ配列は、間引き処理前のカラーフィルタ配列と同じにすることができ、共通の処理回路を使用することができる。
【0045】
〔特徴(2)〕
図1に示すカラーフィルタ配列は、輝度信号を得るために最も寄与する色(この実施形態では、Gの色)に対応するGフィルタが、カラーフィルタ配列の水平、垂直、及び斜め(NE,NW)方向の各ライン内に配置されている。
【0046】
輝度系画素に対応するGフィルタが、カラーフィルタ配列の水平、垂直、及び斜め(NE,NW)方向の各ライン内に配置されるため、高周波となる方向によらず高周波領域での同時化処理の再現精度を向上させることができる。
【0047】
〔特徴(3)〕
図1に示すカラーフィルタ配列の基本配列パターンは、その基本配列パターン内におけるR、G、Bフィルタに対応するR画素、G画素、B画素の画素数が、それぞれ8画素、20画素、8画素になっている。即ち、RGB画素の各画素数の比率は、2:5:2になっており、輝度信号を得るために最も寄与するG画素の画素数の比率は、他の色のR画素、B画素の画素数の比率よりも大きくなっている。
【0048】
上記のようにG画素の画素数とR,B画素の画素数との比率が異なり、特に輝度信号を得るために最も寄与するG画素の画素数の比率を、R,B画素の画素数の比率よりも大きくするようにしたため、同時化処理時におけるエリアシングを抑制することができるとともに、高周波再現性もよくすることができる。
【0049】
〔特徴(4)〕
図1に示すカラーフィルタ配列は、上記Gの色以外の2色以上の他の色(この実施形態では、R,Bの色)に対応するRフィルタ、Bフィルタが、基本配列パターンP内においてカラーフィルタ配列の水平、及び垂直方向の各ライン内に1つ以上配置されている。
【0050】
Rフィルタ、Bフィルタが、カラーフィルタ配列の水平、及び垂直方向の各ライン内に配置されるため、色モワレ(偽色)の発生を抑圧することができる。これにより、偽色の発生を抑制するための光学ローパスフィルターを光学系の入射面から撮像面までの光路に配置しないようにでき、又は光学ローパスフィルタを適用する場合でも偽色の発生を防止するための高周波数成分をカットする働きの弱いものを適用することができ、解像度を損なわないようにすることができる。
【0051】
図2は、図1に示した基本配列パターンPを、3×3画素に4分割した状態に関して示している。
【0052】
図2に示すように基本配列パターンPは、実線の枠で囲んだ3×3画素のA配列と、破線の枠で囲んだ3×3画素のB配列とが、水平、垂直方向に交互に並べられた配列となっていると捉えることもできる。
【0053】
A配列及びB配列は、それぞれ輝度系画素であるGフィルタが4隅と中央に配置され、両対角線上に配置されている。また、A配列は、中央のGフィルタを挟んでRフィルタが水平方向に配列され、Bフィルタが垂直方向に配列され、一方、B配列は、中央のGフィルタを挟んでBフィルタが水平方向に配列され、Rフィルタが垂直方向に配列されている。即ち、A配列とB配列とは、RフィルタとBフィルタとの位置関係が逆転しているが、その他の配置は同様になっている。
【0054】
また、A配列とB配列の4隅のGフィルタは、図3に示すようにA配列とB配列とが水平、垂直方向に交互に配置されることにより、2×2画素に対応する正方配列のGフィルタとなる。
【0055】
これは、輝度系画素であるGフィルタが、A配列またはB配列における3×3画素において4隅と中央に配置され、この3×3画素が水平方向、垂直方向に交互に配置されることで2×2画素に対応する正方配列のGフィルタが形成されるためである。尚、このような配列とすることで、前述の特徴(1),(2),(3),後述の特徴(5)が満たされる。
【0056】
〔特徴(5)〕
図1に示すカラーフィルタ配列は、Gフィルタからなる2×2画素に対応する正方配列を含んでいる。
【0057】
図4に示すように、Gフィルタからなる2×2画素を取り出し、水平方向のG画素の画素値の差分絶対値、垂直方向のG画素の画素値の差分絶対値、斜め方向(右上斜め、左上斜め)のG画素の画素値の差分絶対値を求めることにより、水平方向、垂直方向、及び斜め方向のうち、差分絶対値の小さい方向に相関があると判断することができる。
【0058】
即ち、このカラーフィルタ配列によれば、最小画素間隔のG画素の情報を使用して、水平方向、垂直方向、及び斜め方向のうちの相関の高い方向判別ができる。この方向判別結果は、周囲の画素から補間する処理(同時化処理)に使用することができる。
【0059】
また、図3に示すように3×3画素のA配列又はB配列の画素を同時化処理の対象画素とし、A配列又はB配列を中心に5×5画素(モザイク画像の局所領域)を抽出した場合、前記5×5画素の4隅に2×2画素のG画素が存在することになる。これらの2×2画素のG画素の画素値を使用することにより、4方向の相関方向の判別を最小画素間隔のG画素の情報を使用して精度よく行うことができる。
【0060】
〔特徴(6)〕
図1に示すカラーフィルタ配列の基本配列パターンは、その基本配列パターンの中心(4つのGフィルタの中心)に対して点対称になっている。また、図2に示したように、基本配列パターン内のA配列及びB配列も、それぞれ中心のGフィルタに対して点対称になっている。
【0061】
このような対称性により、後段の処理回路の回路規模を小さくしたり、簡略化することが可能になる。
【0062】
図5に示すように太枠で示した基本配列パターンPにおいて、水平方向の第1から第6のラインのうちの第1及び第3のラインのカラーフィルタ配列は、GBGGRGであり、第2のラインのカラーフィルタ配列は、RGRBGBであり、第4及び第6のラインのカラーフィルタ配列は、GRGGBGであり、第5のラインのカラーフィルタ配列は、BGBRGRとなっている。
【0063】
いま、図5において、基本配列パターンPを水平方向、及び垂直方向にそれぞれ1画素ずつシフトした基本配列パターンをP’、それぞれ2画素ずつシフトした基本配列パターンをP”とすると、これらの基本配列パターンP’、P”を水平方向及び垂直方向に繰り返し配置しても、同じカラーフィルタ配列になる。
【0064】
即ち、基本配列パターンを水平方向及び垂直方向に繰り返し配置することで、図5に示すカラーフィルタ配列を構成することができる基本配列パターンは複数存在する。第1の実施形態では、基本配列パターンが点対称になっている基本配列パターンPを、便宜上、基本配列パターンという。
【0065】
尚、後述する他の実施形態のカラーフィルタ配列においても、各カラーフィルタ配列に対して複数の基本配列パターンが存在するが、その代表的なものをそのカラーフィルタ配列の基本配列パターンという。
【0066】
[カラー撮像素子の第2の実施形態]
図6は本発明に係る単板式のカラー撮像素子の第2の実施形態を示す図であり、特にカラー撮像素子に設けられているカラーフィルタのカラーフィルタ配列に関して示している。
【0067】
第2の実施形態のカラー撮像素子のカラーフィルタ配列は、4×4画素に対応する正方配列パターンからなる基本配列パターン(太枠で示したパターン)を含み、この基本配列パターンが水平方向及び垂直方向に繰り返し配置されている。
【0068】
このカラーフィルタ配列は、第1の実施形態と同様に、Gフィルタが、カラーフィルタ配列の水平、垂直、及び斜め(NE,NW)方向の各ライン内に配置され、かつRフィルタ、Bフィルタが、カラーフィルタ配列の水平、及び垂直方向の各ライン内に配置されている。
【0069】
また、基本配列パターンは、その基本配列パターンの中心に対して点対称になっている。
【0070】
一方、このカラーフィルタ配列は、Gフィルタからなる2×2画素に対応する正方配列を含んでいないが、水平方向に隣接するGフィルタを有し、また、斜め方向(右上斜め、左上斜め)に隣接するGフィルタを有する。
【0071】
垂直方向には、Rフィルタ又はBフィルタを挟んでGフィルタが存在するため、これらのGフィルタに対応するG画素の画素値を垂直方向の相関を判断する場合に使用することができる。
【0072】
また、図6に示すカラーフィルタ配列の基本配列パターンは、その基本配列パターン内におけるR、G、Bフィルタに対応するR画素、G画素、B画素の画素数が、それぞれ4画素、8画素、4画素になっている。即ち、RGB画素の各画素数の比率は、1:2:1になっており、輝度信号を得るために最も寄与するG画素の画素数の比率は、他の色のR画素、B画素の画素数の比率よりも大きくなっている。
【0073】
上記のように第2の実施形態のカラー撮像素子のカラーフィルタ配列は、第1の実施形態のカラー撮像素子のカラーフィルタ配列の特徴(1)、(2)、(3)、(4)及び(6)と同じ特徴を有している。
【0074】
[カラー撮像素子の第3の実施形態]
図7は本発明に係る単板式のカラー撮像素子の第3の実施形態を示す図であり、特にカラー撮像素子に設けられているカラーフィルタのカラーフィルタ配列に関して示している。
【0075】
第3の実施形態のカラー撮像素子のカラーフィルタ配列は、5×5画素に対応する正方配列パターンからなる基本配列パターン(太枠で示したパターン)を含み、この基本配列パターンが水平方向及び垂直方向に繰り返し配置されている。
【0076】
このカラーフィルタ配列は、第1の実施形態と同様に、Gフィルタが、カラーフィルタ配列の水平、垂直、及び斜め(NE,NW)方向の各ライン内に配置され、かつRフィルタ、Bフィルタが、カラーフィルタ配列の水平、及び垂直方向の各ライン内に配置されている。
【0077】
また、図7に示すカラーフィルタ配列の基本配列パターンは、その基本配列パターン内におけるR、G、Bフィルタに対応するR画素、G画素、B画素の画素数が、それぞれ7画素、11画素、7画素になっている。即ち、RGB画素の各画素数の比率は、7:11:7になっており、輝度信号を得るために最も寄与するG画素の画素数の比率は、他の色のR画素、B画素の画素数の比率よりも大きくなっている。
【0078】
尚、基本配列パターンは、点対称になっておらず、また、Gフィルタからなる2×2画素に対応する正方配列を含んでいない。
【0079】
この第3の実施形態のカラー撮像素子のカラーフィルタ配列は、第1の実施形態のカラー撮像素子のカラーフィルタ配列の特徴(1)、(2)、(3)及び(4)と同じ特徴を有している。
【0080】
[カラー撮像素子の第4の実施形態]
図8は本発明に係る単板式のカラー撮像素子の第4の実施形態を示す図であり、特にカラー撮像素子に設けられているカラーフィルタのカラーフィルタ配列に関して示している。
【0081】
第4の実施形態のカラー撮像素子のカラーフィルタ配列は、第3の実施形態と同様に、5×5画素に対応する正方配列パターンからなる基本配列パターン(太枠で示したパターン)を含み、この基本配列パターンが水平方向及び垂直方向に繰り返し配置されている。
【0082】
このカラーフィルタ配列は、第1の実施形態と同様に、Gフィルタが、カラーフィルタ配列の水平、垂直、及び斜め(NE,NW)方向の各ライン内に配置され、かつRフィルタ、Bフィルタが、カラーフィルタ配列の水平、及び垂直方向の各ライン内に配置されている。
【0083】
また、図8に示すカラーフィルタ配列の基本配列パターンは、その基本配列パターン内におけるR、G、Bフィルタに対応するR画素、G画素、B画素の画素数が、それぞれ6画素、13画素、6画素になっている。即ち、RGB画素の各画素数の比率は、6:13:6になっており、輝度信号を得るために最も寄与するG画素の画素数の比率は、他の色のR画素、B画素の画素数の比率よりも大きくなっている。
【0084】
また、このカラーフィルタ配列は、Gフィルタからなる2×2画素に対応する正方配列を含んでいないが、Gフィルタが互いに隣接する4画素のかたまりがあり、これらの4画素の画素値から水平方向、垂直方向、及び斜め方向の相関を、最小画素間隔で判断することができる。尚、基本配列パターンは、点対称になっていない。
【0085】
この第4の実施形態のカラー撮像素子のカラーフィルタ配列は、第1の実施形態のカラー撮像素子のカラーフィルタ配列の特徴(1)、(2)、(3)、(4)及び(5)と同じ特徴を有している。
【0086】
[カラー撮像素子の第5の実施形態]
図9は本発明に係る単板式のカラー撮像素子の第5の実施形態を示す図であり、特にカラー撮像素子に設けられているカラーフィルタのカラーフィルタ配列に関して示している。
【0087】
第5の実施形態のカラー撮像素子のカラーフィルタ配列は、第3の実施形態と同様に、5×5画素に対応する正方配列パターンからなる基本配列パターン(太枠で示したパターン)を含み、この基本配列パターンが水平方向及び垂直方向に繰り返し配置されている。
【0088】
このカラーフィルタ配列は、Gフィルタが、カラーフィルタ配列の水平、垂直、及び斜め(NE,NW)方向の各ライン内に配置され、同様にRフィルタ、Bフィルタも、カラーフィルタ配列の水平、垂直、及び斜め(NE,NW)方向の各ライン内に配置されている。
【0089】
即ち、このカラーフィルタ配列は、R、G、Bフィルタの全てが、カラーフィルタ配列の水平、垂直、及び斜め(NE,NW)方向の各ライン内に配置されており、これにより、斜め方向の色再現性をより向上させることができる点で、第1の実施形態のカラー撮像素子のカラーフィルタ配列にない特徴を有している。
【0090】
また、図9に示すカラーフィルタ配列の基本配列パターンは、その基本配列パターン内におけるR、G、Bフィルタに対応するR画素、G画素、B画素の画素数が、それぞれ8画素、9画素、8画素になっている。即ち、RGB画素の各画素数の比率は、8:9:8になっており、輝度信号を得るために最も寄与するG画素の画素数の比率は、他の色のR画素、B画素の画素数の比率よりも大きくなっている。
【0091】
一方、このカラーフィルタ配列は、Gフィルタからなる2×2画素に対応する正方配列を含んでおらず、また、基本配列パターンは、点対称になっていない。
【0092】
この第5の実施形態のカラー撮像素子のカラーフィルタ配列は、第1の実施形態のカラー撮像素子のカラーフィルタ配列の特徴(1)、(2)、(3)及び(4)と同じ特徴を有している。
【0093】
[カラー撮像素子の第6の実施形態]
図10は本発明に係る単板式のカラー撮像素子の第6の実施形態を示す図であり、特にカラー撮像素子に設けられているカラーフィルタのカラーフィルタ配列に関して示している。
【0094】
第6の実施形態のカラー撮像素子のカラーフィルタ配列は、7×7画素に対応する正方配列パターンからなる基本配列パターン(太枠で示したパターン)を含み、この基本配列パターンが水平方向及び垂直方向に繰り返し配置されている。
【0095】
このカラーフィルタ配列は、第1の実施形態と同様に、Gフィルタが、カラーフィルタ配列の水平、垂直、及び斜め(NE,NW)方向の各ライン内に配置され、かつRフィルタ、Bフィルタが、カラーフィルタ配列の水平、及び垂直方向の各ライン内に配置されている。
【0096】
また、図10に示すカラーフィルタ配列の基本配列パターンは、その基本配列パターン内におけるR、G、Bフィルタに対応するR画素、G画素、B画素の画素数が、それぞれ12画素、25画素、12画素になっている。即ち、RGB画素の各画素数の比率は、12:25:12になっており、輝度信号を得るために最も寄与するG画素の画素数の比率は、他の色のR画素、B画素の画素数の比率よりも大きくなっている。
【0097】
また、このカラーフィルタ配列は、Gフィルタからなる2×2画素に対応する正方配列を含み、更に基本配列パターンは、その基本配列パターンの中心に対して点対称になっている。
【0098】
この第6の実施形態のカラー撮像素子のカラーフィルタ配列は、第1の実施形態のカラー撮像素子のカラーフィルタ配列の特徴(1)、(2)、(3)、(4)、(5)及び(6)と同じ特徴を有している。
【0099】
[カラー撮像素子の第7の実施形態]
図11は本発明に係る単板式のカラー撮像素子の第7の実施形態を示す図であり、特にカラー撮像素子に設けられているカラーフィルタのカラーフィルタ配列に関して示している。
【0100】
第7の実施形態のカラー撮像素子のカラーフィルタ配列は、8×8画素に対応する正方配列パターンからなる基本配列パターン(太枠で示したパターン)を含み、この基本配列パターンが水平方向及び垂直方向に繰り返し配置されている。
【0101】
このカラーフィルタ配列は、第1の実施形態と同様に、Gフィルタが、カラーフィルタ配列の水平、垂直、及び斜め(NE,NW)方向の各ライン内に配置され、かつRフィルタ、Bフィルタが、カラーフィルタ配列の水平、及び垂直方向の各ライン内に配置されている。
【0102】
また、図11に示すカラーフィルタ配列の基本配列パターンは、その基本配列パターン内におけるR、G、Bフィルタに対応するR画素、G画素、B画素の画素数が、それぞれ16画素、32画素、16画素になっている。即ち、RGB画素の各画素数の比率は、1:2:1になっており、輝度信号を得るために最も寄与するG画素の画素数の比率は、他の色のR画素、B画素の画素数の比率よりも大きくなっている。
【0103】
また、このカラーフィルタ配列は、Gフィルタからなる2×2画素に対応する正方配列を含み、更に基本配列パターンは、その基本配列パターンの中心に対して点対称になっている。
【0104】
この基本配列パターンを4×4画素に4分割した場合、対角の4×4画像の配列は同じになり、水平方向又は垂直方向に隣接する4×4画素の配列は、RフィルタとBフィルタとの位置関係が逆転しているが、その他の配置は同様になっている。
【0105】
この第7の実施形態のカラー撮像素子のカラーフィルタ配列は、第1の実施形態のカラー撮像素子のカラーフィルタ配列の特徴(1)、(2)、(3)、(4)、(5)及び(6)と同じ特徴を有している。
【0106】
[カラー撮像素子の第8の実施形態]
図12は本発明に係る単板式のカラー撮像素子の第8の実施形態を示す図であり、特にカラー撮像素子に設けられているカラーフィルタのカラーフィルタ配列に関して示している。
【0107】
上記第1から第7の実施形態のカラー撮像素子のカラーフィルタ配列は、いずれもRGBの3原色のカラーフィルタのカラーフィルタ配列であるが、第8の実施形態のカラー撮像素子のカラーフィルタ配列は、RGBフィルタの他に、エメラルド(E)のEフィルタ)を加えた4色のカラーフィルタのカラーフィルタ配列である点で相違する。
【0108】
第8の実施形態のカラー撮像素子のカラーフィルタ配列は、第7の実施形態と同様に8×8画素に対応する正方配列パターンからなる基本配列パターン(太枠で示したパターン)を含み、この基本配列パターンが水平方向及び垂直方向に繰り返し配置されている。
【0109】
このカラーフィルタ配列は、Gフィルタが、カラーフィルタ配列の水平、垂直、及び斜め(NE,NW)方向の各ライン内に配置され、一方、Rフィルタ、Bフィルタ、Eフィルタが、カラーフィルタ配列の水平、及び垂直方向の各ライン内に配置されている。
【0110】
また、図12に示すカラーフィルタ配列の基本配列パターンは、その基本配列パターン内におけるR、G、B、Eフィルタに対応するR画素、G画素、B画素、E画素の画素数が、それぞれ16画素、24画素、16画素、8画素になっている。即ち、RGBE画素の各画素数の比率は、2:3:2:1になっており、輝度信号を得るために最も寄与するG画素の画素数の比率は、他の色のR画素、B画素、E画素の画素数の比率よりも大きくなっている。
【0111】
また、このカラーフィルタ配列は、Gフィルタからなる2×2画素に対応する正方配列を含み、更に基本配列パターンは、その基本配列パターンの中心に対して点対称になっている。
【0112】
この第8の実施形態のカラー撮像素子のカラーフィルタ配列は、第1の実施形態のカラー撮像素子のカラーフィルタ配列の特徴(1)、(2)、(3)、(4)、(5)及び(6)と同じ特徴を有している。
【0113】
[その他]
上記実施形態では、RGBの3原色のカラーフィルタのカラーフィルタ配列、及びRGBの3原色+他の色(例えば、エメラルド(E))の4色のカラーフィルタのカラーフィルタ配列について説明したが、カラーフィルタの種類は、上述の実施形態に限定されない。
【0114】
また、本発明は、原色RGBの補色であるC(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)に、Gを加えた4色の補色系のカラーフィルタのカラーフィルタ配列にも適用できる。
【0115】
更に、本実施形態のカラー撮像素子のカラーフィルタ配列は、N×N(N:4以上の整数)画素に対応する正方の基本配列パターンが水平方向及び垂直方向に繰り返し配置されているが、N×M(N、M:4以上の整数で、N≠M)画素に対応する矩形の基本配列パターンが水平方向及び垂直方向に繰り返し配置されて構成されるものでもよい。
【0116】
更にまた、本発明は上述した実施形態に限定されず、本発明の精神を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であることは言うまでもない。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平方向及び垂直方向に配列された光電変換素子からなる複数の画素上に、所定のカラーフィルタ配列のカラーフィルタが配設されてなる単板式のカラー撮像素子であって、
前記カラーフィルタ配列は、輝度信号を得るために最も寄与する第1の色に対応する第1のフィルタと前記第1の色以外の2色以上の第2の色に対応する第2のフィルタとが配列された所定の基本配列パターンを含み、該基本配列パターンが水平方向及び垂直方向に繰り返して配置され、
前記第1のフィルタは、前記カラーフィルタ配列の水平、垂直、及び斜め(NE,NW)方向の各ライン内に配置され、
前記第2のフィルタは、前記基本配列パターン内に前記カラーフィルタ配列の水平、及び垂直方向の各ライン内に1つ以上配置され、
前記第1のフィルタに対応する第1の色の画素数の比率は、前記第2のフィルタに対応する第2の色の各色の画素数の比率よりも大きいカラー撮像素子。
【請求項2】
前記カラーフィルタ配列は、前記第1のフィルタが水平、垂直、及び斜め(NE,NW)方向の各ライン内で2画素以上連続する部分を含む請求項1に記載のカラー撮像素子。
【請求項3】
前記カラーフィルタ配列は、前記第1のフィルタからなる2×2画素に対応する正方配列を含む請求項1に記載のカラー撮像素子。
【請求項4】
前記所定の基本配列パターン内のカラーフィルタ配列は、該基本配列パターンの中心に対して点対称である請求項1から3のいずれか1項に記載のカラー撮像素子。
【請求項5】
前記所定の基本配列パターンは、N×N(N:4以上8以下の整数)画素に対応する正方配列パターンである請求項1から4のいずれか1項に記載のカラー撮像素子。
【請求項6】
前記所定の基本配列パターンは、6×6画素に対応する正方配列パターンである請求項5に記載のカラー撮像素子。
【請求項7】
前記カラーフィルタ配列は、前記第1のフィルタが3×3画素群において中心と4隅に配置され、該3×3画素群が水平方向及び垂直方向に繰り返し配置されている請求項1から6のいずれか1項に記載のカラー撮像素子。
【請求項8】
前記第2のフィルタは、前記カラーフィルタ配列の水平、垂直、及び斜め(NE,NW)方向の各ライン内に配置される請求項1から7のいずれか1項に記載のカラー撮像素子。
【請求項9】
前記第1の色は、緑(G)色であり、前記第2の色は、赤(R)色及び青(B)色である請求項1から8のいずれか1項に記載のカラー撮像素子。
【請求項10】
前記所定の基本配列パターンは、6×6画素に対応する正方配列パターンであり、
前記カラーフィルタ配列は、3×3画素に対応する第1の配列であって、中心と4隅にGフィルタが配置され、中心のGフィルタを挟んで上下にBフィルタが配置され、左右にRフィルタが配列された第1の配列と、3×3画素に対応する第2の配列であって、中心と4隅にGフィルタが配置され、中心のGフィルタを挟んで上下にRフィルタが配置され、左右にBフィルタが配列された第2の配列とが、交互に水平方向及び垂直方向に配列されて構成されている請求項9に記載のカラー撮像素子。
【請求項1】
水平方向及び垂直方向に配列された光電変換素子からなる複数の画素上に、所定のカラーフィルタ配列のカラーフィルタが配設されてなる単板式のカラー撮像素子であって、
前記カラーフィルタ配列は、輝度信号を得るために最も寄与する第1の色に対応する第1のフィルタと前記第1の色以外の2色以上の第2の色に対応する第2のフィルタとが配列された所定の基本配列パターンを含み、該基本配列パターンが水平方向及び垂直方向に繰り返して配置され、
前記第1のフィルタは、前記カラーフィルタ配列の水平、垂直、及び斜め(NE,NW)方向の各ライン内に配置され、
前記第2のフィルタは、前記基本配列パターン内に前記カラーフィルタ配列の水平、及び垂直方向の各ライン内に1つ以上配置され、
前記第1のフィルタに対応する第1の色の画素数の比率は、前記第2のフィルタに対応する第2の色の各色の画素数の比率よりも大きいカラー撮像素子。
【請求項2】
前記カラーフィルタ配列は、前記第1のフィルタが水平、垂直、及び斜め(NE,NW)方向の各ライン内で2画素以上連続する部分を含む請求項1に記載のカラー撮像素子。
【請求項3】
前記カラーフィルタ配列は、前記第1のフィルタからなる2×2画素に対応する正方配列を含む請求項1に記載のカラー撮像素子。
【請求項4】
前記所定の基本配列パターン内のカラーフィルタ配列は、該基本配列パターンの中心に対して点対称である請求項1から3のいずれか1項に記載のカラー撮像素子。
【請求項5】
前記所定の基本配列パターンは、N×N(N:4以上8以下の整数)画素に対応する正方配列パターンである請求項1から4のいずれか1項に記載のカラー撮像素子。
【請求項6】
前記所定の基本配列パターンは、6×6画素に対応する正方配列パターンである請求項5に記載のカラー撮像素子。
【請求項7】
前記カラーフィルタ配列は、前記第1のフィルタが3×3画素群において中心と4隅に配置され、該3×3画素群が水平方向及び垂直方向に繰り返し配置されている請求項1から6のいずれか1項に記載のカラー撮像素子。
【請求項8】
前記第2のフィルタは、前記カラーフィルタ配列の水平、垂直、及び斜め(NE,NW)方向の各ライン内に配置される請求項1から7のいずれか1項に記載のカラー撮像素子。
【請求項9】
前記第1の色は、緑(G)色であり、前記第2の色は、赤(R)色及び青(B)色である請求項1から8のいずれか1項に記載のカラー撮像素子。
【請求項10】
前記所定の基本配列パターンは、6×6画素に対応する正方配列パターンであり、
前記カラーフィルタ配列は、3×3画素に対応する第1の配列であって、中心と4隅にGフィルタが配置され、中心のGフィルタを挟んで上下にBフィルタが配置され、左右にRフィルタが配列された第1の配列と、3×3画素に対応する第2の配列であって、中心と4隅にGフィルタが配置され、中心のGフィルタを挟んで上下にRフィルタが配置され、左右にBフィルタが配列された第2の配列とが、交互に水平方向及び垂直方向に配列されて構成されている請求項9に記載のカラー撮像素子。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2013−48408(P2013−48408A)
【公開日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−165732(P2012−165732)
【出願日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【分割の表示】特願2012−524425(P2012−524425)の分割
【原出願日】平成23年7月29日(2011.7.29)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【分割の表示】特願2012−524425(P2012−524425)の分割
【原出願日】平成23年7月29日(2011.7.29)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】
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