説明

カラー表示装置及びその製造方法

【課題】本発明の課題は、高精細化表示が可能で且つ製造の容易なカラー表示装置及びその製造方法を提供することである。
【解決手段】基板上に複数の画素を備え、各画素が可視域の波長の異なる光を射出する少なくとも2種の副画素及び白色副画素より構成されるカラー表示装置であって、前記少なくとも2種の副画素及び前記白色副画素は各々光半透過反射層と光反射層とに狭持された光路長調整層及び白色発光有機電界発光層を有し、前記少なくとも2種の副画素における前記光半透過反射層と前記光反射層との間の光学的距離が各々射出する光を共振する距離である共振器を形成し、前記白色副画素における前記光半透過反射層と前記光反射層との間の光学的距離は、前記少なくとも2種の副画素における前記光半透過反射層と前記光反射層との間の光学的距離の最長光学距離より長いカラー表示装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光素子を用いたカラー表示装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ブラウン管(CRT)に替わって薄型で軽量なフラットパネルディスプレイが広い分野で用いられ、その用途を延ばしてきている。これは、インターネットを核としたサービス網に対する情報機器およびインフラの発展により、パーソナル・コンピュータならびにネットワークアクセス対応型携帯電話などの個人情報端末が加速的に普及したためである。さらに、従来CRTの独壇場であった家庭用テレビへ、フラットパネルディスプレイの市場が拡大してきている。
【0003】
その中で、近年特に注目を浴びているデバイスに、有機電界発光素子(以後の説明に於いて、「有機EL素子」と略記する場合がある)がある。有機EL素子は、電気信号に応じて発光し、かつ、発光物質として有機化合物を用いて構成される素子である。有機EL素子は、生来的に広視野角および高コントラストならびに高速応答などの優れた表示特性を有している。また、薄型軽量かつ高画質な小型から大型までの表示装置を実現する可能性があることから、CRTやLCDに代わる素子として注目されている。
【0004】
有機EL素子を用いたフルカラー表示装置が種々提案されている。
例えば、フルカラー表現のための赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の3基本色を得る手段として3色塗り分け法、白色有機ELにカラーフィルターを組みあわせる方法がある。
【0005】
三色塗り分け法においては、発色材料として3色適正な材料を揃えることと円偏光板のロスを小さくすることで、高効率化できる可能性がある。しかしながら、その塗り分け技術が困難であることから、高精細なディスプレイの実現は難しく、大画面化は困難とされている。
【0006】
白色有機EL素子にカラーフィルターを組みあわせて3色を得る方法では、白色発光材料自体の発光効率が低いこと、さらにカラーフィルターにより約1/3に輝度が低下することが問題として挙げられる。
また、有機EL素子からの発光を色変換膜を用いて色変換して所望の色を得る方法では、様々な改良がなされているが、赤色への変換効率が低いこと等が問題として挙げられる。
【0007】
一方、上部電極に半透明の陰極を採用し、反射膜との間での多重干渉効果によって、特定の波長の光のみを有機EL素子の外部に取り出し、高い色再現性を実現することが検討されている。例えば、光反射材料からなる第1電極、有機発光層を備えた有機層、半透明反射層及び透明材料からなる第2電極が順次積層され、有機層が共振部となるように構成された有機EL素子において、取り出したい光のスペクトルのピーク波長をλとした場合、以下の式を満たすように構成した有機EL素子が知られている。
(2L)/λ+Φ/(2π)=m
(Lは光学的距離、λは取り出したい光の波長、mは整数、Φは位相シフトであり、光学的距離Lが正の最小値となるように構成)
【0008】
例えば、マイクロキャビティ(微小共振器)を備えた有機EL表示装置が開示されている(例えば、特許文献1参照)。具体的には、1画素を赤色(R)、緑色(G)、青(B)の副画素に細分し、それぞれが発光した光を光半透過反射電極と反射膜(電極)間で共振させる共振器を構成し、有機EL発光層を共通にすることにより3色塗り分けが不要で、またカラーフィルターも不要で簡便なフルカラー表示装置が得られるとされている。白色副画素部には共振器を設けない。特定の波長のみを共振する共振器の原理からして、可視域全域に発光スペクトルを有する白色光を射出するためには相応しくないからである。しかしながら、そのためには、光半透過反射電極を透明電極に変更することになり、R,G,B副画素と塗り分けることが必要になる。従って、高精細化が困難になり、また製造工程上、複雑になり好ましくない。
【0009】
また、有機電界発光層の陽極の厚みを変えて共振器構造を形成し、R,G,B光を取り出す発光装置が開示されている(例えば、特許文献2参照)。陽極としてITO等の透明導電材料を用いて、陽極の下部に透明絶縁層を介して光反射膜が設けられている。
【0010】
フルカラー表示装置において、豊富な色再現及び階調再現と低消費電力化の両立のためには白色副画素が重要であって、白色副画素を設置するに当たっての課題を解決することが望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】公表特許2007−503093号公報
【特許文献2】特開2006−269329号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の課題は、発光素子を用いたカラー表示装置及びその製造方法を提供するものである。特に、高精細化カラー表示が可能で且つ製造の容易なカラー表示装置及びその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の上記課題は、下記の手段によって解決する事を見出された。
<1> 基板上に複数の画素を備え、各画素が可視域の波長の異なる光を射出する少なくとも2種の副画素及び白色副画素より構成されるカラー表示装置であって、前記少なくとも2種の副画素及び前記白色副画素は各々光半透過反射層と光反射層とに狭持された白色発光有機電界発光層を有し、前記少なくとも2種の副画素における前記光半透過反射層と前記光反射層との間の光学的距離が各々射出する光を共振する距離である共振器を形成し、前記白色副画素における前記光半透過反射層と前記光反射層との間の光学的距離は、前記少なくとも2種の副画素における前記光半透過反射層と前記光反射層との間の光学的距離の最長光学距離より長いことを特徴とするカラー表示装置。
<2> 前記少なくとも2種の副画素が赤色副画素、緑色副画素及び青色副画素を有し、該赤色副画素、緑色副画素及び青色副画素における前記光半透過反射層と前記光反射層との間の光学的距離が各々赤色光、緑色光、及び青色光を共振する距離であることを特徴とする<1>に記載のカラー表示装置。
<3> 前記白色副画素における前記光半透過反射層と前記光反射層との間の光学的距離が、前記少なくとも2種の副画素における前記光半透過反射層と前記光反射層との間の光学的距離の最長光学距離より2倍以上長いことを特徴とする<1>又は<2>に記載のカラー表示装置。
<4> 前記白色副画素における前記光半透過反射層と前記光反射層との間の光学的距離が、2.0μm以上であることを特徴とする<1>〜<3>のいずれかに記載のカラー表示装置。
<5> 前記少なくとも2種の副画素及び白色副画素が同一組成の白色有機電界発光層を有し、前記光半透過反射層と前記光反射層との間に光路長調整層を有し、該光路長調整層の厚みが異なることを特徴とする<1>〜<4>のいずれかに記載のカラー表示装置。
<6> 前記基板がTFTの基板であって、前記副画素の少なくとも1つが、該基板上に平坦化膜を有し、該平坦化膜上に前記光反射層を有することを特徴とする<1>〜<5>のいずれかに記載のカラー表示装置。
<7> 前記基板がTFTの基板であって、前記副画素の少なくとも1つが、該基板上に平坦化膜を有し、該平坦化膜と該基板の間、若しくは該平坦化膜中に前記光反射層を有することを特徴とする<1>〜<5>のいずれかに記載のカラー表示装置。
<8> 前記基板がTFTの基板であって、該基板上に平坦化膜を有し、前記赤色副画素、緑色副画素及び青色副画素が、該平坦化膜上に前記光反射層、前記光半透過反射層、及び前記光半透過反射層と光反射層とに狭持された光路長調整層及び白色発光有機電界発光層を有し、前記白色副画素は、前記基板と前記平坦化膜との間に前記光反射層を有し、前記平坦化膜上に、透明電極、前記白色発光有機電界発光層、及び前記光半透過反射層を有することを特徴とする<6>又は<7>に記載のカラー表示装置。
<9> 前記白色副画素の光反射層が前記TFTの電極と共通の層で形成されていることを特徴とする<8>に記載のカラー表示装置。
<10> 前記赤色発光副画素、緑色発光副画素、青色発光副画素の光射出側に、それぞれ、赤色カラーフィルター、緑色カラーフィルター、青色カラーフィルターが配置されていることを特徴とする<2>〜<9>のいずれかに記載のカラー表示装置。
【0014】
<11> 基板上に複数の画素を備え、各画素が赤色発光副画素、緑色発光副画素、青色発光副画素及び白色副画素、及び各々該副画素を駆動するTFTより構成されるカラー表示装置の製造方法であって、前記カラー表示装置は、前記赤色発光副画素、緑色発光副画素、青色発光副画素及び白色副画素は各々光半透過反射層と光反射層とに狭持された光路長調整層及び白色発光有機電界発光層を有し、前記赤色発光副画素、緑色発光副画素、及び青色発光副画素における前記光半透過反射層と前記光反射層との間の光学的距離が各々射出する光を共振する距離であり、前記白色副画素における前記光半透過反射層と前記光反射層との間の光学的距離は、前記赤色副画素における前記光半透過反射層と前記光反射層との間の光学的距離の最長光学距離より長く、下記工程を有することを特徴とするカラー表示装置の製造方法:
1)前記赤色発光副画素、緑色発光副画素、青色発光副画素及び白色副画素の各TFTを被覆して平坦化層を形成し、
2)前記赤色発光副画素、緑色発光副画素、青色発光副画素及び白色副画素共通に光反射層を形成し、
3)光路長調整層を前記赤色発光副画素、緑色発光副画素、青色発光副画素及び白色副画素共通の材料で、厚みを変えて形成し、
4)前記赤色発光副画素、緑色発光副画素、青色発光副画素及び白色副画素に対応してパターニングして画素電極として透明電極を形成し、
5)前記赤色発光副画素、緑色発光副画素、青色発光副画素及び白色副画素共通に白色有機電界発光層を形成し、
6)前記赤色発光副画素、緑色発光副画素、青色発光副画素及び白色副画素共通に光半透過反射層を形成する。
【0015】
<12> 基板上に複数の画素を備え、各画素が赤色発光副画素、緑色発光副画素、青色発光副画素及び白色副画素、及び各々該副画素を駆動するTFTより構成されるカラー表示装置の製造方法であって、前記カラー表示装置は、前記赤色発光副画素、緑色発光副画素、青色発光副画素及び白色副画素は各々光半透過反射層と光反射層とに狭持された光路長調整層及び白色発光有機電界発光層を有し、前記赤色発光副画素、緑色発光副画素、及び青色発光副画素における前記光半透過反射層と前記光反射層との間の光学的距離が各々射出する光を共振する距離であり、前記白色副画素における前記光半透過反射層と前記光反射層との間の光学的距離は、前記赤色副画素における前記光半透過反射層と前記光反射層との間の光学的距離の最長光学距離より長く、下記工程を有することを特徴とするカラー表示装置の製造方法:
1)前記TFTが形成されている基板と同一の基板上に、前記白色副画素の光反射層を形成し、
2)前記赤色発光副画素、緑色発光副画素、青色発光副画素及び白色副画素のTFT、及び白色副画素の光反射層を被覆して平坦化層を形成し、
3)前記赤色発光副画素、緑色発光副画素、及び青色発光副画素共通に光反射層を形成し、
4)前記光路長調整層を前記赤色発光副画素、緑色発光副画素、及び青色発光副画素共通の材料で、厚みを変えて形成し、
5)前記赤色発光副画素、緑色発光副画素、青色発光副画素及び白色副画素に対応してパターニングして画素電極として透明電極を形成し、
6)前記赤色発光副画素、緑色発光副画素、青色発光副画素及び白色副画素共通に前記白色有機電界発光層を形成し、
7)前記赤色発光副画素、緑色発光副画素、青色発光副画素及び白色副画素共通に前記光半透過反射層を形成する。
【0016】
<13> 基板上に複数の画素を備え、各画素が赤色発光副画素、緑色発光副画素、青色発光副画素及び白色副画素、及び各々該副画素を駆動するTFTより構成されるカラー表示装置の製造方法であって、前記カラー表示装置は、前記赤色発光副画素、緑色発光副画素、青色発光副画素及び白色副画素は各々光半透過反射層と光反射層とに狭持された光路長調整層及び白色発光有機電界発光層を有し、前記赤色発光副画素、緑色発光副画素、及び青色発光副画素における前記光半透過反射層と前記光反射層との間の光学的距離が各々射出する光を共振する距離であり、前記白色副画素における前記光半透過反射層と前記光反射層との間の光学的距離は、前記赤色副画素における前記光半透過反射層と前記光反射層との間の光学的距離の最長光学距離より長く、下記工程を有することを特徴とするカラー表示装置の製造方法:
1)前記TFTが形成されている基板と同一の基板上に、前記白色副画素の光反射層を形成し、
2)前記赤色発光副画素、緑色発光副画素、青色発光副画素及び白色副画素のTFT、及び白色副画素の光反射層を被覆して第1の厚みの平坦化層を形成し、
3)前記赤色発光副画素に光反射層を形成し、
4)前記赤色発光副画素、緑色発光副画素、青色発光副画素及び白色副画素を通して被覆して第2の厚みの平坦化層を形成し、
5)前記緑色発光副画素で、光反射層を形成し、
6)前記赤色発光副画素、緑色発光副画素、青色発光副画素及び白色副画素を通して被覆して第3の厚みの平坦化膜を形成し、
7)前記青色発光副画素で、光反射層を形成し、
8)前記赤色発光副画素、緑色発光副画素、青色発光副画素及び白色副画素を通して被覆して第4の厚みの平坦化膜を形成し、
9)前記赤色発光副画素、緑色発光副画素、青色発光副画素及び白色副画素に対応してパターニングして画素電極として透明電極を形成し、
10)前記赤色発光副画素、緑色発光副画素、青色発光副画素及び白色副画素共通に前記白色有機電界発光層を形成し、
11)前記赤色発光副画素、緑色発光副画素、青色発光副画素及び白色副画素共通に前記光半透過反射層を形成する。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、高精細化カラー表示が可能で且つ製造の容易なカラー表示装置及びその製造方法が提供される。特に、有機電界発光層を副画素を含めて全画素共通に形成することができるので、射出色によって有機電界発光層部を塗り分ける必要がない。また、共振器構造を形成するための光路長調整層を共通の材料で厚みを変えるだけで形成することができる。
従来、R,G,B副画素に共振器構造を設ける場合、白色副画素にも共振器構造を設けると特定の波長が共振される結果、白色副画素が特定の色味を帯びるため適切なカラー再現が困難であった。白色副画素部のみ、共振器構造を有しない構成とすることは、装置の構成を複雑にし、またその製造工程が複雑化し、また高精細化も困難であった。
本願に拠れば、白色副画素部の光路長調整層の厚みは赤色発光層の光路長調整層の厚みより厚く、実質的に特定の色味の発光を生じない。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】マトリックス型表示装置の画素配列の概念図である。
【図2】1画素の副画素配列を示す概念図である。
【図3】本発明による1画素の概略断面図である。
【図4】本発明による1画素の別の態様を示す概略断面図である。
【図5】本発明による1画素の更に別の態様を示す概略断面図である。
【図6】本発明によるB副画素より射出される光のスペクトルの1例である。
【図7】本発明によるG副画素より射出される光のスペクトルの1例である。
【図8】本発明によるR副画素より射出される光のスペクトルの1例である。
【図9】本発明によるW副画素より射出される光のスペクトルの1例である。
【図10】本発明によるW副画素より射出される光のスペクトルの1例である。
【図11】本発明によるW副画素より射出される光のスペクトルの別の例である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に本発明について、より詳細に説明する。
1.表示装置
本発明の表示装置は、基板上に複数の画素を備え、各画素が可視域に波長の異なる光を射出する少なくとも2種の副画素と白色副画素より構成される。
図1に示されるように、本発明の表示装置は基板の上に複数の画素を縦横に配置したマトリクス型画面パネルを有する。各画素は、可視域に波長の異なる光を射出する少なくとも2種の副画素及び白色副画素より構成され、それぞれの画素が共振器を形成している。これらの副画素を独立に制御してそれぞれを独立の輝度で発光することにより、フルカラーを再現することができる。
好ましくは、赤色(R)副画素、緑色(G)副画素及び青色(B)副画素と、白色画素(W画素)を備えた構成である。図2は、副画素の配列を示す概念図である。
【0020】
本発明の表示装置は、基板上に複数の画素を備え、各画素が可視域の波長の異なる光を射出する少なくとも2種の副画素及び白色副画素より構成されるカラー表示装置であって、前記少なくとも2種の副画素及び前記白色副画素は各々光半透過反射層と光反射層とに狭持された白色発光有機電界発光層を有し、前記少なくとも2種の副画素における前記光半透過反射層と前記光反射層との間の光学的距離が各々射出する光を共振する距離である共振器を形成し、前記白色副画素における前記光半透過反射層と光反射層との間の光学的距離は、前記少なくとも2種の副画素における前記光半透過反射層と光反射層との間の光学的距離の最長光学距離より長いことを特徴とする。
好ましくは、少なくとも2種の副画素として、赤色副画素(R副画素)、緑色副画素(G副画素)及び青色副画素(B副画素)を有し、該赤色副画素、緑色副画素及び青色副画素における光半透過反射層と光反射層との間の光学的距離が各々赤色光(R光)、緑色光(G光)、及び青色光(B光)を共振する距離である。
好ましくは、白色副画素における光半透過反射層と光反射層との間の光学的距離が、前記少なくとも2種の副画素における前記光半透過反射層と光反射層との間の光学的距離の最長光学距離より2倍以上長い。
好ましくは、白色副画素における光半透過反射層と光反射層との間の光学的距離が、2.0μm以上である。より好ましくは3.0μm以上、さらにより好ましくは4.0μm以上である。
好ましくは、光半透過反射層と光反射層との間に光路長調整層を有し、少なくとも2種の副画素及び白色副画素は、同一組成の白色有機電界発光層を有し、該光路長調整層の厚みを異にする。
【0021】
本発明の表示装置は、好ましくは、各副画素部に各副画素を駆動するためのTFTを備えている。好ましくは、本発明の表示装置の基板はTFTの基板を基板として用いるものであって、副画素の少なくとも1つが、該基板上に平坦化膜を有し、該平坦化膜上に光反射層を有する。更にその上に、光路長調整層、白色有機電界発光層、及び光半透過反射層が設けられる。
好ましい別の態様は、該平坦化膜と該基板の間、若しくは該平坦化膜中に前記光反射層を有する。この場合、平坦化層の少なくとも1部が光路長調整層として機能する。
好ましい具体的態様は、赤色副画素、緑色副画素、青色副画素、及び白色副画素が、平坦化膜上に光反射層、光半透過反射層、及び光半透過反射層と光反射層とに狭持された光路長調整層及び白色発光有機電界発光層を有する。
好ましい別の具体的態様は、赤色副画素、緑色副画素及び青色副画素が、平坦化膜上に光反射層、光半透過反射層、及び光半透過反射層と光反射層とに狭持された光路長調整層及び白色発光有機電界発光層を有し、白色副画素は、基板と平坦化膜との間に光反射層を有し、平坦化膜上に、透明電極、白色発光有機電界発光層、及び光半透過反射層を有する。
【0022】
好ましくは、白色副画素の光反射層がTFTの電極と共通の層で形成されている。
好ましくは、前記赤色発光副画素、緑色発光副画素、青色発光副画素の光射出側に、それぞれ、赤色カラーフィルター、緑色カラーフィルター、青色カラーフィルターが配置される。
【0023】
本発明に於いては、トップエミッション型有機ELであってもボトムエミッション型有機EL素子であっても良い。
【0024】
次に、本発明の表示装置の構成を図面により具体的に説明する。
図3は、本発明による1画素を構成するR,G,B副画素とW副画素の構成を示す断面模式図である。
TFTを配した基板1上に、TFTを被覆して平坦化膜6が設置される。該平坦化膜上に光反射層2が設けられる。画素電極(透明電極3)との絶縁性が保たれる場合は、該光反射層は、R,G,B,W副画素で共通に設けても良い。
【0025】
次に、光路長調整層がR,G,B,W副画素毎にそれぞれ異なる厚みで設置される(それぞれ、光路長調整層8−1,8−2,8−3,8−4)。B副画素部の光路長調整層8−1が最も薄く、厚みが0、即ち、B画素部は、共振距離が得られるのであれば、光路長調整層を設けなくとも良い。G副画素部、R副画素部となるにつれ厚くなる。W副画素の光路長調整層8−4の厚みは最も厚く、好ましくはR副画素部の光路長調整層8−3の厚みより厚く、より好ましくは、R副画素部の光路長調整層8−3の厚みの2倍以上厚い。光路長調整層は、電気絶縁性であることが好ましい。
光路長調整層の上に、画素電極として透明電極3が各画素毎にパターニングされて設置される。透明電極3は、コンタクトホールを介してTFTと電気的に接続される。
各副画素部間の非発光領域は、バンク7(絶縁層)で被覆される。
【0026】
その上に、各副画素とも共通に白色有機電界発光層4及び半透過反射電極5が設置される。白色有機電界発光層4は、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層などの複数の機能層の積層体が好ましく用いられる。半透過反射電極5は、金属薄膜(Al、Ag等)であっても、屈折率の異なる透明薄膜を積層する分布ブラッグ反射膜(DBR)の何れでも良い。光路長調整層は、絶縁層材料で構成され、無機物(SiO、SiON、SiN等)や有機物(ポリカーボネート、ポリアクリレート、シリコーン樹脂等)の何れでも良い。
【0027】
各R,G,B副画素においては、射出する光が共振する距離になるように光路長調整層の厚みが調整される。例えば、反射層2と半透過反射電極5との間で、R(λ=625nm〜740nm)、G(λ=500nm〜565nm)、B(λ=450nm〜485nm)に光学的共振を発生する光学的距離Lの膜厚を形成する。例えば、B画素部については共振光学距離を380nmとすると、図6に示す465nmに極大波長を有する発光が外部に取り出される。G画素部については共振光学距離を440nmとすると、図7に示す526nmに極大波長を有する発光が外部に取り出される。R画素部については共振光学距離を520nmとすると、図8に示す623nmに極大波長を有する発光が外部に取り出される。
【0028】
一方、W画素部については、光路長調整層の厚みがR画素部よりさらに長く、可視域に特定の波長の発光を呈しない厚みに調整される。例えば、共振光学距離を2.0μmとすると、図9に示すように、可視域に多数の発光ピークを有する共振波の光が外部に取り出される。従って、外部で観察されるW副画素の光はこれらが混合したほぼ白色光である。
通電により白色有機電界発光層4で発光した光は、半透過反射電極5と光反射層2との間で反射を繰り返し、共振して、それぞれ、R,G,Bの光が半透過反射電極5を透過して外部に射出される。W画素部では、R,G,Bの共振した光が混合されて白色光として観察される。
【0029】
図4は、本発明による別の態様の1画素の構成を示す断面模式図である。
R,G,B副画素部の構成は図3に示す構成と同じである。W副画素においては、TFTを配した基板11上に、まず、W副画素が設置される領域に反射層12−2が設けられる。その上に、TFT及び反射層12−2を被覆して平坦化膜16が設置される。平坦化膜は、R,G,B副画素部における平坦化膜16と共通に設置される。W副画素部においては、平坦化膜16が光路長調整層の機能を果たすが、W副画素における光路長調整層の厚みは、所定の厚みより厚ければ良いので、厳密に厚みを制御する必要がない。従って、平坦化膜の一般的製造手段によっても十分満足し得る性能を得ることができる。
【0030】
次に、平坦化膜16の上に画素電極として透明電極13が各副画素毎にパターン化されて設置される。透明電極13は、コンタクトホールを介してTFTと電気的に接続される。
各副画素部間の非発光領域は、バンク17(絶縁層)で被覆される。
その上に、各副画素とも共通に白色有機電界発光層14及び半透過反射電極15が設置される。
W画素部における反射層12−2と半反射透過層15との間の光学的距離をさらに厚くしたい場合は、平坦化膜16と透明電極13との間に光路長調整層を設けても良い。
【0031】
図5は、本発明による更に別の態様の1画素の構成を示す断面模式図である。
W副画素部の構成は、図4に示す構成と同一である。
R,G,B副画素部において、光反射層は、それぞれ、平坦化層の内部に設置される。B画素部においては、光反射層22−1は、平坦化層26の最上部に設置される。G副画素部及びR副画素部の光反射層22−2,及び22−3は、それぞれ平坦化層26の内部に順に共振距離が長くなるよう位置に設置される。
平坦化膜26上に、各R,G,B,W副画素にパターン化された透明電極23が形成される。
その上に、各R,G,B,W副画素とも共通に白色有機電界発光層24及び半透過反射電極25が形成される。
【0032】
従って、本発明によれば、各R,G,B副画素から射出される光はそれぞれ、高輝度かつスペクトル分布の狭い高彩度の光であり、極めて高輝度、高彩度の光が得られる。また、W画素部から射出される光は、限られた数の特定の波長の共振光ではなく、多数の共振光の混合による白色光であるので、従来のW画素部に共振器を有する場合の色ズレがなく、且つ、高輝度の白色光が得られる。
また、R,G,B,W副画素の有機電界発光層及び半透過反射電極を共通に一貫して形成できるので、高精細化が容易であり、さらに製造工程が簡易で、高い生産性が得られる。
【0033】
2.光路長調整層
本発明の光路長調整層は、透明な絶縁層材料であれば特に限定されず、無機物(SiO、SiON、SiN等)や有機物(ポリカーボネート、ポリアクリレート、シリコーン樹脂等)の何れでも良い。
本発明の光路長調整層に用いられる無機絶縁材料としては、従来知られている種々の金属酸化物、金属窒化物、金属フッ化物などを用いることができる。
金属酸化物の具体例としては、MgO、SiO、SiO、Al、GeO、NiO、CaO、BaO、Fe、Y、TiO等が挙げられ、金属窒化物の具体例としては、SiN、SiN等が挙げられ、金属フッ化物の具体例としては、MgF、LiF、AlF、CaF等が挙げられる。また、これらの混合物であっても良い。
【0034】
本発明の光路長調整層の材料としては、有機化合物も用いることができ、被膜形成性ポリマーが好ましく用いられる。被膜形成性ポリマーとしては、ポリカーボネート、ポリアクリレート、シリコーン樹脂、ポリビニルブチラール等が挙げられる。
【0035】
光路長調整層の厚みは、各副画素が所定の波長の光が効率良く共振し得る光学的距離となるように調整される。従って、共振する光学的距離は、反射膜と半透過反射膜との間に狭持される材料の屈折率とその組成、厚みによって決定されるので、光路長調整層によって決定される訳ではない。一般に用いられる有機EL発光層の構成を斟酌すると、各R、G、B副画素部の光路長調整層の厚みは、物理的厚みで、0nm〜1000nmが好ましく、より好ましくは、20nm〜500nm、さらに好ましくは、30nm〜200nmである。
【0036】
光路長調整層の形成方法については、特に限定はなく、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、MBE(分子線エピタキシ)法、クラスターイオンビーム法、イオンプレーティング法、プラズマ重合法(高周波励起イオンプレーティング法)、プラズマCVD法、レーザーCVD法、熱CVD法、ガスソースCVD法、コーティング法、印刷法、又は転写法を適用できる。
【0037】
3.有機電界発光層
本発明における有機電界発光層は、発光層の他に、正孔輸送層、電子輸送層、ブロック層、電子注入層、および正孔注入層などの従来知られている有機化合物層を有しても良い。
【0038】
以下、詳細に説明する。
1)層構成
<電極>
本発明における有機電界発光層の一対の電極は、少なくとも一方は透明電極であり、もう一方は背面電極となる。背面電極は透明であっても、非透明であっても良い。
<有機化合物層の構成>
前記有機化合物層の層構成としては、特に制限はなく、有機電界発光素子の用途、目的に応じて適宜選択することができるが、前記透明電極上に又は前記背面電極上に形成されるのが好ましい。この場合、有機化合物層は、前記透明電極又は前記背面電極上の前面又は一面に形成される。
有機化合物層の形状、大きさ、および厚み等については、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0039】
具体的な層構成として、下記が挙げられるが本発明はこれらの構成に限定されるものではない。
・陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極、
・陽極/正孔輸送層/発光層/ブロック層/電子輸送層/陰極、
・陽極/正孔輸送層/発光層/ブロック層/電子輸送層/電子注入層/陰極、
・陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/ブロック層/電子輸送層/陰極、
・陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/ブロック層/電子輸送層/電子注入層/陰極。
【0040】
以下に各層について詳細に説明する。
2)正孔輸送層
本発明に用いられる正孔輸送層は正孔輸送材を含む。前記正孔輸送材としては正孔を輸送する機能、もしくは陰極から注入された電子を障壁する機能のいずれかを有しているもので有れば特に制限されることはなく用いることが出来る。本発明に用いられる正孔輸送材としては、低分子正孔輸送材、および高分子正孔輸送材のいずれも用いることができる。
本発明に用いられる正孔輸送材の具体例として、例えば以下の材料を挙げることができる。
【0041】
カルバゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体、ピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、芳香族第三アミン化合物、スチリルアミン化合物、芳香族ジメチリデン系化合物、ポルフィリン系化合物、ポリシラン系化合物、ポリ(N−ビニルカルバゾール)誘導体、アニリン系共重合体、チオフェンオリゴマー、ポリチオフェン等の導電性高分子オリゴマー、ポリチオフェン誘導体、ポリフェニレン誘導体、ポリフェニレンビニレン誘導体、及びポリフルオレン誘導体等の高分子化合物等が挙げられる。
これらは、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0042】
正孔輸送層の厚みとしては、1nm〜200nmが好ましく、5nm〜100nmがより好ましい。
【0043】
3)正孔注入層
本発明おいては、正孔輸送層と陽極の間に正孔注入層を設けることができる。
正孔注入層とは、陽極から正孔輸送層に正孔を注入しやすくする層であり、具体的には前記正孔輸送材の中でイオン化ポテンシャルの小さな材料が好適用いられる。例えばフタロシアニン化合物、ポルフィリン化合物、及びスターバースト型トリアリールアミン化合物等を挙げることができ、好適に用いることができる。
正孔注入層の膜厚は、1nm〜300nmが好ましい。
【0044】
4)発光層
本発明に用いられる発光層は、少なくとも一種の発光材料を含み、必要に応じて正孔輸送材、電子輸送材、ホスト材を含んでもよい。
本発明に用いられる発光材料としては特に限定されることはなく、蛍光発光材料または燐光発光材料のいずれも用いることができる。発光効率の点から燐光発光材料が好ましい。
また、発光材料は白色発光が得られれば1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。2種以上を併用する場合の発光材料の発光色の組合せは、特に限定されるものではないが、青色発光材料と黄色発光材料の併用、青色発光材料と緑色発光材料と赤色発光材料の併用などを挙げることができる。
【0045】
蛍光発光材料としては、例えばベンゾオキサゾール誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体、ベンゾチアゾール誘導体、スチリルベンゼン誘導体、ポリフェニル誘導体、ジフェニルブタジエン誘導体、テトラフェニルブタジエン誘導体、ナフタルイミド誘導体、クマリン誘導体、ペリレン誘導体、ペリノン誘導体、オキサジアゾール誘導体、アルダジン誘導体、ピラリジン誘導体、シクロペンタジエン誘導体、ビススチリルアントラセン誘導体、キナクリドン誘導体、ピロロピリジン誘導体、チアジアゾロピリジン誘導体、スチリルアミン誘導体、芳香族ジメチリデン化合物、8−キノリノール誘導体の金属錯体や希土類錯体に代表される各種金属錯体、ポリチオフェン誘導体、ポリフェニレン誘導体、ポリフェニレンビニレン誘導体、及びポリフルオレン誘導体等の高分子化合物等が挙げられる。これらは1種または2種以上を混合して用いることができる。
【0046】
燐光発光材料としては特に限定されることはないが、オルトメタル化金属錯体、又はポルフィリン金属錯体が好ましい。
【0047】
上記オルトメタル化金属錯体とは、例えば山本明夫著「有機金属化学−基礎と応用−」150頁〜232頁、裳華房社(1982年発行)やH.Yersin著「Photochemistry and Photophisics of Coodination Compounds」、71頁〜77頁、135頁〜146頁、Springer−Verlag社(1987年発行)等に記載されている化合物群の総称である。該オルトメタル化金属錯体を発光材料として発光層に用いることは、高輝度で発光効率に優れる点で有利である。
【0048】
上記オルトメタル化金属錯体を形成する配位子としては、種々のものがあり、上記文献にも記載されているが、その中でも好ましい配位子としては、2−フェニルピリジン誘導体、7,8−ベンゾキノリン誘導体、2−(2−チエニル)ピリジン誘導体、2−(1−ナフチル)ピリジン誘導体、及び2−フェニルキノリン誘導体等が挙げられる。これらの誘導体は必要に応じて置換基を有してもよい。また、上記オルトメタル化金属錯体は、上記配位子のほかに、他の配位子を有していてもよい。
【0049】
本発明で用いるオルトメタル化金属錯体は、Inorg Chem.,1991年,30号,1685頁、同1988年,27号,3464頁、同1994年,33号,545頁、Inorg.Chim.Acta,1991年,181号,245頁、J.Organomet.Chem.,1987年,335号,293頁、J.Am.Chem.Soc.1985年,107号,1431頁等、種々の公知の手法で合成することができる。
上記オルトメタル化錯体の中でも、三重項励起子から発光する化合物が本発明においては発光効率向上の観点から好適に使用することができる。
【0050】
また、ポルフィリン金属錯体の中ではポルフィリン白金錯体が好ましい。
燐光発光材料は1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。また、蛍光発光材料と燐光発光材料を同時に用いてもよい。
【0051】
ホスト材とは、その励起状態から、蛍光発光材料または燐光発光材料へエネルギー移動を起こし、その結果、蛍光発光材料または燐光発光材料を発光させる機能を有する材料のことである。
【0052】
ホスト材としては、励起子エネルギーを発光材料にエネルギー移動させることのできる化合物ならば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、具体的にはカルバゾール誘導体、トリアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体、ピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、芳香族第三アミン化合物、スチリルアミン化合物、芳香族ジメチリデン系化合物、ポルフィリン系化合物、アントラキノジメタン誘導体、アントロン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、カルボジイミド誘導体、フルオレニリデンメタン誘導体、ジスチリルピラジン誘導体、ナフタレンペリレン等の複素環テトラカルボン酸無水物、フタロシアニン誘導体、8−キノリノール誘導体の金属錯体やメタルフタロシアニン、ベンゾオキサゾールやベンゾチアゾールを配位子とする金属錯体に代表される各種金属錯体ポリシラン系化合物、ポリ(N−ビニルカルバゾ−ル)誘導体、アニリン系共重合体、チオフェンオリゴマー、ポリチオフェン等の導電性高分子オリゴマー、ポリチオフェン誘導体、ポリフェニレン誘導体、ポリフェニレンビニレン誘導体、及びポリフルオレン誘導体等の高分子化合物等が挙げられる。これらの化合物は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
ホスト材の発光層における含有量としては20質量%〜99.9質量%が好ましく、さらに好ましくは50質量%〜99.0質量%である。
【0053】
5)ブロック層
本発明においては、発光層と電子輸送層との間にブロック層を設けることができる。ブロック層とは発光層で生成した励起子の拡散抑制する層であり、また正孔が陰極側に突き抜けることを抑制する層である。
【0054】
ブロック層に用いられる材料は、電子輸送層より電子を受け取り、発光層にわたす事のできる材料で有れば特に限定されることはなく、一般的な電子輸送材を用いることができる。例えば以下の材料を挙げることができる。トリアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、フルオレノン誘導体、アントラキノジメタン誘導体、アントロン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、カルボジイミド誘導体、フルオレニリデンメタン誘導体、ジスチリルピラジン誘導体、ナフタレンペリレン等の複素環テトラカルボン酸無水物、フタロシアニン誘導体、8−キノリノール誘導体の金属錯体やメタルフタロシアニン、ベンゾオキサゾールやベンゾチアゾールを配位子とする金属錯体に代表される各種金属錯体、アニリン系共重合体、チオフェンオリゴマー、ポリチオフェン等の導電性高分子オリゴマー、ポリチオフェン誘導体、ポリフェニレン誘導体、ポリフェニレンビニレン誘導体、及びポリフルオレン誘導体等の高分子化合物を挙げることができる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0055】
6)電子輸送層
本発明においては電子輸送材を含む電子輸送層を設けることができる。
電子輸送材としては電子を輸送する機能、もしくは陽極から注入された正孔を障壁する機能のいずれかを有しているもので有れば制限されることはなく、前記ブロック層の説明時に挙げた電子輸送材を好適に用いることができる。
前記電子輸送層の厚みとしては、10nm〜200nmが好ましく、20nm〜80nmがより好ましい。
【0056】
前記厚みが、1000nmを越えると駆動電圧が上昇することがあり、10nm未満であると該発光素子の発光効率が非常に低下する可能性があり好ましくない。
【0057】
7)電子注入層
本発明おいては、電子輸送層と陰極の間に電子注入層を設けることができる。
電子注入層とは、陰極から電子輸送層に電子を注入しやすくする層であり、具体的にはフッ化リチウム、塩化リチウム、臭化リチウム等のリチウム塩、フッ化ナトリウム、塩化ナトリウム、フッ化セシウム等のアルカリ金属塩、酸化リチウム、酸化アルミニウム、酸化インジウム、又は酸化マグネシウム等の絶縁性金属酸化物等を好適に用いることができる。
電子注入層の膜厚は0.1nm〜5nmが好ましい。
【0058】
8)基板
本発明に用いられる基板の材料としては、水分を透過させない材料又は水分透過率の極めて低い材料が好ましく、また、前記有機化合物層から発せられる光を散乱乃至減衰等のさせることのない材料が好ましい。具体的例として、例えばYSZ(ジルコニア安定化イットリウム)、ガラス等の無機材料、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリアリレート、アリルジグリコールカーボネート、ポリイミド、ポリシクロオレフィン、ノルボルネン樹脂、およびポリ(クロロトリフルオロエチレン)等の合成樹脂等の有機材料、などが挙げられる。
前記有機材料の場合、耐熱性、寸法安定性、耐溶剤性、電気絶縁性、加工性、低通気性、又は低吸湿性等に優れていることが好ましい。これらの材料は、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0059】
基板の形状、構造、大きさ等については、特に制限はなく、発光素子の用途、目的等に応じて適宜選択することができる。一般的には、前記形状としては、板状である。前記構造としては、単層構造であってもよいし、積層構造であってもよく、また、単一部材で形成されていてもよいし、2以上の部材で形成されていてもよい。
【0060】
基板は、無色透明であってもよいし、有色透明であってもよいが、前記発光層から発せられる光を散乱あるいは減衰等させることがない点で、無色透明であるのが好ましい。
【0061】
基板には、その表面又は裏面(前記透明電極側)に透湿防止層(ガスバリア層)を設けるのが好ましい。前記透湿防止層(ガスバリア層)の材料としては、窒化珪素、酸化珪素などの無機物が好適に用いられる。該透湿防止層(ガスバリア層)は、例えば、高周波スパッタリング法などにより形成することができる。
基板には、さらに必要に応じて、ハードコート層、およびアンダーコート層などを設けてもよい。
【0062】
9)電極
本発明における電極は、第1電極よび第2電極のいずれが陽極であっても陰極であっても構わないが、好ましくは第1電極が陽極であり、第2電極が陰極である。
【0063】
<陽極>
本発明に用いられる陽極としては、通常、前記有機化合物層に正孔を供給する陽極としての機能を有していればよく、その形状、構造、大きさ等については特に制限はなく、発光素子の用途、目的に応じて、公知の電極の中から適宜選択することができる。
【0064】
陽極の材料としては、例えば、金属、合金、金属酸化物、有機導電性化合物、またはこれらの混合物を好適に挙げられ、仕事関数が4.0eV以上の材料が好ましい。具体例としては、アンチモンやフッ素等をドープした酸化錫(ATO、FTO)、酸化錫、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化インジウム錫(ITO)、酸化亜鉛インジウム(IZO)等の半導性金属酸化物、金、銀、クロム、ニッケル等の金属、さらにこれらの金属と導電性金属酸化物との混合物または積層物、ヨウ化銅、硫化銅などの無機導電性物質、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリピロールなどの有機導電性材料、およびこれらとITOとの積層物などが挙げられる。
【0065】
陽極は例えば、印刷方式、コーティング方式等の湿式方式、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の物理的方式、CVD、プラズマCVD法等の化学的方式、などの中から前記材料との適性を考慮して適宜選択した方法に従って前記基板上に形成することができる。例えば、陽極の材料として、ITOを選択する場合には、該陽極の形成は、直流あるいは高周波スパッタ法、真空蒸着法、イオンプレーティング法等に従って行うことができる。また陽極の材料として有機導電性化合物を選択する場合には湿式製膜法に従って行うことができる。
【0066】
陽極の前記発光素子における形成位置としては、特に制限はなく、該発光素子の用途、目的に応じて適宜選択することができる。
【0067】
なお、前記陽極のパターニングは、フォトリソグラフィーなどによる化学的エッチングにより行ってもよいし、レーザーなどによる物理的エッチングにより行ってもよく、また、マスクを重ねて真空蒸着やスパッタ等をして行ってもよいし、リフトオフ法や印刷法により行ってもよい。
【0068】
陽極の厚みとしては、前記材料により適宜選択することができ、一概に規定することはできないが、通常10nm〜50μmであり、50nm〜20μmが好ましい。
陽極の抵抗値としては、10Ω/□以下が好ましく、10Ω/□以下がより好ましい。
陽極は、無色透明であっても、有色透明であってもよく、該陽極側から発光を取り出すためには、その透過率としては、60%以上が好ましく、70%以上がより好ましい。この透過率は、分光光度計を用いた公知の方法に従って測定することができる。
【0069】
陽極については、沢田豊監修「透明電極膜の新展開」シーエムシー刊(1999)に詳述があり、これらを本発明に適用することができる。耐熱性の低いプラスティック基材を用いる場合は、ITOまたはIZOを使用し、150℃以下の低温で製膜した陽極が好ましい。
【0070】
<陰極>
本発明に用いることの出来る陰極としては、通常、前記有機化合物層に電子を注入する陰極としての機能を有していればよく、その形状、構造、大きさ等については特に制限はなく、発光素子の用途、目的に応じて、公知の電極の中から適宜選択することができる。
【0071】
陰極の材料としては、例えば、金属、合金、金属酸化物、電気伝導性化合物、これらの混合物などが挙げられ、仕事関数が4.5eV以下のものが好ましい。具体例としてはアルカリ金属(たとえば、Li、Na、K、又はCs等)、アルカリ土類金属(たとえばMg、Ca等)、金、銀、鉛、アルミニウム、ナトリウム−カリウム合金、リチウム−アルミニウム合金、マグネシウム−銀合金、インジウム、及びイッテルビウム等の希土類金属、などが挙げられる。これらは、単独で使用してもよいが、安定性と電子注入性とを両立させる観点からは、2種以上を好適に併用することができる。
【0072】
これらの中でも、電子注入性の点で、アルカリ金属やアルカリ土類金属が好ましく、保存安定性に優れる点で、アルミニウムを主体とする材料が好ましい。アルミニウムを主体とする材料とは、アルミニウム単独、又はアルミニウムと0.01質量%〜10質量%のアルカリ金属若しくはアルカリ土類金属との合金若しくは混合物(例えば、リチウム−アルミニウム合金、マグネシウム−アルミニウム合金など)をいう。
【0073】
陰極の材料については、特開平2−15595号公報、特開平5−121172号公報に詳述されていて、これらを本発明に適用することができる。
【0074】
陰極の形成法は、特に制限はなく、公知の方法に従って行うことができる。例えば、印刷方式、コーティング方式等の湿式方式、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の物理的方式、CVD、プラズマCVD法等の化学的方式、などの中から前記材料との適性を考慮して適宜選択した方法に従って前記基板上に形成することができる。
例えば、前記陰極の材料として、金属等を選択する場合には、その1種又は2種以上を同時又は順次にスパッタ法等に従って行うことができる。
【0075】
陰極のパターニングは、フォトリソグラフィーなどによる化学的エッチングにより行ってもよいし、レーザーなどによる物理的エッチングにより行ってもよく、また、マスクを重ねて真空蒸着やスパッタ等をして行ってもよいし、リフトオフ法や印刷法により行ってもよい。
【0076】
陰極の有機電界発光素子における形成位置としては、特に制限はなく、該発光素子の用途、目的に応じて適宜選択することができるが、有機化合物層上に形成されるのが好ましい。この場合、該陰極は、前記有機化合物層上の全部に形成されていてもよく、その一部に形成されていてもよい。
また、陰極と有機化合物層との間に前記アルカリ金属又は前記アルカリ土類金属のフッ化物等による誘電体層を0.1nm〜5nmの厚みで挿入してもよい。
【0077】
陰極の厚みとしては、前記材料により適宜選択することができ、一概に規定することはできないが、通常10nm〜5μmであり、20nm〜500nmが好ましい。
陰極は、透明であってもよいし、不透明であってもよい。なお、透明な陰極は、前記陰極の材料を1nm〜10nmの厚みに薄く製膜し、更に前記ITOやIZO等の透明な導電性材料を積層することにより形成することができる。
【0078】
10)保護層
本発明において、有機EL素子全体は、保護層によって保護されていてもよい。
保護層に含まれる材料としては、水分や酸素等の素子劣化を促進するものが素子内に入ることを抑止する機能を有しているものであればよい。
その具体例としては、In、Sn、Pb、Au、Cu、Ag、Al、Ti、Ni等の金属、MgO、SiO、SiO、Al、GeO、NiO、CaO、BaO、Fe、Y、TiO等の金属酸化物、SiN、SiN等の金属窒化物、MgF、LiF、AlF、CaF等の金属フッ化物、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルメタクリレート、ポリイミド、ポリウレア、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリジクロロジフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレンとジクロロジフルオロエチレンとの共重合体、テトラフルオロエチレンと少なくとも1種のコモノマーとを含むモノマー混合物を共重合させて得られる共重合体、共重合主鎖に環状構造を有する含フッ素共重合体、吸水率1%以上の吸水性物質、吸水率0.1%以下の防湿性物質等が挙げられる。
【0079】
保護層の形成方法については、特に限定はなく、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、MBE(分子線エピタキシ)法、クラスターイオンビーム法、イオンプレーティング法、プラズマ重合法(高周波励起イオンプレーティング法)、プラズマCVD法、レーザーCVD法、熱CVD法、ガスソースCVD法、コーティング法、印刷法、又は転写法を適用できる。
【0080】
11)封止
さらに、本発明における有機電界発光素子は、封止容器を用いて素子全体を封止してもよい。
また、封止容器と発光素子の間の空間に水分吸収剤又は不活性液体を封入してもよい。
水分吸収剤としては、特に限定されることはないが、例えば、酸化バリウム、酸化ナトリウム、酸化カリウム、酸化カルシウム、硫酸ナトリウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、五酸化燐、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化銅、フッ化セシウム、フッ化ニオブ、臭化カルシウム、臭化バナジウム、モレキュラーシーブ、ゼオライト、および酸化マグネシウム等を挙げることができる。不活性液体としては、特に限定されることはないが、例えば、パラフィン類、流動パラフィン類、パーフルオロアルカンやパーフルオロアミン、パーフルオロエーテル等のフッ素系溶剤、塩素系溶剤、及びシリコーンオイル類が挙げられる。
【0081】
12)素子の製造方法
本発明における素子を構成する各層は、蒸着法やスパッタ法等の乾式製膜法、ディッピング、スピンコート法、ディップコート法、キャスト法、ダイコート法、ロールコート法、バーコート法、グラビアコート法等の湿式製膜法いずれによっても好適に製膜することができる。
中でも発光効率、耐久性の点から乾式法が好ましい。湿式製膜法の場合、残存する塗布溶媒が発光層を損傷させるので好ましくない。
特に好ましくは、抵抗加熱式真空蒸着法である。抵抗加熱式真空蒸着法は、真空下で加熱により蒸散させる物質のみを効率的に加熱できるので、素子が高温に曝されないのでダメージが少なく有利である。
【0082】
真空蒸着とは真空にした容器の中で、蒸着材料を加熱させ気化もしくは昇華して、少し離れた位置に置かれた被蒸着物の表面に付着させ、薄膜を形成するというものである。蒸着材料、被蒸着物の種類により、抵抗加熱、電子ビーム、高周波誘導、レーザーなどの方法で加熱される。この中で最も低温で成膜を行うのが抵抗加熱式の真空蒸着法であり、昇華点の高い材料は成膜できないが、低い昇華点の材料であれば、被蒸着材料への熱ダメージがほとんど無い状態で成膜を行うことができる。
【0083】
本発明における封止膜材料は、抵抗加熱式の真空蒸着で成膜し得ることを特徴とする。
従来用いられてきた酸化シリコン等の封止剤は昇華点が高く、抵抗加熱で蒸着することは不可能であった。また、公知例に一般的に記載されているイオンプレーティング式などの真空蒸着法は、蒸着元部が数千℃と超高温となるため、被蒸着材料に熱的な影響を与えて変質させるため、特に熱や紫外線の影響を受けやすい有機EL素子の封止膜の製造方法としては適していない。
【0084】
13)駆動方法
本発明における有機電界発光素子は、陽極と陰極との間に直流(必要に応じて交流成分を含んでもよい)電圧(通常2ボルト〜15ボルト)、又は直流電流を印加することにより、発光を得ることができる。

【0085】
本発明における有機電界発光素子の駆動方法については、特開平2−148687号、同6−301355号、同5−29080号、同7−134558号、同8−234685号、同8−241047号の各公報、特許第2784615号、米国特許5828429号、同6023308号の各明細書、等に記載の駆動方法を適用することができる。
【0086】
(応用)
本発明の表示装置は、携帯電話ディスプレイ、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)、コンピュータディスプレイ、自動車の情報ディスプレイ、TVモニター、あるいは一般照明を含む広い分野で幅広い分野で応用される。
【実施例】
【0087】
以下に、本発明について、実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0088】
実施例1
本発明の図3に示される構成のカラー表示装置の製造方法について説明する。
(1)TFTを備えたガラス基板1に、該TFTを被覆して厚み3μmの平坦化膜6を設ける。TFTは、R,G,B,W副画素に対応してそれぞれ設置される。
(2)上記平坦化膜6の上に、光反射層2としてAlを真空成膜製法で、100nmの厚みに、各R,G,B,W副画素にパターン化して設置する。
【0089】
(3)光反射層2の上面に、各R,G,B,W副画素位置にそれぞれ膜厚の異なる透明絶縁材料より成る光路長調整層8−1,8−2,8−3,8−4を形成する。
・材料: SiON
・膜形成方法:イオンプレーティング法
・厚み:R部120nm、G部70nm、B部30nm、W部2200nm、
(4)上記光路長調整層上面に透明電極3(ITO、60nm)を各副画素でパターニングして形成する。透明電極3は、光路長調整層及び反射層に設けられたコンタクトホールを介してTFTの平坦化膜の上部電極を導通される。
(5)発光部をメタルマスクでカバーして、非発光部を絶縁層(バンク7)で被覆する。
【0090】
(6)上記透明電極3上面に、R,G,B,W副画素共通に、一貫して白色発光電界発光層4、及び半透過反射電極5を真空蒸着法により以下の順で形成する。
<発光層構成>
・正孔注入層:4,4’,4’’−トリス(2−ナフチルフェニルアミノ)トリフェニルアミン(2−TNATAと略記する)と2−TNATAに対してテトラフルオロテトラシアノキノジメタン(F4−TCNQと略記する)を1.0質量%となるように共蒸着を行った。膜厚は40nmとした。
・正孔輸送層:N,N’−ジナフチル−N,N’−ジフェニル−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミン(α−NPDと略記する)、厚み10nm。
・発光層:1,3−bis(carbazol−9−yl)benzene(mCPと略称)とmCPに対して発光材Aを15質量%、発光材Bを0.13質量%、発光材Cを0.13質量%となるように4元で共蒸着を行った。膜厚は30nmとした。
・電子輸送層:bis−(2−methyl−8−quinolinolate)−4−(phenylphenolate)aluminium(BAlqと略記する)、厚み40nm。
・電子注入層:LiFを厚み0.5nmに蒸着後、Alを厚み1.5nmに蒸着して電子注入層とした。
【0091】
<半透過反射電極5>
金属電極(Ag、20nm)を真空成膜製法で形成する。
【0092】
実施例に用いた化合物の構造を下記に示す。
【0093】
【化1】

【0094】
得られた有機電界発光層形成領域を封止し、各電極を外部の信号制御装置に接続する。
以上により、トップムエミッション型の有機EL素子を組み込んだ1画素が形成される。
【0095】
上記R、G、B、W副画素からなる画素を複数配置することで表示面を形成し、各副画素を選択的に発光させることで表示面に画像を形成する。
【0096】
通電により有機電界発光層4で発光した光は、半透過反射電極5と光反射層2との間で共振して、それぞれ、R,G,Bの光が半透過反射電極5を透過して外部に射出される。
B副画素部からは図6に示されるシャープな発光スペクトルの高輝度のB光が放射され、G副画素部からは図7に示されるシャープな発光スペクトルの高輝度のG光が放射され、R副画素部からは図8に示されるシャープな発光スペクトルの高輝度のR光が放射される。
W副画素部では、図9に示される多数の共振光が混合されて完全に白色光として観察される光が放射される。
【0097】
上記製造方法に拠れば、光路長調整層の厚みが異なるだけで、R,G,B,及びW副画素は同一の材料より構成される。特に有機電界発光層及び半透過反射電極は共通で、一貫して形成できるので、副画素毎に塗分けて形成する必要が無くなり、製造工程が簡易になり生産性が高まると共に、高精細化が容易になる。
【0098】
実施例2
図4に示される構成であり、実施例1において、W副画素部の構成のみを下記に変更した。各構成の製造手段は実施例1と同様である。
(1)TFTの基板11上に、まず光反射層12−2を設置する。
(2)TFT及び光反射層12−2を被覆して平坦化膜16を設置する。平坦化膜16の設置工程は、R,G,B副画素部の平坦化膜16の設置と同一工程で為される。
(3)以後の透明電極13/白色有機電界発光層14/半透過反射電極15を積層して形成する工程は、R,G,B副画素部におけると同一工程で為される。
【0099】
上記で得られる構成においては、W副画素部の光路長調整層は、平坦化膜16がその機能を果たす。実施例1に比較して、W副画素部に厚い光路長調整層を特に設ける必要がないので、製造がさらに容易になること、また、R,G,B副画素部に比べてW副画素部が特別に厚くならず、画素全体の凹凸が減り平坦化して好ましい。
【0100】
実施例3
図5に示される構成であり、実施例2に対して、R,G,B副画素部についても光反射層を平坦化膜の中に配置した構成である。
(1)TFTの基板21上に、まずW副画素で、光反射層22−4を設置する。
(2)R,G,B,W副画素部を通して、TFT及び光反射層22−2を被覆して第1の厚みの平坦化膜を設置する。
(3)次に、R副画素で、光反射層22−3を設置する。
(4)続いて、R,G,B,W副画素部を通して、全体に第2の厚みの平坦化膜を設置する。
(5)次に、G副画素で、光反射層22−2を設置する。
(6)続いて、R,G,B,W副画素部を通して、全体に第3の厚みの平坦化膜を設置する。
(7)次に、B副画素で、光反射層22−1を設置する。
(8)続いて、R,G,B,W副画素部を通して、全体に第4の厚みの平坦化膜を設置する。
(9)以後の透明電極23/白色有機電界発光層24/半透過反射電極25を積層して形成する工程は、R,G,B,W副画素とも共通に、実施例1,2におけると同様に為される。
【0101】
上記で得られる構成においては、全ての副画素部の光路長調整層は、平坦化膜内に設置される。従って、平坦化膜の外部に光路長調整層を特に設ける必要がないので、R,G,B,W副画素部が全て同一の厚みで形成されるので、画素全体の凹凸が減り平坦化して好ましい。さらに、透明電極、白色有機電界発光層、及び半透過反射電極がそれぞれ同一材料で同一工程で形成することができ、製造工程はシンプルになり、高精細化が容易である。
【符号の説明】
【0102】
1,11,21:基板
2,12−1,12−2,22−1,22−2,22−3,22−4:光反射層
3,13,23:透明電極
4,14,24:白色有機電界発光層
5,15,25:半透過反射電極
6,16,26:平坦化膜
7,17,27:絶縁層(バンク)
8−1,8−2,8−3,8−4,18−1,18−2,18−3:光路長調整層(絶縁層)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に複数の画素を備え、各画素が可視域の波長の異なる光を射出する少なくとも2種の副画素及び白色副画素より構成されるカラー表示装置であって、前記少なくとも2種の副画素及び前記白色副画素は各々光半透過反射層と光反射層とに狭持された白色発光有機電界発光層を有し、前記少なくとも2種の副画素における前記光半透過反射層と前記光反射層との間の光学的距離が各々射出する光を共振する距離である共振器を形成し、前記白色副画素における前記光半透過反射層と前記光反射層との間の光学的距離は、前記少なくとも2種の副画素における前記光半透過反射層と前記光反射層との間の光学的距離の最長光学距離より長いことを特徴とするカラー表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−12493(P2013−12493A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−198296(P2012−198296)
【出願日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【分割の表示】特願2008−221881(P2008−221881)の分割
【原出願日】平成20年8月29日(2008.8.29)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】