説明

カルボキシメチル化アスパラギン酸と磁気ポリマー粒子の結合体。

【課題】
【解決手段】カルボキシメチル化 アスパラギン酸塩 キレートリガンドに結合した磁気ポリマー粒子を含む結合体、および任意に金属イオンをキレートしている結合体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
磁気ポリマー粒子における改善
本発明は、金属を積んでいるキレートマトリックスを運ぶ磁気ポリマー粒子、ならびに、前記キレートマトリックスを運ぶ磁気ポリマー粒子の製造方法に関する。特に、本発明は、カルボキシメチル化アスパラギン酸塩(Cm−Asp)キレート基を運ぶ磁気ポリマー粒子ならびに、前記磁気ポリマー粒子と前記Cm−Asp基とのカップリングに関する。
【背景技術】
【0002】
磁気ポリマー粒子は、様々な医療分野および生化学分野において、例えば、医薬製品の運搬のための輸送ビヒクルとして、診断目的において、分離のため、および合成目的のため、一般に有用である。このような粒子は、これらの機能を行うためには、その磁気特性に依存している。診断アッセイ適用において、例えば、磁気ポリマー粒子に結合した分析物を含有するサンプルに磁場を適用することにより、遠心分離またはろ過の使用をすることなく、前記分析物を単離することが可能である;また、治療適用において、例えば、磁場を患者に適用することにより、薬物運搬磁気ポリマー粒子を所望の身体部位へ狙いをつけるのに用いることができる。
【0003】
磁気によりとは、ここでは、ポリマー粒子が超常磁性(super paramagnetic)結晶を含有することを意味する。したがって、この磁気ポリマー粒子は、磁気的に置き換え可能であるが、永久に磁化可能というものではない。磁気ポリマー粒子の製造方法が多く知られている。その多数は、マグヘマイト含有ポリマー粒子またはマグネタイト含有ポリマー粒子を、予備形成された磁気酸化鉄、例えば、マグネタイトから形成することを含む。それらの幾つかの関連方法は、米国特許出願公開第US−A−4,654,267(Ugelstad)(特許文献1)に記載されており、その内容はここに引例として組み入れる。
【0004】
固定金属イオン親和性クロマトグラフィー(IMAC)の使用は、長年にわたって公知である。IMAC精製法は、遷移金属イオン、例えばCu2+またはNi2+(このCu2+またはNi2+は、たんぱく質表面上に存在する電子供与基、特にヒスチジンのイミダゾール側鎖に結合することができる)を有するキレートマトリックスの使用に基づいている。電子供与性基は、前記金属イオンの周りの空配位部位に配位すると考えられている。前記たんぱく質表面上に存在する、前記電子供与性基と前記金属イオンとの間の相互作用は、例えば、pHを変化させることにより変更することができ、ゆえに、精製を可逆性金属複合物/たんぱく質相互作用によって行うことができる。最も一般的には、たんぱく質が前記金属イオンとヒスチジンのイミダゾリル側鎖との相互作用によって、固相に結合されていれば、前記たんぱく質は、イミダゾール自体を添加することにより、すなわち、競合的溶離により、除去することができる。
【0005】
幾つかの種々のキレートリガンドが、IMACにおいてたんぱく質を精製するのに用いられている。ニトリロトリアセテート(NTA)(四座配位子)および五配位子リガンドのトリス(カルボキシメチル)エチレンジアミンは、そのようなリガンドの例であり、しかし、これらは、非特異的たんぱく質相互作用、金属漏れ等の様々な短所がある。
【0006】
米国特許第US6242581号(特許文献2)では、カルボキシメチル化アスパラギン酸塩(Cm−Asp)基をIMAC(ここで、結合した遷移金属イオンは八面体形態を有する)において用いることにより金属漏れ問題の解決策を提案している。前記リガンドは、ヒスチジン標識組換えたんぱく質を単離するのに理想的であると言われている。Cm−Aspの他の長所、例えば、還元剤への耐性は、米国特許第US5962641号(特許文献3)において説明されている。
【特許文献1】米国特許出願公開第4,654,267号明細書
【特許文献2】米国特許第US6242581号明細書
【特許文献3】米国特許第US5962641号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
他のポリマーマトリックス、例えばポリスチレン、ナイロンおよびセファロースが提案されているが、これらの特許において、前記Cm−Aspリガンドは、アガロース固相(架橋しているのが好ましい)に結合している。これらのマトリックスは、磁気性であるが、前記磁気粒子は、懸濁液において磁気性では無く、前記固相は従ってアッセイにおいて使用に制限がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
ここに、驚いたことに前記Cm−Aspキレートリガンドを、磁気ポリマー粒子にカップリングさせることができ、組換えたんぱく質中のヒスチジン標識、または天然たんぱく質もしくはペプチド中の金属たんぱく質活性部位中に存在するHis、Cys、Met、Gln、Asn、LysもしくはTyr残基に結合する能力、リン酸化たんぱく質もしくはペプチドに結合する能力、ならびに磁気をも有する部位を生じることを見出した。このことにより、当該分野の生化学者には、アッセイ方法において、更なる融通性を与えることが可能になった。
【0009】
本発明者はまた、前記Cm−Aspリガンドを前記磁気ポリマー粒子に高収率でカップリングさせ、それにより、優れたIMAC剤を製造することが可能になる方法も発明した。
【0010】
第1の側面からは、従って、本発明は、カルボキシメチル化アスパラギン酸塩(asparate)キレートリガンドに結合した磁気ポリマー粒子を含む結合体(conjugate)を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
別の側面からは、本発明は、金属原子または金属イオンにキレートしているカルボキシメチル化アスパラギン酸塩リガンドに結合した磁気ポリマー粒子を含む結合体を提供する。
【0012】
別の側面からは、本発明は、前記で定義したような結合体の製造方法に関し、その方法は、磁気ポリマー粒子をCm−Aspキレートリガンドと反応させることを含む。
【0013】
前記磁気ポリマー粒子(MPP)に結合した前記Cm−Aspリガンドを、その非配位状態および金属に配位した状態(波線は、前記Cm−Aspと粒子との間の結合またはリンカーを意味する)の両方で以下に示す。
【0014】
【化8】

【0015】
本発明の方法において用いられる磁気ポリマー粒子は、いずれの磁気ポリマー粒子であってもよく、例えば、米国特許出願公開第US−A−4,654,267号に記載のようなものであってもよい。前記粒子は、多孔性のものであると、その孔中に超常磁性結晶が存在することが可能なので好ましい。前記磁気粒子の表面は、通常、官能化され、前記Cm−Aspリガンドが前記ポリマー粒子にカップリングできるようにされており、例えば、官能化されて、任意の公知の表面構造体、例えば、カルボキシル基、トシル基、アミノ基、エポキシ基、マレアミド基、チオール基等を有していてもよい。ゆえに、その表面は、Cm−Aspカップリングの前にアミン官能化されてもよい。その代わりに、アミン官能化表面はそれ自体、さらに官能化されて他の官能基、例えばCOOH基を有してもよい。
【0016】
前記ポリマー粒子は、ビニル系ポリマー(例えばスチレン)、アクリレート類および/またはメタクリレート類の組み合わせから形成されるのが好ましい。ポリマー系材料は、任意に架橋されてもよく、例えば、架橋剤、例えばコモノマーとして、例えばジビニルベンゼン(DVB)またはエチレングリコールジメタクリレートの取り込みによる。必要な架橋剤(例えばコモノマー)の適切な量は、当業者にはよく知られているであろう。前記ポリマーは、架橋スチレン系ポリマー(例えば、スチレン−ジビニルベンゼンポリマー、ニトロ基含有コモノマー、例えばニトロスチレンの使用、およびその後の還元により表面官能化されている)または、エポキシ基含有コモノマー(例えば、グリシジルメタクリレート)の使用、およびその後のアミノ化(例えば、エチレンジアミンとの反応により)により表面官能化されている架橋(メタ)アクリルポリマーが好ましい。
【0017】
本発明の方法で用いる前記ポリマー粒子における前記超常磁性結晶は、多孔性ポリマー粒子中の超常磁性結晶形態中に沈殿されることが可能な材料であればいずれも種類でもよい。磁気酸化鉄、例えばマグネタイトまたはマグヘマイトが好ましい;しかしながら、前記結晶は、所望であれば、混合金属酸化物または他の磁気材料の種類であってもよい。存在する結晶磁気材料の全体量は、通常1%より多く、好ましくは3%より多く、望ましくは5%またはそれより多い(重量比で、例えば40重量%まで。割合は、被覆粒子の全体の乾燥重量を基にしたFe(または酸化鉄以外の磁気材料の場合、同等の金属)重量基準を基に計算する。
【0018】
本発明の様々な側面によるポリマー粒子は、通常マイクロメーター範囲のサイズ(すなわち直径)、例えば0.3から100μm、特に0.5から50μm、より特に0.8から8μm、例えば0.8から1.2μmを通常有するであろう。
【0019】
典型的には、用いられる前記多孔性粒子は、少なくとも15m2/g(BET窒素吸着法により測定)の表面積、より好ましくは少なくとも30m2/g、例えば、2.7μmの平均粒子直径(すなわち、2.7/MDまでの多表面積、ここでMDは、マイクロメーターでの平均直径である)に修正したとき700m2/gまでであろう。同様に縮尺を合わせたとき、前記粒子孔容積は、少なくとも0.1mL/gであるのが好ましい。
【0020】
前記ポリマー粒子は、それらが被覆される前は、球状でありかつ、実質的には単分散であるのが典型的であり、一旦それら粒子が被覆されても球状のままであり、実質的に単分散であるのが特に好ましい。
【0021】
実質的には単分散により、多数の粒子(例えば、少なくとも100、より好ましくは少なくとも1000)について、前記粒子が、20%より少ない、例えば15%より少ない、好ましくは12%より少ない、より好ましくは11%より少ない、さらにより好ましくは10%より少ない、最も好ましくは約8%以下、例えば2から5%の変動係数(CV)を有することを意味する。CVは、以下のように割合で決定される。
【0022】
【数1】

【0023】
前記式中、平均は、平均粒子直径であり、標準偏差は、粒子サイズにおける標準偏差である。CVは、主最頻値を基に、すなわち、単峰性(monomodal)分布曲線を検出粒子サイズ分布に適合させることにより、計算されるのが好ましい。したがって、最頻値サイズより小さいかまたは大きい粒子の幾つかは、計算において無視されてもよく、例えば、約90%(すなわち、検出可能な粒子の)の全粒子数を基にしてもよい。そのようなCVの測定は、コールター(Coulter)LS130粒子サイズ分析器で行うことができる。
【0024】
前記ポリマー系材料の官能化は、重合の後、例えば、ニトロ化、次いで形成したニトロ基をペンダント・アミン基へ還元することにより;または、直接アミノ化、例えば、アミノエタノールで処理することにより、行うことができる。更なる別の選択肢としては、よく知られたUgelstadの2工程膨潤方法、および国際特許出願公報第WO00/61647(Dyno)に記載のその改良法により製造されたポリマー系粒子を用いてもよい。この公報に記載の方法に従い製造された多孔性ポリマー粒子は、標準的技術によりその孔中に磁気粒子を沈殿させてもよい。
【0025】
更なる可能性としては、多孔性ポリマー粒子は、ニトロスチレンとDVBと製造されてもよく、また、米国特許出願公開第US−A−4,654,267号に教示されたように導入された磁気材料であってもよい。
【0026】
商標名ダイナビーズ(Dynabeads)、特にダイナビーズマイワン(Dynabeads MyOne)の名でダイナル・バイオテック・エイエスエー(Dynal Biotech ASA)により販売されている超常磁性ポリマービーズは、特に好ましい。ダイナビーズが特に有利である、というのも、ダイナビーズは、懸濁液中でそのままであり、他の磁気ビーズとしばしば関連した磁気粒子沈降を示さない。ダイナビーズはまた、高レベルの鉄が存在する他の磁気粒子と比較して優れた磁気可動性を示す。ダイナビーズは、反応時間を短くし、処理量を多くすることが可能になる有益な動態を示す。それらダイナビーズの非特異的結合は、他の磁気ビーズより低く、ダイナビーズの適切な使用により、より容易でより効率的な洗浄方法を生じる所望の材料に集結することになる。最後に、ダイナビーズ、例えば、マイワンビーズは、自動化するのが容易で単分散である。
【0027】
前記Cm−Aspリガンドは、前記磁気ポリマー粒子に結合している。結合によりとは、前記リガンドが共有結合的に、任意に、以下に詳細に説明する連結基を用いて、前記ポリマー粒子に結合していることを意味する。前記Cm−Aspリガンドは、様々な方法により前記磁気ポリマー粒子に結合してもよいが、前記ポリマー粒子表面と前記Cm−Aspの窒素原子との間に少なくとも3つの連結原子が存在するのが好ましい。前記磁気ポリマー粒子表面から前記Cm−Aspリガンドを隔てる少なくとも5つの原子が存在するのが好ましく、前記磁気ポリマー粒子表面から前記Cm−Aspリガンドを隔てる6から20の原子が存在するのがより好ましい。
【0028】
前記磁気ポリマー粒子の表面を形成する原子は、前記リンカー/Cm−Aspリガンドとのカップリング寸前にその表面上にある原子である。したがって、前記磁気ポリマー粒子がその製造の間にいずれかの方法で活性化(例えば、硝酸処理および還元によりアミノ官能化表面を形成)されれば、前記磁気ポリマー粒子表面は、前記表面窒素原子により形成される。前記窒素原子は、前記Cm−Aspリガンドと前記粒子との間のリンカーの最初の原子を形成するであろう。求電子性表面、例えば、臭化物表面を有するように官能化された磁気粒子において、前記リンカーの最初の原子は、臭素を置き換えるものであろう。
【0029】
したがって、好ましい実施形態において、本発明は、式(I)の結合体
【0030】
【化9】

【0031】
(前記式中、MPPは磁気ポリマー粒子であり、波線は、少なくとも3つの原子、例えば3から20の原子を含む連結基を意味する)または、金属イオンがキレートされているその類似体を提供する。
【0032】
米国特許第US 6242581号においては、アスパラギン酸を、Cm−Aspリガンドを形成するカルボキシメチル化の前に固相にカップリングさせる。しかし、この技術を用いて磁気ポリマー粒子上にCm−Asp基を備えることは可能ではない。むしろ、本発明者は、前記磁気ポリマー粒子にカップリングする前に前記Cm−Aspリガンドが完全に形成されている別の合成を発明した。
【0033】
この点で、前記ポリマー表面と前記Cm−Aspリガンドとの間に3つより少ない原子が存在するときには、カップリング収率が低いことが見出された。Cm−Asp(米国特許出願公開第US−A−5962641号に説明のように)を有するアガロース支持体とは対照的に、前記磁気ポリマー粒子と前記Cm−Aspとの間のカップリング収率が比較的高いことを確実にすることが本発明において必要である。アガロース支持体の表面積は、ポリマー粒子の表面積より相当高く、したがって、Cm−Aspの前記(アガロース)支持体への結合は、有用なIMACキレート剤について高収率で生じるよう達成する必要はない。本件において、収率は、充分なポリマー粒子が前記Cm−Aspリガンドを有することを確実にし、ゆえに、IMACが順調に行うことができることを確実にするよう、さらに高い必要がある。
【0034】
少なくとも3つの原子のリンカーがアミノ基(−NH−)を有するのが好ましい。磁気ポリマービーズは、しばしば、スチレンポリマーを硝酸で処理し、その表面上にNO2を形成して、形成される。これらの基の還元、例えばアンモニアを用いての還元の後、アミノ基が形成される。
【0035】
したがって、前記リンカーは、求電子体の残基、すなわち、求核試薬と求電子体の反応の後、残っている基を含むのが好ましい。したがって、前記リンカーは、オキソ基(C=O、エステル/カルボキシル基の残基)、−CH(OH)CH2−基(エポキシドの残基)、−CH2−(ここで、前記求電子体は、例えば、CH2Halである)を含んでもよい。前記リンカーは、前記Cm−Asリガンドの窒素原子に実際の求電子性基を連結する多数の原子、例えば、アルキレン鎖またはエーテル鎖、例えば、−CH2CH2CH2−もしくは−CH2CH2CH2−O−におけるアルキレン鎖またはエーテル鎖も組み込んでもよい。
【0036】
したがって、式(I)中の波線は、−NH−Er−N−を意味してもよく、前記式中、Erは2から20の原子のリンカーを意味し、Erは求電子体残基(Er)、例えば、−(CH2n−(ここで、nは2から20である)であり、Erは、前記粒子表面のアミノ基を前記Cm−Aspリガンドの窒素原子に連結する。
【0037】
もちろん、求核基を有するように官能化されたCm−Aspを有する求電子性基を有することは、磁気ポリマー粒子について本発明の範囲内である。前記粒子とリガンドのカップリングの他の方法は、技術のある化学者により工夫されるであろう。
【0038】
特に好ましい実施形態において、炭素-炭素二重結合を有する粒子被覆が備えられている。これは、例えば、アリルまたはビニル化合物、例えばブテン酸と前記粒子の反応により、達成することができる。ヒドロキシ官能化粒子表面は、臭化アリルと反応し、前記粒子表面上に二重結合を形成することができる。また、カルボキシ官能化粒子表面は、アリルアミンと反応し、前記粒子表面上に二重結合を形成することができる。前記Cm−Aspは、その後、適切な化学を用いて二重結合に直接カップリングしてもよく、または、より好ましくは、二重結合は、その後、還元、例えば水性ハロゲンの存在下に還元されて、ハロゲン求電子体を生じてもよい。このハロゲン求電子体は、前記Cm−Aspリガンドと反応して、順調にカップリングすることを確実にしてもよい。
【0039】
別の好ましい製造方法には、カルボキシル基を有するよう、前記磁気ポリマー粒子の表面を官能化させることを含む。カルボン酸基は、N−ヒドロキシスクシンイミドエステルとの反応により活性化され、前述のようにCm−Aspリガンドと反応させてもよい。
【0040】
適切なリンカーには、したがって、20までの原子を含む、アミノアルキレン、アミドアルキレン、エーテル、エステル、チオアルキレンまたはチオエステル、例えば、NH−アルキレン、NH−CO−アルキレン、O−アルキレン、OCO−アルキレン、S−アルキレンまたはSCO−アルキレンを含む。前記Cm−Aspリガンドの窒素原子は、前記リンカーの一部を形成しない。
【0041】
前記Cm−Aspリガンドも、前記磁気ポリマー粒子とカップリングする前に官能化されてもよい。例えば、前記粒子表面上の求電子性基との反応を助ける、第1の求核試薬を有する連結基を前記Cm−Aspリガンドが備えるのが有利であることが証明されている。前記Cm−Aspリガンドの窒素原子は、第2級である。この窒素原子は、おそらく立体的な束縛のため、前記粒子表面上の求電子性基、たとえばハロゲンと高収率で反応するには非常に非反応性であることが判明している。
【0042】
したがって、少なくとも2つの原子を有し、求核試薬(例えば、アミン、ヒドロキシルまたはチオール基)を含むリンカーに前記Cm−Aspをカップリングさせるのが好ましい。前記リンカーは、アルキルアミン、例えばC5/6−アルキルアミンリンカーまたはエーテル/ポリエーテル橋架、例えば、1または2つの酸素原子および3から6の炭素原子を含むものが好ましい。前記リンカーを前記Cm−Asp(その窒素原子を介して)へカップリングすることは、実施例で説明するように、公知の化学を用いて達成される。前記Cm−Aspリガンド自体は、公知の化学を用いて製造することができる。全体のリンカーCmAsp構造体を合成することも可能である。
【0043】
したがって、前記リンカーCmAsp構造体は、適切に保護されたアスパラギン酸化合物、例えば、前記カルボキシル基がエステル保護されているアスパラギン酸化合物から出発して製造することができる。この化合物は、式Hal−X1−CN(前記式中、Xは、C1-9アルキレン基を意味し、Halはハロゲン、例えばBrを意味する)の化合物(ここで、前記アスパラギン酸誘導体のアミノ基は、ハロゲン原子と置き換えられる)と反応することができる。生じた第2級アミノ化合物は、その後、Hal−CH2COOPrタイプ基(前記式中、Halはハロゲン、例えばBrであり、Prは保護基である)と反応して、最終のメチレンカルボキシ基を導入し、前記Cm−Asp構造体を形成してもよい。前記ニトリルの選択的還元、たとえば、水素および白金(IV)酸化物を用いる還元により、理想的なリンカーを生じ、必要であれば、そのリンカーは、その後脱保護してもよい。
【0044】
したがって、さらなる側面からみれば、本発明は、式:
【0045】
【化10】

【0046】
(前記式中、各Rは独立して、水素または保護基を意味し、XはC2-20のアルキレンリンカー、特にC5/6−アルキレンを意味する)
の化合物の製造方法を提供し、前記方法は、
式Hal−X1−CN(前記式中、Halはハロゲンであり、X1はC1-19アルキレンリンカーを意味する)の化合物を、式:
【0047】
【化11】

【0048】
(前記式中、Prは保護基を意味する)
の化合物と反応させ、
生じた生成物と式Hal−CH2COOPrの化合物を反応させて化合物:
【0049】
【化12】

【0050】
を形成し、
(好ましくは保護基を除去することなく)
ニトリルをアミノ基へ還元することを含む。その後、これらは必要に応じて除去してもよい。熟練した化学者は、Xリンカーが、前記ニトリルから誘導されたX1リンカーよりも1つの炭素原子を多く有することが理解できるであろう。
【0051】
熟練した化学者は、本発明において有用な前記Cm−Aspリンカー分子の合成方法をさらに工夫することが可能であろう。
【0052】
別の側面から、本発明は、Cm−Aspリガンドに結合した磁気ポリマー粒子を含む結合体の製造方法を提供し、前記方法は、式(II):
【0053】
【化13】

【0054】
(前記式中、各Rは、独立して水素または保護基を意味し、Xは、2から20の原子リンカー、例えばC2-10アルキレンリンカー、特にC5/6−アルキレンリンカーを意味する)
のCm−Aspリガンドを磁気ポリマー粒子、例えば、求電子性被覆、例えば、エステル、エポキシド、アリル、アルキルハロゲン等被覆を有するよう1箇所官能化された磁気ポリマー粒子と反応させることを含む。
【0055】
式(II)の化合物および金属がキレートされているその類似体は、それら自体、新規であり、前記Cm−Aspリガンド自体、すなわち式(III)の化合物および金属がキレートされたその類似体と共に本発明の更なる側面を形成する。
【0056】
【化14】

【0057】
本発明のいくつかの実施形態において、合成の間、前記Cm−Aspリガンドのカルボキシル基を保護する必要があるかもしれない。この保護は、公知の保護方法を用いることにより、例えば、当該分野で公知のように、酸または塩基中で加水分解することができるエステル保護を用いることにより、容易に達成することができる。
【0058】
前記Cm−Aspリガンドは、任意の金属原子または金属イオンに配位することができる。金属により、は周期表の1から13族の任意の金属、ランタニドもしくはアクチニドまたは金属Si、Ge、Sn、Pb、As、Sb、Bi、Te、PoもしくはAtを意味する。前記金属は、いずれのイオンであっても好ましく、遷移金属または13族の金属が好ましい。好ましい金属イオンは、2+または3+の酸化状態にあるイオンである。前記金属イオンが2+の酸化状態である場合、全体の粒子−リンカー−リガンド−金属イオンの集合体は、非荷電しており、そのことにより、非特異性結合の可能性が減少する。
【0059】
好ましい金属は、Ni、Fe、Ga、Mn、Co、CuおよびZnであり、そのうち、Fe、Ga、MnおよびCoが好ましく、特にCo2+が好ましい。配位は、前記Cm−Aspを、例えば金属塩化物に暴露することにより容易に行うことができる。
【0060】
結合金属を有する結合体は、一般に、ペプチド、たんぱく質または他のポリマー(例えば、抗体)に結合し、および結びつけるために用いることができ、ゆえに、多種多様なアッセイにおいて有用である。しかしながら、これらの結合体は、固定化金属イオンアフィニティクロマトグラフィーにより、標識されたかまたは天然のたんぱく質/ペプチドの単離において、特に有用である。特に、それら結合体は、ヒスチジン標識組換えたんぱく質/ペプチド、His、Cys、Met、Gln、Asn、Lysおよび/またはTyr含有天然たんぱく質および/またはペプチド、ならびにリン酸化たんぱく質またはペプチドの単離において有用である。特に好ましい、前記結合体は、ヒスチジン標識組換えたんぱく質/ペプチドの単離において、有用であるのが特に好ましい。したがって、別の側面から、本発明は、Cm−Aspリガンドに結合した磁気ポリマー粒子を含む結合体の使用を提供する。前記リガンドは、アッセイにおいて、金属原子またはイオンを配位する。適切なアッセイおよびこれらを行う方法は、熟練の生化学者に公知である。
【0061】
例えば、本発明のCm−Asp官能化粒子上のヒスチジン−標識たんぱく質の捕捉には、種々の適用がある。単離されたたんぱく質の素早い反応動力学と穏やかな扱いやすさにより、この技術は大きなたんぱく質複合体の「引き下げ」によく適している。したがって、Cm−Asp官能化ビーズは、質量スペクトロメトリ分析のためのサンプル調製に用いることができる。前記Cm−Asp官能化ビーズで単離された複合体は、凹凸のある表面を有するカラムまたは他の固体支持体(他の磁気粒子を含む)で単離された複合体よりも無傷であり、したがって、質量スペクトロメトリのサンプル単離に用いられるのが理想的であると考えられている。
【0062】
Cm−Asp技術は、アッセイ方法において用いられる固相としても、作動することができる。Cm−Aspビーズは、凝集する傾向は無く、溶液中で非常に分散し、低い非特異性結合を示す。これらの特性により、高品質スクリーニング結果と、広範囲の自動化プラットフォームで容易に自動化できる実験計画を可能にする。前記Cm−Aspビーズは、また、おそらく固相としてファージ提示法において用いることができるか、または、ライブラリから発現ファージ提示法選択たんぱく質を精製するのに用いることができる。
【0063】
したがって、一般に、ヒスチジン標識たんぱく質ならびに/またはHis、Cys、Met、Gln、Asn、Lysおよび/もしくはTyr残基含有天然たんぱく質もしくはペプチドの捕捉により、例えば、薬物発見、分子表示、アプタマー・スクリーニング、ファージ提示法、設計酵素スクリーニングおよび診断のため、ミクロスケールのたんぱく質精製、突然変異たんぱく質ライブラリの除去、たんぱく質/ペプチドの変性溶離、たんぱく質/ペプチドの穏やかな溶離、たんぱく質−たんぱく質相互作用研究およびスクリーニング技術が可能になりうる。
【0064】
本発明を、以下の非限定的実施例を参照して、さらにここに説明する。
【実施例1】
【0065】
実施例1
前記Cm−Aspリガンドの合成
以下のCm−Aspトリエステルは、次のようにして製造する。
【0066】
【化15】

【実施例2】
【0067】
実施例2
Cm−Aspトリエステルの別の合成
【0068】
【化16】

【0069】
2−アミノ−コハク酸ジエチルエステルの合成
【0070】
【化17】

【0071】
DL−アスパラギン酸(91.5g、0.69mol)の無水エタノール(800ml)中の懸濁液に、0℃で塩化チオニル(150ml、2.06mol)を滴下して加えた。冷却浴を除去して、混合物を3時間の間還流した。周囲温度に冷却した後、溶媒を真空下に蒸発させ、残渣にK2CO3の飽和水溶液をpH8まで添加した。水相を酢酸エチルで抽出し(x3)、合わせた有機相をブラインで洗浄し、乾燥し(MgSO4)、ろ過し、真空下に蒸発させて化合物1の124.8g(96%)を黄色油状物として生じた。粗製生物を次の工程で直接用いた。
【0072】
【数2】

【0073】
2−(4−シアノ−ブチルアミノ)−コハク酸ジエチルエステルの合成
【0074】
【化18】

【0075】
1(93.0g、0.49mol)、K2CO3(34.0g、0.25mol)およびKI(12.3g、0.07mol)のTHF(600ml)中懸濁液に、5−ブロモバレロニトリル(28.4ml、0.25mol)を滴下して添加した。反応混合物を還流加熱して5日間攪拌した。周囲温度に冷却した後、混合物をろ過し、ろ液を真空下に蒸発させた。ヘキサン/酢酸エチル(7:3)で溶離するシリカゲルでの精製により、64.1g(97%)の化合物2を黄色油状物として生じた。
【0076】
【数3】

【0077】
2−[(4−シアノ−ブチル)−エトキシカルボニルメチル−アミノ]−コハク酸ジエチルエステルの合成
【0078】
【化19】

【0079】
2(86.6g、0.32mol)、K2CO3(44.3g、0.32mol)およびKI(16.0g、0.10mol)のTHF(650ml)中の混合物に、ブロモ酢酸エチルエステル(42.5ml、0.38mol)を添加した。反応混合物を加熱還流し、5日間攪拌した。周囲温度まで冷却した後、混合物をろ過し、ろ液を真空下に蒸発させた。ヘキサン/酢酸エチル(8:2)で溶離するシリカゲルでの精製により、103.7g(91%)の化合物3を生じた。
【0080】
【数4】

【0081】
2−[(5−アミノ−ペンチル)−エトキシカルボニルメチル−アミノ]−コハク酸ジエチルエステルの合成
【0082】
【化20】

【0083】
3(15g、42mmol)の95%エタノール(60ml)および濃HCl(10ml)の溶液に、PtO2(600mg、2.6mmol)の95%エタノール(20ml)中の懸濁液を添加した。反応混合物に50psiで一晩中水素添加した。前記混合物をろ過し、ろ液を真空下に蒸発させ、一晩中空気を吸い出して、定量収率の標題化合物をHCl塩として生じた。
【0084】
【数5】

【実施例3】
【0085】
実施例3:
臭素化
0.5mmol/gアリル基を有する磁気スチレン粒子のメタノール懸濁液の17.3gを、45mL酢酸ナトリウム緩衝液(pH=5.9)で4回洗浄した。粒子含有量を9重量%へ調節した後、10mLDMF中に溶解された0.96gのピリジニウムトリブロマイドを、350rpmで攪拌しながら添加した。室温で5分後、前記粒子を5回45mL脱イオン水で洗浄した。
【実施例4】
【0086】
実施例4:
Cm−Aspキレート化合物による官能化
実施例3におけるように製造した粒子の懸濁液の18.0gを、20mLの50mMの炭酸水素ナトリウムで3回洗浄した。粒子含有量を12重量%に調節した。その懸濁液に、0.17gのCm−Aspトリエステル(実施例1で説明のように製造)を添加した。50mMの炭酸水素ナトリウムを、粒子含有量が10重量%に達するまで添加した。反応混合物を、600rpmで40℃で15時間の間振盪した。前記粒子をその後、20mLの脱イオン水で4回洗浄した。
【実施例5】
【0087】
実施例5:
加水分解
実施例4におけるように製造した粒子の懸濁液の20.0gを、20mLの1Mの水酸化リチウムで2回洗浄した。粒子含有量を10重量%に調節した後、混合物を250rpmで4時間の間室温で振盪した。前記粒子をその後、脱イオン水でpH6〜7まで洗浄した。
【実施例6】
【0088】
実施例6:
一般的な金属負荷条件
実施例5におけるように製造した粒子の250mgを、5mlの逆浸透水で2回洗浄し、ついで、15分間超音波処理する。5mlの10mM金属塩(MX)を前記粒子に添加し、30分間保温する。管を磁石中に配置し、上澄み液を除去する。前記粒子を5mlのリン酸緩衝生理食塩水(0,01%トゥイーン20、pH7,4)で2回洗浄する。前記粒子をその後、20%エタノールで1度洗浄する。前記粒子を20%エタノール中で保管する。
【0089】
以下のMX=CoCl2、CuSO4、FeCl3、GaCl2、GaCl3、MnSO4、MgCl2、NiCl2、CaSO4、ZnCl2の金属塩を用いた。
【実施例7】
【0090】
実施例7
カルボン酸基のN−ヒドロキシスクシンイミドエステルへの官能化
マイワンカルボン酸ビーズ(ダイナル・バイオテック・エイエスエー)の粒子の5.0gの懸濁液50.0gを、0.1M酢酸(3x50mL)で洗浄することにより酸性化した。酸性化した粒子(0.5mmole/g DSのカルボン酸含有量を有している)を、その後、アセトン(4x50mL)で洗浄し、磁石上で集めた。余分なアセトンを懸濁液全体が35.6gに達するまで添加した。N−ヒドロキシスクシンイミド(2.90g、25mmole)とジイソプロピルカルボジイミド(3.16g、25mmole)をその後、添加した。反応混合物を室温で5時間の間攪拌した。前記粒子をその後、アセトン(5x50mL)で洗浄した。
【実施例8】
【0091】
実施例8:
Cm−Aspキレート化合物での官能化
実施例7のビーズのアセトン懸濁液44gを、50mLのイソプロパノールで3回洗浄した。粒子含有量を12重量%に調節した後、5.6gのトリエチルアミンを添加した。イソプロパノールに溶解した0.10gのCm−Aspトリエステル(実施例1で説明したように製造)をその後添加した。これにより、粒子含有量は10重量%になる。反応混合物をその後、250rpmで室温で20時間の間振盪した。前記粒子を50mLのイソプロパノールで3回洗浄した。
【実施例9】
【0092】
実施例9:
Cm−Aspキレート化合物およびエタノールアミンでの官能化
実施例8におけるように製造した粒子のイソプロパノール懸濁液の10gに、0.32gのエタノールアミンを添加した。反応混合物をその後、250rpmで室温で18時間の間振盪した。前記粒子をその後、10mLのイソプロパノールで3回洗浄した。
【実施例10】
【0093】
実施例10
Cm−Aspキレート化合物での官能化
1,2グラムの乾燥ダイナビーズ270エポキシを、8,8グラムの50mM炭酸水素ナトリウムと混合した。この懸濁液に、0,17グラムのCm−Aspトリエステル(実施例1で説明したように製造)を添加し、反応混合物を600rpmで60℃で16時間の間振盪した。前記粒子を20mlの脱イオン水で4回洗浄することにより後処理する。
【実施例11】
【0094】
実施例11
ヒスチジン−標識組換えたんぱく質の精製
1. 実施例6におけるように製造したCo2+を有する粒子の懸濁液2mgを、700μlの50mMのNa−リン酸塩、pH8.0、300mMのNaCl、0.01%トゥィーン(登録商標)−20で洗浄した。
2. 上澄み液を除去し、前記粒子を100μlの工程1と同じ緩衝液中に再懸濁させた。
3. 発現組換えヒスチジン−標識たんぱく質を有する溶解大腸菌の懸濁液を、前記粒子懸濁液に添加した。全容量を工程1と同じ緩衝液で700μlに調節した。この懸濁液を10分間の間、保温した。
4. 上澄み液を除去し、結合ヒスチジン−標識たんぱく質を有する前記粒子を、工程1と同じ緩衝液の700μlで4回洗浄した。
5. 前記ヒスチジン標識たんぱく質を100μlの150mMイミダゾール、50mMのNa−リン酸塩、pH8.0、300mMのNaCl、0,01%のトゥィーン(登録商標)−20中で溶離した。
6. 精製したたんぱく質を、SDS−トリス−HClポリアクリルアミドゲルおよびブロムフェノールブルー染色により分析した。
【実施例12】
【0095】
実施例12
リン酸化ペプチドの精製
1. 実施例6におけるように製造したFe3+を有する粒子の懸濁液2mgを、500mlの5%酢酸で2回洗浄した。
2. 上澄み液を除去し、100μlの10%酢酸を添加した。100μlの30μgトリプシン処理(trypsinated)b−カゼインを添加した。これを30分間保温した。
3. 上澄み液を除去して、結合リン酸化ペプチドを有する粒子を250μlの1%酢酸で2回洗浄した。
4. 上澄み液を除去し、結合リン酸化ペプチドを有する粒子を250μlの0,1%酢酸、10%アセトニトリルで2回洗浄した。
5. 上澄み液を除去し、結合リン酸化ペプチドを有する粒子を250μlのH2Oで洗浄した。
6. 前記リン酸化ペプチドを、50μlの0,1M炭酸水素アンモニウムで溶離した。
7. 精製したリン酸化ペプチドをHPLCにより分析した。
【実施例13】
【0096】
実施例13
金属結合たんぱく質の精製
1. 実施例6におけるように製造したMn2+を有する粒子の懸濁液の2mgを、250μl酢酸緩衝液pH4.0、250mMのNaClで2回洗浄した。
2. 上澄み液を除去し、250mlの工程1と同じ緩衝液を添加した。30μg(3μl)のMn結合たんぱく質を添加した。これを10分間保温した。
3. 上澄み液を除去し、結合たんぱく質を有する粒子を250μlの工程1と同じ緩衝液で2回洗浄した。
4. Mn−結合たんぱく質を50μlの0,1M炭酸水素アンモニウムで溶離した。
5. 溶離たんぱく質をSDS−トリス−HClポリアクリルアミドゲルおよび銀染色により分析した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カルボキシメチル化アスパラギン酸塩キレートリガンドに結合した磁気ポリマー粒子を含む結合体。
【請求項2】
金属原子またはイオンにキレートしているカルボキシメチル化アスパラギン酸塩リガンドに結合した磁気ポリマー粒子を含む結合体。
【請求項3】
前記金属が、遷移金属または13族の金属である請求項2に記載の結合体。
【請求項4】
前記金属が、Ni、Fe、Ga、Mn、Co、CuおよびZnである請求項3に記載の結合体。
【請求項5】
前記金属が、Fe、Ga、MnおよびCoである請求項4に記載の結合体。
【請求項6】
前記金属が、2+または3+の酸化状態である請求項2〜5のいずれかに記載の結合体。
【請求項7】
前記金属が、Co2+、Fe3+、Ga3+およびCu2+である請求項6に記載の結合体。
【請求項8】
前記金属が、Co2+である請求項7に記載の結合体。
【請求項9】
前記カルボキシメチル化アスパラギン酸塩リガンドの窒素原子と、前記粒子表面との間に少なくとも3つの原子が存在する請求項1〜8のいずれか一つに記載の結合体。
【請求項10】
式:
【化1】

である請求項9に記載の結合体。
(MPP=磁気ポリマー粒子)
前記式中、波線は、NH−アルキレン、NH−CO−アルキレン、O−アルキレン、OCO−アルキレン、S−アルキレンまたはSCO−アルキレンから選択される3から20の原子のリンカーを意味する。
【請求項11】
波線が、NH−C512−またはNH−C613−を意味する請求項10に記載の結合体。
【請求項12】
前記ポリマーが、架橋スチレンジビニルベンゼンポリマーを含む請求項1〜11のいずれか一つに記載の結合体。
【請求項13】
前記磁気ポリマー粒子が、0.5から8μmの直径を有する請求項1〜12のいずれか一つに記載の結合体。
【請求項14】
前記磁気ポリマー粒子が、0.8から1.2μmの直径を有する請求項12に記載の結合体。
【請求項15】
非荷電している請求項1〜14のいずれか一つに記載の結合体。
【請求項16】
ヒスチジン標識組換えたんぱく質/ペプチド、His、Cys、Met、Gln、Asn、Lysおよび/もしくはTyr残基含有天然たんぱく質/ペプチドまたはリン酸化たんぱく質/ペプチドにさらにキレートされている請求項2〜15のいずれか一つに記載の結合体。
【請求項17】
ヒスチジン標識組換えたんぱく質/ペプチドにさらにキレートされている請求項2〜16のいずれか一つに記載の結合体。
【請求項18】
前記結合体が、リン酸化たんぱく質/ペプチドと結合し、前記金属が、FeまたはGaであることを特徴とする請求項16に記載の結合体。
【請求項19】
Cm−Aspリガンドに結合した磁気ポリマー粒子を含む結合体の製造方法であって、前記方法が、式(II)のCm−Aspリガンド
【化2】

(前記式中、各Rは独立して、水素または保護基を意味し、Xは2から20の原子基を意味する)を磁気ポリマー粒子と反応させること、および任意に、生じた結合体を金属原子またはイオンに配位させることを含む方法。
【請求項20】
式(II)の化合物
【化3】

(前記式中、各Rは独立して水素または保護基を意味し、Xは2から20の原子基を意味する。)
または前記R基が存在せず、金属がキレートされているその類似体。
【請求項21】
XがC5またはC6−アルキレン基である請求項20に記載の化合物。
【請求項22】
式(III)の化合物または金属がキレートされているその類似体。
【化4】

【請求項23】
式:
【化5】

(前記式中、各Rは独立して水素または保護基を意味し、Xは、C2-20のアルキレンリンカーを意味する)
の化合物の製造方法であって、
前記製造方法は、式Hal−X1−CNの化合物(前記式中、Halはハロゲンであり、X1はC1-19のアルキレンリンカーを意味する)を式:
【化6】

(前記式中、Prは保護基である)
の化合物と反応させ、
生じた生成物を、式Hal−CH2COOPrの化合物と反応させて、化合物:
【化7】

を形成し、
ニトリルをアミノ基に還元し;任意に、前記カルボキシル基を脱保護することを含む製造方法。
【請求項24】
アッセイにおける請求項2〜18のいずれか一つに記載の結合体の使用。
【請求項25】
ヒスチジン標識組換えたんぱく質/ペプチド、His、Cys、Met、Gln、Asn、Lysおよび/もしくはTyr残基含有天然たんぱく質/ペプチドまたはリン酸化たんぱく質/ペプチドの精製における請求項2〜18のいずれか一つに記載の結合体の使用。

【公表番号】特表2007−519765(P2007−519765A)
【公表日】平成19年7月19日(2007.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−516480(P2006−516480)
【出願日】平成16年6月28日(2004.6.28)
【国際出願番号】PCT/GB2004/002764
【国際公開番号】WO2005/000441
【国際公開日】平成17年1月6日(2005.1.6)
【出願人】(506001516)
【Fターム(参考)】