説明

カルボニル化合物のアンモオキシム化法

【課題】
カルボニル化合物のアンモオキシム化法において、使用するケイ素含有触媒中のケイ素の溶解によって引き起こされる触媒の失活を減少させ、触媒寿命を延ばし、安定作用時間を向上させる。
【解決手段】
ケイ素含有触媒の存在下で、カルボニル化合物、アンモニアおよび過酸化水素を含有する液相反応系を反応させるカルボニル化合物のアンモオキシム化法において、反応系のケイ素濃度が0.1〜10000ppmに達するように、ゾル、溶液又はエマルジョンの形態であるケイ素含有助剤を反応系に添加する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カルボニル化合物のアンモオキシム化法に関する。
【背景技術】
【0002】
カルボニル化合物とは、>C=O官能基を有する化合物、例えばアルデヒドまたはケトンである。カルボニル化合物とヒドロキシルアミンとの反応は、対応するオキシム化合物の合成のための主工程である。
【0003】
例えば、シクロヘキサノンオキシムの場合、シクロヘキサノンオキシムは、合成繊維およびエンジニアリングプラスチック(例えば、ナイロン−6)のためのモノマーとして主に使用される有機化学産業において重要な原料であるε−カプロラクタムを製造するための重要な中間体である。約91%のカプロラクタムは、中間製品としてシクロヘキサノンオキシムを有する技術ルートを経て工業的に製造され、シクロヘキサノンオキシムは、シクロヘキサノンとヒドロキシルアミン(スルフェートまたはホスフェートの形態で使用される)との反応によって製造される。このシクロヘキサノンオキシムの製造方法は、複数の工程および高い設備投資を有する複雑な技術を有し、NO、SOなどの使用または製造のために腐食および汚染において問題も有する。
【0004】
1980年代初頭に、USP4410501において、Taramasso(イタリア)は、炭化水素、アルコール、フェノールなどの選択的酸化に対して優れた機能を有する新規触媒物質、チタンシリカライトを開示している(EP0230949、USP4480135、USP4396783)。過酸化水素によるフェノールの選択的酸化によるカテコールおよびヒドロキノンの製造ためにチタンシリカライトを使用することは商業化されている。
【0005】
EP0208311、EP0267362、EP0496385、EP0564040などは、チタンシリカライトによって触媒されるアンモニアおよび過酸化水素によるシクロヘキサノンのアンモオキシム化によって1工程でシクロヘキサノンオキシムを製造する新規の方法を、順次開示している。新規の方法は、穏和な反応条件、高い収量の所望の製品、より効率のよい工程、より低い設備投資、少量の老廃物および環境要因の特徴を有する。
【0006】
さらに、EP0347926は、二酸化チタンが、シリカに分散した、比較的良好な触媒性能を示す触媒を使用することによって、シクロヘキサノンのアンモオキシム化を行うことを開示している。J. Le. Barsら、Appl. Catal. A 136(1996)69頁およびP. Wuら、J. Catal. 168(1997)400頁の両方は、他の種類のTi含有結晶性シリケート、例えばTi-ZSM-48、Ti-β、Ti-MORなどがすべて、さまざまなアルデヒドまたはケトン化合物のアンモオキシム化のための比較的良好な触媒特性を示すことを報告している。
【0007】
シクロヘキサノンのアンモオキシム化が、シクロヘキサノンオキシムの調製において、集中的に研究され、この反応におけるさまざまなチタン含有触媒、主にチタンシリカライトの失活は、ますます注目されている。
【0008】
EP0496385は、失活触媒を、定期的に除去する必要があり、反応の間に所望の触媒活性を保持するために、新しい触媒によって置き換えることを開示している。
EP0496385は、失活触媒を、定期的に除去する必要があり、反応の間に所望の触媒活性を保持するために、新しい触媒構造によって置き換えることを開示している。
【0009】
USP5498793は、ケイ素、チタンおよび酸素に基づく触媒およびアモルファスシリカからなる共触媒の存在下で、過酸化水素およびアンモニアによる、アセトフェノンおよびシクロドデカノンから選択されるカルボニル化合物のアンモオキシム化を含んでなるオキシムの製造方法を開示している。その方法において添加された共触媒は、アセトフェノンおよびシクロドデカノンのアンモニウムオキシム化の収量および転化率を向上することができるが、主触媒の失活を解決しない。
【0010】
CN1345718Aは、カルボニル化合物のアンモオキシム化の転化率を向上するために、反応系に、酸性固形物を含有する共触媒を添加することを含む、カルボニル化合物、過酸化水素およびアンモニアからオキシムを製造する方法を開示している。しかしながら、その方法で添加された酸性固体物共触媒は、主触媒の失活を解決していない。
【0011】
G. Petriniら、Stud. Surf. Sci. Catal. 68(1991)761頁は、シクロヘキサノンのアンモオキシム化におけるチタンシリカライトの3つの主失活過程を特定している:(1)残留固形物の外面におけるTiの蓄積による骨格(ケイ素)のゆっくりした溶解、(2)骨格からのTiの直接の除去および(3)副生物による孔の充填。最初の2つは、アンモニアの存在下での塩基性反応媒体によるものであり、その結果、チタンシリカライト骨格からケイ素の溶解が起こる。Siだけが取り除かれ、Tiだけが触媒に残留するために、触媒のTi含量が、相対的に増大し、触媒の結晶度が低下する傾向にある。この文献は、さらに、反応流に溶解したごく少量のケイ素(ppm)が存在するけれども、長時間の作用の間のケイ素溶解が、反応系におけるチタンシリカライトの量を連続的に減少させる。回収した触媒の重量は、出発触媒の重量より低い。極端な条件下で、触媒の回収量は、35%だけである。
【0012】
Selective Oxidation by Heterogeneous Catalysis(2001, 112頁)において、アンモニアによって引き起こされるTi含有結晶性シリカにおけるケイ素の溶解が、シクロヘキサノンのアンモオキシム化の間の触媒の失活を引き起こす主因子であることが示されている。アンモニアは、シクロヘキサノンのアンモオキシム化において必須の原料であるために、それによって引き起こされる問題は避けられない。この問題は確認されているけども、問題を解決する関連の技術解決策はまだ報告されていない。同様の問題が、他のアルデヒドおよびケトンのアンモオキシム化の反応系にも存在する。
【0013】
上記のカルボニル化合物のアンモオキシム化において、触媒からのケイ素の溶解損失は、不利な結果、例えば触媒の安定作用時間の減少および触媒の回収の低下を引き起こす。それにもかかわらず、アンモニアによって引き起こされるTi含有結晶性シリカにおけるケイ素の溶解は、触媒の失活の主因子であるけれども、酸性固形物、例えば固体シリカゲルを、CN1345718Aに記載のように、系に添加することは、触媒の失活に関しては、問題を解決できない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】USP4410501
【特許文献2】EP0230949
【特許文献3】USP4480135
【特許文献4】USP4396783
【特許文献5】EP0208311
【特許文献6】EP0267362
【特許文献7】EP0496385
【特許文献8】EP0564040
【特許文献9】EP0347926
【特許文献10】EP0496385
【特許文献11】EP0496385
【特許文献12】USP5498793
【特許文献13】CN1345718A
【非特許文献】
【0015】
【非特許文献1】Appl. Catal. A 136(1996)69頁
【非特許文献2】J. Catal. 168(1997)400頁
【非特許文献3】Stud. Surf. Sci. Catal. 68(1991)761頁
【非特許文献4】Selective Oxidation by Heterogeneous Catalysis(2001, 112頁)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明の目的は、カルボニル化合物のアンモオキシム化法を提供する従来技術の欠陥に関し、触媒の失活を遅延させ、触媒の安定作用時間を延ばし、触媒の回収量を上昇させることができるカルボニル化合物のアンモオキシム化法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は、カルボニル化合物、アンモニアおよび過酸化水素を含んでなる液相反応系の反応を、ケイ素含有触媒の存在下で行うカルボニル化合物のアンモオキシム化法であって、媒体中のケイ素濃度が0.1〜10000ppmの範囲に達するように、ゾル、溶液又はエマルジョンの形態であるケイ素含有助剤(以下、総称して「液状ケイ素含有助剤」と言うことがある)を、添加することを特徴する方法を提供する。好ましくは、ケイ素濃度は溶液中の平衡溶解濃度に達する。
【発明を実施するための形態】
【0018】
上記カルボニル化合物は、シクロヘキサノン、アセトン、ブタノン、シクロペンタノン、アセトフェノン、p−ヒドロキシアセトフェノン、シクロドデカノン、フルフラール、ベンズアルデヒドおよびp−メチルベンズアルデヒドからなる群から選択されるものである。
【0019】
上記ケイ素含有触媒は、結晶性シリカまたは金属分散シリカ触媒を意味し、結晶性シリカは、元来の粉末の形態または成形形態で使用されうる。結晶性シリカにおいて、チタン含有結晶性シリカ、例えばTS−1、TS−2、Ti−ZSM−5、Ti−ZSM−12、Ti−ZSM−48、Ti−β、Ti−MCM−41、Ti−MORなどが好ましい。さらに好ましくは、結晶性シリカは、MFI構造を有するTS−1(チタンシリカライト−1)である。
【0020】
ケイ素含有触媒が、アモルファスシリカまたは異なる構造を有する結晶性シリケートであろうとも、ケイ素は、どちらの場合においても、アンモニア含有媒体に溶解でき、平衡濃度に達する。しかしながら、この平衡濃度は、媒体が変わるにつれて、かなりの範囲で変化する(0.1〜数千ppm)。本発明者らは、驚くべきことに、液状ケイ素含有物質を反応系に添加すると、液状ケイ素含有物質が、まず、媒体に溶解し、ケイ素含有触媒がほとんど溶解しないことを見いだした。
【0021】
本発明の方法において、ケイ素含有触媒がほとんど溶解できないほどに、ケイ素含有助剤が反応系に最初に溶解される。上記のケイ素含有助剤の原料の状態は、限定されず、気体、液体または固体状態のいずれであってもよい。しかし、系に添加する際には、ケイ素含有助剤は液状、すなわち、ゾル、溶液またはエマルジョンでなければならない。上記液状ケイ素含有助剤は、好ましくはゾルまたは溶液の形態が好ましい。
【0022】
上記ケイ素含有助剤は、種々の無機ケイ素含有物質または種々の有機ケイ素含有物質から選択される。上記無機ケイ素含有物質としては、シリカまたはシリケートが挙げられ、上記シリケートとしては、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、ケイ酸アルミニウムなどが挙げられ、上記有機ケイ素含有物質は、ケイ酸エステルまたはシランから選択され、上記ケイ酸エステルは、好ましくはケイ酸エチルである。
【0023】
本発明の方法において、上記液状ケイ素含有助剤を、反応媒体中のケイ素含量が0.1〜10000ppmの範囲に達するのに十分な量で添加する。好ましくは添加助剤の量は、反応媒体中のケイ素の平衡溶解濃度に達する。反応系の組成の相違(例えば、溶媒、アンモニア濃度など)によって、系のケイ素の平衡濃度は変化する。例えば、t−ブタノール−水溶媒を用いた反応系において、系のケイ素の平衡溶解濃度は、10〜100ppmである。しかしながら、水性反応系において、ケイ素の平衡溶解濃度は、1000〜3000ppmである。さらに、本発明の方法において、上記のケイ素含有物質は、連続的またはバッチ式に、好ましくは連続的に添加される。
【0024】
本発明のカルボニル化合物のアンモオキシム化法において、塩基性溶液におけるケイ素の溶解に基づいて、液状ケイ素含有助剤の添加工程が、カルボニル化合物のアンモオキシム化に採用される。この場合、触媒からのケイ素の溶解を妨げることができ、したがって、触媒へのアンモニアの破壊が減少する。反応系中の触媒の濃度が保持され、触媒からのケイ素の溶解によって引き起こされる触媒の失活が減少するため、触媒の寿命が延び、安定作用時間は上昇する。例えば、TS−1によって触媒されたシクロヘキサノンのアンモオキシム化の場合、本発明の方法から回収されたTS−1の分析および特性の結果から、最初の触媒と比較して、結晶度およびTi含量に関してTS−1は変化が生じていないことがわかった。しかしながら、ケイ素含有助剤を添加しない、またはケイ素含有物質を固形だけで添加した反応系では、作用時間後に得られた失活触媒には変化が見られた。触媒からのケイ素の溶解および触媒中のチタンの保持のためにTi含量が比較的上昇する。同時に、触媒の結晶度の低下傾向が生じる。
【実施例】
【0025】
以下の実施例は、本発明を例示するものであり、本発明をどのようにも限定しない。
以下の実施例および比較例において、下記の原料を使用した:チタンシリカライト−1(TS−1)(Yueyang Jianchang Corp. Ltd.製、中国湖南省)、シクロヘキサノン(99.5%以上の純度)(Beijing Chemical Factory製、中国北京)、過酸化水素溶液(H2O227.5重量%含有)(Tianjin Dongfang Chemical Factory製、中国天津)、アンモニア(99.9%以上の純度)(Beijing Experiment Chemical Factory製、中国北京)、t−ブタノール(t−ブタノール86.5重量%含有、残部の水および少量の不純物)(Beijing Pingshun Chemical Industry Corp Ltd.製、中国北京)およびシリカゲル(Qingdao Ocean Chemical Factory製、中国山東省)。特記しない限り、他の全ての化学試薬は、Beijing Chemical Factory(中国北京)から市販の化学的純度グレードを有する製品であった。
【0026】
これらの実施例において、反応生成物を、ガスクロマトグラフィーにより組成分析し、過酸化水素の転化率は、ヨウ素滴定による含量測定によって得た。触媒のTi含量および反応系のケイ素含量は、誘導結合プラズマ原子発光分光法(ICP−AES)によって測定した。結晶性シリカの結晶度は、X線回折分光分析(XRD)によって測定した。
【0027】
(実施例1)
本実施例において、シクロヘキサノンオキシムを、シクロヘキサノンのアンモオキシム化によって調製し、TS−1を元来の粉末形態で触媒として使用した。
マグネチックスターラーおよびオイルバスヒーターを備えた150mLオートクレーブを使用した。反応原料および反応生成物は、連続的に反応器へまたは反応器から流れ、TS−1をオートクレーブ内に保持した。
反応条件は次のとおりであった。H:シクロヘキサノン=1.10:1mol/mol、アンモニア:シクロヘキサノン=1.70:1mol/mol、t−ブタノール:シクロヘキサノン=3.30:1mol/mol、反応媒体中のケイ素含量=35ppm。触媒濃度は1.8重量%であり、反応流の平均滞留時間は72分であり、反応温度は、76±1℃であり、反応圧は大気圧であった。シリカゾルを、ケイ素含有助剤として連続的に添加した。反応結果を表1に示す。表1中、触媒の安定作用時間は、シクロヘキサノンの転化率97%以上が得られる一方向の作用時間に基づく。
【0028】
(比較例1)
シリカゾルを添加しないこと以外は、実施例1を繰り返した。反応結果を表1に示す。
【0029】
(比較例2)
ケイ素含有助剤を連続的に反応の間に添加しないこと以外は、実施例1を繰り返した。かわりに、酸性シリカゲル固形物を1原料に添加し、触媒(TS−1)との重量比0.4:1で使用した。反応結果を表1に示す。
【0030】
(実施例2)
t−ブタノールのかわりにトルエンを溶媒として使用し、テトラエチルオルトシリケート(Beijing Chemical Reagents Corp.、中国北京)を水溶液として添加し、反応媒体中のケイ素含量が1035ppmであったこと以外は、実施例1を繰り返した。反応結果を表1に示す。
【0031】
(実施例3)
反応温度が83±1℃であり、反応圧が0.3MPaであり、触媒濃度が2.0重量%であり、H/シクロヘキサノンのモル比が1.08:1であり、反応媒体中のケイ素含量が100ppmであったこと以外は、実施例1を繰り返した。反応結果を表2に示す。表2中、触媒の安定作用時間は、シクロヘキサノンの転化率97%以上が得られる一方向の作用時間に基づく。
【0032】
(比較例3)
ケイ素含有助剤を添加しないこと以外は、実施例3を繰り返した。反応結果を表2に示す。
【0033】
【表1】

【0034】
【表2】

【0035】
表1および2は、ケイ素含有ゾルまたは溶液を添加した後に、触媒の活性および選択性への影響は見られず、比較例と比べて安定作用時間が明らかに延び、触媒の回収量は、97重量%より高く、失活触媒は、使用前の触媒と比較して結晶度およびTi含量に変化を有さないことを明らかにする。しかしながら、ケイ素含有ゾルまたは溶液を添加しない(比較例1および3)またはケイ素含有物質を固形だけで系に添加した(比較例2)比較例において、作用時間後に得られた失活触媒のTi含量は、触媒からのケイ素の溶解および触媒中のチタンの保持の故に、相対的に増加した。同時に、モリキュラーシーブの結晶度の減少傾向が生じた。
【0036】
(実施例4〜7)
実施例4〜7において、アンモオキシム化工程を、カルボニル化合物の原料としてアセトン、シクロペンタノン、ベンズアルデヒド、p−メチルベンズアルデヒドを、それぞれTi−MOR(Si/Al=300、J.Catal. 168(1997)、400頁に記載の方法によって調製された)の存在下で、水を溶媒として使用し、シリカゾルを添加した中で、アンモニアおよび過酸化水素と反応させて行った。反応条件は、以下のとおりであった。H:ケトン(アルデヒド)=1.15:1mol/mol、アンモニア:ケトン(アルデヒド)=2.0:1mol/mol、水:ケトン(アルデヒド)=8:1vol/vol、触媒濃度は3.0重量%、流れの平均反応滞留時間は120分、反応温度は60±1℃、反応圧は大気圧であった。
反応結果を表3に示す。表3中、触媒の安定作用時間は、アルデヒドまたはケトンの転化率90%以上が得られる一方向の作用時間に基づく。
【0037】
【表3】

【0038】
表3は、本発明の方法を用いると、シリカゾル添加後、触媒の活性および選択性に影響を与えないことを示している。カルボニル化合物の転化率は、90%より高く、オキシムへの選択率は95〜99.5%であり、触媒の安定作用時間は、シリカゾルを添加しない場合と比較して明らかに延びる。触媒の回収は、96重量%より高い。
【0039】
(実施例8)
シクロヘキサノンのアンモニアおよび過酸化水素の反応を、実施例1と同じ反応条件で、触媒としてTi担持シリカ(EP0347926中の実施例6と同様に調製)を使用して行った。シリカゾルを添加後、触媒の活性および選択性に影響を与えないことが観察され、一方で、触媒の安定作用時間は、シリカゾルを添加しない触媒と比較して30%延び、触媒の回収率は97重量%であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カルボニル化合物、アンモニアおよび過酸化水素を含んでなる液相反応系での反応をケイ素含有触媒の存在下で行うカルボニル化合物のアンモオキシム化法であって、反応系中のケイ素濃度が0.1〜10000ppmに達するように、ゾル、溶液又はエマルジョンの形態であるケイ素含有助剤を反応系に添加することを特徴とする方法。
【請求項2】
該カルボニル化合物が、シクロヘキサノン、アセトン、ブタノン、シクロペンタノン、アセトフェノン、p−ヒドロキシアセトフェノン、シクロドデカノン、フルフラール、ベンズアルデヒドおよびp−メチルベンズアルデヒドからなる群から選択されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
該ケイ素含有触媒が、結晶性シリカまたは金属分散シリカ触媒からなる群から選択されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
該結晶性シリカがチタン含有結晶性シリカであることを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
該チタン含有結晶性シリカがTS−1、TS−2、Ti−ZSM−5、Ti−ZSM−12、Ti−ZSM−48、Ti−β、Ti−MCM−41およびTi−MORからなる群から選択されることを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
該結晶性シリカが本来の粉末またはその成形体の形態にあることを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項7】
該ケイ素含有助剤が、無機ケイ素含有物質または有機ケイ素含有物質からなる群から選択されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項8】
該無機ケイ素含有物質が、シリカおよびシリケートからなる群から選択されることを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項9】
該シリケートが、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウムおよびケイ酸アルミニウムからなる群から選択されることを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
該有機ケイ素含有物質が、ケイ酸エステルおよびシランからなる群から選択されることを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項11】
該ケイ酸エステルが、ケイ酸エチルであることを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
該ケイ素含有助剤を、反応溶液中のケイ素濃度が溶液中のケイ素の平衡溶解濃度に達するのに十分な量で添加することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項13】
該ケイ素含有助剤を、連続的またはバッチ式に添加することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項14】
該ケイ素含有助剤を連続的に添加することを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項15】
該ケイ素含有助剤がシリカゾルまたはケイ素含有溶液であることを特徴とする請求項1に記載の方法。

【公開番号】特開2010−195835(P2010−195835A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−137485(P2010−137485)
【出願日】平成22年6月16日(2010.6.16)
【分割の表示】特願2004−509632(P2004−509632)の分割
【原出願日】平成15年5月30日(2003.5.30)
【出願人】(501329404)中國石油化工股▲分▼有限公司 (13)
【出願人】(504427813)中国石油化工股▲分▼有限公司石油化工科学研究院 (10)
【Fターム(参考)】