説明

カーソル操作装置

【課題】同一の操作デバイスを使用して、オブジェクト表示エリア上のカーソルの操作とフリーカーソルエリア上のカーソルの操作を実現することができるようにする。
【解決手段】カーソルの位置がフリーカーソルエリアFの内側であれば、フリー操作制御部24が移動方向指定部22により指定された移動方向へのグリッド単位のカーソル移動をカーソル表示部21に指示し、カーソルの位置がオブジェクト表示エリアRに配置されているオブジェクト上にあれば、リスト操作制御部25が移動方向指定部22により指定された移動方向に位置しているオブジェクトへのカーソル移動をカーソル表示部21に指示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、画面上に表示されているカーソルを操作するカーソル操作装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、テレビ、携帯電話機、カーナビ装置などの機器では、一般的に、複数のオブジェクト(例えば、所望の機能やアプリケーションを選択するボタン)が配置されているメニュー画面を表示する機能を備えている。
この際、ユーザは、リモコンに実装されている十字キーなどの操作デバイスを操作して、所望のオブジェクトを選択することになるが、例えば、ユーザが十字キーをプッシュする毎に、現在、選択中のオブジェクトが隣のオブジェクトに遷移するような制御が実施される。
【0003】
即ち、これらの機器には、複数のオブジェクトの相対的な位置関係が登録されているカーソル操作装置が実装されており、このカーソル操作装置が十字キーの操作に応じたオブジェクトを適宜選択して、そのオブジェクトにカーソルを合わせることにより、選択中のオブジェクトを切り換える制御を実現している。
【0004】
また、これらの機器には、複数のオブジェクトが配置されているオブジェクト表示エリアの他に、カーソルをドット単位に移動可能なフリーカーソルエリア(例えば、地図や絵の描画エリア)が同一画面上に表示されることがある。
ただし、この場合、オブジェクト表示エリアとフリーカーソルエリアでは、カーソルの動きが異なるので、カーソル操作装置が、オブジェクト表示エリア上のカーソルを操作する十字キーとは別に、フリーカーソルエリア上のカーソルを操作する操作デバイス(例えば、マウス、トラックボールなど)を実装している必要がある(例えば、特許文献1を参照)。
【0005】
【特許文献1】特開平9−251350号公報(段落番号[0016]から[0031]、図6)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来のカーソル操作装置は以上のように構成されているので、複数のオブジェクトが配置されているオブジェクト表示エリアの他に、カーソルをドット単位に移動可能なフリーカーソルエリアが同一画面上に表示される場合、オブジェクト表示エリア上のカーソルを操作する十字キーとは別に、フリーカーソルエリア上のカーソルを操作する操作デバイスを実装している必要がある。このため、カーソル操作装置が実装されるテレビや携帯電話機などの機器の操作デバイスの種類が増加してしまうなどの課題があった。
【0007】
この発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、同一の操作デバイスを使用して、オブジェクト表示エリア上のカーソルの操作とフリーカーソルエリア上のカーソルの操作を実現することができるカーソル操作装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明に係るカーソル操作装置は、位置特定手段により特定されたカーソルの位置がオブジェクト表示エリアの外側であれば、第1のカーソル制御手段が移動方向指定手段により指定された移動方向へのグリッド単位のカーソル移動をカーソル表示手段に指示し、位置特定手段により特定されたカーソルの位置がオブジェクト表示エリアに配置されているオブジェクト上にあれば、第2のカーソル制御手段が移動方向指定手段により指定された移動方向に位置している他のオブジェクト上へのカーソル移動をカーソル表示手段に指示するようにしたものである。
【発明の効果】
【0009】
この発明によれば、位置特定手段により特定されたカーソルの位置がオブジェクト表示エリアの外側であれば、第1のカーソル制御手段が移動方向指定手段により指定された移動方向へのグリッド単位のカーソル移動をカーソル表示手段に指示し、位置特定手段により特定されたカーソルの位置がオブジェクト表示エリアに配置されているオブジェクト上にあれば、第2のカーソル制御手段が移動方向指定手段により指定された移動方向に位置している他のオブジェクト上へのカーソル移動をカーソル表示手段に指示するように構成したので、オブジェクト表示エリアの他に、フリーカーソルエリアが同一画面上に表示される場合でも、1つの移動方向指定手段を使用して、オブジェクト表示エリア上のカーソルの操作とフリーカーソルエリア上のカーソルの操作を実現することができる効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1によるカーソル操作装置を示す構成図である。図1では、カーソル操作装置2がテレビ1に実装される例を示している。
図において、テレビ1のチューナ11はリモコン14を使用して選局されたチャンネルのテレビ放送波を受信し、そのテレビ放送波からテレビ映像を復調する処理を実施する。
テレビ1の映像コントローラ12はチューナ11により復調されたテレビ映像をモニタ13に表示する処理を実施する。
なお、映像コントローラ12はテレビ映像をモニタ13に表示する処理のほか、リモコン14の操作を案内するメニュー画面などをモニタ13に表示する処理を実施する。
この実施の形態1では、映像コントローラ12が、複数のオブジェクト(例えば、所望の機能やアプリケーションを選択するボタン)が配置されているオブジェクト表示エリアRと、カーソルをグリッド単位に移動可能なフリーカーソルエリアF(例えば、地図や絵の描画エリア)とが同一画面上にレイアウトされているマルチ画面をモニタ13に表示する機能を備えているものとする。
【0011】
テレビ1のリモコン14はテレビ映像を復調するチャネルを選局するチャネルボタンのほか、移動方向指定部22などを実装している。
テレビ1のリモコンI/F部15はリモコン14から発信された信号(チャネルボタンや移動方向指定部22の操作結果を示す信号)を受信して、その信号をチューナ11やカーソル操作装置2に出力する。
【0012】
カーソル操作装置2のカーソル表示部21は映像コントローラ12を介して、モニタ13に表示されているマルチ画面上にカーソルを表示する処理を実施する。なお、カーソル表示部21はカーソル表示手段を構成している。
カーソル操作装置2の移動方向指定部22はテレビ1のリモコン14に実装されている操作デバイス(例えば、十字キー)であり、移動方向指定部22はマルチ画面上に表示されているカーソルの移動方向を指定する処理を実施する。なお、移動方向指定部22は移動方向指定手段を構成している。
カーソル操作装置2のカーソル位置特定部23はマルチ画面上に表示されているカーソルの位置(X座標、Y座標)を特定する処理を実施する。なお、カーソル位置特定部23は位置特定手段を構成している。
【0013】
カーソル操作装置2のフリー操作制御部24はカーソル位置特定部23により特定されたカーソルの位置がフリーカーソルエリアFの内側(オブジェクト表示エリアRの外側)であれば、移動方向指定部22により指定された移動方向へのグリッド単位のカーソル移動をカーソル表示部21に指示する処理を実施する。なお、フリーカーソル制御部24は第1のカーソル制御手段を構成している。
【0014】
カーソル操作装置2のリスト操作制御部25はカーソル位置特定部23により特定されたカーソルの位置がオブジェクト表示エリアRに配置されているオブジェクト上にあれば、移動方向指定部22により指定された移動方向に位置している他のオブジェクト上へのカーソル移動をカーソル表示部21に指示する処理を実施する。
また、リスト操作制御部25はフリー操作制御部24によるカーソル移動の指示に伴ってカーソル位置特定部23により特定されたカーソルの位置がオブジェクト表示エリアRの内側に遷移した場合、オブジェクト表示エリアRに配置されている何れかのオブジェクト上へのカーソル移動をカーソル表示部21に指示する処理も実施する。なお、リスト操作制御部25は第2のカーソル制御手段を構成している。
図2はこの発明の実施の形態1によるカーソル操作装置の処理内容を示すフローチャートである。
【0015】
次に動作について説明する。
テレビ1のチューナ11は、リモコン14を使用して選局されたチャンネルのテレビ放送波を受信し、そのテレビ放送波からテレビ映像を復調する処理を実施する。
テレビ1の映像コントローラ12は、チューナ11により復調されたテレビ映像をモニタ13に表示するが、ユーザがリモコン14を操作して、オブジェクト表示エリアRとフリーカーソルエリアFが同一画面上にレイアウトされているマルチ画面の表示指令を入力すると、図3に示すようなマルチ画面をモニタ13に表示する。
図3の例では、ユーザが、例えばオブジェクト表示エリアRに配置されている「おえかき」のオブジェクトを選択すると、フリーカーソルエリアFが「おえかき」のキャンバスになり、以後、ユーザがカーソルを使用して、絵をフリーカーソルエリアF上に描画することが可能になる。
また、ユーザがオブジェクト表示エリアRに配置されている「地図」を選択すると、ある地域の「地図」がフリーカーソルエリアFに表示され、以後、ユーザがカーソルを使用して、フリーカーソルエリアFに表示されている地図に目的地等を設定することが可能になる。
【0016】
カーソル操作装置2のカーソル表示部21は、上記のようにして、映像コントローラ12がマルチ画面をモニタ13に表示すると、映像コントローラ12を介して、そのマルチ画面上にカーソルを表示する処理を実施する(ステップST1)。
カーソル表示部21によるカーソルの初期表示位置は、オブジェクト表示エリアRの内側であっても、フリーカーソルエリアFの内側であっても構わない。
図3の例では、オブジェクト表示エリアRの内側にカーソル(矢印形状のカーソル)が表示されている。
【0017】
カーソル操作装置2のカーソル位置特定部23は、カーソル表示部21がカーソルをマルチ画面上に表示すると、現在表示されているカーソルの位置(X座標、Y座標)を特定する(ステップST2)。カーソル位置の特定処理自体は、公知の技術であるため、詳細な説明を省略するが、カーソル表示部21から出力されるカーソルの表示指令には、通常、表示位置を示す情報が含まれているので、その情報を解析することにより、カーソルの位置を特定する。
カーソル位置特定部23は、カーソルの位置を特定すると、そのカーソルの位置がオブジェクト表示エリアRの内側であるのか、フリーカーソルエリアFの内側であるのか判定する(ステップST3)。
ただし、カーソル位置特定部23は、オブジェクト表示エリアRとフリーカーソルエリアFの位置を予め認識しているものとする。
【0018】
カーソル操作装置2のフリー操作制御部24は、カーソル位置特定部23からカーソルの位置がフリーカーソルエリアFの内側である旨の判定結果を受けると、ユーザが移動方向指定部22を操作して、例えば、左方向の移動を指定すると(ステップST4)、左方向へのカーソル移動をカーソル表示部21に指示する(ステップST5)。
ただし、フリー操作制御部24によるカーソルの移動指示は、グリッド単位の移動指示であり、例えば、1グリッド=1ドットに設定されていれば、ユーザが移動方向指定部22を1回操作(移動方向指定部22である十字キーを1回プッシュ)すると、指定の移動方向に1ドットの移動を指示する。したがって、例えば、ユーザが5ドットの移動を希望する場合、移動方向指定部22を5回操作する必要がある。
カーソル表示部21は、フリー操作制御部24から例えば左方向へのカーソル移動の指示を受けると、カーソルの表示位置を左方向にグリッド単位で移動する(ステップST6)。
【0019】
カーソル操作装置2のリスト操作制御部25は、カーソル位置特定部23からカーソルの位置がオブジェクト表示エリアRの内側である旨の判定結果を受けると、カーソルが何れかのオブジェクト上に位置しているかを判別する(処理の詳細は後述する)。
リスト操作制御部25は、カーソルが何れかのオブジェクト上に位置している場合、ユーザが移動方向指定部22を操作して、例えば、下方向の移動を指定すると(ステップST7)、現在カーソルが位置しているオブジェクトより下方向に位置している他のオブジェクト上へのカーソル移動をカーソル表示部21に指示する(ステップST8)。
ただし、リスト操作制御部25によるカーソルの移動指示は、オブジェクト間の移動指示であるため、ユーザが移動方向指定部22を1回操作(移動方向指定部22である十字キーを1回プッシュ)すると、指定の移動方向に位置しているオブジェクトへの移動を指示する。したがって、現在カーソルが位置しているオブジェクトと、下方向に位置しているオブジェクト間の距離が例えば30ドットであっても、ユーザが移動方向指定部22を1回操作するだけで移動させることができる。
カーソル表示部21は、リスト操作制御部25から例えば下方向に位置しているオブジェクト上へのカーソル移動の指示を受けると、カーソルの表示位置を下方向に位置しているオブジェクト上へ移動する(ステップST9)。
【0020】
ここで、リスト操作制御部25におけるカーソル移動の処理内容を詳細に説明する。
図4はカーソル操作装置2のリスト操作制御部25の処理内容を示すフローチャートである。
リスト操作制御部25は、カーソル位置特定部23からカーソルの位置がオブジェクト表示エリアRの内側である旨の判定結果を受けると(ステップST11)、図5のテーブルを参照して、現在のカーソルの位置がいずれかのオブジェクトの上にあるか否かを判定する(ステップST12)。
図5はオブジェクト表示エリアRに配置されている各オブジェクトの配置エリア及び中心座標と、各オブジェクトの吸着エリアの配置エリアとが定義されているテーブルを示す説明図である。
なお、図3のオブジェクト表示エリアRとフリーカーソルエリアFは自由にレイアウトすることが可能であり、図5のテーブルは、図3のオブジェクト表示エリアRに対するオブジェクトの配置位置が決定されたとき、図示せぬテーブル定義手段により自動的に作成される。
【0021】
リスト操作制御部25は、現在のカーソルの位置がいずれのオブジェクトの上にもない場合、フリー操作制御部24によるカーソル移動の指示に伴って、カーソルがフリーカーソルエリアFからオブジェクト表示エリアRの領域に遷移し、カーソルがいずれかのオブジェクトの吸着エリアに位置しているものと判断する(図6を参照)。
図6はオブジェクト表示エリアRに配置されている各オブジェクトと、各オブジェクトの吸着エリアとの関係を示す説明図である。
リスト操作制御部25は、カーソルがいずれかのオブジェクトの吸着エリアに位置しているものと判断すると、図5のテーブルを参照して、カーソルがどのオブジェクトの吸着エリアに位置しているかを判別する(ステップST13)。
図6の例では、カーソルがオブジェクト(3)の吸着エリアK3に表示されているので、リスト操作制御部25は、カーソルがオブジェクト(3)の吸着エリアK3に位置していると判別する。
【0022】
リスト操作制御部25は、例えば、カーソルがオブジェクト(3)の吸着エリアK3に位置していると判別すると、図5のテーブルを参照して、オブジェクト(3)の中心座標(c3,d3)を特定し(ステップST14)、オブジェクト(3)の中心座標(c3,d3)へのカーソル移動をカーソル表示部21に指示する(ステップST15)。
カーソル表示部21は、リスト操作制御部25からオブジェクト(3)の中心座標(c3,d3)へのカーソル移動の指示を受けると、カーソルの表示位置をオブジェクト(3)の中心座標(c3,d3)へ移動する(ステップST16)。
【0023】
図5の例では、各オブジェクトの中心座標が定義されているものについて示したが、各オブジェクトの内部の座標(以下、基準座標という)が定義されていればよく、必ずしも各オブジェクトの中心座標である必要はない。
リスト操作制御部25は、オブジェクト(3)の中心座標の代わりに、オブジェクト(3)の基準座標が定義されている場合、図5のテーブルを参照して、オブジェクト(3)の基準座標を特定し、オブジェクト(3)の基準座標へのカーソル移動をカーソル表示部21に指示する。
【0024】
リスト操作制御部25は、現在のカーソルの位置がいずれかのオブジェクトの上にある場合、ユーザによる移動方向指定部22の操作を監視して、移動方向が指定されたか否か否かを判定する(ステップST17)。
リスト操作制御部25は、ユーザが移動方向指定部22を操作している場合には、図5のテーブルを参照して、移動方向指定部22により指定された移動方向に他のオブジェクトが配置されているか否かを判定する(ステップST18)。
例えば、カーソルがオブジェクト(3)上に位置しているとき、移動方向指定部22により指定された移動方向が上方向又は下方向であれば、上方向又は下方向に他のオブジェクト(2)(4)が配置されていると判定されるが、移動方向指定部22により指定された移動方向が左方向又は右方向であれば、左方向又は右方向には他のオブジェクトが配置されていないと判定される。
【0025】
リスト操作制御部25は、移動方向指定部22により指定された移動方向に他のオブジェクトが配置されていると判定すると、図5のテーブルを参照して、他のオブジェクトの中心座標を特定し(ステップST19)、他のオブジェクトの中心座標へのカーソル移動をカーソル表示部21に指示する(ステップST20)。
例えば、カーソルがオブジェクト(3)上に位置しているとき、移動方向指定部22により指定された移動方向が上方向であれば、オブジェクト(2)の中心座標(c2,d2)を特定し、オブジェクト(2)の中心座標(c2,d2)へのカーソル移動をカーソル表示部21に指示する。
カーソル表示部21は、リスト操作制御部25からオブジェクト(2)の中心座標(c2,d2)へのカーソル移動の指示を受けると、カーソルの表示位置をオブジェクト(2)の中心座標(c2,d2)へ移動する(ステップST21)。
【0026】
リスト操作制御部25は、移動方向指定部22により指定された移動方向に他のオブジェクトが配置されていないと判定すると、図5のテーブルを参照して、現在カーソルが位置しているオブジェクトの吸着エリアの外側の座標を特定する(ステップST22)。
例えば、現在カーソルが位置しているオブジェクトがオブジェクト(3)であり、移動方向指定部22により指定された移動方向が右方向であれば、オブジェクト(3)の吸着エリアK3の外側の座標(X,Y)を次のように計算する。
X=e3+R3+1
Y=f3+S3/2
【0027】
リスト操作制御部25は、吸着エリアの外側の座標(X,Y)を特定すると、その吸着エリアの外側の座標(X,Y)へのカーソル移動をカーソル表示部21に指示する(ステップST23)。
カーソル表示部21は、リスト操作制御部25から吸着エリアの外側の座標(X,Y)へのカーソル移動の指示を受けると、カーソルの表示位置を吸着エリアの外側の座標(X,Y)へ移動する(ステップST24)。
なお、図6の例では、カーソルがオブジェクト(3)上に位置しているとき、移動方向指定部22により指定された移動方向が右方向であれば、移動後のカーソルの表示位置がフリーカーソルエリアFの内側になるが、移動方向指定部22により指定された移動方向が左方向であれば、その左方向にフリーカーソルエリアFが存在せず、他のオブジェクトも存在しないので、リスト操作制御部25は、カーソル移動の指示をカーソル表示部21に指示しない。
同様に、カーソルがオブジェクト(1)上に位置しているとき、移動方向指定部22により指定された移動方向が上方向又は左方向であれば、上方向又は左方向にフリーカーソルエリアFが存在せず、他のオブジェクトも存在しないので、リスト操作制御部25は、カーソル移動の指示をカーソル表示部21に指示しない。
【0028】
以上で明らかなように、この実施の形態1によれば、カーソル位置特定部23により特定されたカーソルの位置がフリーカーソルエリアFの内側であれば、フリー操作制御部24が移動方向指定部22により指定された移動方向へのグリッド単位のカーソル移動をカーソル表示部21に指示し、カーソル位置特定部23により特定されたカーソルの位置がオブジェクト表示エリアRに配置されているオブジェクト上にあれば、リスト操作制御部25が移動方向指定部22により指定された移動方向に位置しているオブジェクトへのカーソル移動をカーソル表示部21に指示するように構成したので、オブジェクト表示エリアRの他に、フリーカーソルエリアFが同一画面上に表示される場合でも、1つの移動方向指定部22(操作デバイス)を使用して、オブジェクト表示エリアR上のカーソルの操作とフリーカーソルエリアF上のカーソルの操作を実現することができる効果を奏する。
【0029】
また、この実施の形態1によれば、リスト操作制御部25によるカーソル移動の指示に伴ってカーソル位置特定部23により特定されたカーソルの位置がフリーカーソルエリアFからオブジェクト表示エリアRの領域に遷移した場合、そのオブジェクト表示エリアRに配置されている何れかのオブジェクト上へのカーソル移動をカーソル表示部21に指示するように構成したので、ユーザが移動方向指定部22を操作して、フリーカーソルエリアFからオブジェクト表示エリアRの内側までカーソルを移動させれば、自動的にオブジェクト上にカーソルが表示されるようになり、ユーザの操作回数を減らすことができる効果を奏する。
【0030】
また、この実施の形態1によれば、オブジェクト表示エリアRに配置されているオブジェクト上にカーソルが位置しているとき、移動方向指定部22により指定された移動方向に他のオブジェクトが存在しない場合、そのカーソルが位置しているオブジェクトの吸着エリアの外側へのカーソル移動をカーソル表示部21に指示するように構成したので、ユーザが移動方向指定部22を1回操作するだけで、カーソルをオブジェクト表示エリアRからフリーカーソルエリアFの領域に移動させることができる効果を奏する。
【0031】
なお、この実施の形態1では、ユーザが移動方向指定部22を操作している場合には、リスト操作制御部25が図5のテーブルを参照して、移動方向指定部22により指定された移動方向に他のオブジェクトが配置されているか否かを判定するものについて示したが、ユーザが移動方向指定部22を操作している場合には、リスト操作制御部25が移動方向指定部22により指定された移動方向に他のオブジェクトが配置されているか否かを判定せずに、現在カーソルが位置しているオブジェクトの吸着エリアの外側の座標を特定して、その吸着エリアの外側の座標へのカーソル移動をカーソル表示部21に指示するようにしてもよい。
ただし、この場合、リスト操作制御部25は、カーソル表示部21により当該オブジェクトの吸着エリアの外側の座標に移動されたカーソルが、他のオブジェクトの吸着エリアの内側に位置していれば、他のオブジェクト上へのカーソル移動をカーソル表示部21に指示するようにする。
【0032】
また、この実施の形態1では、予めレイアウトされているオブジェクト表示エリアRに複数のオブジェクトが配置されているものについて示したが、特にオブジェクト表示エリアRをレイアウトせずに、複数のオブジェクトを同一画面上に配置し、複数のオブジェクトの吸着エリアの集合体がオブジェクト表示エリアRであるとして取り扱うようにしてもよい。
【0033】
実施の形態2.
上記実施の形態1では、カーソルの位置がフリーカーソルエリアFからオブジェクト表示エリアRの領域に遷移して、いずれかのオブジェクトの吸着エリアに位置する場合、そのカーソルを吸着エリアから当該オブジェクトの中心座標まで自動的に移動させるものについて示したが、その際、カーソル表示部21がその吸着エリアからオブジェクトの中心座標まで移動するオブジェクトの移動軌跡を表示するようにしてもよい。
また、オブジェクトの中心座標から吸着エリアの外側まで自動的に移動させる際にも、カーソル表示部21がオブジェクトの中心座標から吸着エリアの外側まで移動するオブジェクトの移動軌跡を表示するようにしてもよい。
これにより、カーソルが自動的に移動する状況が発生しても、移動の不自然さを解消することができる効果を奏する。
【0034】
実施の形態3.
上記実施の形態1では、操作デバイスである移動方向指定部22が十字キーで構成されているものについて示したが、操作デバイスは十字キーに限るものではなく、例えば、移動方向指定部22が矢印キーなどの操作デバイスから構成されていてもよく、上記実施の形態1と同様の効果を奏することができる。
【0035】
また、上記実施の形態1では、カーソル操作装置2がテレビ1に実装されているものについて示したが、カーソル操作装置2が実装される機器は、画像を表示することができるモニタを備えている機器であれば、テレビ1に限るものではなく、例えば、携帯電話機やカーナビ装置などにカーソル操作装置2を実装するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】この発明の実施の形態1によるカーソル操作装置を示す構成図である。
【図2】この発明の実施の形態1によるカーソル操作装置の処理内容を示すフローチャートである。
【図3】オブジェクト表示エリアRとフリーカーソルエリアFがレイアウトされているマルチ画面を示す説明図である。
【図4】カーソル操作装置のリスト操作制御部の処理内容を示すフローチャートである。
【図5】オブジェクト表示エリアRに配置されている各オブジェクトの配置エリア及び中心座標と、各オブジェクトの吸着エリアの配置エリアとが定義されているテーブルを示す説明図である。
【図6】オブジェクト表示エリアRに配置されている各オブジェクトと、各オブジェクトの吸着エリアとの関係を示す説明図である。
【符号の説明】
【0037】
1 テレビ、2 カーソル操作装置、11 チューナ、12 映像コントローラ、13 モニタ、14 リモコン、21 カーソル表示部(カーソル表示手段)、22 移動方向指定部(移動方向指定手段)、23 カーソル位置特定部(位置特定手段)、24 フリー操作制御部(第1のカーソル制御手段)、25 リスト操作制御部(第2のカーソル制御手段)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のオブジェクトが配置されているオブジェクト表示エリアが一部にレイアウトされている画面上にカーソルを表示するカーソル表示手段と、上記カーソル表示手段により表示されているカーソルの移動方向を指定する移動方向指定手段と、上記カーソル表示手段により表示されているカーソルの位置を特定する位置特定手段と、上記位置特定手段により特定されたカーソルの位置が上記オブジェクト表示エリアの外側であれば、上記移動方向指定手段により指定された移動方向へのグリッド単位のカーソル移動を上記カーソル表示手段に指示する第1のカーソル制御手段と、上記位置特定手段により特定されたカーソルの位置が上記オブジェクト表示エリアに配置されているオブジェクト上にあれば、上記移動方向指定手段により指定された移動方向に位置している他のオブジェクト上へのカーソル移動を上記カーソル表示手段に指示する第2のカーソル制御手段とを備えたカーソル操作装置。
【請求項2】
第2のカーソル制御手段は、第1のカーソル制御手段によるカーソル移動の指示に伴って位置特定手段により特定されたカーソルの位置がオブジェクト表示エリアの内側に遷移した場合、そのオブジェクト表示エリアに配置されている何れかのオブジェクト上へのカーソル移動をカーソル表示手段に指示することを特徴とする請求項1記載のカーソル操作装置。
【請求項3】
第2のカーソル制御手段は、オブジェクト表示エリアに配置されている複数のオブジェクトの中から、位置特定手段により特定されたカーソルの位置に対応するオブジェクトを特定し、そのオブジェクト上へのカーソル移動をカーソル表示手段に指示することを特徴とする請求項2記載のカーソル操作装置。
【請求項4】
第2のカーソル制御手段は、オブジェクト表示エリアに配置されているオブジェクト上にカーソルが位置しているとき、移動方向指定手段により指定された移動方向に他のオブジェクトが存在しない場合、そのカーソルが位置しているオブジェクトの外側へのカーソル移動をカーソル表示手段に指示することを特徴とする請求項1から請求項3のうちのいずれか1項記載のカーソル操作装置。
【請求項5】
カーソル表示手段は、第2のカーソル制御手段によるカーソル移動の指示にしたがってカーソルの位置を移動する際、カーソルの移動軌跡を表示することを特徴とする請求項3または請求項4記載のカーソル操作装置。
【請求項6】
移動方向指定手段が十字キー又は矢印キーから構成されていることを特徴とする請求項1から請求項5のうちのいずれか1項記載のカーソル操作装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2007−213240(P2007−213240A)
【公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−31377(P2006−31377)
【出願日】平成18年2月8日(2006.2.8)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】