説明

カーテンウォール

【課題】外観が凹凸のある変化に富んだ意匠性に優れたデザインのカーテンウォールとする。
【解決手段】カーテンウォールユニット1のユニット枠10における窓部を形成する枠部の室外側部に窓部用室外側窓20を取付けて窓部1aとし、前記ユニット枠10におけるスパンドレル部を形成する枠部の室内側部にスパンドレル部用室外側窓30を取付けてスパンドレル部1bとすることで、スパンドレル部1bが凹んだ外観となるようにして、カーテンウォールの外観を凹凸のある変化に富んだ意匠性に優れたデザインとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の外壁を構成するカーテンウォールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建物の外壁を構成するカーテンウォールとしては、例えば特許文献1に開示したように、建物の居室と対向した窓部と、下の階の天井、建物躯体、上の階の床などの上下階の境界部と対向したスパンドレル部を上下方向及び左右方向に複数備えたものが知られている。
【特許文献1】実公平2−4174号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前述した窓部とスパンドレル部を備えたカーテンウォールにおいては、その窓部の室外側面とスパンドレル部の室外側面が面外方向に同一位置であるので、その窓部とスパンドレル部を室外から見たときに、その窓部の室外側面とスパンドレル部の室外側面が連続した平坦に見え、そのカーテンウォールの外観が変化の少ない単調なデザインとなる。
【0004】
本発明の目的は、外観が凹凸のある変化に富んだ意匠性に優れたデザインのカーテンウォールとすることである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、窓部とスパンドレル部を備えたカーテンウォールユニットを、建物躯体に取付けたカーテンウォールであって、
前記カーテンウォールユニットは、ユニット枠における窓部を形成する枠部の室外側部に窓部用室外側窓を取付け、前記ユニット枠におけるスパンドレル部を形成する枠部の室内側部にスパンドレル部用室外側窓を取付け、前記スパンドレル部の室外側面を窓部の室外側面よりも室内寄りとしたことを特徴とするカーテンウォールである。
【0006】
本発明においては、ユニット枠は、上下中間部に窓部を形成する枠部を有すると共に、上部と下部にスパンドレル部を形成する枠部を有し、
前記窓部を形成する枠部の室外側部に、窓部用室外側窓を取付けると共に、前記各スパンドレル部を形成する枠部の室内側部にスパンドレル部用室外側窓をそれぞれ取付けることができる。
このようにすれば、カーテンウォールユニットを室外から見たときに、上部と下部が凹んだ凹凸状に見えるので、カーテンウォールの外観は多くの凹凸があるより変化に富んだ意匠性がより優れたデザインとなる。
【0007】
本発明においては、ユニット枠の窓部を形成する枠部の室内側部に室内側窓を取付けて中間空気層を形成し、
前記中間空気層の下部を吸気口で室外に連通すると共に、その中間空気層の上部を排気口で室外に連通して外気が流通するようにできる。
このようにすれば、窓部の断熱性能を優れたものにできる。
【0008】
本発明においては、ユニット枠の窓部を形成する枠部は、左右の縦材と、上の横材と、下の横材を有し、
前記下の横材に吸気口を、その下の横材の上面と下面に開口して形成し、
前記上の横材は、見込み寸法が大きな主横材と見込み寸法の小さな補助横材を備え、
その主横材の室内側部に室内側窓の上部が取付けられ、前記補助横材に窓部用室外側窓の上部が取付けられ、
前記主横材の室外側部の下面と前記補助横材の上面が離隔して排気口を形成することができる。
このようにすれば、吸気口が正面から見えず外観上スッキリとした見え方にできる。
また、吸気口を室内外側方向の長孔形状とすることで、その吸気口の開口面積を大きくできるので、下の横材の上下寸法を大きくせずに吸気口の開口面積を大きくできる。
また、主横材と補助横材を縦材に取付けることで排気口を形成できる。
【0009】
本発明においては、カーテンウォールユニットは、左右の縦材と上横材と上中間横材と下中間横材と下横材で、上枠部と中間枠部と下枠部を有するユニット枠を備え、
前記左右の縦材の室外側部と上中間横材、下中間横材の室外側部に亘って窓部用室外側窓を取付けて窓部とし、
前記左右の縦材の室内側部と上横材、上中間横材の室内側部とに亘ってスパンドレル部用室外側窓を取付けて上のスパンドレル部とし、
前記左右の縦材の室内側部と下中間横材、下横材の室内側部とに亘ってスパンドレル部用室外側窓を取付けて下のスパンドレル部とすることができる。
このようにすれば、左右の縦材の内面と上横材の下面と上中間横材の上面とスパンドレル部用室外側窓とで凹陥部を形成すると共に、左右の縦材の内面と下中間横材の下面とスパンドレル部用室外側窓とで凹陥部を形成するので、カーテンウォールユニットを見たときに、凹陥部が目立ち、窓部の上と下が明らかに凹んだ著しく変化に富んだデザインとなる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、カーテンウォールを設置した外壁を室外から見た際、カーテンウォールユニットは、そのスパンドレル部が凹んだ凹凸状に見え、そのカーテンウォールユニットが上下、左右に連続したカーテンウォールの外観は、凹凸がある変化に富んだ意匠性が優れたデザインとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
図1と図2に示すように、カーテンウォールユニット1を建物躯体2に、上下方向、左右方向に連続して取付けてカーテンウォールとし、そのカーテンウォールで外壁を構成している。
前記カーテンウォールユニット1は、建物の居室3と対向した窓部1aと、上下に隣接した窓部1a間のスパンドレル部1bを有し、そのスパンドレル部1bは建物の上下階の境界部4と対向している。
前記居室3は床5と天井6との間の部分で、前記境界部4は下の階の天井6と上の階の床5との間の部分である。
この実施の形態では、床5と連続して腰壁7を備え、この腰壁7と前記境界部4が上下に連続し、この腰部7、境界部4に対向する部分をスパンドレル部1bとしてある。
要するに、1つのカーテンウォールユニット1の上部と下部にスパンドレル部1bをそれぞれ備え、下の階のカーテンウォールユニット1の上のスパンドレル部1bと上の階のカーテンウォール1の下のスパンドレル部1bが連続し、境界部4、腰壁7と対向する。
【0012】
前記カーテンウォールユニット1はユニット枠10を備え、図2と図4に示すように、このユニット枠10における窓部1aを形成する枠部の室外側部、この実施の形態では腰壁7と天井6との間の枠部の室外側部に、アウタースキンと呼ばれる窓部用室外側窓20が取付けてある。
図2と図3に示すように、前記ユニット枠10におけるスパンドレル部1bを形成する枠部の室内側部、この実施の形態では腰壁7と対向した下の枠部の室内側部と、境界部4と対向した上の枠部の室内側部にスパンドレル部用室外側窓30が取付けてある。
【0013】
このようであるから、スパンドレル部用室外側窓30の室外面、つまり、スパンドレル部1bの室外側面が、窓部用室外側窓20の室外面、つまり、窓部1aの室外側面よりも室内寄りとなるので、カーテンウォールユニット1を室外から見たときにスパンドレル部1bが凹んだ凹凸状に見え、そのカーテンウォールユニット1が上下、左右に連続したカーテンウォールの外観は、凹凸がある変化に富んだ意匠性が優れたデザインとなる。
【0014】
また、この実施の形態では、ユニット枠10の上下中間部に窓部1aを形成する枠部を有し、その枠部の室外側部に窓部用室外側窓が取付けてあり、前記ユニット枠10の上部、下部にスパンドレル部1bを形成する枠部をそれぞれ有し、その各枠部の室内側部にスパンドレル部用室外側窓が取付けられることで、上下中間部に窓部1aを有し、上部と下部にスパンドレル部1bを有しているので、ユニット枠10を室外から見たときに、上下中間部が凸で、上部と下部が凹んで見えるから、カーテンウォールの外観は多くの凹凸があるより変化に富んだ意匠性がより優れたデザインとなる。
【0015】
次に、各部の詳細を説明する。
前記ユニット枠10は、図1に示すように、左右の縦枠11,11と、上横材12と上中間横材13と下中間横材14と下横材15で上枠部16、中間枠部17、下枠部18を有する方形状である。
前記上枠部16と下枠部18が前述したスパンドレル部1bを形成する枠部で、前記中間枠部17が前述した窓部1aを形成する枠部である。
そして、上中間横材13が窓部1aを形成する枠部の上の横材で、下中間横材14が窓部1aを形成する枠部の下の横材である。
【0016】
前記上中間横材13、下中間横材14の室外側部と左右の縦材11の室外側部(つまり、中間枠部17の室外側部)に亘って室外側ガラス20aを装着して窓部用室外側窓20としてある。
前記上中間横材13、下中間横材14の室内側部と左右の縦材11の室内側部(つまり、中間枠部17の室内側部)とに亘ってインナースキンと呼ばれる室内側窓21を取付けて前記中間枠部17に中間空気層22を形成している。
この中間空気層22の下部は、前記下中間横材14に形成した吸気口23で室外に連通し、その中間空気層22の上部は、前記上中間横材13に形成した排気口24で室外に連通している。
このようであるから、中間空気層22内には図2に矢印で示すように外気が流通し、断熱性能が優れたものとなる。要するに窓部1aは、いわゆるダブルスキン構造となっている。
前記中間空気層22には日射遮蔽材、例えばブラインド25が設けてある。
これによって、日射を遮蔽し、中間空気層22の熱気を外部に排出できるので、窓部1aの日射遮蔽性能を優れたものにできる。
【0017】
前記窓部1aの下部は凹んだ形状のスパンドレル部1bで、前記下中間横材14の下面が凹んだスパンドレル部1bの上内面を形成しているから、前記吸気口23を、前記下中間横材14の室内外側方向の中間に、上面と下面に開口して形成することができる。
したがって、室外から見たときに吸気口23が見えないので、見栄えが良い。
また、吸気口23を室内外側方向に長くすることで、開口面積を大きくして多量の外気が流入するようにできるので、下中間横材14の上下寸法を大きくせずに吸気口23の開口面積を大きくできる。
【0018】
前記上横材12、上中間横材13の室内側部と左右の縦材11の室内側部(つまり、上枠部16の室内側部)とに亘って室外側ガラス30aを装着してスパンドレル部用室外側窓30としてある。
これによって、上のスパンドレル部1bは、左右の縦材11の内面と上横材12の下面と上中間横材13の上面とスパンドレル部用室外側窓30とで凹陥部を形成する。
したがって、カーテンウォールユニット1を室外から見たときに、その凹陥部が著しく目立ち、窓部1aの上が明らかに凹んだデザインとなる。
前記上枠部16には、前記室外側ガラス30aよりも室内寄りに耐火ボード31が取付けてある。
【0019】
前記下中間横材14、下横材15の室内側部と左右の縦材11の室内側部(つまり、下枠部18の室内側部)に亘って室外側ガラス30aを装着してスパンドレル部用室外側窓30としてある。
これによって、下のスパンドレル部1bは、左右の縦材11の内面と下中間横材14の下面と下横材15の上面とスパンドレル部用室外側窓30とで凹陥部を形成する。
したがって、カーテンウォールユニット1を室外から見たときに、その凹陥部が著しく目立ち、窓部1aの下が明らかに凹んだデザインとなる。
前記下枠部18には、前記室外側ガラス30aよりも室内寄りに耐火ボード31が取付けてある。
要するに、上のスパンドレル部1bと下のスパンドレル部1bは同一形状としてある。
【0020】
図5に示すように、前記上中間横材13、つまり、窓部1aを形成する枠部の上の横材は、主横材40と補助横材50を有している。
前記主横材40は室内側部材41と横向片42を備え、その室内側部材41が縦材11の室内側寄りに固着されて横向片42が室外側に向かい、その横向片42の室外側端部が縦材11の室外側端部と面一となっている。
前記室内側部材41、つまり主横材40の室内側部に窓部用の室内側窓21の上部が取付けてある。
【0021】
前記補助横材50は、見込み寸法(室内外側方向の寸法)が主横材40の見込み寸法よりも小さい。この補助横材50は縦材11の室外側寄りに、前記主横材40の室内側部材41よりも室外側で、かつ横向片42よりも下方に位置して固着され、その横向片42の下面42aと補助横材50の上面50aが離隔して前記排気口24を形成している。
前記補助横材50に窓部用室外側窓20の上部が取付けてある。
前記横向片42の下面42aと補助横材50の上面50aとに亘って縦リブ51を取付け、この縦リブ51にフィン52が取付けてある。
このようであるから、主横材40と補助横材50を縦材11に固着して取りつけることで排気口24を形成できる。
【0022】
前記窓部1aの室内側窓21は、サッシ枠21aにガラス21bを装着したガラス障子で、前記主横材40の室内側部材41にフック21cで開閉自在に取付けてある。
【0023】
前記下中間横材14は、室内側部材14aと室外側部材14bと中間部材14cを縦材11に固着し、その室内側部材14aと中間部材14cの間、中間部材14cと室外側部材14bの間を吸気口23としてある。
前記補助横材50と下中間横材14の室外側部材14bと左右の縦材11とに亘って室外側ガラス20aを装着して窓部用室外側窓20としてある。
【0024】
この実施の形態では、ユニット枠10の上部と下部にスパンドレル部1bを形成したが、ユニット枠10の上部にのみスパンドレル部1bを形成することができる。
例えば、腰壁7を設けずに床5まで窓部1aとする。または、下のスパンドレル部1bを上のスパンドレル部1bの上に一体に設ける。
この場合には、下横材15を前記下中間横材14と同一形状として吸気口23を有する下横材とする。
【0025】
前記中間空気層22に内気(室内の空気)を流通するようにしても良い。
例えば、下中間横材14の吸気口23を室内に連通し、上中間横材13の排気口24を室内に連通する。
【0026】
前記中間空気層22に外気が流通しないようにしても良い。
例えば、図6に示すように、上中間横材13を排気口24を有しない形状とし、下中間横材14を吸気口23を有しない形状として中間空気層22を密閉する。
【0027】
前記中間空気層22を有しない窓部1aとしても良い。
例えば、図7に示すように、室内側窓21を有しないと共に、上中間横材13を排気口24を有しない形状とし、下中間横材14を吸気口23を有しない形状とする。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の実施の形態を示すカーテンウォールの一部を示す外観図である。
【図2】図1のA−A断面図である。
【図3】図1のB−B断面図である。
【図4】図1のC−C断面図である。
【図5】カーテンウォールユニットの詳細縦断面図である。
【図6】第2の実施の形態を示す縦断面図である。
【図7】第3の実施の形態を示す縦断面図である。
【符号の説明】
【0029】
1…カーテンウォールユニット、1a…窓部、1b…スパンドレル部、2…建物躯体、3…居室、4…境界部、7…腰壁、10…ユニット枠、11…縦材、12…上横材、13…上中間横材、14…下中間横材、15…下横材、16…上枠部、17…中間枠部、18…下枠部、20…窓部用室外側窓、21…室内側窓、22…中間空気層、23…吸気口、24…排気口、30…スパンドレル用室外側窓、31…耐火ボード、40…主横材、50…補助横材。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
窓部とスパンドレル部を備えたカーテンウォールユニットを、建物躯体に取付けたカーテンウォールであって、
前記カーテンウォールユニットは、ユニット枠における窓部を形成する枠部の室外側部に窓部用室外側窓を取付け、前記ユニット枠におけるスパンドレル部を形成する枠部の室内側部にスパンドレル部用室外側窓を取付け、前記スパンドレル部の室外側面を窓部の室外側面よりも室内寄りとしたことを特徴とするカーテンウォール。
【請求項2】
ユニット枠は、上下中間部に窓部を形成する枠部を有すると共に、上部と下部にスパンドレル部を形成する枠部を有し、
前記窓部を形成する枠部の室外側部に、窓部用室外側窓を取付けると共に、前記各スパンドレル部を形成する枠部の室内側部にスパンドレル部用室外側窓をそれぞれ取付けた請求項1記載のカーテンウォール。
【請求項3】
ユニット枠の窓部を形成する枠部の室内側部に室内側窓を取付けて中間空気層を形成し、
前記中間空気層の下部を吸気口で室外に連通すると共に、その中間空気層の上部を排気口で室外に連通して外気が流通するようにした請求項1又は2記載のカーテンウォール。
【請求項4】
ユニット枠の窓部を形成する枠部は、左右の縦材と、上の横材と、下の横材を有し、
前記下の横材に吸気口を、その下の横材の上面と下面に開口して形成し、
前記上の横材は、見込み寸法が大きな主横材と見込み寸法の小さな補助横材を備え、
その主横材の室内側部に室内側窓の上部が取付けられ、前記補助横材に窓部用室外側窓の上部が取付けられ、
前記主横材の室外側部の下面と前記補助横材の上面が離隔して排気口を形成している請求項3記載のカーテンウォール。
【請求項5】
カーテンウォールユニットは、左右の縦材と上横材と上中間横材と下中間横材と下横材で、上枠部と中間枠部と下枠部を有するユニット枠を備え、
前記左右の縦材の室外側部と上中間横材、下中間横材の室外側部に亘って窓部用室外側窓を取付けて窓部とし、
前記左右の縦材の室内側部と上横材、上中間横材の室内側部とに亘ってスパンドレル部用室外側窓を取付けて上のスパンドレル部とし、
前記左右の縦材の室内側部と下中間横材、下横材の室内側部とに亘ってスパンドレル部用室外側窓を取付けて下のスパンドレル部とした請求項1記載のカーテンウォール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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