説明

カーテンレールのジョイント

【課題】 カーテンレール連結用のジョイントをカーテンレールに差し込むだけで、バックリングやその他の外力によるカーテンレールの変形を修正し、ランナが円滑に走行できるようにする。
【解決手段】 ジョイント2の一側面長手方向に、カーテンレール1,1のランナ挿通口3と内外に重合して配設される連通口6を開口させる。連通口6の両側に対向する帯片2a,2aの開口縁にガイド片2b,2bを折曲して設ける。ガイド片2b,2bをランナ挿通口3の両側に対向するカーテンレール1,1の帯片1a,1aの開口縁と係合させることにより、帯片1a,1aを対向状態に保持するとともに、ランナ挿通口3を所定の幅に保持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のカーテンレールを長手方向に連結するのに用いるカーテンレールのジョイントに係り、詳しくはカーテンレール間の段差をなくして、ランナがカーテンレール間を円滑に移動できるようにしたカーテンレールのジョイントに関する。
【背景技術】
【0002】
所定長さに製作された1本のカーテンレールが設置長さに足りない場合に、複数本のカーテンレールがジョイントを用いて連結される。このジョイントは、一側面中央を長手方向に開口させた断面略コ字形に形成されたカーテンレールと相似形に形成され、このジョイントを双方のカーテンレール内部のランナ走行通路に跨って差し込むことにより、カーテンレールが長手方向に連結されるが、カーテンレールの連結端に段差を生じて、ランナの渡り走行が妨げられることがある。
【0003】
このような障害の原因の多くは、カーテンレールとジョイントとの板厚分の段差によるものではなく、断面コ字状のカーテンレールのそれぞれが折曲される前の原形に戻ろうとする性質、すなわちカーテンレールのランナ挿通口の両側に対向する帯片が外側に拡がろうとするいわゆるバックリングと呼ばれる変形であることが知られている。
さらに、カーテンレールの帯片の変形に伴って、カーテンレールのランナ挿通口の幅が狭まる虞があり、ランナがカーテンレールの帯片に干渉してしまう懸念を免れない。
【0004】
この対策として、例えば、カーテンレールの連結端部付近の下側外面に、ランナ走行通路のランナ挿通口を塞ぐようにジョイントテープを所定の長さに貼り付けるジョイントテープ貼付工程と、前記カーテンレールに貼りつけたジョイントテープの長手方向に沿ってこのジョイントテープ幅の中央位置をカッターで切断するジョイントテープ切断工程と、前記切断したジョイントテープの切断部から折込治具をカーテンレールのランナ挿通口内に挿入し、この折込治具を摺動してジョイントテープの切断部をカーテンレールの内側に折り込んで貼り付ける折込貼付工程とを備えたカーテンレールの段差解消方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2006−288521号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1の段差解消方法では、カーテンレールの連結にジョイントとジョイントテープの双方を必要とする上、折込治具を用いてジョイントテープをカーテンレールとジョイントとに折り込んで貼り付ける工程を必要とするため、部品点数と作業工数が嵩み、コスト的にも不利であった。
【0006】
本発明は、かかる実情を背景にしてなされたもので、その目的とするところは、従来からのカーテンレール連結用のジョイントを利用して、このジョイントをカーテンレールに差し込むだけで、バックリングやその他の外力によるカーテンレールの変形を修正し、ランナが円滑に走行できるようにしたカーテンレールのジョイントを提供することにある。
【0007】
上述の目的にしたがって、本発明は、2本のカーテンレールの連結端から双方のカーテンレール内部のランナ走行通路に跨って挿入することにより、前記2本のカーテンレールを長手方向に連結するジョイントであって、且つ該ジョイントの一側面長手方向に、前記2本のカーテンレールのランナ挿通口と内外に重合して配設される連通口を開口させたカーテンレールのジョイントにおいて、前記連通口の両側に対向する両帯片の開口縁に、前記ランナ挿通口の両側に対向する前記カーテンレールの両帯片の開口縁と係合して、該カーテンレールの帯片を対向状態に保持するとともに、前記ランナ挿通口を所定の幅に保持するガイド片を突設したことを特徴としている。
【0008】
前述のガイド片は、前記カーテンレールの帯片よりも外側に突出させることがより好ましい。またこのガイド片に、カーテンレールの帯片の外側面へ折れ曲がる抑え片を連設し、該抑え片とジョイントの帯片とでカーテンレールの帯片を挟持することもできる。
【0009】
本発明の構成によれば、ジョイントのランナ挿通口の両側に対向する両帯片の開口縁にガイド片を設けて、このガイド片をランナ挿通口を挟んでその両側に対向するカーテンレールの両帯片に係合させることにより、カーテンレールの帯片が外側へ開こうとするバックリングを防止し、カーテンレールの双方の帯片を対向状態に保持すると同時に、ランナ挿通口を所定の幅に保持する。
これにより、各カーテンレールの連結端では、カーテンレールのバックリング変形による大きな段差が解消され、ランナはジョイントのわずかな板厚を乗り越えるだけとなる。
【0010】
また、ジョイントのガイド片に、カーテンレールの帯片から外側に突出する長さを持たせることにより、ガイド片とカーテンレールの帯片との係合長さが長く確保されるので、両者の係合がみだりに外れることがなくなる。
前述した通り、カーテンレールの変形は、バックリングを起因とする外側への変形が一般的であるが、カーテンレールの搬送や工事の際に外力が加わって、まれに内側へ変形することがあるが、ジョイントのガイド片に抑え片を延設して、この抑え片とジョイントの帯片とでカーテンレールの帯片を挟持させることにより、カーテンレールの帯片は、バックリングによる外側への変形ばかりか、内側となるランナ走行通路側への変形も防止される。
さらに、本発明のカーテンレールとジョイントは、ランナ挿通口や連通口を下向きやあるいは横向きにして用いることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明よれば、バックリングや外力等を起因とするカーテンレールの変形が、カーテンレールへジョイントを差し込むのみで防止できるので、ジョイントテープを併用した特許文献1に較べて、部品点数と作業工数並びにコストの削減が図れる。
また、ジョイントのガイド片に、カーテンレールの帯片から外側へ突出する長さを確保することにより、バックリングや外力によるカーテンレールの内外方向の変形をより確実に防止することができる。
さらに、ジョイントのガイド片に抑え片を延設して、ガイド片と抑え片とでカーテンレールの帯片を挟持することにより、カーテンレールの帯片の内外いずれの方向への変形も有効に防止することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明のカーテンレール用ジョイントの実施例を、図面に基づいて説明する。
図中、図1〜図5は本発明の第1実施例を示し、図1は図4のI−I断面図、図2はジョイントの斜視図、図3はジョイントを用いてカーテンレールを連結した状態を示す斜視図、図4は同じくジョイントを用いてカーテンレールを連結した状態を示す底面図、図5は図1のV−V断面図である。また、図6〜図8は本発明の第2実施例を示し、図6はジョイントの斜視図、図7はジョイントを用いてカーテンレールを連結した状態を示す底面図、図8はジョイントを用いてカーテンレールを連結した状態の断面図である。
【0013】
図1〜図5に示す第1実施例は、所定長さのカーテンレール1,1がジョイント2を用いて長手方向に連結される。カーテンレール1,1及びジョイント2は、ステンレス鋼板等の金属薄板を折曲して形成されており、カーテンレール1の断面形状は、横長四角形の左右両側部を外側へ半円弧状に膨らませ、下面中央にランナ挿通口3を長手方向に開口させるとともに、該ランナ挿通口3の両側に、縁片1b,1bを内側へ折り重ねた帯片1a,1aを対向配置したもので、その内部をランナ4が走行するランナ走行通路5となしている。
【0014】
一方のジョイント2は、カーテンレール1,1の連結端1c,1cと内外に嵌合して、該カーテンレール1,1を一直線上に保持するに足りる長さを持ち、且つその基本断面形状を、カーテンレール1よりも該レール1の板厚分小さな略相似形に形成して、下面中央に連通口6を長手方向に開設し、該連通口6の両側に対向する帯片2a,2aを内側に窪ませて、この窪みの外側に前記カーテンレール1の縁片1b,1bと同形のガイド溝7,7を凹設するとともに、帯片2a,2aの開口縁にガイド片2b,2bを外側へ直角に折曲して、該ガイド片2b,2bの間を前述の連通口6となしている。
【0015】
ジョイント2の連通口6は、連結端2c,2cへ向けて大きな湾曲で拡がっており、ジョイント2は、この拡がりによってカーテンレール1,1への差し込みが容易に行えるようにしており、この湾曲部分に挟まれた連通口6の直線状部分に、前述のガイド片2b,2bが対向して設けられている。
ジョイント2の天板2dには、位置合わせ用の目印孔8が中間部に開設されており、ジョイント2を用いてカーテンレール1,1を連結する際に、この位置合わせ用の目印孔8を目印に、カーテンレール1,1がそれぞれ同等長さずつジョイント2に差し込めるようにしている。
【0016】
このように構成される本実施例でカーテンレール1,1を連結する場合には、連結端1c,1cをジョイント2の長さ以上に離間させて、これらの間にジョイント2を配置し、該ジョイント2の連結端2c,2cをカーテンレール1,1の連結端1c,1cからランナ走行通路5,5へ差し込む。
このとき、カーテンレール1,1のランナ挿通口3とジョイント2の連通口6は互いに下向きであり、カーテンレール1,1の縁片1b,1bは、ジョイント2のガイド溝7,7に隙間なく収容されていく。また、ジョイント2の連結端2c,2cをカーテンレール1,1のランナ走行通路5,5へ差し込む際に、ジョイント2の位置合わせ用の目印孔8にマイナスドライバ等の工具(図示せず)を差し込んでおき、この工具にカーテンレール1,1の連結端1c,1cを突きあてることにより、カーテンレール1,1にジョイント2が同等長さずつ差し込まれる。
ジョイント2は、連通口6の連結端2c,2c側を湾曲形状で大きく開口させているため、帯片2a,2aをレールジョイント1,1の縁片1b,1bの上へ案内するのに役立つ。
【0017】
カーテンレール1,1は、このようにジョイント2を用いて長手方向に連結され、この連結状態において、ジョイント2のガイド片2b,2bが、カーテンレール1,1の帯片1a,1aの開口縁と係合し、且つ両帯片1a,1a間のランナ挿通口3からカーテンレール1,1の下方に向けて垂設される。
図1,図5に示す通り、ランナ4はカーテンレール1,1のランナ走行通路5に装着され、その下側部分がランナ挿通口3を通して垂設される。カーテンレール1,1のランナ走行通路5では、ローラ4a,4aが縁片1b,1b上を走行し、またジョイント2の内部では、ローラ4a,4aが縁片2a,2aの板厚分の段差を乗り越えて該縁片2a,2a上を走行する。
【0018】
ジョイント2のガイド片2b,2bは、カーテンレール1,1の帯片1a,1aが外力によって内側に変形していたり、該帯片1a,1aの変形に伴ってランナ挿通口3の幅が縮小していた場合に、双方のカーテンレール1,1にジョイント2を差し込むだけで、ガイド片2b,2bがカーテンレール1,1の帯片1a,1aの開口縁と係合して帯片1a,1aを正規の対向位置に戻し、併せてランナ挿通口3を正規の幅寸法に修正する。
さらに本実施例では、ジョイント2の帯片2a,2aの下面に凹設したガイド溝7,7にカーテンレール1の縁片1b,1bが嵌り込むので、カーテンレール1,1の帯片1a,1aとランナ挿通口3の変形をより確実に修正する。この修正により、ランナ4のスムーズな走行が可能となる。
【0019】
図6〜図8に示す第2実施例では、第1実施例のカーテンレール1,1とジョイント2に設けた縁片1b,1bとガイド溝7,7とを省略し、ジョイント2の縁片2a,2aとガイド片2b,2bと連通口6とをジョイント2の連結端2c,2c付近まで延長するとともに、ガイド片2b,2bに抑え片2e,2eを連設した点で、第1実施例と異なっている。
図6に示すように、ジョイント2の抑え片2e,2eは、ガイド片2b,2bの下端からそれぞれの帯片2a,2aの外側に所定の間隔Cを置いて平行に突設されており、ジョイント2を用いてカーテンレール1,1を連結した際に、この間隔Cにカーテンレール1,1の帯片1a,1aが差し込まれ、該帯片1a,1aの開口縁がガイド片2b,2bと係合するとともに、帯片1a,1aの上下をガイド片2b,2bと抑え片2e,2eとが挟持する。
【0020】
このように、カーテンレール1,1は、帯片1a,1aの開口縁がジョイント2のガイド片2b,2bと係合し、さらに帯片1a,1aの上下がガイド片2b,2bと抑え片2e,2eとに挟持されるため、帯片1a,1aがバックリングや搬送、工事等の外力によって内外に変形していたり、ランナ挿通口3の幅が拡縮していた場合にも、双方のカーテンレール1,1にジョイント2を差し込むだけの簡単な操作で、正規の状態に修正することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の第1実施例を示す図4のI−I断面図である。
【図2】本発明の第1実施例を示すジョイントの斜視図である。
【図3】本発明の第1実施例を示すジョイントを用いてカーテンレールを連結した状態を示す斜視図である。
【図4】本発明の第1実施例を示すジョイントを用いてカーテンレールを連結した状態を示す底面図である。
【図5】本発明の第1実施例を示す図1のV−V断面図である。
【図6】本発明の第2実施例を示すジョイントの斜視図である。
【図7】本発明の第2実施例を示すジョイントを用いてカーテンレールを連結した状態を示す底面図である。
【図8】本発明の第2実施例を示すジョイントを用いてカーテンレールを連結した状態の断面図である。
【符号の説明】
【0022】
1…カーテンレール
1a…帯片
1b…縁片
1c…連結端
2…ジョイント
2a…帯片
2b…ガイド片
2c…連結端
2d…天板
2e…抑え片
3…ランナ挿通口
4…ランナ
5…ランナ走行通路
6…連通口
7…ガイド溝7
C…帯片2aと抑え片2eとの間隔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2本のカーテンレールの連結端から双方のカーテンレール内部のランナ走行通路に跨って挿入することにより、前記2本のカーテンレールを長手方向に連結するジョイントであって、
且つ該ジョイントの一側面長手方向に、前記2本のカーテンレールのランナ挿通口と内外に重合して配設される連通口を開口させたカーテンレールのジョイントにおいて、
前記連通口の両側に対向する両帯片の開口縁に、前記ランナ挿通口の両側に対向する前記カーテンレールの両帯片の開口縁と係合して、該カーテンレールの帯片を対向状態に保持するとともに、前記ランナ挿通口を所定の幅に保持するガイド片を突設した
ことを特徴とするカーテンレールのジョイント。
【請求項2】
前記ガイド片は、前記カーテンレールの帯片よりも外側に突出している
ことを特徴とする請求項1に記載のカーテンレールのジョイント。
【請求項3】
前記ガイド片に、前記カーテンレールの帯片の外側面へ折れ曲がって、該カーテンレールの帯片を前記ジョイントの帯片と共に挟持する抑え片を連設した
ことを特徴とする請求項1に記載のカーテンレールのジョイント。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−259568(P2008−259568A)
【公開日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−102791(P2007−102791)
【出願日】平成19年4月10日(2007.4.10)
【出願人】(591266847)株式会社日高製作所 (1)
【Fターム(参考)】