説明

カーテン開閉装置

【課題】 巻き取り又は繰り出し用の紐体がカーテンレールから外れたりすることなく、手動で容易に、開閉することのできるカーテン開閉装置を提供する、並びに、通常のカーテンに極めて簡単な改造を施すだけでよく、大掛かりな改造工事を必要とすることのない、カーテン開閉装置を提供することを目的とする。
【解決手段】 紐体3を巻き取り又は繰り出してカーテンを開閉させるカーテン開閉装置において、主カーテン1の前方又は後方に、主カーテン1より丈の短いガイド用カーテン2を備えたことを特徴とするカーテン開閉装置を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カーテンを開閉させる装置に関し、特に病院や介護福祉施設などの室内用カーテンに用いるのに好適なカーテン開閉装置に関する。
【背景技術】
【0002】
カーテンは様々な場所で様々な形のものが用いられている。例えば、病室などでは、患者のプライバシーを保護したりする見地から、入院患者のベッドの周囲を囲むようにしたカーテン(遮蔽カーテン)が用いられている。
病気加療中の入院患者の室内における、それぞれのベッドを囲むカーテンは、主に付き添い者又は看護士の手によって開閉されているが、付き添い者又は看護士が不在の場合には、患者自身の手で開閉する必要がある。
【0003】
しかしながら、寝たきりの患者や、やっと起きることができる程度の重症患者にとっては、カーテンの開閉はかなりの重労働であるばかりか、カーテンを破いたりすることもあり、改善が要望されていた。また、入院患者のベッドの周囲を囲むようにカーテンが設けられており、しかも巻き取り又は繰り出し用の紐体が直接ランナーにくくり取り付けられているので、紐体を巻き取るときに、紐体がカーテンレールから外れてしまうおそれがあった。また、この外れを防止するために、途中にガード機構を設けたりすると、カーテンが動かなくなってしまうという問題があった。
【0004】
一方、例えば特許文献1に示されるように、電動式のカーテン開閉装置も提案されている。
しかしながら、この場合、カーテンレール内にラックを張り巡らせる必要があり、大掛かりな改造工事が必要であった。
【0005】
【特許文献1】特開2001−224490号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記したような従来の課題を解決し、巻き取り又は繰り出し用の紐体がカーテンレールから外れたりすることなく、手動で容易に、開閉することのできるカーテン開閉装置を提供することを目的とするものである。
さらに、本発明は、通常のカーテンに極めて簡単な改造を施すだけでよく、大掛かりな改造工事を必要とすることのない、カーテン開閉装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に係る本発明は、紐体を巻き取り又は繰り出してカーテンを開閉させるカーテン開閉装置において、主カーテンの前方又は後方に、主カーテンより丈の短いガイド用カーテンを備えたことを特徴とするカーテン開閉装置を提供するものである。
請求項2に係る本発明は、主カーテンとガイド用カーテンを走行させるランナーとして、紐体を通すための孔が設けられているものを用い、前記孔に紐体を通し、前記紐体を巻き取り又は繰り出してカーテンを開閉させる、請求項1記載のカーテン開閉装置を提供するものである。
請求項3に係る本発明は、紐体を通すための孔が、ランナーの車軸とリング取付部との間の中間部に設けられている、請求項1又は2記載のカーテン開閉装置を提供するものである。
請求項4に係る本発明は、紐体の末端を、滑車を介して引張り、紐体を巻き取り又は繰り出すようにした、請求項1〜3のいずれかに記載のカーテン開閉装置を提供するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明のカーテン開閉装置によれば、巻き取り又は繰り出し用の紐体がカーテンレールから外れたりすることなく、手動で容易に、開閉することができる。
さらに、本発明のカーテン開閉装置によれば、通常のカーテンに極めて簡単な改造を施すだけでよく、大掛かりな改造工事を必要とすることのない、カーテン開閉装置が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
請求項1に係る本発明は、カーテン開閉装置に関し、紐体を巻き取り又は繰り出してカーテンを開閉させるカーテン開閉装置において、主カーテンの前方又は後方に、主カーテンより丈の短いガイド用カーテンを備えたことを特徴とするものである。
【0010】
以下、本発明を図面により詳しく説明する。
図1は、請求項1に係る本発明のカーテン開閉装置の1態様を示す説明図(平面図)であり、図2は、請求項1に係る本発明のカーテン開閉装置における、主カーテン1とガイド用カーテン2とを示す一部省略説明図である。図中、符号3はカーテン開閉用の紐体であって、3Aはこの紐体の一方の端部を指し、3Bはこの紐体の他方の端部を指している。
【0011】
請求項1に係る本発明のカーテン開閉装置は、主カーテン1の前方又は後方に、主カーテン1より丈の短いガイド用カーテン2が備えられている。図中、符号4は、主カーテン1とガイド用カーテン2の結び点である。
ガイド用カーテン2の長さ(横幅)は、主カーテン1の長さ(横幅)と同じ長さとする。例えば、主カーテン1の長さ(横幅)が5mの場合には、ガイド用カーテン2の長さ(横幅)も5mとする。但し、場合によっては、多少前後させてもよい。
また、ガイド用カーテン2の丈(縦の長さ)は、少なくとも主カーテン1より丈の短いことが必要である。ガイド用カーテン2の丈(縦の長さ)は、少なくとも主カーテン1の丈より短ければよく、特に限定されないが、開閉にかかる力をできるだけ小さくするため、8〜10cm程度とすることが好ましい。
【0012】
次に、図3は、本発明のカーテン開閉装置に用いるのに好適なランナー5の1態様を示す正面図であり、図4は側面図である。
本発明においては、請求項2に記載したように、主カーテン1とガイド用カーテン2を走行させるランナー5として、紐体3を通すための孔6が設けられているものを用い、前記孔6に紐体3を通し、前記紐体3を巻き取り又は繰り出してカーテン(主カーテン1とガイド用カーテン2)を開閉させることにより、極めて簡単な改造を施すだけで、手動で容易に、開閉することができる。
なお、このような改造をランナー5に施しておくと、場合によっては、ガイド用カーテン2そのものを省略することも可能となる。
【0013】
即ち、請求項3に記載したように、紐体3を通すための孔6を、市販のランナー5の車軸7とリング取付部8との間の中間部9に設けるだけでよい。なお、符号10は、カーテンのフックを(図示していない)引っ掛けるためのリングである。
図5は、このようなランナー5がカーテンレール11内に収容されている状態を示す説明図である。
このような紐体3を通すための孔6が設けられているランナー5を用い、前記孔6に紐体3を通し、この紐体3を巻き取り又は繰り出してカーテン(主カーテン1とガイド用カーテン2)を開閉させることにより、手動で容易に、カーテンを開閉することができる。
このとき紐体3は、ランナー5を介してカーテンレール11内乃至はその直下にあることから、外部からは見えにくくなっており、外観を損なうおそれもない。
【0014】
なお、図6に示すように、紐体3の末端を、滑車13を介して引張るようにすると、カーテンの開閉をより容易に行うことができる。図6は、上下2段構造となっているカーテンレール11末端の外側に滑車3を配置した例を示す説明図である。
請求項4に係る発明は、紐体3の末端を、滑車13を介して引張り、紐体3を巻き取り又は繰り出すようにした、請求項1〜3のいずれかに記載のカーテン開閉装置を提供するものである。
即ち、一方の紐体3、図6では下側の紐体3の末端を第1の滑車13Aを介して下側に引き、また、他方の紐体3、図6では上側の紐体3の末端を第2の滑車13Bと第3の滑車13Cとを介して下側に引くようにしたものを示しているが、滑車の配置の仕方はこれに限定されるものではなく、第3の滑車13Cを省略することもできる。また、第1の滑車13Aを2つの滑車とすることもできる。
一方の紐体3、図6では下側の紐体3は、ランナー5の孔6を貫通し、カーテンレール11の下側部分の内部、乃至はその直下を通り、カーテンレール11の外側に出た後、第1の滑車13Aを介して下側に引かれている。また、他方の紐体3、図6では上側の紐体3は、カーテンレール11の上側部分の内部を通り、カーテンレール11の外側に出た後、第2の滑車13Bにより一端上側に引かれた後、第3の滑車13Cにより下側に引かれている。
なお、各滑車の直径は、通常、20〜50mmであるが、通常、各滑車の直径に若干の差を付けておくとよい。例えば、第1の滑車13Aの直径は40mm前後、第2の滑車13Bの直径は25mm前後、第3の滑車13Cの直径は30mm前後とすると、引く力を軽減することができる。
【0015】
さらに、ランナー5内を通っている紐体3がフック12に絡むのをより防ぐために、フック12の形状を工夫したり、或いは、図7に示すように、各フック12の外側にマジックテープなどで主カーテン1などに固定するようにした、絡み防止用袋14をそれぞれ取り付けるようにすることもできる。図7は、フック12の外側に絡み防止袋14を取り付けた状態を示す説明図である。この絡み防止用袋14は、袋状の布の外側に面ファスナー[例えば、マジックテープ(登録商標)]などの固着乃至接着手段を設けて、フック12を覆いつつ、主カーテン1又はガイド用カーテン2に固定するようにしたものである。
【0016】
カーテンの開閉は、手動だけでなく、電動とすることもできる。電動とする場合には、モーターとリモートコントローラーなどからなる公知の電動式自動開閉機構を用いればよい。また、手動の場合には、ハンドルを用いた手動式とすることもできる。なお、手動とする場合には、開閉時にかかる力を軽減させるため、二重の紐体(二重ロープ)を用いるとよい。
また、紐体3の端部(3A、3B)を患者が寝ている位置の近くとすれば、患者が寝ながら開閉操作をすることができる。
【0017】
なお、主カーテン1のピッチ、つまりカーテンのフック12の設置間隔は、通常、等間隔とするが、カーテンレール11が曲がって設置されているところでは、その間隔が狭くなるようにしておくことが望ましい。その反対に、カーテンレール11が直線上に設置されているところでは、その間隔が広くなるようにしておくことが望ましい。
また、ガイド用カーテン2のピッチは、横引張力を防止するため、主カーテン1のピッチより小さくしておくことが好ましい。好ましくは、ガイド用カーテン2のピッチは、100〜140mm程度、より好ましくは120mm前後とする。
上記カーテンのフックを、ランナー5に係止すればよい。
【0018】
本発明のカーテン開閉装置は、以上の如き構成からなるものである。
このような本発明のカーテン開閉装置を用いると、まず主カーテン1について、紐体3の端部(3A、3B)のいずれか一方を引いて、例えばベッドの回りを覆うように動かし、主カーテン1でベッドの回りを覆うようにすると、ガイド用カーテン2は畳まれた状態となる。一方、主カーテン1が畳まれるように動かし、主カーテン1が畳まれた状態とすると、ガイド用カーテン2がベッドの回りを覆うことになる。このとき、ガイド用カーテン2は極めて丈が短いことから、邪魔となったり、視界を遮ったりすることがなく、ベッドの回りは開かれた状態となる。
【0019】
本発明のカーテン開閉装置は、ガイド用カーテン2が備えられており、このガイド用カーテン2が案内役となる。このため、開閉させる全体のカーテンの長さは長くなるものの、ガイド用カーテン2の分だけの付加が開閉時にかかることから、曲線部分などで外れたりすることがない。
従って、本発明のカーテン開閉装置によれば、巻き取り又は繰り出し用の紐体3がカーテンレール11から外れたりすることなく、手動で容易に、開閉することができる。
さらに、本発明のカーテン開閉装置によれば、通常のカーテンに極めて簡単な改造を施すだけでよく、大掛かりな改造工事を必要とすることのない、カーテン開閉装置が提供される。
それ故、本発明のカーテン開閉装置は、病院や介護福祉施設などの室内用カーテンとして有効に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】請求項1に係る本発明のカーテン開閉装置の1態様を示す説明図である。
【図2】請求項1に係る本発明のカーテン開閉装置における、主カーテン1とガイド用カーテン2とを示す一部省略説明図である。
【図3】カーテン開閉装置に用いるのに好適なランナー5の1態様を示す正面図である。
【図4】カーテン開閉装置に用いるのに好適なランナー5の1態様を示す側面図である。
【図5】ランナー5がカーテンレール11内に収容されている状態を示す説明図である。
【図6】上下2段構造となっているカーテンレール11末端の外側に滑車3を配置した例を示す説明図である。
【図7】フック12の外側に絡み防止用袋14を取り付けた状態を示す説明図である。
【符号の説明】
【0021】
1 主カーテン
2 ガイド用カーテン
3 カーテン開閉用の紐体
3A 紐体の一方の端部
3B 紐体の他方の端部
4 主カーテン1とガイド用カーテン2の結び点
5 ランナー
6 孔
7 車軸
8 リング取付部
9 中間部
10 リング
11 カーテンレール
11A カーテンレールの上側部分
11B カーテンレールの下側部分
12 フック
13 滑車
13A 第1の滑車
13B 第2の滑車
13C 第3の滑車
14 絡み防止用袋

【特許請求の範囲】
【請求項1】
紐体を巻き取り又は繰り出してカーテンを開閉させるカーテン開閉装置において、主カーテンの前方又は後方に、主カーテンより丈の短いガイド用カーテンを備えたことを特徴とするカーテン開閉装置。
【請求項2】
主カーテンとガイド用カーテンを走行させるランナーとして、紐体を通すための孔が設けられているものを用い、前記孔に紐体を通し、前記紐体を巻き取り又は繰り出してカーテンを開閉させる、請求項1記載のカーテン開閉装置。
【請求項3】
紐体を通すための孔が、ランナーの車軸とリング取付部との間の中間部に設けられている、請求項1又は2記載のカーテン開閉装置。
【請求項4】
紐体の末端を、滑車を介して引張り、紐体を巻き取り又は繰り出すようにした、請求項1〜3のいずれかに記載のカーテン開閉装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−111421(P2007−111421A)
【公開日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−308267(P2005−308267)
【出願日】平成17年10月24日(2005.10.24)
【出願人】(505395836)
【出願人】(505395847)財団法人 さかきテクノセンター (1)
【Fターム(参考)】