説明

カートン

【課題】糊貼りや、シール作業等を必要とせず、手組みで簡単に組み立て可能なカートンを提供することを課題とする。さらには、開封性の良いカートンを提供することを課題とする。
【解決手段】これらの課題を解決するため、本発明のカートンは、蓋部と収容部とを有するカートンであって、前記蓋部は、天面と、左面と、右面と、前面と、の少なくとも4つの外面と、前記左面より連設された左耳面と、前記右面より連設された右耳面と、前記前面より連設された内前面と、の少なくとも3つの内面と、が1枚のブランクに形成されたシート状の蓋部を折り込むことにより、立体形状の蓋部を形成するカートンであって、前記左耳面と前記右耳面とを、前記前面と前記内前面とで、包み込むように折り込むことで、蓋部の各面が固定されて、立体形状の蓋部を形成することを特徴とする、カートンである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、天面と、左面と、右面と、前面と、の少なくとも計4面を有する蓋部と、前後左右の4つの側面からなる側面部と、1つの面からなる底部との、計5面を有する立体形状の収容部と、からなるカートンに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、図27に示すような、蓋部Aと、収容部Bと、からなり、収容部Bの前方へと突出した凸片Kを、蓋部Aの内側に形成された凹部Uに掛止することにより、蓋部Aを収容部Bにロックする、再封性の良いカートンCが知られている。特に、このカートンCは蓋部Aのロック時において、前記凸片Kの先端が自身の弾性力により、凹部Uに勢い良く入り込みロックするため、ロック時にカチッという音を発する特徴がある(例えば特許文献1)。このため消費者は、カートンCがロックされたことを容易に認識することができるという効果がある。
【0003】
この再封性の良いカートンCは、図28の展開図に示すように、蓋部Aと、収容部Bと、凸片Kと、凹部Uを形成するための面Gとの、複数の面が互いに連接されるブランクFから、これら複数の面を互いに糊貼りもしくはシール貼りして、立体形状のカートンCを組み立てる構成である。しかし、この種のカートンCを形成するためには、専用の折り機兼充填機などの大きな設備を必要とするため、小ロット単位で納入する町の小売店、菓子店、ケーキ店などの納品先においては、このような設備を有していない場合がほとんどであり、このため、出荷前に、立体形状のカートンCを予め形成して納品していた。
このため、輸送時にかさばってしまう、輸送コストが高い、などの欠点があった。よって、輸送時のコストを極力低減するため、ブランクFの状態で納品して、納入先で手作業により一つ一つの面を折込み、糊貼りを施して、ブランクFから立体形状のカートンCを組み立てることもあった。
【0004】
このため、納品先において手組みによりカートンを組立てる手間を極力省くため、カートンCの一部のみを出荷前に予め形成して納品することが考えられる。例えば、カートンの蓋部Aのみを形成して出荷した場合、図29に示すように、蓋部Aのみが立体形状で、収容部Bが平面形状の、半立体形状カートンXとなってしまい、結局出荷する際にかさばってしまうという欠点がある。
【0005】
本発明は、上記再封性の良いカートンを、ブランク状態から平面形状のカートンへと予め形成し、該平面形状のカートンを、出荷、納品することにより、輸送時の問題を解消することができるとともに、納品先においては、糊貼りを施すことなく手組み作業だけで、前記平面形状のカートンから立体形状のカートンへと簡単に組立て可能なカートンを提供することである。
【0006】
【特許文献1】特開2002−347757号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、カートンの閉封時に、カチッというロック音が鳴り、ロックしたことを消費者に報知可能な、再封性の良いロック機構を有するカートンを、糊貼り作業を必要とせず、手組みにより簡単に組み立て可能とすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そこで、これらの課題を解決するため、本発明の請求項1記載の発明は、蓋部と収容部とを有するカートンであって、前記蓋部は、天面と、左面と、右面と、前面と、の少なくとも4つの外面と、前記左面より連設された左耳面と、前記右面より連設された右耳面と、前記前面より連設された内前面と、の少なくとも3つの内面と、が1枚のブランクに形成されたシート状の蓋部を折り込むことにより、立体形状の蓋部を形成するカートンであって、前記左耳面と前記右耳面とを、前記前面と前記内前面とで、包み込むように折り込むことで、蓋部の各面が固定されて、立体形状の蓋部を形成することを特徴とする、カートンである。
【0009】
請求項2記載の発明は、前記蓋部を形成する1の面に掛止部を形成し、他の面に被掛止部を形成して、前記シート状の蓋部を折り込み立体形状の蓋部を形成する際に、前記掛止部を前記被掛止部に掛止することにより、蓋部の各面が固定されて、立体形状の蓋部を形成することを特徴とする、カートンである。
【0010】
請求項3記載の発明は、前記内前面に前記掛止部を形成し、かつ、前記天面に前記被掛止部を形成して、前記掛止部を前記被掛止部へと掛止することにより、蓋部の各面を固定することを特徴とする、請求項2記載のカートンである。
【0011】
請求項4記載の発明は、前記内前面に前記掛止部を形成し、かつ、前記左面および右面に前記被掛止部を形成して、前記掛止部を前記被掛止部へと掛止することにより、蓋部の各面を固定することを特徴とする、カートンである。
【0012】
請求項5記載の発明は、前記掛止部を形成した掛止面を前記内前面に連設し、かつ、前記左面および前記右面に前記被掛止部を形成して、前記掛止面の前記掛止部を前記被掛止部へと掛止することにより、蓋部の各面を固定することを特徴とする、カートンである。
【0013】
請求項6記載の発明は、 蓋部と収容部とを有するカートンであって、前記収容部は、
前側面と、左側面と、右側面と、後側面との少なくとも4つの外側面と、該外側面より連設された複数の底面を折込み形成される1つの底部とが、1枚のブランク上に形成されたシート状の収容部から、前記外側面の両端部分を貼り合せてなる筒形状のスリーブ側面部を形成した後、該スリーブ側面部を折りたたんで平面形状の収容部を形成し、該平面形状の収容部から、折り込むことにより、立体形状の収容部を形成することを特徴とする、カートンである。
【0014】
請求項7記載の発明は、前記シート状の蓋部と前記平面形状の収容部とを連設してなる平面形状のカートンから、折り込むことにより、立体形状のカートンを形成することを特徴とする、カートンである。
【0015】
請求項8記載の発明は、前記収容部の前記複数の底面から、オートボトム方式により前記底部を形成することを特徴とする、カートンである。
【0016】
請求項9記載の発明は、前記収容部の1の側面より折り線を介して係止部を連設し該係止部を外方へと折り込むとともに、前記蓋部の1の内面に被係止部を設け、
該被係止部に前記係止部が挿入して、前記蓋部と前記収容部とをロックすることを特徴とする、カートンである。
【0017】
請求項10記載の発明は、前記係止部は、先端へと凸形状を有し、かつ該係止部の先端部分の幅が、前記被係止部の幅より、僅かに小さい幅であることを特徴とする、カートンである。
【0018】
請求項11記載の発明は、前記掛止部若しくは前記係止部は、凸形状の凸片、若しくは1の面、若しくは凸部、であることを特徴とする、カートンである。
【0019】
請求項12記載の発明は、前記被掛止部若しくは前記被係止部は、凹形状のくぼみ、若しくは面の一部を切り抜いた切抜き、若しくは面の一部に形成した切り線を折り込むことにより形成される空洞、若しくは1の面に連設した他の面を折込みこれらの面を互いに貼り合せることにより生じる段差部、であることを特徴とする、請求項2乃至10記載のカートンである。
【発明の効果】
【0020】
本発明の請求項1記載の発明によれば、蓋部と収容部とを有するカートンであって、
前記蓋部は、天面と、左面と、右面と、前面と、の少なくとも4つの外面と、前記左面より連設された左耳面と、前記右面より連設された右耳面と、前記前面より連設された内前面と、の少なくとも3つの内面と、が1枚のブランクに形成されたシート状の蓋部を折り込むことにより、立体形状の蓋部を形成するカートンであって、前記左耳面と前記右耳面とを、前記前面と前記内前面とで、包み込むように折り込むことで、蓋部の各面が固定されて、立体形状の蓋部を形成することを特徴とするから、前記平面形状の蓋部より、糊貼りやシール付け等の作業を必要とせず、簡単な手組み作業により、立体形状の蓋部を形成することが可能である。
【0021】
また、請求項2記載の発明によれば、前記蓋部を形成する1の面に掛止部を形成し、他の面に被掛止部を形成して、前記シート状の蓋部を折り込み立体形状の蓋部を形成する際に、前記掛止部を前記被掛止部に掛止することにより、蓋部の各面が固定されて、立体形状の蓋部を形成することを特徴とするから、糊貼りやシール付け等の作業を必要とせず、各面を掛止部と被掛止部とにより強固に固定することができ、かつ簡単な手組み作業により、立体形状の収容部を形成することが可能である。
【0022】
また、請求項3記載の発明によれば、前記内前面の上方に前記掛止部を形成し、かつ、前記天面に前記被掛止部を形成して、前記掛止部を前記被掛止部へと掛止することにより、蓋部の各面を固定することを特徴とするから、糊貼りやシール付け等の作業を必要とせず、各面を掛止部と被掛止部とにより強固に固定することができ、かつ簡単な手組み作業により、立体形状の収容部を形成することが可能である。
【0023】
また、請求項4記載の発明によれば、前記内前面に前記掛止部を形成し、かつ、前記左面および右面に前記被掛止部を形成して、前記掛止部を前記被掛止部へと掛止することにより、蓋部の各面を固定することを特徴とするから、糊貼りやシール付け等の作業を必要とせず、各面を掛止部と被掛止部とにより強固に固定することができ、かつ簡単な手組み作業により、立体形状の収容部を形成することが可能である。
【0024】
また、請求項5記載の発明によれば、前記掛止部を形成した掛止面を前記内前面に連設し、かつ、前記左面および前記右面に前記被掛止部を形成して、前記掛止面の前記掛止部を前記被掛止部へと掛止することにより、蓋部の各面を固定することを特徴とするから、糊貼りやシール付け等の作業を必要とせず、掛止面の掛止部を被掛止部に強固に固定することができ、かつ簡単な手組み作業により、立体形状の収容部を形成することが可能である。
【0025】
また、請求項6記載の発明によれば、前記収容部は、前側面と、左側面と、右側面と、後側面との少なくとも4つの外側面と、該外側面より連設された複数の底面を折込み形成される1つの底部とが、1枚のブランク上に形成されたシート状の収容部から、前記外側面の両端部分を貼り合せてなる筒形状のスリーブ側面部を形成した後、該スリーブ側面部を折りたたんで平面形状の収容部を形成し、該平面形状の収容部から、折り込むことにより、立体形状の収容部を形成することを特徴とするから、糊貼りを必要とせず簡単な手組み作業により平面形状の収容部から立体形状の収容部を形成することが可能である。
【0026】
また、請求項7記載の発明によれば、前記シート状の蓋部と前記平面形状の収容部とを連設してなる平面形状のカートンから、折り込むことにより、立体形状のカートンを形成することを特徴とするから、糊貼りを必要とせず、簡単な手組み作業により平面形状のカートンから立体形状のカートンを形成することが可能である。
【0027】
また、請求項8記載の発明は、前記収容部の前記複数の底面から、オートボトム方式により前記底部を形成することを特徴とするから、糊貼りやシール付け等の作業を必要とせず、簡単に底部を形成することが可能であり、かつ内容物が重いものであっても、上からの荷重に対する耐力が強いオートボトム方式の底部を形成することが可能である。
【0028】
また、請求項9記載の発明によれば、前記収容部の1の側面より折り線を介して係止部を連設し該係止部を外方へと折り込むとともに、前記蓋部の1の内面に被係止部を設け、該被係止部に前記係止部が挿入して、前記蓋部と前記収容部とをロックすることを特徴とするから、ロック時にカチッという報知音を発し、再封性の良いロック機構を有するカートンを提供することが可能である。
【0029】
また、請求項10記載の発明によれば、前記係止部は、先端へと凸形状を有し、かつ該係止部の先端部分の幅が、前記被係止部の幅より、僅かに小さい幅であることを特徴とするから、係止部の先端部分が被係止部に深く挿入してしまうことを防止して、良好なロック性を有するカートンを提供することが可能である。
【0030】
また、請求項11記載の発明によれば、前記掛止部若しくは前記係止部は、凸形状の凸片、若しくは1の面、若しくは凸部、であることを特徴とするから、簡単な作業工程で掛止部若しくは係止部を形成することが可能である。
【0031】
また、請求項12記載の発明によれば、前記被掛止部若しくは前記被係止部は、凹形状のくぼみ、若しくは面の一部を切り抜いた切抜き、若しくは面の一部に形成した切り線を折り込むことにより形成される空洞、若しくは1の面に連設した他の面を折込みこれらの面を互いに貼り合せることにより生じる段差部、であることを特徴とするから、簡単な作業工程で被掛止部若しくは被係止部を形成することが可能である。
【0032】
このように、本発明は、カートンの閉封時に、カチッというロック音が鳴り、ロックしたことを消費者に報知可能な、再封性の良いロック機構を有するカートンを、糊貼りを必要とせず手組みにより簡単に組み立てることが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下、本発明について図面を参照しつつ説明する。
図1は、本発明の一例としてのカートンKの全体図である。
このカートンKは、内容物を収容するための収容部50と、該収容部50を覆う開封自在な蓋部10とからなる。
前記収容部50は、前後左右の4つの側面が連設される筒形状のスリーブ側面部20と、複数の底面を折込み形成される底部30とからなる、開口部を除いた計5つの外面を有する。
また、前記蓋部10は、前記収容部50の開口部を覆う天面と、収容部50の前側を覆う前面と、左右側を覆う、左面と右面とからなる、計4つの外面を有する。
【0034】
このカートンKは、図2の展開図に示すように、シート状の蓋部10'と、シート状のスリーブ側面部20'とシート状の底部30'とからなるシート状の収容部50'とが、1枚のブランク上に折り線を介して連設され、シート状のカートン1を形成している。
【0035】
前記シート状の蓋部10'は、前面11と、天面12と、左面13と、右面14と、の4つの外面が、それぞれ折り線を介して連設されている。
そして、前記前面11からは、さらに内前面17が折り線を介して連設され、また、前記左面13および前記右面14からは、さらに左耳面15および右耳面16が折り線を介してそれぞれ連設されている。
前記内前面17には、掛止部61である凸部62が形成され、また、前記天面12には、被掛止部71である切抜き72が形成されており、後述する(「0048」)、カートン組立て時に内前面17に形成された掛止部61を、天面12に形成された被掛止部71に掛止することにより、蓋部10の各面を糊貼りを必要とせずに固定することが可能である。
【0036】
また、内前面17の略中央部分には、被係止部91である切抜き92が形成されており、後述する(「0091」)、蓋部10のロック時に、収容部50に形成された係止部81を、被係止部91に係止することにより、カチッというロック音を発するロック機構を有することが可能である。
【0037】
前記シート状のスリーブ側面部20'は、後側面22と、右側面24と、前側面21と、左側面23と、の4つの外面が横方向に一列に連設されている。
そして、この4つの外面の両端を貼り合せて筒形状のスリーブを形成するための貼側面25が、前記後側面22より連設されている。
前側面21の上方には、先端にかけて凸形状を有する面である係止部81が折り線を介して連設されており、前記蓋部10に形成された前記被係止部91に、この係止部81を係止することにより、蓋部10を収容部50へとロックすることが可能である。
【0038】
前記シート状の底部30'は、底面32と、底面34と、底面31と、底面33とからなる複数の底面(32、34、31、33)からなり、前記スリーブ側面部20'の各側面(22、24、21、23)より折り線を介して連設されている。
そして、前記底面32からはさらにオートボトム貼合面32'が連設され、前記底面31からはさらにオートボトム貼合面31'が連設されており、後述する(「0046」)、オートボトム方式により底部30を形成することが可能である。
【0039】
ここでいうオートボトム方式とは、例えば特開2000−109054号等に開示されており、平面状のカートンを折りながら引き起こすと、自動的に底部が形成される自動ロック構造の一形態である。従来より、菓子等を収容した状態で販売される紙箱や、商品を陳列する紙箱として、オートボトム方式のものが知られており、オートボトムとは、一枚のブランクから構成される紙箱において、これを折り畳んだ状態から箱状に拡げると、箱の底部がそれと同時に自動的に構成されるものをいう。特徴としては、使用時に簡単に組み立てられることや、手詰め用に便利、ある程度の重量にも耐えられる構造であることや、非常に高速製箱できことなどがあり、日本酒の箱などの縦形で使用される商品に多く用いられている方式である。
【0040】
このように、シート状の蓋部10'と、シート状のスリーブ側面部20'と、シート状の底部30'とが、1枚のブランク上に連設されてシート状のカートン1を形成している。
【0041】
次に、このシート状のカートン1から、平面形状のカートン2を形成する方法を、以下に説明する。
【0042】
図3に示すように、まず、前記シート状の底部30'の、複数の底面(33、31、34、32)をそれぞれ内側へと折り込み、さらに、底面31に連設されたオートボトム貼合面31'と、底面32に連設されたオートボトム貼合面32'と、をそれぞれ外側へと折込む。そして、オートボトム貼合面31'と、底面33とを貼り合せ、オートボトム貼合面32'と、底面34とを貼り合せる。
【0043】
そして、前記シート状のスリーブ側面部20'の、各側面(23、21、24、22)を折り線に沿って折り込むとともに、後側面22より連設された貼側面25と、左側面23の端部とを貼り合せて、筒形状のスリーブを形成する。最後に、スリーブ側面部20'と、底部30'とを、平面状に折りたたむと、図4に示すような、蓋部10と、スリーブ側面部20と、底部30と、の全ての面が略平面となる、平面形状のカートン2が形成される。
【0044】
通常、このような平面形状のカートン2の状態で、保管、運搬等を行なうことにより、保管・輸送コストの削減を図ることが可能である。
特に、この平面形状のカートン2から、後述する(「0046」)、立体形状のカートン3へと組み立てる際には、一切の糊貼り作業やシール作業を必要としないため、専用の折り機兼充填機を必要とせず、手組みにより簡単にカートンKを組み立てることが可能である。
【0045】
次に、この平面形状のカートン2から、立体形状のカートン3へと組み立てる方法を以下に説明する。
【0046】
まず、図5に示すように、スリーブ側面部20を折り線に沿って矢印の方向に起立させると、筒形状のスリーブ側面部20が形成されるとともに、オートボトム方式の複数の底面が、自動的に矢印の方向へと飛び出して底部30を形成する。
よって、糊貼り作業を経ることなく、図6に示すような、立方体の収容部50を形成することが可能である。また、底部30をオートボトム式とすることにより、内側からの荷重に対する強度が高いため、質量の重い内容物に適したカートンを提供することが可能である。
【0047】
次に、蓋部10を組み立てる方法を説明する。図7(a)に示すような、立方体の収容部50を形成した後、図7(b)に示すように、蓋部10の左面13と右面14とを、折り線に沿って内側へと折込み、前記左面13と前記右面14とからそれぞれ連設された左耳面15と右耳面16とをさらに内側へと折り込む。
【0048】
そして、図8(a)に示すように、前記左耳面15と右耳面16とを包み込むようにして、前面11と内前面17とをそれぞれ内側へと折込み、前記内前面17の先端に形成された掛止部61である凸部62を、前記天面12に形成された被掛止部71である切抜き72へと挿入して掛止することにより、蓋部10の各面が固定されて、図8(b)に示すような、立体形状の蓋部10を完成する。最後に、スリーブ側面部20の前側面21に形成された、係止部81を手前側に折込んで、立体形状のカートン3を完成する。
【0049】
以上のようにして、平面形状のカートン2から立体形状のカートン3へと、糊貼りを必要とせず、簡単な手組みによりカートンKを形成することが可能である。
【0050】
本発明のカートンKは、蓋部10に形成される掛止部61および被掛止部71の組み合わせや、底部30の構成などを変えることにより、カートンKの様々な展開図のパターンが考えられる。そして、前述同様に、シート状のカートン1から平面形状のカートン2を形成し、この平面形状のカートン2から糊貼りを必要とせずに簡単な手組みにより立体形状のカートン3を形成することが可能である。
【0051】
以下に、本発明のカートンKのさらに別の例を示す。
図9の展開図に示すように、蓋部10の掛止部61は、前記内前面17よりさらに折り線を介して連設された掛止面63であっても良い。また、底部30は、複数の底面(31、33、32、34)から通常の手組みにより形成可能な底部30であってもよい。
【0052】
この場合、シート状の蓋部10'と、シート状のスリーブ側面部20'とシート状の底部30'とからなるシート状の収容部50'が、1枚のブランク上に折り線を介して連設され、シート状のカートン1を形成している。
【0053】
シート状の蓋部10'は、前面11と、天面12と、左面13と、右面14と、の4つの外面が、それぞれ折り線を介して連設されている。
前記前面11からは、さらに内前面17が折り線を介して連設され、また、前記左面13および前記右面14からは、さらに左耳面15および右耳面16が折り線を介してそれぞれ連設されている。
【0054】
そして、前記内前面17からは、さらに掛止部61である掛止面63が形成され、また、前記左面13および右面14には、被掛止部71である切り線73が形成されている。
【0055】
掛止面63の左右両側は、内前面17の横幅Yより僅かに大なる横幅Y'となるよう(Y<Y')な凸部B(2×B=Y'−Y)が形成されている。
一方、被掛止部71の切り線73は、天面12と、左面13または右面14と接する折り線部分から、左面13または右面14にかけて形成されているため、左面13または右面14を、天面12より垂直に折り込むことにより、前記切り線73に囲まれる部分に空洞が形成される。
よって、後述する(「0064」)、カートンKの組立て時に、前記掛止面63の前記凸部Bを、前記被掛止部71に挿入して掛止することにより、蓋部10の各面を糊貼りを必要とせずに固定することが可能である。
【0056】
また、内前面17の略中央部分には、被係止部91が形成されており、後述する(「0091」)、蓋部10のロック時に、収容部50に形成された係止部81を、被係止部91に係止することにより、カチッというロック音を発するロック機構を有することが可能である。
【0057】
シート状のスリーブ側面部20'は、前側面21と、左側面23と、後側面22と、右側面24と、の4つの外面が横方向に一列に連設されている。
そして、4つの外面の両端部分を貼り合せて、筒形状のスリーブを形成するための貼側面25が、前記前側面21に連設されている。
また、前側面21の上方には、係止部81が折り線を介して連設されており、前記蓋部10に形成された前記被係止部91に、この係止部81を係止することにより、蓋部10を収容部50へとロックすることが可能である。
【0058】
特に、係止部81は、前側面21の上縁から下方へと窪んだ位置に形成されており、容器を形成した際に、係止部81を外側に折り込むと、収容部の前側面21の上方に開口部分が形成されるため、より開口部を広く形成することができる効果がある。
【0059】
シート状の底部30'は、前側面21より連設される底面31と、左側面23より連設される底面33と、後側面より連設される底面32と、右側面24より連設される底面34とからなる複数の底面(31、33、32、34)が、それぞれ折り線を介して連設されている。
【0060】
このように、シート状の蓋部10'と、シート状のスリーブ側面部20'と、シート状の底部30'とが、1枚のブランク上に連設されてシート状のカートン1を形成している。
【0061】
次に、このシート状のカートン1から、平面形状のカートン2を形成する方法を、以下に説明する。
【0062】
まず、シート状のスリーブ側面部20'の、各側面(21、23、22、24)を折り線に沿って折り込むとともに、前側面21より連設された貼側面25と、右側面24の端部とを貼り合せて、筒形状のスリーブ側面部を形成する。
そして、このスリーブ側面部20'を、平面状に折りたたむと、図10に示すような、蓋部10と、スリーブ側面部20と、底部30と、の全ての面が略平面となる、平面形状のカートン2が形成される。
【0063】
次に、この平面形状のカートン2から、立体形状のカートン3へと組み立てる方法を以下に説明する。
まず、前記平面形状のカートン2の、スリーブ側面部20を引き起こして、図11(a)に示すように、立体筒形状のスリーブ側面部20を形成する。
そして、図11(b)に示すように、蓋部10の左面13と、右面14とを、折り線に沿って内側へと折込み、さらに左耳面15と右耳面16とを内側へと折り込む。
このとき、左面13および右面14が天面12に対して垂直に折り込まれると、左面13および右面14に形成された切り線73に囲まれていた部分は、天面と同様の水平状態を保つ。そして、左面13および右面14の切り線73の内側部分が空洞(被掛止部71)を形成する。よって、後述する、掛止面61の凸部Bをこの被掛止部71に挿入して掛止することが可能である。
【0064】
次に、図12(a)に示すように、前記左耳面15と右耳面16とを包み込むように、前面11と内前面17をそれぞれ内側へと折込み、さらに、掛止面63を外側へと折込み、該掛止面63の両側に形成された2つの凸部Bを、前記左面13および右面14に形成された2つの空洞からなる被掛止部71へと、挿入して掛止することにより、蓋部10の各面を固定して、図12(b)に示すように、立体形状の蓋部10を完成する。
【0065】
最後に、複数の底面(31、32、33、34)を折込んで底部30を形成した後、スリーブ側面部20の前側面21の上方に形成された、前記係止部81を手前側に折込んで、図13に示すような、立体形状のカートン3を完成する。このようにして、平面形状のカートン2から、簡単な手組みにより、立体形状のカートン3を形成することができる。
【0066】
このように、掛止部および被掛止部を、蓋部の左右の面に形成することにより、正面の意匠性を損なうことなく、より強固に蓋部の各面を固定することが可能である。
【0067】
以下に、本発明のカートンKのさらに別の例を示す。
図14の展開図に示すように、蓋部10の掛止部61は、前記内前面17の左右両側に連設された凸片64であって、一方、被掛止部71は、左面13および前記右面14より連設され、かつ前記左面13および前記右面14の形状より、僅かに小なる形状を有する被掛止面74を、後述する(「0077」)、前記左面13および前記右面14の内側へと折込み、貼り合わせることにより形成される被掛止面74と、前記左面13および前記右面14とで、形成される段差からなる段差部Qであっても良い。
そして、底部30は、複数の底面(31、33、32、34)を通常の手組みにより形成可能な底部30であっても良い。
【0068】
この場合、シート状の蓋部10'と、シート状のスリーブ側面部20'と、シート状の底部30'とが、1枚のブランク上に折り線を介して連設され、シート状のカートン1を形成している。
【0069】
シート状の蓋部10'は、前面11と、天面12と、左面13と、右面14と、の4つの外面が、それぞれ折り線を介して連設されている。
前記前面11からは、さらに内前面17が折り線を介して連設され、また、前記左面13および前記右面14からは、さらに左耳面15および右耳面16が折り線を介してそれぞれ連設されている。
【0070】
そして、前記内前面17の左右両側には、さらに掛止部61である凸片64が折り線を介して連設され、また、前記左面13および右面14には、前記左面13および前記右面14の形状より、僅かに小なる形状を有する被掛止面74が折り線を介して連設されている。
【0071】
特に、前記凸片64と前記被掛止面74とは、これらを組み合わせて前記左面13または右面14の形状と略同形状を有しており、前記被掛止面74を前記左面13および前記右面14の内側にそれぞれ折込み貼り合わせることにより、前記左面13と前記右面14との内側に、前記被掛止面74の断面厚さからなる段差部Qを形成することができる。
そして、この段差部Qを被掛止部71として、前記凸片64を被掛止部71に掛止することにより蓋部10を形成する可能である。
【0072】
また、内前面17には、被係止部91が形成されており、蓋部10のロック時に、収容部50に形成された係止部81を、被係止部91に係止することにより、カチッというロック音を発するロック機構を有することが可能である。
【0073】
シート状のスリーブ側面部20'は、後側面22と、右側面24と、前側面21と、左側面23と、の4つの外面が横方向に一列に連設されている。
そして、この4つの外面の両端部分を貼り合せて、筒形状のスリーブを形成するための貼側面25が、前記後側面22に連設されている。
また、前側面21の上方には、係止部81が折り線を介して連設されており、前記蓋部10に形成された前記被係止部91に、この係止部81を係止することにより、蓋部10を収容部50へとロックすることが可能である。
【0074】
シート状の底部30'は、前側面21より連設される底面31と、左側面23より連設される底面33と、右側面24より連設される底面34と、前記底面31よりさらに連設される底面35と、からなる複数の底面(31、33、32、34)が、それぞれ折り線を介して連設されている。
【0075】
このように、シート状の蓋部10'と、シート状のスリーブ側面部20'と、シート状の底部30'とが、1枚のブランク上に連設されてシート状のカートン1を形成している。
【0076】
次に、このシート状のカートン1から、平面形状のカートン2を形成する方法を、以下に説明する。
【0077】
まず、シート状の蓋部10'の左面13および右面14より連設された被掛止面74をそれぞれ内側に折込み、左面13および右面14に貼り合せる。そして、シート状のスリーブ側面部20'の、各側面(22、24、21、23)を折り線に沿って折り込むとともに、後側面22より連設された貼側面25と、左側面23の端部とを貼り合せて筒形状のスリーブ側面部20を形成する。そして、スリーブ側面部20を、折り線に沿って平面状に折りたたむと、図15に示すような、蓋部10と、スリーブ側面部20と、底部30と、の全ての面が略平面となる平面形状のカートン2が形成される。
【0078】
次に、この平面形状のカートン2から、立体形状のカートン3へと組み立てる方法を以下に説明する。
【0079】
まず、前記平面形状のカートン2の、スリーブ側面部20を引き起こして、図16(a)に示すように、立体筒形状のスリーブ側面部20を形成する。
そして、蓋部10の左面13と、右面14とを、折り線に沿って内側へと折込み、さらに前記左面13と前記右面14とからそれぞれ連設された左耳面15と右耳面16とを内側へと折り込む。
このとき、左右の被掛止面74と、左耳面15および右耳面16と、天面12と、で囲まれる空間が段差部Qが形成される。
【0080】
次に、図17(a)に示すように、蓋部10の前内面17の左右端に連設された凸片64を外側へと折込んだ後、前記左耳面15と右耳面16を包み込むように、蓋部10の前面11と内前面17をそれぞれ内側へと折り込む。
このとき、前記凸片64が、前記左面13および前記右面14の内側に貼り合わせた前記被掛止面74を乗り越えて、前記段差部Qへと入り込むことにより、蓋部10の各面を固定して、図17(b)に示すように、立体形状の蓋部10を完成する。
【0081】
そして、図18(a)に示すように、複数の底面(31、33、34、35)を折込んで、底部30を形成し、最後に、スリーブ側面部20の前側面21の上方に形成された係止部81を手前側に折込んで、図18(b)に示すような、立体形状のカートン3を完成する。このようにして、平面形状のカートン2から、簡単な手組みにより、立体形状のカートン3を形成することができる。
【0082】
特に、凸片64が、左面13および右面14の内側に貼り合せた被掛止面74を乗り越えて、前記段差部Qへと入り込むことにより各面を掛止する場合、前述のような、面の一部を切り抜いた切抜き72、若しくは面の一部に形成した切り線73を折り込むことにより形成される空洞を形成して被掛止部71とし、この被掛止部71に掛止部61を掛止する構成とは異なり、蓋部10に切り抜き72や切り線73を形成する必要がない。よって、蓋部10の意匠性を損なうことがない効果がある。
【0083】
さらには、前述の切り抜き72や、切り線73を折り込むことにより形成される空洞部分に、掛止部61を挿入して掛止する場合、掛止部61の一部が少なくとも切り抜き又は空洞部分より突出することとなる。そして、この突出した部分に何かが接触してしまうと、掛止部61が被掛止部71から外れてしまう恐れがある。しかし、この方法では、蓋部10の外側に掛止部61が突出しないため、外部からの接触等の要因により、容易に掛止が外れてしまうようなことがない効果がある。
【0084】
以上のように、本発明のカートンKは、シート状のカートン1から、筒形状のスリーブ側面部20を形成し該スリーブ側面部20を折りたたむことにより、平面形状のカートン2を形成することが可能である。さらには、この平面形状のカートン2から、一切の糊貼り作業やシール作業を必要とせず、手組みにより簡単に立体形状のカートン3を形成することができる。よって、平面形状のカートン2の状態で、出荷、納品することができ、また、平面形状のカートン2から、特殊な折り機を必要とせずに、手組みにより簡単に立体形状のカートン3を形成することが可能である。
【0085】
蓋部10の各面を固定するための前記掛止部61としては、凸形状を有する形態であればよく、例えば、凸形状の凸片、若しくは1の面、若しくは凸部などが挙げられる。
【0086】
また、被掛止部71としては、凹形状を有する形態であれば良く、例えば、凹形状のくぼみ、若しくは面の一部を切り抜いた切抜き、若しくは面の一部に形成した切り線を折り込むことにより形成される空洞、若しくは1の面に連設した他の面を折込みこれらの面を互いに貼り合せることにより生じる段差部などが挙げられる。
【0087】
次に、カートンKの蓋部10と収容部50とを、ロックする(閉封する)方法について以下に述べる。
前述のとおり、蓋部10の内前面17には被係止部91が形成されており、一方、収容部50には係止部81が形成されている。
収容部50の係止部81は折れ線を介して外側へと折られており、このため僅かに外方へと開いた状態となっている。そして、係止部81の先端が、蓋部10の被係止部91へと挿入されることにより、蓋部10を収容部50へと係止する構成である。
【0088】
カートンKの閉封時は、図19に示すように、前記蓋部10の内前面17に形成された被係止部91に、前記収容部50の前側面21に形成された係止部81の先端が挿入して係止されることにより、蓋部10を収容部50にロック(閉封)している。
ここで、図19中、(a)はカートンKの全体斜視図を示し、(b)はこのカートンKの中心部分の切断面図を示す。
【0089】
そして、カートンKの開封時には、図20に示すように、蓋部10の上方向(矢印方向)への開封回動とともに、係止部81が該係止部81の付け根を軸として上方向へと回転する。
そして、図21に示すように、蓋部10のさらなる回動に伴い、前記係止部81が前記被係止部91から抜けて、蓋部10が開封される。
【0090】
一方、カートンKの閉封時は、図22に示すように、蓋部10の下方向(矢印方向)への閉封回動に伴い、蓋部10の前内面17が、収容部50の係止部81の先端と当接して、該係止部81を折り込むとともに、前記係止部81の先端が、内前面17上を摺動する。
【0091】
その後、さらなる蓋部10の回動に伴い、図23に示すように、前記収容部50の係止部81先端が、被係止部91へと入り込み、前記収容部50と、前記蓋部10と、をロック(閉封)する構成である。
【0092】
特に、係止部81が蓋部10に接して折り込まれることにより生じる係止部81の反発力により、係止部81先端が、被係止部91に入り込む際に、係止部81先端が、前面11の裏面に勢い良く当接して、カチッという小気味良い音を発するものである。
【0093】
また、蓋部10をロック(閉封)する際に、前記係止部81の先端が、前記被係止部91へと深く挿入されてしまうと、その後の蓋部10の開封時に、蓋部10をスムースに開封できない恐れがある。
よって、前記係止部81の先端の幅Tを、前記被係止部91の幅Dより僅かに小さく形成することにより、前記係止部81の係止深さHを決定することが可能である。
【0094】
例えば、図24に示すように、係止部81を先端にかけて細くなる凸形状とし、係止部81の先端部分の幅Tが、被係止部91の幅Dより僅かに小さく形成することにより(T≒D)、係止部81が被係止部91に挿入する深さHを規制することができる。
また、図25に示すように、係止部81の先端部分82のみを凸形状として、該先端部分82のみが、前記被係止部91に挿入できるように、被掛止部の幅Dを規制しても良い。
【0095】
そして、図24で示した方法では、被係止部91の開口の高さは、極力低く形成してスリット形状とすることが望ましい。しかし、通常では、開口を形成する際に、スリット形状の開口を形成するためにはシビアな位置決めなどが要求されるため、極力、大きな形状の開口を形成する方法が望ましいことがある。この場合、図25に示したように、係止部81の先端部分のみを凸形状とすることにより、大きな形状の開口からなる被係止部91であっても、係止部81が被係止部91内に深く挿入されてしまうことを防ぐ効果がある。
【0096】
また、図26に示すように、前記被係止部91は、面の一部に形成された水平の切り込みVであって、該切り込みVの上方を、係止部81で押すことにより形成される湾曲面V1と、切り込みVの下方の非湾曲面V2と、により形成される凹凸形状の凹部であっても良い。
この場合、前記内前面17に水平方向の切り込みVを形成し、該切れ込みVの上方(V1)と、下方(V2)と、に生じる凹凸形状の段差(凹部)を被係止部91として、前記係止部81の先端を乗せる(係止する)ことで、蓋部10のロックを行なうことが可能である。
【0097】
詳しくは、蓋部10の閉封時、前記切り込みV(91)を挟んで上方の面(V1)を、前記係止部81の先端が摺動しつつ押すことにより、前記切り込みVの上方の面(V1)が押方向へと湾曲(湾曲面)し、かつ、切り込みVの下方(V2)の面は、直線形状(被湾曲面)を維持するため、これらの面(V1)(V2)が凹凸形状の段差を形成することとなる。よって、切れ込みVの直線断面上(91)に、係止部81の先端が乗り、蓋部が上方向へと回動することを防ぐことで、蓋部10をロックすることが可能であり、かつ、切り込みVを形成するだけで簡単に被係止部を形成することできる効果がある。
【0098】
蓋部と収容部とをロックするための前記係止部81としては、凸形状を有する形態であればよく、例えば、凸形状の凸片、若しくは1の面、若しくは凸部などが挙げられる。
【0099】
また、被係止部91としては、凹形状を有する形態であれば良く、例えば、凹形状のくぼみ、若しくは面の一部を切り抜いた切抜き、若しくは面の一部に形成した切り線を折り込むことにより形成される空洞、若しくは1の面に連設した他の面を折込みこれらの面を互いに貼り合せることにより生じる段差部などが挙げられる。
【0100】
以上のように本発明は、平面形状のカートン2から、一切の糊貼り作業を経ずに簡単な手組みで立体形状のカートン3を形成可能であり、また、前述のロック機構により、特に、カートンKの閉封時に、カチッというロック音が鳴り、ロックしたことを消費者に報知しかつ再封性の良いカートンKを提供することができる。
【0101】
本発明のカートンKにおいて、平面形状の蓋部から立体形状の蓋部を形成であれば、前記蓋部に形成された掛止部および被掛止部の位置は、特に限定されない。また、前記係止部および被掛止部は、蓋部と収容部とをロック可能な位置に形成すれば良く、例えば、蓋部に係止部を、収容部に被係止部を形成しても良い。
【0102】
また、本発明のカートンは、紙箱に限らず、プラスチック、多層フィルム、プラスチック樹脂をコーティングした紙など様々な材質からなるカートンに適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0103】
【図1】本発明のカートンの一例を示す全体斜視図である。
【図2】本発明のカートンを示す展開図である。
【図3】本発明のカートンを示す展開図である。
【図4】平面形状のカートンを示す全体斜視図である。
【図5】平面形状のカートンから立体形状のカートンを形成する説明図である。
【図6】平面形状のカートンから立体形状のカートンを形成する説明図である。
【図7】平面形状のカートンから立体形状のカートンを形成する説明図である。
【図8】平面形状のカートンから立体形状のカートンを形成する説明図である。
【図9】本発明のカートンの別の例を示す展開図である。
【図10】平面形状のカートンを示す全体斜視図である。
【図11】平面形状のカートンから立体形状のカートンを形成する説明図である。
【図12】平面形状のカートンから立体形状のカートンを形成する説明図である。
【図13】立体形状のカートンを示す斜視図である。
【図14】本発明のカートンの別の例を示す展開図である。
【図15】平面形状のカートンを示す全体斜視図である。
【図16】平面形状のカートンから立体形状のカートンを形成する説明図である。
【図17】平面形状のカートンから立体形状のカートンを形成する説明図である。
【図18】平面形状のカートンから立体形状のカートンを形成する説明図である。
【図19】カートンの蓋部と収容部とをロックする際の説明図である。
【図20】カートンの蓋部と収容部とをロックする際の説明図である。
【図21】カートンの蓋部と収容部とをロックする際の説明図である。
【図22】カートンの蓋部と収容部とをロックする際の説明図である。
【図23】カートンの蓋部と収容部とをロックする際の説明図である。
【図24】カートンの係止部と被係止部とを示す説明図である。
【図25】カートンの係止部と被係止部とを示す説明図である。
【図26】カートンの係止部と被係止部とを示す説明図である。
【図27】従来のカートンの一例を示す全体斜視図である。
【図28】従来のカートンを示す展開図である。
【図29】従来のカートンを示す全体斜視図である。
【符号の説明】
【0104】
K カートン
1 シート状のカートン
2 平面形状のカートン
3 立体形状のカートン
10 蓋部
11 前面
12 天面
13 左面
14 右面
15 左耳面
16 右耳面
17 内前面
18 ガイド面
20 スリーブ側面部
21 前側面
22 後側面
23 左側面
24 右側面
25 貼合面
30 底部
31、32、33、34、35 底面
50 収容部
61 掛止部
62 凸部
63 掛止面
64 凸片
71 被掛止部
72 切抜き
73 切り線
74 被係止面
81 係止部
82 先端部分
91 被掛止部
92 切抜き
Q 段差部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓋部と収容部とを有するカートンであって、
前記蓋部は、
天面と、左面と、右面と、前面と、の少なくとも4つの外面と、
前記左面より連設された左耳面と、前記右面より連設された右耳面と、前記前面より連設された内前面と、の少なくとも3つの内面と、が1枚のブランクに形成されたシート状の蓋部を折り込むことにより、立体形状の蓋部を形成するカートンであって、
前記左耳面と前記右耳面とを、前記前面と前記内前面とで、包み込むように折り込むことで、蓋部の各面が固定されて、立体形状の蓋部を形成することを特徴とする、カートン。
【請求項2】
前記蓋部を形成する1の面に掛止部を形成し、他の面に被掛止部を形成して、前記シート状の蓋部を折り込み立体形状の蓋部を形成する際に、前記掛止部を前記被掛止部に掛止することにより、蓋部の各面が固定されて、立体形状の蓋部を形成することを特徴とする、請求項1記載のカートン。
【請求項3】
前記内前面に前記掛止部を形成し、かつ、前記天面に前記被掛止部を形成して、前記掛止部を前記被掛止部へと掛止することにより、蓋部の各面を固定することを特徴とする、請求項2記載のカートン。
【請求項4】
前記内前面に前記掛止部を形成し、かつ、前記左面および右面に前記被掛止部を形成して、前記掛止部を前記被掛止部へと掛止することにより、蓋部の各面を固定することを特徴とする、請求項2乃至3記載のカートン。
【請求項5】
前記掛止部を形成した掛止面を前記内前面に連設し、かつ、前記左面および前記右面に前記被掛止部を形成して、前記掛止面の前記掛止部を前記被掛止部へと掛止することにより、蓋部の各面を固定することを特徴とする、請求項2乃至4記載のカートン。
【請求項6】
蓋部と収容部とを有するカートンであって、
前記収容部は、
前側面と、左側面と、右側面と、後側面との少なくとも4つの外側面と、
該外側面より連設された複数の底面を折込み形成される1つの底部とが、1枚のブランク上に形成されたシート状の収容部から、
前記外側面の両端部分を貼り合せてなる筒形状のスリーブ側面部を形成し、該スリーブ側面部を折りたたんで平面形状の収容部を形成した後、該平面形状の収容部から、折り込むことにより、立体形状の収容部を形成することを特徴とする、請求項1乃至5記載のカートン。
【請求項7】
前記シート状の蓋部と前記平面形状の収容部とを連設してなる平面形状のカートンから、折り込むことにより、立体形状のカートンを形成することを特徴とする、請求項1乃至6記載のカートン。
【請求項8】
前記収容部の前記複数の底面から、オートボトム方式により前記底部を形成することを特徴とする、請求項1乃至7記載のカートン。
【請求項9】
前記収容部の1の側面より折り線を介して係止部を連設し該係止部を外方へと折り込むとともに、前記蓋部の1の内面に被係止部を設け、
前記係止部を前記被係止部に係止して、前記蓋部と前記収容部とをロックすることを特徴とする、請求項1乃至8記載のカートン。
【請求項10】
前記係止部は、先端へと凸形状を有し、かつ該係止部の先端部分の幅が、前記被係止部の幅より、僅かに小さい幅であることを特徴とする、請求項9記載のカートン。
【請求項11】
前記掛止部若しくは前記係止部は、凸形状の凸片、若しくは1の面、若しくは凸部、であることを特徴とする、請求項2乃至10記載のカートン。
【請求項12】
前記被掛止部若しくは前記被係止部は、凹形状のくぼみ、若しくは面の一部を切り抜いた切抜き、若しくは面の一部に形成した切り線を折り込むことにより形成される空洞、若しくは1の面に連設した他の面を折込みこれらの面を互いに貼り合せることにより生じる段差部、であることを特徴とする、請求項2乃至10記載のカートン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【公開番号】特開2007−284120(P2007−284120A)
【公開日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−114682(P2006−114682)
【出願日】平成18年4月18日(2006.4.18)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】