説明

カートン

【課題】大きな力や手間を要することなくつまみ片を容器本体から剥離させることができ、コストアップを招くこと無く、簡便な構成によって容易に開封することが可能なカートンを提供する。
【解決手段】上面が開口部21とされた容器本体2と、該容器本体2に取付けられて開口部21を覆う開閉自在な蓋部3とを有し、蓋部3の前板3B又は側板3C、3Cには、容器本体2の正面板2A又は側面板2C、2Cに接着されるつまみ片11が設けられており、つまみ片11に、少なくとも一以上の補助つまみ片15が備えられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉末洗剤等の粉体やその他の固形物を収容するためのカートンに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、粉末洗剤等の粉体を収納するための収納容器として、厚紙製もしくはプラスチックフィルムをラミネートした厚紙製のカートンが広く用いられている。通常、このようなカートンは、上面が開口部とされた容器本体と、この開口部を覆う開閉式の蓋部とから概略構成されており、蓋部が容器本体に対してヒンジ部を回動支点として自由に開閉できるようになっている。また、このようなカートンでは、一般的に、洗剤がこぼれ落ちたり湿気を帯びたりするのを防止するため、蓋部に備えられたつまみ片に係合片が設けられ、該係合片を容器本体に形成された係合穴に挿入することにより、蓋部を係合固定する係合機構が備えられているものがある。
【0003】
カートンに用いられる係合機構としては、例えば、つまみ片を回動することにより該つまみ片と一体になって回動する係合片を間隙内にコハゼ掛けに挿入し、開閉自在とされた蓋部を定位置にロックするようにしたものがある。そして、このような係合機構が備えられたカートンは、内部に粉末洗剤等が収容され、つまみ片裏側が、容器本体の正面板に対して、ホットメルト等による糊付によって接着され、封緘状態のカートン入り商品として出荷されている。
【0004】
上述のような、容器本体と蓋部とを有するとともに係合機構が備えられ、出荷時に蓋部の接着部が容器本体に接着されてなるカートンとして、例えば、容器本体に備えられる係合穴と、蓋部に備えられるつまみ片に設けられた係合片とからなる係合機構が備えられ、また、容器本体の背面側において前記蓋部がヒンジ結合されてなる構成のものが提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
また、係合片を備えたつまみ片が蓋部に設けられるとともに、容器本体の正面板に係合片が挿入可能とされた係合挿入部が形成され、該係合挿入部の上縁部に係合片と係合可能とされた切れ込み片が形成され、該切れ込み片の基端部に折罫線が刻設されてなるカートンが提案されている(例えば、特許文献2を参照)。
【0005】
しかしながら、特許文献1、2に記載のカートンでは、初回使用時に、蓋部に備えられた係合片を指で摘んで開封する場合、つまみ片と容器本体の正面板との間に隙間が無いため、指先や爪を挿入することができず、つまみ片を摘み上げるのが困難であるという問題があった。
【0006】
また、開封の際の操作性を改善するため、カートンの開口部を覆う蓋部の前板につまみ片を設け、このつまみ片の左右端縁間を結ぶ谷折り用罫線が形成されるとともに、前記つまみ片と容器本体との接着部が、前記つまみ片の谷折り用罫線よりも下方に設けられたものが提案されている(例えば、特許文献3を参照)。
しかしながら、特許文献3に記載のカートンは、開封の際、つまみ片を谷折り用罫線から引き上げて容器本体より剥離させて使用されるものであり、また、前記接着部が谷折り用形成よりも下方に設けられた構成なので、容器本体とつまみ片との間に使用者が指を挿入するのが困難となり、開封がし難いという問題があった。
【特許文献1】特許第3502631号公報
【特許文献2】特許第3880611号公報
【特許文献3】特開2005−200059号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
さらに、上述のようなカートンは、板紙単体や、防湿性向上のための樹脂層を含んだ板紙を用いて裁断、成形等の処理が行なわれ、包装容器としての生産性を確保しながら輸送やハンドリング適正等を確保するとともに、消費者が満足できる使用性を確保することが重要となる。しかしながら、一方では、有効な環境対策を実行し、また、可能な限りのコストダウンを実現しなければならないという問題がある。
このため、開封時、つまみ片を本体から容易に引き剥がすことができるとともに、環境に対して有害な廃棄物を排出することなく、製造コストを低減することが可能なカートンが切に望まれていた。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、大きな力や手間を要することなくつまみ片を容器本体から剥離させることができ、コストアップを招くこと無く、簡便な構成によって容易に開封することが可能なカートンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者等が、上記課題を解決するために鋭意検討したところ、カートンの蓋部に設けられるつまみ片に補助つまみ片を設けた構成とすることにより、正面板に接着されたつまみ片を、大きな力を要することなく容易に引き上げて剥離させることができることを見出した。またさらに、上述のような補助つまみ片の形状や配置を適性化することにより、新たに板材を消費することなく、従来と同程度の量の材料を用いて補助つまみ片を形成することが可能であることを見出し、本発明を完成させた。
【0010】
本発明は、上面が開口部とされた容器本体と、該容器本体に取付けられて前記開口部を覆う開閉自在な蓋部とを有するカートンであって、前記蓋部の前板又は側板には、前記容器本体の正面板又は側面板に接着されるつまみ片が設けられており、前記つまみ片に、少なくとも一以上の補助つまみ片が備えられていることを特徴とするカートンを提供する。
また、本発明のカートンは、前記補助つまみ片が、前記蓋部から延出する前記つまみ片の長さ方向において、少なくとも1箇所以上に設けられた構成とすることができる。
また、本発明のカートンは、前記補助つまみ片が、前記蓋部から延出する前記つまみ片の横幅方向両端の内、少なくとも一方に設けられた構成とすることができる。
【0011】
また、本発明のカートンは、前記補助つまみ片が、前記つまみ片の本体片から延出するように形成されているとともに、前記本体片と前記補助つまみ片との境界部に、前記つまみ片の表面側から谷折にして折曲可能な折曲罫線が形成された構成とすることができる。
また、本発明のカートンは、前記つまみ片に備えられる前記本体片と補助つまみ片との境界部近傍には、折曲罫線を折り曲げることにより、前記補助つまみ片を前記つまみ片の表面側から谷折にして起こし上げるように回動させた際に、前記補助つまみ片の回動に伴って前記容器本体の正面板又は側面板から起き上がるように回動する移動凸片が設けられており、前記移動凸片は、前記折曲罫線の長さ方向に沿うように、少なくとも切込部として形成されており、前記移動凸片が回動するのに伴い、前記つまみ片が前記容器本体の正面板又は側面板から起き上がるように移動可能とされた構成としても良い。
また、本発明のカートンは、前記移動凸片が略コの字状に形成された構成とすることができる。
また、本発明のカートンは、前記移動凸片が略円弧状に形成されていても良い。
【0012】
また、本発明のカートンは、前記移動凸片が、前記折曲罫線の長さ方向において略中間付近に形成された構成とすることができる。
また、本発明のカートンは、前記移動凸片が、前記折曲罫線の長さ方向における端部近傍に、少なくとも1箇所以上形成された構成としても良い。
また、本発明のカートンは、前記つまみ片に係合片が設けられており、前記正面板又は側面板には前記蓋部を閉めた状態とした際に前記係合片と相対する位置に該係合片を挿入可能な大きさの係合穴が設けられており、前記係合片が前記係合穴に係止されることにより、開閉自在とされた前記蓋部が前記容器本体に固定される構成とすることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明のカートンによれば、上述のように、カートンの蓋部に設けられるつまみ片に、少なくとも一以上の補助つまみ片が備えられた構成とすることにより、正面板に接着されたつまみ片を、大きな力を要することなく容易に引き上げて剥離させることができる。これにより、粉末洗剤等の粉体が収容され、糊付によって封緘されたカートンを容易に開封することが可能となる。
また、補助つまみ片が、つまみ片の本体片から延出してなる構成とし、補助つまみ片の形状及び位置を適正化して配することにより、新たに必要となる材料が生じず、また、つまみ片の長さ方向寸法を短くすることも可能となるので、製造コストの上昇を防止できる。
従って、大きな力を要することなく、容易に開封操作を行うことができるカートンを、簡便で安価な構成で実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明に係るカートンの実施形態について、図1〜10を適宜参照しながら説明する。
【0015】
[第1の実施形態]
以下、本発明に係るカートンの第1の実施形態について詳述する。
本実施形態のカートン1は、図1に示すように、上面が開口部21とされた容器本体2と、該容器本体2に取付けられて開口部21を覆う開閉自在な蓋部3とを有し、蓋部3の前板3B又は側板3C、3Cには、容器本体2の正面板2A又は側面板1C、1Cに接着されるつまみ片11が設けられており、該つまみ片11に、少なくとも一以上の補助つまみ片15が備えられて概略構成されるものであり、図示例においては、蓋部3の前板3Bにつまみ片11が備えられ、容器本体2の正面板2Aにつまみ片11が接着可能な構成とされている。
【0016】
また、図1に示す例のカートンにおいては、補助つまみ片15が、蓋部3から延出するつまみ片11の幅方向において2箇所に設けられており、図示例では、つまみ片11の横幅方向で両端の2箇所に、本体片11aから延出するように対称に設けられている。また、本体片11aと補助つまみ片15との境界部には、つまみ片11の表面側から谷折にして折曲可能な折曲罫線16が形成されている。
【0017】
本実施形態のカートン1は、蓋部3に備えられたつまみ片11に、上述のような補助つまみ片15が備えられてなるので、例えば、カートン1に粉末洗剤等の粉体が収容され、上述のつまみ片11が正面板2Aに接着された状態の商品を開封する際、補助つまみ片15が折曲形成16の位置で谷折の状態となり、先端部15a側が正面板2Aから起き上がるように変形するので、使用者がつまみ片11を摘み上げるのが容易になる。これにより、接着部29、19の剥離に大きな力を要すること無く、容易にカートン1を開封することができるというものである。
【0018】
また、図1に示す例のカートン1においては、つまみ片11に係合片12が設けられており、正面板2Aには蓋部2を閉めた状態とした際に係合片12と相対する位置に該係合片12を挿入可能な大きさの係合穴5が設けられており、係合片12が係合穴5にコハゼ掛けで係止されることにより、開閉自在とされた蓋部2が容器本体4に固定される構成とされている。
以下、本実施形態のカートン1について詳述する。
【0019】
容器本体2及び蓋部3を構成する材料としては、板紙を主原料とした紙素材を用いることができる。このような紙素材としては、板紙にポリエチレン等のプラスチックフィルムをラミネート(PEサンド)したものや、板紙にワックスコートしたもの等を用いることができる。なお、紙素材の米坪量としては400〜700g/mの範囲が好ましく、より好ましくは550〜650g/mである。
【0020】
容器本体2は、図2に示すように、正面板2A、背面板2B、左右2枚の側面板2C,2C及び4枚の底面板9を有し、これらが組み立てられて接着されることにより、図1に示すような、上面が開口された箱状の容器とされている。
【0021】
図1及び図2に示すように、開口部21には、正面フラップ4A、背面フラップ4B、左右2枚の側面フラップ4C,4Cが備えられている。そして、4枚のフラップ4A〜4Cを内側に折り返し、容器本体2の内壁面に接着することにより、開口部21の口縁の強化を図るとともに、正面板2Aの上部中央位置に形成された係合穴5の背面側に所定のすきま寸法からなる間隙6(図5(b)等を参照)が形成されている。
【0022】
係合穴5及びその背面の間隙6は、詳細を後述するつまみ片11に設けられた係合片12を係合穴5に挿入して係止することにより、蓋部3を容器本体2に対して閉蓋位置で固定するものであり、係合穴5は、蓋部3を閉じた状態において係合片12と相対する位置に形成されている。
本実施形態の係合穴5の上縁部5Aは、図9(a)に示すように、鉛直下方に向かって円弧状の凸部として形成された係止片25からなる。この係止片25が、下方に向かって円弧状の凸部として形成されていることにより、係合穴5に挿脱される係合片12が係止片25の円弧形状に沿って案内されるので、係合穴5への係合片12の挿脱をスムーズに行うことができる。また、係合穴5の上縁部5Aを構成する係止片25の縁部近傍は、外側に向かって反ることにより湾曲する曲面とされており、係止片25の縁部は、図5(b)に示すように、容器本体2の外面から外部側に向かって立ち上がるように形成されている。
【0023】
また、本例の係止片25の左右の縁部には、図9(a)に示すように、係合穴5から外方へ向かって切り込まれてなる切り込み端部25aが形成された構成としても良い。図9(a)に例示する切り込み端部25aは、係合穴5の上縁部5Aを構成する係止片25の円弧形状の延在する方向に切り込まれてなる曲線部25bと、この曲線部25bの係合穴5と反対側の端部から容器本体2の側面板2Cに向かって水平に切り込まれてなる直線状の直線部25dとからなる。図9(a)に示す切り込み部25aにおいては、直線部25dを係合穴5と反対側の端部25eから延在させた方向と水平方向とのなす角度は0°とされている。
この切り込み部25aは、曲線部25bと直線部25dとからなるので、曲線部25bと直線部25dとによって間隙6のすきま寸法5Bが十分に確保されることと、曲線部25bによって係合片12が非常にスムーズに案内されることとの相乗効果により、係合片12が非常に入りやすい係合穴5とすることができる。しかも、直線部25dが水平方向に切り込まれているので、曲線部25bと直線部25dとの接する部分近傍における開閉時の負荷が分散され、係合穴5の上縁部5Aがへたりにくくなるので好ましい。
なお、係合穴5の形状は、図9に示すような形状には限定されず、如何様な形状であっても採用することが可能であるが、このような場合でも、図9に示すような、係合穴から外方へ向かって切り込まれてなる切り込み端部を設けた構成とすれば、係合穴の上縁部を構成する係止片の縁部近傍が外側に向かって反ることにより、係止片の挿脱をスムーズに行うことが可能となる。
【0024】
また、図9(a)に示す係止片25は、係合穴5を抜き刃で打ち抜いて形成する工程において、係合穴5および切り込み部25aの形状に対応する抜き刃を用いて、係合穴5を打ち抜くと同時に切り込み部25aを打ち抜くことにより、係止片25の縁部のうち少なくとも係合穴5の上縁部5Aを、容器本体2の外面から外部側に向かって立ち上がらせて形成することができる。
【0025】
なお、切り込み部25aの形状は、図9(a)に示す例に限定されるものではなく、例えば、図9(b)に示すように、切り込み部25aは、係合穴5の上縁部5Aの両端部からそれぞれ係合穴5の外方へ向かって切り込まれてなる直線状のものであってもよい。また、切り込み部25aは、例えば、図9(c)および図9(d)に示すように、切り込み部25aの係合穴5と反対側の端部25eから延在させた方向と水平方向とのなす角度が0°でないものであってもよい。切り込み部25aの係合穴5と反対側の端部25eから延在させた方向と水平方向とのなす角度αは、図9(c)に示す切り込み部25aにおいては、45°とされており、図9(d)に示す切り込み部25aにおいては、90°とされている。
【0026】
なお、切り込み部25aの係合穴5と反対側の端部25eから延在させた方向と水平方向とのなす角度αは、係合穴5の内側に向かって凸状の係止片25の左右の縁部を形成することができる角度範囲で任意に決定できるが、0〜60°の範囲とすることが望ましく、0〜45°の範囲とすることがより望ましい。角度αを0°未満とした場合、切り込み部25aを形成したことによる係合穴5への係合片12の入れやすさの効果が得られ難くなる虞がある。また、60°を超える角度αとした場合、係合穴5の上縁部5Aの強度が低下して係合穴5の上縁部5Aがへたりやすくなり、開閉回数が増えた場合にロック機構が充分に機能しなくなる虞がある。
【0027】
また、図2に示すように、容器本体2の背面板2Bの背面フラップ4Bと重なり合う位置には、背面板2Bの一部を上に凸状に切り込むことによって形成されたヒンジ板10が供えられている。また、ヒンジ板10の下端の中央部には、下に凸状の切り込み10bが設けられ、切り込み10bの両側には、折り曲げ罫線10a、10aが設けられている。ヒンジ板10は、切り込み10bおよび折り曲げ罫線10a、10aを回動支点として上下方向に回動自在とされている。そして、本実施形態においては、ヒンジ板10が蓋部3の背面板3Dの内面に接着固定されることにより、蓋部3が回動自在に開閉できるように構成されている。また、図2に示すように、ヒンジ板10は、中央部に切り込み10bを入れ、ヒンジ板10を折り曲げ罫線10a、10aの形成部分のみで容器本体2にヒンジ連結することにより、蓋部3の戻り反発を抑えるとともに、蓋部3をスムーズに開閉できるように構成されている。
【0028】
また、4枚のフラップ4A〜4Cは、内側に折り返されて容器本体2の内壁面に接着されるが、本実施形態では、正面フラップ4Aの図2中に二点鎖線のハッチングで示されるハッチング部分6A及び背面フラップ4Bのヒンジ板10と重なり合う部分については接着剤が塗布されていない構成とされている。また、正面フラップ4Aの折り返し接着において、ハッチング部分6Aについては、切り込みのない折り曲げ罫線7に沿って折り返される。これにより、フラップ4A〜4Cを内側に折り返した状態とした際に、ハッチング部分6Aに膨らみを持たせることができ、図5(b)に示すように、係合穴5の背面にすきま寸法5Bの大きい間隙6が形成され、深さの深い係合穴5を形成できる。なお、図2に示すハッチング部分6Aは、正面フラップ4Aを切り込みのない折り曲げ罫線7に沿って折り返したときに、係合穴5と相対する位置とその近傍の部分である。
【0029】
また、正面フラップ4Aのハッチング部分6A以外の部分、ならびに背面フラップ4B、左右2枚の側面フラップ4C、4Cについては、表側から紙素材の半分の厚さ位まで切り込みを入れた表半切り線(ハーフカット)8によって折り返され、容器本体2の内壁面に接着されている。これにより、フラップ4A〜4Cが内側に折り返された状態とした際、ハッチング部分6A以外の部分については、表半切り線8に沿って鋭角的に折り曲げられ、シャープな折り返し口縁部が形成される。
【0030】
上述のように、間隙6は、切り込みのない通常の折り曲げ罫線7に沿って折り返されることにより形成可能であるが、例えば、図2に示すハッチング部分6Aの全体あるいはその一部に、容器本体2の内部側に向かって突出するエンボス面27(図5(c)参照)を形成すれば、間隙6のすきま寸法5Bをより大きく形成することができ、係合穴5の深さをより深くすることができる。よって、係合片12の入れやすい係合穴5とすることができ、係合片12やつまみ片11がへたりにくくなる。
【0031】
また、図2に示す係合穴5を取り囲むように、容器本体2の外部側に向かって突出するエンボス面25f(図5(d)参照)を形成し、係合穴5の上縁部5Aがエンボス面25fに形成された構成としても良い。この場合には、間隙6のすきま寸法5Bをより大きく形成することができ、係合穴5の深さをより深くすることができる。
なお、エンボス面27及びエンボス面25fは、図5(d)に示すように、フラップ4A〜4Cが内側に折り返された状態においては、相反する方向に突出して大きな間隙6を構成しているが、図2に示すように、フラップ4A〜4Cが折り返される前の状態では、同じ方向に突出している。従って、エンボス面27及びエンボス面25fの2つのエンボス面を形成する場合、これらエンボス面を同時に形成することができる。これにより、2つのエンボス面を形成する場合であっても、いずれか1つのエンボス面を形成する場合と同様の製造工程で製造することができるので、製造工程を増やすことなく効率よく製造することが可能となる。
【0032】
また、図5(b)、図5(c)、図5(d)に示す例では、ハッチング部分6Aについてのみ通常の折り曲げ罫線7によって折り返す構成としているが、ハッチング部分6Aを含む正面フラップ4Aの全口縁を通常の折り曲げ罫線7で折り返すようにしてもよいし、正面フラップ4Aの全口縁をすべて表半切り線8で折り返すように構成してもよい。なお、正面フラップ4Aの全口縁をすべて表半切り線8で折り返す場合には、図5(e)に示すように、折り返された正面フラップ4Aが容器本体2の正面板2Aの内壁面に張り付くような状態となるので、間隙6の深さを確保するため、図5(e)に示すようにエンボス面27を形成したり、図5(e)に示すエンボス面27と共に、或いは、図5(e)に示すエンボス面27に代えて、係合穴5を取り囲むように容器本体2の外部側に向かって突出するエンボス面27(図5(d)参照)を形成することが好ましい。
【0033】
蓋部3は、図3に示すように、天面板3A、前板3B、左右2枚の側板3Cおよび背面板3Dとからなり、これらを組み立てて接着することにより、図1に示すように、容器本体2の開口部21を覆う蓋部3とされている。
【0034】
図3に示すように、蓋部3を構成する前板3Bの下縁中央部には、舌片状をしたつまみ片11が下向きに突設されている。また、つまみ片11の左右の上端部11A,11Aを結ぶ水平ライン上の中央位置には、上に向かって凸状の係合片12が切断線13によって形成されている。さらに、切断線13の左右の下端部13A、13Aとつまみ片11の左右の上端部11A,11Aとの間には、水平な回動用折り罫線14,14が刻設されている。そして、つまみ片11と係合片12の全体が、左右の回動用折り罫線14,14を回動中心として前板3Bの内外方向に回動可能とされている。なお、係合片12の横幅は、蓋部3のロック時に容器本体2の係合穴5内に入り込み得るように、係合穴5の穴幅よりも小さく設定されている。
【0035】
また、図1及び図3に示すように、本実施形態のつまみ片11には、補助つまみ片15が、蓋部3から延出するつまみ片11において2箇所に設けられており、図示例では、つまみ片11の横幅方向で両端の2箇所に、本体片11aから延出するように対称に設けられている。また、本体片11aと補助つまみ片15との境界部には、つまみ片11の表面側から谷折にして折曲可能な折曲罫線16が形成されている。
折曲罫線16としては、例えば、押罫線やミシン目を加えたリード罫線等、この部分で折り曲げることが可能な罫線であれば良く、適宜採用することができる。
【0036】
ここで、つまみ片に設けられる補助つまみ片は、図1及び図3に示すような例には限定されず、例えば、補助つまみ片は、つまみ片の長さ方向において少なくとも1箇所以上に設けられていれば良い。また、補助つまみ片は、つまみ片の長さ方向において、該つまみ片の長さ方向寸法の範囲内に収まるような形状及び寸法で配されることが、詳細を後述する製造コストの低減効果の点で好ましい。
また、補助つまみ片は、つまみ片の横幅方向両端の内の一方のみに設けられた構成としても良いが、図1及び図3に示す例の補助つまみ片15のように、つまみ片11において横幅方向両端の2箇所に設けられた構成とすることが、使用者の操作性が向上する点で好ましい。
【0037】
本実施形態のカートン1は、蓋部3に備えられたつまみ片11に、上述のような補助つまみ片15が備えられてなるので、例えば、カートン1に粉末洗剤等の粉体が収容され、上述のつまみ片11が正面板2Aに接着された状態の商品を開封する際、補助つまみ片15が折曲罫線16の位置で谷折の状態となり、先端部15a側が正面板2Aから起き上がるように変形するので、使用者がつまみ片11を摘み上げるのが容易になる。これにより、接着部29、19の剥離に大きな力を要すること無く、容易にカートン1を開封することができる。
【0038】
本実施形態の蓋部3は、例えば、初回の使用時に、後述する手順によってつまみ片11と正面板2Aとを剥離した後、図7(a)および図7(b)に示すように、つまみ片11を指先で掴んで外方へ向けて引っ張り上げてゆくことにより、容器本体2のヒンジ板10を回動支点として開閉可能となる。
【0039】
ここで、カートン1の初回開封時、補助つまみ片15の先端部15aを指先で摘み上げると、補助つまみ片15は、折曲罫線16の位置で谷折に折れ曲がり、先端部15aがカートン1の外方へ起き上がる。具体的には、折曲罫線16が谷折に折れ曲がり、補助つまみ片15の先端部15aがカートン1の外方に向かって回動し、先端部15aが正面板2Aから起き上がるような状態となるので、先端部15aを指で簡単に摘むことができる。また、先端部15aを摘んだ指先に力が入り易いので、補助つまみ片15、ひいてはつまみ片11を容易に引っ張り上げることができる。これにより、つまみ片11に設けられた接着部19と正面板2Aに設けられた接着部29とを容易に引き剥がすことが可能となり、カートン1の開封操作が容易になる。
【0040】
また、本実施形態のカートン1では、切断線13の左右の下端部13A,13Aと回動用折り罫線14,14との交差部に、応力分散用の半径0.5〜1.0mm程度の円弧状切り込み24が形成されており、開閉操作時につまみ片11や係合片12に過剰な引っ張り力が作用しても、該円弧状切り込み24によって応力を分散し、切断線13の左右の下端部13A,13Aの位置からつまみ片11や係合片12が破れるようなことがないように構成している。
また、つまみ片11の左右の上端部11A,11Aにも、上述したような円弧状切り込み24と同様の切り込みを設けた構成とすることにより、蓋部3の開閉操作時、つまみ片11や係合片12に過剰な引っ張り力が作用した場合あっても、上端部11A,11Aの位置からつまみ片11が破れるのを防止することが可能となる。
【0041】
また、図4に示すように、蓋部3の背面板3Dにおいて、容器本体2の背面板2Bに形成されたヒンジ板10と相対する面には、エンボス加工によって、容器本体2側に向かって所定の高さで突出するエンボス面3Eが形成されている。蓋部3の背面板3Dは、このエンボス面3Eによって容器本体2の背面板2Bのヒンジ板10に接着されている。このようにヒンジ板10と蓋部3の背面板3Dとを、容器本体2側に向かって突出するエンボス面3Eによって接着すると、カートン製造における接着工程での圧着性が向上し、蓋部3の背面板3Dとヒンジ板10との接着性が改善され、より確実、且つ、より強固に接着することができる。また、エンボス面3Eの突出高さの分だけ蓋部3の全体が容器本体2の背面側に向けて引き寄せられるような状態となり、蓋部3の前面側が容器本体2により強く押し付けられるので、蓋部3と容器本体2のロックがより確実になるとともに、開口部21の密封性も向上する。
【0042】
蓋部3のつまみ片11は、容器本体2内に粉末洗剤などの内容物を充填して開口部21を封緘紙などでシールした後、つまみ片11に設けられた接着部19と容器本体2の正面板2A上部に設けられた接着部29との間で、接着剤等を用いてつまみ片11を正面板2Aに接着固定し、製品として出荷される。なお、接着剤がホットメルトタイプの場合、つまみ片11の接着部19が接着される正面板2Aの接着部29表面に複数条の浅いミシン目を形成し、接着剤がミシン目に染み込むアンカー効果によって、より確実に接着できる構成とすることが好ましい。
【0043】
本実施形態のカートン1は、以下のようにして使用される。
まず、図5(a)に示すように、使用前においては、カートン1の蓋部3は未開封状態であり、容器本体2の開口部21に被せられた状態で、つまみ片11の裏面部が容器本体2に開閉不可能に接着されている。そして、カートン1に内容物が収容された商品の初回使用時には、使用者がつまみ片11の備えられる補助つまみ片15の先端部15aを指先で掴んで容器本体2外方へ向けて引っ張り上げてゆく。そして、折曲罫線16が谷折に折れ曲がり、補助つまみ片15の先端部15aがカートン1の外方へ回動すると、先端部15aが正面板2Aから起き上がるような状態となるので、この先端部15aを指で簡単に摘むことができ、また、先端部15aを摘んだ指先に力が入り易いので、補助つまみ片15(つまみ片11)を容易に引っ張り上げることができる。
【0044】
そして、つまみ片11に設けられた接着部19が、正面板2Aに設けられた接着部29から剥離される。この際、上述のように、補助つまみ片15(つまみ片11)を容易に引っ張り上げることができるので、つまみ片11を正面板2Aから容易に剥離することができる。
上述のような開封操作で、つまみ片11と容器本体2との接着を引き剥がすことにより、蓋部3を開封する。これにより、蓋部3は容器本体2のヒンジ板10を回動支点として開閉可能となる。
【0045】
上述のようにして、つまみ片11の容器本体2(正面板2A)との接着を引き剥がした後、補助つまみ片15(つまみ片11)を指で掴んでさらに上方に向けて持ち上げていくと、図7(a)に示すように、つまみ片11は回動用折り罫線14,14を回動中心として上方へ向かって回動する。また、図7(b)に示すように、つまみ片11を上方へ回動させると、つまみ片11と一体に形成されている係合片12も回動用折り罫線14,14を回動中心として下方に向かって回動し、係合片12の先端部が容器本体2(正面板2A)の係合穴5内に入り込む。なお、この回動操作時に、補助つまみ片15(つまみ片11)をややカートン1の外側へ引っ張るようにしながら持ち上げると、蓋部3の前板3Bがその弾性によって外側へ膨らむので、係合片12を簡単に係合穴5内に入れることができる。
【0046】
そして、図6(a)、(b)に示すように、係合片12が係合穴5内に入り込んだ状態で、つまみ片11を元の方向、すなわち下側に向けて押し戻して行くと、つまみ片11は回動用折り罫線14,14を回動中心として下方へ向かって回動し、係合片12は逆に上方へ向かって回動する。
【0047】
係合片12が上方へ向かって回動していくと、図6(b)に示すように、係合片12の先端は、係合穴5の背面の間隙6内に差し込まれるようにして入り込んでいき、いわゆるコハゼ掛けの状態で係合穴5とその背面の間隙6内に挿入され、蓋部3を該位置にロックする。図6(b)に示すように、係合片12は、係合穴5とその背面の間隙6内にコハゼ掛けの状態で挿入されるので、係合片12が係合穴5内から簡単に抜け出るようなことがなくなり、蓋部3を閉蓋位置に確実かつ安定的にロックすることができる。これにより、つまみ片11を正面板2Aから剥離させてカートン1を開封した後であっても、容器本体2の開口部21を覆った状態で蓋部3を固定することができ、内容物がこぼれだすのを防止できる。
【0048】
一方、ロックされている蓋部3を開く際には、図6(b)に示すような状態において、補助つまみ片15(つまみ片11)を指で持ち、少なくとも水平もしくはそれ以上となる位置まで上方へ向かって持ち上げればよい。これにより、係合片12は、図7(a)及び図7(b)に示すように、係合穴5の間隙6内で水平もしくはそれよりも下向きの位置まで回動する。
【0049】
そして、図7(a)及び図7(b)に示すような状態のまま、さらに補助つまみ片15(つまみ片11)を上方へ向けて引っ張り上げていくと、係合片12はそのまま自然に係合穴5と間隙6内から抜け出ていき、蓋部3のロックが解除される。したがって、蓋部3は容器本体2のヒンジ板10を回動支点として開閉可能となる。なお、この開蓋操作の場合にも、つまみ片11(補助つまみ片15)をやや外側に引っ張るようにして持ち上げていくと、蓋部3の前板3Bがその弾性によって外側へ膨らむので、係合片12を係合穴5と間隙6内で簡単に図7(a)及び図7(b)の状態まで回動させることができる。
【0050】
以上説明したように、本実施形態のカートン1によれば、上述のように、カートン1の蓋部3に設けられるつまみ片11に、少なくとも一以上の補助つまみ片15が備えられた構成とすることにより、正面板2Aに接着されたつまみ片11を、大きな力を要することなく容易に引き上げて剥離させることができる。これにより、粉末洗剤等の粉体が収容され、糊付によって封緘されたカートン1を容易に開封することが可能となる。
また、本実施形態のカートン1によれば、初回使用時の開封後も、つまみ片11が、正面板2Aに対して適度な角度で起き上がるような形状とすることができるので、使用者がつまみ片11或いは補助つまみ片15を摘み易くなり、カートン1の開封操作が容易になる。
また、本実施形態のカートン1は、上述のようなコハゼ掛けによって蓋部3を容器本体2に対してロックさせる機構を備えた構成とすることにより、カートン1を開封した後も内容物が漏れ出さないように蓋部3を閉じた状態で固定することができ、また、初回開封時以降の蓋部3の開閉操作が容易となる。
【0051】
また、本実施形態のカートン1によれば、補助つまみ片15が、つまみ片11の本体片11aから延出してなる構成とし、補助つまみ片15の形状及び位置を適正化して配することにより、新たに必要となる材料が生じず、また、開封容易性を維持しながらつまみ片11の長さ方向寸法を短くすることが可能となり、製造コストの上昇を防止できる。
ここで、例えば、従来のカートンに備えられるつまみ片の長さ方向寸法が約17mmであったのを14mmに縮小した場合、同方向における蓋部材料が154.5mmから150.5mmに縮小することが可能となり、また、補助つまみ片をつまみ片の横方向両端に配置すれば、新たに必要となる材料が生じない。これにより、板紙全体の1加工当りにおける取り数(4個×4個)から、4mm×4=16mmの板紙の縮小が可能となり、材料費、加工費の大幅なコストダウンが実現できる。
従って、大きな力を要することなく、容易に開封操作を行うことができるカートンを、簡便で安価な構成で実現することができる。
【0052】
なお、本実施形態では、開閉自在に構成された容器本体2と蓋部3との係合機構について、上述のような、つまみ片11に備えられた係合片12と係合穴5に備えられた係止片25との間で係合固定される例を説明しているが、これには限定されない。容器本体2と蓋部3との係合機構については、開閉が容易であり、且つ、高い係合強度が得られるものであれば如何なる構成のものであっても良く、各種係合機構を適宜採用することが可能である。
また、本実施形態のカートン1に備えられた、補助つまみ片15が設けられたつまみ片11による効果は、上述のような係合機構が設けられていないカートンにおいても採用することができ、このような構成とした場合も、つまみ片を容器本体から容易に剥離できる効果が得られることは言うまでも無い。
【0053】
また、本実施形態では、図1及び図3に示す例のように、つまみ片11の裏面、つまり容器本体2の正面板2Aと相対する面に、直線状のエンボス18が設けられた構成としても良い。また、図示例では、つまみ片11に直線状のエンボス18が1本のみ設けられているが、これには限定されず、例えば、複数本のエンボス18を設けても良いし、或いは、曲線状のエンボスを設けた構成としても良い。
つまみ片11に上述のようなエンボスを設けることにより、つまみ片11を容器本体2から引き剥がして開封する際、つまみ片11と容器本体2の正面板2Aとの間に隙間を生じさせることができ、使用者が指を挿入してつまみ片11(補助つまみ片15)を摘み上げるのが容易となり、操作性がより高められる。
【0054】
また、容器本体の正面板に設けられる係止片の形状は、図9に示す例に限定されるものではなく、例えば、図10に示す形状であってもよい。
例えば、図10(a)に示すように、係合穴5の上縁部5Cが下に向かって凸状で、凸状の頂部が所定のピッチの複数の連続した波型に形成された係止片26aであってもよい。
【0055】
また、係止片25は、図10(b)に示すように、係合穴5の上縁部5Dが下に向かって凸状の2つの円弧型に形成された係止片26bであってもよい。
図10(b)に示す係止片26bとした場合にも、係合片12の入れやすい係合穴5とすることができ、使用性に優れたものとなる。
【0056】
また、係止片25には、図10(c)に示すように、係合穴5の上縁部5Aの中央部に下に向かって凸状に形成された凸状部250と、凸状部250の左右の上縁をつなぐ位置に配置された折り罫線250aとが設けられていてもよい。
【0057】
また、本実施形態では、容器本体2の正面板2Aに係合穴5が備えられ、また、蓋部3の前板2Bにつまみ片11が備えられてなるカートン1を例に挙げて説明しているが、例えば、容器本体の側面板に係合穴を配し、蓋部の側板につまみ片が備えられた構成とすることも可能であることは言うまでも無い。
【0058】
[第2の実施形態]
以下に、本発明に係るカートンの第2の実施形態について詳述する。
なお、第2の実施形態で説明するカートンは、図8に示すように、蓋部30に備えられるつまみ片31において移動凸片37が備えられている点を除き、その他の構成については上記第1の実施形態のカートン1と同様であるため、同じ図面を適宜用いて説明するとともに、各々共通する構成の詳細な説明を省略する。
【0059】
図8(図1〜図3も参照)に示すように、第2の実施形態では、つまみ片31に備えられる本体片31aと補助つまみ片35との境界部近傍に、折曲罫線36を折り曲げることにより、補助つまみ片35をつまみ片31の表面側、カートンの外側から谷折にして起こし上げるように回動させた際に、補助つまみ片35の回動に伴って容器本体の正面板から起き上がるように回動する移動凸片37が設けられている。また、移動凸片37は、折曲罫線36の長さ方向に沿うような切込部として形成され、移動凸片37が回動するのに伴い、つまみ片31が容器本体の正面板から起き上がるように移動可能とされており、図示例の移動凸片37は、折曲罫線36に沿って、該折曲罫線36の両端の2箇所に設けられている。
【0060】
図8に示すような蓋部30が備えられたカートンを初回使用時に開封する際、補助つまみ片35の先端部35aを指先で摘み上げると、補助つまみ片35は、折曲罫線36の位置で谷折に折れ曲がり、先端部35aがカートンの外方へ起き上がる。具体的には、折曲罫線36が谷折に折れ曲がり、先端部35aがカートンの外方に向かって回動すると、折曲罫線36の両端2箇所に設けられた移動凸片37、37の先端37a、37aも、折曲罫線36を回動中心として容器本体(図1及び図2に示す容器本体2を参照)側に向かうように回動し、容器本体の正面板(図1及び図2に示す正面板2Aを参照)に当接する。この際、補助つまみ片35の先端部35aが正面板から起き上がるような状態となるので、先端部35aを指で簡単に摘むことができ、また、先端部35aを摘んだ指先に力が入り易くなり、補助つまみ片35、ひいてはつまみ片31を容易に引っ張り上げることができる。これにより、つまみ片31に設けられた接着部(図3に示す接着部19参照)と正面板に設けられた接着部(図2に示す接着部29参照)とを容易に引き剥がすことが可能となり、カートンの開封操作がより一層容易になる。
【0061】
さらに、上述のような開封作業の際、移動凸片37の先端部37aが容器本体の正面板に当接し、該正面板が容器内部方向へ押し込まれるように僅かに変形することにより、つまみ片31の正面板からの剥離がより一層容易になる。また、つまみ片31に備えられる補助つまみ片35に移動凸片37が設けられていることにより、つまみ片を容器本体の正面板から剥離する際、補助つまみ片(つまみ片)と正面板との間に指を挿入しやすく、また、補助つまみ片の摘み代が大きく確保されるため、摘むのが容易になる。これにより、カートンの開封操作がより一層容易になる。
【0062】
なお、図8に示す例の蓋部30においては、移動凸片37が略コの字状に形成されており、折曲罫線36の両端の2箇所に形成されているが、本実施形態では、これには限定されない。例えば、移動凸片を略円弧状に形成しても良いし、また、折曲罫線の長さ方向において略中間付近に、折曲罫線に沿って移動凸片が少なくとも1箇所以上に形成された構成としても良く、何れの構成とした場合でも、同様の効果が得られる。
【0063】
また、第1の実施形態のカートン1と同様、本実施形態においても、開閉自在に構成される容器本体と蓋部30との係合機構について、コハゼ掛けによる係合機構を用いることができるが、これには限定されず、開閉が容易であり、且つ、高い係合強度が得られるものであれば如何なる構成のものであっても良い。また、係合機構が備えられていないカートンに、本実施形態で説明する蓋部30の構成を適用した場合でも、上記同様の効果が得られることは言うまでも無い。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明に係るカートンの一例を説明する模式図であり、カートンを容器本体と蓋部とに分解した状態を示す斜視図である。
【図2】本発明に係るカートンの一例を説明する模式図であり、容器本体を展開した状態を示す概略図である。
【図3】本発明に係るカートンの一例を説明する模式図であり、蓋部を展開した状態を示す概略図である。
【図4】本発明に係るカートンの一例を説明する模式図であり、ヒンジ板と容器本体との連結状態を示す部分拡大図である。
【図5】本発明に係るカートンの一例を説明する模式図であり、蓋部に備えられたつまみ片及び容器本体に備えられた係合穴を示す概略図である。
【図6】本発明に係るカートンの一例を説明する模式図であり、(a)は容器本体から剥離させた後のつまみ片と係合片が回動している状態を示す部分拡大図であり、(b)はロック状態におけるつまみ片と係合片を示す断面図である。
【図7】本発明に係るカートンの一例を説明する模式図であり、(a)はロック解除操作時のつまみ片と係合片の拡大斜視図であり、(b)はロック解除完了状態におけるつまみ片と係合穴の拡大断面図である。
【図8】本発明に係るカートンの他例を説明する模式図であり、つまみ片に備えられる補助つまみ片に移動凸片が形成されてなる蓋部を示す概略図である。
【図9】本発明に係るカートンの他例を説明する模式図であり、容器本体に備えられた係合穴を示す部分拡大図である。
【図10】本発明に係るカートンの他例を説明する模式図であり、容器本体に備えられた係合穴及び係止片を示す部分拡大図である。
【符号の説明】
【0065】
1…カートン、2…容器本体、2A…正面板、2B…背面板、2C…側面板、21…開口部、5…係合穴、29…接着部(正面板側)、3…蓋部、3B…前板、3C…側板、11、31…つまみ片、11a…本体片、12、32…係合片、15、35…補助つまみ片、15a、35a…先端部(補助つまみ片)、16、36…折曲罫線、37…移動凸片、19…接着部(つまみ片側)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面が開口部とされた容器本体と、該容器本体に取付けられて前記開口部を覆う開閉自在な蓋部とを有するカートンであって、
前記蓋部の前板又は側板には、前記容器本体の正面板又は側面板に接着されるつまみ片が設けられており、
前記つまみ片に、少なくとも一以上の補助つまみ片が備えられていることを特徴とするカートン。
【請求項2】
前記補助つまみ片が、前記蓋部から延出する前記つまみ片の長さ方向において、少なくとも1箇所以上に設けられていることを特徴とする請求項1に記載のカートン。
【請求項3】
前記補助つまみ片が、前記蓋部から延出する前記つまみ片の横幅方向両端の内、少なくとも一方に設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載のカートン。
【請求項4】
前記補助つまみ片が、前記つまみ片の本体片から延出するように形成されているとともに、前記本体片と前記補助つまみ片との境界部に、前記つまみ片の表面側から谷折にして折曲可能な折曲罫線が形成されていることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載のカートン。
【請求項5】
前記つまみ片に備えられる前記本体片と補助つまみ片との境界部近傍には、折曲罫線を折り曲げることにより、前記補助つまみ片を前記つまみ片の表面側から谷折にして起こし上げるように回動させた際に、前記補助つまみ片の回動に伴って前記容器本体の正面板又は側面板から起き上がるように回動する移動凸片が設けられており、
前記移動凸片は、前記折曲罫線の長さ方向に沿うように、少なくとも切込部として形成されており、
前記移動凸片が回動するのに伴い、前記つまみ片が前記容器本体の正面板又は側面板から起き上がるように移動可能とされていることを特徴とする請求項4に記載のカートン。
【請求項6】
前記移動凸片が略コの字状に形成されていることを特徴とする請求項5に記載のカートン。
【請求項7】
前記移動凸片が略円弧状に形成されていることを特徴とする請求項5に記載のカートン。
【請求項8】
前記移動凸片は、前記折曲罫線の長さ方向において略中間付近に形成されていることを特徴とする請求項5〜7の何れか1項に記載のカートン。
【請求項9】
前記移動凸片は、前記折曲罫線の長さ方向における端部近傍に、少なくとも1箇所以上形成されていることを特徴とする請求項5〜7の何れか1項に記載のカートン。
【請求項10】
前記つまみ片に係合片が設けられており、前記正面板又は側面板には前記蓋部を閉めた状態とした際に前記係合片と相対する位置に該係合片を挿入可能な大きさの係合穴が設けられており、前記係合片が前記係合穴に係止されることにより、開閉自在とされた前記蓋部が前記容器本体に固定されることを特徴とする請求項1〜9の何れか1項に記載のカートン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−154954(P2009−154954A)
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−338415(P2007−338415)
【出願日】平成19年12月28日(2007.12.28)
【出願人】(000006769)ライオン株式会社 (1,816)
【Fターム(参考)】