説明

カードおよびカードを利用するゲーム機

【課題】プレイヤがデータを保有するシールを使用してカードをデコレーションすることにより、外見上のカードのカスタマイズと対応する内部データのカスタマイズを同時に行うことができるカードおよびカードを利用するカードゲーム機を提供する。
【解決手段】基本カード10にキャラクタの図柄が記載されており、そのキャラクタのデータが基本カード10の磁気記録部11に記録されている。キャラクタの頭部,腰,足などにシールを貼付することによりカスタマイズが可能である。シールにはシールの品物のデータが記録されている。ゲーム機はカスタマイズしたカードのデータを読み込みカスタマイズしたキャラクタを用いることができる。カードの図柄のカスタマイズと対応する内部データのカスタマイズをプレイヤ自らが直に同時に行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プレイヤがデータを保有するシールを使用してカードをデコレーションすることにより、外見上のカードのカスタマイズと対応する内部データのカスタマイズを同時に行うことができるカードおよびこのカードを利用するゲーム機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のカードゲームでは、カード(キャラクタ,マテリアル)の内部データは変わらないのが一般的であり、カードのカスタマイズなどは新たなカードの追加によって行われてきた。
また、カード自体の内部データが変わるものは、機械上でカスタマイズを行うか、または機械上で起きた変化を機械側でカードに反映するようになっている。
【0003】
カードのカスタマイズは機械→カードというようなもので、カードに対しどのようなデータを持たせるかはプレイヤの意思を反映させることはできるものの、カスタマイズのダイレクト感に欠けるという問題がある。すなわち、カスタマイズすることはプレイヤの愛着を引き出すものであるが、カスタマイズがダイレクトにプレイヤに伝わる「カスタマイズ感」が従来のカードゲームでは希薄になるという問題がある。
【特許文献1】特開2004−261603号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
引用文献1はゲーム機で用いる遊技カードについてその構造を開示するものである。
これは、一面にキャラクタの図柄が描かれたカード別にキャラクタの識別データを機械的読み取り可能に記録したものであり、識別データを1次元バーコード方式により光学的に読み取ったり、1辺に沿って肉眼では判別し難い状態で機械読み取りが可能な情報が印刷されたりしているものである。
この遊技カードは固定的なデータが記録されていてゲーム機に読み取られるものであり、プレイヤが自らの希望によりカスタマイズできるカードではない。
【0005】
本発明の目的は、プレイヤがデータを保有するシールを使用してカードをデコレーションすることにより、外見上のカードのカスタマイズと対応する内部データのカスタマイズを同時に行うことができるカードおよびこのカードを利用したゲーム機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するために本発明の請求項1のカードは、キャラクタの図柄が印刷され、そのキャラクタに関しセンサにより読み取り可能なデータがカードの一部に記録されている基本カードと、前記キャラクタの図柄の各部分に装飾を施すもので、その装飾内容を示すセンサにより読み取り可能なデータが記録されているシール材とを含み、前記シール材を前記基本カードのキャラクタ図柄の一部に貼付することによりカスタマイズを可能にしたことを特徴とする。
本発明の請求項2のカードは、請求項1記載のカードにおいて前記シール材は装飾用カードに添付され、前記装飾用カードからシール材を分離し、前記基本カードのキャラクタ図柄の一部に分離したシール材を貼付することによりカスタマイズを可能にしたことを特徴とする。
本発明の請求項3のカードは、請求項1記載のカードにおいて前記基本カードに記録されているデータは、磁気データまたは光学的に読み取り可能であるデータであることを特徴とする。
本発明の請求項4のカードは請求項1または2記載のカードにおいて前記シール材に記録されているデータは、磁気データであることを特徴とする。
本発明の請求項5のゲーム機は、請求項1記載のカードと、請求項1記載のカードが読取設置された場合、前記基本カードに記録されているデータまたは前記貼付されたシール材に記録されているデータを読み取るカード読取制御手段と、前記読み取ったデータ中にシール材のデータが含まれているか否かを検出するカードシール検出手段と、前記カードシール検出手段によりシール材のデータを検出した場合、該シール材のデータ用いて基本カードのキャラクタに貼付したシールの画像を合成しゲーム機の画面に表示する制御手段とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
上記構成によれば、プレイヤは直にゲーム用のオリジナルのカードを作ることができ、カードキャラクタに対し愛着を高めることができる。また、カードの図柄に装飾した通りの内容のカスタマイズができるとともにそのカスタマイズをゲーム機内部のデータに反映させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳しく説明する。
図1は、本発明によるカスタマイズしたカードを利用するゲーム機の外観を示す斜視図である。
なお、本発明に用いるカードのカスタマイズとは、基本カードの内部データおよび外見上の図柄などの一部をプレイヤが変更し、基本カードとは異なる内部データおよび外見上の図柄などのカードにすることを意味する。
ゲーム機1は前面上部にゲーム画面などを表示する表示部6を備えており、中央突出部上面にプレイヤがゲーム操作を行うための操作ボタン2が配置されている。中央突出部の前面にはカスタマイズしたカードなどを差し込むためのカード挿入部3が、中央突出部下側にはコイン投入部4がそれぞれ配置されている。さらにカード挿入部3に差し込んでゲーム機にその記録内容が読み込まれたカードを排出するためのカード排出口5が設けられている。
【0009】
プレイヤ自らがカスタマイズしたカードをゲームに利用する場合、カード上にはカスタマイズしたシール材の図柄などを一目で確認できるので、基本カードをどのように自らがカスタマイズしたかを十分知った上で、カスタマイズしたカードのキャラクタなどをゲームに登場させることができる。プレイヤは操作ボタン2の操作によって登場させたカードのキャラクタを加えてゲームを進行させることができる。
【0010】
図2Aおよび図2Bは基本カードを装飾用カードのシールによりカスタマイズする一例を説明するための図である。
基本カード10はさくらこのキャラクタのカードであり、カード表面10aにはさくらこ12が描かれている。基本カード10のカード裏面10bの一部にはこのさくらこ12のデータが磁気記録部11に記録されている。さくらこ12がドレスアップできる部分は頭部12a,腰12bおよび足12cである。
一方、装飾用カードとしてはフラワーヘアピンカード16,プリーツスカートカード17およびあみあげブーツカード18が用意されている。フラワーヘアピンカード16には多数のフラワーヘアピンシール13が添付されており、プレイヤは各フラワーヘアピンシール13を容易に剥がすことができ、これを基本カードに貼付することができる。
【0011】
フラワーヘアピンシール13の表側13aはフラワーヘアピンの図柄であり、その裏面13bにフラワーヘアピンを示すデータを記録した磁気記録部13cが形成されている。
プリーツスカートカード17およびあみあげブーツカード18にもそれぞれ多数のプリーツスカートシール14およびあみあげブーツシール15が添付され、これらはフラワーヘアピンシール13と同様、容易に剥がし、貼付することができる。プリーツスカートカード14およびあみあげブーツカード15の表側14a,15aはそれぞれプリーツスカートおよびあみあげブーツの図柄であり、その裏面14b,15bにそのデータの磁気記録部14cおよび15cが形成されている。
【0012】
図2A(b)は基本カード10のさくらこ12の頭部12a,腰12bおよび足12cにフラワーヘアピンシール13,プリーツスカートシール14およびあみあげブーツシール15を貼付した状態を示している。
さくらこ12のキャラクタのシールを貼付する部分は磁気記録部11と重ならない領域にしてあるので、ゲーム機のカード読取制御部はさくらこのデータを記録した磁気記録部11,フラワーヘアピンを示すデータを記録した磁気記録部13c,プリーツスカートを示すデータを記録した磁気記録部14cおよびあみあげブーツを示すデータを記録した磁気記録部15cをそれぞれ読み込むことができる。
図3にこのようにカスタマイズしたカードを読み込んでさくらこ画像31を表示したゲーム機22の例を示す。
【0013】
図4は、本発明によるカスタマイズしたカードを利用するゲーム機の回路の実施の形態を示す回路ブロック図である。
コイン投入部4からのコイン入力を検知するコイン関連装置(コインカウンタ,コインボックスなど)23が入出力制御部24を介してバス25に接続されている。バックアップメモリ31は、コイン数の設定値が記憶されるものである。操作ボタン2は入出力制御装置24に接続されている。
サウンド処理部27はCPU20からの指示に基づき音声やBGMなどを処理し、スピーカ28はそれらサウンドを出力する。
画像処理部26はCPU20から送られる画像信号を所定の形式に変換し画像表示部6に出力する。ROM29にはゲームソフトのプログラムならびにゲームデータ(各カードのキャラクタ,アイテムなどの画像データおよび各カードのキャラクタ装飾用シールの画像データ)が格納されている。
【0014】
RAM30はCPU20がゲームプログラムの演算処理などに用いる記憶部である。CPU20はゲーム全体の制御を司るゲーム制御部20aの他、カードシール検出部20b,パラメータ決定処理部20cの各機能を有する。
ゲーム制御部20aは待ち受け画面を画像表示部6に表示制御しており、コイン投入部4からコイン投入の信号が入出力制御装置24より入力されると、ROM29からゲームソフトを読み込みゲーム開始のための画面を表示する。プレイヤはこの表示を見ながら操作ボタン2を操作してゲーム開始に必要な選択や決定を行うことによりゲームを開始することができる。ゲーム制御部20aは操作信号を受けてゲームを進行させる。
【0015】
ゲーム制御部20aはゲーム開始画面にカードの挿入を促す表示を行う。プレイヤはこの表示にしたがってカスタマイズしたカードをカード挿入部3に挿入することができる。
以降の説明ではカードデータを読取って決定するまでの処理を示す図5のフローチャートも含めて説明する。
プレイヤがカスタマイズしたカードを挿入すると、カード読取制御部22は、カード全体をセンサにより走査して磁気記録部の内容を読み込む(ステップ(以下「S」という)401)。
図2A(b)のカスタマイズしたカードであれば、さくらこの基本カードの磁気記録部11のデータを読み込むことができる。この他にフラワーヘアピンの磁気記録部13c,プリーツスカートの磁気記録部14cおよびあみあげブーツの磁気記録部15cを読み込む。この読み込んだ情報はゲーム制御部20aに送られ、ゲーム制御部20aは制御をカードシール検出部20bに渡す。カードシール検出部20bは送られてきた情報が磁気記録部11以外に他の磁気記録部からの読み込み情報が含まれているか否かによって、カードに装飾用シールが貼付されているか否かを判断する(S402)。
【0016】
カードシール検出部20bが貼付されていないと判断すれば、パラメータ決定処理部20cは基本カードのままのデータでパラメータを決定する。また、貼付されていると判断すれば、パラメータ決定処理部20cは、磁気記録部11のデータ以外の磁気記録部のデータによって基本カードのデータのパラメータを変化させ決定する(S403,S404)。ここでいうパメータは図2Aのカードでは頭部12aにフラワーヘアピンシール13を取り付けるというデータ,腰12bにプリーツスカート14を取り付けるというデータおよび足12cにあみあげブーツ15を取り付けるというデータである。
【0017】
ゲーム制御部20aは上記基本カードのデータおよびそのパラメータからROM29からさくらこの画像データならびにフラワーヘアピンシール,プリーツスカートおよびあみあげブーツの画像を読み込み、さくらこの画像の各部分にフラワーヘアピンシール,プリーツスカートおよびあみあげブーツを被せるオーバーレイ処理を施し、画像処理部26を介して画像表示部6に上述したさくらこ画像31を表示する。
ゲーム制御部20aはこのようにカードから読み込んだデータよりキャラクタを登場させ、プレイヤはこのキャラクタをゲームに用いることができる。
なお、プレイヤはカードの持ち合わせがなく、カードを挿入しないでゲームを進める場合には、カードを挿入することなく決定操作をすれば、カード情報なしでゲームが進行する。
【0018】
上記実施の形態において、装飾シールをプレイヤが本来貼付する位置からずれた位置や、他の装飾シールを貼付すべき位置に間違って貼付した場合、シールを貼付したカードの図柄はプレイヤが望まないものになるが、このようにカスタマイズされたカードが差し込まれたとしても、読み込まれるパラメータとなるデータは、シールデータの通りであるので、ゲーム機の表示部には正規の位置にシールを貼付した画像が表示される。
以上の実施の形態は、カードにデータを記録する方法として磁気記録方式を説明したが、カードの一部に2次元コードなどを印刷して光学的に読み取る方法でもよい。また、通常ではプレイヤが肉眼で確認することのできない小さいコードなどを印刷して光学的に読み取っても良い。かかる場合、装飾シールはカードの絵柄部分に貼付するため、そのデータを光学的に読み取るためにはカード読取装置部はカードの上面からも読み取るように構成することが必要である。
【産業上の利用可能性】
【0019】
ゲームセンタやイベント会場などに設置される、カスタマイズしたカードを利用したカードゲーム機である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明によるカスタマイズしたカードを利用するゲーム機の外観を示す斜視図である。
【図2A】基本カードをカスタマイズする一例を説明するための図である。
【図2B】装飾部位が添付された装飾用カードの例を示す図である。
【図3】基本カードがカスタマイズされたカードの絵柄を表示部に表示したゲーム機の外観図である。
【図4】本発明によるカスタマイズしたカードを利用するゲーム機の回路の実施の形態を示す回路ブロック図である。
【図5】本発明によるカスタマイズしたカードをゲーム機に読み込む動作を説明するためのフローフローチャートである。
【符号の説明】
【0021】
1,22 ゲーム機
2 操作ボタン
3 カード挿入部
4 コイン投入部
5 カード排出口
10 基本カード
11 磁気記録部
12 さくらこ(キャラクタ)
13 フラワーヘアピン
14 プリーツスカート
31 さくらこ画像

【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャラクタの図柄が印刷され、そのキャラクタに関しセンサにより読み取り可能なデータがカードの一部に記録されている基本カードと、
前記キャラクタの図柄の各部分に装飾を施すもので、その装飾内容を示すセンサにより読み取り可能なデータが記録されているシール材とを含み、
前記シール材を前記基本カードのキャラクタ図柄の一部に貼付することによりカスタマイズを可能にしたカード。
【請求項2】
前記シール材は装飾用カードに添付され、
前記装飾用カードからシール材を分離し、前記基本カードのキャラクタ図柄の一部に分離したシール材を貼付することによりカスタマイズを可能にした請求項1記載のカード。
【請求項3】
前記基本カードに記録されているデータは、磁気データまたは光学的に読み取り可能であるデータであることを特徴とする請求項1記載のカード。
【請求項4】
前記シール材に記録されているデータは、磁気データであることを特徴とする請求項1または2記載のカード。
【請求項5】
請求項1記載のカードと、
請求項1記載のカードが読取設置された場合、前記基本カードに記録されているデータまたは前記貼付されたシール材に記録されているデータを読み取るカード読取制御手段と、
前記読み取ったデータ中にシール材のデータが含まれているか否かを検出するカードシール検出手段と、
前記カードシール検出手段によりシール材のデータを検出した場合、該シール材のデータ用いて基本カードのキャラクタに貼付したシールの画像を合成しゲーム機の画面に表示する制御手段とを有することを特徴とするカードを利用するゲーム機。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−23233(P2008−23233A)
【公開日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−201775(P2006−201775)
【出願日】平成18年7月25日(2006.7.25)
【出願人】(306019111)株式会社タイトー (475)
【Fターム(参考)】