説明

カードブロック切断用ギロチンナイフを有するチーズ製造装置

チーズ製造装置(1)は、チーズカードを収容し、圧搾するための少なくとも1つの鉛直管状カラム(2)にカードブロックを切断するためのギロチンナイフ(50)を設けたものを備え、前記ギロチンナイフは、動作中に、切断されるべきカードブロックがギロチンナイフを通過することができる開位置と前記ギロチンナイフが前記管状カラム内に位置するカードを支持する閉位置との間を前後進し、前記ギロチンナイフを案内する案内手段が設けられ、前記案内手段は少なくとも2つの相互に平行に延びている固定桁を備え、前記固定桁は前記ギロチンナイフの長手方向縁部を受容する案内スロットが設けられた相互に対向する面を有し、前記ギロチンナイフの長手方向縁部は、前記長手方向縁部の上にプラスチック製の案内ストリップ(62)が設けられ、前記案内ストリップは中間セクションと端部セクションとにより画成された複数の凹部(63)を設けられ、前記複数の凹部はギロチンナイフ長手方向縁部の一部分を露出されたままにし、前記案内ストリップは前記ギロチンナイフ上に、所定距離にわたって長手方向に前後に滑動可能に配置され、前記案内ストリップの少なくとも複数の前記セクションの外面は、前記ギロチンナイフの長手方向縁部のための前記案内スロットと協働する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はチーズ製造装置に関し、該チーズ製造装置は、チーズカードを収容・圧搾する少なくとも1つの鉛直管状カラムを備え、前記少なくとも1つの鉛直管状カラムはカードブロックを切断するギロチンナイフを設けられ、前記ギロチンナイフは、動作時に、切断されるべきカードブロックがギロチンナイフを通過可能である開位置とギロチンナイフが管状カラム内に位置するカードカラム(curd column)を支持する閉位置との間を往復運動し、ギロチンナイフを案内する案内手段が設けられ、前記案内手段は少なくとも2つの相互に平行に延在する固定桁(stationary girder)を備え、前記固定桁は相互に対向する面を有し、前記対向面にそれぞれ案内スロットが設けられ、前記ギロチンナイフの長手方向の端部を受容する。
【背景技術】
【0002】
チーズ製造プロセスでは、公知の方法で、カード製造機内で、ミルクからカード(curd)が調製される。通常、カード製造機内のカードは、撹拌され、切断され、それにより放出されたホエー(whey)が一部分は排出され、残部はカードマスとともにバッファタンクを介してチーズのブロックを製造する装置に供給される。チーズはカードから種々の方法によって調製可能であるけれども、大規模なチーズの製造においては、いわゆる脱水カラムまたは成形カラムが使用されることが多い。予め酸性化(pre−acidified)されたカードの加工において、例えばチェダータイプチーズの製造において、成形カラム(ブロックフォーマー(商標))ともいう)が用いられ、ここで予め脱水され、酸性化され、加塩されたカードが加工される。脱水カラムがカード製造直後にホエー・カード混合物の加工に用いられる。いずれのタイプのカラムも支持体上に置かれた中空鉛直管を備え、中空鉛直管は、動作時に、その頂部において、脱水カラムの場合はカードとホエーの混合物が供給されるか、または成形カラムの場合は酸性化され予め脱水されたが依然としてホエーを含有するカードが供給される。そのようなカラムでは、カードは頂部から底部へ向かうにつれてより圧搾され、カラムの底部でカードブロックを切断することができる。このために、カラムの底部には、水平に動作するギロチンナイフが配置されている。ギロチンナイフはカラムを閉鎖し、その閉じた位置でカードカラムを支持する。ギロチンナイフは周期的に開かれ、カードカラムがチューブ内で設定可能な距離を下降移動することができる。このために、滑動スリーブ内を鉛直方向に往復可能なドーシングプレート(dosing plate)(脱水カラムの場合)またはドーシングチャンバ(dosing chamber)(成形カラムの場合)が存在し、ギロチンナイフの下に配置されている。ギロチンナイフを開く前に、ドーシングプレートがギロチンナイフの真下の位置に移動され、ギロチンナイフが開かれたときにカードカラムの支持を引き受ける。その際、ドーシングプレートは、カードブロックの所望の高さに相当する設定可能な距離を下降移動する。その際、ギロチンナイフが閉鎖位置に再移動すると、カードブロックはそれによりカードカラムから切断され、今度はギロチンナイフがドーシングプレートからカードカラム支持機能を引き継ぐ。
【0003】
切断されたカードブロックは、今度は滑動スリーブ中のドーシングプレート上にまたはドーシングチャンバ内にある。ドーシングプレートは、カードブロックが滑動スリーブまたはドーシングチャンバの底部に来るまでさらに下降する。脱水カラムの場合、カードブロックを中に収容した滑動スリーブがチーズモールドの上方の位置まで側方に移動され、チーズモールド内に移される。成形カラムの場合、切断されたカードブロックは側壁の一つに支援され、これに対向する揺動して撤退可能または取り外し可能な側壁を経由して側方に移動して出され、外部の充填装置に移動される。
【0004】
ギロチンナイフは前端部と、後端部と、2つの長手方向側縁部とを有する。前端部は刃先を形成し、後端部は駆動手段に結合されている。この駆動手段は、例えば、空気圧シリンダであってもよく、かつギロチンナイフが開位置と閉位置との間を前後に移動可能にするものであってもよい。2つの側縁部は案内手段の案内スロット内にある。案内手段は、典型的には、例えばUHMWP(超高分子量ポリエチレン型のポリエチレン)その他の適切なプラスチックの2つの細長い案内ブロックを含む。案内ブロックは、通常、鉛直管状カラムの下のステンレス鋼フレームの部分内および/またはそれらの間に固定して載置され、上述の案内スロットを設けられている。これらの案内スロット内にギロチンナイフの長手方向側縁部が案内される。
【0005】
既知の案内手段は、したがって、プラスチック製案内ブロックを備え、このプラスチック製案内ブロックはステンレス鋼フレーム部分の上に載置される。プラスチック材料とステンレス鋼は熱膨張率が異なるので、これらの異なる材料の相互に当接する表面にそれぞれスリットを形成してもよい。これらのスリットは清掃が困難であり、使用の際に製品残渣が蓄積することにより感染源となるおそれがある。また、そのようなスリットを介して漏れが発生し得る。ブロックフォーマー(商標)では、一方では鉛直管状カラムの内部とドーシングチャンバとの間、他方では環境との間の空気圧の差、並びにカラム内部とドーシングチャンバ内部との間の空気圧の差が用いられている。それゆえ、プラスチック製案内ブロックとステンレス鋼製フレーム部分の間を介する漏れは望ましくない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上述の問題点が起きないかまたは少なくとも低減される改良された構成を利用可能にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このために、本発明によると、上記のタイプの装置は、ギロチンナイフの長手方向側縁部に該側縁部を覆うプラスチック製案内ストリップが設けられ、前記案内ストリップは中間セクションにより区切られた複数の凹部を設けられ、前記凹部は前記ギロチンナイフの前記側縁部の一部分をそれぞれ露出したままにし、前記案内ストリップは前記ギロチンナイフ上で長手方向に所定の距離にわたって前後に滑動可能であるように配置され、かつ少なくとも前記案内ストリップの前記複数のセクションの外表面が前記ギロチンナイフの前記長手方向側縁部のための案内スロットと協働することを特徴とする。
【0008】
なお、いわゆる単一カラムでは、それぞれの場合に単一のカードブロックが切断される。多重カラムの場合、複数の鉛直カード収容チューブがカラム内に存在し、動作時、ギロチンナイフにより複数のカードブロックが同時に切断される。これらはカセットとも呼ばれる多重収容スペースを有する滑動スリーブ内に収容される。
【0009】
以下、説明を簡略化するために、スタートポイントは例えば出願人の販売するテトラ・テベル・ブロックフォーマー(Tetra Tebel Blockformer(登録商標))のような、単一のカラムを有する装置とする。しかしながら、本発明は出願人の販売するテトラ・テベル・カソマチック(Tetra Tebel Casomatic(登録商標))SCのような脱水カラム、および出願人の販売するテトラ・テベル・カソマチック(Tetra Tebel Casomatic(登録商標))MCのような多重カラムを1つ以上有する装置に適用可能である。
【0010】
以下に、添付図面を参照して、本発明をさらに詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】ギロチンナイフを設けられた公知のチーズ製造装置の一例を示す概略側面図である。
【図2】ギロチンナイフを案内するフレームの公知のデザインの一例を示す概略上面図である。
【図3】図2のIII−III線に沿う図2のフレームの一部分の概略断面図である。
【図4】本発明の基本的なアイデアを説明する概略図である。
【図5】本発明による装置において案内ストリップを使用する例を示す一連の図のうちの上面図である。
【図6】完全を期すために、本発明による装置において案内ストリップを使用する例を示す一連の図のうちの、図5のVI−VI線に沿う断面図である。
【図7】完全を期すために、本発明による装置において案内ストリップを使用する例を示す一連の図のうちの、図5の矢印VIIに示す方向から見た端面図である。
【図8】完全を期すために、本発明による装置において案内ストリップを使用する例を示す一連の図のうちの、図5の矢印VIIIに示す方向から見た端面図である。
【図9】完全を期すために、本発明による装置において案内ストリップを使用する例を示す一連の図のうちの、図5の矢印XIに示す方向から見た正面図である。
【図10】完全を期すために、本発明による装置において案内ストリップを使用する例を示す一連の図のうちの、図9のX-X線に沿う長手方向断面図である。
【図11】案内ストリップを有するギロチンナイフ刃先の前端部分を示す概略図である。
【図12】案内ストリップを有するギロチンナイフ刃先の後端部分を示す概略図である。
【図13】案内手段の桁内に受容された、案内ストリップを有するギロチンナイフの概略断面図である。
【図14】案内ストリップの締着方法を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は、チェダータイプのチーズを製造する既知のチーズ製造装置の一例を示す概略図である。装置1はブロックフォーマー(商標)とも呼ばれ、単一の鉛直成形機2を備える。鉛直成形機2は管状外側ジャケット3と、この外側ジャケット内に延在する有孔脱水チューブ4とを備える。脱水チューブと外側ジャケットの間には間隙25がある。
【0013】
成形機2は支持体5上に置かれ、ドーシングチャンバ6を含む。ドーシングチャンバ6には、持上げシリンダ8により作動されるドーシングプレート7と排出シリンダ10により作動される排出プレート9とがある。さらに、ドーシングチャンバ内には水平に動作するギロチンナイフ11が配置され、シリンダ12により作動される。ギロチンナイフは図示の閉位置で成形カラム2とドーシングチャンバ6との間の隔壁となる。
【0014】
動作時、成形カラムの頂部において、供給チューブ14を介して予め脱水された、カードチップとも呼ばれるカード粒子が供給される。カード粒子15は、本実施例では、概略を示す貯蔵容器16内に収容され、動作時に成形カラムに真空が生成されることによって貯蔵容器から引き出される。このために、真空装置17が存在し、本実施例では真空装置17は真空ポンプ18と真空タンク19とを備える。真空タンク19は制御弁20と第1の真空ライン21とを介して成形カラムの内部と連結されている。さらに、真空タンク19は、本実施例では、制御弁22と第2の真空ライン23とを介してドーシングチャンバ6と連結されている。
【0015】
カラムにカードを最初に充填する間、ギロチンナイフ11は、図1に示すように、閉位置にある。鉛直脱水チューブ4内に存在するカードカラム(不図示)は、動作時に、ギロチンナイフ上にある。カードカラムは脱水チューブ4の孔と、外側ジャケットと脱水チューブとの間の間隙25とを介して脱水される。本実施例では、カラムから出るホエーは孔と間隙とを介してドーシングチャンバ6に流入し、そこで排出装置13を介して排出することができる。
【0016】
脱水と自重とにより、カードカラムは穿孔されたチューブの頂部から底部へ向けて圧搾される。カラムの下端では、周期的にブロックがギロチンナイフ11を用いて切断される。このために、最初、ドーシングプラットフォーム7が持上げシリンダ8を用いてギロチンナイフの真下の位置に運ばれる。その際、シリンダ12の支援で、ギロチンナイフが開位置に(図1の右へ)移動され、カードカラムはプラットフォーム7上に下降可能になる。この後、プラットフォーム7は設定可能な距離を下降移動する。その際、ギロチンナイフは再び閉位置に運ばれ、ブロックがカードカラムから切り出される。切り出されたブロックは横に移動され、排出プレート9と排出シリンダ10とを用いてドーシングチャンバ6の外に移動することができる。このために、排出プレート9に対向して配置された壁部分26は、図1の破線で示されるように、蝶番運動可能なデザインになっている。
【0017】
カードカラムの下降移動を促進するために、鉛直管状カラム内の真空を制御弁20を用いて一時的に解除し、カラム内部とドーシングチャンバ6との間に圧力差を生じるようにしてもよい。この圧力差によりカードカラムに働く下向きの力が増す。
【0018】
ギロチンナイフ11は案内手段内を移動するが、図1には案内手段は図示されていない。
【0019】
図2および図3は、それぞれ、ギロチンナイフ用の従来の案内手段の一例の概略を上面図および断面図で示すものである。図2はギロチンナイフ11とギロチンナイフを収容し案内する固定フレーム31とのアセンブリ30を示す上面図である。このフレームはH−フレームと呼ばれることが多い。ギロチンナイフ11はシリンダ12(図1)により、両頭矢印32に従ってフレーム内で前後に移動可能である。シリンダ12はギロチンナイフの後端部33と連結されている。ギロチンナイフ11は全面に鋭利な刃先34を設けられている。
【0020】
H−フレームはギロチンナイフの移動方向に延在し、かつギロチンナイフの幅により決定される間隙を有する2つの平行な脚部35,36を有し、脚部35,36は、H−フレームを前部セクション38と後部セクション39とに分割する中央交差接続部37を介して連結されている。ギロチンナイフの後端部33は後部セクション39にあり、後部セクション39は図示の例では開いているが、交差接続部を設けられていてもよい。前部セクション38では、ギロチンナイフの刃先34はアクティブである。前部セクションは前部交差接続部40を設けられ、前部交差接続部40は中央交差接続部および脚部35,36の前部部分とともにカードカラム用の通過開口部41を形成する。
【0021】
図2において、ギロチンナイフは半開位置に引かれている。閉位置では、刃先34は交差接続部40に対抗して、その内部にまたは下方に配置されている。全開位置では、刃先は中央交差接続部37内またはその下方にあり、通過開口部41が開いており、カードカラムが下方に移動可能である。
【0022】
図3に示すように、本実施例では、脚部35,36はそれぞれステンレス鋼製の上部および下部35a、35bおよび36a、36bで構成され、それらの間に細長いプラスチック製の案内または支承ブロック35cおよび36cが載置され、それらは動作時にギロチンナイフ11により移動される経路と実質的に同じ長さを有する。
【0023】
支承ブロックは適切なタイプのプラスチックから製造され、相互に対向する側面には案内スロット41,42が設けられている。案内スロット41,42にはギロチンナイフ11の側縁部43,44が案内される。
【0024】
既に示したように、熱膨張現象により、小さな亀裂またはスリットが支承ブロックとステンレス鋼部分との接触面同士の間に生じることがあり、慣用のCIP(現場洗浄)システムでは洗浄が困難であり、漏れ、従って真空損失につながることがある。
【0025】
ギロチンナイフの側縁部43,44は支承ブロックのスロット41,42内に精密に嵌合する。図中、むしろ幅広の嵌合が見られるが、明瞭に示すためにそのように描画したものに過ぎない。実際は、ギロチンナイフの側縁は支承ブロックのスロットにぴったりと嵌合するので、ギロチンナイフが容易に前後に滑動可能であるけれども間隙は最小である。この結果、ギロチンナイフの長手方向の側縁部領域は常に密閉されているので、洗浄が困難である。洗浄サイクルの間、ギロチンナイフは前後に滑動されるけれども、長手方向の側縁部は、案内スロット自体とは異なり、常に覆われている。案内スロットの全ての部分はギロチンナイフが前後に滑動するにつれて一時的に露出される。
【0026】
図4〜図10は、洗浄困難なスポットの課題が解決または低減され、H−フレームの層構成を回避可能である、本発明による構成の一例を示す概略図である。
【0027】
図4は、図面では一側縁部に図5〜図10に示したものと同様の案内ストリップを設けたギロチンナイフの概略上面図である。
【0028】
図4に示すギロチンナイフ50は2つの側縁部51、52を有し、これらは、動作時に、ギロチンナイフが開位置と閉位置との間を前進後退する間ギロチンナイフを案内する案内手段内に受容される。さらに、ギロチンナイフ50は通常の方法で、刃先53を形成する前縁部と、後縁部54とを設けられている。後縁部の近くに駆動要素用の締着ポイント55が設けられている。
【0029】
図示された例では、各側縁部は後縁部の近くに第1の凹部56を設けられており、前縁部または刃先の近くに第2の凹部57を設けられている。これらの凹部は矩形であり、ギロチンナイフのそれぞれの側縁部に平行に延在する底縁部と、ギロチンナイフの底縁部および側縁部に対して実質的に横方向に延在する2つの端縁部とにより区切られている。側縁部51の凹部56において、明瞭に説明するために、凹部の底壁を58で、端縁部を59および60で示した。以下にさらに詳しく説明するように、端縁部は止め具(stop)として機能する。
【0030】
図4において、明瞭に説明するために、ギロチンナイフ50の一方の側縁部のみに案内ストリップ62が設けられている。もちろん、実際の場面では、両側縁部に案内ストリップが設けられる。動作時、案内ストリップの外表面が静止案内手段の案内スロットの内表面に直接当接し、案内ストリップはギロチンナイフの縁部と一緒に案内スロットを通って移動する。図4に示した案内ストリップの例は本質的に断面U字型のストリップであり、ギロチンナイフの側縁部を覆っているが、複数の凹部を設けられているため、ギロチンナイフの側縁部は露出したままになっている。図4の案内ストリップはそのような凹部63のうちの4つを有し、これらはストリップの長手方向から見ると、それぞれ両側をU字型中間セクションまたはブリッジ65と端部セクション64および66とにより区分されている。中間セクションと端部セクションは、ギロチンナイフの上面と底面にそれぞれ配置され、案内ストリップの長さにわたって延在する2つの狭い接合ストリップ67により相互に結合されている。
【0031】
ストリップ62は、ギロチンナイフの前進後退運動の間ストリップが担持されるように、しかし同時にギロチンナイフに対して長手方向に滑動可能であるように締着される。その結果、ギロチンナイフの端縁部分は交互に被覆および露出される。凹部63が長手方向において中間セクションと同じ長さを有するならば、ストリップがギロチンナイフに沿って移動するにつれて、ギロチンナイフの端縁の全ての部分が交互にいつかは完全に露出されるようになる。従って、CIPサイクルの間、ギロチンナイフのすべての端縁部分を適切に洗浄することができる。同じことが案内スロットの内表面についても当てはまる。特に案内スロットの、ナイフのストロークの重なる部分に対応する案内スロットのセクションに対して当てはまる。このことはナイフの前部(閉)および後部(開)位置の両方に被覆されているセクションに関係する。
【0032】
図示の例では、案内ストリップ62の両端部セクション64および66がギロチンナイフの端縁部の凹部56および57に配置されている。このために、両端部セクションの厚みDは、図10に明らかなように、ギロチンナイフの移動方向に対して横方向(交差方向)に、かつギロチンナイフの平面内で見て、中間セクションの厚みdよりも大きい。本実施例における厚みDは、中間セクションの厚みdに凹部56および57の深さを足したものにほぼ等しい。
【0033】
図4においては、3つの中間セクションおよび2つの端部セクションを持つ案内ストリップ62が図示されており、図5〜10においては7つの凹部を持つ案内ストリップが図示されているけれども、案内ストリップとその部分に対して同じ参照符号を図4および図5〜図10において使用した。
【0034】
ギロチンナイフの凹部56,57内にある案内ストリップの厚肉端部セクション64および66が、案内ストリップがギロチンナイフに対して滑動する距離を制限している。凹部の横方向の側縁部はそのとき止め部材として機能し得る。ギロチンナイフの縁部に単一の凹部、または逆に多数の凹部を設けても同様の効果が得られる。案内ストリップのこれらの凹部および関連する厚肉セクションは案内ストリップの端部に位置している必要はない。
【0035】
図示の例では、案内チャネル62は、ギロチンナイフの長手方向の後端部54に近い方のその端部において比較的に短い幅広部分68を設けられており、この幅広部分68は、ストリップの残りの部分よりも若干遠くまでギロチンナイフを横方向(交差方向)に覆い、かつ本実施例ではギロチンナイフの上下両側に位置している。この幅広部には案内ストリップの長手方向に延在するスロット69が設けられており、このスロット69は載置された状態ではギロチンナイフの平面に対して交差するように(transversely)延在し、ギロチンナイフを貫通して延在する突起70、例えばカムまたはピンの形の締着部材を受容する。ピン70とスロット69のアセンブリは案内ストリップがギロチンナイフに対して横に移動することを防止する。所望により、スロットはさらに、ギロチンナイフの対応する凹部内に延在する、案内ストリップの1つ以上の厚肉セクションを持つか否かに拘わらず、案内ストリップの滑動路を制限する役割を果たしてもよい。
【0036】
案内ストリップをギロチンナイフの縁部に締着する、ピンとスロットの組み合わせ等のような締着手段は、原理的には、必要ではない。その理由は、ギロチンナイフおよび案内ストリップは載置された状態では固定案内手段同士の間および中に制限されているからである。しかしながら、そのような締着手段を使用する場合、固定案内手段はより簡単なデザインにすることが可能であり、例えばカードカラム用の通路開口部41(図2)の領域に実質的に制限されるようにしてもよい。ギロチンナイフの前部部分は固定案内手段により緊密に収容されている状態に保たれることが常に必要とされるが、締着手段はギロチンナイフの後部側近傍で動作可能なものであればよい。図4、5、10および12において、ピン70はギロチンナイフの後部側近傍に配置され、スロット69は案内ストリップに同様にギロチンナイフ50の後部側近傍に配置されている。
【0037】
スロットは案内ストリップがギロチンナイフの側縁部に添って前進後退運動が可能なように十分に長くすることが必要である。スロットがギロチンナイフに沿う案内ストリップの所望の滑動路よりも長いと、他の滑動制限手段が必要となる。他の滑動制限手段は、例えば上述の凹部56、57と案内ストリップの厚肉部64、66とを一緒にしたものである。スロットが所望の滑動路と同じ長さの場合、スロットは突起部70と一緒に滑動制限手段として働く。その場合、スロットは、ナイフの縁部の凹部と案内ストリップの厚肉部にとって代わることができる。
【0038】
上述の説明では、案内ストリップのスロットが設けられた幅広部はギロチンナイフ50の両面に存在すると説明した。この幅広部は、以下に図14を参照してさらに詳細に説明するように、スロットに対してやや後方に延在していてもよい。
【0039】
ピン70をギロチンナイフの一方の側、すなわち上側または下側のみでその表面の外へ突出させることも可能である。その場合、ピンは唯一のスロット69と協働することが必要である。所望により、同様に一方の側のみにスロットを設けた幅広部を有する案内ストリップを使用することができる。そのような構成を使用してもよいのは、特に、案内ストリップの材料がそれほど柔軟性を有しない場合である。次いで、図14に概略を示すように、ギロチンナイフに案内ストリップを取付けることができる。
【0040】
図14は保持ピン70を設けたギロチンナイフ50の一部分を示す。さらに、図14は上述のように凹部を設けた案内ストリップ90の一部分を示す。案内ストリップ90は、図面の一方の側のみに案内ストリップの長手方向に延在するスロット状孔92を有するスロット幅広部91を有する。
【0041】
幅広部91は案内ストリップの残部に対して後方に延在する。案内ストリップは、スロットが突起部70を覆うように幅広部を置くことによりギロチンナイフ上に締着され、案内ストリップはギロチンナイフに対して外向きに旋回される。次いで、案内ストリップは矢印94に示されるように内向きに旋回され、案内ストリップはギロチンナイフの縁部に重なるように配置される。
【0042】
ギロチンナイフがこのように案内ストリップを設けられている場合、ギロチンナイフは固定案内手段同士の間を滑動させることが可能である。
【0043】
図14において、ギロチンナイフの側縁部93には凹部が設けられていない。案内ストリップの滑動路の制限は、この場合、スロットと突起部の組み合わせによって実現される。
【0044】
ギロチンナイフがCIPサイクルの間、開位置と閉位置の間で前進後退運動するときに、ギロチンナイフの案内ストリップが、実際にギロチンナイフに沿って確実に滑動するようにするために、固定案内手段(H−フレーム)に、例えばカムのような止め要素をギロチンナイフが移動する経路の前端および後端の近傍に設けることができる。案内ストリップが図4に示すように前方に移動した位置にあるときに、前方カムは、案内ストリップの前端部セクション66と係合する。次いで、前方カムは案内ストリップを止めるので、案内ストリップはギロチンナイフに対して後方に滑動する。
【0045】
完全を期するために、図11はそのようなカムの一例を概略的に示す。図11は、図4の右下隅に対応する、ギロチンナイフ50の一部分を示す。動作時のギロチンナイフと案内ストリップとを収容するH−フレームの部分が71で示され、前方カムは73で示されている。カム73は別途配置された止め要素であってもよいが、ギロチンナイフの前端部分が閉状態で交差接続部のスリットまたは凹部内に延在する場合は、例えば図2の交差接続部40のようなH−フレームの交差接続部の一部分により形成されていてもよい。同様のカム75が図12に示されている。ギロチンナイフ50が後方位置に接近しているときに、案内ストリップ62が依然として後方に移動した位置にある場合、カム75は、案内ストリップ62を前方に押す。カム75は、案内ストリップを備えるギロチンナイフが簡単に取付け、取り外し可能であるように、簡単に取り外し可能なカムであるのが好ましい。
【0046】
図13は、本発明の装置用のH−フレームの2つの脚部すなわち長手方向桁(longitudinal girder)80、81の概略を断面図で示す。これらの桁はそれぞれ長手方向スロット82,83を設けられており、長手方向スロット82,83に、上述の種類の案内ストリップ62を設けられたギロチンナイフ50の縦縁部51,52が受容される。説明を明瞭にするために、案内ストリップ62と長手方向スロット82,83の壁部との間に若干のスペースを示してある。実際は、案内ストリップは長手方向スロットの表面に直接当接する。従って、H−フレームの桁は一体に製造することができ、プラスチック製ベアリングブロックを含んでいる必要がない。
【0047】
また、図3に示す既知の構成に存在するような別体のプラスチック製ベアリングブロックが存在しないため、そのようなベアリングブロックとH−フレームの部分との間にスリットが存在しない。そのため、そのようなスリットに製品残滓が蓄積することは、本発明の構成においてはあり得ない。また、かかる別体のプラスチック製ベアリングブロックが存在しないため、本発明の構成においては、そのようなスリットを介して漏れが生じることももはやあり得ない。
【0048】
案内ストリップは、例えばUHMWPのような任意の食品等級のプラスチックから製造することができ、所望により、簡単にかつ迅速に交換することができる
【0049】
上述の種類の装置は、動作時にギロチンナイフに対してかつ他方の案内手段に対して滑動する案内ストリップを備えることにより、簡単かつ効果的にCIPシステムで洗浄することが可能である。
【0050】
当業者は、上述の構成に倣って、種々の構成上の変形例を容易に想到することができる。そのような変形例は本発明の範囲内であると了解される。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
チーズ製造装置であって、
チーズカードを収容し、圧搾するための少なくとも1つの鉛直管状カラムにカードブロックを切断するためのギロチンナイフを設けたものを備え、
前記ギロチンナイフは、動作中に、切断されるべきカードブロックがギロチンナイフを通過することができる開位置と前記ギロチンナイフが前記管状カラム内に位置するカードカラムを支持する閉位置との間を前後進し、
前記ギロチンナイフを案内する案内手段が設けられ、前記案内手段は少なくとも2つの相互に平行に延びている固定桁を備え、前記固定桁は前記ギロチンナイフの長手方向縁部を受容する案内スロットが設けられた相互に対向する面を有する装置において、
前記ギロチンナイフの前記長手方向縁部は、前記長手方向縁部の上にプラスチック製の案内ストリップを設けられ、前記案内ストリップは中間セクションと端部セクションとにより画成された複数の凹部を設けられ、前記複数の凹部はそれぞれ前記ギロチンナイフの前記長手方向縁部の一部分を露出させたままにし、
前記案内ストリップは、前記ギロチンナイフ上に、所定距離にわたって長手方向に前後に滑動可能に配置され、
前記案内ストリップの少なくとも複数の前記セクションの外面は、前記ギロチンナイフの前記長手方向縁部のための前記案内スロットと協働することを特徴とするチーズ製造装置。
【請求項2】
請求項1に記載の装置において、
前記案内ストリップの前記凹部および前記中間セクションの長さ並びに前記案内ストリップが前記ギロチンナイフ上を前後に滑動可能な距離は、相互に調整され、その際、案内ストリップの前後滑動運動の間、当初前記中間セクションおよび端部セクションにより覆われていた前記ギロチンナイフの前記長手方向縁部の全部分が露出されるようにすることを特徴とする装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の装置において、
案内ストリップの前記中間セクションと前記端部セクションは前記案内ストリップの長手方向に延在する狭い連結ストリップを介して相互に結合され、前記連結ストリップは取付けられた状態で前記ギロチンナイフの上面および底面の上に延在していることを特徴とする装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の装置において、
案内ストリップがギロチンナイフの長手方向縁部に沿って滑動可能である距離を制限する滑動制限手段を備えることを特徴とする装置。
【請求項5】
請求項4に記載の装置において、
前記滑動制限手段は前記ギロチンナイフの長手方向縁部において前部および後部停止端を有する少なくとも1つの凹部を備え、案内ストリップの一部分が前記少なくとも1つの凹部に係合し、前記一部分は前記前部および後部停止端の間を前後に滑動可能であることを特徴とする装置。
【請求項6】
請求項5に記載の装置において、
前記少なくとも1つの凹部に係合する前記案内ストリップの前記一部分は前記案内ストリップの厚肉の中間セクションまたは端部セクションであることを特徴とする装置。
【請求項7】
請求項5または6に記載の装置において、
前記滑動制限手段は、ギロチンナイフの長手方向縁部において前方凹部および後方凹部を備え、前記前方凹部は案内ストリップの前部厚肉端部セクションと協働し、前記後方凹部は前記案内ストリップの後方厚肉端部セクションと協働することを特徴とする装置。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の装置において、
ギロチンナイフの長手方向縁部に沿って案内ストリップが滑動可能である距離を制限可能であり、かつ案内ストリップのための締着手段としても機能することが可能である滑動制限手段を備えることを特徴とする装置。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか一項に記載の装置において、
ギロチンナイフ上に案内ストリップを保持するための締着手段を備え、
前記締着手段は、前記ギロチンナイフの上面または底面上にある案内ストリップの一部分に少なくとも1つのスロット状開口部と、前記ギロチンナイフの少なくとも1つの突出部であって前記少なくとも1つのスロット状開口部内に延在するものとを備え、
前記スロット状開口部は前記ギロチンナイフの長手方向に延在し、前記案内ストリップが前記所定距離にわたって長手方向に前後に滑動可能となる長さをもつことを特徴とする装置。
【請求項10】
請求項9に記載の装置において、
前記締着手段は、前記ギロチンナイフの刃先から遠い端部の近傍であって前記ギロチンナイフの上面または下面に位置する突出部を備え、前記突出部は案内ストリップのスロット状開口部内に延在することを特徴とする装置。
【請求項11】
請求項10に記載の装置において、
前記突出部は前記ギロチンナイフを通って延在するピンの端部によって形成されることを特徴とする装置。
【請求項12】
請求項8〜11のいずれか一項に記載の装置において、
前記少なくとも1つのスロット状開口部および前記少なくとも1つの突出部は前記滑動制限手段またはその一部分を形成することを特徴とする装置。
【請求項13】
請求項9〜12のいずれか一項に記載の装置において、
前記スロット状開口部は後方に延在する案内ストリップの一部分に設けられていることを特徴とする装置。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれか一項に記載の装置において、
前記ギロチンナイフの前記長手方向縁部に対する前記案内スロットはステンレス鋼製桁に形成されたスロットであることを特徴とする装置。
【請求項15】
請求項1〜14のいずれか一項に記載の装置において、
前記案内スロットが設けられた前記桁は一体の桁であることを特徴とする装置。
【請求項16】
請求項1〜15のいずれか一項に記載の装置おいて、
前記固定案内手段は停止要素を前記ギロチンナイフの移動経路の前端部または後端部近傍に設けられ、
前記前方停止要素は、前記ギロチンナイフが前方移動する際に案内ストリップが前記ギロチンナイフ上の前方移動位置にあるときに前記案内ストリップと係合し、前記案内ストリップを前記ギロチンナイフに対して後方に滑動させ、
前記後方停止要素は前記ギロチンナイフが後方移動する際に案内ストリップが前記ギロチンナイフ上の後方移動位置にあるときに前記案内ストリップと係合し、前記案内ストリップを前記ギロチンナイフに対して前方に滑動させることを特徴とする装置。
【請求項17】
請求項1〜16のいずれか一項に記載の装置において使用するためのプラスチック製案内ストリップであって、
前記案内ストリップは、底部と2つの脚部とを有する実質的にU字形状を有し、前記2つの脚部の間にギロチンナイフの側縁部を受容可能であり、かつ前記案内ストリップは長手方向から見ると少なくとも底部およびそれに直接接する脚部の部分において、中間セクションと端部セクションとにより画成された複数の凹部を有することを特徴とするプラスチック製案内ストリップ。
【請求項18】
請求項17に記載のプラスチック製案内ストリップにおいて、
前記中間セクションまたは端部セクションの少なくとも1つは厚肉の底部を有し、前記厚肉の底部はギロチンナイフの端部に設けられた凹部と協働することを特徴とするプラスチック製案内ストリップ。
【請求項19】
請求項17または18に記載のプラスチック製案内ストリップにおいて、
前記中間セクションおよび端部セクションは、動作時に上面および底面に存在する狭い連結ストリップにより結合され、前記ギロチンナイフの後側近傍にある端部における前記連結ストリップの少なくとも1つが幅広部を有し、前記幅広部はスロットを設けられており、動作時に前記ギロチンナイフの突出部がそのスロット内に延在することを特徴とするプラスチック製案内ストリップ。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate


【公表番号】特表2012−527885(P2012−527885A)
【公表日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−512516(P2012−512516)
【出願日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際出願番号】PCT/IB2010/052373
【国際公開番号】WO2010/136994
【国際公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【出願人】(591007424)テトラ ラバル ホールデイングス エ フイナンス ソシエテ アノニム (190)
【Fターム(参考)】