説明

カードリーダー

【課題】車両のリアウインドウのような曲面に形成された箇所に取り付けた際にも容易に剥落することのないカードリーダーを提供しようとするものである。
【解決手段】カーシェアリングに供される車両に搭載され、非接触でICカードに記憶された情報を取得することが可能なカードリーダーにおいて、ICカードとの間で無線通信を行うためのアンテナ部と全体の動作を制御するためのコントロール部とが形成された一枚のプリント基板と、上記一枚のプリント基板を開口部から挿入して内部に収納可能であり、かつ、当該内部から上記一枚のプリント基板が容易に取り出すことが不可能な袋状に形成されるとともに、柔軟性および耐熱性のある材料により作製されるケースとを有し、上記ケース内に上記プリント基板を収納するようにしたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カードリーダーに関し、より詳細には、車両に搭載されて好適であり、非接触でICカードに記憶された情報を取得するカードリーダーに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自動車の新しい利用形態として、一台の自動車を複数の会員が共同で利用する、所謂、カーシェアリングが注目されている。
【0003】
ここで、カーシェアリングとは、利用者は自ら自動車を所有せず、管理団体の会員となり、必要に応じてその団体の自動車を借りるというものである。
【0004】
また、カーシェアリングは、ある地域に限定したコミュニティーの中で会員同士で自動車を共有し、インターネットなどを通じて車両の利用状態の確認や利用予約を行うようにしているため、貸し出し手続に時間を必要とせず、貸し出し・返却場所は、居住しているマンションの駐車場であったり、あるいは、通勤駅の近くであったりと、会員が利用するにあたって便利な場所に設定されていることが多い。
【0005】
こうしたカーシェアリングにより、利用者は、自動車を所有する場合に比べて、自動車取得費用、維持経費ならびに駐車料金といった費用を削減することができるようになる。
【0006】
さらに、カーシェアリングが広く普及されることにより、自動車の総台数の低減が見込まれ、都市の交通渋滞の緩和やエネルギー消費量の低減により、二酸化炭素による地球温暖化を抑止する効果が期待されている。
【0007】

ところで、上記したようなカーシェアリングにおいては、例えば、図1のブロック構成図に示すようなシステムを構築し、このシステムにより車両予約、運用管理あるいは車両管理が行われている。
【0008】
即ち、こうしたカーシェアリングシステム100においては、カーシェアリングシステム100の管理団体のパーソナルコンピューター102と接続されるとともに当該管理団体の会員となった利用者のパーソナルコンピューター104や当該利用者の携帯電話106とネットワークを介して接続されるサーバー108と、車両110に設けられかつ携帯電話網でサーバー108と接続される車両制御装置112と、車両110に設けられるとともに車両制御装置112と接続されるカードリーダー114と、車両110に設けられるとともに車両制御装置112に接続されるキーボックス116とを有して構成されている。
【0009】

以上の構成において、カーシェアリングシステム100を利用して車両110の予約や利用を行うには、まず、利用者が管理団体に会員登録を行う。これにより各利用者に対し、利用者固有の登録コードが作成されるとともに、当該登録コードを認証用コードとして記憶したICカードが配布される。
【0010】
そして、利用者が予約を行う場合には、利用者がパーソナルコンピューター104あるいは携帯電話106を利用してサーバー108に設けられた予約サイトにアクセスし、車両110の予約状況を確認し、利用者の要望にあった車両110の予約を行う。
【0011】
その後、予約時間になると、携帯電話網を利用して、予約の情報がサーバー108から車両制御装置112に送られて、車両制御装置112の制御によりカードリーダー114が起動される。
【0012】
一方、利用者は、予約時間に車両110が駐車された駐車場まで行き、カードリーダー114に会員登録時に取得したICカードを翳して当該ICカードに記憶された認証用コードを読み取らせる。カードリーダー114では読み取った認証用コードを車両制御装置112に出力し、車両制御装置112から携帯電話網を利用してサーバー108に出力する。
【0013】
そして、サーバー108において認証用コードが入力されると、当該認証用コードとサーバー108に予め記憶されている利用者の登録コードとが一致するか否かを判断し、一致すると判断された場合に、この判断結果を携帯電話網を利用して車両制御装置112に出力し、車両制御装置112の制御により車両110のセキュリティを解除した状態とする。
【0014】
つまり、利用者がICカードをカードリーダー114に翳して認証を受けることにより、車両制御装置112の制御により車両110のドアのロックが解除されるとともに、キーボックス116からキーが取り出せる状態となり、車両110の利用が可能となる。
【0015】
そして、利用者は予約した時間内で車両110を利用するものであるが、予約時間が終了するまでに車両110を決められた駐車場に駐車させて、キーをキーボックス116に返却するとともに全てのドアを閉める。
【0016】
その後、利用者は再度ICカードをカードリーダー114に翳して、当該ICカードに記憶された認証用コードをカードリーダー114に読み取らせる。カードリーダー114では読み取った認証用コードを車両制御装置112に出力し、車両制御装置112から携帯電話網を利用してサーバー108に出力する。
【0017】
そして、サーバー108において認証用コードが入力されると、当該認証用コードとサーバー108に予め記憶されている利用者の登録コードとが一致するか否かを判断し、一致すると判断された場合に、この判断結果を携帯電話網を利用して車両制御装置112に出力し、車両制御装置112の制御により車両110のセキュリティを起動した状態とする。
【0018】
つまり、利用者がICカードをカードリーダー114に翳して認証を受けることにより、車両制御装置112の制御により車両110のドアのロックがなされるとともに、キーボックス116からキーが取り出せない状態となる。
【0019】
その後、車両制御装置112により走行距離などが確認され、確認された情報に基づいて車両110の利用に関する料金の算出を行い、利用者のパーソナルコンピューター104あるいは携帯電話106に算出した料金を通知する。
【0020】

このように、カーシェアリングシステム100における車両110の管理を行うために、車両110においては、車両制御装置112とともにカードリーダー114が搭載されている。
【0021】
ここで、カードリーダー114は、例えば、図2に示すように、ICカードと無線通信するためのアンテナ部が形成されたアンテナ基板114−1と、電源や通信部などカードリーダー114の全体の制御を行うためのコントロール部が形成されたコントロール基板114−2と、アンテナ基板114−1とコントロール基板114−2とを接続するケーブル114−3と、硬質プラスチックにより略直方体形状に成型される筐体114−4とにより構成されている。なお、この筐体114−4は、本体部114−4aと蓋部114−4bとにより構成されている。
【0022】
そして、カードリーダー114は、アンテナ基板114−1とコントロール基板114−2とがケーブル114−3により接続された状態で本体部114−4a内に配設され、蓋部114−4bを本体部114−4aの上面に固定して形成されている。
【0023】
こうしたカードリーダー114は、図示しないケーブルにより車両制御装置112と接続された状態で車両110内に配設される。具体的には、車両110の外から利用者がICカードを翳して、当該ICカードに記憶されている認証用コードを読み取ることが可能な位置に配設するものであり、より詳細には、本体部114−4aの下面114−4aaに両面テープを貼り付け、この両面テープによりカードリーダー114を車両110内においてリアウインドウの表面に接着する。
【0024】
しかしながら、カードリーダー114は、樹脂材料により略直方体形状に成型された筐体114−4の下面114−4aaを、曲面に形成されたリアウインドウに両面テープで接着して配設するため、下面114−4aaとリアウインドウとの接着面が小さくなってしまって接着力を十分に維持することが困難なために、リアウインドウからカードリーダー114が取れてしまう、つまり、カードリーダー114がリアウインドウに配設された状態を維持することが難しいといった問題点が指摘されていた。
【0025】
さらに、車両110を利用していると、車両110に生じる振動などにより、蓋部114−4bが本体部114−4aから開いてしまい、アンテナ基板114−1とコントロール基板114−2との2枚の基板が筐体114内から落下してしまう場合があることも問題点として指摘されていた。
【0026】

なお、本願出願人が特許出願のときに知っている先行技術は、文献公知発明に係る発明ではないため、本願明細書に記載すべき先行技術文献情報はない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0027】
本発明は、上記したような従来の技術の有する種々の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、車両のリアウインドウのような曲面に形成された箇所に取り付けた際にも容易に剥落することのないカードリーダーを提供しようとするものである。
【0028】
また、本発明の目的とするところは、簡単な構成により、収納されたプリント基板の落下を防止することができるようにしたカードリーダーを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0029】
上記目的を達成するために、本発明は、車両に搭載されて、非接触でICカードに記憶された情報を取得するカードリーダーにおいて、ICカードとの間で無線通信を行うためのアンテナ部と全体の動作を制御するためのコントロール部とが形成された一枚のプリント基板と、上記一枚のプリント基板を開口部から挿入して内部に収納可能であり、かつ、該内部から上記一枚のプリント基板が容易に取り出すことが不可能な袋状に形成されるとともに、柔軟性および耐熱性のある材料により作製されたケースとを有し、上記ケース内に上記プリント基板を収納するようにしたものである。
【0030】
また、本発明は、上記した発明において、上記ケースは、中空の略長円柱形状を備えた袋状であるようにしたものである。
【0031】
また、本発明は、上記した発明において、上記ケースに設けられた前記開口部は長円形状に形成され、上記開口部の長軸の長さは上記プリント基板の短辺の長さより短いようにしたものである。
【0032】
また、本発明は、上記した発明において、上記ケースは、シリコンゴムにより作製されるようにしたものである。
【0033】
また、本発明は、上記した発明において、上記ケースは、半透明となるように作製されるようにしたものである。
【0034】
また、本発明は、上記した発明において、上記一枚のプリント基板は、中心部にICカードに記憶された情報を読み込むための第1通信部が形成され、上記第1通信部を囲むようにアンテナが形成され、アンテナを囲むようにして電源のON/OFFを制御する電源部と、車両に搭載され上記車両の制御を行う車両制御装置と接続するための第1コネクタ部と、上記車両制御装置と通信を行う第2通信部と、上記一枚のプリント基板に実装されたLEDの点灯/消灯あるいは点滅の制御を行うLED制御部と、製造工程の最後で使用する第2コネクタ部とが形成されるようにしたものである。
【0035】
また、本発明は、上記した発明において、上記第1通信部には、ISO14443タイプB規格に準拠したICカードを読み取ることが可能なセンサーが配設されるようにしたものである。
【発明の効果】
【0036】
本発明は、以上説明したように構成されているので、車両のリアウインドウのような曲面に形成された箇所に取り付けられた際にも容易に剥落することがないという優れた効果を奏するものである。
【0037】
また、本発明は、以上説明したように構成されているので、簡単な構成により、収納されたプリント基板の落下を防止することができるようになるという優れた効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】図1は、カーシェアリングシステムの概要を示すブロック構成図である。
【図2】図2は、従来の技術によるカードリーダーを示す概略構成分解斜視説明図である。
【図3】図3は、一部を破断した本発明によるカードリーダーを示す概略構成斜視説明図であり、図3(b)は、本発明によるカードリーダーを車両に取り付けた状態を示す説明図である。
【図4】図4はカードリーダーに用いられるプリント基板の一方の面を模式的に示す説明図である。
【図5】図5は、図4に示すプリント基板を収納するためのケースを示す概略構成説明図であり、図5(a)は、ケースの概略構成斜視説明図であり、図5(b)は、図5(a)のI−I線による断面図であり、図5(c)は、図5(a)のA斜視図であり、図5(d)は、図5(a)のB矢視図であり、図5(e)は、図5(a)のII−II線による断面図である。
【図6】図6は、プリント基板をケースに収納した状態を示す説明図である。
【図7】図7は、ケースの変形例を示す概略構成斜視説明図である。
【図8】図8は、本発明によるカードリーダーを車両に取り付けた状態の変形例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、添付の図面を参照しながら、本発明によるカードリーダーの実施の形態の一例を詳細に説明するものとする。
【0040】
なお、以下の説明においては、本発明によるカードリーダーの実施の形態の一例として、カーシェアリングシステムに使用される車両に搭載されるカードリーダーについて説明するが、図1を参照しながら説明した従来の技術によるカーシェアリングシステム100と同一または相当する構成については、上記において用いた符号と同一の符号を用いて示すことにより、その詳細な構成ならびに作用の説明は適宜に省略することとする。
【0041】

ここで、図3(a)には一部を破断した本発明によるカードリーダーを示す概略構成斜視説明図が示されており、図3(b)には本発明によるカードリーダーを車両に取り付けた状態を示す説明図が示されており、また、図4にはカードリーダーに用いられるプリント基板の一方の面を模式的に示す説明図が示されており、また、図5には図4に示すプリント基板を収納するためのケースを示す概略構成説明図が示されていて、図5(a)にはケースの概略構成斜視説明図が示されており、図5(b)には図5(a)のI−I線による断面図が示されており、図5(c)には図5(a)のA矢視図が示されており、図5(d)には図5(a)のB矢視図が示されており、図5(e)には図5(a)のII−II線による断面図が示されている。
【0042】

この図3(a)に示すカードリーダー10は、図4に示すように、ICカードとの間で無線通信を行うためのアンテナ12−1aが形成されるアンテナ部12−1と、第1通信部12−2a、電源部12−2b、第1コネクタ部12−2c、第2通信部12−2d、LED制御部12−2eおよび第2コネクタ部12−2fが形成され、全体の動作を制御するためのコントロール部12−2とが形成されたプリント基板12と、プリント基板12を内部に収納可能であるとともにシリコンゴムにより形成されたケース14とを有して構成されている。
【0043】
より詳細には、プリント基板12は、図4(a)に示すように、中心部においてICカードに記憶された情報の読み込みを行うための第1通信部12−2aが設けられている。そして、第1通信部12−2aを囲むようにして、第1通信部12−2aと間隔W1を開けてアンテナ12−1aが形成されたアンテナ部12−1が設けられている。
【0044】
この第1通信部12−2aにおいては、FeliCa(登録商標)といったタイプC規格のICカードを読み取ることが可能なセンサーが配設される。
【0045】
また、プリント基板12は、このアンテナ部12−1の左方側に、カードリーダー10の電源のON/OFFを制御するための電源部12−2bと、車両制御装置112と接続するための第1コネクタ部12−2cと、車両制御装置112と通信を行うための第2通信部12−2dとが設けられている。
【0046】
さらに、プリント基板12は、アンテナ部12−1の右方側に、プリント基板12に設けられたLEDの点灯/消灯および点滅などの制御を行うLED制御部12−2eと、製造の最終工程においてプリント基板12上に実装される所定の部品(図示せず。)に所定のコンピューターシステム(図示せず。)からプログラムを書き込む際に、当該所定のコンピューターシステムと接続するために使用する第2コネクタ部12−2fとが設けられている。
【0047】

なお、電源部12−2b、第1コネクタ部12−2c、第2通信部12−2d、LED制御部12−2e、第2コネクタ部12−2fおよび他のパターン部分は、アンテナ部12−1を囲むように設けられており、アンテナ12−1aと間隔W2を開けて設けられている。
【0048】
また、第1通信部12−2aとアンテナ12−1aとの間隔W1と、アンテナ12−1aと電源部12−2b、第1コネクタ部12−2c、第2通信部12−2d、LED制御部12−2e、第2コネクタ部12−2fおよび他のパターン部分との間隔W2とは略一致するようにして設計されている。
【0049】
なお、第1コネクタ部12−2cには、ケーブル16の一方の端子が接続されている。
【0050】

また、ケース14は、図5(a)(b)(c)(d)(e)に示すように、中空の略長円柱形状を備えた袋状に形成されており、長円面14a、14bのうち、長円面14aにおいて長円形状の開口部14aaが形成されている。
【0051】
この開口部14aaは、長軸の長さL1が長円面14aの長軸の長さL3より短く設計されるとともに、プリント基板12の短辺12aの長さL2より短く設計されている。
【0052】
また、長円面14aの長軸の長さL3は、プリント基板12の短辺12aの長さL2より長くなるように設計されている。
【0053】
このケース14は、シリコンゴムを使用して作製されるとともに、プリント基板12に実装されたLEDによる発光が確認できるように半透明となってる(図6を参照する。)。
【0054】

こうしたプリント基板12およびケース14を用い、開口部14aaからケーブル16が外部へ突出するように、プリント基板12を開口部14aaを拡張しながらケース14内に挿入して、ケース14内にプリント基板12を収納してカードリーダー10を作製する。開口部14aaからはケーブル16が突出しているので、このケーブル16の他方の端部を車両制御装置112に接続することにより、第1コネクタ部12−2cと車両制御装置112とを接続される(図6を参照する。)。
【0055】
そして、作製したカードリーダー10を車両110のリアウインドウ110aに配設する際には、ケース14においてプリント基板12のアンテナ部12−1が位置する側の面に両面テープを貼り付け、当該両面テープを介してカードリーダー10をリアウインドウ110aの所定の位置に貼り付けて接着固定するものである(図3(b)を参照する。)。
【0056】

以上において説明したように、本発明によるカードリーダー10は、アンテナ部12−1とコントロール部12−2とが形成されたプリント基板12を、シリコンゴムにより作製されたケース14内に収納するようにした。
【0057】
これに対して、従来の技術によるカードリーダー114は、アンテナ部が形成されたアンテナ基板114−1と、コントロール部が形成されたコントロール基板114−2とをケーブル114−3により接続した状態で筐体114−4内に収納するようにしていた。
【0058】
このため、本発明によるカードリーダー10においては、ケース14内に収納するプリント基板が、アンテナ部12−1とコントロール部12−2とが形成されたプリント基板12一枚だけのため、筐体114−4内にアンテナ基板114−1、コントロール基板114−2ならびにケーブル114−3を収納するようにした従来の技術によるカードリーダー114に比べて軽量化されている。
【0059】
また、本発明によるカードリーダー10においては、プリント基板12を収納するケース14を柔軟性のあるシリコンゴムにより作製しているため、筐体114−4を硬質プラスチックにより作製している従来の技術によるカードリーダー114に比べて、曲面に密着することのできる面積を大きくすることができる。従って、本発明によるカードリーダー10は、従来の技術によるカードリーダー114に比べて、より確実に曲面へ接着することが可能となる。
【0060】
さらに、本発明によるカードリーダー10においては、ケース14を、シリコンゴムにより作製されるとともに、プリント基板12を挿入するための長円形状の開口部14aaの長軸の長さL1をプリント基板12の短辺12aの長さL2より小さく設計された袋状に形成し、かつ、ケース14内に収納するプリント基板を一枚としたため、ケース14に収納されたプリント基板12がケース14内から落下することを防止することができる。
【0061】
さらにまた、本発明によるカードリーダー10は、ケース14内に収納されるプリント基板が一枚のため、従来の技術によるカードリーダー114に比べて厚さが薄くなるので、設置場所の裕度が向上する。
【0062】

なお、上記した実施の形態は、以下の(1)乃至(8)に示すように変形するようにしてもよい。
【0063】
(1)上記した実施の形態においては、シリコンゴムによりケース14を作製するようにしたが、これに限られるものではないことは勿論であり、例えば、エラストマーによりケース14を作製するようにしてもよい。要は、成型した際に柔軟性があり、かつ、耐熱性に優れた材料で中空の略長円柱形状に成型することが可能な材料であれば、どのような材料を使用してもよい。
【0064】
(2)上記した実施の形態においては、ケース14を中空の略長円柱形状としたが、図7(a)(b)に示すように、ケース14を中空の略四角柱形状や略楕円柱形状としても良いことは勿論である。
【0065】
(3)上記した実施の形態においては、カードリーダー10をカーシェアリングに使用される車両110に搭載する場合について説明したが、カーシェアリングに限らず、カードリーダー10を利用することが必要な各種の車両に搭載するようにしてもよいことは勿論である。
【0066】
(4)上記した実施の形態においては、プリント基板12に実装されたLEDの点灯/消灯あるいは点滅が確認可能なようにケース14が半透明であるようにしたが、これに限られるものではないことは勿論であり、ケース14を透明となるように作製してもよいし、LEDが位置する部分のみ透明あるいは半透明とし、他の部分を不透明となるようにして作製するようにしてもよい。
【0067】
(5)上記した実施の形態においては、コントロール部12−2の第1通信部12−2aを囲むようにアンテナ部12−1が形成され、アンテナ部12−1を囲むようにアンテナ部12−1の左方側にコントロール部12−2の電源部12−2bと、第1コネクタ部12−2cと、第2通信部12−2dとが設けられ、アンテナ部12−1の右方側にコントロール部12−2のLED制御部12−2eと、第2コネクタ部12−2fとが設けられるようにしたが、これに限られるものではないことは勿論であり、こうした電源部12−2b、第1コネクタ部12−2c、第2通信部12−2d、LED制御部12−2eおよび第2コネクタ部12−2fは、アンテナ部12−1を囲むように配置すればよく、アンテナ12−1aと間隔W2を開けてプリント基板12の形状などにより適宜に配置を変更するようにしてもよい。
【0068】
(6)上記した実施の形態においては、第1通信部12−2aにおいて、FeliCa(登録商標)といったタイプC規格のICカードを読み取ることが可能なセンサーが配設されるようにしたが、これに限られるものではないことは勿論であり、ISO14443タイプB規格に準拠したのICカードを読み取ることが可能なセンサーを配設するようにしてもよい。
【0069】
これにより、ICチップが内蔵された運転免許証をカードリーダー10に翳すことにより利用者の認証処理を行うことが可能になる。
【0070】
(7)上記した実施の形態においては、車両110のリアウインドウ110aの所定の位置にカードリーダー10を貼り付けるようにしたが、これに限られるものではないことは勿論であり、図8に示すように、カードリーダー10をクォーターガラス110bに貼り付けるようにしてもよい。
【0071】
(8)上記した実施の形態ならびに上記した(1)乃至(7)に示す変形例は、適宜に組み合わせるようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明は、カーシェアリングに使用する車両に搭載して好適なものである。
【符号の説明】
【0073】
10、114 カードリーダー
12 プリント基板
12−1 アンテナ部
12−1a アンテナ
12−2 コントロール部
12−2a 第1通信部
12−2b 電源部
12−2c 第1コネクタ部
12−2d 第2通信部
12−2e LED制御部
12−2f 第2コネクタ部
14 ケース
16、114−3 ケーブル
100 カーシェアリングシステム
102、104 パーソナルコンピューター
106 携帯電話
108 サーバー
110 車両
112 車両制御装置
114−1 アンテナ基板
114−2 コントロール基板
114−4 筐体
116 キーボックス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載されて、非接触でICカードに記憶された情報を取得するカードリーダーにおいて、
ICカードとの間で無線通信を行うためのアンテナ部と全体の動作を制御するためのコントロール部とが形成された一枚のプリント基板と、
前記一枚のプリント基板を開口部から挿入して内部に収納可能であり、かつ、該内部から前記一枚のプリント基板が容易に取り出すことが不可能な袋状に形成されるとともに、柔軟性および耐熱性のある材料により作製されたケースと
を有し、
前記ケース内に前記プリント基板を収納した
ことを特徴とするカードリーダー。
【請求項2】
請求項1に記載のカードリーダーにおいて、
前記ケースは、中空の略長円柱形状を備えた袋状である
ことを特徴とするカードリーダー。
【請求項3】
請求項2に記載のカードリーダーにおいて、
前記ケースに設けられた前記開口部は長円形状に形成され、
前記開口部の長軸の長さは前記プリント基板の短辺の長さより短い
ことを特徴とするカードリーダー。
【請求項4】
請求項1、請求項2または請求項3に記載のカードリーダーにおいて、
前記ケースは、シリコンゴムにより作製される
ことを特徴とするカードリーダー。
【請求項5】
請求項1、請求項2、請求項3または請求項4に記載のカードリーダーにおいて、
前記ケースは、半透明となるように作製される
ことを特徴とするカードリーダー。
【請求項6】
請求項1、請求項2、請求項3、請求項4または請求項5に記載のカードリーダーにおいて、
前記一枚のプリント基板は、中心部にICカードに記憶された情報を読み込むための第1通信部が形成され、前記第1通信部を囲むようにアンテナが形成され、アンテナを囲むようにして電源のON/OFFを制御する電源部と、車両に搭載され前記車両の制御を行う車両制御装置と接続するための第1コネクタ部と、前記車両制御装置と通信を行う第2通信部と、前記一枚のプリント基板に実装されたLEDの点灯/消灯あるいは点滅の制御を行うLED制御部と、製造工程の最後で使用する第2コネクタ部とが形成される
ことを特徴とするカードリーダー。
【請求項7】
請求項6に記載のカードリーダーにおいて、
前記第1通信部には、ISO14443タイプB規格に準拠したICカードを読み取ることが可能なセンサーが配設される
ことを特徴とするカードリーダー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図7】
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【図8】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−83876(P2012−83876A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−228197(P2010−228197)
【出願日】平成22年10月8日(2010.10.8)
【出願人】(508077654)株式会社サージュ (14)
【Fターム(参考)】