説明

カード処理ユニット、および自動取引処理装置

【課題】カード挿入口に挿入されたICカードに帯電している電荷を除電でき、本体の大型化を抑えたカード処理ユニットを提供する。
【解決手段】搬送ローラ22は、ドライブローラ30と、アイドラローラ40とを有している。ドライブローラ30の回転軸31は、搬送部12がモータ等の駆動源によって回転駆動する駆動軸である。アイドラローラ40の回転軸41は、固定した固定軸である。ドライブローラ30は、駆動軸である回転軸31に取り付けた芯金32、および芯金32の表面を弾性体であるゴムで覆ったゴム層33を有している。アイドラローラ40は、固定軸である回転軸41に取り付けたベアリング42の外側に弾性体であるゴム層43を設け、さらに、このゴム層43の外側を導電性の金属で覆った金属層44を形成した構成である。また、接地した導電性の板バネ50が、アイドラローラ40の金属層44に当接している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、カード情報を記録したカードを処理するカード処理ユニット、および、このカード処理ユニットを備える自動取引処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、現金自動預け払い機(以下、ATMと言う。)等の自動取引処理装置は、磁気カードやICカード等のカードに記録されているカード情報を読み取り、取引を処理している。自動取引処理装置が備える一般的なカード処理ユニットは、利用者がカード挿入口に挿入したカードを搬送ローラ(ドライブローラ、およびアイドラローラ)で挟持して搬送する構成である。磁気カードは、周知のように、表面に貼付されている磁気ストライプにカード情報を磁気データで記録している。ICカードは、カードに内蔵したICメモリに、カード情報を電子データで記録している。ICカードの表面には、電気的にICメモリに接続するためのIC接点が形成されている。
【0003】
カード処理ユニットは、搬送しているカードの磁気ストライプに磁気ヘッドを当接させて、この磁気ストライプに記録されているカード情報を読み取る。また、カード処理ユニットは、カード挿入口に挿入されたICカードを処理位置に搬送し、この処理位置でカード表面に形成されているIC接点と、本体側の接点と、を電気的に接続し、このICカードのメモリに記憶しているカード情報を読み取る。
【0004】
ICカードを処理するカード処理ユニットは、カード挿入口に挿入されたカードが帯電していると、その電荷(静電気)が本体側の接点を介して流れ込んで、本体を誤動作させることがある。
【0005】
そこで、カード挿入口に挿入され、処理位置に搬送しているカードに当接する導電性のローラや、除電ブラシを設け、カードに帯電している電荷を除電することが提案されている(特許文献1、2等参照)。この導電性のローラや、除電ブラシは、接地している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平 4− 17088号公報
【特許文献2】特開昭61−182190号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、ICカードに帯電している電荷を除電する導電性のローラや、除電ブラシをカード搬送路に配置する構成では、この導電性のローラや、除電ブラシを配置するスペースを確保しなければならない。したがって、カード搬送路が長くなり、本体を大型化させる。
【0008】
また、搬送ローラを構成するドライブローラは、通常、カードとの摩擦係数を高く保つために、その表面をゴムで形成している。したがって、搬送ローラを構成するアイドラローラを、導電性のローラにすると、カードとドライブローラの接触圧を高く保つために、アイドラローラの軸をバネ等の弾性体を用いてドライブローラ側に付勢する構成が必用になる。したがって、この構成でも、本体の大型化を抑えることはできない。
【0009】
この発明の目的は、カード挿入口に挿入されたICカードに帯電している電荷を除電でき、本体の大型化を抑えたカード処理ユニットを提供することにある。
【0010】
また、この発明は、このカード処理ユニットを備え、信頼性を向上させた自動取引処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明のカード処理ユニットは、上記課題を解決し、その目的を達するために、以下の構成を備えている。
【0012】
このカード処理ユニットは、カード挿入口に挿入されたカードを挟持して、このカードを処理位置に搬送する搬送ローラを備えている。
【0013】
この搬送ローラは、第1のローラ、および第2のローラを有する。第1のローラは、カードとの摩擦係数を高く保つために、その表面層をゴム等の弾性体で形成している。また、第2のローラは、カードに帯電している電荷を除電するために、その表面層を導電性の金属で形成している。
【0014】
第1のローラ、および第2のローラは、その一方を回転駆動される駆動軸に取り付け、他方を固定した固定軸に取り付けている。これにより、第1のローラと、第2のローラとの軸間距離(回転軸間の距離)を固定している。また、カードを挟持する、第1のローラと第2のローラとの隙間は、カードの厚さよりも狭い。さらに、第2のローラは、中間層を弾性体で形成している。これにより、第1のローラと、第2のローラとがカードを挟持したとき、第2のローラの中間層で生じる弾性力によって、カードと第1のローラとの接触圧を高く保ち、カードの搬送不良を防止できる。
【0015】
さらに、第2のローラの表面に一部を当接させ、且つ接地した導電性の板部材により、カードに帯電している電荷の除電が行える。
【0016】
したがって、カード挿入口に挿入されたICカードに帯電している電荷を除電でき、また本体の大型化も抑えられる。
【0017】
また、搬送ローラは、カードに帯電している電荷の除電を速やかに行うために、カード挿入口の近辺に対向させて配置するのが好ましい。
【0018】
さらに、搬送ローラは、第2のローラの周面がカード挿入口に対向する位置に取り付けるのが好ましい。このように構成すれば、カード挿入口に挿入されたカードのエッジや、さらには、カード挿入口に挿入されたカード以外の異物が、第1のローラに当たるのを抑えられる。言い換えれば、カード挿入口に挿入されたカードのエッジや、さらには、カード挿入口に挿入されたカード以外の異物が、第2のローラに当たるように構成できる。したがって、弾性体で形成している第1のローラの表面層が傷つくのを抑えられる。すなわち、搬送ローラ(第1のローラ)の寿命を延ばし、保守にかかるコストの低減が図れる。
【0019】
また、このカード処理ユニットを現金自動預け払い機(ATM)等の自動取引処理装置に備えることで、自動取引処理装置の信頼性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0020】
この発明によれば、カード挿入口に挿入されたカードに帯電している電荷を除電できるとともに、本体の大型化が抑えられる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】現金自動預け払い機の主要部の構成を示すブロック図である。
【図2】カード処理ユニットの主要部の構成を示すブロック図である。
【図3】カード処理ユニットの内部構成を示す概略図である。
【図4】カード挿入口周辺の拡大図である。
【図5】カードの挿入時における状態変化を説明する図である。
【図6】カードの挿入時における状態変化を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、この発明の実施形態について説明する。
【0023】
図1は、現金自動預け払い機の主要部の構成を示すブロック図である。現金自動預け払い機1(以下、ATM1と言う。)は、主制御ユニット2と、表示・操作ユニット3と、紙幣処理ユニット4と、硬貨処理ユニット5と、カード処理ユニット6と、通帳処理ユニット7と、生体認証ユニット8と、通信ユニット9と、を備えている。このATM1は、金融機関の店舗や、コンビニエンスストア等に設置され、利用者の入力操作に応じて、取引対象口座に対する入金取引や出金取引等の各種取引を処理する。
【0024】
主制御ユニット2は、ATM1本体が備える各ユニットの動作を制御する。
【0025】
表示・操作ユニット3は、ATM1本体正面に設けた表示器や、この表示器の画面上に貼付したタッチパネルを有している。表示・操作ユニット3は、利用者に対する操作案内画面を表示器の画面に表示する。また、表示・操作ユニット3は、表示器の画面上における利用者の押下位置をタッチパネルで検出し、この利用者の入力操作を判断する。
【0026】
紙幣処理ユニット4は、入金紙幣や出金紙幣を処理する。紙幣処理ユニット4は、紙幣の真偽や金種を識別する紙幣識別部を有している。また、紙幣処理ユニット4は、入金紙幣や出金紙幣を搬送する紙幣搬送部を有している。紙幣処理ユニット4は、紙幣毎に、紙幣搬送部による紙幣の搬送先を、その紙幣についての紙幣識別部の識別結果に応じて決定する。
【0027】
硬貨処理ユニット5は、入金硬貨や出金硬貨を処理する。硬貨処理ユニット5は、硬貨の真偽や金種を識別する硬貨識別部を有している。また、硬貨処理ユニット5は、入金硬貨や出金硬貨を搬送する硬貨搬送部を有している。硬貨処理ユニット5は、硬貨毎に、硬貨搬送部による硬貨の搬送先を、その硬貨についての硬貨識別部の識別結果に応じて決定する。
【0028】
カード処理ユニット6は、ATM1での各種取引で用いるキャッシュカード(以下、単にカードと言う。)を受け付け、当該カードに記録されているカード情報の読み取りや、当該カードに対するカード情報の書き込みを行う。カード処理ユニット6は、カード情報を磁気データで磁気ストライプに記録している磁気カード、および電子データでメモリに記録しているICカードの両方のカードを処理することができる。カードは、磁気ストライプに口座番号等の情報を記録し、メモリに利用者の生体情報(登録生体情報)を記録する。このカード処理ユニット6の詳細については後述する。
【0029】
通帳処理ユニット7は、利用者が挿入した通帳に対して、その通帳が対応する口座における各種取引の履歴を印字する。
【0030】
生体認証ユニット8は、利用者の生体情報を読み取り、利用者が口座開設者本人であるかどうかにかかる本人認証を行う。生体認証ユニット8は、例えば指静脈、指紋、掌紋を利用者の生体情報として読み取るセンサを有している。また、上述のカード処理ユニット6が、利用者が挿入したICカードのメモリから、当該ICカードの所有者(すなわち、該当口座の口座開設者)の登録生体情報を読み出している。生体認証ユニット8は、利用者から読み取った生体情報と、カード処理ユニット6がICカードから読み取った登録生体情報と、を照合し、その類似度に基づいて利用者が口座開設者本人であるかどうかを認証する。
【0031】
通信ユニット9は、金融機関のセンタに設置されているホスト装置との間における通信を制御する。ホスト装置との通信は、専用回線を介して行われる。また、ホスト装置は、開設されている口座毎に、口座開設者の住所、氏名、連絡先、口座残高、取引履歴等を口座管理情報として記憶している。ATM1は、ホスト装置に対して、利用者の入力操作に応じた取引についての取引可否の認証要求を行い、ホスト装置から認証結果を得る。また、ATM1は、処理した取引の取引内容をホスト装置に通知する。
【0032】
ここで、このATM1における取引処理について説明しておく。
【0033】
利用者は、ATM1の表示・操作ユニット3において、処理する取引の取引種別を選択する。また、利用者は、必用に応じて、カードをカード処理ユニット6に挿入するとともに、通帳を通帳処理ユニット7に挿入する。カード処理ユニット6は、利用者が挿入したカードに記録されているカード情報を読み取る。また、通帳処理ユニット7は、利用者が挿入した通帳に記録されている通帳情報を読み取る。この通帳情報には、当該通帳が対応する口座の口座番号等が含まれている。通帳には、通帳情報を磁気データで記録する磁気ストライプが貼付されている。
【0034】
ATM1は、利用者の本人認証を、生体認証で行うかどうかを判断する。生体認証の要否については、口座毎に予め登録されている。また、生体認証を行う利用者のカードは、ICカードであり、登録生体情報をカードのメモリに記録している。ATM1は、生体認証による本人認証が必用であれば、生体認証ユニット8で利用者の生体情報を読み取り、利用者が口座開設者本人であるかどうかを認証する。
【0035】
ATM1は、生体認証により利用者が口座開設者本人であることを認証した場合、または生体認証が不要であると判定した場合、必用に応じて暗証番号の入力を要求する。暗証番号は、取引種別によって要否が設定されている。例えば、出金取引、残高照会取引、振替取引については暗証番号の入力が必用であり、入金取引については暗証番号の入力が不要である。
【0036】
ATM1は、入力された暗証番号が適性であれば、取引内容の入力を受け付ける。例えば、出金金額の入力、確認にかかる入力操作や、振替金額の入力、確認にかかる入力操作を受け付ける。また、暗証番号の入力が不要である入金取引の場合は、入金紙幣や入金硬貨の投入を受け付け、投入された入金紙幣や入金硬貨の合計金額を計数し、入金金額の確認入力を受け付ける。
【0037】
ATM1は、取引内容の確認入力を受け付けると、通信ユニット9において取引内容を含む取引の認証要求をホスト装置に送信する。ATM1は、ホスト装置から取引可にかかる認証結果を受信すると、今回の取引を処理するとともに、今回処理した取引の取引内容をホスト装置に通知する。また、ATM1は、ホスト装置から取引不可にかかる認証結果を受信すると、今回の取引を中止する。
【0038】
次に、カード処理ユニット6について説明する。図2は、カード処理ユニットの主要部の構成を示すブロック図である。図3は、カード処理ユニットの内部構成を示す概略図である。カード処理ユニット6は、制御部11と、搬送部12と、磁気処理部13と、IC処理部14と、入出力インタフェース15(以下、入出力I/F15と言う。)と、を備えている。このカード処理ユニット6は、上述したように、磁気カード、およびICカードの両方のカードを処理することができる。
【0039】
制御部11は、カード処理ユニット本体各部の動作を制御する。
【0040】
搬送部12は、カード挿入口21と、カード処理位置とを結ぶカード搬送路に沿ってカードを搬送する。図3では、カード処理位置に位置するカードを示している。また、図3では、カードを挟持して搬送する搬送ローラ22、23を2つ並べたカード搬送路を示している。搬送ローラ22と、搬送ローラ23との間は、カードの搬送方向の長さよりも短い。搬送ローラ22は、カード挿入口21の近辺に配置している。また、搬送ローラ23は、カード処理位置に位置するカードを挟持する位置に配置している。したがって、搬送部12は、少なくとも搬送ローラ22、23の一方がカードを挟持する。搬送部12は、カード搬送路に沿って配置した複数のセンサにより、カード搬送路上におけるカードの位置を検出する。
【0041】
磁気処理部13は、搬送ローラ22と、搬送ローラ23との間に配置した読取用磁気ヘッド13a、および書込用磁気ヘッド13bを有している。読取用磁気ヘッド13a、および書込用磁気ヘッド13bは、カード搬送路に沿って搬送されているカードの磁気ストライプに当接する高さに取り付けている。磁気処理部13は、読取用磁気ヘッド13aによりカード搬送路に沿って搬送しているカードの磁気ストライプに記録されているカード情報を読み取る。また、磁気処理部13は、書込用磁気ヘッド13bによりカード搬送路に沿って搬送しているカードの磁気ストライプに対してカード情報を記録する。
【0042】
IC処理部14は、カード処理位置に位置するカードのIC接点に電気的に接続するIC接点14aを備えている。IC接点14aは、カード処理位置に位置するカードに対して接離する方向に可動自在に取り付けている。IC処理部14は、必用に応じてIC接点14aを可動し、カード処理位置に位置するカードのIC接点に電気的に接続する。
【0043】
入出力I/F15は、ATM1の主制御ユニット2との間における入出力を制御する。
【0044】
搬送部12は、カード挿入口21にカードが挿入されたことを検知すると、搬送ローラ22、23を駆動し、このカードをカード搬送路に沿ってカード処理位置に搬送する。カード処理位置に搬送されているカードの磁気ストライプが読取用磁気ヘッド13aに当接する。磁気処理部13は、読取用磁気ヘッド13aにより磁気ストライプに記録されているカード情報を読み取る。
【0045】
搬送部12は、カードがカード処理位置に達すると、搬送ローラ22、23を停止する。このとき、カードは、搬送ローラ23によって挟持されている。IC処理部14は、カード処理位置に搬送したカードがICカードであれば、IC接点14aをカードのIC接点に当接させ、電気的に接続する。IC処理部14は、IC接点14aを介して、カードのメモリに記録しているカード情報を読み取る。
【0046】
また、搬送部12がカード処理位置のカードをカード挿入口21に放出するとき、IC処理部14がIC接点14aをカードのIC接点から離す。搬送部12は、IC接点14aがカードのIC接点から離れた後、搬送ローラ22、23を逆転駆動し、このカードをカード搬送路に沿ってカード挿入口21に搬送する。カード挿入口21に搬送されているカードの磁気ストライプが書込用磁気ヘッド13b、読取用磁気ヘッド13aの順に当接する。磁気処理部13は、書込用磁気ヘッド13bにより磁気ストライプにカード情報を書き込み、読取用磁気ヘッド13aにより磁気ストライプに記録されているカード情報を読み取る。そして、磁気処理部13は、カード情報の書き込みが適性に行われたかどうかを確認する。
【0047】
搬送部12は、カードがカード挿入口21に達すると、搬送ローラ22、23を停止する。このとき、カードは、搬送ローラ22によって挟持されている。また、カードは、その一部がカード挿入口21から突出している。利用者は、このカード挿入口21から突出している部分を掴んで、カードを取り出す。
【0048】
次に、このカード処理ユニット6のカード挿入口21、および搬送ローラ22について詳細に説明する。図4は、カード挿入口周辺の拡大図である。
【0049】
カード挿入口21には、挿入されるカードの厚さ方向の位置を規定する一対のガイド60、61が設けられている。上側のガイド60と、下側のガイド61と、の間隔は、カードの厚さよりも少し狭い。上側のガイド60は、固定しているが、下側のガイド61は、バネ62によって上方(上側のガイド60側)に付勢している。
【0050】
利用者がカードをカード挿入口21に挿入すると、このカードが下側のガイド61をバネ62の付勢力に抗して押し下げ、上側のガイド60と、下側のガイド61と、の間隔が広がる。
【0051】
また、カード挿入口21の近辺に配置している搬送ローラ22は、ドライブローラ30(この発明で言う第1のローラに相当する。)と、アイドラローラ40(この発明で言う第2のローラに相当する。)と、を有している。
【0052】
ドライブローラ30の回転軸31は、搬送部12がモータ等の駆動源によって回転駆動する駆動軸である。アイドラローラ40の回転軸41は、固定した固定軸である。ドライブローラ30の回転軸31と、アイドラローラ40の回転軸41との軸間距離は固定されている。搬送部12が、ドライブローラ30の回転軸41を回転駆動する。
【0053】
ドライブローラ30は、駆動軸である回転軸31に取り付けた芯金32、および芯金32の表面を弾性体であるゴムで覆ったゴム層33を有している。すなわち、ドライブローラ30は、表面層が弾性体であるゴム層33である。このゴム層33は、カードの搬送において必用になるカードとの摩擦係数が得られる構成であればよい。言い換えれば、ドライブローラ30の表面層は、カードの搬送において必用になるカードとの摩擦係数が得られるのであれば、金属等で形成してもよい。
【0054】
アイドラローラ40は、固定軸である回転軸41に取り付けたベアリング42の外側に弾性体であるゴム層43を設け、さらに、このゴム層43の外側を導電性の金属で覆った金属層44を形成した構成である。
【0055】
ドライブローラ30の回転軸31と、アイドラローラ40の回転軸41との軸間距離は、ドライブローラ30と、アイドラローラ40との隙間が、カードの厚さよりも少し狭くなるように構成している。また、アイドラローラ40の周面が、カード挿入口21に対向するように、ドライブローラ30の回転軸31、およびアイドラローラ40の回転軸41を設けている。
【0056】
さらに、接地した導電性の板バネ50が、アイドラローラ40の金属層44に当接している。
【0057】
図5、および図6を参照しながら、カード挿入口21に挿入されたカードの状態を説明する。
【0058】
利用者が、カード挿入口21にカードを挿入すると、下側のガイド61が下がる。上述したように、アイドラローラ40の周面が、カード挿入口21に対向しているので、挿入されたカードの先端は、アイドラローラ40に当たる(図5参照)。言い換えれば、挿入されたカードの先端は、ドライブローラ30の周面に当たらない。したがって、挿入されたカードの先端が、ドライブローラ30のゴム層33を傷つけるのを抑えられる。また、カード挿入口21にカード以外の異物が挿入されたときも、この異物がドライブローラ30のゴム層33を傷つけるのを抑えられる。このため、ドライブローラ30の寿命を延ばし、保守にかかるコストの低減が図れる。
【0059】
カード処理ユニット6は、カード挿入口21にカードが挿入されたことを検出すると、搬送部12がドライブローラ30を回転駆動する。カードは、ドライブローラ30の駆動により、その先端がドライブローラ30とアイドラローラ40との隙間に導かれ、その後ドライブローラ30とアイドラローラ40とによって挟持される(図6参照)。
【0060】
なお、利用者は、カードがドライブローラ30とアイドラローラ40とによって挟持されるまで、このカードをカード処理ユニット6内に押している。
【0061】
ドライブローラ30は、上述したように表面層をカードの搬送において必用になるカードとの摩擦係数が得られるゴム層33で形成している。また、アイドラローラ40は、上述したように表面層を導電性の金属層44で形成している。さらに、アイドラローラ40は、金属層44の内側に弾性体であるゴム層43を形成している。したがって、カードがドライブローラ30とアイドラローラ40とによって挟持されたとき、アイドラローラ40のゴム層43で生じる弾性力によって、カードとドライブローラ30との接触圧を高く保つことができる。すなわち、カードの搬送不良が防止できる。
【0062】
また、カードは、アイドラローラ40の導電性の金属層44に当接するので、このカードに帯電している電荷は、板バネ50を介して放電される。すなわち、カードに帯電している電荷の除電が行える。
【0063】
なお、搬送部12は、図6に示す位置のカードを、カード処理位置まで搬送する。
【0064】
また、搬送ローラ23については、特に説明しなかったが、搬送ローラ23もドライブローラと、アイドラローラとを有し、これらのローラでカードを挟持して搬送する構成ある。この搬送ローラ23も、上述した搬送ローラ22と同じ構成であってもよい。また、搬送ローラ23のアイドラローラについては、表面を金属層でなく、ゴム層にしてもよい。この場合、搬送ローラ23は、カードに帯電している電荷を除電することはできないが、上述したように、搬送ローラ22がカードに帯電している電荷を除電するので、特に問題は生じない。
【0065】
また、カード搬送路に設ける搬送ローラの個数は、上述した2つに限らず、いくつでもあってもよい。また、カードに帯電している電荷を除電することができる搬送ローラ22は、カード搬送路に少なくとも1つ設ければよい。
【0066】
また、この発明にかかるカード処理ユニットは、上述したATM1に限らず、ICカードを処理する装置であれば、他の装置にも適用できる。
【符号の説明】
【0067】
1…現金自動預け払い機(ATM)
6…カード処理ユニット
11…制御部
12…搬送部
13…磁気処理部
13a…読取用磁気ヘッド
13b…書込用磁気ヘッド
14…IC処理部
14a…IC接点
15…入出力インタフェース(入出力I/F)
21…カード挿入口
22…搬送ローラ
30…ドライブローラ
31…回転軸
32…芯金
33…ゴム層
40…アイドラローラ
41…回転軸
42…ベアリング
43…ゴム層
44…金属層
50…板バネ
60、61…ガイド
62…バネ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カード挿入口に挿入されたカードを挟持して、このカードを搬送する搬送ローラを備えたカード処理ユニットにおいて、
前記搬送ローラは、その表面層を弾性体で形成した第1のローラと、その表面層を導電性の金属で形成した第2のローラとを有し、
前記第1のローラ、および前記第2のローラは、その一方を回転駆動される駆動軸に取り付け、他方を固定した固定軸に取り付け、前記カードの厚さよりも狭い隙間を設けて対向配置し、
また、前記第2のローラは、中間層を弾性体で形成し、
さらに、前記第2のローラの表面に一部を当接させ、且つ接地した導電性の板部材を備えている、カード処理ユニット。
【請求項2】
前記第1のローラを前記駆動軸に取り付けている請求項1に記載のカード処理ユニット。
【請求項3】
前記搬送ローラは、前記カード挿入口に対向させて配置している、請求項1、または2に記載のカード処理ユニット。
【請求項4】
前記搬送ローラは、前記第2のローラの周面が前記カード挿入口に対向する位置に取り付けている、請求項3に記載のカード処理ユニット。
【請求項5】
入力された取引情報に基づいて取引を処理する自動取引処理装置において、
請求項1〜4のいずれかに記載のカード処理ユニットを備えた自動取引処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−106817(P2012−106817A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−255512(P2010−255512)
【出願日】平成22年11月16日(2010.11.16)
【出願人】(504373093)日立オムロンターミナルソリューションズ株式会社 (1,225)
【Fターム(参考)】