説明

カード処理ユニット

【課題】非接触式ICカードのデータ処理機能を有するカード処理ユニットであって、汎用性を高めることが可能なカード処理ユニットを提供すること。
【解決手段】カード処理ユニット5は、非接触式ICカード2と通信を行うための通信用アンテナ8と、非接触式ICカード2の表面に当接して非接触式ICカード2を搬送する2個の搬送ローラ15と、非接触式ICカード2が搬送される搬送路23を有するフレーム19とを備えている。2個の搬送ローラ15のそれぞれは、非接触式ICカード2の搬送方向におけるフレーム19の両端側に回転可能に支持されるとともに、2個の搬送ローラ15は、搬送方向における非接触式ICカード2の長さよりも中心間距離が短くなるように配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非接触式ICカードと通信を行うための通信用アンテナを有するカード処理ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、非接触式ICカードと通信を行うための通信用アンテナを備える非接触式ICカード処理装置が知られている(たとえば、特許文献1参照)。この特許文献1に記載の非接触式ICカード処理装置では、非接触式ICカードに対する記録処理や再生処理を行うR/W処理部と、R/W処理部でデータ処理された非接触式ICカードに印字処理を行う印字処理部とが一体となって、非接触式ICカード処理装置が構成されている。
【0003】
なお、特許文献1に記載のR/W処理部には、通信用アンテナと、通信用アンテナに向かって非接触式ICカードを搬送するための搬送ローラと、この搬送ローラに対向するように配置され搬送ローラに向かって付勢される押圧ローラとが配置されている。
【0004】
【特許文献1】特開2004−13633号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年の非接触式ICカードの普及に伴い、非接触式ICカードのデータ処理機能を有するカード処理装置は多様化している。しかしながら、特許文献1に記載の非接触式ICカード処理装置では、非接触式ICカードのデータ処理機能を有するR/W処理部が印字処理部と一体となっているため、特許文献1に記載のR/W処理部を他のカード処理装置で使用する場合には、R/W処理部の設計変更が必要となる。すなわち、特許文献1に記載のR/W処理部には汎用性がなく、このR/W処理部を他のカード処理装置で使用する場合には、設計変更のための設計時間がかかるとともに設計コストが嵩むといった問題が生じる。
【0006】
そこで、本発明の課題は、非接触式ICカードのデータ処理機能を有するカード処理ユニットであって、汎用性を高めることが可能なカード処理ユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、本発明のカード処理ユニットは、非接触式ICカードと通信を行うための通信用アンテナと、非接触式ICカードの表面に当接して非接触式ICカードを搬送する2個の搬送ローラと、非接触式ICカードが搬送される搬送路を有するフレームとを備え、2個の搬送ローラのそれぞれは、非接触式ICカードの搬送方向におけるフレームの両端側に回転可能に支持されるとともに、2個の搬送ローラは、搬送方向における非接触式ICカードの長さよりも中心間距離が短くなるように配置されていることを特徴とする。
【0008】
本発明のカード処理ユニットでは、2個の搬送ローラのそれぞれが非接触式ICカードの搬送方向におけるフレームの両端側に支持されている。そのため、カード処理ユニットへの非接触式ICカードの搬入およびカード処理ユニットからの非接触式ICカードの搬出が可能になる。また、本発明では、搬送方向における非接触式ICカードの長さよりも中心間距離が短くなるように2個の搬送ローラが配置されている。そのため、カード処理ユニット内での非接触式ICカードの搬送が可能になる。
【0009】
したがって、本発明では、非接触式ICカードのデータ処理機能と搬送機能とを有する1つのモジュールとしてカード処理ユニットを扱うことができる。その結果、他の処理機能を有するカード処理用の様々なユニットと組み合わせて、あるいは、単独で、カード処理ユニットを使用することが可能になり、カード処理ユニットの汎用性を高めることが可能になる。
【0010】
本発明において、カード処理ユニットは、搬送ローラに対向配置され搬送ローラに向かって付勢される2個のパッドローラを備え、2個のパッドローラのそれぞれは、搬送方向におけるフレームの両端側に回転可能に支持され、通信用アンテナは、搬送方向における2個の搬送ローラの間および/または2個のパッドローラの間に配置されていることが好ましい。このように構成すると、非接触式ICカードの搬送方向および厚さ方向でカード処理ユニットを小型化することができ、カード処理ユニットの設置スペースを小さくすることができる。したがって、カード処理ユニットをより多様なカード処理用のユニットと組み合わせて使用することが可能になる。
【0011】
本発明において、搬送方向では、搬送ローラの一部が、搬送方向におけるフレームの端面から突出していることが好ましい。また、本発明において、搬送方向におけるフレームの端面には、搬送ローラの一部が配置される配置開口部が形成され、配置開口部は、非接触式ICカードの厚さ方向で搬送路まで通じていることが好ましい。すなわち、搬送方向におけるフレームの端面の近傍に搬送ローラの中心が配置されていることが好ましい。このように構成すると、搬送方向におけるカード処理ユニットの前後に、他の処理機能を有するカード処理用のユニットが配置される場合に、この他のユニットとカード処理ユニットとの間で、非接触式ICカードを円滑にやりとりすることができる。
【0012】
本発明において、カード処理ユニットは、搬送ローラに対向配置され搬送ローラに向かって付勢される2個のパッドローラを備え、フレームは、非接触式ICカードの厚さ方向で組み合わされて搬送路を形成する第1ガイドブロックおよび第2ガイドブロックを備え、搬送ローラは、第1ガイドブロックまたは第2ガイドブロックのいずれか一方に回転可能に支持され、パッドローラは、第1ガイドブロックまたは第2ガイドブロックのいずれか他方に回転可能に支持されていることが好ましい。このように構成すると、搬送ローラが取り付けられた第1ガイドブロックまたは第2ガイドブロックと、パッドローラが取り付けられた第2ガイドブロックまたは第1ガイドブロックとを非接触式ICカードの厚さ方向で組み合わせることで、カード処理ユニットを形成することが可能になる。したがって、カード処理ユニットの組立が容易になる。
【0013】
本発明において、カード処理ユニットは、外部の駆動源から2個の搬送ローラへ伝達される動力が入力される動力入力機構を備えることが好ましい。このように構成すると、カード処理ユニットに搬送ローラの駆動源を配置する必要がなくなる。したがって、カード処理ユニットの構成を簡素化することができる。
【0014】
本発明において、カード処理ユニットは、搬送方向における非接触式ICカードの長さよりも短い間隔で配置される少なくとも2個のカード検出機構を備えることが好ましい。このように構成すると、搬送方向における非接触式ICカードの両端側をカード検出機構によって検出することが可能になる。したがって、カード検出機構での検出結果に基づいて、カード処理ユニットと組み合わされる他のカード処理用のユニットおよびカード処理ユニットで種々の制御を行うことが可能になる。
【0015】
本発明において、カード処理ユニットは、搬送ローラに対向配置され搬送ローラに向かって付勢されるパッドローラと、パッドローラの軸方向の両側に突出するとともにパッドローラを回転可能に支持する固定軸と、パッドローラが搬送ローラに向かう方向へパッドローラの軸方向の両側で固定軸を付勢する圧縮コイルバネとを備えることが好ましい。このように構成すると、パッドローラを支持するための部材およびパッドローラを付勢するための部材が2個のパッドローラ間に配置されない。したがって、2個のパッドローラ間に広いスペースを確保することが可能になり、2個のパッドローラ間における通信用アンテナの配置位置の自由度を高めることが可能になる。
【発明の効果】
【0016】
以上のように、本発明では、カード処理ユニットの汎用性を高めることが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0018】
(カード発行装置の概略構成)
図1は、本発明の実施の形態にかかるカード発行装置1の概略構成を側面から説明するための図である。
【0019】
本形態のカード発行装置1は、内部に収納されたカード2を発行する機能と、不要、使用済みあるいはエラーとなったカード2(以下、「不要なカード2」とする。)を回収する機能とを備えている。このカード発行装置1は、図1に示すように、カード2が挿入、排出されるカード挿入排出ユニット4と、カード2に記録された情報の再生および/またはカード2への情報の記録を行うカード処理ユニット5と、収納されたカード2を発行するとともに不要なカード2を回収するカード発行回収ユニット6とを備えている。本形態では、カード挿入排出ユニット4、カード処理ユニット5およびカード発行回収ユニット6が、図1の右側からこの順番で互いに接するように配置されている。
【0020】
カード2は、たとえば、厚さが0.7〜0.8mm程度の矩形状の塩化ビニール製のカードである。このカード2には、通信用のアンテナが内蔵されている。すなわち、本形態のカード2は非接触式ICカードである。なお、カード2の表面に、磁気情報が記録される磁気ストライプや感熱方式によって印字が行われる印字部が形成されても良いし、ICチップが固定されても良い。また、通信用のアンテナを内蔵することができるのであれば、カード2は、厚さが0.18〜0.36mm程度のPET(ポリエチレンテレフタレート)カードや、所定の厚さの紙カード等であっても良い。
【0021】
カード挿入排出ユニット4には、カード2を挿入、排出するための挿入排出口4aが形成されている。また、カード挿入排出ユニット4の内部には、たとえば、挿入されるカード2を検出するためのセンサや、挿入排出口を閉鎖および開放するシャッター部材等が配置されている。
【0022】
カード処理ユニット5は、カード2に内蔵されたアンテナと通信を行って、カード2に記録された情報の再生や、カード2へ情報の記録を行うための通信用アンテナ8を備えている。このカード処理ユニット5の詳細な構成については後述する。
【0023】
カード発行回収ユニット6は、発行前の複数のカード2が積層されて収納されるカード収納部10と、不要なカード2を回収するカード回収庫11とを備えている。図1に示すように、カード収納部10とカード回収庫11とは、上下方向で重なるように配置されている。また、カード発行回収ユニット6は、カード収納部10とカード回収庫11との間に、カード収納部10に収納された複数のカード2の中で一番下に収納されているカード2をカード処理ユニット5に向かって送り出すカード送出機構(図示省略)を備えている。
【0024】
カード収納部10は、上面が開口する直方体の箱状に形成されている。カード送出機構は、カード収納部10に収納されたカード2に係合してカード収納部10からカード2を1枚ずつ送り出す送出爪、この送出爪が固定されるチェーンおよびこのチェーンの駆動機構等を備えている。カード回収庫11は、上面が開口する直方体の箱状に形成されている。カード回収庫11の入口には、不要なカード2をカード回収庫11へ案内するためのガイド部材が配置されている。
【0025】
本形態では、カード2の発行時には、まず、カード送出機構がカード収納部10に収納されたカード2をカード処理ユニット5に向かって送り出す。カード収納部10から送り出されたカード2を受け取ったカード処理ユニット5では、カード2に内蔵されたアンテナと通信用アンテナ8とが通信を行ってカード2に所定の情報を記録する。情報が記録されたカード2は、カード挿入排出ユニット4から排出される。
【0026】
また、たとえば、カード挿入排出ユニット4から挿入されて、カード処理ユニット5で情報の再生が行われた結果、回収が必要であると判断されたカード2は、カード処理ユニット5からカード発行回収ユニット6に向かって排出される。カード処理ユニット5から排出されるカード2は、ガイド部材によってカード回収庫11へ案内されて回収される。
【0027】
(カード処理ユニットの構成)
図2は、図1に示すカード処理ユニット5の概略構成を側面から説明するための図である。図3は、図2のE−E方向からカード処理ユニット5を示す図である。図4は、図2のE−E方向から搬送ローラ15およびパッドローラ16の周辺部分の構成を示す図である。図5は、図2に示す圧縮コイルバネ18の保持機構を説明するための図である。
【0028】
カード処理ユニット5は、上述の通信用アンテナ8に加え、カード2の表面に当接してカード2を搬送する2個の搬送ローラ15と、搬送ローラ15に対向配置され搬送ローラ15に向かって付勢されるパッドローラ16と、パッドローラ16を回転可能に支持する固定軸17と、固定軸17を付勢する圧縮コイルバネ18と、カード処理ユニット5の本体部を構成するフレーム19とを備えている。また、カード処理ユニット5は、通信用アンテナ8と信号のやりとりを行う制御回路が実装された制御基板(図示省略)を備えている。
【0029】
本形態では、図2、図3に示すX方向にカード2が搬送される。すなわち、X方向は、カード2の搬送方向である。また、Y方向は、カード2の幅方向(短手幅方向)であり、Z方向は、カード2の厚さ方向である。また、Y方向は、搬送ローラ15およびパッドローラ16の軸方向でもある。なお、以下の説明では、図2、図3のX1方向側を「右」、X2方向側を「左」、Y1方向側を「前」、Y2方向側を「後(後ろ)」、Z1方向側を「上」、Z2方向側を「下」とする。
【0030】
フレーム19は、第1ガイドブロック20と、第2ガイドブロック21と、圧縮コイルバネ18を保持するバネ保持板22とを備えている。このフレーム19には、カード2が搬送される搬送路23が形成されている。
【0031】
第1ガイドブロック20と第2ガイドブロック21とは、上下方向(すなわち、カード2の厚さ方向)で組み合わされて互いに固定されている。本形態では、第1ガイドブロック20が上側に配置され、第2ガイドブロック21が下側に配置されている。搬送路23は、第1ガイドブロック20と第2ガイドブロック21との間に形成されている。この搬送路23は、カード処理ユニット5の右端から左端に亘って、左右方向に直線状に形成されている。
【0032】
搬送ローラ15は、図3に示すように、回転軸25に固定されている。回転軸25は、第1ガイドブロック20に回転可能に支持されており、搬送ローラ15は、搬送路23の上側に配置されている。また、搬送ローラ15の下端側は、図3に示すように、搬送路23内に突出している。
【0033】
回転軸25の一端部には、カード処理ユニット5の下方に配置されるモータ26(図1参照)からの動力を搬送ローラ15に伝達するためのプーリ27が固定されている。モータ26の出力軸に固定されたプーリ(図示省略)と2個のプーリ27とには、ベルト(図示省略)が架け渡されている。本形態では、プーリ27は、外部の駆動源となるモータ26から2個の搬送ローラ15へ伝達される動力が入力される動力入力機構となっている。
【0034】
2本の回転軸25の一方(本形態では左側に配置される回転軸25)の他端には、ノブ28が固定されている。そのため、たとえば、カード2がカード処理ユニット5内で詰まった場合(ジャムした場合)であっても、ユーザは、手動でノブ28を回転させることで、搬送ローラ15を回転させて、カード処理ユニット5内からカード2を搬出することができる。
【0035】
2個の搬送ローラ15は、左右方向に所定の間隔をあけた状態で配置されている。具体的には、2個の搬送ローラ15のそれぞれは、X方向(搬送方向)におけるフレーム19の両端側に配置されている。また、本形態では、図2に示すように、X方向におけるカード2の長さよりも2個の搬送ローラ15の中心間距離が短くなるように、2個の搬送ローラ15が配置されている。具体的には、2個の搬送ローラ15の中心間距離がカード2の長さよりも若干短くなるように、2個の搬送ローラ15が配置されている。
【0036】
パッドローラ16は、搬送路23の下側に配置され、下側から搬送ローラ15に対向している。すなわち、2個のパッドローラ16のそれぞれは、X方向におけるフレーム19の両端側に配置されている。また、2個のパッドローラ16の中心間距離がカード2の長さよりも若干短くなるように、2個のパッドローラ16が配置されている。
【0037】
第1ガイドブロック20および第2ガイドブロック21は、樹脂等の非磁性部材で形成されている。本形態では、図2に示すように、第1ガイドブロック20の左右方向の長さと、第2ガイドブロック21の左右方向の長さとがほぼ等しくなっている。また、第1ガイドブロック20および第2ガイドブロック21の左右方向の長さは、カード2の左右方向の長さよりも若干長くなっている。
【0038】
また、図2に示すように、左側に配置される搬送ローラ15の左端側の一部およびパッドローラ16の左端側の一部は、第1ガイドブロック20の左端面20aおよび第2ガイドブロック21の左端面21aから突出している。図3に示すように、第1ガイドブロック20の左端面20aには、搬送ローラ15を配置するための配置開口部20bが形成され、第2ガイドブロック21の左端面21aには、パッドローラ16を配置するための配置開口部21bが形成されている。配置開口部20b、21bは、図3に示すように、上下方向において搬送路23まで通じるように(搬送路23に繋がるように)形成されている。
【0039】
同様に、右側に配置される搬送ローラ15の右端側の一部およびパッドローラ16の右端側の一部は、第1ガイドブロック20の右端面20cおよび第2ガイドブロック21の右端面21cから突出している。第1ガイドブロック20の右端面20cには、搬送ローラ15を配置するための配置開口部(図示省略)が形成され、第2ガイドブロック21の右端面21cには、パッドローラ16を配置するための配置開口部(図示省略)が形成されている。これらの配置開口部も、配置開口部20b、21bと同様に、上下方向で搬送路23に繋がるように形成されている。
【0040】
本形態では、搬送ローラ15およびパッドローラ16は、図3に示すように、Y方向のほぼ中央位置に配置されている。そのため、カード2にエンボスが形成されている場合や磁気ストライプが形成されている場合であっても、エンボスや磁気ストライプと、搬送ローラ15およびパッドローラ16との接触を防止することができる。また、カード2の幅方向の中心部が搬送ローラ15とパッドローラ16とによって挟持されるため、カード2を搬送方向へまっすぐ搬送することが可能になる。
【0041】
固定軸17は、細長い略円柱状に形成されている。図4に示すように、軸方向(Y方向)における固定軸17の略中心位置で、パッドローラ16が回転可能に保持されている。すなわち、固定軸17は、パッドローラ16の軸方向の両側に突出している。固定軸17の、軸方向におけるパッドローラ16の両側には、圧縮コイルバネ18の上端が当接する平面状の当接平面部17aが形成されている。また、固定軸17の両端側は、第2ガイドブロック21に形成される軸保持溝21d(図2参照)の中に配置されている。この軸保持溝21dは、Y方向とZ方向とから形成されるYZ平面と平行な2枚の平面部21eを備えており、固定軸17を保持する保持機能と、固定軸17を上下方向に案内するガイド機能とを果たしている。
【0042】
圧縮コイルバネ18は、軸方向におけるパッドローラ16の両側に1個ずつ配置されている。この圧縮コイルバネ18には、図5に示すように、バネ保持板22に固定されたバネ挿通軸29が挿通されている。バネ保持板22は、第2ガイドブロック21の下端側に固定されている。圧縮コイルバネ18の上端は、固定軸17の当接平面部17aに当接し、圧縮コイルバネ18の下端は、バネ保持板22の上面に当接しており、2個の圧縮コイルバネ18は、固定軸17を上方向(カード2の厚さ方向)へ付勢している。すなわち、圧縮コイルバネ18は、パッドローラ16が搬送ローラ15に向かう方向へ固定軸17を介してパッドローラ16を付勢している。
【0043】
なお、本形態では、圧縮コイルバネ18が軸方向におけるパッドローラ16の両側に1個ずつ配置されているため、たとえば、カード2の幅方向(短手幅方向)に曲がったカード2(すなわち、曲がりカード)が挿入された場合でも、カード2の曲がりにパッドローラ16を追従させることができる。したがって、パッドローラ16とカード2との接触面を確保することができ、カード2を確実に搬送することができる。
【0044】
通信用アンテナ8は、カード2の仕様に応じて、第1ガイドブロック20の、2個の搬送ローラ15間に形成されるアンテナ配置部20f、あるいは、第2ガイドブロック21の、2個のパッドローラ16間に形成されるアンテナ配置部21fに配置される。
【0045】
また、カード処理ユニット5は、カード2の有無を検出するためのカード検出機構としての複数のセンサ31を備えている。本形態のカード処理ユニット5は、4個のセンサ31を備えている。このセンサ31は、たとえば、搬送路23を挟んで上下方向に対向配置される受光素子と発光素子とから構成されている。また、4個のセンサ31のそれぞれは、図2に示すように、左右方向では、搬送ローラ15およびパッドローラ16の配置位置と、左側に配置される搬送ローラ15およびパッドローラ16の右側と、右側に配置される搬送ローラ15およびパッドローラ16の左側とに配置されている。すなわち、4個のセンサ31は、搬送方向におけるカード2の長さよりも短い間隔で配置されている。
【0046】
以上のように構成されたカード処理ユニット5では、X方向におけるカード2の両端側が搬送ローラ15とパッドローラ16とに挟まれた状態で、カード2に内蔵されたアンテナと通信用アンテナ8との通信が行われる。たとえば、X方向におけるカード2の両端側が搬送ローラ15とパッドローラ16とに挟まれた状態でカード2が停止して、カード2に内蔵されたアンテナと通信用アンテナ8との通信が行われる。なお、カード2に内蔵されたアンテナと通信用アンテナ8との通信状態が悪い場合には、通信状態が良好となる位置まで搬送ローラ15によってカード2を移動させても良い。すなわち、通信状態が良好になるように、通信時のカード2の位置を調整しても良い。この場合には、通信時に、X方向におけるカード2の一端側が搬送ローラ15とパッドローラ16とに挟まれ、かつ、カード2の他端側が搬送ローラ15とパッドローラ16とに挟まれていない状態になることもある。
【0047】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態では、2個の搬送ローラ15のそれぞれが搬送方向におけるフレーム19の両端側に配置されている。そのため、カード処理ユニット5へのカード2の搬入およびカード処理ユニット5からのカード2の搬出を行うことができる。また、本形態では、2個の搬送ローラ15が搬送方向におけるカード2の長さよりも中心間距離が短くなるように配置されている。そのため、カード処理ユニット5内でカード2を搬送することができる。
【0048】
したがって、本形態では、カード2のデータ処理機能と搬送機能とを有する1つのモジュールとしてカード処理ユニット5を扱うことができる。その結果、他の処理機能を備えるカード処理用の様々なユニットと組み合わせて、カード処理ユニット5を使用することができ、カード処理ユニット5の汎用性を高めることができる。たとえば、本形態のように、搬送方向におけるカード処理ユニット5の前後に、カード挿入排出ユニット4やカード発行回収ユニット6を配置するだけで、カード2のデータ処理機能を有するとともに、カード2の発行、回収機能を有するカード発行装置1を構成することができる。
【0049】
本形態では、通信用アンテナ8は、2個の搬送ローラ15間に形成されるアンテナ配置部20f、あるいは、2個のパッドローラ16間に形成されるアンテナ配置部21fに配置されている。そのため、カード2の搬送方向および厚さ方向でカード処理ユニット5を小型化することができ、カード処理ユニット5の設置スペースを小さくすることができる。したがって、カード処理ユニット5をより多様なカード処理用のユニットと組み合わせて使用することが可能になる。
【0050】
本形態では、左側に配置される搬送ローラ15の左端側の一部およびパッドローラ16の左端側の一部が、第1ガイドブロック20の左端面20aおよび第2ガイドブロック21の左端面21aから突出している。また、右側に配置される搬送ローラ15の右端側の一部およびパッドローラ16の右端側の一部が、第1ガイドブロック20の右端面20cおよび第2ガイドブロック21の右端面21cから突出している。また、配置開口部20b、21bは、上下方向において搬送路23まで通じるように形成されている。すなわち、左側に配置される搬送ローラ15およびパッドローラ16の中心が左端面20a、21aの近傍に配置され、右側に配置される搬送ローラ15およびパッドローラ16の中心が右端面20c、21cの近傍に配置されている。そのため、カード挿入排出ユニット4またはカード発行回収ユニット6との間でカード2の受け渡しを円滑に行うことができる。
【0051】
本形態では、フレーム19は、上下方向で組み合わされる第1ガイドブロック20と第2ガイドブロック21とを備えている。また、2個の搬送ローラ15は、回転軸25を介して第1ガイドブロック20に回転可能に支持され、2個のパッドローラ16を回転可能に支持する固定軸17は、第2ガイドブロック21に保持されている。そのため、搬送ローラ15が取り付けられた第1ガイドブロック20と、パッドローラ16が取り付けられた第2ガイドブロック21とを上下方向で組み合わせることで、カード処理ユニット5を形成することができる。したがって、本形態では、カード処理ユニット5の組立が容易になる。
【0052】
本形態では、カード処理ユニット5の外部に配置されるモータ26からの動力がプーリ27を介して2個の搬送ローラ15へ伝達される。そのため、カード処理ユニット5にモータ等の搬送ローラ15の駆動源を配置する必要がなくなる。したがって、カード処理ユニット5の構成を簡素化することができる。
【0053】
本形態では、4個のセンサ31が、搬送方向におけるカード2の長さよりも短い間隔で配置されている。そのため、搬送方向におけるカード2の両端側をセンサ31で検出することができる。したがって、センサ31での検出結果に基づいて、カード処理ユニット5、カード挿入排出ユニット4あるいはカード発行回収ユニット6で種々の制御を行うことが可能になる。
【0054】
本形態では、パッドローラ16を支持する固定軸17が圧縮コイルバネ18によって上方向へ付勢されている。すなわち、パッドローラ16を支持するための部材およびパッドローラ16を付勢するための部材が2個のパッドローラ16間に配置されていない。そのため、2個のパッドローラ16間に広いスペースを確保することができ、2個のパッドローラ16間に形成される通信用アンテナ8用のアンテナ配置部21fの配置位置の自由度を高めることが可能になる。すなわち、2個のパッドローラ16間における通信用アンテナ8の配置位置の自由度を高めることが可能になる。また、本形態では、固定軸17と圧縮コイルバネ18とを用いた簡易な構成で、パッドローラ16の支持と付勢とを行っているため、カード処理ユニット5の構成を簡素化することができる。
【0055】
(他の実施の形態)
上述した形態は、本発明の好適な形態の一例ではあるが、これに限定されるものではなく本発明の要旨を変更しない範囲において種々変形実施が可能である。
【0056】
上述した形態では、カード処理ユニット5の右側に、カード挿入排出ユニット4が配置されている。この他にもたとえば、図6に示すように、カード処理ユニット5の右側に、磁気ヘッドおよび/またはIC接点を有する別のカード処理ユニット35が配置されても良い。この場合には、たとえば、図6に示すように、カード処理ユニット35の右端にカード挿入排出ユニット4が取り付けられる。
【0057】
また、上述した形態では、カード処理ユニット5の左右に、カード挿入排出ユニット4やカード発行回収ユニット6が配置されているが、カード処理ユニット5の左右に、カード2の表面に印字を行うプリンタユニットあるいはカード2の表面の印字等を読み取るイメージセンサユニット等が配置されても良いし、カード2の搬送方向を切り替える切替ユニットやカード2の搬送のみを行う搬送ユニットが配置されても良い。また、カード処理ユニット5の左右に他のカード処理用のユニットが配置されずに、カード処理ユニット5が単独で使用されても良い。
【0058】
上述した形態では、通信用アンテナ8は、アンテナ配置部20fあるいはアンテナ配置部21fに配置されている。この他にもたとえば、アンテナ配置部20f、21fの両方に通信用アンテナ8が配置されても良い。また、アンテナ配置部20fあるいはアンテナ配置部21fに、磁気ヘッドおよび/またはIC接点を配置しても良い。この場合には、カード処理ユニット5に、磁気データの再生記録機能等を持たせることができる。
【0059】
上述した形態では、回転軸25の一端部にプーリ27が固定され、このプーリ27はモータ26から2個の搬送ローラ15へ伝達される動力が入力される動力入力機構となっている。この他にもたとえば、回転軸25の一端部に歯車が固定され、この歯車がモータ26からの動力が入力される動力入力機構となっても良い。
【0060】
上述した形態では、フレーム19は、上下方向に分割できる第1ガイドブロック20と第2ガイドブロック21とによって構成されている。この他にもたとえば、フレーム19は、上下方向に分割できない一体部材によって構成されても良い。
【0061】
上述した形態では、搬送ローラ15が搬送路23の上側に配置され、パッドローラ16が搬送路23の下側に配置されているが、搬送ローラ15が搬送路23の下側に配置され、パッドローラ16が搬送路23の上側に配置されても良い。
【0062】
上述した形態では、固定軸17は、圧縮コイルバネ18によってカード2の厚さ方向に付勢されている。この他にもたとえば、固定軸17は、引張りコイルバネによってカード2の厚さ方向に付勢されても良い。すなわち、引張りコイルバネによって固定軸17が上方向へ引き上げられても良い。また、固定軸17は、ネジリコイルバネによってカード2の厚さ方向に付勢されても良い。なお、ゴム等の弾性部材によって、固定軸17をカード2の厚さ方向へ付勢することも可能である。
【0063】
上述した形態では、パッドローラ16は、固定軸17に回転可能に支持されている。この他にもたとえば、パッドローラ16は、パッドローラ16の軸方向の両側に突出するとともにパッドローラ16とともに回転する回転軸に固定されても良い。この場合には、たとえば、パッドローラ16の軸方向の両側で回転軸を支持する軸受が、圧縮コイルバネ18によってカード2の厚さ方向に付勢されれば良い。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の実施の形態にかかるカード発行装置の概略構成を側面から説明するための図である。
【図2】図1に示すカード処理ユニットの概略構成を側面から説明するための図である。
【図3】図2のE−E方向からカード処理ユニットを示す図である。
【図4】図2のE−E方向から搬送ローラおよびパッドローラの周辺部分の構成を示す図である。
【図5】図2に示す圧縮コイルバネの保持機構を説明するための図である。
【図6】本発明の他の実施の形態にかかるカード発行装置の概略構成を側面から説明するための図である。
【符号の説明】
【0065】
2 カード(非接触式ICカード)
5 カード処理ユニット
8 通信用アンテナ
15 搬送ローラ
16 パッドローラ
17 固定軸
18 圧縮コイルバネ
19 フレーム
20 第1ガイドブロック
20a 左端面(端面)
20b 配置開口部
20c 右端面(端面)
21 第2ガイドブロック
21a 左端面(端面)
21b 配置開口部
21c 右端面(端面)
23 搬送路
26 モータ(駆動源)
27 プーリ(動力入力機構)
31 センサ(カード検出機構)
X 搬送方向
Y 軸方向
Z 厚さ方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
非接触式ICカードと通信を行うための通信用アンテナと、前記非接触式ICカードの表面に当接して前記非接触式ICカードを搬送する2個の搬送ローラと、前記非接触式ICカードが搬送される搬送路を有するフレームとを備え、
2個の前記搬送ローラのそれぞれは、前記非接触式ICカードの搬送方向における前記フレームの両端側に回転可能に支持されるとともに、2個の前記搬送ローラは、前記搬送方向における前記非接触式ICカードの長さよりも中心間距離が短くなるように配置されていることを特徴とするカード処理ユニット。
【請求項2】
前記搬送ローラに対向配置され前記搬送ローラに向かって付勢される2個のパッドローラを備え、
2個の前記パッドローラのそれぞれは、前記搬送方向における前記フレームの両端側に回転可能に支持され、
前記通信用アンテナは、前記搬送方向における2個の前記搬送ローラの間および/または2個の前記パッドローラの間に配置されていることを特徴とする請求項1記載のカード処理ユニット。
【請求項3】
前記搬送方向では、前記搬送ローラの一部が、前記搬送方向における前記フレームの端面から突出していることを特徴とする請求項1または2記載のカード処理ユニット。
【請求項4】
前記搬送方向における前記フレームの端面には、前記搬送ローラの一部が配置される配置開口部が形成され、
前記配置開口部は、前記非接触式ICカードの厚さ方向で前記搬送路まで通じていることを特徴とする請求項3記載のカード処理ユニット。
【請求項5】
前記搬送ローラに対向配置され前記搬送ローラに向かって付勢される2個のパッドローラを備え、
前記フレームは、前記非接触式ICカードの厚さ方向で組み合わされて前記搬送路を形成する第1ガイドブロックおよび第2ガイドブロックを備え、
前記搬送ローラは、前記第1ガイドブロックまたは前記第2ガイドブロックのいずれか一方に回転可能に支持され、前記パッドローラは、前記第1ガイドブロックまたは前記第2ガイドブロックのいずれか他方に回転可能に支持されていることを特徴とする請求項1から4いずれかに記載のカード処理ユニット。
【請求項6】
外部の駆動源から2個の前記搬送ローラへ伝達される動力が入力される動力入力機構を備えることを特徴とする請求項1から5いずれかに記載のカード処理ユニット。
【請求項7】
前記搬送方向における前記非接触式ICカードの長さよりも短い間隔で配置される少なくとも2個のカード検出機構を備えることを特徴とする請求項1から6いずれかに記載のカード処理ユニット。
【請求項8】
前記搬送ローラに対向配置され前記搬送ローラに向かって付勢されるパッドローラと、前記パッドローラの軸方向の両側に突出するとともに前記パッドローラを回転可能に支持する固定軸と、前記パッドローラが前記搬送ローラに向かう方向へ前記パッドローラの軸方向の両側で前記固定軸を付勢する圧縮コイルバネとを備えることを特徴とする請求項1から7いずれかに記載のカード処理ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−39728(P2010−39728A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−201366(P2008−201366)
【出願日】平成20年8月5日(2008.8.5)
【出願人】(000002233)日本電産サンキョー株式会社 (1,337)
【Fターム(参考)】