説明

カード処理装置

【課題】何らかの不具合により上位装置からの送信が途絶えた場合に、自ら判断して対処し、受ける害を最小限に抑えることが可能なカード処理装置を提供する。
【解決手段】カードを検知するセンサの検知結果から、カードが内部にあるか否かと、カードが返却口にあるか否かをそれぞれ判断し、カードが内部にあると判断した状態で、通信部で上位装置からのコマンドを受信しないまま、第1タイマで計数した時間が所定時間T1に到達した場合に、コマンドを受信しないことに対処する通信エラー処理としてカード返却・再取り込み処理を実行する。カード返却・再取り込み処理では、第1タイマの計数時間が所定時間T1に到達したことを受けて、内部にあるカードを返却口に返却し、この後当該返却されたカードが返却口にあると判断した状態で、カードが返却口から抜き取られないまま、第2タイマで計数した時間が所定時間T2に到達すると、カードを内部に取り込む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カードを受け付けて所定の処理を行うカード処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
銀行の現金自動預金支払機(以下、「ATM」という。)等に搭載されるカード処理装置には、ATM等の上位装置と所定のインタフェイスにより接続され、上位装置からの指示によってカードに関する所定の処理を行い、所定の処理が完了した時点でカードを外部へ放出するものがある。このようなカード処理装置の場合、利用者は上位装置が表示部に表示するガイダンスに従ってカードを当該カード処理装置に挿入し、所定の処理が終わってカード処理装置からカードが返却されるまで上位装置の前で待機することになる。
【0003】
また、上位装置と接続されて、上位装置から指示を受けて処理を行うカード処理装置には、上位装置との通信回線に異常が生じて上位装置からの通信が一定時間無い場合や、上位装置が何らかの原因で暴走して上位装置からの指示に基づくカードに対する処理命令が一定時間無い場合に、内部にあるカードを外部に排出して返却するものがある(例えば、下記の特許文献1および特許文献2参照)。
【0004】
一方、カード処理装置と接続されて、カード処理装置に指示を送る上位装置には、カード処理装置に指示してカードを返却口に返却させた後、一定時間経過後にカードが返却口に保持されている場合に、カード処理装置に指示してカードを内部に取り込ませるものがある(例えば、下記の特許文献3参照)。
【0005】
【特許文献1】実用新案登録第2526916号公報
【特許文献2】特許第3175956号公報
【特許文献3】特開平7−334588号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ATM等の上位装置とカード処理装置の間の通信回線が断線やノイズ等により不通状態になったり、上位装置やカード処理装置が何らかの原因で無応答状態(ハングアップやフリーズ等の状態)や暴走状態(プログラムが異常実行されて制御不能になった状態や両装置間で不調和になった状態)になったりする等の不具合が発生すると、上位装置からカード処理装置へ何も指示が送信されなくなるので、利用者が何か操作しても上位装置やカード処理装置は動作しなくなる。例えば、上位装置が利用者にカードの挿入を促す画面を表示部に表示させたまま、上記のような不具合が発生した場合は、カード処理装置が上位装置からカードの取り込み指示を受信しないので、利用者がカードをカード処理装置の内部に挿入しても、カード処理装置はカードを内部に取り込まない。このとき、利用者がカードをカード処理装置の内部に無理やり挿入して、カード処理装置やカードが破損するという害を受けることがある。また、上記場合において、上記のような不具合が発生する前に、カード処理装置が上位装置からカードの取り込み指示を受信していた場合は、利用者がカードをカード処理装置の内部に挿入すると、カード処理装置はカードを内部に取り込むが、この後はカード処理装置が上位装置から何も指示を受信しないので、カードはカード処理装置の内部に取り込まれたままとなる。このとき、利用者がカードをカード処理装置の内部から無理やり取り出そうとしたり、他のカードをカード処理装置の内部に無理やり挿入しようとしたりして、カード処理装置やカードが破損するという害を受けることがある。
【0007】
上記のように何らかの不具合により、上位装置からカード処理装置へ何も指示が送信されなくなった場合の対応の1つとして、前述したようにカード処理装置が、上位装置からの通信が一定時間途絶えたことを判断して、カードが内部にあればカードを外部に排出して返却することが従来から行われている。しかし、上記場合では、利用者が何か操作しても上位装置やカード処理装置は動作しなくなるので、利用者が直ぐに異常に気付いて、係員に通報するために、カード処理装置から目を離したり、カード処理装置の設置場所から立ち去ったりすることがよくある。このため、その隙にカード処理装置からカードが返却されると、カードが抜き取られないまま返却口に放置されてしまい、悪意を持った第三者に盗まれるという害を受けることがある。また、悪意の第三者が上記のようにカードを盗もうとして、故意に通信回線を不通状態または上位装置やカード処理装置を無応答状態や暴走状態にする等して、上位装置からカード処理装置への通信を途絶えさせることもある。このように、上位装置からの通信が途絶えたことに起因して、利用者の注意がカード処理装置から反れて、返却口に返却されたカードが放置されたままになることは、カードに関する所定の処理が正常に完了してカードが返却される通常の返却後に、カードが利用者に取り忘れられて返却口に放置されたままになることよりも、発生する可能性が高く、また銀行等の管理側の負う責任が重い。一方、前述したように上位装置が、返却口に返却したカードが一定時間抜き取られなかったことを判断して、カード処理装置に指示してカードを内部に取り込ませることが従来から行われている。しかし、通信回線が不通状態または上位装置やカード処理装置が無応答状態や暴走状態になる等して、上位装置からカード処理装置へ何も指示が送信されなくなった場合は、カード処理装置にカードの取り込みを指示できず、カードを内部に取り込むこともできない。
【0008】
本発明の目的は、何らかの不具合により上位装置からの送信が途絶えた場合に、自ら判断して対処し、受ける害を最小限に抑えることが可能なカード処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明では、カードを受け付けて所定の処理を行うカード処理装置において、カードを内部に取り込む取込手段と、カードを内部から返却口に返却する返却手段と、カードが内部にあることを検出する第1の検出手段と、返却口に返却したカードが抜き取られたことを検出する第2の検出手段と、上位装置と相互に通信を行う通信手段と、通信手段で上位装置からのコマンドを受信した後、該コマンドに対する応答をしてから上位装置からの次のコマンドを受信するまでの時間を計数する第1の計数手段と、カードを返却口に返却した後、カードが抜き取られるまでの時間を計数する第2の計数手段と、第1および第2の検出手段の検出結果に基づいて、取込手段、返却手段、通信手段、第1および第2の計数手段を制御する制御手段とを備える。この構成において、制御手段は、第1および第2の検出手段の検出結果から、カードが内部にあるか否かと、カードが返却口にあるか否かをそれぞれ判断し、カードが内部にあると判断した状態で、通信手段で上位装置からのコマンドを受信しないまま、第1の計数手段で計数した時間が所定時間に到達した場合に、返却手段によりカードを返却口に返却し、この後当該返却されたカードが返却口にあると判断した状態で、カードが返却口から抜き取られないまま、第2の計数手段で計数した時間が所定時間に到達した場合に、取込手段によりカードを内部に取り込む。
【0010】
つまり、上記カード処理装置は、カードを内部に取り込んでいるときに、上位装置からのコマンドを受信しない状態で所定時間が経過したかどうかを自ら判断し、該無受信状態で所定時間が経過したと判断すると、カードを返却口に返却し、さらにこの後、当該返却されたカードが返却口から抜き取られない状態で所定時間が経過したかどうかを自ら判断し、該返却状態で所定時間が経過したと判断すると、カードを内部に再度取り込むというように作用する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、何らかの不具合により上位装置からの送信が途絶えた場合に、カード処理装置が自ら判断して対処するので、受ける害を最小限に抑えることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態につき図を参照しながら説明する。図1は、本実施形態に係るシステムの構成を示す図である。本システムは、銀行等の金融機関で採用され、例えばATM(Automatic Teller Machine)等のような図示しない自動取引装置に組み込まれている。上位装置1は、パーソナルコンピュータから構成されていて、自動取引装置の各部を制御する。カード処理装置2は、カードリーダライタから構成されていて、カード4を受け付けて所定の処理を行う。電源3は、カード処理装置2に駆動電力を供給する。カード4は、磁気カード、ICカード、または磁気ICカードから構成されている。即ち、カード4には、磁気ストライプやIC等の情報記録部が少なくとも1つ設けられている。
【0013】
上位装置1とカード処理装置2は、USB等の規格に準拠したケーブルとインタフェイスにより接続されている。上位装置1、カード処理装置2、および電源3は、自動取引装置の内部に設けられている。自動取引装置には、これらの他にも、図示しない操作部、表示部、現金収納部、および現金入出金部等が設けられている。利用者(顧客)が自動取引装置で所定の操作をすることにより、上位装置1が自動取引装置の各部を制御して、現金の入金や出金等の取引が行われる。その際、利用者が所持するカード4をカード処理装置2の内部に挿入し、カード処理装置2がその挿入されたカード4を受け付けてカード4から情報を読み取る等(場合によってはカード4に情報を書き込むこともある。)の所定の処理を行うことにより、カード4から読み取った情報等を基に利用者の要求する種々の取引が可能となる。
【0014】
図2は、カード処理装置2の電気的構成を示すブロック図である。制御部5は、CPUとROMおよびRAM等のメモリとから構成されている。記憶部6は、SRAMおよびEEPROM等のメモリから構成されている。制御部5は、カード処理装置2の各部を制御する。その際に、制御部5の内部メモリおよび記憶部6には、各種の制御データ等が読み書き可能に記憶される。第1タイマ7は、上位装置1からコマンドを受信するまでの時間を計数する。第2タイマ8は、返却したカード4が抜き取られるまでの時間を計数する。制御部5は、第1タイマ7により上位装置1からコマンドが送信されて来るまでを監視し、第2タイマ8により返却したカード4が抜き取られるまでを監視する。センサ9a〜9cは、カード処理装置2の内部においてカード4を検知する。センサ10は、カード4が出入りするカード処理装置2の挿入返却口においてカード4を検知する。制御部5は、センサ9a〜9cから出力される検知信号により内部におけるカード4の位置を検出し、センサ10から出力される検知信号により挿入返却口に対するカード4の挿入または抜き取りを検出する。光発生部20は、発光ダイオード等から構成されている。音発生部21は、ブザー等から構成されている。
【0015】
磁気リード制御回路11は、磁気ヘッド18を制御してカード4の磁気ストライプから磁気情報を読み取り、該読み取り後の磁気情報を処理して制御部5へ送信する。磁気ライト制御回路12は、制御部5から送信されて来た情報を処理し、磁気ヘッド18を制御して該処理後の情報をカード4の磁気ストライプに磁気記録する(書き込む)。ICリードライト制御回路13は、IC接点19を制御して、カード4のICから情報を読み取って制御部5へ送信したり、制御部5から送信されて来た情報をカード4のICに書き込んだりする。ソレノイド14は、IC接点19をカード4に設けられたIC接点に対して接触または離間するように移動させる。モータ15は、カード4を挟み込んで搬送するローラを回転させる。ソレノイド16は、カード処理装置2の挿入返却口を塞ぐシャッタを開閉する。通信部17は、USB等の規格に準拠したインタフェイス(通信回路)から構成されている。制御部5は、通信部17によって上位装置1と相互に通信を行い、上位装置1からコマンドを受信したり、磁気ヘッド18またはIC接点19によりカード4から読み取った情報を上位装置1に送信したりする。
【0016】
図3は、カード処理装置2の概略構造を示す図である。カード処理装置2の内部22には、ローラ24、センサ9a〜9c、磁気ヘッド18、およびIC接点19が設けられている。ローラ24は、上下1対で全4対設けられていて、前述のモータ15の駆動により右回りまたは左回りに回転して、カード4を挟み込んでF方向またはR方向へ搬送する。センサ9a〜9cは、投受光型の光電センサから構成されていて、カード4によって光が遮られることにより、カード4を検知してOFF状態からON状態に切り替わる。磁気ヘッド18は、ローラ24により搬送されるカード4の磁気ストライプと接触する位置に設けられている。磁気ヘッド18は、移動しているカード4の磁気ストライプと接触することにより、磁気ストライプから磁気情報を読み取ったり、磁気ストライプに情報を磁気記録したりする。IC接点19は、ローラ24により内部22の所定の位置まで搬送されて停止したカード4(図3(b))のIC接点と対向する位置に設けられている。IC接点19は、前述のソレノイド14の駆動により上下に移動して、カード4のIC接点に対して離間または接触し、該接触中にカード4のICから情報を読み取ったり、ICに情報を記録したりする。
【0017】
カード処理装置2のカード4が出入りする挿入返却口23には、シャッタ25とセンサ10が設けられている。シャッタ25は、前述のソレノイド16の駆動により上下に開閉する。シャッタ25は、図3(c)に示すように開くことにより、カード4の内部22への進入または内部22から外部への突出を可能にし、図3(a)、(b)に示すように閉じることにより、カード4や異物の内部22への進入またはカード4の内部22から外部への取り出しを不可能にする。センサ10は、マイクロスイッチから構成されていて、適合した形状のカード4が接触することにより、カード4を検知してOFF状態からON状態に切り替わる。
【0018】
カード4を内部22に取り込む指示を示すコマンドを通信部17により上位装置1から受信した後、利用者がカード4を挿入返却口23に挿入すると、センサ10がカード4を検知し、この検知信号を受けた制御部5は、ソレノイド16を駆動して、シャッタ25を開ける。対して、適合しない形状のカード4以外の異物が挿入返却口23に挿入された場合は、センサ10がカード4を検知しないので、シャッタ25は開かない。シャッタ25を開くと、制御部5は、カード4を内部22に取り込むように、モータ15を正転駆動して、ローラ24を回転させる。このため、カード4がさらに挿入されて、カード4の先端が前側(挿入返却口23側)のローラ24の間に挟まれると、カード4がローラ24によってF方向へ搬送されて、内部22に取り込まれて行く。前側にあるセンサ9aで一旦カード4を検知した後しばらくして検知しなくなると、制御部5は、ソレノイド16を駆動して、シャッタ25を閉じる。
【0019】
そして、カード4の磁気ストライプから情報を読み取る指示を示すコマンドを通信部17により上位装置1から受信している場合は、制御部5は、中央にあるセンサ9bでカード4の先端を検知すると、カード4を搬送しながら磁気ヘッド18によりカード4の磁気ストライプから磁気情報を読み取る。しばらくして、後側にあるセンサ9cでカード4を検知すると、制御部5は、磁気ヘッド18による読み取りを停止し、モータ15の駆動を停止して、ローラ24によるカード4の搬送を停止する。この後、例えばカード4の磁気ストライプに情報を記録する指示を示すコマンドを通信部17により上位装置1から受信している場合は、制御部5は、モータ15を逆転駆動して、ローラ24によりカード4をR方向へ搬送して行く。そして、前側にあるセンサ9aでカード4を検知すると、制御部5は、モータ15を正転駆動するように切り替えて、再びローラ24によりカード4をF方向へ搬送して行き、磁気ヘッド18によりカード4の磁気ストライプに情報を磁気記録する。しばらくして、後側にあるセンサ9cでカード4を検知すると、制御部5は、磁気ヘッド18による磁気記録を停止し、モータ15の駆動を停止して、ローラ24によるカード4の搬送を停止する。
【0020】
また、カード4のICから情報を読み取る指示を示すコマンドまたはカード4のICに情報を書き込む指示を示すコマンドを通信部17により上位装置1から受信している場合は、制御部5は、カード4をカード4のIC接点がIC接点19と対向する所定の位置まで搬送して、モータ15の駆動を停止し、ローラ24の回転停止する。このとき、制御部5は、図示しないストッパをカード4の搬送経路に突出させて、カード4を上記所定の位置に正確に静止させる。静止後、制御部5は、ソレノイド14を駆動して、IC接点19を下降させてカード4のIC接点に接触させる。そして、IC接点19によりカード4のICから情報を読み取ったり、ICに情報を書き込んだりする。
【0021】
その後、利用者にカード4を返却するときは、制御部5は、ソレノイド16を駆動して、シャッタ25を開け、モータ15を逆転駆動して、ローラ24によりカード4をR方向へ搬送して行く。そして、センサ9aで一旦カード4を検知した後しばらくして検知しなくなると、制御部5は、モータ15の駆動を停止して、ローラ24によるカード4の搬送を停止する。これにより、図3(c)に示すようにカード4が排出されて挿入返却口23から突出し、抜き取り可能な状態となる。またこの後、カード4を回収するときは、制御部5は、モータ15を正転駆動して、ローラ24によりカード4をF方向へ搬送して行き、カード4をカード処理装置2の後面(挿入返却口23と反対側)に設けられた図示しない開口を通して、カード処理装置2の後方に設置された図示しない回収箱へ回収する。そして、制御部5は、センサ9cで一旦カード4を検知した後しばらくして検知しなくなった後に、モータ15およびローラ24を停止する。
【0022】
上記の構成において、制御部5は、本発明における制御手段の一実施形態を構成する。第1タイマ7は、本発明における計数手段および第1の計数手段の一実施形態を構成する。第2タイマ8は、本発明における第2の計数手段の一実施形態を構成する。センサ9a〜9cは、本発明における第1の検出手段の一実施形態を構成する。センサ10は、本発明における第2の検出手段の一実施形態を構成する。モータ15とローラ24は、本発明における取込手段および返却手段の一実施形態を構成する。通信部17は、本発明における通信手段の一実施形態を構成する。
【0023】
次に、本発明の第1実施形態を図4〜図13を参照しながら説明する。図4は、記憶部6の記憶内容の一例を示す図である。記憶部6には、通信部17で上位装置1からのコマンドを受信しないまま所定時間が経過した場合に、通信エラー処理として実行する処理と該処理の実行順を設定する領域(図4に太い実線で示す枠内)が設けられている。図4の例では、通信エラー処理として右側の実線枠内に示すように、1番に「カード返却・再取込処理」を実行し、2番に「コマンド送信無し報知処理」を実行することが設定されている。この他の設定候補としては、「ハードウェアリセット処理」、「カード処理再実行禁止処理」、「コマンド待機処理」、および「取引不可報知処理」がある(図4に細い破線で示す枠内)。
【0024】
上記の設定候補の各処理は、上位装置1からのコマンドをカード処理装置2が受信しないことに対処するために予め考えられた処理である。詳しくは、「カード返却・再取込処理」は、内部22にあるカード4を挿入返却口23に返却し、当該返却したカード4が抜き取られなければ再度内部22に取り込む処理である。「コマンド送信無し報知処理」は、上位装置1にコマンドが送信されない旨を報知する処理である。「ハードウェアリセット処理」は、カード処理装置2を電源3から電力供給して起動させたときのような初期状態に復帰させる処理である。「カード処理再実行禁止処理」は、図5等に示すカード4に対する処理を以降実行しないように禁止設定する処理である。「コマンド待機処理」は、上位装置1からのコマンドの受信をさらにしばらくの間待機する処理である。「取引不可報知処理」は、利用者に取引ができない旨を報知する処理である。
【0025】
「カード返却・再取込処理」で内部22にあるカード4を返却するのと、「取引不可報知処理」で利用者に取引ができない旨を報知するのは、上位装置1とカード処理装置2の間の通信回線が不通状態になったり、上位装置1やカード処理装置2が何らかの原因で無応答状態(ハングアップやフリーズ等の状態)や暴走状態(プログラムが異常実行されて制御不能になった状態や両装置1、2間で不調和になった状態)になったりする等の不具合が発生した場合に、利用者に取引ができなくなったことを認識させて、上記不具合で混乱させないようにし、カード処理装置2や上位装置1やカード4が破壊されるのを防ぐことを意図して考えられたものである。「カード返却・再取込処理」で返却したカード4の再取り込みを行うのは、返却したカード4が利用者に抜き取られず放置された場合に、該カード4が第三者に盗まれて悪用されるのを防ぐことを意図して考えられたものである。
【0026】
「コマンド送信無し報知処理」で上位装置1にコマンドが送信されない旨を報知するのは、上位装置1と銀行の中央サーバ等の間で電話回線等を利用してID/パスワード等の問い合わせをしているため、該通信に時間がかかって、上位装置1からカード処理装置2へのコマンドの送信が遅れている場合や、上位装置1とカード処理装置2の間の通信回線がノイズ等により一時的に不通状態になって、上位装置1からのコマンドがカード処理装置2で受信されなかった場合に、コマンドの受信をしばらくの間待機させるコマンドや、既に送信したが受信されていないコマンド等のような何らかのコマンドの送信(または再送信)を上位装置1に促すことを意図して考えられたものである。
【0027】
「ハードウェアリセット処理」でカード処理装置2を初期状態に復帰させるのは、上位装置1やカード処理装置2が無応答状態や暴走状態になる等の不具合が発生した場合に、上位装置1と相互通信可能な状態を確立するプログラムや図5等に示すカード4に対する処理プログラム等を初期化して、最初から実行し直し、上記不具合を解消することを意図して考えられたものである。
【0028】
「カード処理再実行禁止処理」でカード4に対する処理を以降実行しないように禁止設定するのは、上記不具合が解消されず、上位装置1からのコマンドを受信しない状態が続いた場合に、通信エラー処理が無制限かつ無駄に実行されるのを防ぐことを意図して考えられたものである。
【0029】
「コマンド待機処理」で上位装置1からのコマンドの受信を待機するのは、上位装置1と中央サーバ等の間の通信に時間がかかって、上位装置1からのコマンドの送信が遅れている場合に、コマンドの受信を待機する時間を実質的に延長することを意図して考えられたものである。
【0030】
図1のシステムの導入時以前に、起こり得る不具合が想定されて、該不具合に対処すべく、上記設定候補の各処理の中から通信エラー処理として実行する単一または複数の処理および該処理の実行順が決定されて、上位装置1または他のパーソナルコンピュータ等から構成される書き込み装置により、図4に示すように記憶部6の所定の領域に書き込まれて設定される。また、システムの運用時に、通信エラー処理として実行する処理および実行順が適宜変更されて、上位装置1等により記憶部6の所定の領域に上書きされて設定変更される。上記設定候補の各処理のプログラムは、予め全て記憶部6に記憶させておいてもよいし、通信エラー処理として実行するように設定される一部の処理のプログラムだけ記憶部6に記憶させておいてもよい。一部の処理のプログラムだけ記憶させる場合は、設定が変更されたときに、新たに設定された処理のプログラムを記憶部6に追加記憶させたり、不要になった処理プログラムを削除したりするようにすればよい。一部の処理のプログラムだけ記憶させることや、不要になった処理プログラムを削除することにより、記憶部6として記憶容量の大きなメモリを用いなくてもよくなり、カード処理装置2のコストアップを抑えることができる。記憶部6は、本発明における設定手段の一実施形態を構成する。
【0031】
図5〜図13は、カード処理装置2で実行される処理の手順を示すフローチャートである。各処理は、制御部5が実行する。図5は、メインカード処理の手順を示すフローチャートである。このメインカード処理は、カード処理装置2の内部22にカード4がある間、常時上位装置1からのコマンドの受信を監視する場合の処理である。電源3から電力が供給されて、カード処理装置2が起動すると、制御部5は、第1タイマ7で計数する上位装置1からコマンドを受信するまでの時間と比較する所定時間T1と、第2タイマ8で計数するカード4が挿入返却口23から抜き取られない時間と比較する所定時間T2とをそれぞれ設定する(ステップS1)。所定時間T1、T2の設定値は、予め記憶部6に記憶しておいてもよいし、該設定時に上位装置1に問い合わせて上位装置1から受信してもよい。また、所定時間T1は、カード処理装置2が上位装置1からコマンドを受信しないためカード処理装置2や上位装置1で処理が一時的に停滞していても、利用者に不安を与えないような時間より長く、カード処理装置2と上位装置1が正常状態にあるときに、カード処理装置2が上位装置1からコマンドを受信するまでにかかる平均的な時間より短く設定するのが好ましい。また、所定時間T2は、カード処理装置2の設置場所に居るカード4の所有者である利用者が、挿入返却口23に返却されたカード4を抜き取ることができる平均的な時間より長く、該利用者がカード処理装置2の設置場所から立ち去って、他人がカード処理装置2の設置場所に来るまでにかかる平均的な時間より短く設定するのが好ましい。
【0032】
所定時間T1、T2を設定すると、制御部5は、センサ9a〜9cの検知結果からカード4がカード処理装置2の内部22にあるか否かを判定する(ステップS2)。このとき、未だ利用者によりカード4がカード処理装置2の挿入返却口23や内部22に挿入されていない場合は、センサ9a〜9cが全てOFF状態でカード4が内部22に無いので(ステップS2;NO)、いずれかのセンサ9a〜9cがカード4を検知してON状態になるのを待つ。
【0033】
そして、上位装置1からカード4の取り込みを指示するコマンドを受信した後、利用者によりカード4が挿入返却口23に挿入されて、前述したようにモータ15の正転駆動とローラ24の回転によりカード4を内部22に取り込むと、いずれかのセンサ9a〜9cがカード4を検知してON状態になるので、制御部5は、カード4が内部22にあると判定し(ステップS2:YES)、第1タイマ7をゼロクリア(計数値をゼロにセット)する(ステップS3)。次いで、制御部5は、上位装置1からのコマンドを受信するまでの時間を計数するため、第1タイマ7をスタート(計数開始)させ(ステップS4)、通信部17で上位装置1からコマンドを受信したか否かを判定する(ステップS5)。このとき、上位装置1からコマンドを受信していなければ(ステップS5:NO)、制御部5は、第1タイマ7を参照して該第1タイマ7で計数している時間が所定時間T1に到達したか否かを判定する(ステップS6)。このとき、第1タイマ7の計数時間が所定時間T1に到達していなければ(ステップS6:NO)、制御部5は、再び上位装置1からコマンドを受信したか否かを判定し(ステップS5)、受信していなければ(ステップS5:NO)、再び第1タイマ7の計数時間が所定時間T1に到達したか否かを判定する(ステップS6)。
【0034】
そして、ステップS5、S6で上位装置1からのコマンドの受信を待機している状態で、第1タイマ7の計数時間が所定時間T1に到達する前に(ステップS6:NO)、上位装置1からコマンドを受信すると(ステップS5:YES)、制御部5は、第1タイマ7をストップ(計数停止)する(ステップS7)。そして、制御部5は、受信したコマンドに従って処理を実行する(ステップS8)。このとき実行される処理としては、例えばカード4からの情報の読み取り、カード4への情報の書き込み、カード4の外部への排出(返却)等がある。該処理の実行後、制御部5は、通信部17により上位装置1に処理の結果を応答(返信)する(ステップS9)。このとき応答する結果としては、例えばカード4から読み取った情報や、受信したコマンドの処理の完了を報告するコード等がある。
【0035】
応答後、制御部5は、再びカード4がカード処理装置2の内部22にあるか否かを判定する(ステップS2)。このとき、カード4が内部22にあれば(ステップS2:YES)、制御部5は、第1タイマ7をゼロクリアして(ステップS3)、上位装置1からの次のコマンドを受信するまでの時間を計数するため、第1タイマ7をスタートさせ(ステップS4)、上位装置1からコマンドを受信したか否かを判定する(ステップS5)。そして、制御部5は、この判定結果に従って、前述したようにステップS6またはステップS7〜S9等を実行する。
【0036】
一方、ステップS5で上位装置1からコマンドを受信しないまま(ステップS5:NO)、ステップS6で第1タイマ7の計数時間が所定時間T1に到達すると(ステップS6:YES)、制御部5は、記憶部6の通信エラー処理の設定領域(図4)を読み込んで、設定された順に通信エラー処理を1つずつ実行する(ステップS10)。図4の例では、通信エラー処理として1番にカード返却・再取込処理を実行することが設定されているので、制御部5は、カード返却・再取込処理のプログラムを記憶部6から読み出して実行する。
【0037】
図6は、カード返却・再取込処理の手順を示すフローチャートである。カード返却・再取込処理を開始すると、制御部5は、内部22にあるカード4を利用者に返却するため、カード排出処理を実行する(ステップS21)。図7は、カード排出処理の詳細手順を示すフローチャートである。図7において、先ず制御部5は、ソレノイド16を駆動して、シャッタ25を開き(ステップS31)、モータ15を逆転駆動して(ステップS32)、ローラ24の回転によりカード4を挿入返却口23に向けて搬送する。そして、センサ9aが一旦カード4を検知してON状態になった後しばらくして検知しなくなってOFF状態になると(ステップS33:YES)、制御部5は、モータ15の駆動を停止して(ステップS34)、ローラ24によるカード4の搬送を停止する。これにより、カード4が挿入返却口23に排出されて(図3(c)の状態)、抜き取り可能な状態となる。
【0038】
カード排出処理の実行後、制御部5は、第2タイマ8をゼロクリアして(図6のステップS22)、返却したカード4が挿入返却口23から抜き取られない時間を計数するため、第2タイマ8をスタートさせ(ステップS23)、センサ10の検知結果からカード4が挿入返却口23から抜き取られたか否かを判定する(ステップS24)。このとき、センサ10がカード4を検知せずOFF状態であれば、制御部5は、カード4が抜き取られたと判定し(ステップS24:YES)、図5のメインカード処理のステップS2へ移行して、再びカード4がカード処理装置2の内部22にあるか否かを判定し、上述したようにステップS3以降の処理を繰り返し実行する。一方、図6のステップS24でセンサ10がカード4を検知してON状態であれば、制御部5は、カード4が抜き取られていないと判定し(ステップS24:NO)、第2タイマ8を参照して該第2タイマ8で計数している時間が所定時間T2に到達したか否かを判定する(ステップS25)。このとき、第2タイマ8の計数時間が所定時間T2に到達していなければ(ステップS25:NO)、制御部5は、再びカード4が挿入返却口23から抜き取られたか否かを判定し(ステップS24)、抜き取られていなければ(ステップS24:NO)、再び第2タイマ8の計数時間が所定時間T2に到達したか否かを判定する(ステップS25)。
【0039】
そして、ステップS24、S25で返却したカード4の抜き取りを待機している状態で、カード4が挿入返却口23から抜き取られないまま(ステップS24:NO)、第2タイマ8の計数時間が所定時間T2に到達すると(ステップS25:YES)、制御部5は、挿入返却口23にあるカード4を再度内部22に取り込むため、カード取込処理を実行する(ステップS26)。図8は、カード取込処理の詳細手順を示すフローチャートである。図8において、先ず制御部5は、ソレノイド16を駆動して、シャッタ25を開き(ステップS41)、モータ15を正転駆動して(ステップS42)、ローラ24の回転によりカード4を内部22に向けて搬送する。そして、センサ9aが一旦カード4を検知してON状態になった後しばらくして検知しなくなってOFF状態になると(ステップS43:YES)、制御部5は、ソレノイド16を駆動して、シャッタ25を閉じる(ステップS44)。この後、センサ9cがカード4を検知してOFF状態からON状態になると(ステップS45:YES)、制御部5は、モータ15の駆動を停止して(ステップS46)、ローラ24によるカード4の搬送を停止する。これにより、カード4が挿入返却口23から内部22に取り込まれた状態となる。カード取込処理の実行後、制御部5は、第2タイマ8をストップして(図6のステップS27)、カード返却・再取込処理を終了し、図5のステップS11へ移行する。
【0040】
上記のように通信エラー処理を1つ実行し終えると、制御部5は、図5のステップS11で通信部17により上位装置1からコマンドを受信したか否かを判定し、受信していれば(ステップS11:YES)、上述したようにステップS7〜S9を実行して、ステップS2へ移行する。これに対して、ステップS11で上位装置1からコマンドを受信していなければ(ステップS11:NO)、制御部5は、記憶部6に設定された最後の通信エラー処理を実行したか否かを判定する(ステップS12)。図4の例では、通信エラー処理として最後(2番)にコマンド送信無し報知処理を実行することが設定されているので、制御部5は、設定された最後の通信エラー処理を実行していないと判定し(ステップS12:NO)、ステップS10へ移行して、コマンド送信無し報知処理のプログラムを記憶部6から読み出して実行する。
【0041】
図11は、コマンド送信無し報知処理の手順を示すフローチャートである。コマンド送信無し報知処理を開始すると、制御部5は、このときの第1タイマ7の計数時間または通信エラー処理の実行回数に応じたコマンド送信無し報知コードを、通信部17により上位装置1に送信する(ステップS71)。具体的には、例えば所定時間T1経過後さらに上位装置1からのコマンドを受信しないまま所定時間が経過したことを示すコード、またはこのとき開始したコマンド送信無し報知処理が何回目の通信エラー処理に当たるのか(図4の例では2回)を示すコード等が予め記憶部6の所定の領域に記憶されていて、制御部5がその中から対応するコードを読み出して上位装置1に送信する。コマンド送信無し状態の上位装置1への報知は、上位装置1からのコマンドを受信しない状態で時間が経過し続けていることを上位装置1に報知できる態様であればよい。送信後、制御部5は、コマンド送信無し報知処理を終了し、図5のステップS11へ移行する。
【0042】
一方、記憶部6に通信エラー処理としてハードウェアリセット処理が設定されている場合は、制御部5は、図5のステップ10でハードウェアリセット処理を実行する。図9は、ハードウェアリセット処理の手順を示すフローチャートである。ハードウェアリセット処理を開始すると、制御部5は、カード処理装置2の各部を初期状態に復帰させるようにリセットする(ステップS51)。リセット後、制御部5は、例えば上位装置1とカード処理装置2の相互通信可能な状態を確立する処理プログラムを最初から実行し直し、また図5のメインカード処理を最初から実行し直す。
【0043】
また、記憶部6に通信エラー処理としてカード処理再実行禁止処理が設定されている場合は、制御部5は、図5のステップ10でカード処理再実行禁止処理を実行する。図10は、カード処理再実行禁止処理の手順を示すフローチャートである。カード処理再実行禁止処理を開始すると、制御部5は、以降図5のメインカード処理の再実行を禁止するように設定する(ステップS61)。具体的には、予め記憶部6の所定の領域に設けたメインカード処理の実行を許可または禁止するフラグを、禁止を示す「1」の状態にする。設定後、制御部5は、カード処理再実行禁止処理を終了し、図5のステップS11へ移行する。そしてその後、実行中のメインカード処理が後述するように終了すると、以降は上記フラグが「1」の状態にある限り、制御部5はメインカード処理を実行しない。なお、カード処理装置2が再起動またはリセットされると、制御部5は上記フラグをメインカード処理の実行の許可を示す「0」の状態に戻し、メインカード処理を実行する。
【0044】
また、記憶部6に通信エラー処理としてコマンド受信待機処理が設定されている場合は、制御部5は、図5のステップ10でコマンド受信待機処理を実行する。図12は、コマンド受信待機処理の手順を示すフローチャートである。コマンド受信待機処理を開始すると、制御部5は、通信部17で上位装置1からのコマンドを受信するのを待機し(ステップS81)、第1タイマ7を参照して該第1タイマ7の計数時間が所定時間T1+x(T1<T1+x)に到達したか否かを判定する(ステップS82)。そして、第1タイマ7の計数時間が所定時間T1+xに到達すると(ステップS82:YES)、制御部5は、コマンド受信待機処理を終了し、図5のステップS11へ移行する。
【0045】
また、記憶部6に通信エラー処理として取引不可報知処理が設定されている場合は、制御部5は、図5のステップ10で取引不可報知処理を実行する。図13は、取引不可報知処理の手順を示すフローチャートである。取引不可報知処理を開始すると、制御部5は、このときの第1タイマ7の計数時間または通信エラー処理の実行回数に応じて光発生部20または音発生部21を駆動して、カード4による取引ができない取引不可状態を利用者に報知する(ステップS91)。具体的には、例えば上位装置1からのコマンドを受信しないまま所定時間T1からさらに所定時間が経過していれば光発生部20を点灯させ、それよりも長い所定時間が経過していれば光発生部20を点滅させる。また、例えばこのとき開始した取引不可報知処理が1回目の通信エラー処理であれば音発生部21から短音を発し、2回目の通信エラー処理であれば音発生部21から長音を発する。つまり、取引不可状態の利用者への報知は、上位装置1からのコマンドを受信しない状態で時間が経過し続けていることを利用者に報知できる態様であればよい。報知後、制御部5は、取引不可報知処理を終了し、図5のステップS11へ移行する。
【0046】
図5のステップS11への移行後、制御部5は、上位装置1からコマンドを受信することなく(ステップS11:NO)、記憶部6に設定された最後の通信エラー処理を実行したと判定すると(ステップS12:YES)、第1タイマ7をストップして(ステップS13)、メインカード処理を終了する。この後、所定時間経過後または上位装置1からメインカード処理の実行開始を指示するコマンドを受信すると、前述したメインカード処理の実行を許可または禁止するフラグが許可を示す「0」の状態である場合にのみ、制御部5はメインカード処理の実行を開始する。また、カード処理装置2が再起動されたりリセットされたりすると、制御部5はメインカード処理の実行を開始する。
【0047】
上述した第1実施形態によると、カード4をカード処理装置2の内部22に取り込んでいる状態で、何らかの不具合により上位装置1からカード処理装置2へのコマンドの送信が途絶えた場合に、カード処理装置2が上位装置1からのコマンドを受信しない状態で所定時間T1が経過したかどうかを自ら判断し、所定時間T1が経過したと判断すると、予め起こり得る不具合を想定して設定された通信エラー処理を実行して対処するので、受ける害を最小限に抑えることが可能となる。
【0048】
具体的には、通信エラー処理としてカード返却・再取込処理を実行することを設定した場合、何らかの不具合により上位装置1からのコマンドの送信が途絶えて、上位装置1の表示部に表示される内容とカード処理装置2の状態とが不調和になっても、カード処理装置2は、上位装置1からのコマンドを受信しないまま所定時間T1が経過したと判断すると、内部22のカード4を挿入返却口23に返却するので、利用者に取引をできなくなったことを認識させて、上記不調和状態に対し混乱させないようにすることができる。そしてこれにより、利用者がカード4を内部22から無理やり取り出そうとしたり、他のカードを内部22に無理やり挿入しようとしたりして、カード処理装置2およびカード4が破損するという害や、上位装置1を乱暴に扱って破損するという害の発生を未然に防ぐことができる。また、上記のようにカード4を返却した後、カード処理装置2は、当該返却したカード4が挿入返却口23から抜き取られないまま所定時間T2が経過したと判断すると、カード4を内部22に再度取り込むので、カード処理装置2から返却されて放置されたカード4が悪意の第三者に盗まれて悪用されるという害を未然に防ぐことができる。
【0049】
また、通信エラー処理としてハードウェアリセット処理を実行することを設定した場合、上位装置1またはカード処理装置2が無応答状態または暴走状態になったという不具合により上位装置1からのコマンドの送信が途絶えても、カード処理装置2は、リセットして初期状態に復帰し、上位装置1と相互通信可能な状態を確立するプログラムや、メインカード処理のプログラム等を初期化して、最初から実行し直すので、上記不具合を解消させることができる。
【0050】
また、通信エラー処理としてカード処理再実行禁止処理を実行することを設定した場合、上位装置1とカード処理装置2の間の通信回線が不通状態になったり、上位装置1やカード処理装置2が無応答状態や暴走状態になったりする等の不具合が発生した後解消されることなく、上位装置1からのコマンドを受信しない状態が続いても、カード処理装置2は、以降メインカード処理の実行を禁止するので、通信エラー処理が無制限かつ無駄に実行されるのを防ぐことができる。
【0051】
また、通信エラー処理としてコマンド送信無し報知処理を実行することを設定した場合、上位装置1と銀行の中央サーバ等の間で電話回線等を利用してID/パスワード等の問い合わせをしているため、該通信に時間がかかって、上位装置1からカード処理装置2へのコマンドの送信が遅れたり、上位装置1とカード処理装置2の間の通信回線がノイズ等により一時的に不通状態になって、上位装置1からのコマンドがカード処理装置2で受信されなかったりしても、カード処理装置2は、上位装置1にコマンドが送信されない旨を報知するので、コマンドの受信をしばらくの間待機させるコマンドや、既に送信したが受信されていないコマンド等のような何らかのコマンドの送信(または再送信)を上位装置1に促すことができる。また、そのコマンドを受信することにより、カード処理装置2で上位装置1が正常であるとみなして、そのコマンドに応じた処理を続行することができる。また、上位装置1からのコマンドを受信しない状態での経過時間または通信エラー処理の実行回数に応じて報知形態を変えることにより、上位装置1にコマンドを受信していない状況をより詳しく認識させることができる。
【0052】
また、通信エラー処理としてコマンド待機処理を実行することを設定した場合、上位装置1と中央サーバ等の間の通信に時間がかかって、上位装置1からのコマンドの送信が遅れていても、カード処理装置2は、上位装置1からのコマンドの受信を待機する時間を実質的に延長するので、上記のように上位装置1から遅れて送信されたコマンドをカード処理装置2で受信して、該コマンドに応じた処理を続行することができる。
【0053】
また、通信エラー処理として取引不可報知処理を実行することを設定した場合、何らかの不具合により上位装置1からのコマンドの送信が途絶えて、上位装置1の表示部の表示内容とカード処理装置2の状態とが不調和になっても、カード処理装置2は、利用者に取引ができない旨を報知するので、利用者に取引をできなくなったことを認識させて、上記不調和状態に混乱させないようにすることができる。そしてこれにより、利用者がカード4を内部22から無理やり取り出そうとしたり、他のカードを内部22に無理やり挿入しようとしたりして、カード処理装置2およびカード4が破損するという害や、上位装置1を乱暴に扱って破損するという害の発生を未然に防ぐことができる。また、上位装置1からのコマンドを受信しない状態での経過時間または通信エラー処理の実行回数に応じて報知形態を変えることにより、利用者に取引ができない状況をより明確に認識させることができる。
【0054】
また、上位装置1とカード処理装置2との間でコマンドやコマンドに対する応答の通信を何度か繰り返すに連れて、何らかの不具合により上位装置1からのコマンドの送信が途絶え易くなるという傾向がある場合には、カード処理装置2が上位装置1からカード4の取り込みを指示するコマンドを受信して、カード4を内部22に取り込んだ後、カード4が内部22にある間常時上位装置1からのコマンドの受信を監視しているので、上記傾向に沿って上位装置1からのコマンドの送信が途絶えても、カード処理装置2が常に自ら判断して、通信エラー処理を直ぐに実行して対処することができる。さらに、上位装置1とカード処理装置2とから成るシステムが、節電等のためカード4が内部22に無い状態で上位装置1からカード処理装置2へコマンドを送信しないように設定されている場合には、カード4が内部22に無い状態では上位装置1からのコマンドの受信を監視しないので、上位装置1からのコマンドを受信しないまま所定時間が経過しても、カード処理装置2で上位装置1が正常であるとみなして処理を続行することができる。
【0055】
また、上記の各処理の中から通信エラー処理として実行する処理を選んで、異なるまたは同一の処理を様々に組み合わせて記憶部6に設定することにより、より効果的に不具合の解消および受ける害の発生防止を図ることができる。また、最近頻繁に発生している不具合に応じて、通信エラー処理として実行する処理を変更して設定し直すことによっても、より効果的に不具合の解消および受ける害の発生防止を図ることができる。さらに、メインカード処理を周期的に反復実行することによっても、より効果的に不具合の解消および害の発生防止を図ることができる。
【0056】
次に、本発明の第2実施形態を図14および図15を参照しながら説明する。図14は、記憶部6の記憶内容の一例を示す図である。記憶部6には、通信部17で上位装置1からのコマンドを受信しないまま前述の所定時間T1が経過した場合に、通信エラー処理として実行する処理と該処理の実行タイミングを設定する領域が設けられている。図14の例では、通信エラー処理として右側の実線枠内に示すように、T1時間が経過してからT1+a時間が経過するまでは「取引不可報知処理」を実行し、T1+a時間が経過してからT1+b時間が経過するまでは「コマンド送信無し報知処理」を実行し、T1+b時間が経過した後は再度「取引不可報知処理」を実行することが設定されている(T1<T1+a<T1+b)。この他の設定候補としては、「カード返却・再取込処理」、「ハードウェアリセット処理」、「カード処理再実行禁止処理」、および「コマンド待機処理」がある。これらの各処理の詳細は前述したとおりである。また、通信エラー処理として実行する処理の設定についても前述したとおりである。
【0057】
図15は、メインカード処理の手順を示すフローチャートである。図15のメインカード処理は、カード処理装置2の内部22にカード4が取り込まれた後、上位装置1から最初のコマンドを受信するまでの間だけ、コマンドの受信を監視する場合の処理である。また、図15のメインカード処理では、前述した図5のメインカード処理と同一箇所には同一符号を付してある。カード処理装置2が起動すると、制御部5は、所定時間T1と所定時間T2とをそれぞれ設定し(ステップS1)、カード4がカード処理装置2の内部22にあるか否かを判定する(ステップS2)。そして、利用者により挿入されたカード4をモータ15とローラ24により内部22に取り込んで、いずれかのセンサ9a〜9cがカード4を検知してON状態になると、制御部5は、カード4が内部22にあると判定し(ステップS2:YES)、第1タイマ7をゼロクリアして(ステップS3)、カード4を内部22に取り込んでから上位装置1から最初のコマンドを受信するまでの時間を計数するため、第1タイマ7をスタートさせる(ステップS4)。そして、制御部5は、通信部17で上位装置1からコマンドを受信したか否かを判定する(ステップS5)。このとき、上位装置1から最初のコマンドを受信していなければ(ステップS5:NO)、制御部5は、第1タイマ7で計数している時間が所定時間T1に到達したか否かを判定し(ステップS6)、到達していなければ(ステップS6:NO)、再び上位装置1からコマンドを受信したか否かを判定する(ステップS5)。
【0058】
そして、ステップS5、S6で上位装置1からのコマンドの受信を待機している状態で、第1タイマ7の計数時間が所定時間T1に到達する前に(ステップS6:NO)、上位装置1から最初のコマンドを受信すると(ステップS5:YES)、制御部5は、第1タイマ7をストップして(ステップS7)、受信したコマンドに従って処理を実行する(ステップS8)。処理の実行後、制御部5は、通信部17により上位装置1に処理の結果を応答し(ステップS9)、カード4を挿入返却口23に排出したか否かを判定する(ステップS15)。ステップS5で上位装置1から受信したコマンドがカード4の排出以外を指示するコマンドであって、ステップS8でカード排出処理以外の処理を実行した場合は、制御部5は、ステップS15でカード4を挿入返却口23に排出していないと判定し(ステップS15:NO)、上位装置1から次のコマンドを受信するのを待つ(ステップS16)。そして、上位装置1から次のコマンドを受信すると(ステップS16:YES)、制御部5は、ステップS8へ移行して、受信したコマンドに従って処理を実行し、上述したようにステップS9、S15、S16を実行する。また、ステップS5やステップS16で上位装置1から受信したコマンドがカード4の排出を指示するコマンドであって、ステップS8でカード排出処理を実行した場合は、制御部5は、ステップS15でカード4を挿入返却口23に排出したと判定し(ステップS15:YES)、ステップS2へ移行して、再びカード4がカード処理装置2に挿入されて内部22に取り込まれるのを待つ。
【0059】
一方、ステップS5で通信部17で上位装置1から最初のコマンドを受信しないまま(ステップS5:NO)、ステップS6で第1タイマ7の計数時間が所定時間T1に到達すると(ステップS6:YES)、制御部5は、記憶部6の通信エラー処理の設定領域(図14)を読み込んで、このときの第1タイマ7の計数時間に応じて設定された通信エラー処理を1つずつ実行する(ステップS17)。図14の例では、T1+a時間が経過するまでは、通信エラー処理として取引不可報知処理を実行することが設定されているので、制御部5は、先ず図13の取引不可報知処理のプログラムを記憶部6から読み出して、前述したように実行する。
【0060】
そして、通信エラー処理を1つ実行し終えると、制御部5は、図15のステップS11で通信部17により上位装置1からコマンドを受信したか否かを判定し、受信していれば(ステップS11:YES)、上述したようにステップS7〜S9、およびS15等を実行する。これに対して、ステップS11で上位装置1からコマンドを受信していなければ(ステップS11:NO)、制御部5は、記憶部6に設定された最後の通信エラー処理を実行したか否かを判定する(ステップS12)。図14の例では、T1+b時間の経過後に最後の通信エラー処理として取引不可報知処理を実行することが設定されているので、制御部5は、ステップS12で設定された最後の通信エラー処理を実行していないと判定する(ステップS12:NO)。そして、制御部5は、ステップS17へ移行して、このときの第1タイマ7の計数時間に応じて設定されたコマンド送信無し報知処理または取引不可報知処理を通信エラー処理として前述したように実行する。通信エラー処理の実行後、制御部5は、上位装置1からコマンドを受信することなく(ステップS11:NO)、記憶部6に設定された最後の通信エラー処理を実行したと判定すると(ステップS12:YES)、第1タイマ7をストップして(ステップS13)、メインカード処理を終了する。
【0061】
上述した第2実施形態によると、カード4をカード処理装置2の内部22に取り込んでから、何らかの不具合により上位装置1からの最初のコマンドの受信が無い場合に、カード処理装置2が上位装置1からの最初のコマンドを受信しない状態で所定時間T1が経過したかどうかを自ら判断し、所定時間T1が経過したと判断すると、予め起こり得る不具合を想定して設定された通信エラー処理を実行して対処するので、受ける害を最小限に抑えることが可能となる。
【0062】
具体的には、通信エラー処理として例えば取引不可報知処理またはカード返却・再取込処理を実行することを設定した場合、何らかの不具合により上位装置1から最初のコマンドを受信しなくなって、上位装置1の表示部の表示内容とカード処理装置2の状態とが不調和になっても、カード処理装置2は、上位装置1からの最初のコマンドを受信しないまま所定時間T1が経過したと判断すると、内部22にあるカード4を挿入返却口23に返却するので、利用者にカード4挿入後直ぐに取引をできなくなったことを認識させて、上記不調和状態に対し混乱させないようにすることができる。そしてこれにより、利用者がカード4を内部22から無理やり取り出そうとしたり、他のカードを内部22に無理やり挿入しようとしたりして、カード処理装置2およびカード4が破損するという害や、上位装置1を乱暴に扱って破損するという害の発生を未然に防ぐことができる。
【0063】
また、カード処理装置2はカード4を内部22に取り込んでから、上位装置1より最初のコマンドを受信するまでの間のみコマンドの受信を監視しているので、最初のコマンドを受信した後の制御部5の処理負担を軽減することができる。また、カード4を取り込んで、最初のコマンドを受信した後、上位装置1がカード処理装置2に対する処理以外の処理を行っている間に、上位装置1とカード処理装置2の間でコマンド等の通信を行う必要がなくなり、上位装置1とカード処理装置2の無駄な通信を省略して、処理負担を軽減することができる。また、カード4を取り込んで、上位装置1から最初のコマンドを受信すると、上位装置1はカード4が内部22に取り込まれたことを認識して、利用者にカード4の挿入を促す画面以外の画面、例えば「処理中ですのでお待ち下さい。しばらくたっても応答がない場合は、係員呼び出しボタンを押して下さい。」等の画面を表示部に表示するので、上位装置1から次のコマンドを受信するのを監視しなくても、利用者が他のカードをカード処理装置2の内部22に無理やり挿入することはなく、カード処理装置2やカード4等が破損するという害が生じることもない。
【0064】
さらに、上位装置1から最初のコマンドを受信しない状態での経過時間に応じて、予め設定された通信エラー処理を実行しているので、通信エラー処理として取引不可処理を実行することを設定した場合は、利用者に取引ができない状況をより明確に認識させることができ、コマンド送信無し報知処理を実行することを設定した場合は、上位装置1に最初のコマンドを受信していない状況をより詳しく認識させることができる。
【0065】
次に、本発明の第3実施形態を図16を参照しながら説明する。図16は、メインカード処理の手順を示すフローチャートである。図16のメインカード処理は、カード処理装置2の内部22にカード4があるかどうかに関係なく、上位装置1からのコマンドの受信を監視する場合の処理である。また、図16のメインカード処理は、前述した図5のメインカード処理と同一箇所には同一符号を付してある。図16と図5のメインカード処理の相違点は、図5のメインカード処理のステップS2が図16のメインカード処理では省略されている点である。
【0066】
図16において、カード処理装置2の起動後、制御部5は、所定時間T1、T2を設定すると(ステップS1)、第1タイマ7をゼロクリアして(ステップS3)、上位装置1からコマンドを受信するまでの時間を計数するため、第1タイマ7をスタートさせる(ステップS4)。そして、制御部5は、前述したようにステップS5〜S9の処理を実行する。その際、ステップS8で受信したコマンドに従って実行する処理には、挿入返却口23に挿入されたカード4を内部22へ取り込むカード取込処理が含まれる。その後、ステップS5で上位装置1からコマンドを受信しないまま(ステップS5:NO)、ステップS6で第1タイマ7の計数時間が所定時間T1に到達すると(ステップS6:YES)、制御部5は、前述したように記憶部6に設定された順に通信エラー処理を1つずつ実行する(ステップS10)。そして、通信エラー処理を1つ実行し終えると、制御部5は、前述したようにステップS11、S12を実行し、その後ステップS10または前述したようにステップS13を実行して、メインカード処理を終了する。
【0067】
上述した第3実施形態によると、カード4をカード処理装置2の内部22に取り込んでいるか否かに関係無く、何らかの不具合により上位装置1からカード処理装置2へのコマンドの送信が途絶えた場合に、カード処理装置2が上位装置1からのコマンドを受信しない状態で所定時間T1が経過したかどうかを自ら判断し、所定時間T1が経過したと判断すると、予め起こり得る不具合を想定して設定された通信エラー処理を実行して対処するので、受ける害を最小限に抑えることが可能となる。
【0068】
具体的には、通信エラー処理として例えば取引不可状態を実行することを設定した場合、上位装置1が利用者にカード4の挿入を促す画面を表示部に表示させたまま、上位装置1とカード処理装置2の間の通信回線が不通状態になったり、上位装置1やカード処理装置2が何らかの原因で無応答状態や暴走状態になったりする等の不具合が発生して、カード処理装置2が上位装置1からカード4の取り込みを指示するコマンドを受信しなくなっても、カード処理装置2は、利用者に取引ができない旨を報知するので、利用者に取引をできなくなったことを認識させて、上記不調和状態に対し混乱させないようにすることができる。そしてこれにより、利用者がカード4を内部22に無理やり挿入しようとして、カード処理装置2およびカード4が破損するという害や、上位装置1を乱暴に扱って破損するという害の発生を未然に防ぐことができる。
【0069】
また、通信エラー処理としてハードウェアリセット処理を実行することを設定した場合、上位装置1またはカード処理装置2が無応答状態または暴走状態になったという不具合により上位装置1からのコマンドの送信が途絶えても、カード処理装置2は、リセットして初期状態に復帰し、上位装置1と相互通信可能な状態を確立するプログラムや、メインカード処理のプログラム等を初期化して、最初から実行し直すので、上記不具合を解消させることができる。
【0070】
本発明は、以上の実施形態以外にも種々の形態を採用することができる。例えば、以上の実施形態では、上位装置1からのコマンドを受信するまでの時間を計数する専用のタイマ7と、カード4が抜き取られるまでの時間を計数する専用のタイマ8をそれぞれ設けた例を挙げているが、本発明はこれのみに限定するものではなく、例えば上位装置からのコマンドを受信するまでの時間とカードが抜き取られるまでの時間を、単一のタイマで計数するようにしたり、複数のタイマで順番に計数するようにしたりしてもよい。
【0071】
また、図16に示した第3実施形態は、図5のメインカード処理をベースとし、該メインカード処理中のカード4が内部22にあるか否かを判定するステップS2を省略して構成しているが、本発明はこれのみに限定するものではなく、図15のメインカード処理をベースとし、該メインカード処理中のステップS2を省略して構成するようにしてもよい。
【0072】
さらに、以上の実施形態では、銀行等の金融機関で採用される自動取引装置に搭載されたカード処理装置2に本発明を適用した例を挙げているが、本発明は自動取引装置以外の装置に搭載されたカード処理装置にも適用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】カード処理装置を用いたシステム構成図である。
【図2】カード処理装置の電気ブロック図である。
【図3】カード処理装置の概略構造図である。
【図4】第1実施形態の記憶部の記憶内容を示す図である。
【図5】第1実施形態のメインカード処理のフローチャートである。
【図6】カード返却・再取込処理のフローチャートである。
【図7】カード排出処理のフローチャートである。
【図8】カード取込処理のフローチャートである。
【図9】ハードウェアリセット処理のフローチャートである。
【図10】カード処理再実行禁止処理のフローチャートである。
【図11】コマンド送信無し報知処理のフローチャートである。
【図12】コマンド受信待機処理のフローチャートである。
【図13】取引不可報知処理のフローチャートである。
【図14】第2実施形態の記憶部の記憶内容を示す図である。
【図15】第2実施形態のメインカード処理のフローチャートである。
【図16】第3実施形態のメインカード処理のフローチャートである。
【符号の説明】
【0074】
1 上位装置
2 カード処理装置
4 カード
5 制御部
6 記憶部
7 第1タイマ
8 第2タイマ
9a〜9b センサ
10 センサ
15 モータ
17 通信部
22 内部
23 挿入返却口
24 ローラ
T1、T2 所定時間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カードを受け付けて所定の処理を行うカード処理装置において、
カードを内部に取り込む取込手段と、
カードを内部から返却口に返却する返却手段と、
カードが内部にあることを検出する第1の検出手段と、
返却口に返却したカードが抜き取られたことを検出する第2の検出手段と、
上位装置と相互に通信を行う通信手段と、
前記通信手段で上位装置からのコマンドを受信した後、該コマンドに対する応答をしてから上位装置からの次のコマンドを受信するまでの時間を計数する第1の計数手段と、
カードを返却口に返却した後、カードが抜き取られるまでの時間を計数する第2の計数手段と、
前記第1および第2の検出手段の検出結果に基づいて、前記取込手段、前記返却手段、前記通信手段、前記第1および第2の計数手段を制御する制御手段と、を備え、
前記制御手段は、前記第1および第2の検出手段の検出結果から、カードが内部にあるか否かと、カードが返却口にあるか否かをそれぞれ判断し、カードが内部にあると判断した状態で、前記通信手段で上位装置からのコマンドを受信しないまま、前記第1の計数手段で計数した時間が所定時間に到達した場合に、前記返却手段によりカードを返却口に返却し、この後当該返却されたカードが返却口にあると判断した状態で、カードが返却口から抜き取られないまま、前記第2の計数手段で計数した時間が所定時間に到達した場合に、前記取込手段によりカードを内部に取り込むことを特徴とするカード処理装置。
【請求項2】
カードを受け付けて所定の処理を行うカード処理装置において、
上位装置と相互に通信を行う通信手段と、
カードが内部に挿入された後、前記通信手段で上位装置からのコマンドを受信するまでの時間を計数する計数手段と、
上位装置からのコマンドを受信しないことに対処する複数の処理のうち所定の処理を設定する設定手段と、
前記通信手段で上位装置からのコマンドを受信しないまま、前記計数手段で計数した時間が所定時間に到達した場合に、前記設定手段で設定された前記所定の処理を実行する制御手段と、を備えたことを特徴とするカード処理装置。
【請求項3】
請求項2に記載のカード処理装置において、
前記制御手段は、前記通信手段で上位装置からの最初のコマンドを受信しないまま、前記計数手段で計数した時間が所定時間に到達した場合にのみ、前記設定手段で設定された前記所定の処理を実行することを特徴とするカード処理装置。
【請求項4】
請求項2または請求項3に記載のカード処理装置において、
前記制御手段は、前記通信手段で上位装置からのコマンドを受信しないまま、前記計数手段で計数した時間が所定時間に到達した場合に、前記設定手段で設定された順に前記所定の処理を実行することを特徴とするカード処理装置。
【請求項5】
請求項2または請求項3に記載のカード処理装置において、
前記制御手段は、前記通信手段で上位装置からのコマンドを受信しないまま、前記計数手段で計数した時間が所定時間に到達した場合に、該計数時間の経過に応じて前記設定手段で設定された前記所定の処理を実行することを特徴とするカード処理装置。
【請求項6】
請求項2ないし請求項5のいずれかに記載のカード処理装置において、
前記制御手段は、前記設定手段で設定された前記所定の処理を実行すると、以降はカードに対する処理を実行しないことを特徴とするカード処理装置。
【請求項7】
請求項2ないし請求項6のいずれかに記載のカード処理装置において、
前記所定の処理には、上位装置に対してコマンドが送信されていないことを報知する処理若しくは上位装置からコマンドが送信されるまで待機する処理、または利用者に対してカードの取り扱いができないことを報知する処理の少なくとも一つが含まれることを特徴とするカード処理装置。
【請求項8】
カードを受け付けて所定の処理を行うカード処理装置において、
上位装置と相互に通信を行う通信手段と、
当該カード処理装置の起動後、前記通信手段で上位装置からのコマンドを受信するまでの時間を計数する計数手段と、
上位装置からのコマンドを受信しないことに対処する複数の処理のうち所定の処理を設定する設定手段と、
前記通信手段で上位装置からのコマンドを受信しないまま、前記計数手段で計数した時間が所定時間に到達した場合に、前記設定手段で設定された前記所定の処理を実行する制御手段と、を備えたことを特徴とするカード処理装置。
【請求項9】
カードを受け付けて所定の処理を行うカード処理装置において、
上位装置と相互に通信を行う通信手段と、
カードが内部に挿入された後、前記通信手段で上位装置からのコマンドを受信するまでの時間を計数する計数手段と、
前記通信手段で上位装置からのコマンドを受信しないまま、前記計数手段で計数した時間が所定時間に到達した場合に、当該カード処理装置を初期状態に復帰するリセット処理を実行する制御手段と、を備えたことを特徴とするカード処理装置。
【請求項10】
カードを受け付けて所定の処理を行うカード処理装置において、
上位装置と相互に通信を行う通信手段と、
当該カード処理装置の起動後、前記通信手段で上位装置からのコマンドを受信するまでの時間を計数する計数手段と、
前記通信手段で上位装置からのコマンドを受信しないまま、前記計数手段で計数した時間が所定時間に到達した場合に、当該カード処理装置を初期状態に復帰するリセット処理を実行する制御手段と、を備えたことを特徴とするカード処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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