説明

カード及びその形成方法

【課題】 カード基材上に、ホログラム画像、熱転写画像を有するカードを得る際に、そのカードを形成する上で、ホログラム画像形成のためのラミネート及び基材剥離の工程が必要なく、手間がかからなく、また製造コストが高くなることなく、また剥離する基材シートの廃棄処分の問題もなく、さらにホログラム画像の上に記録したバーコードやQRコード(登録商標)の機械読取の精度が高い、意匠性、装飾性及び偽造防止性の高いホログラム画像を有するカード及びその形成方法を提供することを目的とする。
【解決手段】 カード基材5の一方の面に、ホログラム効果層4、ホログラム形成層3をこの順に設けたホログラム層10と、染料受容層2を順に設けたカード1において、前記カード基材の他方の面と、前記カード基材のホログラム層と重ならない位置の少なくとも一方に、白色化された熱溶融性インキ受容層6を設けたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カード基材に、ホログラム層、染料受容層、白色化された熱溶融性インキ受容層を設けたカード及びその形成方法に関し、特にカードを形成する上で、ホログラム画像形成のためのラミネート及び基材剥離の工程が必要なく、また剥離する基材シートの廃棄処分の問題もなく、さらにホログラム画像の上に記録したバーコードやQRコード(登録商標)の機械読取の精度が高い、意匠性、装飾性及び偽造防止性の高いホログラム画像を有するカード及びその形成方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
運転免許証、クレジットカード、社員証等のカード類の意匠性や装飾性を高めるため、また偽造防止性を高めるために、特許文献1に示すように、カード基材上に染料受容層を形成し、その受容層に熱転写プリンターで、染料の熱転写画像を形成し、その後に熱転写画像面に、ホログラム画像を有するラミネートフィルムを接着し、ラミネートフィルムの基材を剥離して、カード上に染料の熱転写画像とホログラム画像を有するものが得られることが、知られ、また行なわれていた。
【0003】
しかし、上記のカードを形成する場合、カード上に熱転写画像を形成するための熱転写プリンターによる記録と、さらにカードの熱転写画像面にホログラム画像を形成するための熱転写プリンターなどによる加熱及び基材剥離の工程が必要であり、工程が多く手間がかかり、また製造コストが高くかかってしまう。さらに剥離した基材シートを廃棄処分する問題がある。
【0004】
ホログラム画像を有するカードにおいて、固定された情報だけでなく、カード毎に可変情報を印刷あるいは記録したい要求があり、例えば特許文献2ではカード基材シートの上に、ホログラム層を設け、該ホログラム層の上に熱溶融型熱転写シートのインキ受容層を設け、さらに該インキ受容層の上に、印刷模様が形成されたカードが示されている。しかし、このカードでは、ホログラム画像の上に記録したバーコードやQRコード(登録商標)の機械読取の精度が低くなり、問題である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平2−212195号公報
【特許文献2】特開2004−188799号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、本発明は上記に挙げた課題である、カード基材上に、ホログラム画像、熱転写画像を有するカードを得る際に、そのカードを形成する上で、ホログラム画像形成のためのラミネート及び基材剥離の工程が必要なく、手間がかからなく、また製造コストが高くなることなく、また剥離する基材シートの廃棄処分の問題もなく、さらにホログラム画像の上に記録したバーコードやQRコード(登録商標)の機械読取の精度が高い、意匠性、装飾性及び偽造防止性の高いホログラム画像を有するカード及びその形成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、カード基材の一方の面に、ホログラム効果層、ホログラム形成層をこの順に設けたホログラム層と、染料受容層を順に設けたカードにおいて、前記カード基材の他方の面と、前記カード基材のホログラム層と重ならない位置の少なくとも一方に、白色化された熱溶融性インキ受容層を設けたことを特徴とするものである。
【0008】
上記構成のカードは、染料受容層/ホログラム形成層/ホログラム効果層/カード基材/白色の熱溶融性インキ受容層の積層構成と、カード基材に、ホログラム形成層、ホログラム効果層、染料受容層を順に形成したものと、同じカード基材のホログラム層と重ならない位置に、白色の熱溶融性インキ受容層を形成したものの2通りの形態である。このカードによれば、記録したバーコードやQRコード(登録商標)は、白色化された熱溶融性インキ受容層上に記録されるので、機械読取の精度が高いもので、読取不良が生じにくい。その結果、意匠性、装飾性及び偽造防止性の高いホログラム画像を有するカードが得られる。
【0009】
また、前記のカード基材の少なくとも一方の面に、予め絵柄印刷が施されていることが好ましく、意匠性、装飾性により優れたものとなる。
【0010】
本発明のカードの形成方法は、カード基材の一方の面に、ホログラム形成層、ホログラム効果層をこの順に設けたホログラム層、染料受容層を順に設けたカードを用意し、前記カード基材の他方の面と、前記カード基材のホログラム層と重ならない位置の少なくとも一方に、白色化された熱溶融性インキ受容層を設けたカードを使用して、前記染料受容層に昇華型熱転写シートから染料の熱転写による画像1を形成し、前記白色化された熱溶融性インキ受容層に熱溶融転写シートから熱溶融性インキを転写して画像2を形成するもので、前記の画像1及び画像2の形成を、同一の熱転写プリンターで行なうことを特徴とする。
【0011】
上記のカードの形成方法によれば、熱転写記録の工程だけが必要で、ホログラム画像形成のためのラミネート及び基材剥離の工程が必要なく、手間がかからなく、また工程が増えないので、製造コストが高くなることがない。またホログラム画像形成のための剥離する基材シートの廃棄処分の問題もなく、非常に効率的なものとなる。さらに、染料の熱転写画像1と、熱溶融性インキの熱転写画像2とが、2台の熱転写プリンターを用いることなく、同一の熱転写プリンターで形成できるので、効率的である。
【発明の効果】
【0012】
本発明のカード及びその形成方法によれば、カードを形成する上で、ホログラム画像形成のためのラミネート及び基材剥離の工程が必要なく、手間がかからなく、また製造コストが高くなることなく、また剥離する基材シートの廃棄処分の問題もない。さらに、ホログラム画像の上に記録したバーコードやQRコード(登録商標)の機械読取の精度が高く、意匠性、装飾性及び偽造防止性の高いホログラム画像を有するカードが安定して得られる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明のカードの一つの実施形態を示す概略の断面図である。
【図2】本発明のカードの他の実施形態を示す概略の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に、発明の実施の形態について、詳述する。
図1に本発明のカードである一つの実施形態を示す。図1の(1)に示すカード1は、熱転写の記録前のカードであり、カード基材5の一方の面に、接着層7、ホログラム効果層4、ホログラム形成層3、染料受容層2が順次設けられていて、またカード基材5の他方の面には、白色の熱溶融性インキ受容層6が形成された構成である。また図1の(2)に示すカード1は、図1の(1)に示すカード1に対して、熱転写記録後のカードを示すものである。すなわち、図1の(1)に示すカード1の染料受容層2に、図示していない昇華型熱転写シートから染料の熱転写による画像1(8)を形成し、また白色化された熱溶融性インキ受容層6に、図示していない熱溶融転写シートから熱溶融性インキを転写して画像2(9)が形成されたものである。
【0015】
また、図2は本発明のカードである他の実施形態を示し、図2の(1)に示すカード1は、熱転写の記録前のカードであり、また図2の(2)に示すカード1は、図2の(1)に示すカード1に対して、熱転写記録後のカードを示すものである。図2の(1)に示すカード1は、カード基材5の一方の面に、接着層7、ホログラム効果層4、ホログラム形成層3、染料受容層2が順次設けられた領域と、該領域と重ならない位置のカード基材上に、白色化された熱溶融性インキ受容層6を設けた構成である。また図2の(2)に示すカード1は、図2の(1)に示すカード1の染料受容層2に、図示していない昇華型熱転写シートから染料の熱転写による画像1(8)を形成し、また白色化された熱溶融性インキ受容層6に、図示していない熱溶融転写シートから熱溶融性インキを転写して画像2(9)が形成されたものである。
【0016】
図1及び図2には示さなかったが、カード基材の少なくとも一方の面に、予めグラビア印刷やオフセット印刷等で、絵柄、説明文などの固定情報を予め印刷しておくことができ、カードの利用価値をさらに高めることが可能である。
【0017】
以下、本発明のカードを構成する各要素及び各層について、詳細に説明する。
(カード基材)
本発明で使用するカード基材5は、例えば、紙やプラスチック( ポリエチレンテレフタレート(PET)、塩化ビニル樹脂、)、植物を原料として用いた植物由来フィルム等で構成できる。上記のプラスチックは、透明タイプだけでなく、白色タイプでも使用できる。カード基材は、通常厚み約50〜500μm程度のものが使用される。
【0018】
(ホログラム層)
本発明では、ホログラム効果層、ホログラム形成層をこの順に積層したものをホログラム層10とする。カード基材上に、ホログラム層を設けるには、基材フィルム上に、ホログラム形成層、ホログラム効果層、接着層を順に設けたホログラム転写箔を使用して、カード基材と、ホログラム転写箔の接着層とが接するように、加熱及び加圧して、カード基材上に接着層、ホログラム層を転写して、基材フィルムを剥離する。なお、基材フィルムとホログラム層との間に、アクリル樹脂などに離型剤を加えて、剥離層を設け、基材フィルムとホログラム層との離型性を高めることができる。
【0019】
(基材フィルム)
ホログラム転写箔の基材フィルムは、通常厚み約12〜100μm程度の透明または不透明のポリエチレンテレフタレートフィルム、またはポリエチレンナフタレートフィルムが用いられる。
【0020】
(ホログラム形成層)
ホログラム形成層3は、好ましくは紫外線硬化性または電子線硬化性樹脂から厚み(乾燥状態)約1〜10μm程度に形成し、ホログラムの凹凸形状(回折格子)を有する原版を用いて、エンボスなどで、表面凹凸を有するホログラム画像を表面に形成し、その後に紫外線または電子線を照射して、完全硬化させる。
【0021】
(エンボス)
本発明のカードにおいて、上記に説明したホログラム形成層の表面に、エンボス加工が施されて、微細な凹凸であるレリーフ形状を有するホログラム画像が形成される。そのレリーフ形状を賦形する方法は、回折格子や干渉縞が凹凸の形で記録された原版をプレス型(スタンパという)として用い、カード上のホログラム形成層に、前記原版を重ねて加熱ロールなどの適宜手段により、両者を加熱圧着することにより、原版の凹凸模様を複製することができる。形成するホログラムパターンは単独でも、複数でもよい。
【0022】
上記の極めて微細な形状を精密に再現するために、また、複製後の熱収縮などの歪みや変形を最小とするため、原版は金属を使用し、低温・高圧下で複製を行う。原版は、Niなどの硬度の高い金属を用いる。光学的撮影もしくは、電子線描画などにより形成したガラスマスターなどの表面にCr、Ni薄膜を真空蒸着法、スパッタリングなどにより5〜50nm形成後、Niなどを電着法(電気めっき、無電解めっき、さらには複合めっきなど)により50〜1000μm形成した後、金属を剥離することで作ることができる。高圧回転式の複製に用いるためには、このNi層の厚み精度を高くする必要があり、通常±10μm、好ましくは、±1μmとする。このため、裏面の研磨や、平坦化方法を用いてもよい。
【0023】
複製方式は、高圧とするため、平板式でなく、回転式を用い、線圧0.1トン/m〜10トン/m、好ましくは、5トン/m以上とする。複製用シリンダーは、その直径が小さいと、レリーフの再現性が低下するため、複製シリンダー直径は大きい方が好ましく、通常、直径0.1m〜2.0m、好ましくは、1.0m以上の弧を使用する。基材フィルム上のホログラム形成層を、この複製用シリンダーに沿って押し当て、裏面より金属製シリンダーにより上記圧力にて複製を実施する。複製後の熱収縮などの歪みや変形を最小限とするためには、基材フィルム全体を加熱するのではなく、基材フィルムの表面側の一部のみを加熱する方法が望ましい。通常60℃〜110℃に加熱する。さらには、裏面の金属製シリンダーを常温に保つ、もしくは冷却することで、さらにその精度を向上させることができる。
【0024】
上記のレリーフ形状は、ホログラムを再現もしくは再生する光もしくは光源の波長(域)と、再現もしくは再生する方向、及び強度によって、その凹凸のピッチや、深さ、もしくは特定の周期的形状が設計される。凹凸のピッチ(周期)は再現もしくは再生角度に依存するが、通常0.1μm〜数μmであり、凹凸の深さは、再現もしくは再生強度に大きな影響を与える要素であるが、通常0.1μm〜1μmである。
【0025】
(ホログラム効果層)
ホログラム効果層4は、アルミニウムの蒸着(反射型ホログラム)、金属酸化物のスパッタリング(透明型ホログラム)などにより厚み約100〜2,000Å程度に形成する。なお、透明型のホログラム効果層の下に、ホログラム画像のバックグラウンドとなる色印刷が施されていてもよい。該ホログラム効果層の表面にはホログラム効果層の保護およびホログラム効果層と接着層との密着性を確保するためにアンカー層を形成することが好ましい。ホログラム効果層として、アルミニウム蒸着層を適用することが好ましく、そのアルミニウム蒸着層による反射により、ホログラム画像が、目立ってきて、意匠性、装飾性により優れたものとなるからである。
【0026】
(アンカー層)
アンカー層は、例えば、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレートなどの紫外線硬化型樹脂や、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体などの主としてオフセット印刷インキに対して良好な密着性を有する樹脂から構成することが好ましい。その厚みは、乾燥時で1〜4μm程度に形成する。尚、上記説明では、アンカー層に情報を付加する手段として、オフセット印刷であるが、それに限らず、活版印刷、グラビア印刷、シルクスクリーン印刷等を行なって、複数枚のカードで共通した情報である、会社名、有効期限や説明文、地紋やロゴマークなどの絵柄などの固定情報を印刷形成できる。
【0027】
(接着層)
上記の基材フィルムの上に設けたホログラム効果層と、カード基材とを積層させるための接着層7は、接着剤を主体として構成される。その接着剤としては、接着機能を有するものであれば、特に制限はなく、例えば、ウレタン系樹脂、α−オレフィン−無水マレイン酸樹脂等のポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ウリア系樹脂、メラミン系樹脂、フェノール系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、シアノアクリレート系樹脂等が使用できる。中でもアクリル系樹脂の反応型のものや、変成したもの等が好ましく使用することができる。また、接着剤を硬化剤により硬化させると、接着力も向上し、耐熱性も上がるために好ましい。硬化剤としては、イソシアネート化合物が一般的であるが、脂肪族アミン、環状脂肪族アミン、芳香族アミン、酸無水物等を使用することができる。
【0028】
本発明のカードは、ホログラム形成層、ホログラム効果層を、この順に形成した基材フィルムと、カード基材とを接着層により、接着し、その後に基材フィルムをカード基材から剥離する。接着層は乾燥時1〜10μm程度の厚みに形成する。
【0029】
(染料受容層)
本発明のカードは、ホログラム形成層の上に、染料受容層2を設けた構成である。この染料受容層は、色材である染料を染着し易い樹脂を主成分とするワニスに、必要に応じて離型剤等の各種添加剤を加えて構成する。染着し易い樹脂は、例えば、ポリエステル樹脂、塩化ビニル樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−塩化ビニル共重合体等であり、上記に挙げた染料染着性樹脂の溶液に適当な添加剤、例えば、画像形成時において熱転写シートとの融着を防止するシリコーン系樹脂等の離型剤等を添加した溶液を塗布及び乾燥することにより、乾燥時の厚さ1〜20μm程度で形成する。
【0030】
(白色の熱溶融性インキ受容層)
本発明のカードは、カード基材のホログラム層の設けている面と反対面、カード基材のホログラム層と重ならない位置の少なくとも一方に、白色化された熱溶融性インキ受容層6を設ける。その受容層6は、通常ヒートシール剤などの如く接着性に優れた熱可塑性樹脂、例えば、ポリエステル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アクリル樹脂など、あるいはこれらの混合物を用いて、白色顔料を添加し、白色の熱溶融性インキ受容層を形成する。
【0031】
上記の白色顔料としては、硫酸バリウム、アルミナホワイト、酸化チタン、酸化亜鉛等が挙げられる。このうち好ましいものとして酸化チタンが好ましく、アナターゼ型酸化チタン、又はルチル型酸化チタンなどが利用できる。また白色の熱溶融性インキ受容層の隠蔽性の向上のために、体質顔料を添加することもできる。体質顔料としては、カオリンクレー、シリカ、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム等が挙げられる。このような直接印刷で用いる白色の熱溶融性インキ受容層インキのPV比(インキにおける顔料の体積分率)は1〜10%程度が好ましい。白色の熱溶融性インキ受容層は、乾燥時の厚み約2〜50μmに設けることが好ましい。形成される受容層6は場合によっては、ポリイソシアネートなどの架橋剤を添加して形成することで、その硬度を向上させることができる。
【0032】
(カードの形成方法)
本発明のカードの形成方法は、カード基材の一方の面に、ホログラム形成層、ホログラム効果層をこの順に設けたホログラム層、染料受容層を順に設けたカードを用意し、前記カード基材の他方の面と、前記カード基材のホログラム層と重ならない位置の少なくとも一方に、白色化された熱溶融性インキ受容層を設けたカードを使用して、前記染料受容層に昇華型熱転写シートから染料の熱転写による画像1を形成し、前記白色化された熱溶融性インキ受容層に熱溶融転写シートから熱溶融性インキを転写して画像2を形成するもので、前記の画像1及び画像2の形成を、同一の熱転写プリンターで行なうものである。
【0033】
上記の画像1及び画像2の形成を、同一の熱転写プリンターで行なう際、図2に示した形態のカードでは、共通した基材フィルムに昇華性の染料を含有する染料層と、熱溶融性インキ層を面順次に、繰り返し設けた熱転写シートを用いて、熱転写プリンターに1回通すことで、画像1及び画像2を形成できる。また、図1に示した形態のカードでは、熱転写プリンターが両面印字可能な設計であれば、その熱転写プリンターに1回通すことで、画像1及び画像2を形成できる。但し、使用する熱転写プリンターが片面印字のものであれば、同一の熱転写プリンターで2回通して、画像1及び画像2を形成できる。
【実施例】
【0034】
次に実施例を挙げて、本発明を更に具体的に説明する。以下、特に断りのない限り、部又は%は質量基準である。
(実施例1)
厚さ25μmの透明ポリエチレンテレフタレートフィルム(PET、東レ(株)製、ルミラーT60)の基材フィルムの一方の面に、ポリメチルメタクリレート系樹脂を8部、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体を2部、およびポリエチレンワックスを0.1部に対して、溶剤を加えて、溶解ないし分散させた塗工液を用いて、グラビアリバース法で、乾燥時の厚さが1.5μmになるように、塗布および乾燥して剥離層を形成した。
【0035】
上記の剥離層の上に、アクリル系架橋性紫外線硬化性樹脂であるインクテック(株)製MHX405を100部に対し、メチルイソブチルケトンを12部、メチルエチルケトンを20部で溶解ないし分散させた塗工液を用いて、グラビアリバース法で、乾燥時の厚さが2.0μmになるように、塗布および乾燥してホログラム形成層3を形成した。但し、乾燥温度は、100℃である。そのホログラム形成層の表面にホログラムの凹凸形状(回折格子)を、ホログラム原版を用いて形成し、その後に紫外線照射して、完全硬化させた。次にホログラム形成層の表面にコロナ処理を行った後、アルミニウムを35nm(350Å)の厚みに真空蒸着法により、蒸着して、反射型ホログラム効果層4を形成して、ホログラム転写箔を用意した。
【0036】
厚さ250μmのポリエチレンテレフタレートフィルムのカード基材5に、下記組成の接着層塗工液をグラビアリバース法で、乾燥時厚みで6μmになるように、塗布及び乾燥して、接着層7を形成した。但し、カード基材には、イエロー、マゼンタ、シアン、墨の4色の周知の紫外線硬化性オフセット印刷インキで常法に従って、地紋の印刷を行なっておいた。よって、カード基材/地紋印刷/接着層の構成である。
(接着層塗工液)
タケラックA511(ポリオール、武田薬品工業(株)製) 100部
タケネートA−50(ポリイソシアネート、武田薬品工業(株)製) 10部
酢酸エチル 70部
【0037】
上記の接着層が形成されたカード基材と、上記のホログラム転写箔とを、ホログラム効果層とカード基材の接着層とが接するように、ラミネート方式で、貼り合わせ、その後に基材フィルムを剥がした。
【0038】
また、上記の貼合物のホログラム形成層の上に、下記組成の染料受容層用塗工液をグラビアリバース法で、乾燥時厚みで3μmになるように、塗布及び乾燥して、染料受容層2を形成した。
(染料受容層用塗工液)
塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体(VYHD、UCC製) 100部
エポキシ変性シリコーン(KF−393、信越化学工業(株)製) 8部
アミノ変性シリコーン(X−22−343、信越化学工業(株)製) 8部
メチルエチルケトン/トルエン(質量比1/1) 400部
【0039】
さらに、上記の貼合物のカード基材5のホログラム層10の形成されている面と、反対面に、下記組成の白色の熱溶融性インキ受容層用塗工液をグラビアリバース法で、乾燥時厚みで5μmになるように、塗布及び乾燥して、白色の熱溶融性インキ受容層6を形成して、図1の(1)に示すような実施例1のカードを作製した。
(白色の熱溶融性インキ受容層用塗工液)
ポリエステル樹脂/塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体の混合ワニス(60%MEK/トルエン=1/1(質量比)) 300部
酸化チタン(トーケムプロダクツ製、TCA888) 40部
キシリデンジイソシアネート硬化剤(25%酢酸エチル含有) 15部
ポリエチレンワックス分散液(70%トルエン含有) 7部
MEK/トルエン(質量比1/1混合溶剤) 100部
【0040】
(実施例2)
実施例1と同様に、地紋印刷が予め施された厚さ250μmのポリエチレンテレフタレートフィルムのカード基材5(地紋印刷面)に、実施例1の場合と同様に、接着層7を介して、ホログラム効果層4、ホログラム形成層4、染料受容層2が順次設けられた領域を、図2の(1)に示す配置のように形成した。前記の領域と重ならない位置のカード基材上に、白色化された熱溶融性インキ受容層6を実施例1で使用した塗工液で、乾燥時厚みで5μmになるように、白色の熱溶融性インキ受容層6を形成して、図2の(1)に示すような実施例2のカードを作製した。
【0041】
上記実施例1、2の各カードに対して、染料受容層2に、市販された昇華型熱転写シートから染料の熱転写による可変情報である階調画像1を、図1(2)および図2(2)に示す配置で、サーマルヘッドを有する熱転写プリンターで形成した。また、実施例1、2の各カードに対して、白色の熱溶融性インキ受容層6に、市販された熱溶融転写型の熱転写シートを用いて、上記で使用した同じ熱転写プリンターでサーマルヘッドによる加熱で、図1(2)および図2(2)に示す配置で、可変情報であるバーコードの画像2を形成した。得られた実施例1、2のカードは、記録したバーコードは、白色化された熱溶融性インキ受容層上に記録されるので、機械読取の精度が高く、読取不良が生じなかった。また、ホログラム画像と、可変情報である染料の熱転写画像1及び熱溶融性インキの熱転写画像2を有し、さらに固定情報の地紋印刷が施され、意匠性、装飾性及び偽造防止性の非常に高いカードが得られた。
【0042】
また、上記の実施例1、2のカードの形成する方法によれば、熱転写記録の工程だけが必要で、ホログラム画像形成のためのラミネート及び基材剥離の工程が必要なく、手間がかからなく、また工程が増えないので、製造コストが高くなることがなかった。またホログラム画像形成のための剥離する基材シートの廃棄処分の問題もなく、非常に効率的なものであった。さらに、染料の熱転写画像1と、熱溶融性インキの熱転写画像2とが、2台の熱転写プリンターを用いることなく、同一の熱転写プリンターで形成できるので、効率的であった。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明のカードは、カードを構成する要素に、用途に応じた部材を追加する、また、そのカードの種類に応じた固定情報、可変情報を付加する等をして、定期券、磁気カード、IDカード、会員カード、キャッシュカード、クレジットカード、またプリペイドカード全般等に、広く適用できるものである。
【符号の説明】
【0044】
1 カード
2 染料受容層
3 ホログラム形成層
4 ホログラム効果層
5 カード基材
6 白色の熱溶融性インキ受容層
7 接着層
8 染料の熱転写画像1
9 熱転写画像2
10 ホログラム層


【特許請求の範囲】
【請求項1】
カード基材の一方の面に、ホログラム形成層、ホログラム効果層をこの順に設けたホログラム層、染料受容層を順に設けたカードにおいて、前記カード基材の他方の面と、前記カード基材のホログラム層と重ならない位置の少なくとも一方に、白色化された熱溶融性インキ受容層を設けたことを特徴とするカード。
【請求項2】
前記のカード基材の少なくとも一方の面に、予め絵柄印刷が施されていることを特徴とする請求項1に記載するカード。
【請求項3】
カード基材の一方の面に、ホログラム形成層、ホログラム効果層をこの順に設けたホログラム層、染料受容層を順に設けたカードを用意し、前記カード基材の他方の面と、前記カード基材のホログラム層と重ならない位置の少なくとも一方に、白色化された熱溶融性インキ受容層を設けたカードを使用して、前記染料受容層に昇華型熱転写シートから染料の熱転写による画像1を形成し、前記白色化された熱溶融性インキ受容層に熱溶融転写シートから熱溶融性インキを転写して画像2を形成するカードの形成方法において、前記の画像1及び画像2の形成を、同一の熱転写プリンターで行なうことを特徴とするカードの形成方法。


【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−240542(P2011−240542A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−113089(P2010−113089)
【出願日】平成22年5月17日(2010.5.17)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】