説明

カード型周辺装置

【課題】煩雑な手間をとらせることなくインターフェースを切り替えることが可能なカード型周辺装置を提供する。
【解決手段】接続対象機器と接続するためのコネクタであって、使用するインターフェースを設定する専用端子113を含むコネクタ11と、設定されるインターフェースを通してアクセスされるストレージデバイス(電子部品)17と、複数の仕様に対応したインターフェースをそれぞれ制御する複数のインターフェース機能部としてのブロック13,15と、専用端子113の設定に応じた仕様のインターフェース機能部によるストレージデバイス17との通信を行う共通ブロック(通信機能部)とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メモリカード等のカード型周辺装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来からパーソナルコンピュータなどのカードスロットに装着されるPCカードと称されるカード型周辺装置が用いられている。
近年、パーソナルコンピュータの小型化および高速化に伴い、前記PCカードよりも外形寸法が小さく、かつ、データの転送速度が高速なカード型周辺装置としてExpress Card(旧称NEWCARD)が提案されている(たとえば非特許文献1参照)。
【0003】
ExpressCardは、従来のPCIバスに代わるI/Oバス規格であるPCI Expressをインターフェースとして用いるカードであり、従来のPCカード(PCMCIA)の置き換えを目指しているものである。
従来のカードと比較して、インターフェースの大幅な高速化が図られている。
このことからこのカードに不揮発性メモリを搭載して、メモリカードとして用いた場合には、従来よりも高速で記録・再生が可能となる。
【0004】
このような使い勝手の良さからデジタルカメラや携帯電話、PDA(Personal Digital Assistants)や音楽プレーヤ等に幅広く使用可能であると考えられる。
【0005】
このExpressCardは、PCI ExpressとUSBを外部インターフェースに持つリムーバブルメモリカードとしての機能を持つ。
ExpressCard仕様では、そのカードに載せるアプリケーションには規定がなく、対象とするアプリケーションをPCI Expressインターフェースを用いて実現しても、USBインターフェースで実現しても良い。さらには両インターフェースを用いて実現しても良い。
【非特許文献1】日経エレクトロニクス2003年6月9日号pp.67−76.「PCカードを小型・高速に新規格「NEWCARD」がパソコンの進化を後押し」
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、ExpressCardを用いたアプリケーションの中で、PCI ExpressインターフェースでもUSBインターフェースでも実現できるアプリケーションとして、ストレージ・メモリがある。
【0007】
高速性が求められるシステムではPCI Expressインターフェースで実現したカードが使用される。
低速であるが旧式システム(たとえば、旧式PC)にも接続性を求めるケースでは、USBインターフェースで実現したカードがUSBケーブルアダプタを介すなどして使用される。
ここで、この両者の優位性を求める場合、両インターフェースを持つカードが考えられるが、2つのインターフェースを切り替える手段が必要とされる。
【0008】
切り替え手段がない場合、ホスト機器には共通のストレージ領域が2つのインターフェースから見えうる。この場合、ホスト機器はカードの中でストレージ領域を共有化していることを認識していないため、2つの別のカードが挿入されたものとして扱う。
したがって、PCI Expressインターフェースに対してもUSBインターフェースに対しても独立したアクセスを行い、結果として一方が他方のデータを破壊するような問題に遭遇する場合がありうる。
【0009】
切り替え手段としては、ExpressCard仕様で規定されているコネクタ端子には、カードが持つインターフェースをホスト機器に通知する端子(CPPE#、CPUSB#)は存在するが、インターフェースを切り替える専用端子がない。
切り替えを行う一つの方法として、カードの筐体に専用のメカニカルスイッチを設け、ユーザーが用途に応じてスイッチを切り替えるという方法がある。
しかしながら、この方法はユーザーにスイッチの切り替えを強い、煩雑な手間をとらせるという不利益がある。
【0010】
本発明は、煩雑な手間をとらせることなくインターフェースを切り替えることが可能なカード型周辺装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の観点は、複数の仕様を外部インターフェースに持つカード型周辺装置であって、接続対象機器と接続するためのコネクタであって、使用するインターフェースを設定する専用端子を含むコネクタと、設定されるインターフェースを通してアクセスされる電子部品と、上記複数の仕様に対応したインターフェースをそれぞれ制御する複数のインターフェース機能部と、上記専用端子の設定に応じた仕様のインターフェース機能部を含む上記電子部品との通信を行う通信機能部とを有する。
【0012】
好適には、上記接続対象機器側で上記専用端子のレベルが仕様に応じて設定される。
【0013】
好適には、上記専用端子の設定に応じた仕様のインターフェース機能部が有効となり、設定に対応していない仕様のインターフェースは無効となる。
【0014】
好適には、上記通信機能部は、上記専用端子の設定によりいずれの仕様のインターフェースの制御が有効であるかを認識し、有効と認識した上記インターフェース機能部を含む通信を行う。
【0015】
好適には、上記各インターフェース機能部は、コネクタ端子と伝送路で接続され、上記専用端子の設定レベルを受けて有効または無効を判断するためのイネーブル端子を含むアナログ回路と、クロックに同期して動作し、上記通信機能部とのデータの送受が可能なロジック回路と、を含み、上記専用端子の設定に対応して上記インターフェース機能部は、上記アナログ回路が無効となり、上記ロジック回路は上記クロックの供給が停止される。
【0016】
好適には、上記接続対象機器は、アダプタであって、当該アダプタの接続先機器の仕様に応じて上記専用端子の設定レベルを切り替え可能なスイッチを有する。
【0017】
好適には、上記コネクタは、報知すべき条件を接続対象機器に要求可能な出力端子を含む。
【0018】
好適には、上記接続対象機器は、上記出力端子からの要求に応じて報知する報知部を含む。
【0019】
好適には、上記電子部品には不揮発性メモリを含み、インターフェースを介してデータの記録再生が可能であるメモリカードとして機能を有する。
【0020】
好適には、上記複数の仕様には、PCI ExpressおよびUSBを含む。
【0021】
本発明によれば、たとえば接続対象機器側で設定される専用端子の設定に応じた仕様のインターフェース機能部が有効となり、通信機能部は有効となったインターフェース機能部による電子部品との通信を行う。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、ユーザーにスイッチを切り替えさせるという煩雑な手間をとらせることなく、インターフェースを切り替えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態を図面に関連付けて説明する。
【0024】
図1は、本発明の実施形態に係るカード型周辺装置の構成例を示す機能ブロック図である。
また、図2は、図1のカード型周辺装置の接続対象機器の一つであるホスト機器の構成例を示す機能ブロック図である。
【0025】
まず、実施形態に係るカード型周辺装置10の特徴的な構成および機能の概要について説明する。その後、図1のカード型周辺装置の接続対象機器の例として、ホスト機器、USBアダプタ、ExpressCardアダプタの構成例について説明する。
【0026】
本実施形態に係るカード型周辺装置10は、インターフェースとして、PCI ExpressまたはUSBを直接用いるPCカード媒体であって、内部に不揮発性メモリを備え、インターフェースを介してデータの記録・再生を行うメモリカードとしての機能をもつことができる。
カード型周辺装置10は、ビデオカメラやデジタルスチルカメラ等のホスト機器20の高性能モバイル機器用リムーバブルメディアに対して、小型、高密度メモリ・モジュールとしても使用するために、機能、ピン数などの互換性を維持してメモリカードとして構成される。
【0027】
本カード型周辺装置であるメモリカード10は、図1に示すように、コネクタ11、PCI Expressインターフェース用の伝送路12、第1のインターフェース機能部としてのPCI Expressブロック13、USBインターフェース用の伝送路14、第2のインターフェース機能部としてのUSBブロック15、通信機能部としての共通ブロック16、ストレージデバイス17、およびインバータ18を有する。
【0028】
以下に、本メモリカード10の機能ブロックについて図1に関連付けて説明する。
【0029】
最初に、メモリカード10のコネクタ11について説明する。
コネクタ11はメモリカード10専用のコネクタである。コネクタ11は、PCI Expressインターフェース用の端子111、USBインターフェース用の端子112を有する。
また、両インターフェースを切り替えるための専用端子であるIFSEL入力端子(インターフェース選択用端子)113を有する。
なお、コネクタ11には、本説明では言及しないが、上記の端子の他に、電源端子、GND端子、ホスト機器がカード検出に用いる端子がある。
【0030】
次に、メモリカード10内部のブロック構成、機能と各ブロック間の接続について説明する。
【0031】
PCI Expressブロック13は、PCI Expressインターフェースを制御する機能ブロックである。
PCI Expressブロック13は、コネクタ11の端子111と伝送路12を介して接続される。
【0032】
USBブロック15は、USBインターフェースを制御する機能ブロックである。
USBブロック15は、コネクタ11の端子112と伝送路14を介して接続される。
【0033】
共通ブロック16は、PCI Expressブロック13やUSBブロック15とのデータ転送を制御しながらストレージデバイス17への読み書きを制御する機能ブロックである。
共通ブロック16は、CPU、ソフトウェア格納用メモリ、ワーキングメモリ、データバッファ、専用ハードウェアにより構成される。
【0034】
ストレージデバイス17は、メモリカードのメモリ(記録領域)として機能する、データを書き換え可能に保持するメモリ領域である。ストレージデバイス17は、不揮発性メモリ、たとえばNAND型フラッシュメモリにより構成される。
【0035】
次に、PCI ExpressインターフェースとUSBインターフェースの切り替え機能について説明する。
【0036】
コネクタ11のIFSEL入力端子113は、インバータ18を介してPCI Expressブロック13の入力ピンEN(イネーブル)に接続される。
コネクタ11のIFSEL入力端子113の信号レベルは、インバータ18を用いて論理的に反転されてPCI Expressブロック13の入力端子(ピン)EN(イネーブル)に供給される。
PCI Expressブロック13は、入力ピンENに、たとえば論理1の信号が入力されると有効となる。
【0037】
また、コネクタ11のIFSEL入力端子113は、USBブロック15の入力ピンEN(イネーブル)に直接接続される。同様に、IFSEL入力端子113は、共通ブロック16にも直接接続される。
コネクタ11のIFSEL入力端子113の信号レベルは、USBブロック15の入力ピンEN(イネーブル)に直接供給される。USBブロック15は、入力ピンENに、たとえば論理1の信号が入力されると有効となる。
【0038】
このように、PCI Expressブロック13とUSBブロック15は、コネクタ11のIFSEL入力端子113の信号レベルに応じて、いずれか一方が有効となるように制御される。
【0039】
IFSEL端子113は、メモリカード10の接続対象機器であるホスト機器、もしくは、各種アダプタ上で電源電位(論理1に相当するレベル)もしくは接地電位GND(論理0に相当するレベル)にクランプされる。
【0040】
IFSEL端子113が接地電位GNDにクランプされた場合は、PCI Expressブロック13の入力ピンENが論理的に1となり、PCI Expressインターフェースの制御が有効になる。
一方、USBブロック15の入力ピンENは論理的に0となるため、USBインターフェースの制御は無効になる。
共通ブロック16は、IFSEL端子113のレベルが論理値0にあることからPCI Expressインターフェースの制御が有効であると認識し、ストレージデバイス17とのデータ転送をPCI Expressブロック13に対して行う。
【0041】
IFSEL端子113が電源電位にクランプされた場合は、PCI Expressブロック13の入力ピンENが論理的に0となり、PCI Expressインターフェースの制御が無効になる。
一方、USBブロック15の入力ピンENは論理的に1となるため、USBインターフェースの制御は有効になる。
共通ブロック16は、IFSEL端子113のレベルが論理値1にあることからUSBインターフェースの制御が有効であると認識し、ストレージデバイス17とのデータ転送をUSBブロック15に対して行う。
【0042】
ここで、インバータ18であるが、PCI Expressブロック13側でなく、USBブロック15の入力ピンEN(イネーブル)側に接続しても良い。
この場合、IFSEL端子のレベルとインターフェース有効、無効の関係は上記説明と逆になる。
【0043】
次に、本メモリカードの接続対象機器であるホスト機器の機能ブロックについて図2に関連付けて説明する。接続されるメモリカード10の内部の構成は上記図1と同様であるとする。
【0044】
本実施形態では、ホスト機器20は、たとえば被写体像を撮像して画像データを生成するカメラ装置である。メモリカード10は、その画像データを記憶する媒体として機能する。
【0045】
ホスト機器20は、図2に示すように、コネクタ21、PCI Expressインターフェース用の伝送路22、USBインターフェース用の伝送路23、カード制御部24、上位レイヤー25、およびメモリ26を有する。
【0046】
以下に、本ホスト機器20の機能ブロックについて図2に関連付けて説明する。
【0047】
最初に、ホスト機器20のコネクタ21について説明する。
コネクタ21は、図1のメモリカード10のコネクタ11と物理的に接続可能なコネクタである。端子配置もコネクタ11の端子配置と一対一で接続される並びであるためコネクタ11とコネクタ21を接続させることで両機器間の通信が可能になる。
すなわち、コネクタ21は、PCI Expressインターフェース用の端子211、USBインターフェース用の端子212を有する。ホスト機器20では、USBインターフェースは、未使用であるため、端子212は接地電位GNDに接続することが望ましい。
また、両インターフェースを切り替えるための専用の信号IFSELを送信するための端子213を有する。端子213は接地電位GNDに接続されている。
【0048】
次に、ホスト機器20内部のブロック構成と各ブロック間の接続について説明する。
カード制御部24は、伝送路22を介してコネクタ21と接続されるPCI Expressインターフェースをもつ、メモリカード10専用の制御ブロックである。
カード制御部24は、PCI Expressインターフェースの制御のみならず、カード検出、カードへの電源投入も行う。
【0049】
上位レイヤー25は、画像データを生成するためのハードウェア、それらハードウェアを制御するソフトウェア(アプリケーション)などで構成されている。
【0050】
メモリ26は、種々のデータを格納するメモリであり、前記ソフトウェアを格納するメモリ、ワーキングメモリ、実データを格納するメモリなどを含んで構成されている。
【0051】
次に、コネクタ21の端子の状態に対応するホスト機器20の内部での処理について説明する。
【0052】
前述したように、IFSEL端子213をホスト機器側で接地電位GNDもしくは電源電位にクランプすることで、インターフェースの切り替えを行う。
本実施形態では、PCI Expressインターフェースを用いるため、IFSEL端子213は接地電位GNDにクランプしている。本ホスト機器20は、前述したように、USBインターフェースは、未使用であるため、GNDにクランプすることが望ましい。
【0053】
なお、UBSインターフェースを用いるホスト機器の場合は、カード制御部24にUSBインターフェース機能を設け、伝送路22を介してコネクタ21と接続させればよい。このホスト機器では、IFSEL端子213は電源電位にクランプし、PCI Expressインターフェースのホスト機器出力信号は接地電位GNDに、入力信号はオープン(Open)にすることが望ましい。
【0054】
以上、本実施形態に係るカード型周辺装置としてのメモリカード10と、メモリカード10の接続対象機器の一つであるホスト機器の構成および機能について説明した。
以下に、本メモリカード10の各種アダプタについて順に説明する。接続されるメモリカード10の内部の構成は上記図1と同様であるとする。
【0055】
図3は、USBケーブルアダプタにメモリカードを挿入した状態を示す図である。また、図4は、PCI ExpressベースのExpressCardアダプタにメモリカードを挿入した状態を示す図である。
【0056】
USBアダプタ30は、内部にコネクタ31が形成され、外部にUSBケーブル32が接続される。USBアダプタ30のカード収納部33にスロット34を通してメモリカード10が挿入され、コネクタ31に対してメモリカード10のコネクタ11が接続される。
コネクタ31は、PCI Expressインターフェース用の端子311、USBインターフェース用の端子312を有する。
また、両インターフェースを切り替えるための専用の信号IFSEL用の端子313を有する。
【0057】
USBアダプタ30は、内部でコネクタ31とUSBケーブル32間でUSBインターフェースが直結されている。電源もUSBケーブル32から供給される。
ただし、必要に応じてUSBケーブル32、コネクタ31間にレギュレータを入れるなどして電圧をメモリカード側の仕様にあわせる必要がある。
IFSEL端子313は抵抗素子R30を介して電源にクランプするが、このクランプする電源もレギュレータ出力の電圧のものである必要がある。PCI Expressインターフェースには前述の未使用の処理を施す。
【0058】
なお、PCI Expressインターフェースを用いるケーブルアダプタの場合は、コネクタ31とPCI Expressケーブル間でPCI Expressインターフェースが直結されている。電源もPCI Expressケーブルにより接続されるが、必要に応じて電源電圧をメモリカード側の仕様にあわせる必要がある。
また、IFSEL端子は接地電位GNDにクランプし、USBインターフェースに上記同様の未使用の処理を施す。
【0059】
ExpressCardアダプタ40は、内部にコネクタ41が形成され、一端部にExpressCardコネクタ42が形成されている。ExpressCardアダプタ40のカード収納部43にスロット44を通してメモリカード10が挿入され、コネクタ41に対してメモリカード10のコネクタ11が接続される。
コネクタ41は、PCI Expressインターフェース用の端子411、USBインターフェース用の端子412を有する。
また、両インターフェースを切り替えるための専用の信号IFSEL用の端子413を有する。
ExpressCardコネクタ42は、PCI Expressインターフェース用の端子421、およびCPPE#端子422を有する。
【0060】
ExpressCardアダプタ40は、内部でコネクタ41とExpressCardコネクタ42でPCI Expressインターフェースが直結され、ExpressCardコネクタ42のCPPE#端子が接地電位GNDにクランプされている。
電源もExpressCardコネクタ42から供給される。IFSEL端子413は接地電位GNDにクランプされている。USBインターフェースには前述の未使用の処理を施す。
なお、USBベースのExpressCardアダプタの場合は、コネクタ41とExpressCardコネクタ42間でUSBインターフェースが直結され、ExpressCardコネクタ42のCPUSB#端子がGNDにクランプされる。
電源もExpressCardコネクタ42から供給される。また、IFSEL端子は電源にクランプされ、PCI Expressインターフェースに上記同様の未使用の処理を施す。
本実施形態では、ExpressCardアダプタ40上でCPPE#、CPUSB#をGNDにクランプしたが、メモリカードにも専用のカード検出端子が存在するため、これをCPPE#、CPUSB#に直結しても良い。
【0061】
ExpressCardアダプタ40の場合、PCI Express用、USB用とアダプタを分ける必要がなく、アダプタを共有し、アダプタ筐体に専用のメカニカルスイッチを設けインターフェースを切り替える実施方法も適用可能ある。
【0062】
図5は、スイッチを有するPCI ExpressベースのExpressCardアダプタにメモリカードを挿入した状態を示す図である。
【0063】
このExpressCardアダプタ50は、内部にコネクタ51が形成され、一端部にExpressCardコネクタ52が形成されている。ExpressCardアダプタ50のカード収納部53にスロット54を通してメモリカード10が挿入され、コネクタ51に対してメモリカード10のコネクタ11が接続される。
コネクタ51は、PCI Expressインターフェース用の端子511、USBインターフェース用の端子512を有する。
また、両インターフェースを切り替えるための専用の信号IFSEL用の端子513を有する。
ExpressCardコネクタ52は、PCI Expressインターフェース用の端子521、CPPE#端子522、CPUSB#端子523、およびUSBインターフェース用の端子524を有する。
【0064】
ExpressCardアダプタ50は、内部で、コネクタ51とExpressCardコネクタ52間でPCI Express、USBインターフェース共に直結される。メカニカルスイッチ53を用い、CPPE#、CPUSB#、IFSEL端子をクランプする先を切り替える。
メカニカルスイッチ53でPCI Expressインターフェースを使用する設定をした場合は、CPPE#はGND、CPUSB#はOpen、IFSEL端子513はGNDにクランプされる。
逆に、USBインターフェースを使用する設定をした場合は、CPPE#はOpen、CPUSB#はGND、IFSEL端子513は電源電位にクランプされる。なお、前述のように、メモリカードのカード検出端子をCPPE#、CPPUSB#に接続してもよい。
【0065】
ところで、ExpressCardアダプタ50の後方に報知部としてのLED(図示せず)を装備し、点灯する色を変え視覚的にユーザーに使用しているインターフェースを通知すればユーザーにとって有益である。
このLEDの点灯条件であるが、電源が本アダプタに供給されている間点灯し続ける必要はなく、むしろ、メモリカード10側の条件と組み合わせればさらに有用である。
本来、メモリカード側にLEDを装備するのが望ましいが、カードの小型化、ストレージ領域の大容量化によりその実施が困難である。
したがって、メモリカードが要求する条件で点灯するLEDをアダプタ側に装備するのが望ましい。
【0066】
その実施方法として、たとえばコネクタ11に専用のLEDON端子(出力端子)を設ける。ストレージデバイス17へのデータ転送を管理する共通ブロック16がLEDON端子を制御し、ストレージデバイス17に書き込み、ストレージデバイス17から読み出しを行っている最中はLEDONを論理1に、それ以外は論理0に設定する。
【0067】
ExpressCardアダプタ50は、メモリカード10のLEDONが論理値1でLEDを点灯、LEDONが論理値0でLEDを消灯する。
また、ExpressCardアダプタ50は、たとえば使用インターフェースに応じてLEDの色を変える。たとえば異なる色の光を出射する複数のLEDを設ける。
このLEDON端子をインターフェース通知の仕組みと組み合わせて説明したが、本来、使用インターフェース通知とは無関係の仕様である。よって、ホスト機器20にもUSBアダプタ30にもExpressCardアダプタ40にも適用できる。
【0068】
このような構成を採用することにより、ユーザーからは見えないカード内部のストレージデバイス17へのアクセス状態が把握でき、アクセス中に誤ってホスト機器からカードを抜いてしまうような事故を防ぐことができる。
【0069】
本実施形態のように、PCI ExpressインターフェースとUSBインターフェースを両方持つ場合、消費電力の増加が懸念される。これは、たとえ片方のインターフェースが未使用であっても、そのインターフェース制御を行うアナログ回路、ロジック回路が物理的に存在するため、これらの消費電力を如何に抑えるかが課題となる。
図1、図3、図4、図5では、機能概要としてPCI Expressブロック13、USBブロック15の入力ピンEN(イネーブル)で大まかに説明した。以下では、さらに詳細な実施形態について説明する。
【0070】
図6は、本実施形態に係るメモリカード内部のハードウェア構成例を示す図である。
【0071】
図6のメモリカード10Aにおいて、図1〜図5のメモリカード10と同様の構成部分は理解を容易にするために同一符号をもって表している。
すなわち、メモリカード10Aは、コネクタ11、伝送路12,14、ストレージデバイス17を有し、さらにPCI Expressブロック、USBブロック、共通ブロックを含むコントローラ60を含む。
【0072】
コントローラ60は、インターフェースとストレージデバイス17間の通信を制御する。
コントローラ60は、PCI Expressブロック61、USBブロック62、共通ブロック63、インバータ64、クロック発生器65、2入力アンド66,67を有している。
【0073】
コントローラ60のPCI Expressブロック61は、アナログ回路611とロジック回路612によりで構成される。PCI Expressインターフェースは、伝送路12を介してコネクタ11の端子111に接続される。
USBブロック62は、アナログ回路621とロジック回路622により構成される。USBインターフェースは、伝送路14を介してコネクタ11の端子112に接続される。
共通ブロック63は、PCI Expressブロック61やUSBブロック62とのデータ転送を制御しながらストレージデバイス17への読み書きを制御する機能ブロックであり、CPU、ソフトウェア格納用メモリ、ワーキングメモリ、データバッファ、専用ハードウェアで構成される。
【0074】
インバータ64の入力はコネクタ11のIFSEL入力端子113に接続され、出力はPCI Expressブロック61のアナログ回路611の入力ピンEN(イネーブル)、および2入力アンド66の一方の入力端子に接続される。
コネクタ11のIFSEL入力端子113の信号レベルは、インバータ64を用いて論理的に反転されてPCI Expressブロック61のアナログ回路611の入力端子(ピン)EN(イネーブル)および2入力アンド66に供給される。
PCI Expressブロック61は、入力ピンENに、たとえば論理1の信号が入力されると有効とる。
【0075】
また、コネクタ11のIFSEL入力端子113は、USBブロック62のアナログ回路621の入力ピンEN(イネーブル)および2入力アンド67の一方の入力端子に直接接続される。同様に、IFSEL入力端子113は、共通ブロック63にも直接接続される。
コネクタ11のIFSEL入力端子113の信号レベルは、USBブロック61のアナログ回路621の入力ピンEN(イネーブル)および2入力アンド67に直接供給される。USBブロック15は、入力ピンENに、たとえば論理1の信号が入力されると有効となる。
【0076】
このように、PCI Expressブロック61とUSBブロック62は、コネクタ11のIFSEL入力端子113の信号レベルに応じて、いずれか一方が有効となるように制御される。
【0077】
オンチップのクロック発生器65は、そのクロック出力は2入力アンド66,67の他方の入力に接続され、その出力クロックCLKによりロジック回路612,622、共通ブロック63のクロック同期回路を動作させる。
図6の例では、オンチップであるが、コントローラに外付けで実装しても良い。
【0078】
この場合、コネクタ11のIFSEL入力端子113の信号レベルが論理0レベルで、インバータ64を用いて論理的に反転されて、論理1でPCI Expressブロック61のアナログ回路611の入力端子(ピン)EN(イネーブル)および2入力アンド66に供給されると、クロックCLKがPCI Expressブロック61のロジック回路612のクロック同期回路に供給される。
一方、2入力アンド67には論理0の信号が供給されていることから、USBブロック62のロジック回路622のクロック同期回路へのクロックCLKの供給は停止される。
【0079】
コネクタ11のIFSEL入力端子113の信号レベルが論理1レベルで、インバータ64を用いて論理的に反転されて、論理0でPCI Expressブロック61のアナログ回路611の入力端子(ピン)EN(イネーブル)および2入力アンド66に供給されると、クロックCLKがPCI Expressブロック61のロジック回路612のクロック同期回路へのクロックが停止される。
一方、2入力アンド67には論理1の信号が供給されていることから、USBブロック62のロジック回路622のクロック同期回路にクロックCLKが供給される。
【0080】
次に、アナログ回路611,621、およびロジック回路612,622について説明する。
前述したように、アナログ回路611,621は入力ピンENを持つ。このピンを論理1(イネーブル)に設定した場合は、インターフェース制御を行う回路が有効になる。論理0(ディゼーブル)に設定した場合は、インターフェース制御を行う回路が無効になる。
対象とするアナログ回路が無効になることは、その回路がリーク以外の電力を消費しないことを意味する。
ロジック回路612,622はクロック同期で動作する。
よって、これらの回路の外部からクロックCLKが供給されているときに回路が有効になり、クロックCLKが供給されていないときには回路が無効になる。
対象とするロジック回路が無効になることは、その回路がリーク以外の電力を消費しないことを意味する。
【0081】
ここで、信号IFSELを用いたコントローラ60内部の制御について説明する。
接続対象のホスト機器、もしくは、各種アダプタ上で、IFSEL端子が接地電位GNDにクランプされた場合、インバータ64によりアナログ回路611のピンENが論理1になる。
また、2入力アンド66の一方の入力端子が論理1となるため、クロック発生器65の出力クロックCLKがロジック回路612に供給される。逆に、アナログ回路621のピンENは論理0になる。
また、2入力アンド67の一方の入力端子が論理0となるため、クロック発生器65の出力クロックCLKがロジック回路622に供給されない。
以上のことから、PCI Expressブロック61の動作だけが有効となり、USBブロック62の動作は無効となる。すなわち、USBブロック62はリーク以外の電力を消費しない。
【0082】
接続対象のホスト機器、もしくは、各種アダプタ上で、IFSELが電源にクランプされた場合、インバータ64によりアナログ回路611のピンENが論理0になる。
また、2入力アンド66の一方の入力端子が論理0となるため、クロック発生器65の出力クロックCLKがロジック回路612に供給されない。
一方、アナログ回路621のピンENは論理1になる。また、2入力アンド67の一方の入力端子が論理1となるため、クロック発生器65の出力クロックCLKがロジック回路622に供給される。
以上のことから、USBブロック62の動作だけが有効となり、PCI Expressブロック61の動作は無効となる。
すなわち、PCI Expressブロック61はリーク以外の電力を消費しない。
【0083】
以上説明したように、本実施形態によれば、消費電力の増加を最小限に抑え、PCI ExpressとUSBインターフェースの両方の優位性を兼ね備えたメモリカードの実現が可能になる。さらに、安価な各種アダプタの開発が可能になる。
【0084】
なお、本実施形態においては、PCI ExpressとUSBインターフェースの2つの仕様について述べたが、本発明はこの2つに限らず他のインターフェース仕様、たとえばシリアルATA等にも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】本発明の実施形態に係るカード型周辺装置の構成例を示す機能ブロック図である。
【図2】図1のカード型周辺装置の接続対象機器の一つであるホスト機器の構成例を示す機能ブロック図である。
【図3】USBケーブルアダプタにメモリカードを挿入した状態を示す図である。
【図4】PCI ExpressベースのExpressCardアダプタにメモリカードを挿入した状態を示す図である。
【図5】スイッチを有するPCI ExpressベースのExpressCardアダプタにメモリカードを挿入した状態を示す図である。
【図6】本実施形態に係るメモリカード内部のハードウェア構成例を示す図である。
【符号の説明】
【0086】
10,10A・・・カード型周辺装置,メモリカード、11・・・コネクタ、111・・・PCI Expressインターフェース用の端子、112・・・USBインターフェース用の端子、113・・・IFSEL入力端子(専用端子)、12・・・PCI Expressインターフェース用の伝送路、13・・・PCI Expressブロック(インターフェース機能部)、14・・・USBインターフェース用の伝送路、15・・・USBブロック(インターフェース機能部)、16・・・共通ブロック(通信機能部)、17・・・ストレージデバイス、18・・・インバータ、20・・・ホスト機器、21・・・コネクタ、22・・・PCI Expressインターフェース用の伝送路、23・・・USBインターフェース用の伝送路、24・・・カード制御部、25・・・上位レイヤー、26・・・メモリ、30・・・USBアダプタ、31・・・コネクタ、32・・・USBケーブル、40・・・ExpressCardアダプタ、41・・・コネクタ、42・・・ExpressCardコネクタ、50・・・ExpressCardアダプタ、51・・・コネクタ、52・・・ExpressCardコネクタ、53・・・メカニカルスイッチ、60・・・コントローラ、61・・・PCI Expressブロック、62・・・USBブロック、63・・・共通ブロック、64・・・インバータ、65・・・クロック発生器、66,67・・・2入力アンド。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の仕様を外部インターフェースに持つカード型周辺装置であって、
接続対象機器と接続するためのコネクタであって、使用するインターフェースを設定する専用端子を含むコネクタと、
設定されるインターフェースを通してアクセスされる電子部品と、
上記複数の仕様に対応したインターフェースをそれぞれ制御する複数のインターフェース機能部と、
上記専用端子の設定に応じた仕様のインターフェース機能部を含む上記電子部品との通信を行う通信機能部と
を有するカード型周辺装置。
【請求項2】
上記接続対象機器側で上記専用端子のレベルが仕様に応じて設定される
請求項1記載のカード型周辺装置。
【請求項3】
上記専用端子の設定に応じた仕様のインターフェース機能部が有効となり、設定に対応していない仕様のインターフェースは無効となる
請求項1記載のカード型周辺装置。
【請求項4】
上記通信機能部は、
上記専用端子の設定によりいずれの仕様のインターフェースの制御が有効であるかを認識し、有効と認識した上記インターフェース機能部を含む通信を行う
請求項3記載のカード型周辺装置。
【請求項5】
上記各インターフェース機能部は、
コネクタ端子と伝送路で接続され、上記専用端子の設定レベルを受けて有効または無効を判断するためのイネーブル端子を含むアナログ回路と、
クロックに同期して動作し、上記通信機能部とのデータの送受が可能なロジック回路と、を含み、
上記専用端子の設定に対応して上記インターフェース機能部は、上記アナログ回路が無効となり、上記ロジック回路は上記クロックの供給が停止される
請求項3記載のカード型周辺装置。
【請求項6】
上記接続対象機器は、アダプタであって、当該アダプタの接続先機器の仕様に応じて上記専用端子の設定レベルを切り替え可能なスイッチを有する
請求項1記載のカード型周辺装置。
【請求項7】
上記コネクタは、報知すべき条件を接続対象機器に要求可能な出力端子を含む
請求項1記載のカード型周辺装置。
【請求項8】
上記接続対象機器は、上記出力端子からの要求に応じて報知する報知部を含む
請求項7記載のカード型周辺装置。
【請求項9】
上記電子部品には不揮発性メモリを含み、インターフェースを介してデータの記録再生が可能であるメモリカードとして機能を有する
請求項1記載のカード型周辺装置。
【請求項10】
上記複数の仕様は、PCI ExpressおよびUSBである
請求項1記載のカード型周辺装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−70255(P2009−70255A)
【公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−239636(P2007−239636)
【出願日】平成19年9月14日(2007.9.14)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】