説明

カード帯掛け体及び識別シート

【課題】カードの印字面と搬送方向とを間違うことなく、所定の装置にカードをセットできるカード帯掛け体及び識別シートを提供する。
【解決手段】カード帯掛け体100は、その表面10aに磁気ストライプ11a,11bを有し、その裏面10bに識別番号12を有するカード群10と、カード群10の最表面に配置され、カード群10の表面10aを覆う大きさを有し、その表面20aには、カード群10の表面10aの印字面を識別させる印字面表示部21と、カード群10の搬送方向を示すストライプ表示部22とを有し、その裏面20bには、カード群10の識別番号12に対応する所定の対応番号23が示されている識別シート20と、カード群10と識別シート20とを纏めて帯掛けするために、その一端付近が他端付近に剥離可能に熱圧着され、その端辺30aに、熱圧着部分31を剥離するキッカケとなる剥離開始部32が形成された帯状体30等とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャッシュカード、クレジットカード等を帯掛けしたカード帯掛け体及び識別シートに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のカード帯掛け体に含まれるカードは、銀行では、クレジットカードとして用いられる。カードは、1つの銀行内でもデザイン、キャラクター等が異なるので、新規口座を申し込んだお客様の希望に合わせたカードを作成するためには、発行センターで、カードの磁気記録部にお客様の識別情報(口座番号、氏名、暗証番号等)を記録(いわゆるエンコード)し、さらに、お客様の希望したデザイン、キャラクター等を印刷していた。
【0003】
特許文献1は、クレジットカードを即時発行する方法として、加盟店に、カード情報が記録されていない状態のカードを保管し、カードを発行する際には、加盟店に設置された所定の記録装置に、クレジット会社が通信回線を介して、カード情報を送信し、その後に、加盟店の店員等が、記録装置にカードをセットすることにより、カードの磁気記録部にカード情報をエンコードし、さらに、カードの情報表示部に有効期限等の情報をエンボスで表示して、カードを発行する方法を開示している。
【0004】
特許文献1の方法では、デザインの異なるカードを即時発行しようとすると、予め複数種類のデザイン化されたカードを余分に用意する必要がある。しかし、お客様が希望するデザインは、個人の嗜好によるので、デザイン毎にカードを必要数だけ予め用意することは困難となり、余分に在庫を抱えることは、コスト面やセキュリティ面で望ましくない。
【0005】
【特許文献1】特開平11−348466号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本件発明者は、カード発行会社において、その表面が印字面であるカードを、カードフォトプリンター(以下、プリンターという)を兼ねた記録装置にセットして、印字とエンコードを行うことによって、デザイン、キャラクター等が異なるカードを即時発行するという着想を得た。
最近では、2つの磁気ストライプ(いわゆるダブルストライプ)を有するカードが広く普及している。このカードのダブルストライプは、ATMにおいて、共有の磁気ヘッドにより、その識別情報が読み込まれるので、カードをATMに挿入(搬送)する方向を180°異なるようにすることで、例えば、銀行キャッシュカードの場合、キャッシュカード用とローンカード用とを使い分けることができる。
このため、このダブルストライプのカードを即時発行しようとすると、行員等がカードの印字面やカードを記録装置に搬送する正しい方向(搬送方向)を確認して、カードを記録装置にセットすることになるので、以下に示すような問題があった。
(1)印字される前のカードは、単一色(例えば、白)であるので、カードの印字面と搬送方向とを判別することは困難であり、カードの印字面と搬送方向とを間違えて、カードを記録装置にセットしまい、正常に印字やエンコードを行うことができないことがある。
(2)正常にエンコードされていないカードが、お客様に手渡された場合には、そのカードを使用できないこと、使用できたとしても、ATM等で口座から現金を引き出しているつもりがキャッシングをしてしまう等の不具合が生じる可能性がある。
本発明の課題は、カードの印字面と搬送方向とを間違うことなく、所定の装置にカードをセットできるカード帯掛け体及び識別シートを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、以下のような解決手段により、前記課題を解決する。なお、理解を容易にするために、本発明の実施例に対応する符号を付して説明するが、これに限定されるものではない。
請求項1の発明は、積み重ねられ、その表面(10a)が印字面であり、その搬送方向によって、異なる情報が記録される記録領域(11a,11b)を有するカード群(10)と、前記カード群(10)の表面(10a)を覆う大きさを有し、前記カード群(10)の最表面に配置され、前記カード群(10)の前記印字面と前記搬送方向とを識別させる表示部(21,22)を有する識別シート(20)と、その一端付近が他端付近に剥離可能に接着され、前記カード群(10)と前記識別シート(20)とを纏めて帯掛けする帯状体(30)と、を備えたカード帯掛け体である。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1に記載のカード帯掛け体において、前記帯状体(30)は、その端辺(30a)に剥離するキッカケとなる剥離開始部(32)が形成されていること、を特徴とするカード帯掛け体である。
【0009】
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2に記載のカード帯掛け体において、前記帯状体(30)は、その縁辺(30b)に切断するキッカケとなる切断開始部(33)が形成されていること、を特徴とするカード帯掛け体である。
【0010】
請求項4の発明は、請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載のカード帯掛け体において、前記帯状体(30)は、透明なフィルムであること、を特徴とするカード帯掛け体である。
【0011】
請求項5の発明は、請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載のカード帯掛け体において、前記カード群(10)の前記記録領域(11a,11b)は、磁気ストライプであること、を特徴とするカード帯掛け体である。
【0012】
請求項6の発明は、請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載のカード帯掛け体において、前記カード群(10)は、その裏面(10b)に識別番号(12)が表示されていること、を特徴とするカード帯掛け体である。
【0013】
請求項7の発明は、請求項6に記載のカード帯掛け体において、前記識別シート(20)は、その裏面(20b)に前記カード群(10)の前記識別番号(12)に対応する所定の番号(23)が示されていること、を特徴とするカード帯掛け体である。
【0014】
請求項8の発明は、積み重ねられ、その表面(10a)が印字面であり、その搬送方向によって、異なる情報が記録される記録領域(11a,11b)を有するカード群(10)を、その一端付近が他端付近に剥離可能に接着された帯状体(30)で帯掛けするときに用いられる識別シートにおいて、前記カード群(10)の表面(10a)を覆う大きさを有し、前記カード群(10)の最表面に配置され、前記カード群(10)の前記印字面と方向とを識別させる表示部(21,22)を有すること、を特徴とする識別シートである。
【発明の効果】
【0015】
本発明のカード帯掛け体は、(1)カード群の最表面に配置された識別シートが、カード群の表面を覆う大きさを有しているので、所定の装置にカード群をセットする場合に、カード群の印字面に作業者等の指が触れることがないので、カード群の印字面の印字適性が低下しないようにできる。
また、識別シートは、カード群の印字面と搬送方向とを識別させる表示部を有するので、カード群の印字面と搬送方向とを間違うことなく、所定の装置にカード群をセットすることができる。
さらに、カード群と識別シートとは、その一端付近が他端付近に剥離可能に接着された帯状体により、纏めて帯掛けされているので、作業者等は、その指を識別シートに触れた状態で、帯状体を剥離することができる。
【0016】
(2)帯状体は、その端辺に剥離するキッカケとなる剥離開始部が形成されているので、剥離開始部をキッカケとして、帯状体を容易に剥離することができる。
【0017】
(3)帯状体は、その縁辺に切断するキッカケとなる切断開始部が形成されているので、帯状体の剥離が困難である場合にも、切断開始部をキッカケとして、帯状体を確実に切断することができる。
【0018】
(4)識別シートは、その裏面にカード群の識別番号に対応する所定の番号が示されているので、所定の帯掛け機を用いて、カード群を帯掛けする場合には、カード群の印字面と搬送方向とを間違うことなく、帯掛けできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明は、カードの印字面と搬送方向とを間違うことなく、所定の装置にカードをセットするという目的を、カード群の表面を覆う大きさを有し、カード群の表面の印字面と搬送方向とを識別させる表示部を有する識別シートを、カード群の最表面に配置し、帯状体の一端付近を他端付近に剥離可能に接着して、カード群と識別シートとを纏めて帯掛けすることによって実現する。
【実施例】
【0020】
以下、図面等を参照して、本発明の実施例について、さらに詳しく説明する。
図1は、本発明によるカード帯掛け体100を模式的に示す図である。なお、図1(a)は、カード帯掛け体100の断面図であり、図1(b)は、上面図である。
カード帯掛け体100は、積み重ねられたカード群(以下、カードという)10と、カード10の最表面に配置された識別シート20と、このカード10と識別シート20とを帯掛けする帯状体30等とを備えている。
【0021】
帯状体30は、透明なフィルムであって、カード10と識別シート20とを纏めて帯掛けするために、所定の帯掛け機40(図4参照)により、その一端付近が他端付近に剥離可能に熱圧着(又は熱融着)され、熱圧着部分31が形成されている。
この熱圧着部分31は、その長さが帯状体30の端辺30aによりも小さく、狭い範囲に形成されている。
【0022】
帯状体30は、その端辺30aに、熱圧着部分31を剥離するキッカケとなる剥離開始部32が形成されている。この剥離開始部32は、帯状体30の一端付近であって、熱圧着されていない部分であり、例えば、作業者の爪により引っ掛けられる程度の長さを有している。
作業者(例えば、銀行であれば、行員)は、この剥離開始部32をキッカケとして、熱圧着部分31を容易に剥離することができる。
【0023】
帯状体30は、その縁辺30bに、帯状体30を切断するキッカケとなる切断開始部33が形成されている。この切断開始部33は、帯状体30の縁辺30bの両側(又は片側)に所定間隔、所定の長さで形成された切込みである。
作業者は、帯状体30が強固に熱圧着され、熱圧着部分31の剥離が困難である場合には、切込みである切断開始部33をキッカケとして、帯状体30を、この切込み方向に沿って、確実に切断することができる。
【0024】
また、帯状体30は、透明なフィルムであるので、作業者は、識別シート20の印字面表示部21とストライプ表示部22とを透かして視認することができ(図3参照)、カード10の印字面と搬送方向とを容易に認識できるので、不図示のカードフォトプリンターや所定の記録装置(以下、説明の便宜上、これらの総称をカード記録装置とする)にカード10を供給するためのフィーダ50(図5参照)に、カード10を正しくセットすることができる(詳細は、後述)。また、帯状体30は、透明なフィルムであるので、紙のようにカスが出ず、識別シート20の印字面表示部21及びストライプ表示部22の印字品質を損なうことがない。
【0025】
図2は、カード10を模式的に示す図である。なお、図2(a)は、カード10の表面10aを示し、図2(b)は、カード10の裏面10bを示している。
カード10は、カード記録装置により、昇華プリント等が行われ、さらに、所定の識別情報が記録され、キャッシュカード、クレジットカード等として用いられる磁気カードであって、記録領域である磁気ストライプ11a,11b等を備えている。
【0026】
カード10は、例えば、コアシートと、コアシートの外面に積層されるオーバーシートと、このオーバーシート上に形成された磁気ストライプ11a,11bと、磁気ストライプ11a,11bを隠蔽するための隠蔽層と、隠蔽層上に形成され、昇華染料の吸収、溶融型リボンの転写性の機能を有する受容層等とを備えている。すなわち、カード10の表面10aは、受容層であり、カード記録装置により、所定のデザイン、キャラクターが印字される印字面となる。
【0027】
磁気ストライプ11a,11bは、磁気インキをストライプ状に印刷して、所定の識別情報を磁気記録して、機械処理を可能とする層であり、磁性酸化鉄等を顔料として含む磁性インキ等を、オフセット印刷、グラビア印刷、シルクスクリーン印刷等によって印刷して形成する。
【0028】
カード10がキャッシュカードとして用いられる場合には、例えば、磁気ストライプ11aをキャッシュカード用、磁気ストライプ11bをローンカード用として機能させるために、カード記録装置により、磁気ストライプ11a,11bに異なる所定の識別情報が記録される。なお、磁気ストライプ11a,11bに記録される識別情報(例えば、口座番号、氏名、暗証番号等)は、カード記録装置により記録されるが、カード10の種別(例えば、シングル又はダブルストライプ、ストライプのパターン等)は、予めカード記録装置やカード10に記録されている。
【0029】
このため、カード10は、その表面10aの印字面と、カード10がカード記録装置に正しく搬送されるときの搬送方向とを間違えないように、カード記録装置にセットする必要がある。例えば、カード10の搬送方向を逆にして、カード記録装置にカード10をセットしてしまうと、磁気ストライプ11aがローンカード用、磁気ストライプ11bがキャッシュカード用として機能してしまい、お客様がATM等で口座から現金を引き出しているつもりであっても、実際は、キャッシングをしてしまう等、不具合が生じてしまう。しかし、カード帯掛け体100は、後述するように、カード10の印字面と搬送方向とを間違うことがないので、これらの不具合は生じない。
【0030】
また、カード10は、その裏面10bに識別番号12が印字又は印刷等により表示されている。この識別番号12は、いわゆる印行名であって、カード10を製造した製造メーカー名、製造時期等を示しており、在庫管理や不具合あったカードを特定するときに利用される。
【0031】
図3は、識別シート20を模式的に示す図である。なお、図3(a)は、識別シート20の表面20aを示し、図3(b)は、識別シート20の裏面20bを示している。
識別シート20は、カード10の表面10aを覆う大きさを有している。また、識別シート10は、その表面20aに、カード10の印字面を識別させる印字面表示部21と、カード10の搬送方向を識別させるストライプ表示部22等とを備えている。
さらに、識別シート20は、その裏面20bに、カード10の識別番号12に対応する所定の対応番号23が示されている。なお、この対応番号23は、識別番号12と同一番号だけでなく、識別番号12と対応するのであれば、適宜の番号、記号、印であってもよい。
【0032】
印字面表示部21は、帯状体30が帯掛け機40により熱圧着された側(つまり、カード10の表面10a)を、作業者に識別させるために、「熱圧着部分がこちら側」という表示が示されている。なお、印字面表示部21は、カード10の印字面を作業者に識別させることができるのであれば、簡単な記号、印等であってもよい。
【0033】
ストライプ表示部22は、カード10の搬送方向を識別させるための表示であって、例えば、カード10の磁気ストライプ11aの位置に対応する帯状の印が示されている。この帯状の印は、帯掛けを行う製造メーカーが、カード10の識別番号12と図3(b)に示す対応番号23とを合わせた状態で、帯掛け機40を用いて、カード10と識別シート20とを纏めて帯状体30で帯掛けすることにより、搬送方向を示す指標となる。
具体的には、カード10の搬送方向に平行な中心線A(図2参照)で、帯状の印がある領域と印がない領域とに区分した場合に、作業者は、この印を、カード10とフィーダ50との正常な位置関係(例えば、印がある領域がカード10の上側にくるように、カード10をフィーダ50にセットする等)を保つための指標とすることができる。なお、ストライプ表示部22は、カード10の搬送方向を作業者に識別させることができるのであれば、簡単な記号等であってもよい。
【0034】
また、印字面表示部21が文字である場合には、この文字が読める方向が搬送方向と識別できるので、ストライプ表示部22がなくても、印字面表示部21だけで印字面と搬送方向とを表示することができる。
【0035】
つぎに、帯状体30を、帯掛け機40により熱圧着して、カード10と識別シート20とを纏めて帯掛けする動作について説明する。
図4は、帯掛け機40による帯掛けの動作を説明するための図である。
帯掛け機40は、開口部41aが形成された載置台41と、載置台41に移動可能に設けられ、開口部41aに蓋をするシャッター42と、載置台41の内部に設けられた保持部43と、この保持部43に設けられ、開口部41aに対して接近又は離れるように移動可能な押圧部材43aと、帯状体30に対して接近又は離れるように移動可能であって、帯状体30を所定の位置で切断するカッター44aを保持するカッター保持部44と、帯状体30を送り出すと共に、たるみを防止するフィードローラ45等とを備えている。
【0036】
まず、帯掛け機40は、図4(a)に示すように、シャッター42を開いて、フィードローラ45を回転させて、帯状体30を送り出す。送り出された帯状体30は、開口部41aを経由して、不図示の案内部により、積み重ねられたカード10と、このカード10の最表面(ここでは、載置台41側)に配置された識別シート20との外周に、緩く巻き付く。
また、このカード10と識別シート20とは、作業者が、識別シート20の裏面20bに示された対応番号23と、カード10の裏面10bに示された識別番号12とを位置合わせすることにより、正しい状態で積み重ねられる。
【0037】
つぎに、帯掛け機40は、図4(b)に示すように、フィードローラ45を逆回転させて、カード10と識別シート20とを纏めて帯掛けできるように、帯状体30のたるみをとると共に、保持部43から押圧部材43aを進出させ、帯状体30に押圧して、その押圧部材43aの熱と圧力とにより、帯状体30の一端部付近と他端部付近とを熱圧着する。
さらに、帯状体30の端辺30aから一定幅の部分を、剥離開始部32とするために、カッター保持部44からカッター44aを進出させ、帯状体30に接触させる。
【0038】
帯掛け機40は、図4(c)に示すように、カッター44aにより、帯状体30を切断した後に、カッター44aをカッター保持部44に退避させ、さらに、押圧部材43aを保持部43に退避させ、シャッター42を移動させて開口部41aに蓋をする。
これにより、帯掛けを行う製造メーカーは、帯掛け機40を用いて、カード10と識別シート20とを纏めて帯状体30で帯掛けすることができ、正常なカード帯掛け体100を製造することができる。
【0039】
図5は、本発明によるカード帯掛け体100を、カード記録装置のフィーダ50にセットした状態を示す概略図である。なお、図5(a)は、この状態を示す上面図であり、図5(b)は、図5(a)のb−b断面図である。以下では、カード記録装置のフィーダ50に、銀行の行員がカード10をセットする場合について説明する。
フィーダ50は、不図示のカード記録装置にカード10を供給するための装置であって、開口部51aが形成された基台51と、不図示の支持部により回転可能に支持され、その周縁がカード10に接触するローラ54と、基台51に略垂直に立設した4つの支柱52,53等とを備えている。
支柱53は、カード記録装置側に配置されており、その下部には、カード10の1枚分の厚さよりも大きく、2枚分よりも小さいカード供給口53aが形成されている。
【0040】
つぎに、カード帯掛け体100を、カード記録装置のフィーダ50にセットし、帯状体30を剥離する方法について説明する。
まず、行員は、カード10が複数(例えば、50枚)積み重ねられ、その最表面に識別シート20が配置され、帯状体30により帯掛けされたカード帯掛け体100を、両手(又は片手)でつかみ、識別シート20の印字面表示部21とストライプ表示部22とを視認して、カード10の印字面と搬送方向とを正しい状態にして、支柱52,53に囲まれた領域である基台51の上に、カード帯掛け体100を載置する。
【0041】
つぎに、行員は、識別シート20を一方の手の指で押さえながら、他方の手の指の爪等で帯状体30の剥離開始部32を引っ掛けて、帯状体30を剥離する。もし、熱圧着部分31が強固に圧着しており、剥離開始部32で帯状体30を剥離することができなかった場合には、切断開始部33を他方の手の指でつかみ、そのまま切込み方向に沿って引っ張ることで、帯状体30を確実に切断する。なお、行員は、支柱52,53間に形成された隙間から、その両手を基台51上の領域に入れることができる。
さらに、行員は、剥離又は切断された帯状体30を、他方の手の指でつかんで、カード帯掛け体100から抜き取る。そして、行員は、一方の手の指で、識別シート20をつかみ、カード10の最表面から取り去る。
【0042】
これにより、カード10は、たとえ、行員がカードの扱いに不慣れであっても、カード10の印字面に指を触れずに、カード10の印字面と搬送方向とを間違うことなく、フィーダ50に正しくセットされる。そして、カード10は、ローラ54の回転に伴って、カード供給口53aを1枚ずつ通過して、カード記録装置に供給される。
【0043】
このように、カード帯掛け体100によれば、以下のような効果がある。
(1)識別シート20が、カード10の最表面に配置され、カード10の表面10aを覆っているので、帯状体30の剥離開始部32又は切断開始部33により帯状体30を剥離又は切断する場合に、作業者は、カード10の印字面に指を触れることがなく、カード10の印字面の印字適性が低下しないようにでき、また、帯掛け機40により帯掛けを行う場合に、帯掛け機40の押圧部材43aの熱や圧力からカード10を保護することができ、さらに、帯掛け機40の駆動機構の油等がカード10に付着しないようにできる。
(2)識別シート20が印字面表示部21とストライプ表示部22とを有しているので、カード10の印字面と搬送方向とが示され、カード10の取り扱いに不慣れな作業者であっても、カード10の印字面と搬送方向とを間違うことなく、フィーダ50にカード10をセットすることができる。
(3)識別シート20の裏面20bに対応番号23が示されているので、製造メーカーは、帯掛け機40によりカード10を帯掛けする場合に、カード10の印字面と搬送方向とを間違うことなく、帯掛けすることができ、正常なカード帯掛け体100を製造することができる。
【0044】
(変形例)
以上説明した実施例に限定されることなく、種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の均等の範囲内である。
カード帯掛け体100は、フィーダ50に1つだけセットするようにしたが、これに限られず、カード帯掛け体100から帯状体30と識別シート20とを取り去った後に、その上側に、他のカード帯掛け体100を積み重ねてもよい。
このようにすれば、大量のカード10を正しくフィーダ50にセットすることができ、作業効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明によるカード帯掛け体100を模式的に示す図である。
【図2】カード10を模式的に示す図である。
【図3】識別シート20を模式的に示す図である。
【図4】帯掛け機40による帯掛けの動作を説明するための図である。
【図5】本発明によるカード帯掛け体100を、カード記録装置のフィーダ50にセットした状態を示す概略図である。
【符号の説明】
【0046】
10 カード
11a,11b 磁気ストライプ
12 識別番号
20 識別シート
21 印字面表示部
22 ストライプ表示部
23 対応番号
30 帯状体
31 熱圧着部
32 剥離開始部
33 切断開始部
40 帯掛け機
50 フィーダ
100 カード帯掛け体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
積み重ねられ、その表面が印字面であり、その搬送方向によって、異なる情報が記録される記録領域を有するカード群と、
前記カード群の表面を覆う大きさを有し、前記カード群の最表面に配置され、前記カード群の前記印字面と前記搬送方向とを識別させる表示部を有する識別シートと、
その一端付近が他端付近に剥離可能に接着され、前記カード群と前記識別シートとを纏めて帯掛けする帯状体と、
を備えたカード帯掛け体。
【請求項2】
請求項1に記載のカード帯掛け体において、
前記帯状体は、その端辺に剥離するキッカケとなる剥離開始部が形成されていること、
を特徴とするカード帯掛け体。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のカード帯掛け体において、
前記帯状体は、その縁辺に切断するキッカケとなる切断開始部が形成されていること、
を特徴とするカード帯掛け体。
【請求項4】
請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載のカード帯掛け体において、
前記帯状体は、透明なフィルムであること、
を特徴とするカード帯掛け体。
【請求項5】
請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載のカード帯掛け体において、
前記カード群の前記記録領域は、磁気ストライプであること、
を特徴とするカード帯掛け体。
【請求項6】
請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載のカード帯掛け体において、
前記カード群は、その裏面に識別番号が表示されていること、
を特徴とするカード帯掛け体。
【請求項7】
請求項6に記載のカード帯掛け体において、
前記識別シートは、その裏面に前記カード群の前記識別番号に対応する所定の番号が示されていること、
を特徴とするカード帯掛け体。
【請求項8】
積み重ねられ、その表面が印字面であり、その搬送方向によって、異なる情報が記録される記録領域を有するカード群を、その一端付近が他端付近に剥離可能に接着された帯状体で帯掛けするときに用いられる識別シートにおいて、
前記カード群の表面を覆う大きさを有し、前記カード群の最表面に配置され、前記カード群の前記印字面と前記搬送方向とを識別させる表示部を有すること、
を特徴とする識別シート。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−27669(P2006−27669A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−209837(P2004−209837)
【出願日】平成16年7月16日(2004.7.16)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】