説明

カード決済装置、商品販売データ処理装置およびレシート発行プログラム

【課題】外貨での決済金額を表したレシートをオペレータに負担をかけずに発行する。
【解決手段】第1の通貨で表した第1の決済金額を取得する取得手段1と、第1の決済金額を決済するために使用する決済カードに記録されたカード情報を読み取る読取手段13と、カード情報に基づいて決済カードが特定カードであるか否かを判定する判定手段1と、決済カードが特定カードであると判定された場合に特定カードの発行地域で利用される第2の通貨と第1の通貨とのレートを表したレート情報を記憶デバイス4から読み出す読出手段1と、第1の決済金額を上記の読み出されたレート情報が表すレートで変換して第2の決済金額を算出する算出手段1と、レシートを印刷する印刷手段14と、決済カードが特定カードであると判定された場合に、第2の決済金額を表示したレシートを印刷するように印刷手段14を制御する制御手段1とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、カード決済装置、商品販売データ処理装置およびレシート発行プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
決済カードを利用した決済に対して、決済金額を表示したレシートが発行されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−328539号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
商品の売買が行われる地域における邦貨により決済金額を算出したのち、この決済金額を外貨における金額に返還し、この外貨での決済金額を表した外貨レシートを印刷する技術は特許文献1により知られている。
【0005】
しかしながら特許文献1においては、オペレータにより発行が指令されたことに応じて外貨レシートを印刷する。このためオペレータは、外貨レシートの発行要否の判定や、外貨レシートの発行指令のための操作などを行わねばならず、オペレータの負担となっていた。
【0006】
このような事情から、外貨での決済金額を表したレシートをオペレータに負担をかけずに発行できることが望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の態様によるカード決済装置は、予め定められた第1の通貨で表した第1の決済金額を取得する取得手段と、前記第1の決済金額を決済するために使用する決済カードに記録されたカード情報を読み取る読取手段と、前記読取手段によって読み取られた前記カード情報に基づいて前記決済カードが特定カードであるか否かを判定する判定手段と、前記判定手段によって前記決済カードが前記特定カードであると判定された場合に、前記特定カードの発行地域で利用される第2の通貨と前記第1の通貨とのレートを表したレート情報を記憶デバイスから読み出す読出手段と、前記取得手段により取得された前記第1の決済金額を前記読出手段によって読み出されたレート情報が表すレートで変換して第2の決済金額を算出する算出手段と、レシートを印刷する印刷手段と、前記判定手段によって前記決済カードが前記特定カードであると判定された場合に、前記算出手段によって算出された前記第2の決済金額を表示したレシートを印刷するように前記印刷手段を制御する制御手段とを
備える。
【0008】
第2の態様による商品販売データ処理装置は、商品の対価を予め定められた第1の通貨で表した金額または当該金額を判定するための商品情報を入力する入力手段と、決済の実行が要求されるまでに前記入力手段で入力された前記商品情報に基づいてそれぞれ判定される金額の合計として第1の決済金額を算出する算出手段と、前記第1の決済金額を決済するために使用する決済カードに記録されたカード情報を読み取る読取手段と、前記読取手段によって読み取られた前記カード情報に基づいて前記決済カードが特定カードであるか中を判定する判定手段と、前記判定手段によって前記決済カードが特定カードであると判定された場合に、前記特定カードの発行地域で利用される第2の通貨と前記第1の通貨とのレートを表したレート情報を記憶デバイスから読み出す読出手段と、前記取得手段により取得された前記第1の決済金額を前記読出手段によって読み出されたレート情報が表すレートで変換して第2の決済金額を算出する算出手段と、レシートを印刷する印刷手段と、前記判定手段によって前記決済カードが前記特定カードであると判定された場合に、前記算出手段によって算出された前記第2の決済金額を表示したレシートを印刷するように前記印刷手段を制御する制御手段とを備える。
【0009】
第3の態様によるレシート発行プログラムは、予め定められた第1の通貨とこの第1の通貨とは異なる第2の通貨とのレートを表したレート情報を少なくとも1つ記憶した記憶デバイス、決済に使用する決済カードに記録されたカード情報を読み取る読取デバイス、ならびにレシートを印刷する印刷デバイスがそれぞれ接続されたコンピュータを、予め定められた第1の通貨で表した第1の決済金額を取得する取得手段と、前記読取デバイスによって読み取られた前記カード情報に基づいて前記決済カードが特定カードであるか否かを判定する判定手段と、前記判定手段によって前記決済カードが特定カードであると判定された場合に、前記特定カードの発行地域で利用される第2の通貨と前記第1の通貨とのレートを表したレート情報を前記記憶デバイスから読み出す読出手段と、前記取得手段により取得された前記第1の決済金額を前記読出手段によって読み出されたレート情報が表すレートで変換して第2の決済金額を算出する算出手段と、前記判定手段によって前記決済カードが前記特定カードであると判定された場合に、前記算出手段によって算出された前記第2の決済金額を表示したレシートを印刷するように前記印刷デバイスを制御する制御手段として機能させる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】一実施形態に係るPOS端末装置の要部構成を示すブロック図。
【図2】商品リストエリアの構造例を模式的に示す図。
【図3】PLUファイルの一例を模式的に示す図。
【図4】図1中のCPUのレート情報更新処理におけるフローチャート。
【図5】図1中のCPU1の登録モードが設定されているときにおけるフローチャート。
【図6】図1中のCPUのレシート発行処理におけるフローチャート。
【図7】外貨レシートの一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下実施の形態の一例を図面を用いて説明する。なお、本実施の形態では、商品データ処理装置としてPOS(point-of-sale)端末装置を例に説明する。
【0012】
図1は本実施形態に係るPOS端末装置100の要部構成を示すブロック図である。
【0013】
このPOS端末装置100は、CPU(central processing unit)1、ROM(read-only memory)2、RAM(random-access memory)3、補助記憶ユニット4、時計ユニット5、モードスイッチ6、ドロワ開放ユニット7、入出力ポート(I/O)8、スキャナ9、スキャナコントローラ10、キーボード11、キーボードコントローラ12、オペレータ用表示器13、表示コントローラ14、客面表示器15、表示コントローラ16、カードリーダ17、カードリーダコントローラ18、プリンタ19、プリンタコントローラ20および通信デバイス21を含む。これらの各部は、システムバス22にそれぞれ接続されている。
【0014】
CPU1は、ROM2およびRAM3に記憶されたオペレーティングシステム、ミドルウェアおよびアプリケーションプログラムに基づいて、POS端末装置100としての各種の動作を実現するべく各部を制御する。
【0015】
ROM2は、上記のオペレーティングシステムを記憶する。ROM2は、上記のミドルウェアやアプリケーションプログラムを記憶する場合もある。またROM2は、CPU1が各種の処理を行う上で参照するデータを記憶する場合も有る。
【0016】
RAM3は、CPU1が各種の処理を行う上で参照するデータを記憶する。さらにRAM3は、CPU1が各種の処理を行う上で一時的に使用するデータを記憶しておく、いわゆるワークエリアとして利用される。RAM3の記憶領域の一部は、商品リストエリアとして使用される。またRAM3は、上記のミドルウェアやアプリケーションプログラムを記憶する場合も有る。
【0017】
図2は商品リストエリアの構造例を模式的に示す図である。
【0018】
図2に示すように商品リストエリアには、PLU(price look up)コード、部門、品名、価格および数量の各情報を互いに関連付けて記憶するためのデータフィールドがそれぞれ複数づつ設けられる。かくして商品リストエリアには、PLUコードに対応して少なくとも部門、品名、価格および数量の各情報をを記憶することができる。
【0019】
補助記憶ユニット4は、例えばハードディスクドライブやSSD(solid state drive)などであり、CPU1が各種の処理を行う上で使用するデータや、CPU1での処理によって生成されたデータを保存する。補助記憶ユニット4に記憶されるデータには、PLUファイルおよびレート情報を含む。PLUファイルは、POS端末装置100が使用される店舗で販売または提供される商品(物品またはサービス)についての情報が記述されている。レート情報は、後述する第1の通貨とこの第1の通貨とは異なる第2の通貨との間のレートを表す。また補助記憶ユニット4は、上記のミドルウェアやアプリケーションプログラムを記憶する場合も有る。
【0020】
ROM2、RAM3または補助記憶ユニット4に記憶されるアプリケーションプログラムには、後述するレシート発行処理に関して記述したレシート発行プログラムを含む。このレシート発行プログラムがRAM3または補助記憶ユニット4に記憶される場合、POS端末装置100の譲渡は、一般的にレシート発行プログラムがRAM3または補助記憶ユニット4に記憶された状態にて行われる。しかし、POS端末装置100をレシート発行プログラムがRAM3または補助記憶ユニット4に記憶されない状態で譲渡されるとともに、磁気ディスク、光磁気ディスク、光ディスク、半導体メモリなどのようなリムーバブルな記録媒体に記録して、あるいはネットワークを介して上記のレシート発行プログラムを譲渡され、このレシート発行プログラムが上記の別途に譲渡されたPOS端末装置100のRAM3または補助記憶ユニット4に書き込まれても良い。
【0021】
図3はPLUファイルの一例を模式的に示す図である。
【0022】
図3に示すPLUファイルは、PLUコードに対応して少なくとも部門、品名および価格の各情報を含む。PLUコードは、商品のそれぞれに、それらを一意に識別可能なように付与されたコードである。部門は、関連付けられたPLUコードで識別される商品が属する部門の名称またはコードである。品名は、関連付けられたPLUコードで識別される商品の名称である。価格は、関連付けられたPLUコードで識別される商品の価格である。この価格は、第1の通貨として定められた通貨で表される。第1の通貨は一般的には、POS端末装置100が使用される地域での通貨である。すなわち、日本国で使用されるPOS端末装置100における第1の通貨としては日本円に定められ、PLUファイルにおける価格は日本円で表される。PLUファイルには、他の任意の情報を含むこともある。
【0023】
時計ユニット5は、定常的に計時動作を行い、日付および時刻を表した日時情報を生成する。
【0024】
モードスイッチ6は、特定の鍵によって回転可能な鍵穴の向きを検出し、その検出結果をモード信号として出力する。鍵穴の向きには業務モードがそれぞれ割り付けられており、モード信号はこれらの動作モードのいずれが選択されているかを示す信号となる。業務モードは、登録、点検および精算などの各モードを含む。ちなみに登録モードは、スキャナ9またはキーボード11によりPLUコードが入力されされると、このPLUコードで識別される商品の販売または提供に係るデータ処理を行う。点検モードは、登録モードでの処理により生成された商品販売データから得られた売上集計データをレポート出力する。精算モードは、点検モードと同様に売上集計データをレポート出力した後に、この売上集計データをクリアする。
【0025】
ドロワ開放ユニット7は、ドロワを自動的に開放する。
【0026】
入出力ポート8は、モードスイッチ6が出力するモード信号をモードデータに変換してRAM3に書き込んだり、CPU1からドロワ開放が指示されたことに応じてドロワ開放ユニット7を駆動するための駆動信号をドロワ開放ユニット7に対して出力する。
【0027】
スキャナ9は、商品に印刷されたバーコードを読み取る。スキャナ9には、固定タイプおよびハンディタイプのいずれか、またはその双方を含み得る。
【0028】
スキャナコントローラ10は、CPU1の制御の下にスキャナ9の動作を制御するとともに、スキャナ9で生成されたスキャンデータをRAM3に書き込む。
【0029】
キーボード11は、数値入力キー、商品指定キー(PLUキー)および機能キーなどの多数のキーと、これら多数のキーの押下をそれぞれ検出するスイッチとを含む。キーボード11は、キーが押下されたことに応じて、そのキーに応じたコマンドを出力する。
【0030】
キーボードコントローラ12は、CPU1の制御の下にキーボード11の動作を制御するとともに、キーボード11が出力したコマンドをRAM3に書き込む。
【0031】
オペレータ用表示器13は、例えばLCD(liquid crystal display)であり、CPU1の制御の下に任意の画像を表示可能である。オペレータ用表示器13は、オペレータに対して提示するべき各種の情報を表した画像を表示するために利用される。
【0032】
表示コントローラ14は、CPU1の制御の下にオペレータ用表示器13の動作を制御する。
【0033】
客面表示器15は、例えばLCDや蛍光表示装置であり、CPU1の制御の下に任意の画像を表示可能である。客面表示器15は、客に対して提示するべき各種の情報を表した画像を表示するために利用される。
【0034】
表示コントローラ16は、CPU1の制御の下に客面表示器15の動作を制御する。
【0035】
カードリーダ17は、決済カードに記録されたカード情報を読み取る。なお、決済カードとは、現金によらずに決済を行うためのカードのことであり、クレジットカード、デビットカード、プリペイドカードおよび銀聯カードなどが含まれ得る。
【0036】
カードリーダコントローラ18は、CPU1の制御の下にカードリーダ17の動作を制御するとともに、カードリーダ17から出力されたカード情報をRAM3に書き込む。
【0037】
プリンタ19は、例えばサーマルプリンタやドットインパクトプリンタなどであり、レシートを印刷する。
【0038】
プリンタコントローラ20は、CPU1の制御の下にプリンタ19の動作を制御する。
【0039】
通信デバイス21は、LAN(local area network)やインターネットなどの通信ネットワーク200を介してサーバ300と通信する。
【0040】
サーバ300は、POS端末装置100が設置されているのと同じ店舗に備えられたいわゆる店舗サーバや、POS端末装置100が設置されているのと同じ店舗を含んだ複数の店舗を総括する本部に備えられたいわゆる本部サーバである。サーバ300は、POS端末装置100およびその他のPOS端末装置(図示せず)でそれぞれ生成された商品販売データを集計したり、各POS端末装置で使用するデータを管理する。サーバ300は、POS端末装置100およびその他のPOS端末装置に配信するためのPLUファイルおよびレート情報を保持している。
【0041】
次に以上のように構成されたPOS端末装置100の動作について説明する。
【0042】
PLUファイルの更新は、原則としてサーバ300にて行われる。そして最新のPLUファイルは、サーバ300からPOS端末装置100およびその他のPOS端末装置に必要に応じて配信される。このようにサーバ300から配信されたPLUファイルは、通信デバイス21により受信されて、CPU1の制御の下に補助記憶ユニット4に書き込まれる。このとき、補助記憶ユニット4に記憶されていた古いPLUファイルは削除されるなどして無効化される。
【0043】
一方、CPU1は、予め定められたタイミングにおいて図4に示すようなレート情報更新処理を開始する。このレート情報更新処理を開始するタイミングは任意であって良いが、例えば、業務モードが新たに登録モードに設定されたとき、時計ユニット5が出力する日時情報が示す日時が予め定められた日時となったとき、サーバ300からレート情報の更新が通知されたとき、あるいはオペレータによりレート情報の更新が要求されたときなどが考えられる。
【0044】
ステップSa1においてCPU1は、レート情報の送信をサーバ300に対して要求する。この要求に応じてサーバ300は、保持しているレート情報を通信ネットワーク200を介してPOS端末装置100へ送信する。
【0045】
ステップSa2においてCPU1は、上記のようにサーバ300から送信されたレート情報を通信デバイス21に受信させる。
【0046】
ステップSa3においてCPU1は、通信デバイス21により受信されたレート情報を補助記憶ユニット4に書き込む。なおこのときにCPU1は、補助記憶ユニット4に既に記憶されていた古いレート情報を、例えば新しいレート情報で上書きするなどによって無効化する。
【0047】
なお本実施形態においては、第1の通貨が日本円であり、レート情報は日本円と中国人民元との間のレートを示していることとする。
【0048】
図5は登録モードが設定されているときにおけるCPU1のフローチャートである。鍵によって業務モードが登録モードに設定されたことがモードスイッチ6により検出されたことに応じて、CPU1は図5に示す処理を開始する。
【0049】
さて、商品のバーコードがスキャナ9により読み取られるか、あるいはキーボード11にてPLUキーが押下されるなどの操作によってPLUコードが入力されたならば、その入力されたPLUコードはスキャナコントローラ10またはキーボードコントローラ12によってRAM3に書き込まれる。そこでステップSb1においてCPU1は、例えば上記のようにして書き込まれたPLUコードがRAM3に書き込まれているか否かを確認することにより、PLUコードが入力されたか否かを判断する。そしてPLUコードの入力がなされたことを確認できなければ(ステップSb1のNO)、CPU1はステップSb1を繰り返す。そしてPLUコードの入力がなされたことを確認できたならば(ステップSb1のYES)CPU1は、ステップSb1からステップSb2へ進む。
【0050】
ステップSb2においてCPU1は、上記のようにRAM3に書き込まれたPLUコードおよびそれに対応付けられた情報を補助記憶ユニット4に記憶されたPLUファイルの中から取得する。そしてCPU1は、ここで取得したPLUコード、部門、品名および価格の各情報をRAM2の商品リストエリアに追加保存する。またこのときにCPU1は、同一データレコードの数量としては「1」を保存する。
【0051】
ステップSb3乃至ステップSb5においてCPU1は、ユーザ操作を待ち受ける。具体的にはCPU1は、ステップSb3において新たにPLUコードが入力されたか否かを、ステップSb4において前回入力されたPLUコードに関しての数量が指定されたか否かを、ステップSb5jにおいてキーボード11に設けられた機能キーの1つである小計キーが押下されたか否かをそれぞれ判断する。そしてCPU1は、ステップSb3乃至ステップSb5のいずれもがNOである場合には、ステップSb3乃至ステップSb5を繰り返す。
【0052】
ここで新たなPLUコードが入力されたならば(ステップSb3のYES)、CPU1はステップSb3からステップSb2に移行し、その新たに入力されたPLUコードと、それに関連付けられた部門、品名および価格の各情報をRAM2の商品リストエリアに追加保存する。ただし、同一のPLUコードが既に商品リストエリアに保存されているならば、そのPLUコードに対応付けられた数量を1つ増加させる。そしてこの後にCPU1は、ステップSb3乃至ステップSb5の待ち受け状態に戻る。
【0053】
ところで、PLUコードを既に入力した商品を複数登録するために、オペレータがキーボード11の数値入力キーなどの操作によって数量を指定すると(ステップSb4のYES)、CPU1はこれに応じてステップステップSb4からステップSb6へ移行し、直前に入力されたPLUコードに対応付けられた数量を指定された数量に従って変更する。具体的には、直前に入力されたPLUコードに対応付けられた数量を、指定された数量から1つ減じた値を加算した値に変更する。そしてこののちにCPU1は、ステップSb3乃至ステップSb5の待ち受け状態に戻る。
【0054】
小計キーが押下されたならば(ステップSb5のYES)CPU1は、ステップSb5からステップSb7へ移行する。ステップSb7においてCPU1は、買上金額を第1の通貨で算出する。具体的にはCPU1は、商品リストエリアに記憶されているPLUコードのそれぞれについて、そのPLUコードに対応付けられた価格および数量を乗算することによって商品毎の金額を求め、さらにこのように求めた商品毎の金額の総和として買上金額を算出する。なお、PLUファイルの価格は第1の通貨であらわされているから、上記の計算により求まる買上金額は第1の通貨で表されたものとなる。CPU1は、買上金額をRAM3に保存しておく。
【0055】
ステップSb8においてCPU1は、買上金額の決済を現金および決済カードのいずれにより行うのかをオペレータによる指定に基づいて判定する。そして現金による決済を行うのであれば、CPU1はステップSb8からステップSb9へ移行し、現金決済処理を周知の手順で実行する。
【0056】
一方、カードによる決済を行うのであれば、CPU1はステップSb8からステップSb10へ移行する。ステップSb10においてCPU1はカードコントローラ18に指示し、決済カードに記録されたカード情報を取得させ、そのカード情報をRAM3に保存させる。そしてステップSb11においてCPU1は、RAMに保存されたカード情報に基づいて、カード決済処理を周知の手順で実行する。
【0057】
ステップSb9での現金決済処理またはステップSb11でのカード決済処理を完了したならばCPU1は、いずれの場合もステップSb12へ進む。ステップSb12においてCPU1は、レシート発行処理を行う。このレシート発行処理は、前述のレシート発行プログラムに基づいて実行される。
【0058】
図6はCPU1のレシート発行処理におけるフローチャートである。
【0059】
ステップSc1においてCPU1は、現金決済処理およびカード決済処理のいずれを行ったかを確認する。現金決済処理を行ったのであれば、CPU1はステップSc1からステップSc2へ進む。そしてステップSc2においてCPU1は、現金決済の内容を各種金額を第1の通貨でのみ表したレシート(以下、現金レシートと称する)を印刷するようにプリンタコントローラ20に指示する。この指示に応じてプリンタコントローラ20は、現金レシートを印刷するようにプリンタ19を制御する。
【0060】
これに対してカード決済処理を行ったのであれば、CPU1はステップSc1からステップSc3へ進む。ステップSc3においてCPU1は、決済に使用された決済カードが銀聯カードであるか否かをRAM3保存されているカード情報に基づいて判定する。そして銀聯カードではなかった場合(ステップSc3のNO)にCPU1はステップSc3からステップSc4へ移行する。ステップSc4においてCPU1は、決済カードを使用した決済の内容を各種金額は第1の通貨でのみ表したレシート(以下、カードレシートと称する)を印刷するようにプリンタコントローラ20に指示する。この指示に応じてプリンタコントローラ20は、カードレシートを印刷するようにプリンタ19を制御する。
【0061】
さて、決済に使用された決済カードが銀聯カードであった場合(ステップSc3のYES)、CPU1はステップSc3からステップSc5へ移行する。
【0062】
ステップSc5においてCPU1は、レート情報を補助記憶ユニット4から読み出す。ステップSc6においてCPU1は、ステップSc5で読み出したレート情報に示されるレートとRAM3に保存された第1の通貨での買上金額とから、中国人民元での買上金額を算出する。
【0063】
ステップSc7においてCPU1は、決済カードを使用した決済の内容をステップSc6において算出した買上金額とステップSc5で読み出したレート情報に示されたレートとを含めて表したレシート(以下、銀聯用レシートと称する)を印刷するようにプリンタコントローラ20に指示する。この指示に応じてプリンタコントローラ20は、銀聯用レシートを印刷するようにプリンタ19を制御する。
【0064】
なお、ステップSc2,Sc4,Sc7のいずれかでレシートを印刷し終えたならば、CPU1はレシート発行処理を終了する。レシート発行処理を終了するとCPU1は、図5に示すステップSb13へ進む。
【0065】
ステップSb13においてCPU1は、RAM3の商品リストエリアのクリアやRAM3に記憶された買上金額の削除などのような後処理を行う。この上でCPU1は、ステップSb2の待ち受け状態に戻り、次の客のための処理に備える。
【0066】
図7は銀聯用レシートの一例を示す図である。図7では、領域A1が中国人民元で表した買上金額およびレートを表す領域である。なおカードレシートは例えば、領域A1を除いたレシートとされる。
【0067】
なお、以上の説明から明らかなように、CPU1はアプリケーションプログラムに基づいた処理を行うことにより、次のような第1乃至第6の処理手段として機能する。
【0068】
第1の処理手段は、商品の対価を第1の通貨で表した金額を判定するための商品情報、すなわちPLUコードを入力する。第2の処理手段は、決済の実行が要求されるまでに入力された商品情報に基づいて判定される金額の合計として第1の決済金額、すなわち日本円での買上金額を算出する。なお、以上の第1および第2の処理手段は、結果として第1の決済金額を取得する処理を行っているのであり、これら第1および第2の処理手段により第1の決済金額を取得する処理手段が構成されているとも言える。第3の処理手段は、カードリーダ17によって決済カードから読み取られた前記カード情報に基づいて決済カードが特定カード(ここでは銀聯カード)であるか否かを判定する。第4の処理手段は、上記の決済カードが特定カードである場合に、当該特定カードの発行地域で利用される第2の通貨と第1の通貨とのレートを表したレート情報を補助記憶ユニット4から読み出す。第5の処理手段は、第1の決済金額を上記の読み出されたレート情報が表すレートで変換して第2の決済金額、すなわち中国人民元での買上金額を算出する。第6の処理手段は、決済カードが特定カードである場合に、第5の処理手段によって算出された第2の決済金額を表示したレシートを印刷するようにプリンタ19を制御する。
【0069】
以上のようにPOS端末装置100によれば、銀聯カードを使用して決済した場合には、その決発行地域の通貨である中国人民元での買上金額を表した銀聯用レシートが発行される。銀聯カードは、中華人民共和国において発行されている決済カードであり、その所有者にとって中国人民元が通常使用する通貨である可能性が高い。銀聯カードの所有者である客が、中国人民元とは異なる通貨を第1の通貨とする店舗を利用し、かつ銀聯カードを使用して決済した場合には、銀聯用レシートが発行される。従って、当該客は、発行された銀聯用レシートに基づいて、中国人民元での買上金額を確認することが可能である。
【0070】
そしてPOS端末装置100では、銀聯用レシートを発行可能な状況であれば銀聯用レシートを自動的に発行する。このためオペレータは、銀聯用レシートの発行に関する操作を何ら行う必要が無く、オペレータの負担が増加することはない。
【0071】
この実施形態は、次のような種々の変形実施が可能である。
【0072】
キャッシュレジスタやカード決済装置などのような別の装置としても実施可能である。なお、キャッシュレジスタとして実施する場合には、商品コードの代わりに商品単価を入力し、その総和として邦貨決済額を算出する。またカード決済装置として実施する場合には、決済額を直接に入力する。
【0073】
銀聯用レシートにおけるレートの表示は省略しても良い。
【0074】
レート情報ファイルあるいはレート情報は、決済を行う毎にサーバ300から取得しても良い。
【0075】
銀聯カードに限らず、発行地域が特定される別の決済カードを対象として上記と同様に実施することが可能である。もちろんこの場合にレート情報としては、対象とする決済カードの発行地域での通貨に関するレートを示した情報を用いる。
【0076】
また、複数の決済カードのそれぞれに関連付けてレート情報を用意しておき、使用された決済カードを判別して関連するレート情報を取得し、そのレート情報が示すレートにより算出した買上金額を表示するレシートを銀聯用レシートの代わりに発行することもできる。この場合、レート情報をカードブランドなどに関連付けておいて、使用された決済カードのブランドに基づいてレート情報を自動選択すれば、客に応じた適切なレシートを発行できる。すなわち、通貨の選択をオペレータに頼る場合には、オペレータが客の居住地域を推定して、その居住地域で使用されている通貨を選択しなければならないために、適切な通貨が選択されないことが多々生じ得るが、そのような不具合は未然に回避できる。
【0077】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。
【符号の説明】
【0078】
1…CPU、2…ROM、3…RAM、4…補助記憶ユニット、5…時計ユニット、6…モードスイッチ、7…ドロワ開放ユニット、8…出力ポート(I/O)、9…スキャナ、10…スキャナコントローラ、11…キーボード、12…キーボードコントローラ、13…オペレータ用表示器、14…表示コントローラ、15…客面表示器、16…表示コントローラ、17…カードリーダ、18…カードリーダコントローラ、19…プリンタ、20…プリンタコントローラ、21…通信デバイス、22…システムバス、100…端末装置、200…通信ネットワーク、300…サーバ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め定められた第1の通貨で表した第1の決済金額を取得する取得手段と、
前記第1の決済金額を決済するために使用する決済カードに記録されたカード情報を読み取る読取手段と、
前記読取手段によって読み取られた前記カード情報に基づいて前記決済カードが特定カードであるか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段によって前記決済カードが前記特定カードであると判定された場合に、前記特定カードの発行地域で利用される第2の通貨と前記第1の通貨とのレートを表したレート情報を記憶デバイスから読み出す読出手段と、
前記取得手段により取得された前記第1の決済金額を前記読出手段によって読み出されたレート情報が表すレートで変換して第2の決済金額を算出する算出手段と、
レシートを印刷する印刷手段と、
前記判定手段によって前記決済カードが前記特定カードであると判定された場合に、前記算出手段によって算出された前記第2の決済金額を表示したレシートを印刷するように前記印刷手段を制御する制御手段とを具備することを特徴とするカード決済装置。
【請求項2】
前記判定手段は、前記カード情報に示された前記決済カードの銘柄に基づいて前記決済カードが前記特定カードであるか否かを判定することを特徴とする請求項1に記載のカード決済装置。
【請求項3】
前記印刷手段は、前記第2の決済金額とともに、前記読出手段によって読み出されたレート情報が表すレートを表示した前記レシートを印刷することを特徴とする請求項1に記載のカード決済装置。
【請求項4】
前記記憶デバイスをさらに備えることを特徴とする請求項1に記載のカード決済装置。
【請求項5】
商品の対価を予め定められた第1の通貨で表した金額または当該金額を判定するための商品情報を入力する入力手段と、
決済の実行が要求されるまでに前記入力手段で入力された前記商品情報に基づいてそれぞれ判定される金額の合計として第1の決済金額を算出する算出手段と、
前記第1の決済金額を決済するために使用する決済カードに記録されたカード情報を読み取る読取手段と、
前記読取手段によって読み取られた前記カード情報に基づいて前記決済カードが特定カードであるか中を判定する判定手段と、
前記判定手段によって前記決済カードが特定カードであると判定された場合に、前記特定カードの発行地域で利用される第2の通貨と前記第1の通貨とのレートを表したレート情報を記憶デバイスから読み出す読出手段と、
前記取得手段により取得された前記第1の決済金額を前記読出手段によって読み出されたレート情報が表すレートで変換して第2の決済金額を算出する算出手段と、
レシートを印刷する印刷手段と、
前記判定手段によって前記決済カードが前記特定カードであると判定された場合に、前記算出手段によって算出された前記第2の決済金額を表示したレシートを印刷するように前記印刷手段を制御する制御手段とを具備することを特徴とする商品販売データ処理装置。
【請求項6】
予め定められた第1の通貨とこの第1の通貨とは異なる通貨とのレートを表したレート情報を少なくとも1つ記憶した記憶デバイス、決済に使用する決済カードに記録されたカード情報を読み取る読取デバイス、ならびにレシートを印刷する印刷デバイスがそれぞれ接続されたコンピュータを、
予め定められた第1の通貨で表した第1の決済金額を取得する取得手段と、
前記読取デバイスによって読み取られた前記カード情報に基づいて前記決済カードが特定カードであるか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段によって前記決済カードが特定カードであると判定された場合に、前記特定カードの発行地域で利用される第2の通貨と前記第1の通貨とのレートを表したレート情報を前記記憶デバイスから読み出す読出手段と、
前記取得手段により取得された前記第1の決済金額を前記読出手段によって読み出されたレート情報が表すレートで変換して第2の決済金額を算出する算出手段と、
前記判定手段によって前記決済カードが前記特定カードであると判定された場合に、前記算出手段によって算出された前記第2の決済金額を表示したレシートを印刷するように前記印刷デバイスを制御する制御手段として機能させることを特徴とするレシート発行プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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